関通<9326> 業務ノウハウのソフトウエア化やサービス化で更なる成長を目指す

2020/03/27

EC・通販事業者向けに配送センター業務代行を中心とした物流サービスを展開
業務ノウハウのソフトウエア化やサービス化で更なる成長を目指す

業種: 倉庫・運輸関連業
アナリスト: 阪東 広太郎

◆ EC・通販事業者向けの物流サービスを主に展開
関通(以下、同社)は、主に EC 及び通信販売事業者の販売商品の入庫、 在庫管理及び出庫等の配送センター業務を代行する EC・通販物流支援サ ービスを主たるサービスとして「物流サービス事業」を展開している。この他、 外国人技能実習生教育サービス、放課後等デイサービスからなる、「その他 の事業」も行っている。

物流サービス事業は、EC・通販物流支援サービス、受注管理業務代行サ ービス、ソフトウエア販売・利用サービス、その他の 4 つのサービスで構成さ れている。その他は、主に物流コンサルティングサービスで構成されてい る。

19/2 期の売上構成比は、物流サービス事業が 99.0%、その他の事業が 1.0%である。物流サービス事業の各サービスの売上高の全売上高に対す る比率は、EC・通販物流支援サービスが 92.8%、受注管理業務代行サービ スが 1.8%、ソフトウエア販売・利用サービスが 1.8%、その他が 2.6%である (図表 1)。

◆ 物流サービス事業
EC・通販物流支援サービスは、同社の売上高の約 9 割を占めるコア事業で あり、00 年頃のインターネット通販の黎明期にスタートし、事業を拡大してき た。主にEコマース及び通信販売事業を展開する顧客の販売商品の入庫、 在庫管理及び出庫等の配送センター業務を受託している。

EC・通販物流支援サービスには、楽天(4755 東証一部)が運営する EC 物 流アウトソーシングサービスである「楽天スーパーロジスティクス」向けも含ま れている。同社は、19 年 2 月に楽天と資本・業務提携し、同年 3 月に兵庫 県尼崎市に「Rakuten Fulfillment Center Amagasaki」を開設した。主に楽天 市場の出店者向けに提供している「楽天スーパーロジスティクス」の業務を 受託し、これまでの EC・通販物流支援サービスで培ったノウハウを活用して、 楽天への出店者に対して物流機能を提供している。

同社は、20 年 2 月末で、国内で 15 の物流センターを運営しており、物流セ ンターの総床面積は37,600坪に達している。地域別では、大阪府10拠点、 兵庫県 1 拠点、奈良県 1 拠点、埼玉県 1 拠点、千葉県 1 拠点、東京都 1 拠点と、関西および関東に集中している。

同社の顧客は、主にアパレル、医薬・化粧品、食品、雑貨、通信教育で、特 定の業種への偏りは無いようである。顧客の年商規模としては、数十億円か ら 200 億円程度が多い。従来は、年商数億円未満の顧客が多かったが、顧 客の年商規模は拡大傾向にあるようである。18/2 期はクックデリ(大阪府大 阪市)、グァルダ(大阪府大阪市)の2社で売上高の24.7%を占めたが(図表 2)、20/2期第3四半期累計期間では、売上構成比10%を超える顧客は無く、 顧客の年商規模は拡大しつつも、特定顧客への依存度を下げていることが 伺える。

新規顧客の獲得は、インターネット経由が大半のようである。インターネット 経由で、毎月大阪と東京の同社の倉庫で開催している「学べる倉庫見学会」 へ誘導し、見学会にて顧客の課題をヒアリングし、課題に応じた提案を行っ ている。倉庫見学会は参加料を1 人3 万円とすることで、同社のサービス利 用への関心が比較的強い顧客に絞り込み、顧客ごとのきめ細かい提案に 繋げている。

見学会への参加者は、既に自前倉庫か他社倉庫を使っているものの、荷物 量の増加への対応や、サービス品質の向上を求めて、新たな取引先を探し ているケースが多く、実際に同社の倉庫やサービスを見学し、品質の高さを 認識し、取引開始に繋がるケースが多いようである。

契約期間は主に 2 年間で、自動更新・継続となっている。顧客との取引期 間は公表されていないが、同社によると、過去数年の値上げにより古くから の中小顧客が減少した一方で、年商規模の大きな顧客が増えたことに伴い、 直近 4~5 年以内に取引を開始した顧客の売上構成比が高いようである。

ソフトウエア販売・利用サービスでは、クラウド型倉庫管理システム「クラウドト ーマス」および、クラウド型チェックリストシステム「アニー」を提供している。い ずれも、同社で開発して利用し、成果につながったソフトウエアを顧客に提 供するサービスである。

ソフトウエア販売・利用サービスは、19/2期において、売上構成比は1.8%に 留まるが、前期比 270.8%増と急成長している。

「クラウドトーマス」は、倉庫内に保管されている商品(在庫)の数を正確に把 握するとともに、倉庫業務の効率化を実現するためのソフトウエアである。利 用企業数は 20 年 2 月末で約 60 社であり、主にアパレルを中心とした EC 事業者のようである。顧客から月額利用料として 7.5 万円を下限とし、アカウ ント数に応じた金額を受け取っている。契約期間は 1 年となっている。

「アニー」は、チェックリストに作業の手順を登録することで、作業の漏れが 少なくなり、業務の品質を落とさず、作業手順やノウハウを見える化すること で新人教育にも利用可能となっている。利用企業数は20年2月末で約240 社である。顧客の業種は、EC 事業者に留まらず、医療機関や税理士事務 所、クリーニングチェーンなど幅広い。契約期間は原則 1 年で、自動更新と なっている。同社は顧客から、初期費用は受け取らず、月額固定の基本料 金及び、アカウント数とチェックリスト行数に応じた従量料金を受け取ってい る。

「クラウドトーマス」、「アニー」ともに、カスタマイズ無しであれば、即日からの 利用が可能である。「クラウドトーマス」はハンディターミナル端末の代わりに、 リングスキャナとスマートフォンのアプリでピッキングすることで、納期を短縮 することが可能となっている。

物流サービス事業では、上記以外に、受注管理業務代行サービス及び、物 流コンサルティングサービスを中心としたその他サービスを展開している。

受注管理業務代行サービスは、EC・通販事業者から、購入者の注文内容 の確認、電子メール対応や入金確認、出荷指示データ作成等の業務を受 託している。

物流コンサルティングサービスは、同社の EC・通販物流支援サービスで培 ったノウハウを活用し、物流現場改善による生産性の向上等に関するコンサ ルティングサービスを提供している。

◆ その他の事業
その他の事業は、外国人技能実習生教育サービス、その他教育サービスで 構成される。

外国人技能実習生教育サービスは、同社がミャンマーから外国人技能実習 生受入れを行う際に行った現地教育カリキュラムを、顧客に提供している。 顧客が希望する職種に応じた、就業上必要な技能訓練のほか、会社の文 化等の教育を行い、日本で就業時に即戦力となるようにしている。

その他教育サービスは、障がいを持った子供向けの教育事業として、放課 後等デイサービスの教室を運営している。19/2 期において、その他の事業 は、事業立ち上げ期ということもあり、26 百万円のセグメント損失を計上して いる。

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ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
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