デコルテ・ホールディングス<7372> 「内製化戦略」を武器に着実な勢力拡大を図っていく方針

2021/07/02

フォトウエディング業界を牽引するリーディングカンパニー
「内製化戦略」を武器に着実な勢力拡大を図っていく方針

業種: サービス業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ フォトウエディングのリーディングカンパニー
デコルテ・ホールディングス(以下、同社)は、約10年前の国内ではほぼ存在していなかったフォトウエディングの市場を確立したリーディングカンパニーである。同社は、前身となる会社でミニチャペルでのリーズナブルな挙式を行うサービスを手掛け、挙式運営の内製化を通じてコストコントロールのノウハウを蓄積していた。そうしたところに、海外の事例から、ウエディング写真を撮影することが「価値のある体験」を提供するサービスとして成立することに気づき、08年にフォトウエディングサービスを開始した。

同社の事業セグメントはスタジオ事業のみで、スタジオ事業の売上収益の大半をフォトウエディングが占めている。なお、その他に分類される売上収益は、関西にて「40minutes」の店舗ブランドで運営しているフィットネスジムによるものである(図表1)。

◆ フォトウエディングサービス
フォトウエディングは結婚写真を撮影するサービスだが、結婚式や披露宴当日の写真撮影以外のことを指す。主に、以下の2種類の需要があるとされている。

(1) 結婚式や披露宴を行うが、式の当日とは別の日に、結婚写真を撮影する「前撮り」または「別撮り」
(2) 結婚式や披露宴を行わない、いわゆる「なし婚」の夫婦が結婚写真を撮影する

こうした需要に応えるのが、同社のフォトウエディングサービスである。同社は、大都市圏のターミナル駅の駅近の立地を中心に、フォトウエディング専用のフォトスタジオを直営で出店してサービスを提供している。

21年4月末時点で、ウエディング写真を対象としない4店舗を含めて20店舗を出店している。フォトウエディングサービスの店舗でも、展開地域によってブランドを別にしているのは、エリアごとの専門性を強調して訴求するためである。

同社がフォトウエディングサービスを開始した08年以降、09年と19年を除き、年1~3店舗の出店を継続してきた(図表3)。

フォトウエディングサービスの店舗では、屋内に設営した専用スタジオでのスタジオ撮影と、近隣の屋外でのロケーション撮影を行っている。店舗は130~150坪の規模である。店舗においては、接客、衣装選び、メイク、着付け、撮影までを同一店舗内で完結する体制を整えている。

◆ 「内製化」戦略による運営
同社の最大の特徴は、店舗をすべて直営で出店するだけに留まらず、スタッフ、衣装、マーケティング機能を自社で抱える「内製化」戦略を採っているところにある。

スタッフのうち、特に重要なのが、フォトグラファーとメイクアップアーティストである。元来、フォトグラファーやメイクアップアーティストはフリーランスとして働き方を選ぶ傾向が強いため、組織に定着して働く人が多くない。一方で、業界全体として流動人材が少なく、質のばらつきは大きいと言われている。そのため、規模拡大のためには、質の高い人材を安定的に多く確保することが求められる。そのため、同社では、両プロフェッショナル人材を正社員として雇用しており、21年4月1日時点で、282名のプロフェッショナル人材を確保している(図表4)。同社では、正社員雇用を原則として、独自の教育カリキュラムを継続して行うことによって質の向上と人材の定着を図るとともに、外注依存度を極力下げることにより、利益率の維持、向上に努めている。

衣装についても、洋装ドレスのデザイン内製化と海外仕入先への直接発注の仕組みを構築しており、トレンドに合った品揃えを確保しつつ、品質とコストをコントロールしている。

フォトウエディング業者を選定するにあたってよく利用されている媒体がSNSや結婚情報サイト以外のウェブサイトであるという認識のもと、同社ではウェブサイト制作、SEO対策、SNS対策といったウェブマーケティング機能をアウトソーシングせず、自社で保有している。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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