ミクリード<7687> カタログに掲載している商品を即日出荷で毎日、全国の約1万店に配送
個人経営の居酒屋を中心とした中小飲食店に食材を通信販売する卸売業者
カタログに掲載している商品を即日出荷で毎日、全国の約1万店に配送
業種: 卸売業
アナリスト: 大間知 淳
◆ 中小飲食店への業務用食材の通信販売を全国展開
ミクリード(以下、同社)は、個人経営の居酒屋を中心とした全国の中小飲食店に食材を通信販売する事業を展開している。大手の食品卸売会社がカバーしていない1万店を超える中小飲食店に対して、年2回カタログを配布し、掲載している肉・魚・野菜・串もの・揚物・デザート等4千点の商品を即日出荷できる体制を敷いている。
同社の設立は06年4月であるが、その起源は、現ミスミグループ本社(9962東証一部)であるミスミが、多角化事業の一環としてフード事業を95年10月に開始したことにある。片山礼子代表取締役社長を始め、同社の経営陣の多くはミスミの出身者である。同社の商品・サービス・インフラ等によって構築される事業モデルをマーケットアウト注の視点で創り上げた初期のミスミ流のノウハウが現在の同社の基盤を形成している。
ミスミグループ本社による多角化事業の整理方針の下、07年10月、同社はカクヤス(7686東証二部)に譲渡された。カクヤスグループとして、酒・食の総合提案による中小飲食店への営業を展開した結果、同社の顧客基盤は強化された。カクヤスは、08年6月、同社を一旦、吸収合併したが、12年11月に同社を分社化した。
13年には、同社は、食品商社大手の国分(現国分グループ本社)及びトーホー(8142東証一部)と資本業務提携を実施した。通販事業を手掛けたい両社の戦略と、食材調達ルートの充実、安定化を狙う同社の意向が提携の背景である。
カクヤスグループのグループ再編により、16年1月に、カクヤスが保有していた全同社株式はカクヤスの親会社となったSKYグループホールディングス(東京都千代田区)に継承され、同社はSKYグループホールディングスの子会社となり、カクヤスと同社は兄弟会社となった。
SKYグループホールディングスは、20年2月末現在、同社の発行済株式総数の51.0%を所有しているが、上場に伴う公募増資、売出しにより、上場後の保有比率は25%程度に低下する見通しである。20年2月末時点で、同社とSKYグループホールディングスとの間で、役員の兼任、従業員の出向等の人的関係はない。
カクヤスとの間では、販売代理店契約が締結され、カクヤスが同社の商品を買取り、カクヤスの顧客の飲食店に販売している。飲食店からの代金回収はカクヤスが行い、同社はカクヤスに販売代理店手数料を支払っている。カクヤスは同社の最大の販売先であり、カクヤス向けの売上高の比率は、18/3期が21.5%、19/3期が19.7%となっている(図表1)。
同社の顧客である中小飲食店は、土日祝日でも営業しており、同社は365日受注、出荷が出来る販売体制を敷いている。店舗の営業が終わった深夜でも発注が出来るよう、同社の受注センターは深夜2時まで電話応対を実施している(FAX、WEBは24時間対応)。全国の顧客から受注した商品は、一部の地域を除いて、翌日には各店舗に配送できる体制を構築している。
同社は、約1千社の食品メーカー等の商品を、メーカーから直接、または、食品卸会社を経由して仕入れている。最大の仕入先は大株主の国分グループ本社であり、国分グループ本社からの仕入高の比率は、18/3期が43.2%、19/3期が43.9%となっている(図表2)。
同社の顧客は、個人経営の居酒屋を中心とした中小飲食店である。居酒屋以外でも、和系・洋系の飲食店や喫茶店、食事を提供するその他の施設等にも商品を供給している。代理店経由の取引であっても、受注と配送は同社が外部の業者を利用して実施しているが、代金回収は代理店経由で行っている。なお、受注センターはバーチャレクス・ホールディングス(6193東証マザーズ)の連結子会社であるバーチャレクス九州に、出荷センターは増田運輸(千葉県)に外部委託している。
◆ 顧客店舗数等を重要な経営指標としている
同社は、目標達成状況をモニターする上で、売上高、売上高営業利益率、顧客店舗数(代理店経由は除く)、新規顧客店舗数、新規顧客WEB経由獲得率を重要指標として位置付けている。重要な経営指標の推移については図表3の通りである。
◆ 変動費を中心とした費用構造
売上総利益率は、18/3期が30.6%、19/3期が33.6%であった。売上原価は商品仕入高によって構成されている。販売費及び一般管理費(以下、販管費)については、荷造運賃、業務委託費が中心を占め、他では減価償却費等が続いている。なお、20年1月末の従業員数は15名に過ぎず、人件費の金額は大きくはない。