バルテス<4442> 未経験者でも早期に戦力化する仕組みを評価し、エンジニアの獲得ペースに注目

2020/10/09

品質向上のトータルサポートを標榜するソフトウェアテストサービス大手
未経験者でも早期に戦力化する仕組みを評価し、エンジニアの獲得ペースに注目

業種: 情報・通信業
アナリスト:藤野敬太

1.会社概要
・バルテス(以下、同社)は、「品質向上のトータルサポート企業」として、ソフトウェアテストを中心としたサービスを提供する企業である。

2.財務面の分析
・16/3 期まで増収増益基調にあったが、17/3 期の増収減益を機に採用力強化と人材定着を経営課題と認識し、18/3 期は構造改革を実施したことから大幅減益となった。しかし、構造改革の効果は短期間で発現し、19/3 期及び20/3 期は大幅な売上増と利益率回復を見せた。
・ソフトウェアテスト事業を中心に展開する上場企業との財務指標の比較では、事業規模は他社に比べてはるかに小さいが、収益性を示す自己資本利益率は他社を上回っている。また、成長性については、同社が手掛けていないエンターテインメント系を中心に展開する企業を大きく上回っている。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、顧客の増加とノウハウの蓄積の好循環にある。創業来経験してきたプロジェクトを通じて蓄積したノウハウに基づいてテストの標準化を進めるとともに、社内教育体制の整備で均質なサービスを提供できるテストエンジニアが増加している。その結果、プロジェクト数が増えて更なるノウハウの蓄積が進み、競争優位性が増している。

4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、ソフトウェアテスト市場の拡大への対応、テストエンジニアの確保、新規技術の開発が挙げられる。
・同社は24/3 期に売上高100 億円達成を数値目標としている。優秀な人材確保と研修を通じた早期戦力化、新規技術の開発を継続していくとともに中長期的にはグループシナジーの強化を図っていく方針である。

5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、当面はテストエンジニアの増員ペースが事業拡大ペースを決める状況が続くため、未経験者でも早期に戦力化できる仕組みを整備している点を評価している。今後、エンタープライズ系のテストに注力していく方針を踏まえると、中期的には上流工程に関係するWeb/モバイルアプリ開発サービス事業との連携の強化が必要であり、その連携がどのように進んでいくかに注目していきたい。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。