ユナイトアンドグロウ<4486> インソーシング事業の「シェアード社員」の量と質が今後の成長を左右しよう

2019/12/26

中堅・中小企業向けにIT人材と知識のシェアリングサービスを提供
インソーシング事業の「シェアード社員」の量と質が今後の成長を左右しよう

業種: 情報・通信業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 中堅・中小企業向けのIT人材/知識のシェアリングサービスを提供
ユナイトアンドグロウ(以下、同社)は、情報システム部門の人材不足に悩む中堅・中小企業向けにIT人材と知識のシェアリングサービスを提供することを主要業務としている。中堅・中小企業は、いわゆる「ひとり情シス注」と呼ばれるように、情報システム部門の体制が脆弱であることが多い。中堅・中小企業にとって、外部人材をタイムシェアするサービスに対する需要が高まっており、同社のサービスは、そうした需要に対応して拡大してきた。

単に人を集め、顧客の現場に送り込むだけでは事業として成り立たない。同社は、「シェアード・エンジニアリング」と称する仕組みとして運用するための技術またはノウハウを確立しており、それが競争力の源泉のひとつとなっている。

同社の事業は、インソーシング事業とセキュリティ事業の2つの報告セグメントに分類される(図表1)。インソーシング事業の売上構成比は約60%だが、利益の大半を稼いでいる。

◆ インソーシング事業の仕組み
インソーシング事業の顧客は、東京23区内にある従業員数50~1,000人規模の中堅・中小企業の情報システム部門である。会員制サービスの形態をとり、顧客企業自身の人材では対応できないITに関する課題の解決を支援する。具体的には、システム活用コンサルティングやシステム運用代行、システム担当者育成といった業務例がある。

類似するサービス形態としては、ITコンサルティングが挙げられる。しかし、ITコンサルティングの顧客層は大手または準大手の企業がほとんどであり、同社が対象とする顧客層とは異なる。別の表現をすれば、大手企業を対象とするITコンサルティングに類する提供価値を、情報システム部門の人材が乏しい中堅・中小企業にも提供するのが同社のインソーシング事業と言えよう。

顧客の現場には、「シェアード社員」と呼ばれる同社の社員が出向く。顧客企業から見ると、同社の社員を複数の企業でタイムシェアするような形態となる。必要に応じて顧客の現場に送り込まれた「シェアード社員」は、2~8人のチーム(同社では「スクラム」と呼ぶ)で連携して顧客企業の課題解決にあたる。

顧客企業との契約形態は、ITコンサルティングと同様、準委任契約であり、派遣契約の技術者派遣や、請負契約のSIとは異なる。準委任契約のもと、顧客企業ではなく、同社の指揮命令のもとで業務を遂行する。また、成果物を伴わないため、「シェアード社員」は時間課金の料金体系となっている。ハードウェアやソフトウェア等の販売も行わない。

こうした有限の人的資源や知的資源をオープンにかつ安全に共有するために、同社は「シェアード・エンジニアリング」と称する技術及びノウハウを確立している。

◆ インソーシング事業の顧客
インソーシング事業の会員企業数は18年末時点で446社であった。うち、18年のうちに取引があったのは170社、延べ2,954案件となった。この170社の顧客企業の従業員数で見た規模別の内訳は、100人未満53%、100~299人32%、300~999人9%、1,000人以上6%であり、従業員数300人未満の企業が85%を占める。

同社のサービスを使うことにより、顧客企業は、(1)情報システム部門の人材の採用や育成コスト等の雇用負担の削減、(2)退職リスクの低減、(3)人件費の変動費化、(4)情報システム部門の人員体制の最適化、(5)他社のノウハウの間接的活用といったメリットを得ることができる。

◆ インソーシング事業の収益構造
インソーシング事業の収益構造は、「「シェアード社員」の人数×レバレッジ要素」で表現される。レバレッジ要素とは「シェアード社員」の稼働や品質の状況を示すいくつかの数値である。稼働面では、「シェアード社員」1人当たりの平均担当社数3.7社、顧客企業1社に配置される平均担当人数3.8人といった状況である。また、品質面では、20段階あるスキルレベルで把握されている。当然、スキルレベルに応じて、顧客に課金される時間単価は変わってくる。

「シェアード社員」の人数は、18/12期末で131人、19/12期第3四半期末で133人である。過去の開示がないので、同社単体の従業員数で代用するが、本社移転があった16/12期以外は、1人当たり売上高を増やしながらの増員が続いている。

◆ 知識や経験のシェアのための仕組み
インソーシング事業では、「シェアード社員」のサービスに加え、知識のシェアのために、「Kikzo」と「Syszo」のサービスを提供している。

「Kikzo」は会員制のQ&A サービスであり、顧客企業はIT に関する質問を同社の「シェアード社員」に直接行うことができる。こちらは一定の利用料が発生する。

一方、「Syszo」はインターネット上で全国の情報システム担当者をネットワークし、知識や経験をシェアするオープンナレッジサービスである。経験の蓄積が目的であるため、利用は無料である。

◆ セキュリティ事業
15 年11 月に完全子会社化した連結子会社のfjコンサルティングが担当する事業である。「PCI DSS」と呼ばれるカード情報セキュリティの国際統一基準に準拠した仕組みの構築や認証取得のための支援・コンサルティングサービスや、セキュリティ事件/事故対応支援のコンサルティングサービスを提供している。

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ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
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