セルム<7367> 顧客毎にカスタマイズされた研修や外部講師ネットワークに強みを持つ

2021/04/15

大手企業向けを主とした人材開発・組織開発事業を展開
顧客毎にカスタマイズされた研修や外部講師ネットワークに強みを持つ

業種: サービス業
アナリスト: 阪東 広太郎

◆ 大手企業向けの人材開発・組織開発事業を展開
セルム(以下、同社)グループは、主に大手企業の人材開発・組織開発を支援する事業を展開している。同社グループの事業セグメントは、顧客企業における人と組織に関わるコンサルティングや人材開発・組織開発を支援する「人材開発・組織開発事業」と「その他事業」で構成される。21/3期第3四半期累計期間における売上構成比は、人材開発・組織開発事業99.0%、その他事業1.0%である(図表1)。

◆ 人材開発・組織開発事業
同社グループは、主なサービスとして、①次期経営幹部人材を発掘・育成する「経営塾」、②現役員陣等への経営メンタリング(現役員、並びに次期役員候補者を対象としたマンツーマンOJT)、③ミドルマネジメントの育成、④人材開発体系の構築コンサルティング、⑤経営理念・ビジョン浸透/企業風土改革支援、⑥ASEAN・中国における人材開発・組織開発支援、⑦フ ァーストキャリアの開発事業(内定期間から入社5 年目までの体系的な人材 開発と人材育成マインドの高い職場風土醸成)、⑧障がい者の雇用・活躍 支援等を提供している。

同社グループによると、売上高の構成比は、「経営塾」及び経営メンタリングが約3 割、ミドルマネジメントの育成が約4 割、ファーストキャリアの開発事業が約2 割、上記以外が約1 割である。

「経営塾」は、次期経営幹部人材を対象に、個々の経営人材としての資質の見極め、強み弱みの把握、その後の困難な課題・役割の付与をトータルで支援する約1 年間にわたる研修プログラムである。顧客企業の現経営陣、社外取締役、同社グループが選任する講師陣との真剣な対話、議論を通じて実施している。

経営メンタリングは、現役員や次期役員候補者に対して、同社グループが選任する講師が経営リーダーとしての意識、言葉、行動について実践的な指導と助言を行っている。

ミドルマネジメントの革新は、部長や課長といった管理職への昇格前後の一定期間をマネジメント育成期間と位置付け、集合研修とオンラインのグループで行うコーチング、アセスメント等を組み合わせた計画的なトレーニングを提供している。

ファーストキャリア開発は、入社前の内定者から入社5 年目までの若手社員に対して、社会人としての基礎を身につけるための研修プログラムを提供している。

同社グループは、研修やコンサルティングの提供に対して、顧客から業務委託費を受け取る。業務委託費は顧客ごとに相対で決めている。

◆ その他事業
その他事業として、同社グループはコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)事業、及び幼児(1~6 歳)向けバイリンガル英語教育事業を行っている。

CVC 事業では、収益機会の多様化を目的に、同社の連結子会社であるアリストテレスパートナーズを無限責任組合員とする出資規模3 億円のHR テック投資事業有限責任組合を組成した。投資先は同社グループの顧客企業の人材・組織開発により高い付加価値を提供するための新しいテクノロジーや知財・人材を有する国内外のHR テックベンチャー企業である。

幼児向けバイリンガル英語教育事業では、同社の連結子会社であるRISE Japanが代官山において、代官山においてバイリンガル教育によるプリスクール、アフタースクールの教室を運営している。

◆ 顧客の構成と獲得経路
同社グループの顧客企業の売上規模は約35%が1兆円以上、売上高2,000億円以上1兆円未満が約25%あり、大手企業が中心である。顧客企業の業種は多岐にわたっている。顧客企業における窓口は、人事部門が大半を占めており、経営塾・経営モニタリングの窓口は人事担当役員、その以外は人事部門のミドルマネジメントが窓口となるケースが多い。

同社グループの顧客獲得経路は、顧客からの問い合わせが大半を占めている。人事部門が次世代経営陣の育成や経営理念の浸透といった人材・組織に関する経営課題を検討する際に、同社グループに問い合わせを行う顧客が多い。同社グループによると、大手企業の人事部門は横のつながりがあり、同社グループの評判が口コミで広がり、問い合わせに繋がっているようである。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。