IKホールディングス(2722) 増収増益 販路も順調に拡大

2025/03/06
 

 

飯田 裕 会長兼CEO

株式会社IKホールディングス(2722)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場・名証プレミア市場

業種

小売業(商業)

代表取締役会長兼CEO

飯田 裕

所在地

愛知県名古屋市中村区名駅3-26-8 KDX名古屋駅前ビル5階

決算月

5月末日

HP

https://www.ai-kei.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

380円

8,308,000株

3,157百万円

11.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

8.00円

2.1%

38.91円

9.8倍

278.69円

1.4倍

*株価は1/28終値。各数値、発行済株式数(自己株式を含む)は、2025年5月期第2四半期決算短信より。
時価総額は1/28終値×発行済株式数。ROE、BPS、PBRは2024年5月期決算短信より。数値は四捨五入。

 

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2021年5月(実)

20,754

705

730

321

42.60

12.00

2022年5月(実)

16,335

-360

-323

-905

-115.95

12.00

2023年5月(実)

14,179

-224

-205

-463

-60.34

0.00

2024年5月(実)

14,049

341

340

229

29.79

5.00

2025年5月(予)

15,510

400

390

300

38.91

8.00

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

 

株式会社IKホールディングスの2025年5月期中間期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年5月期中間期決算概要
3.2025年5月期業績予想
4.下期の重点施策
5.中期経営計画 IK Way to 2027
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25/5期中間期は前年同期比8.5%増収。販売効率を重視し、韓国コスメの売上は29.4%増加した。「hince」や「manyo」をはじめとした各ブランドでの取り扱いアイテムが増加し販路も順調に拡大した。加えて新たなブランドとの契約や商品販売が開始された。ダイレクトマーケティング事業が24.7%、セールスマーケティング事業が8.5%の増収。営業利益は前年同期比57.8%増の1億3百万円。販管費率の低下を主因に大幅な営業増益となった。経常利益は前年同期比53.4%増の99百万円。特別利益に関係会社株式売却益を計上しており、中間純損益は前年同期4百万円の損失から1億30百万円の利益に転じた。売上は会社予想を小幅に下回ったものの、各利益は会社予想を大きく上回った。 
  • 通期予想は修正なく、前期比10.4%増収、17.3%営業増益を計画。中期計画達成のための重点施策として韓国コスメのブーストアップを掲げており、国内における韓国コスメの売上高No.1企業を目指す。なお、中間期の通期予想に対する進捗率は売上高で46.8%、営業利益で25.8%だが、同社業績は下期偏重。前期実績においても中間期の進捗率はそれぞれ47.7%、19.1%だった。配当も修正なく、前期から3.00円増配の8.00円/株を計画する。予想配当性向は20.6%。 
  • ITソリューション事業が除外されたが、2Qの売上高は22/5期4Q以来の40億円超を確保した。24/5期は損益の改善を重視して黒字体質の構築に取り組んできた。前回レポートでは「今後の課題はトップラインをいかに伸ばしていくか」としたが、25/5期まさにその課題への取り組み。韓国コスメはかなり勢いがあり今後も拡販が進むであろう。同社もその点にはかなりの自信を持っていた。また、今後は海外事業へ再チャレンジする。EC事業を含め、同社でも「伸びしろしかない」と捉えており期待したいところ。中期経営計画が進行中だが、達成に向けた方向性がしっかり整備されてきたと見ている。27/5期に目指すEPSは90.78円、達成の目途がついてくれば現状株価にはかなりの見直し余地が生じる。 

     

1.会社概要

独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行うマーケティングメーカー。
雑貨品類・食品類・化粧品類といった商品をTVショッピング、EC、店舗を通じて直接消費者に販売する「ダイレクトマーケティング事業」、生協、通販会社、店舗、海外など多様なルートを通じて販売する「セールスマーケティング事業」の2事業を展開。
経営理念に「ファンつくり」を掲げ、全てのステークホルダーにファンになってもらえるグループ経営を目指している。

 

◎業績動向

 

 

【1-1 沿革】

高校・大学時代を自由な校風の中で過ごし、元来起業家精神が旺盛であった飯田 裕氏(現代表取締役会長兼CEO)は、損害保険会社勤務を経て1982年5月にアイケイ商事有限会社を設立。様々な商材の販売を手掛けていた中で、愛知県生活協同組合連合会の購買担当者の知遇を得て1983年4月に同生協の口座を開設し、職域生協との取引を開始した。
最初の商材である充電式クリーナーのチラシ販売が大ヒットとなったことが契機となり、全国他生協への横展開が進むとともに、取扱商品も増加し、業容は急速に拡大。2001年12月にJASDAQ市場に上場した。
上場に伴う認知度及び信用力の向上もあり百貨店通販や通販会社への商品供給も本格的に始まり、販売先も着実に拡大し、2007年5月期まで25期連続増収を達成した。
しかしリーマンショックで成長にブレーキがかかったのをきっかけに、独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」への転換を図るとともに、それまでの「BtoBtoC」に加え直接消費者に商品を提供する「BtoC」チャネルも構築し再び成長軌道に回帰した。
2014年9月にはTVショッピング大手である株式会社プライムダイレクトを100%子会社にするなど、M&Aにも積極的に取り組んでいる。
2022年4月に、東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に移行(東証は、23年10月にスタンダード市場へ移行)。
2022年12月に、株式会社IKホールディングスに商号変更し持株会社化した。

 

【1-2 経営理念】

ファンつくり 21世紀のリーディングカンパニーとなるために追及すべきことは売上高、資本金、社員数の多寡ではなく、100年先の未来を見据えたとき、出来るだけ多くの方に「ファン」になって頂くことが企業としての繁栄に繋がると考え、「アイケイに関わる全ての人たちに『ファン』になって頂く」ことを目標として、「ファンつくり」を経営理念とした。

 

 

【1-3 事業内容】

(1)セグメント
22/5期より同社のビジネスモデルである「マーケティングメーカー」を展開するにあたり、事業内容をより適切に表現するために事業セグメントを「ダイレクトマーケティング(旧BtoC)事業」、「セールスマーケティング(旧BtoBtoC)事業」、「ITソリューション(旧その他)事業」に変更。また、24年6月にITソリューション事業を営むアルファコム(株)を譲渡したことにより、連結の範囲から外れた。25/5期からは、「ダイレクトマーケティング事業」と「セールスマーケティング事業」の2事業となる。

 

(同社資料より)

 

ダイレクトマーケティング事業・・・小売販売
TVショッピングルート
TVショッピングでの自社開発商品の販売。多ジャンルヒット商品を生み出すことで1年を通して安定的な収益確保を目指す。
ECルート
自社ECサイトでの販売や、定期購入型やリカーリングを通したECでの販売を手掛ける。特に定期購入型の強化を行い、経常的な収益の確保を狙う。
SHOPルート
韓国化粧品ブランド「hince」などの日本販売代理。全国の都市型商業施設を中心に、 hince、BIOHEAL BOAなどの店舗を展開している。

 

セールスマーケティング事業・・・卸売販売
生協ルート
全国の生活協同組合への商品の卸売りを行っており、アイケイの祖業。現在でもグループの収益基盤。
通販ルート
TVショッピング・カタログ通販や、ネット通販会社への卸売。
店舗ルート
ドラッグストアやバラエティショップといった小売店舗に商品を卸売。
海外ルート
中国、東南アジアを中心に同社のPB商品(プライベートブランド)を海外に向けて販売。

 

(2)主な自社開発商品
マーケティングメーカーとして、様々なジャンルの商品を自社開発している。

 

≪食品≫

果肉たっぷりいちごミルクの素    熟成黒にんにく    ひとり分の参鶏湯風   プラセンタinコラーゲン13000
(同社資料より)

 

≪化粧品≫

Tottimo! Cocoegg mnyo BIOHEAL BOH
(同社資料より)

 

≪雑貨≫

Medifeel 立体エアーマット Medifeel 立体エアーレッグ らくらくマイカート EcoCa easy-K
(同社資料より)

 

【1-4 特長と強み:マーケティング

メーカーとしてのビジネスモデル】

マーケティングメーカー
独自のプロモーション戦略で、商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」を標榜。「ダイレクトマーケティング」、「セールスマーケティング」の販売の両軸を回し続けることで、コアとなる商品開発の歯車を回転させていく。このようなビジネスモデルを同社では「マーケティングメーカー」と呼んでいる。

 

(同社資料より)

 

同社のビジネスモデルは以下の3つの機能によって構成されている。

 

(1)強力な商品開発・発掘・調達力
幅広い販路から得た情報や40年以上に亘って培ってきた経験を活かし、魅力ある商品を開発・発掘・調達している。
隔週で「開発承認会議」を開催し、それぞれ7~8名で構成される化粧品、雑貨、食品の各開発チームが、役員や販売担当責任者に対して新商品の提案を行う。チャレンジを貴ぶ同社では各チームが自由な発想の下、毎月平均10以上のアイテムを提案するが、全てが承認されるわけではない。
同社では商品開発について「オリジナリティ重視」、「徹底的な差別化」等を定めた「開発十訓」が定められており、提案された商品はこれを基に厳しく批評されたり、宿題を出されたりするが、こうしたプロセスが開発担当者を鍛え、更なる商品開発力の強化に繋がっている。

 

(2)高いマーケティング力
ヒット商品の開発にあたって大きな力を発揮しているのが「高いマーケティング力」だ。
候補となった商品が実際に売れるのかを多彩な販売チャネルを使ってテストマーケティングを実施。その結果を受け、パッケージ、時期、ターゲット、価格など、様々な点で工夫を加え新たなプロモーションを行うことで、数多くのヒット商品を生み出している。

 

(3)多彩な販売チャネル
上記の多彩な販売先に対し単に商品を提案するのではなく、他チャネルでの成功事例なども合わせ、その販売チャネルで最も売れる売り方や見せ方も提案している。
販売先のニーズやフィードバックにアイケイならではのアイデアを融合させ、日々ブラッシュアップを行っている。
商品選定にとどまらず、カタログや媒体の制作、品質管理、受注業務、物流業務、カスタマーサービスまで、販路に合わせた全てのソリューションを販売先に提供しているのも大きな特徴である。

 

ソリューション

概要

制作 企画に合わせたチラシ・カタログサイズで売れる紙面を制作する。
受注業務 電話、メール、FAX、はがきなど全ての受注スタイルに対応したフレキシブルな基幹システムを有しており、より正確で迅速な受注業務を行っている。
品質管理 コンプライアンス遵守のほか、商品ジャンルごとに自主基準を設け、クレームの未然防止につなげる商品チェックを行っている。
物流業務 5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の行き届いた自社物流センターからエンドユーザー宛に個別宅配の出荷を行っている。
カスタマーサービス 社内スタッフによるコールセンターでの商品の問合せ、配送や交換相談までアフターサービスをワンストップで対応している。

 

多くの同業他社が商品の企画・マーケティングのみに特化していたり、販売チャネルが店舗に限られていたり、商品の製造や物流を他社に一任していたりする。対して、同社は柔軟に対応できるシステムとノウハウを持つことで、他社には真似のできない独自のプロモーション戦略を実行することが可能である。

 

【1-5 ROE分析】

 

17/5期

18/5期

19/5期

20/5期

21/5期

22/5期

23/5期

24/5期

ROE(%)

25.0

29.0

9.1

14.0

10.1

-30.1

-21.1

11.3

 売上高当期純利益率(%)

2.79

3.50

1.35

2.08

1.55

-5.54

-3.27

1.63

 総資産回転率(回)

3.04

3.19

2.69

2.61

2.84

2.24

2.00

2.20

 レバレッジ(倍)

2.95

2.60

2.51

2.59

2.29

2.43

3.23

3.15

 

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成

 

22/5期、23/5期と当期純利益が赤字だったことでROEもマイナスになっていたが24/5期は黒字を実現、ROEは2桁を確保した。かつては20%を超えていただけに、さらなる向上が期待できる。

 

2.2025年5月期中間期決算概要

(1)連結業績概要

 

24/5期

中間期

構成比

25/5期

中間期

構成比

前年同期比

会社予想

予想比

売上高

6,695

100.0%

7,262

100.0%

+8.5%

7,490

-3.0%

売上総利益

2,780

41.5%

3,010

41.4%

+8.2%

販管費

2,715

40.6%

2,907

40.0%

+7.1%

営業利益

65

1.0%

103

1.4%

+57.8%

86

+19.8%

経常利益

64

1.0%

99

1.4%

+53.4%

82

+20.9%

中間純利益

-4

130

1.8%

100

+30.6%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

増収、各利益は大幅増益
売上高は前年同期比8.5%増の72億62百万円。韓国コスメの売上は29.4%増。「hince」や「manyo」をはじめとした各ブランドでの取り扱いアイテムが増加し販路も順調に拡大した。加えて、新たなブランドとの契約や商品販売が開始された。販売効率を重視し、ダイレクトマーケティング事業が24.7%、セールスマーケティング事業が8.5%の増収。営業利益は前年同期比57.8%増の1億3百万円。売上総利益率は前期比0.4ポイント低下したものの、販管費率は低下して営業利益率が改善し大幅な営業増益となった。経常利益は前年同期比53.4%増の99百万円。特別利益に関係会社株式売却益を計上しており、中間純損益は前年同期4百万円の損失から1億30百万円の利益に転じた。
売上は会社予想を小幅に下回ったものの、各利益は会社予想を大きく上回った。

 

(販管費の推移)

 

24/5期 中間期

売上比

25/5期 中間期

売上比

前期比

人件費

691

9.7%

645

9.4%

-6.7%

広告宣伝費

839

15.4%

962

12.9%

+14.7%

物流費

512

8.8%

542

7.3%

+5.9%

その他

671

9.7%

756

9.5%

+12.7%

販管費合計

2,715

40.6%

2,907

39.2%

+7.1%

単位:百万円

 

人件費はダイレクトマーケティング事業において、リアル店舗減少による人員減減少した。広告宣伝費はダイレクトマーケティング事業において、TVショッピングでの放映枠増加に伴い14.7%増加。物流費は各セグメントにおいて配送方法を見直し、物流費の高騰がいわれる中で増加幅を抑えた。

 

◎四半期動向
2Qは1Q対比で売上高・営業利益ともジャンプアップ。

 

 

(2)セグメント別収益

 

24/5期

中間期

構成比/利益率

25/5期

中間期

構成比/利益率

前年同期比

ダイレクトマーケティング事業

1,592

23.8%

1,985

27.3%

+24.7%

セールスマーケティング事業

4,861

72.6%

5,275

72.6%

+8.5%

ITソリューション事業

240

3.6%

消去・全社

1

1

売上高

6,695

100.0%

7,262

100.0%

+8.5%

ダイレクトマーケティング事業

20

1.3%

17

0.9%

-13.3%

セールスマーケティング事業

358

7.4%

407

7.7%

+13.7%

ITソリューション事業

-5

調整額

-307

-321

営業利益

65

1.0%

103

1.4%

*単位:百万円。利益率は営業総収入利益率。
*セールスマーケティング事業の営業利益は、損益の測定方法を変更したことに伴い前期比の記載なし。
*数値は切捨て、率は四捨五入。

 

 

セグメント別、ジャンル別売上
セールスマーケティング事業において食品ジャンルが伸び悩んだものの、ダイレクトマーケティング事業・セールスマーケティング事業において韓国コスメカテゴリーが好調に増加した。

 

※セグメント別の ITソリューション△240百万円は、ITソリューション事業が連結の囲から外れたため。
※ジャンル別のその他は、連結の範囲から外れたITソリューション事業等の売上減少分。
(同社資料より)

 

①ダイレクトマーケティング事業
売上高19億85百万円(前年同期比24.7%増)、営業利益17百万円(同13.3%減)。
TVショッピングの放送枠を若干増やしたこと、及びSHOPルートでの韓国コスメの順調な売上により増収となった。利益面では、TVショッピングでの放送枠の増加により広告宣伝費が増加したことにより減益となった。
韓国コスメのSHOPルートでは中間期末の店舗数は前年同期の9店舗から4店舗となったものの、「hince」等の売上好調もあり前年同期比4.1%増収となった。

 

②セールスマーケティング事業
売上高57億25百万円(前年同期比8.5%増)、営業利益4億7百万円(同13.7%増)。
各ルートにおいて売上高は増加。特に韓国コスメを取り扱う店舗ルートは前年同期比30.3%増。生協ルートでは雑貨品や良く品が微増収となったものの、化粧品が減少し、1.1%の増収にとどまった。通販ルートは5.2%増収。利益面では、店舗ルートでの韓国コスメの拡販が順調に進んだことにより売上総利益の実額が増加したことに伴い増益となった。

 

(3)財務状態

◎主要BS

 

24年5月末

24年11月末

 

24年5月末

24年11月末

流動資産

5,023

5,605

流動負債

2,482

3,024

現預金

576

161

仕入債務

782

1,116

売上債権

2,294

2,898

短期有利子負債

709

1,068

たな卸資産

1,790

2,132

固定負債

1,354

1,237

固定資産

983

864

長期有利子負債

1,040

939

有形固定資産

219

221

負債合計

3,836

4,262

無形固定資産

408

337

純資産

2,170

2,207

投資その他の資産

355

305

利益剰余金

1,075

1,164

資産合計

6,007

6,470

負債純資産合計

6,007

6,470

*単位:百万円

   

有利子負債残高

1,750

2,008

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成

 

たな卸資産の増加を主因に資産合計は前期末比4億63百万円増加し64億70百万円となった。短期有利子負債の増加などにより、負債合計は同4億25百万円増加し42億62百万円となった。利益剰余金の増加などにより純資産は同37百万円増の22億7百万円。自己資本比率は33.8%となり、前期末より2.0ポイント低下。

 

 

 

3.2025年5月期業績予想

(1)通期業績予想

 

24/5期

構成比

25/5期(予)

構成比

前期比

売上高

14,049

100.0%

15,510

100.0%

+10.4%

営業利益

341

2.4%

400

2.6%

+17.3%

経常利益

340

2.4%

390

2.5%

+14.7%

当期純利益

229

1.6%

300

1.9%

+31.0%

*単位:百万円。予想は会社側発表。

 

2桁増収増益を見込む
通期予想は修正なし。売上高は、前期比10.4%増の155億10百万円と4期ぶりの増収を見込む。営業利益は同17.3%増の4億円を計画。中期計画「IK WAY to 2027」達成のための重点施策として韓国コスメのブーストアップを掲げており、国内における韓国コスメの売上高No.1企業を目指す。取り扱いブランドの拡充と店舗及びECでの販売を強化する方針。
また、生協マーケットを主とするセールスマーケティング事業では、経営理念である「ファンつくり」の実践として「お客様立場主義」の徹底を図り、顧客から信頼されるベンダーを目指し、収益基盤の確立に努める。
海外事業は同社成長には欠かせない「伸びしろ」しかないマーケットと捉えており、海外市場を展開している企業等とのアライアンスにより新たな商流を築いていく方針。
なお、中間期の通期予想に対する進捗率は売上高で46.8%、営業利益は25.8%だが、同社業績は下期偏重。前期実績においても中間期の進捗率はそれぞれ47.7%、19.1%だった。
配当も修正なく、前期から3.00円増配の8.00円/株を計画する。予想配当性向は20.6%

 

(2)セグメント別動向

*売上予想

 

24/5期

構成比

25/5期(予)

構成比

前期比

ダイレクトマーケティング事業

3,592

25.6%

4,250

27.4%

+18.4%

セールスマーケティング事業

9,957

70.9%

11,250

72.5%

+13.0%

ITソリューション事業

496

3.5%

合計

14,049

100.0%

15,510

100.0%

+10.4%

*単位:百万円

 

4.下期の重点施策

Ⅰ.韓国コスメのブーストアップ
韓国コスメのKPI
右肩上がりで順調に伸びる。契約ブランド数は期中にも数ブランドがテーブルに上がっている。

 

 

~契約ブランドの拡充~
今上期に2つのブランドと新規契約。
スキンケアブランド「klrais」            コスメブランド 「BRAYE」

(同社資料より)

 

~ブランドの特徴を最大限生かす、チャネル・販路を拡大する~

BIOHEAL BOH

新店舗オープン(ルミネエスト新宿)

 

AROMATICA

新規売場の拡大

 

(同社資料より)

 

~ブランド別商品の拡充~

AROMATICA

「ホリデーギフトボックス」

hince

スキンケアライン

「キングスベリービタナイトクリーム」

skinfood

人気のキャロットシリーズ

「キャロットカロテンマスク 7枚入り」

 

 

 

(同社資料より)

 

~ブランド認知拡大に向けた投資~
POP UPなどを活用し、認知拡大に取り組んでいる。

Arencia

POP UPの実施

BRAYE

POP UPの実施

AROMATICA

新規売場でのプロモーション

 

 

 

(同社資料より)

 

Ⅱ.セールスマーケティング事業の基盤強化
~生協チャネルへの商品拡販~
同社の主力チャネルだが「まだまだやれることがある」とコメント。

 

◎生保限定商品の開発

新日本製薬との共同開発

「パーフェクトワン モイスチャージェルプラス」

レトルト食品

「野菜が美味しいボルシチ」

 

 

(同社資料より)

 

~開発力を生かした新商品開発や大手通販・小売企業への商品提案~
好調、同社の企画力が発揮される。

 

◎ドン・キホーテ オリジナル商品
美容ドリンク 「ULuOi Collagen 13000」

 

 

人気美容情報誌『LDK the Beauty』にて

*1 24年9月号の美容ドリンク部門ベストバイ、

*2 25年1月号美容ドリンク部門1位のベストコスメオブザイヤーを受賞

(同社資料より)

 

◎日本テレビ
『ももクロポシュレの玉手箱だZ』とコラボ、ももクロ佐々木彩夏との共同開発コスメ

(同社資料より)

 

◎ODM提案 ユーキャン
「生保湿ディープモイスチャーオールイン ワンジェルクリーム〈美容液ジェル〉」

(同社資料より)

 

Ⅲ.EC事業のスケールと、海外事業への再チャレンジ
~EC比率の向上~
継続率の高い商品が拡販

 

◎事業譲受した株式会社フローラ・ハウスの商品の拡販

ウエルネス食品 ウドズオイル

 

洗濯洗剤 ベルメ

 

(同社資料より)

 

◎継続率・LTVの高いカテゴリーへの注力

ケアカラー Tottimo

 

(同社資料より)

パックライス 金賞の一膳

 

 

~海外販路の拡大と商品開発
現在は模索の段階だが、手を打ち始めた。
◎海外事業準備室の設立
◎台湾・東南アジアに向けた越境ECのテストマーケティング
◎海外販路向け商品開発のスタート
◎現地企業とのアライアンスによる販路拡大

 

マッサージ機器 「Medifeel 立体エアーマット」

(同社資料より)

 

5.中期経営計画 IK Way to 2027

中期経営計画FY2027の位置付け
22年12月、機動的かつ迅速な意思決定を推進するべく持株会社制への移行を完了し、1年半が経過。FY2027をターゲットとする中期経営計画は、FY2026の中計からのローリングプラン。引き続き、基盤事業であるセールスマーケティング事業の強化を図ると同時に、成長を続ける韓国コスメ事業、EC事業の拡充や海外市場への再チャレンジに取り組む。

 

 

(同社資料より)

 

中期経営計画FY2027の経営目標

 

 

25/5期

26/5期

27/5期

売上高

155億円

170億円

200億円

セグメント別

     

ダイレクトマーケティング

42億円

47億円

54億円

セールスマーケティング

113億円

123億円

146億円

ジャンル別

     

雑貨

46億円

51億円

57億円

食品

42億円

42億円

43億円

化粧品

67億円

77億円

100億円

営業利益

4億円

6億円

10億円

ダイレクトマーケティング

3.5億円

4.82億円

7.45億円

セールスマーケティング

0.5億円

1.18億円

2.55億円

調整後EBITDA

7.3億円

9.8億円

12.2億円

EPS

38.91円

51.87円

90.78円

ROIC

6.2%

8.3%

11.7%

CCC

96.0日

90.5日

85.0日

PB比率

66.7%

72.0%

74.4%

配当性向

20.6%

20.0%

20.0%

 

セールスマーケティング
・営業支援システム(SFA)を導入し、効率的な営業プロセスを確立し生産性を高める
・商品開発力の強化・商品の取扱いを強化し商品ラインナップを増やす
・開発初期段階から開発・営業・調達部門が連携をとり、様々な販路での展開を見据えた商品開発・商品の見せ方を追求する
・流通を介した卸売りなどを活用し、販売効率をアップさせるとともに、販路の拡大を行う

 

ダイレクトマーケティング
・クラウドファンディングの活用やECサイトでの販売強化
・定期購入型商品は新商品の開発・販売強化を行い、新規顧客を開拓
・POPアップイベント等各ブランドと共同し、各ブランドの認知とファンつくりを広げる
・リアル店舗とWEB店舗の相互送客化を図り、お客様の新たな生活様式に対応していく

 

6.今後の注目点

24/5期は各利益が3期ぶりに黒字となった。25/5期はこの良い流れを加速させている。ITソリューション事業が除外されたが、2Q(9-11月)の売上高は22/5期4Q(3-5月)以来の40億円超を確保した。24/5期は損益の改善を重視して黒字体質の構築に取り組んできた。前回レポートでは「今後の課題はトップラインをいかに伸ばしていくか」としたが、25/5期まさにその課題への取り組み。足元の牽引役は韓国コスメだが、かなり勢いがあり今後も拡販が進むであろう。同社もその点にはかなりの自信を持っていた。取り扱いブランド拡大と販路拡大によりさらなる収益貢献が進むだろう。また、今後は海外事業へ再チャレンジする。EC事業を含め、同社では「伸びしろしかない」と捉えており期待したいところ。
「中期経営計画IK Way to 2027」が進行中だが、達成に向けた方向性がしっかり整備されてきたと見ている。27/5期に目指すEPSは90.78円、達成の目途がついてくれば現状株価にはかなりの見直し余地が生じる。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態 監査等委員会設置会社
取締役 6名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年12月11日

 

<基本的な考え方>
当社は、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが求められる中、上場企業として社会的使命と責任を果たすため、経営基盤を充実し、尚且つ高い倫理観を保持し、経営の透明性を一層高めることで、信頼される企業を目指してまいります。
また、当社は経営環境の変化に迅速かつ的確に対応できる経営体制の確立を重要な経営課題の一つと考えており、定時取締役会(月1回開催)、臨時取締役会(必要に応じて随時開催)のほか、常勤取締役(監査等委員である取締役を含む)及び執行役員による社内役員会(週1回開催)、チームマネージャー職以上で構成されるTOP会議(週1回開催)の開催により、多方面からの情報共有に努めております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>(抜粋)

原則

実施しない理由

【補充原則1−2④議決権の電子行使、招集通知の英訳】 当社は、現状、議決権のインターネット行使はできますが、電子行使プラットフォームの利用や株主総会招集通知の英訳等は行っておりません。

今後、機関投資家や海外投資家の株主構成等を踏まえ、株主の利便性も考慮し、必要に応じて検討してまいります。

【補充原則2-4① 社内の多様性の確保】 当社は、管理職の登用については、性別、国籍を問わず能力や適正などを総合的に判断して登用することを基本方針としております。人材育成方針及び社内環境整備の開示は、有価証券報告書に記載しております。

また、女性がより活躍できる職場を目指し、女性活躍推進の取り組みとし

て一層の環境整備に努めてまいります

【補充原則3-1② 英語による情報の開示・提供】 当社は、四半期決算短信のサマリー情報、月次売上動向、決算短信などの英文作成に努めております。

招集通知等の英文作成は、今後の検討してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>(抜粋)

原則

開示内容

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】 当社は、取引先との継続的かつ安定的で良好な取引関係の維持・強化につながる政策保有株式を保有します。ただし、リターンとリスク等を踏まえ、中・長期的な観点から定期的に検証し、必要性が認められなくなった場合には売却を進めます。当該株式については、毎年、取締役会において保有目的や合理性、取得価格と時価との比較、受取配当金の状況等を検証し、保有の必要性を確認しております。

議決権行使については、すべての議案に対して、原則、賛成行使しますが、株主価値の毀損につながる議案に関しては個別に精査いたします。

なお、議決権行使は、当該会社の状況や当社との関係維持・強化などを総合的に判断するため、外形的な基準を設けておりません。

【補充原則4-11① 取締役会の全体としてのバランス、多様性及び規模に関する考え方】 当社は、取締役会において、実質的で有効な議論を行うためには、取締役6名程度が適正と考えております。

現在は業務執行取締役3名、監査等委員である取締役3名(うち、2名が独立社外取締役)であり、業務執行取締役は豊富なビジネス経験を有する者、担当事業分野に精通した者、監査等委員たる取締役は公認会計士、弁護士で構成されております。

また、取締役の選任に関しては、当社の企業価値向上に資する候補者であるかを基準に選定し候補者との対話の機会を持った上で、スキル・マ

トリックス(株主総会招集通知の取締役選任議案に記載)にてスキルのバランスを確認し「指名・報酬委員会」に諮問後、取締役会にて決定しており

ます。

【原則5-1 株主との建設的な対話に

関する方針】

当社では、管理チーム総務グループをIR担当部署とし、株主からの対話の依頼に対しては、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう合理的な範囲で対応しております。

代表取締役会長が、株主や機関投資家に対して、決算説明会を年に2回開催しております。なお、説明会に参加できない株主や投資家に対しては、当社のホームページにその決算説明会資料及び動画を掲載しております。

 

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