幸和製作所<7807> 19 年2 月期に発生した製品の自主回収の躓きからの立て直しが当面の注目点
シルバーカーや歩行車等の歩行補助分野で高シェアの総合福祉用具メーカー
19 年2 月期に発生した製品の自主回収の躓きからの立て直しが当面の注目点
業種: その他製品
アナリスト: 藤野敬太
1.会社概要
・幸和製作所(以下、同社)は、シルバーカー、歩行車、杖といった高齢者
の歩行補助目的の福祉用具を中心に展開している。創業者から現社長
への事業承継を経て、統一ブランド「TacaoF(テイコブ)」のもと、総合福
祉用具メーカー化を推し進めてきた。
2.財務面の分析
・13/2 期~18/2 期は、年平均13.0%の増収、同207.2%の経常増益となっ
た(13/2 期単体業績との比較)。一時的な業績悪化もあったが、高利益
率の歩行車の売上構成比上昇により、16/2 期~18/2 期は3 期連続の最
高益更新となった。
・福祉用具製造を主体とする上場企業との比較では、18/2 期までは収益
性や成長性は総じて他社より高かった。19/2 期の業績悪化を経て、20/2
期以降、従来の収益性や成長性を回復できるかが焦点となろう。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、現会長(創業者)と現社長(後継者)の存在
(人的資本)と、創業者より承継された技術・ノウハウと、事業承継後に後
継者により築かれた無形の資産(組織資本)にある。事業承継を機に、こ
れらを活用して、企業の成長ステージが上がったと考えられる。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題としては、製品不具合による自主回収を受けての品質問
題への対応、中国の生産拠点での人材の確保・定着、増加が見込まれ
る共同開発案件の管理体制の強化が挙げられる。
・同社は、中長期経営計画「TacaoF 100」を掲げ、海外販売の強化、新商
品シリーズの開発を含めたブランド戦略、介護ロボットの事業化の3 点を
当面の重点取り組み領域として位置づけている。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、事業承継を経て、統一自社ブランドの構築
と総合福祉メーカー化を志向した点を評価する。その過程で多くの小売
店舗の売り場づくりを担うことになったことが、競争力の源泉となった。
・19/2 期に製品不具合による自主回収により一旦足踏みする状況にある
が、当初想定の成長シナリオにいかに戻るかが当面の焦点となろう。