田中建設工業<1450> 売上高100億円の中期目標達成に向け、堅調な成長持続を見込む

2020/10/19

民間の建築物の解体工事の施工監理に特化した建設会社
売上高100億円の中期目標達成に向け、堅調な成長持続を見込む

業種: 建設業
アナリスト: 藤野敬太

1.会社概要
・田中建設工業(以下、同社)は、一都三県を中心に展開する、建築構造物の解体工事の施工監理に特化した「持たざる経営」をする建設会社である。解体の対象はビルや集合住宅、商業施設等が中心である。

2.財務面の分析
・13/9期から20/3期までの6.5期間の平均成長率は、売上高12.9%、経常利益31.5%であった。好採算案件の計上の多寡で売上高経常利益率は大きく変動したが、18/3期から一定金額以上の工事が工事進行基準での売上計上に変わり、売上高経常利益率は安定してきた。
・建設業で施工能力を持たずに事業を行っている上場企業との比較では、事業領域の違い等を考慮に入れても、同社の売上高の成長性の高さが目立つ。解体工事に対する需要を業績につなげていることがうかがえる。そのため、自己資本比率も高く、収益性も高い水準にあると言えよう。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は顧客との強い関係(関係資本)にある。その関係のもとで創業来約40年にわたって解体工事を手掛けて実績を積んできた。そして、解体工事の知見の蓄積(組織資本)が進み、施工体制の強化と相まって新たな顧客や案件を獲得して顧客基盤を更に強固にするという好循環を描くようになっている。

4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、施工現場での事故の防止、人員の採用及び育成の更なる強化、営業の強化が挙げられる。
・同社は25/3期に売上高100億円を目指す中期計画を掲げており、システム導入を含めた体制強化を図るとともに、営業を強化する方針である。

5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、施工監理に特化するビジネスモデルのもと、実績の蓄積と、元請ができる財務基盤を築いてきた点を評価している。今後の業容拡大に向け、施工現場に出る技術社員の増員と生産性向上が必要だが、20年8月に稼働を開始したITサポートシステム「ALMIGHTY」が業務改善につながるかどうかに注目している。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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