ビーアンドピー<7804> 既存事業での展開エリアの拡大と新規事業への投資が成長の二本柱

2019/07/31

業務用インクジェットプリンターによる出力サービスの大手企業
既存事業での展開エリアの拡大と新規事業への投資が成長の二本柱

業種: その他製品
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 業務用インクジェットプリンターでの出力サービスを行う企業
ビーアンドピー(以下、同社)は、業務用の大判インクジェットプリンターを使ってインクジェット出力サービスを提供する企業である。

インクジェットプリントは、印刷対象物に微滴化したインクを直接吹き付ける印刷の方式である。特徴として、(1)印刷対象物が平坦である必要がなく、紙以外への印刷も可能である、(2)版下が不要で費用と時間が抑えられ、短納期に対応しやすい、(3)多様なサイズに対応できる、(4)部数の少ない小ロットの印刷にも対応できるといった点が挙げられる。同一のものを大量に印刷する従来の方式では対応しきれなかった需要を取り込みながら、インクジェットプリント出力の市場は拡大してきた。

同社はコピーサービス業として創業したが、01年にコピーサービス業から撤退してインクジェット出力事業に参入し、以降、インクジェット出力に特化して拡大してきた。同社の事業は、インクジェット出力事業の単一セグメントだが、提供するサービス分野により、売上高は2つに区分されている。大まかには、販売促進用広告制作が9割弱、生活資材・製品制作が1割強という構成となっている(図表1)。

◆ 販売促進用広告制作
18/10期の連結売上高の85.5%を占める販売促進用広告制作には、広告代理店や広告制作会社、印刷会社、デザイン会社、屋外サイン業者等から発注される販売促進用広告物の制作が分類される。

上述したインクジェットプリントの特徴により、インクジェットプリントは、店頭用セールスプロモーションツール、屋外広告サイン等の多種多様な販売促進用の広告物との親和性が高い。一方、販促促進用の広告物は、短納期で小ロットの案件が多い。そのため、1件当たりの受注金額が小さい案件を数多く受注することが求められる。

そこで、同社は、多くの顧客が密集する都心部に特化し、地域密着型営業の体制を構築している。さらに、即納対応のために顧客の近くで制作ができるよう、営業拠点兼制作拠点とすることを基本としている。現在、大阪、東京、神奈川、福岡に営業・制作拠点を置いている。

制作拠点には、合わせて100台を超えるインクジェットプリンターや加工機が配備されており、世界最大の5m幅の出力にも対応できる体制となっている。24時間体制で生産を行っており、顧客に近い拠点で制作を行うことが基本となっている。しかし、1カ所の拠点に受注が集中した場合には拠点間で連携を行うが、拠点間の品質差異を防ぐシステムも導入されている点も特徴となっている。

◆ 生活資材・製品制作
18/10期の連結売上高の14.5%を占める生活資材・製品制作には、大手ゲーム機メーカーが取り扱うプリントシール機の外装カーテンや、インテリアメーカーやインテリア専門商社が取り扱う壁紙や床材、同社オリジナルの壁紙製品等の制作が分類される。

当区分は、16年にニコールを買収して連結子会社にしたことで加わった区分と言える。18/10期にニコールが同社に吸収された後は、生活資材・製品制作は同社のニコール事業部が担当している。ニコール事業部は、横浜に拠点を置いている。

生活資材・製品制作は販売促進用広告制作と比べ、大手企業との直接取引が中心であるため、1件当たりの受注金額が大きく、まとまった売上が見込める事業である。しかし、顧客の事情等により案件規模や納期が変更になりやすい傾向があるため、業績のぶれを誘引しやすい傾向がある。

なお、同社の最大顧客であるフリュー(6238東証一部)の案件は、プリントシール機の外装カーテンの案件が主体であり、ニコール事業部が担っている。

◆ 3つの販売経路
主に販売促進用広告制作のための地域密着型営業、生活資材・製品制作の大手ユーザー企業との直接営業のほか、ECサイト経由での営業も行っている。同社は、これらを販売機会の多様化を進める3つの販売経路と位置づけている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。