シダー(2435) 増収増益 売上総利益率は大きく改善

2024/04/04

 

 

 

山崎 嘉忠 会長

 

 

座小田 孝安社長

株式会社シダー(2435)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

サービス業

代表者

代表取締役会長 山崎 嘉忠、代表取締役社長 座小田 孝安

所在地

福岡県北九州市小倉北区足立 2-1-1

決算月

3月

HP

http://www.cedar-web.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

251円

11,221,963株

2,816百万円

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

4.00円

1.6%

27.27円

9.2倍

79.37円

3.2倍

*株価は3/14終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは23年3月期実績、DPS、EPSは24年3月期予想。23年3月期決算短信及び24年3月期第3四半期決算短信より。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2018年3月(実)

13,861

535

250

224

19.52

4.00

2019年3月(実)

14,258

494

218

16

1.43

2.00

2020年3月(実)

15,132

549

257

209

18.28

4.00

2021年3月(実)

15,613

809

674

387

33.77

6.00

2022年3月(実)

15,749

193

-51

-319

-28.36

0.00

2023年3月(実)

16,422

136

24

-276

-24.66

0.00

2024年3月(予)

17,323

758

508

306

27.27

4.00

(単位:百万円、円)

 

シダーの2024年3月期第3四半期決算等について、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年3月期第3四半期決算
3.2024年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 24/3期3Q累計は前年同期比5.5%増収、643.1%営業増益。既存施設において施設稼働率を上昇させるため、新規利用者の獲得とサービスの向上に努めた。デイサービス事業、施設サービス事業、在宅サービス事業がいずれも増収。利益面では、介護職員に係る人件費の増加のため売上原価は増加したものの、売上総利益率は大きく改善。販管費については、人件費や消耗品費の削減により減少し、営業利益が大幅に増加した。 
  • 通期予想に修正はなく、24/3期は前期比5.4%増収、457.1%営業増益を見込む。上期は会社予想を上回ったものの、上期決算発表時点では下期の新型コロナウイルス感染症等の影響が不透明なことを考慮し据え置いていた。配当も修正なく、4.00円/株の期末配当を予定。 
  • 23/3期は、新型コロナウイルス感染症の影響、電気代を含む物価高騰の影響など、様々な外部環境からの影響も受けて苦戦した。24/3期はこれらの影響が緩和されおり、上期に続き3Qも堅調に推移した。通期予想に対する進捗率は特に利益面で非常に高い水準になっており、会社予想は大きく上回ることになるだろう。来期についても、今のところ新規施設の開設は予定されていない。このため、現状の外部環境が続けば施設サービス事業の高い入居率を背景に落ち着いた事業展開となりそうだ。株価については、会社予想を大きく上回ることが予測されるもののPERは低位にとどまっている。バリュエーションには見直し余地があると見ている。 

1.会社概要

デイサービス及び有料老人ホーム「ラ・ナシカ」を中心とした介護サービスを、本社のある福岡県を中心に全国展開。リハビリテーションに重点を置き、より人間らしく生きるための生活支援を行う事を経営方針とする。総勢600名近くに及ぶ職員資格者を有しており、介護サービス事業者の中では出色。

 

【1-1 沿革】

前身は医療機器の販売会社であった(株)福岡メディカル販売。2000年10月に社会医療法人池友会系列の医療機関でリハビリ業務に従事していた山崎嘉忠氏(現会長)等が中心となり(株)シダーに商号を変更し介護事業へ参入。01年1月にデイサービス施設4施設を開設した。デイサービス事業が順調に拡大し、05年3月にジャスダック証券取引所に上場、同年9月には有料老人ホーム事業(現在の施設サービス事業)に参入した。
06/3期、07/3期と有料老人ホーム事業の先行投資(新施設の立ち上げ費用)が利益を圧迫したものの、08/3期以降は施設の累積効果(ストック効果による事業規模の拡大)で、新規開設負担を吸収して利益を増やせる体制が整った。11/3期は新卒40名の入社による人員の増加や新規開設施設の増加(3事業合計で10/3期:3施設→11/3期:5施設)、更には既存施設のリニューアルもあり利益が減少したものの、12/3期は既存施設の新規利用者獲得が順調に進んだ事に加え、施設オペレーションの効率化で増益に転じた。しかし、13/3期は12年に行われた介護保険法改定の影響を受けた。同社の場合は、デイサービス事業における介護報酬改定の影響が大きく減益となった。14/3期は、その影響を解消する1年であった。尚、16/3期、19/3期にも介護報酬改定の影響を受けた。また、特にデイサービス事業においては、22/3期、23/3期に新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた。

 

【1-2 事業戦略-地域の

リハビリセンターを目指して-】

介護サービス業界では、引き続き超高齢化社会への移行に伴い、介護サービスの利用者数は増加し需要は更に高まっている。その一方で、様々な業種にて人材不足が叫ばれている中、介護サービス業界においても、海外の人材も含め、人材確保に取り組むことは急務であり、有資格者の確保はとりわけ困難な状況となっている。それらを改善するために、業界では、介護事業従事者にとって魅力があり、生きがいを持てる環境造りが求められている。

 

そうした中、同社はデイサービスセンターや有料老人ホームにおいて近隣の一般・健康な高齢者向け健康教室等を開催し、地域の病院、ケアマネージャー、老人会等とネットワークを構築すると共に地域に溶け込む事で、施設の稼働率や入居率の向上を図っていく考え。また、このネットワークを活用して訪問介護ステーションやリハビリステーション(在宅サービス事業)とのシナジーも高めていく。
その成功例ともいえるのが山梨県甲府市での取組み。09年5月にラ・ナシカ甲府を開設、10年には甲府デイサービスを開設した。好評を得て、13年には甲府南デイサービスを開設することとなった。
尚、06年度の介護保険の改定の際に、「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健士又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切ではない」との規制が盛り込まれたため、在宅リハビリには大きな逆風が吹いた。この影響で同社も在宅サービス事業の積極的な活動を控えたが、09年度の改定でこの規制が緩和されたため、積極的に在宅リハビリのニーズに応える事が可能となった。
また、施設を集積させる事は3事業のシナジーを高めるだけでなく、理学療法士等の職員が地元で安定して働く事のできる環境造りにもつながる。

 

【1-3 同社の介護事業の考え方】

リハビリテーションを重視して、永く、元気でその人らしく、健康に暮らすためのお手伝いをしている。
同社におけるリハビリテーションとは、リハビリを頑張れば、将来元気になれる・・・だから頑張るというものではない。今日自分らしく、明日も自分らしく過ごしながら、来月、来年もっと自分自身の力で、自分らしく毎日を過ごす為の準備を行うということを目的としている。
こうした考えから、社会参加などを重視しクラブ活動や外出イベントなどを積極的に行っている。

 

【1-4 事業セグメント】

事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、有料老人ホーム等の施設の入居者を対象にサービスを提供する施設サービス事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活の手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。23/3期の売上構成比は、それぞれ19.4%、67.6%、6.2%。また、その他事業として、福祉用具事業、障害支援事業及び給食事業を展開する(23/3期の売上構成比は6.8%)。
2023年9月30日時点において、111事業所を展開している。

 

同社決算説明資料より)

 

22年4月には埼玉県蕨市に「わらび 花の郷」を開設。
介護ニーズの高まりに応え、事業所数はゆるやかに上昇。
今後は高齢者人口が急増する都市部、関東圏を中心に積極的な事業計画を推進する一方で介護ニーズがピークアウトをむかえた地方についてはM&Aや事業譲渡も検討。24年3月期の実績として山梨県の事業所を譲渡した。

 

デイサービス事業
デイサービス施設では60~80人規模の大型デイサービスを中心に展開している。トレーニングルーム・カラオケ・シアター・大浴場・マッサージ・喫煙ルームなど各個人にあった活動を楽しめるゆとりある空間造りが可能となる。小規模施設では実現が難しい専門スタッフの配置や、充実した設備がある施設を可能にしている。
デイサービスの施設基準は利用者1人当たり3平方メートル以上となっており、リハビリテーションに軸足を置いた施設運営が同社の特色。午前、午後にそれぞれ上級・中級・初心者にコース分けされた80分の個別プログラムのリハビリテーションを行う。

 

専門スタッフによるリハビリテーション
同社のデイサービスでは、本格的なリハビリテーションを積極的に取り入れている。様々なトレーニングマシーンを使用し、日常生活では使うことの少ない筋肉を動かすことをはじめ、理学療法士や作業療法士など資格をもった専門家が、利用者ひとりひとりの体調に合わせたプログラムを作成し、様々な角度から元気な体づくりをサポートする。

 

選択できる多彩なサービス
豊かな毎日を過ごす為に様々なサービスを選べるのもシダーの特徴。カラオケ・シアター等の設備に加え、外出レクリエーションや各種イベントを随時開催している。施設内にある季節に合わせたディスプレイは、心地よく五感を刺激し、アクティブな時間を演出する。利用者が施設に来ることが楽しみになる環境づくりを行っている。

 

 

施設サービス事業
有料老人ホーム「ラ・ナシカ」は24時間・365日体制で介護スタッフが常駐している。近隣の医療機関との万全の連携・協力体制に加えて、看護師も8時30分から21時30分(一部施設では異なる場合あり)まで勤務しているため、緊急を要する場合でも安心して預けられる体制が整っている。
1階フロアではスタッフがデイサービスと同等のサービスやリハビリテーションを提供、居室では自宅に居るのと同様に訪問リハビリ、訪問看護・ヘルパーのサービスを提供する。

 

充実のリハビリテーション
「ラ・ナシカ」では全ての施設でリハビリテーションを積極的に取り入れている。充実の施設に加え、専門のリハビリスタッフが、ひとりひとりの体調に合わせた最適なトレーニングメニューをアドバイス。健康な体づくりをサポートする。

 

自分好みに部屋をコーディネート
「ラ・ナシカ」の居室は、全て個室。プライバシーを考慮し、マンションのような構造になっている。部屋のアレンジはもちろん自由。自分好みの快適な空間で毎日をくつろぐことができる。

 

仲間との楽しいひと時
フロアへ出て積極的に運動に参加したくなるような環境づくりを行っている。中でも、カラオケルーム・シアタールームは入居者が自由に利用できる大人気の施設。

 

美味しく栄養豊富な食事
看護師による健康チェック項目に基づいた食事を提供している。また、嗜好やアレルギー、好みのご飯の柔らかさまで個別にオーダーすることが可能。

 

 

季節の催し
季節の移ろいを楽しむことも忘れていない。四季を彩るディスプレイは、毎回スタッフの力作。その他にも入居者が楽しめるようたくさんのイベントを企画している。
また、11年には施設サービス事業を展開する株式会社パインを子会社化した。
施設サービス事業は同社の収益を支える屋台骨となっている。入居率は23年9月現在98.6%と高い稼働率。

 

在宅サービス事業
「住み慣れた自宅が一番安心できる」そんな声に応える在宅サービス。介護や療養の必要な人が自宅で安心して生活できるよう、理学療法士や作業療法士をはじめとする国家資格者の指導の下、様々なサービスを提供している。

 

自宅療養を支える訪問看護・リハビリテーション
医師の指示のもと、看護師が自宅で療養している人の世話や診療補助などのケアサービスを行い、在宅療養を続けられるようサポート。ひとりひとりの身体の状態に合わせてリハビリテーション計画を作成。リハビリの専門スタッフが、日常生活訓練や身体機能訓練などを行う。

 

日常生活を支えるホームヘルプサービス
ホームヘルパーが身体介助サービスや生活援助サービスを提供し、日常生活をお手伝いする。また、全てのヘルパーステーションが訪問看護ステーションと併設されており、緊急時は看護師と連携して対応する。

 

最適なケアプラン作成
介護サービスを利用するのに必要不可欠となるのがケアプラン。同社では、専門知識はもちろん豊かな人間性を備えたケアマネージャーが、利用者やその家族の意向を伺いながら、最適なケアプランを作成する。

 

2.2024年3月期第3四半期決算

(1)連結業績

23/3期 3Q累計

構成比

24/3期 3Q累計

構成比

前年同期比

売上高

12,304

100.0%

12,980

100.0%

+5.5%

売上総利益

1,188

9.7%

1,725

13.3%

+45.2%

販管費

1,102

9.0%

1,081

8.3%

-1.9%

営業利益

86

0.7%

643

5.0%

+643.1%

経常利益

-4

535

4.1%

親会社株主に帰属する四半期純利益

-52

356

2.7%

(単位:百万円)
※数値にはインベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期比5.5%の増収、営業利益は同7倍へ大幅増
売上高は前年同期比5.5%増の129億80百万円。既存施設において施設稼働率を上昇させるため、新規利用者の獲得とサービスの向上に努めた。デイサービス事業、施設サービス事業、在宅サービス事業がいずれも増収。
営業利益は同643.1%増の6億43百万円。利益面では、介護職員に係る人件費の増加のため売上原価は増加したものの、売上総利益率が前年同期9.7%から13.3%に大きく改善。販管費については、人件費や消耗品費の削減により減少し、販管費率が前年同期9.0%から8.3%へ改善し営業利益が大幅に増加した。セグメント別には、売上構成比の高いデイサービス事業及び施設サービス事業において大幅な増益。
営業外収益において助成金収入が減少、営業外費用では支払利息が減少し、経常利益は5億35百万円(前年同期は4百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3億56百万円(前年同期は52百万円の損失)。
介護サービス業界においては、引き続き超高齢化社会への移行に伴い、介護サービスの利用者数は増加し、需要は更に高まっている。その一方で、様々な業種にて人材不足が叫ばれている中、介護サービス業界においても、海外の人材も含め、人材確保に取り組むことは急務となっており、有資格者の確保はとりわけ困難な状況となっている。それらを改善するために、業界では介護事業に従事することが社会において魅力的であることを訴求するなど、生きがいを持てる環境造りが求められている。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

23/3期 3Q累計

構成比/利益率

24/3期 3Q累計

構成比/利益率

前年同期比

デイサービス事業

2,574

19.6%

2,742

19.8%

+6.5%

施設サービス事業

8,836

67.3%

9,326

67.3%

+5.5%

在宅サービス事業

818

6.2%

834

6.0%

+2.0%

その他

897

6.8%

949

6.9%

+5.8%

全社・消去

-822

-873

連結売上高

12,304

100.0%

12,980

100.0%

+5.5%

デイサービス事業

137

5.3%

263

9.6%

+91.3%

施設サービス事業

846

9.6%

1,289

13.8%

+52.2%

在宅サービス事業

-27

-42

その他

111

12.4%

98

10.3%

-11.7%

連結調整

-981

-965

連結営業利益

86

0.7%

643

5.0%

+643.1%

(単位:百万円)

 

 

*インベストメントブリッジが開示資料を基に作成(数値は四捨五入)。

 

デイサービス事業
売上高は前年同期比6.5%増の27億42百万円、セグメント利益は同91.3%増の2億63百万円。既存デイサービス施設のサービスの質の向上により施設稼働率の向上に努めた。また新型コロナウイルス感染症の流行により、利用を控えていた利用者が徐々に利用再開し、回復傾向にある。

 

施設サービス事業
売上高は前年同期比5.5%増の93億26百万円、セグメント利益は同52.2%増の12億89百万円。既存の有料老人ホームの入居者獲得に注力し入居率の向上に努めた。

 

在宅サービス事業
売上高は前年同期比2.0%増の8億34百万円、セグメント損失は42百万円(前年同期は27百万円の損失)。利益率の改善のため人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力してきた。

 

(3)財政状態

財政状態

23年3月

23年12月

 

23年3月

23年12月

現預金

1,027

1,677

仕入債務

266

274

売上債権

2,787

2,958

短期有利子負債

4,266

4,464

流動資産

4,013

4,854

長期有利子負債

11,166

10,802

有形固定資産

13,152

12,793

負債

19,354

19,378

無形固定資産

107

90

純資産

898

1,254

投資その他

2,979

2,893

負債・純資産合計

20,252

20,632

固定資産

16,239

15,777

有利子負債合計

15,432

15,266

※有利子負債=借入金+リース債務(長期のみ)
(単位:百万円)

 

3Q期末における総資産は、前期末比3億79百万円増加して206億32百万円となった。これは主として、現預金が6億49百万円、売上債権が1億70百万円増加し、建物及び構造物が2億4百万円、リース資産が1億75百万円減少したことによるもの。負債は、前期末比24百万円増加して193億78百万円となった。これは主として、短期借入金が1億53百万円、退職給付に係る負債が54百万円、未払法人税等が12百万円増加し、賞与引当金が1億80百万円、長期借入金が1億60百万円、リース債務が1億57百万円減少したことによるもの。純資産は、前期末比3億55百万円増加して12億54百万円となった。これは主として、利益剰余金の増加3億56百万円によるもの。
自己資本比率は6.0%(前期末4.4%)となった。

*インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

3.2024年3月期業績予想

(1)連結業績

23/3期 実績

構成比

24/3期 予想

構成比

前期比

売上高

16,442

100.0%

17,323

100.0%

+5.4%

営業利益

136

0.8%

758

4.4%

+457.1%

経常利益

24

0.1%

508

2.9%

親会社株主に帰属する当期純利益

-276

306

1.8%

(単位:百万円)

 

24/3期は前期比5.4%増収、各利益は大幅な増加を計画
通期予想に修正はなく、24/3期は、売上高が前期比5.4%増の173億23百万円、営業利益は同457.1%増の7億58百万円、経常利益は5億8百万円(前期は24百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億6百万円(前期は2億76百万円の損失)を計画する。
上期は会社予想を上回ったものの、上期決算発表時点では下期の新型コロナウイルス感染症等の影響が不透明なことを考慮し据え置いていた。上期の時点では、デイサービス事業で2億91百万円、施設サービス事業で5億36百万円、在宅サービス事業で49百万円の増収を計画していた。コスト面では、既存施設の光熱費等の高騰により82百万円、介護人材等の人件費が1億80百万円(うちデイサービス24百万円、施設サービス1億10百万円、在宅サービス41百万円)の費用増を見込んでいた。

 

(2)配当

同社では、事業拡大による成長のための投資資金及び内部留保と利益配分とのバランスを念頭に、株主への安定継続した配当に加え業績の伸長に応じた配当を実施することを基本方針としている。基本方針を踏まえ、業績予想に基づき修正はなく、期末配当として1株当たり4.00円を予定している。

 

4.今後の注目点

23/3期は、新型コロナウイルス感染症の影響、電気代を含む物価高騰の影響など、様々な外部環境からの影響も受けて苦戦した。24/3期はこれらの影響が緩和されおり、上期に続き3Qも堅調に推移した。通期予想に対する進捗率は売上高で74.9%、営業利益で84.8%、経常利益については通期予想を上回り105.3%に達している。今回も修正はなかったが、会社予想は大きく上回ることになるだろう。来期についても、今のところ新規施設の開設は予定されていない。このため、現状の外部環境が続けば施設サービス事業の高い入居率を背景に落ち着いた事業展開となりそうだ。
ただし、これまで中長期的な課題の一つとして人材不足が挙げていたが、状況はより深刻化している。業界大手に属していることもあり、これまではスケールメリットを活かしながら職員のスキルアップ支援などを通じて確保してきた。外国人雇用などの有効活用をさらに進めたいところ。また、引き続きM&Aを通じた事業拡大にも注目したい。
株価については、会社予想を大きく上回ることが予測されるもののPERは低位にとどまっている。バリュエーションには見直し余地があると見ている。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態 監査役会設置会社
取締役 6名、うち社外2名
監査役 3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2023年6月28日

 

<基本的な考え方>
当社は、社会的ニーズである介護サービスを中心として、リハビリテーションを中心としたサービスを積極的に行い、より人間らしく生きるために積極的な生活支援を行うことにより、社会に貢献することであります。当社は、これらの企業理念の実現のため、コーポレート・ガバナンスについて、当社の利害関係者と良好な関係を構築するに当たっての重要事項と考えております。当社の意思決定や行動が法令や市場のルールに反していないかという適法性を重視するだけでなく、社会に貢献しているか、社会の要請に反していないかという企業の社会性も重視しています。そして、コーポレート・ガバナンスが適確に機能するためには、徹底した透明性が必要であると考えております。法令等で義務付けられた範囲に限定することなく、株主や投資家をはじめ、従業員、地域社会や顧客に対して積極的に情報開示を行っていく考えです。当社のコーポレート・ガバナンス体制の概要は以下のとおりであります。取締役会においては、中長期的な企業価値の向上を図り、独立・客観的立場での審議、監督を適切に行うため、取締役6名のうち社外取締役(非常勤)を2名選任し、業務執行の迅速な意思決定や透明性を維持する組織を構築しております。また、取締役及び監査役の指名報酬等に係る取締役会の機能の公正性・透明性・独立性・客観性を高めるとともに説明責任を強化し、更なるコーポレート・ガバナンスの充実を図るため、任意の指名報酬委員会を設置しております。当社は2023年6月28日現在、監査役会設置会社でありますが、監査役の独立性と客観性を確保するため、監査役3名のうち社外監査役(非常勤)を2名選任し、取締役会の業務執行の監督・監視機能を強化しております。内部監査につきましては、社長の直轄組織として内部監査室(6名)を設置しており、当社各事業部門が関係法令や社内規程を順守し、適切な運営がなされているか監査・指摘・検証を行っております。

 

【コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)】
[原則1-3]
 当社は、現時点において資本政策の基本的な方針について定めておりませんが、株主価値の中長期的な向上を目指す上で、事業の成長にあわせ機動的な資金調達を行うことを基本としております。剰余金の配当に関しては、当社が将来行う事業拡張や財務体質強化のための内部留保の確保と株主への利益還元のバランスを総合的に勘案し、持続的な成長へと繋げることを資本政策の基本と考えております。

 

[補充原則2-4 ①]
当社は、女性従業員や中途採用者の比率が高いことから、女性社員等の活躍が会社の持続的な成長を確保する上での必要事項と認識しております。2023年5月31日時点で、管理職(課長職以上)11名中、7名に女性を登用しております。当社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等で特に制限は設けておらず、多様性の確保にも取り組んでおります。今後、中長期的な人材育成方針と社内環境整備方針については検討を進めてまいります。

 

[補充原則3-1 ②]
 当社は、直近決算期の外国人投資家等の比率を踏まえ、英語版の会社案内やホームページ等は、現時点において、整備しておりません。今後は海外投資家の構成比率等の推移を勘案したうえで、英語での情報の開示・提供の充実について検討してまいります。

 

[補充原則4-1 ②]
 当社は、介護付きの有料老人ホームを主力事業の一つとして、事業展開を図っておりますが、中期経営計画を策定するにあたり、介護付き有料老人ホームの出店については、自治体毎に運営事業者の公募で選定されることが前提となっており、極めて不確実な要素を含んでおります。当社の取締役等の経営幹部は、中長期の経営計画の策定において、これらの不確実な要素を前提にすべきでないとの考えから、中期経営計画の策定は見送っております。

 

【コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)】
[原則1-4 政策保有株式]当社は、当社の中長期的な企業価値向上に向け、業務提携や取引強化に必要と認められる場合を除き、原則として政策保有株式を保有いたしません。

 

[補充原則3-1 ③]
(1) 自社のサステナビリティについての取組み
 当社の取締役会は、様々なサステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識しております。中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう努めてまいる考えであります。
(2) 人的資本や知的財産への投資等
 当社は、介護サービスにおける人的資本や知的財産への投資について重要課題と位置づけております。介護に関する正しい知識と技術を身につけるための教育・研修に投資することは、より良い介護サービスを提供し、顧客満足度の向上に資すると考えております。
(3) 気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について
 当社は、気候変動に係るリスク及び収益機会を巡る課題への取り組みが重要であると考えております。
脱炭素社会実現への責務を果たすべく、消費電力を削減のため、運営する老人ホームやデイサービスでの照明設備のLED化、空調等設備の更新等、省電力設備の導入等、適宜、更新していく考えであります。今後も更なるサステナビリティを巡る様々な課題への取り組みを実施してまいります。

 

[原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針]
当社は、株主との建設的な対話を通じて、持続的成長と中長期的な企業価値向上を実現すべく、以下の対応を実施しております。
(1) IRについては総務部が担当しており、IR活動全般について統括しております。
(2) 株主との対話については、社長を筆頭とする幹部および関連各部とその内容を検討し、説明者の選定も含め、適切な対応を行うように努めております。
(3) 株主総会のほか個別面談等の機会を通じて、合理的な範囲で株主との対話の一層の充実に取り組んでおります。
(4) 株主との対話の場を通じて寄せられた株主の意見は、取締役会等で情報共有し、経営戦略に反映するよう努めております。
(5) 対話に際しては、社内規程に基づき未公表のインサイダー情報の管理を徹底しております。
(6) 株主・投資家の当社の事業内容に対する理解が促進されるように、ホームページを通じてタイムリーな情報還元に努めております。
(7) 株主名簿管理人より、6ヵ月に1度、情報を入手するなど、株主構造の把握に努めております。

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