エン・ジャパン(4849) 投資事業 売上高とKPIが好調に推移
鈴木 孝二 社長 |
エン・ジャパン株式会社(4849) |
会社情報
市場 |
東証プライム市場 |
業種 |
サービス業 |
代表取締役社長 |
鈴木 孝二 |
所在地 |
東京都新宿区西新宿 6-5-1 新宿アイランドタワー |
決算月 |
3月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(自己株式を控除) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
2,251円 |
40,820,927株 |
91,888百万円 |
7.2% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
70.10円 |
3.1% |
74.00円 |
30.4倍 |
816.84円 |
2.8倍 |
*株価は11/13終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*BPS、ROEは23/3期実績(訂正後)。数値は四捨五入。
*DPS、EPSは24/3期の会社予想。
連結業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属 する当期純利益 |
EPS |
DPS |
2020年3月(実) |
56,848 |
11,005 |
11,057 |
7,125 |
156.23 |
74.80 |
2021年3月(実) |
42,725 |
7,771 |
7,939 |
3,502 |
78.19 |
37.10 |
2022年3月(実) |
54,544 |
9,633 |
10,138 |
6,628 |
147.71 |
70.10 |
2023年3月(実) |
67,716 |
4,249 |
4,072 |
2,695 |
60.98 |
70.10 |
2024年3月(予) |
73,000 |
4,600 |
4,776 |
3,270 |
74.00 |
70.10 |
* 単位:百万円
エン・ジャパンの2024年3月期第2四半期決算と2024年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画(23/3期~27/3期)
3.2024年3月期第2四半期決算
4.2024年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 24/3期第2四半期累計の業績は、売上高が前年同期比2.1%の増収、営業利益が同60.0%の減益。売上面では、投資事業がengageを中心に大幅に増加した他、国内事業も求人サイトやその他事業の成長により増加した。一方、海外事業は外部環境の影響により減少した。利益面では、engageを中心とした求職者獲得のための広告宣伝費の増加や中期経営計画の達成に向けた人員増強とベースアップによる人件費の増加などが影響した。
- 24/3期の会社計画は、売上高が前期比7.8%の増収、営業利益が同8.2%の増益の予想。第2四半期が終わり期初の業績予想から修正なし。売上高、営業利益ともに中期経営計画の2年目を上回る見込みである。中期経営計画2年目である24/3期も基本方針は変更せず、投資事業、既存事業ともに3年目以降の収益拡大に向け積極的な投資を継続する。投資先行期間である3年間は固定配当とし、1株当たりの配当予想も、前期同水準の70.1円の予定を据え置き。
- 24/3期第2四半期累計決算では、投資事業において売上高とKPIが好調に推移していることが確認された。engageの売上高は、前年同期比96.7%増加し、人財プラットフォームの売上高も、前年度期比で19.7%増加した。積極的なプロモーション投資の実施により営業損失が続いているものの、好調な売上高を反映して、engageの営業損失は23/3期第4四半期(1-3月)以降縮小傾向が続いている。HR-Tech engageと人財プラットフォームにおいて、好調なKPIがどれ位のインパクトで会社計画を上回る売上高の増加と営業損失の縮小に結び付くのか注目される。
1.会社概要
企業理念
同社のパーパス (社会における自社の存在意義)は、「誰かのため、社会のために懸命になる人を増やし、世界をよくする~Inner Calling & Work Hard~」である。その実現のために、社会的インパクトの大きいポジションや成長産業への適切な労働移動、テクノロジーを活用して質・量ともに担保された求人情報の提供による就業機会の増大を目指している。
(同社統合報告書2023より)
(同社統合報告書2023より)
ビジネスモデル
(同社統合報告書2023より)
主要事業モデル |
|
HR-Tech engage | 投資事業である「HR-Tech engage」は、企業向けの採用支援ツール「engage」と、求職者向けの求人
サイト「エンゲージ」の2つのプロダクトを持つ独自の事業。採用サイト作成、求人掲載、応募者管理機能などの採用支援ツールを企業向けに無料で提供。engageで作成した求人は、求人サイト「エンゲ ージ」のほか外部の求人検索エンジン等に自動で掲載される。求人露出を強化する有料プランは 応募課金・掲載課金の2種類があり、どちらも利用数が伸長している。 |
人財プラットフォーム | 若手ハイキャリア向け「AMBI」、ハイクラスのミドル世代向け「ミドルの転職」といったハイクラス向けのプロダクトが中心の投資事業。スカウトを主軸とした求人サイトとして、求人企業が人材を探して直接スカウトを行う「ダイレクトリクルーティング」と、人材紹介会社によるスカウトの2つを支援。
人材ニーズが高まるハイクラス領域で存在感を高めている。 |
国内求人サイト | インターネット求人広告のパイオニアである同社の、創業時から続く主力事業。総合転職サイトの
「エン転職」のほか、派遣求人でトップクラスのシェアを持つ「エン派遣」や「エンバイト」など、求職者が自分にふさわしい企業に巡りあえるよう、様々な属性に合わせた求人情報サイトを運営している。 |
国内人材紹介 | 人材紹介事業はマーケット規模が大きく、さらなるシェア拡大が十分に見込める領域。その中で、利用者の入社後活躍までサポートする「エン エージェント」と、グローバル人材領域で国内トップクラスの
シェアを有する「en world」の2つに注力し、マーケットでの影響力を高めていく。求職者と求人企業を同社コンサルタントがマッチング。若手ポテンシャルから外資系・グローバル求人まで幅広くカバー。 課金モデルは企業からの成功報酬。 |
海外 | 2006年より海外進出をスタート。現在は主にベトナム・インドに注力して事業を行っている。ベトナムの「Navigos Group」は、シェアNo.1の求人サイトを運営し、人材紹介事業を展開。インドでは3,000名超のエンジニアを擁する IT 人材派遣 大 手「Future Focus Infotech Pvt.Ltd.」を 中心に、さらなる成長を目指している。 |
主なグループ企業
会社名 | 事業内容 |
エンワールド・ジャパン(株) | 多国籍企業とグローバル人材をつなぐ、日本トップクラスの人材紹介エージェント |
Future Focus Infotech Pvt.Ltd.(インド) | 世界最多のエンジニアを擁するインドにおいて、IT人材派遣ビジネスでシェアトップ
クラス |
Navigos Group, Ltd.(ベトナム) | 経済成長著しいベトナムでトップシェアの求人サイト / 人材紹介ビジネス等を展開 |
(株)ゼクウ | 派遣業界向け採用管理システムでトップシェアを誇る、HR Techソリューション企業 |
(株)ブロカント | 国内最大級のフリーランスエンジニア向け案件サイトを運営 |
エン婚活エージェント(株)(*) | 「結婚後の幸せ」まで支援するオンライン結婚相談所『エン婚活エージェント』を運営 |
(株)インサイトテック(*) | 独自の文章解析AIと、世界唯一の「不満データ」を保有。マーケティングの常識を
変える |
HR-Tech engage
内容 |
特徴 |
顧客企業 |
||
engage | 採用・入社後の活躍を目的としたデジタルプラットフォーム | ・ | フリーミアムモデルの採用支援ツール |
一般企業 |
・ | 高クオリティな企業の採用ホームページ、求人募集を簡単かつスピーディーに作成可能 | |||
・ | 作成した求人は自動で「indeed」や「googleしごと検索」等に連携 | |||
・ | 有料プランの利用により、より多くの応募獲得を顧客
企業に提供し、採用強化をサポート |
|||
・ | 適性テストやリテンション対策ツール等、関連サービスもengageに連携 |
人財プラットフォーム
内容 |
特徴 |
ユーザー |
顧客企業 |
|||
AMBI | 20~30代ハイキャリア
特化型求人サイト |
・ | 20~30代×年収500万円以上の案件が中心 | ・20~30代が中心 |
人材紹介会社 一般企業 |
|
・ | 一般事業会社、人材紹介会社によるスカウトに軸を置いたサイト設計 | |||||
ミドルの転職 | ミドル世代向け ハイクラス求人サイト | ・ | ミドル層の転職に強い500社以上の人材紹介会社及び求人情報を掲載 | ・30~40代が中心 |
人材紹介会社 一般企業 |
|
・ | コンサルタントの得意領域、実績等に加えユーザーからの評価を公開 | |||||
エンジニアHub | Webエンジニア
求人サイト |
・
・ |
若手Webエンジニア向け情報メディア
「エンジニアHub」による求人サイト メガベンチャーやスタートアップ等、エンジニアの成長に繋がる求人を厳選 |
・若手エンジニア |
一般企業 |
国内求人サイト
内容 |
特徴 |
ユーザー |
顧客企業 |
||
エン転職 | 総合転職情報
サイト |
・ | 一般事業会社直接募集原稿は、1社1社独自に取材・撮影 | ・20代が中心 |
一般企業 |
・ | 求職者の立場に立った正直かつ詳細な求人情報 | ||||
エン派遣 | 人材派遣会社集合サイト | ・ | 人材派遣会社の情報及び求人情報を
掲載 |
・20~40代の
女性が中心 |
人材派遣会社 |
・ | ユーザーが直感的に操作しやすい検索機能 | ||||
エンバイト | アルバイト
求人情報サイト |
・
・ |
主に人材派遣会社が保有するアルバイト求人情報を掲載
ユーザーの閲覧履歴からお勧めバイトを提案する等、ユーザーの希望にあったバイト探しをサポート |
・大学生
・既卒 未就業者 ・主婦 ・フリーター |
人材派遣会社 |
ウィメンズワーク | 女性向け
求人情報サイト |
・ | 正社員として働くことを希望する女性向け求人サイト | ・20~30代の
女性が中心 |
人材派遣会社 |
・ | 「正社員または正社員登用あり」の求人のみ掲載 | ||||
・ | オフィスワーク系職種を多数掲載 | ||||
キャリアバイト | 大学生向け
インターン情報 サイト |
・
・ |
時間の切り売りではなく「成長できる有給インターン」を目的とした大学生向けサイト
インターンシップサイトのパイオニアであり、国内最大級の実績、求人件数 |
・大学生 |
一般企業 |
iroots | 新卒学生向け
スカウトサービス |
・
・ |
新卒学生向けの逆求人型就活スカウトサービス
プロフィールや適性診断に基づき、企業が直接新卒学生にスカウトすることができるサービス |
・新卒学生 |
一般企業 |
FREELANCE START | フリーランスエンジニア案件検索
エンジンサイト |
・
・ |
国内最大級のフリーランス案件検索エンジンサイト
フリーランスエージェントの案件情報をまとめて検索・エントリーが可能 |
・フリーランス
エンジニア |
フリーランス エージェント |
doocy Job | 副業・フリーランスのエンジニア向け
求人情報サイト |
・
・ |
有名企業やベンチャー、スタートアップ企業等の副業・フリーランス求人案件を掲載
企業との直接契約により、中間マージンや手数料がなく、高単価で魅力的な案件が豊富 |
・フリーランス
エンジニア |
一般事業会社 |
国内人材紹介
内容 |
特徴 |
顧客企業 |
||
en world | 人材紹介 | ・ | 日本国内に営業・サービス・製造等の拠点を設けている外資系企業及びグローバルな展開を行っている日系企業がクライアント。グローバル人材の中間管理職~エグゼクティブレベルの案件を取扱う |
外資系企業 日系企業 |
・ | グローバル人材の紹介領域において、国内トップクラスのシェア | |||
エン エージェント | 人材紹介 | ・ | エン・ジャパンが持つ求職者データベース及び顧客企業と取引実績を活用した人材紹介サービス |
日系企業 |
国内その他事業・子会社
内容 |
特徴 |
顧客企業 |
|
ゼクウ | 採用管理システム
業務管理システム |
・求人情報、面接者、応募対応、効果測定等の各種管理を一元化 ・採用後のスタッフや求人募集案件を一元管理 |
人材派遣会社 一般企業 |
3Eテスト | 活躍できる人材を
発見する、見極める適性テスト |
・学歴や役職等の肩書では判断が難しい知的能力・考え方・価値観等を検査 ・短時間、スマホ等のオンラインで受講可能 ・企業が求める人材の発見とミスマッチを防止 |
一般企業 |
ASHIATO | 入社後活躍までを
見据えたリファレンスレポートサービス |
・約15万社の採用支援実績・ノウハウをもとに、独自のアンケートを実施し、候補者の活躍ぶりをヒアリング。選考に活用できる面接アドバイスをレポート ・オンラインを中心としたサービスにより、スピーディーなレポートを実現。導入しやすい価格で提供 |
一般企業 |
en-college | 社員向け
オンライン研修サービス |
・新人社員から経営層向けまで400以上の講座を提供するオンライン研修サービス ・派遣会社のスタッフ教育として、「派遣スタッフ版エンカレッジオンライン」も提供 |
一般企業 人材派遣会社 |
HR OnBoard | リテンション対策
ツール 「HR OnBoard」の 開発・販売 |
・入社後の離職リスクを可視化するオンラインアンケートツール ・月1回、対象者へのアンケートにより離職リスクを簡単に可視化。 離職防止への素早い行動が可能に |
一般企業 |
エンSX | セールス・マーケティング支援 |
・エン・ジャパンのセールス及びマーケティング機能を“B2Bセールスメソッド“として提供 |
一般企業 |
その他新規事業 ※非連結子会社
内容 |
特徴 |
顧客企業 |
|||
Insight Tech | マーケティング
リサーチ AIを活用したデータ解析 |
・
・ |
消費者から買い取った「不満」をDB化~解析し、商品開発に役立つ商品として企業へ販売
高度なデータ解析技術を元に企業が保有するデータを解析。課題解決のソリューション提供 |
一般企業 |
|
エン婚活
エージェント |
オンライン
婚活支援サービス |
・ | 「結婚後の幸せ」をゴールとした新しいコンセプトの婚活サービス |
一般消費者 |
海外事業
国 |
内容 |
特徴 |
顧客企業 |
|||
NEW ERA | インド | 人材紹介 | ・ | インドで事業を行う現地企業及びグローバル企業がクライアント |
現地企業 グローバル企業 |
|
・ | 高年収層の案件を中心に取り扱っており、IT関連に強み | |||||
Future Focus Infotech | IT人材派遣 | ・ | IT派遣で20年の実績があり、代表的なIT企業を数多く顧客に持つ |
現地企業 グローバル企業 |
||
・
・ |
AIやIoT等先端技術への投資・教育に力を入れている
米国やUAE等、インド以外からのオフショア開発も受託 |
|||||
Navigos Search | ベトナム | 人材紹介 | ・ | ベトナムにおいてNo.1の人材紹介 |
現地企業 グローバル企業 日系企業 |
|
・ | 現地企業・グローバル企業に対し、管理職レベルの人材を紹介。日系企業も強化 | |||||
VietnamWorks | 総合求人
情報サイト |
・ | ベトナムにおいてNo.1の求人サイト |
現地企業 グローバル企業 日系企業 |
||
・ | 主に現地の人材と現地企業・グローバル企業が顧客対象。日系企業も強化 |
(同社決算説明資料より)
同社の強み
人材・企業DBとその活用力 | ・1,000万名を超える人材データベースと15万社超との取引実績。
・「人」「企業」の両面で充実したデータベースの保有に加え、その活用力にも強み。 ・文章解析AI等テクノロジーの力を駆使し、精度の高いマッチングを効率的に実現。 ・DX 関連事業等の新事業に、既存の営業網を活用することも可能。 |
HR×Web領域の知見と開発 | ・1995年に国内初の求人サイトを立ち上げて以来、Web領域における知見を蓄積。
・サイト構築・運用やWebマーケティング等、デジタル活用に強み。 ・近年ではAI等の活用も強化。 ・入社後の活躍まで実現するHR領域のノウハウと掛け合わせることで、競合優位性のあ る独自のプロダクトを開発 (HR OnBoard、engage、ASHIATO等、新サービスを継続的に リリース)。 |
変化に即応できる組織力 | ・新型コロナウイルス拡大の初期段階で在宅勤務に移行。
・リモートを基本とし、オフィスを大幅に縮小。 ・訪問ではなくリモートで営業活動を行なう「インサイドセールス」を先駆的に実践していた 素地もあり、生産性に影響はなし。 ・書類を介していた手続きも大半を電子化。 |
主観正義性と収益性の両立 | ・主観正義性とは「世の中のあるべき姿を独自に考え、その実現に尽力する」姿勢を指す
同社独自の考え方で、HR 以外も含めた全事業に共通する考え方。 ・収益性のみに偏ることなく、世の中をより良く変えていくスタンスが独自性と信頼に直結。 ・この結果、運営サービスはオリコン顧客満足度®調査等、外部調査で高評価を獲得。 |
海外進出の状況
同社は、アジアを中心に海外展開を進めており、現在は特に著しい経済成長が見込まれるベトナムとインドに注力している。ベトナムでは、国内の求人サイトおよび人材紹介事業で圧倒的なシェアを有する「Navigos Group」を2013年4月に子会社化。国内No.1のHR 企業として成長を続けている。今後は、更なる需要拡大が見込まれる管理職クラス向けのサービスも強化し、マーケットへの影響力をより高めていく計画である。また、インドでは、2019年にインドの「Future Focus Infotech Pvt.Ltd.」を子会社化。IT エンジニア人材派遣において20年の実績があり、3,000名を超えるエンジニアを有するインド国内で大きなシェアを持つ企業。今後も高い需要と成長が見込まれる「IT領域」を軸に事業拡大を進める方針である。
(同社統合報告書2023より)
ESGの取り組み状況
社会をより良く変えていくことができる企業経営の形を模索してきた同社にとって、ESG は極めて重要なテーマだと考えている。同社は、設立以来「ビジネスを通じた社会課題の解決」に取り組んでいる。慈善・文化支援活動ではなく、影響力と継続性を兼ね備える「本業」の中で、業界、ひいては社会全体をより良く変革していくとの信念を貫いてきた。メイン事業のHRビジネスは雇用創出・生産性向上・仕事人生の充実等に通じる、極めて社会性の高い領域であり、真摯に本業と向き合うことが最大の社会貢献だとの考えのもと事業を推進している。大切にしているのは、本業において「主観正義」を貫くことであり、まだ社会的に問題とされていないことでも、独自の問題意識をもって解決に取り組んでいる。そのため、むやみに転職を煽るのではなく、「入社後活躍の実現」まで徹底的にこだわった就転職支援サービスを提供することで、業界の変革を促してきた。
(同社決算説明資料より)
【パーパスの実現例:ソーシャルインパクト採用プロジェクト】
社会的なインパクトが特に大きい人材採用「ソーシャルインパクト採用」を支援するプロジェクト。
中央省庁の幹部候補、自治体の副市長やDX担当、NGO/NPO・スポーツ団体・志ある企業の中核メンバーなど、様々な採用をエン・ジャパン全社で支援している。
プロジェクト数100件、応募数11万件以上、採用決定数400名以上(累計)となっている。今後も同社が持つ多様なサービス・ノウハウを結集し、採用面から社会を変える。
(同社決算説明資料より)
【環境(Environment)】
同社は、事業モデル上、環境へのインパクトは少ないが、継続的なCO2排出量削減を実施している。環境基本方針を設定し、事業における環境負荷軽減や社員に対する教育・啓発活動を実施している。主な取組みとしては、リモートワークの推進による電気使用量の削減や業務におけるペーパーレス化推進による紙使用量の削減等が挙げられる。
【社会(Social)】
社会への取り組みにおいては、「誰かのため、社会のために懸命になる人を増やし、世界をよくする」という同社のパーパスに基づいた事業を推進している。また、「共創型理念経営」で社員の意見を反映した理念のアップデートを行っている他、新たな業績連動報酬の導入等、社員のインセンティブの向上も図った。更に、職種コース別の新卒採用を拡充し、早期のキャリア形成を促進するとともにコース変更・社内異動等、柔軟なキャリアモデルを採用した。同社では、リモートワーク主体の勤務体制を推進しヴァーチャルオフィス等、コミュニケーションの充実を図っている。
社内エンゲージメント |
■女性活躍推進 * 従業員に占める女性の割合55.6% |
◆女性活躍を推進するプロジェクト「WOMen らぼ」を展開
◆育児休暇をとる社員のサポートとして交流会、ランチ会の開催 ◆女性社員満足度調査 ◆スマートグロース制度(育休復帰後の時短勤務による、キャリア停滞・収入減を防ぐことを目的とした制度)等 「MSCI日本株女性活躍指数」構成銘柄における性別多様性スコア *9.85 (構成銘柄中1位) *2021年12月データ |
■福利厚生 |
◆ESOP(株式付与型退職金制度)
◆従業員持株会制度 ◆結婚記念日お祝い金制度 ◆同性のパートナーがいる社員に対し、福利厚生制度を適用 |
■人的資本の活性化・オープンな情報公開 |
◆「チャレンジ管理職制度」
◆多彩なキャリアパス設計(マネージャー/ハイプレーヤー/イノベーター) ◆従業員満足度調査の定期実施 ◆バーチャルオフィス推進による社内コミュニケーションの活性化 ◆社外にも公開するオープンで新しい社内報「en soku!(エンソク)」 ◆youtube 社内報で同社社員を紹介、業務理解やキャリア形成を促進 |
(同社決算説明資料より)
*データはエン・ジャパン単体(2023年9月実績)で従業員は正社員及び契約社員。
【ガバナンス】
同社は、取締役会の監督機能強化により、経営の客観性・透明性を高めている。 監査役会設置会社から、監査等委員会設置会社へ移行し、社外取締役比率も半数以上とした。
(同社決算説明資料より)
2.中期経営計画(23/3期~27/3期)
同社は、2022年5月12日に新中期経営計画(23/3期~27/3期)を公表した。生産年齢人口が今後も減少する中、働き方の変化・成長産業への労働移動等、流動性が高まる可能性が高く、構造的な人手不足が予想される。これまで雇用市場は、終身雇用・総合職が一般的であったが、企業の寿命縮小と社会変化に対応する人材需要の増加により、雇用流動性の高まりとプロフェッショナル職・マネジメント職需要の増加によるジョブ型雇用が主流になる可能性が高い。また、企業が求職者を選ぶ時代から、生産年齢人口の減少により、求職者が企業を選ぶ時代へ変化するものと予想される。更に、人材会社が採用を担う環境から、D2C等採用手法の多様化により、ダイレクトリクルーティング等事業会社が自ら採用を行う環境へ変化する可能性が高い。 こうした中、新たな採用手法が普及しTech化が加速しており、これに対応した積極的な先行投資が必要だと考えている。
中期経営計画の基本方針は、「投資事業を既存事業と並ぶ規模にする5年間」である。「engage」と「AMBI」を投資事業と位置づけ積極的な投資により次なる事業の柱にする。また、既存事業へも一定の投資を行い、高収益な事業として継続する。更に、成長を支える「人材」への投資や「ガバナンス」を一層強化する。中期経営計画の最終年度である27/3期の数値目標は、売上高1,200億円、営業利益240億円であり、22/3期の売上高と営業利益の2倍強の水準で、5年間のCAGRは売上高で17%、営業利益で20%となる。
数値計画(連結業績)
22/3期 (実績) |
23/3期 (中計) |
23/3期 (実績) |
24/3期 (中計) |
24/3期 (会社計画) |
25/3期 (中計) |
26/3期 (中計) |
27/3期 (中計) |
|
売上高 |
545 |
620 |
677 |
700 |
730 |
850 |
1,000 |
1,200 |
営業利益 |
96 |
31 |
42 |
41 |
46 |
99 |
175 |
240 |
営業利益率 |
18% |
5% |
6.3% |
6% |
6.3% |
12% |
18% |
20% |
* 単位:億円
セグメント区分の変更
(変更前)
セグメント名 |
国内求人サイト |
国内人材紹介 |
海外 |
HR-tech |
その他 |
主要構成サービス |
・エン転職
・ミドルの転職 ・AMBI ・エン派遣、 エンバイト 他 |
・EWJ
・エンエージェント |
・FFI(インド)
・Navigos (ベトナム) ・英才(中国) ・NewEra(インド) |
・engage
・ATS、適性テスト ・入社後フォローサービス |
・iroots
(新卒サービス) ・アウルス ・新規事業(Pasture) 他 |
↓
(変更後)
セグメント名 |
投資 |
既存 |
||
HR-tech engage |
人財プラットフォーム |
国内 |
海外 |
|
主要構成サービス |
・engage | ・AMBI
・ミドルの転職 他 |
国内求人サイト
・エン転職 ・エン派遣、エンバイト 他 国内人材紹介 ・EWJ ・エンエージェント 国内その他 ・ATS、適性テスト ・入社後フォロー サービス ・新規事業開発 他 |
・FFI(インド)
・Navigos(ベトナム) ・英才(中国) ・NewEra(インド) |
数値計画(連結業績)
22/3期 (実績) |
23/3期 (中計) |
24/3期 (中計) |
25/3期 (中計) |
26/3期 (中計) |
27/3期 (中計) |
|||
投資 |
HR-Tech engage |
売上高 |
19 |
32 |
50 |
85 |
130 |
180 |
営業利益 |
-4 |
-37 |
-47 |
-20 |
20 |
45 |
||
営業利益率 |
-23% |
-115% |
-94% |
-24% |
16% |
25% |
||
人財プラット フォーム |
売上高 |
44 |
54 |
69 |
85 |
105 |
133 |
|
営業利益 |
8 |
-13 |
-2 |
11 |
16 |
25 |
||
営業利益率 |
19% |
-24% |
-3% |
14% |
15% |
19% |
||
既存 |
国内 |
売上高 |
378 |
403 |
449 |
502 |
566 |
635 |
求人サイト |
258 |
274 |
292 |
310 |
334 |
359 |
||
人材紹介 |
97 |
99 |
112 |
130 |
152 |
174 |
||
その他 |
23 |
29 |
44 |
61 |
80 |
102 |
||
営業利益 |
93 |
79 |
91 |
111 |
136 |
166 |
||
営業利益率 |
24% |
20% |
20% |
22% |
24% |
26% |
||
海外 |
売上高 |
110 |
135 |
143 |
182 |
216 |
258 |
|
営業利益 |
9 |
9 |
11 |
20 |
28 |
37 |
||
営業利益率 |
8% |
7% |
8% |
11% |
13% |
14% |
||
全社調整 |
売上高 |
-6 |
-4 |
-11 |
-3 |
-17 |
-6 |
|
営業利益 |
-9 |
-8 |
-13 |
-23 |
-25 |
-34 |
||
連結 |
売上高 |
545 |
620 |
700 |
850 |
1,000 |
1,200 |
|
営業利益 |
96 |
31 |
41 |
99 |
175 |
240 |
||
営業利益率 |
18% |
5% |
6% |
12% |
18% |
20% |
* 単位:億円
【投資事業】
◎HR-Techengage
engageは、従来の求人メディアとは異なるユニークなサービスである。企業採用サイトの作成、求人掲載、応募者管理機能等「採用支援ツール」を無料で提供している。企業側は採用ページ・求人を簡単に作成する事が可能であり、同社求人サイト「エンゲージ」をはじめ複数の提携サイトに135万件の求人が掲載されている。利用企業のアカウント数は58万件となっている。さらに、有料プランへ加入すると多彩な求人ネットワークとの連携が可能となり、露出がアップする仕組みとなっている。有料プランはニーズに合わせて応募課金または掲載課金を選択できる。求職者側は、膨大な求人数により選択肢が広がり、AI活用により最適な求人マッチングが可能となっている。
ターゲットとなる27/3期の予想市場規模は、従来型求人メディアの領域でも約4,000億円と機会が大きい。engageは、5年後に現状より10倍(CAGR60%)の売上高、営業利益率25%を目指す(長期的には更なる向上を図る)。企業側のKPIが順調に積み上がり、高成長へ向けた絶好の機会となっている。こうした中、プロモーション投資を強化し求職者の急拡大を図る計画である。
同社の過去サイト実績に基づき、求職者獲得による応募効果を算定すると、先行投資コストは数年で回収される見込みである。
(同社決算説明資料より)
◎人財プラットフォーム(AMBI・ミドルの転職)
AMBI・ミドルの転職は、ハイキャリア人材と企業をサイトでマッチングするプラットフォームである。一般企業と人材紹介会社は求人掲載とスカウトを行い、求職者は求人の閲覧、応募、スカウト返信等を行う。350万人以上のハイキャリア会員数を抱える。AMBIは若手優秀人材に特化したダイレクトリクルーティングサービスが特徴であり、メガベンチャーや大手企業等が利用している。
ターゲットなる27/3期の予想市場規模は約5,000億円で、人材紹介市場が拡大し、中でもハイキャリア領域の拡大余地が大きい。人財プラットフォームは、5年後に現状より3倍(CAGR25%)の売上高、営業利益率19%を目指す(長期的には更なる向上を図る)。AMBIを中心に一定のポジションを構築しているが、今後高成長する市場で強固なポジションを築くため、プロモーション投資と営業人員体制を強化する計画である。
【既存事業】
◎国内
既存事業の国内は、求人サイト・人材紹介を中心に5年で利益を大幅増、利益率の向上も図る。
◆求人サイトは、最終年度に利益率30%以上を計画。高収益事業、利益創出の軸としての位置づけは変わらない。コロナ禍
により営業人員を絞り込み、営業生産性は既にコロナ前の水準となっており、今後人員の増強を図り利益の着実な増加を
見込む。
◆人材紹介は、最終年度に利益率20%以上を計画。課題となった人員増強・システム投資を図り、着実に利益率を向上させる。
◆その他は、最終年度に利益率10%以上を計画。新規事業投資により中計前半はコスト先行となるものの、エンSX(Sales Tech)
の伸長等により、後半に利益貢献を見込む。
◎海外
既存事業の海外は、インド・ベトナムともに規模の拡大と収益性の向上を図り、5年で売上高2倍と利益 4倍を目指す。
◆インドは、利益率を現状の一桁前半から、10%近くまで向上させる。 IT人材需要の高まりは、長期的にも不変であり、追い風となっている。こうした中、インドにおいては高付加価値案件の拡充を図るとともに、収益性の高い米国企業の事業強化を推進する。
◆ベトナムは、国内トップシェア、求人サイトの強みを活かし、30%以上の利益率を計画。単価向上による営業生産性拡大と人材紹介事業の利益率向上を図る。
財務基本方針と株主還元(配当計画)
【財務基本方針】
保有資金は成長投資(M&A)を優先しつつ、状況により更なる株主還元を検討する。また、先行投資の強化の3年間は、22/3期水準の配当を維持(70.1円)する方針である。
現預金 |
用途 |
方針 |
単年 P/L |
事業 |
◆中期的な高成長に向けた、広告宣伝を強化。
◆事業モデル上、投資は単年度P/L内で収まる。 |
B/S 2/3 |
M&A |
◆資金の有効な使途として、成長投資につながるM&Aでの使用を優先。
◆手元資金優先だが、非効率な現金滞留は避ける。規模により、借入も検討。 |
還元 |
◆配当は当面(3年)安定配当(前期水準)を実施。その後、配当性向50%。
◆自己株式取得はM&Aの進捗状況を踏まえ、機動的に実施を検討する。 |
|
B/S 1/3 |
有事保有 |
◆保有資金の1/3程度を基準として保持。
◆柔軟なコストコントロールはするが、固定費の3か月分を有事資金として保持。 |
【株主還元(配当計画)】
投資先行期間は固定配当とし、利益が大きく伸びる26/3期以降は、配当性向を50%へ高める方針。
(同社決算説明資料より)
【自己株式取得】
中長期視点で成長投資・手元資金・株式市場動向等を総合的に勘案し、自己株式の取得を実施する方針。
また、取得した自己株式は、M&A・株式交換、ストックオプション付与 などに活用する。
取得期間 | 2022年8月12日~2023年5月31日 |
取得した株式の総数 | 4,166,100株 |
取得価額の総額 | 9,999,939,600円(上限額取得) |
3.2024年3月期第2四半期決算
(1)2024年3月期第2四半期
連結業績
23/3期第2四半期 |
構成比 |
24/3期第2四半期 |
構成比 |
前年同期比 |
|
売上高 |
32,404 |
100.0% |
33,079 |
100.0% |
+2.1% |
売上総利益 |
24,491 |
75.6% |
26,130 |
79.0% |
+6.7% |
販管費 |
21,790 |
67.2% |
25,049 |
75.7% |
+15.0% |
営業利益 |
2,700 |
8.3% |
1,081 |
3.3% |
-60.0% |
経常利益 |
2,941 |
9.1% |
1,344 |
4.1% |
-54.3% |
親会社に株主に帰属する 四半期純利益 |
1,865 |
5.8% |
775 |
2.3% |
-58.5% |
* 単位:百万円
※数値にはインベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
売上高は前年同期比2.1%増収、営業利益は同60.1%減益
売上高は前年同期比2.1%増の330億79百万円、営業利益は前年同期比60.0%減の10億81百万円となった。投資事業では、
HR-tech engageにおいて、売上高が前年同期比96.7%増となり高成長が継続し、会員数が9月末で303万人(昨年9月末比137万人増)へ拡大した。人財プラットフォームでも、売上高が前年同期比で19.7%増の高成長となり、会員数が9月末で353万人(昨年9月末比約64万人増)へ拡大した。また、既存事業では、国内の売上高が同2.9%増となったものの、海外の売上高は外部環境の影響により同23.5%減となった。
総費用は、中期経営計画の達成に向けた人員増強と広告投資強化により、前年同期比7.7%増の319億98百万円となった。売上総利益率は同3.4ポイント上昇し79.0%となった。主にインドIT派遣の人員削減により、労務費が減少したことが寄与した。売上高販管費率は、前年同期比8.5ポイント上昇の75.7%となり、売上高営業利益率は同5ポイント低下の3.3%となった。その他、持分法による投資利益を69百万円計上したことなどにより、経常利益は同54.3%の減益と営業利益の減益率より改善した。また、特別損失で特別調査費用2億95百万円計上したことなどにより、親会社株主に帰属する四半期期純利益は同58.5%の減益と経常利益の減益率より悪化した。
売上原価の主な費用
24/3期第2四半期(7-9月)の売上原価は、前年同期比で12.2%減少した。主にインドのIT派遣であるFFI社の人員減少により労務費、その他原価が減少した。
販管費の主な費用
24/3期第2四半期(7-9月)の販管費は、前年同期比で15.0%増加した。中期経営計画の達成に向けた人員増強と広告投資強化により広告宣伝費と人件費を中心に増加した。
(2)セグメント別動向
23/3期 第2四半期 |
24/3期 第2四半期 |
増減 |
増減率 |
|||
投資 |
HR-Tech engage |
売上高 |
15.5 |
30.5 |
+15.0 |
+96.7% |
営業利益 |
-16.7 |
-24.6 |
-7.9 |
– |
||
営業利益率 |
-107.8% |
-80.8% |
+27.0P |
– |
||
人財プラットフォーム |
売上高 |
29.2 |
35.0 |
+5.8 |
+19.7% |
|
営業利益 |
-2.7 |
-2.6 |
+0.1 |
– |
||
営業利益率 |
-9.3% |
-7.5% |
+1.8P |
– |
||
既存 |
国内 |
売上高 |
202.1 |
207.9 |
+5.8 |
+2.9% |
求人サイト |
139.1 |
141.4 |
+2.3 |
+1.6% |
||
人材紹介 |
50.0 |
49.9 |
-0.1 |
-0.1% |
||
その他 |
12.9 |
16.5 |
+3.6 |
+27.9% |
||
営業利益 |
45.0 |
40.8 |
-4.2 |
-9.4% |
||
営業利益率 |
22.3% |
19.7% |
-2.6P |
– |
||
海外 |
売上高 |
80.2 |
61.4 |
-18.8 |
-23.5% |
|
インドIT派遣 |
59.4 |
44.5 |
-14.9 |
-25.1% |
||
ベトナム |
14.5 |
12.0 |
-2.5 |
-17.3% |
||
その他 |
6.2 |
4.8 |
-1.4 |
-22.6% |
||
営業利益 |
6.8 |
3.8 |
-3.0 |
-44.0% |
||
営業利益率 |
8.5% |
6.2% |
-2.3P |
– |
||
全社調整 |
売上高 |
-3.1 |
-4.1 |
-1.0 |
– |
|
営業利益 |
-5.4 |
-6.4 |
-1.0 |
– |
||
連結 |
売上高 |
324.0 |
330.7 |
+6.7 |
+2.1% |
|
営業利益 |
27.0 |
10.8 |
-16.2 |
-60.0% |
||
営業利益率 |
8.3% |
3.3% |
-5.0P |
– |
* 単位:億円
【投資事業】
◎HR-Tech engage
HR-Tech engageの第2四半期累計の売上高は30.5億円となり、前年同期比96.7%増と応募数の好調により高成長となった。想定を上回るペースで新規会員数が増加するなど求職者側のKPIが好調に推移したことに加え、アクティブユーザーが増加し、企業側のKPIも好調に推移した。
企業側のKPI |
|
総アカウント数 | 58万件、前年同期比123% |
有料アカウント数 | 19,916件、前年同期比104% |
公開求人数 | 135万社、前年同期比125% |
有料求人数 | 13.1万件、前年同期比212% |
求職者側のKPI |
|
会員数 | 303万人、前年同期比137万人増 |
MAU数(2023年7~9月の平均値) | 461万人、前年同期比220万人増 |
<業績推移>
engageの第2四半期(7-9月)の売上高は好調により応募課金の売上が増加し、16億13百万円と前年同期比で約90%増の高成長となった。
また、売上高増加に伴い、営業損失も前期の第4四半期(1-3月)以降縮小傾向になっている。
<KPI>
◎アカウント数
engageの2023年9月末の総アカウント数は前年同期比123%の58万件を超えた。総アカウント数は、毎月1万アカウントペースで増加。日本国内企業の7社に1社は利用していると推定される。また、engageの有料サービスに課金した(=売上計上)アカウント数の四半期合計は、19,916件となり前年同期比で104%となった。
(同社決算説明資料より)
◎求人数
大口企業で有料利用企業の利用が促進され、有料求人数は大きく伸長した。engageの第2四半期(7-9月)の四半期平均の公開求人数は前年同期比125%の135万件となり、engageの第2四半期(7-9月)の四半期平均の有料求人数は前年同期比212%の131.万件と大幅に増加した
◎求職者会員数・MAU
engageの第2四半期(7-9月)の求職者会員数は、前年同期比137万人以上増加した。第2四半期は毎月10万人以上の新規求職者が登録した。また、第2四半期に1カ月間にサイトを訪問したUU数の四半期平均であるMAUは、461万人となり、前年同期比220万人増加した。これは、求人掲載ロジックの改善やメールマーケティングの運用改善により求職者のアクティビティが向上したものである。
◎人財プラットフォーム
人財プラットフォームの第2四半期累計(4-9月)の売上高は、前年同期比約19.7%増の35億円となった。また、売上高が増加し、前年同期比で営業損失が縮小した。企業側のKPIは、想定より良い広告効率で求職者が増加し、求職者側KPIも人材紹介会社、一般企業ともに利用企業数が増加した。
企業側のKPI |
|
利用社数 | 6,331社、前年同期比167% |
求人数 | 27.6万件、前年同年比110% |
求職者側のKPI |
|
会員数 | 353万人、前年同期比64万人増 |
<業績推移>
人財プラットフォームの第2四半期(7-9月)の売上高は、前年同期比約19%増の17億46百万円となった。ハイキャリア領域の採用需要は堅調で売上が計画通りに伸長した。また、7月にテレビCMを実施し、計画通り費用を投下した。
※下記グラフ「人財プラットフォーム」に修正 2か所
<KPI>
継続的なプロモーションにより認知度が向上し、想定より良いCPA(顧客獲得単価)で求職者を獲得することができた。また、直接採用企業を中心に利用社数が増加した。
<トピックス-ミドルの転職>
ミドルの転職において、GPTツールを用いた職務要約の自動生成機能を搭載した。職務要約の自動生成機能によりマッチング精度が向上し、利用企業のアクティビティ向上に貢献する。
(同社決算説明資料より)
【既存事業】
◎国内事業
第2四半期累計(4-9月)の国内事業は、売上高が前年同期比2.9%増の207.9億円、営業利益が同9.4%減の40.8億円となった。求人サイトやその他事業の成長により売上高が増加した。中期経営計画達成に向けた増員とベースアップにより人件費が増加した。
求人サイトは、前年同期比101.6%の売上高141.4億円となった。エン転職のダイレクトスカウト商品の売上が伸長した。一方、派遣会社の掲載は低調に推移した。人材紹介は、前年同期比99.9%の49.9億円となった。エンエージェントは売上が堅調に推移した。一方、EWJは第1四半期に続いて減収傾向となったものの減収額は縮小した。
<業績推移>
◎海外事業
第2四半期累計(4-9月)の海外事業は、売上高が前年同期比23.5%減の61.4億円、営業利益が同44.0%減の3.8億円となった。
インド、ベトナム、その他全てにおいて売上高が減少した。一方、インドIT派遣は人件費削減により増益となった。
インドIT派遣は、前年同期比74.9%の売上高44.5億円となった。第1四半期に続き、米国におけるIT需要が戻らず売上高が減少した。一方、人件費(原価)を中心に費用の削減を実施し増益となった。
ベトナムは、前年同期比82.7%の売上高12億円となった。ベトナム国内の景気悪化の影響を受けて売上高が減少した。
一方、必要な費用の削減は行いつつ、景気回復局面に向けて大幅な人員削減は実施していない。
<トピックス-ソーシャルインパクト採用プロジェクト>
採用を通じて社会課題の解決に挑む「ソーシャルインパクト採用プロジェクト」において、7月に支援プロジェクト数が100件に到達した。
(同社決算説明資料より)
(3)財政状態及び
キャッシュ・フロー
◎財政状態
23年3月 |
23年9月 |
23年3月 |
23年9月 |
||
現預金 |
21,876 |
18,096 |
仕入債務 |
962 |
640 |
売上債権 |
6,467 |
5,953 |
未払金 |
6,204 |
4,500 |
有価証券 |
2,000 |
2,000 |
流動負債 |
14,879 |
13,616 |
流動資産 |
35,983 |
27,514 |
固定負債 |
1,962 |
2,265 |
有形固定資産 |
619 |
644 |
負債 |
16,841 |
15,881 |
無形固定資産 |
8,036 |
8,880 |
純資産 |
35,125 |
28,898 |
投資その他 |
7,328 |
7,741 |
負債・純資産合計 |
51,967 |
44,780 |
固定資産 |
15,984 |
17,266 |
有利子負債合計 |
0 |
0 |
* 単位:百万円
*有利子負債=借入金(リース債務含まず)
*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
23年9月末の総資産は前期末比71億87百万円減少の447億80百万円。資産サイドでは、現預金、売上債権、流動資産のその他等が主な減少要因となり、ソフトウェア、関係会社株式等が主な増加要因となった。負債・純資産サイドでは仕入債務、未払金、利益剰余金、自己株式の増加による減少等が主な減少要因となり、前受金、流動負債のその他、退職給付に係る負債、為替換算調整勘定等が主な増加要因となった。総資産の約61.4%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も63.8%と、高水準を維持している。
◎キャッシュ・フロー
|
23/3期 第2四半期累計 |
24/3期 第2四半期累計 |
前年同期比 |
|
営業キャッシュ・フロー |
2,885 |
1,496 |
-1,389 |
-48.1% |
投資キャッシュ・フロー |
-1,565 |
-1,447 |
118 |
– |
フリー・キャッシュ・フロー |
1,320 |
49 |
-1,271 |
-96.3% |
財務キャッシュ・フロー |
-4,581 |
-7,855 |
-3,274 |
– |
現金及び現金同等物の四半期末残高 |
30,485 |
16,878 |
-13,607 |
-44.6% |
*単位:百万円
*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
CFの面から見ると、税金等調整前四半期期純利益の減少、未払金の減少などにより営業CFのプラス幅が縮小した。無形固定資産の取得による支出が増加した一方、定期預金の払戻による収入が増加したことなどにより投資CFのマイナス幅が縮小したものの、フリーCFのプラス幅が縮小した。その他、自己株式の取得による支出の増加などにより財務CFのマイナス幅が拡大した。以上により、23/9月末のキャッシュ・ポジションは前年同期比44.6%減少した。
4.2024年3月期業績予想
(1)連結業績予想
|
23/3期 |
構成比 |
24/3期 予想 |
構成比 |
前期比 |
売上高 |
67,716 |
100.0% |
73,000 |
100.0% |
+7.8% |
売上総利益 |
51,463 |
76.0% |
58,404 |
80.0% |
+13.5% |
販管費 |
47,213 |
69.7% |
53,804 |
73.7% |
+14.0% |
営業利益 |
4,249 |
6.3% |
4,600 |
6.3% |
+8.2% |
経常利益 |
4,072 |
6.0% |
4,776 |
6.5% |
+17.3% |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
2,695 |
4.0% |
3,270 |
4.5% |
+21.3% |
*単位:百万円
24/3期の業績予想は、前期比7.8%増収、同2.4%営業増益
24/3期の会社計画は、売上高が前期比7.8%の増収、営業利益が同8.2%の増益の予想。第2四半期が終わり期初の業績予想から修正なし。同社は、中長期的な利益成長の観点から、事業ステージに応じた適切な投資を図りつつ、M&Aや出資など戦略的な投資を行っていくことを基本方針としている。中期経営計画2年目にあたる24/3期も引き続き先行投資期間と位置付けており、注力事業である「engage」と「人財プラットフォーム」の広告宣伝費投資を継続することで増収を図り、既存事業では着実に収益を生み出す盤石な事業基盤を構築することにより増収増益を目指す。なお、中期経営計画3年目以降の収益拡大に向け積極的な投資を継続するものの、24/3期は売上高、営業利益ともに中期経営計画2年目を上回る見込みである。
売上高の面では、HR-Tech engage、人財プラットフォーム、国内セグメントで売上高が増加する見込みである。HR-Tech engageにおいては、各種KPIが好調で売上高が前期比で85.2%増加する計画である。一方で、世界的な景気スローダウンの影響により、海外セグメントで売上高が同16.2%減少する見込みである。
費用の面では、プロモーション強化に加え、積極的な人材投資により人件費が増加する見込みである。売上原価は前期比10.2%減少し、売上高総利益率は同4.0ポイント上昇の80.0%を予定。一方、販管費は同14.0%増加し、売上高販管費比率は同4ポイント上昇の73.7%を計画している。広告宣伝・販促費は215億9百万円と前期から14億3百万円(前期比7.0%増)増加し、人件費は188億95百万円と前期から34億65百万円(前期比22.5%増)増加する見込みである。この結果、売上高営業利益率は6.3%と前期比横這いの予想となっている。
また、同社は、株主価値向上に資する投資及び株主還元を強化することを掲げ、中期経営計画に定めた投資先行期間である25/3期までの期間を、1株当たりの年間配当額を70円10銭の固定配当とする基本方針としている。この方針に則り、24/3期においても、1株当たりの配当は、前期と同額の70.1円を予定している。
(2)24/3期のセグメント別売上高
(会社計画)
23/3期 実績 |
24/3期 会社計画 |
増減 |
増減率 |
|||
投資 |
HR-Tech engage |
売上高 |
38 |
70 |
+32 |
+85.2% |
人財プラットフォーム |
売上高 |
62 |
73 |
+11 |
+17.6% |
|
既存 |
国内 |
売上高 |
421 |
455 |
+34 |
+8.0% |
求人サイト |
293 |
303 |
+10 |
+3.6% |
||
人材紹介 |
100 |
117 |
+17 |
+16.8% |
||
その他 |
29 |
35 |
+7 |
+22.8% |
||
海外 |
売上高 |
162 |
136 |
-26 |
-16.2% |
|
全社調整 |
売上高 |
-6 |
-4 |
+2 |
– |
|
連結 |
売上高 |
677 |
730 |
+53 |
+7.8% |
* 単位:億円
売上高の面では、HR-Tech engageにおいて、企業KPIが順調に拡大している中で、プロモーション投資の強化により会員数も増加し、売上高が前期比85.2%増加する見込みである。人財プラットフォームでも、プロモーション投資の強化により売上高が同17.6%増加する見込みであり、ハイクラス領域での強固なポジションを構築する。国内既存事業においては、採用需要の回復継続に伴い、売上高が同8.0%増加する見込みであり、人材不足が解消する人材紹介が成長を牽引する。一方、海外既存事業では、売上高が前期比16.2%減少する見込みである。世界景気のスローダウンの影響によりインドのIT派遣事業とベトナムでも求人サイトを中心に売上高が減少する計画となっている。
営業利益の面では、プロモーション投資と人材投資の拡大により、HR-Tech engageと人財プラットフォームで赤字となる他、国内既存事業でも前期比減益が見込まれる。人財プラットフォームは赤字となるものの、赤字額が約10億円減少する予定である。また海外既存事業では、売上高が減少するもののコスト削減により、前期比増益を計画している。
(3)24/3期の費用計画
23/3期 |
24/3期 |
前期比 増減 |
|
原価 |
16,253 |
14,595 |
-10.2% |
販管人件費 |
15,430 |
18,895 |
+22.5% |
広宣販管費 |
20,106 |
21,509 |
+7.0% |
その他販管費 |
11,677 |
13,399 |
+14.7% |
総費用 |
63,466 |
68,399 |
+7.8% |
*単位:百万円
売上原価が前期比で減少するもののプロモーション強化に加え、積極的な人材投資の実施により総費用は前期比7.8%の増加となる。売上原価の減少は、IT派遣のインドFFI社の売上減少に伴う人件費の減少によるものである。販管人件費の増加は、中期経営計画の推進と今後の成長力向上のため人材投資を拡大するものである。広告宣伝費の増加は、engage、AMBIのプロモーション投資の強化によるものであり、広告宣伝費は過去最高水準となる。その他、代理店活用に伴い支払手数料が増加する一方で、海外事業の売上減少に連動して業務委託費は減少する見込みである。
(4)進捗率
23/3期第2四半期累計 実績 |
24/3期第2四半期累計 会社計画 |
進捗率 |
|
売上高 |
33,079 |
73,000 |
45.3% |
営業利益 |
1,081 |
4,600 |
23.5% |
経常利益 |
1,344 |
4,776 |
28.1% |
当期純利益 |
775 |
3,270 |
23.7% |
*単位:百万円
engageを中心とした求職者獲得のための広告宣伝費の増加や中期経営計画の達成に向けた人員増強とベースアップによる人件費の増加などが影響し、各段階利益の進捗率が低くなっているものの、期初時点の社内計画通りに進捗している。
(5)23/3期決算の一部修正
当社は、連結海外子会社である英才網聯(北京)科技有限公司の総経理による不適切な行為の疑義および社会保険料未納等に関する疑義の調査結果を受け、影響額を織り込み23/3期 決算内容の訂正を実施した。
|
23/3期 訂正前 |
23/3期 訂正後 |
訂正額 |
売上高 |
67,716 |
67,716 |
0 |
売上総利益 |
51,463 |
51,463 |
0 |
販管費 |
46,972 |
47,213 |
+241 |
営業利益 |
4,490 |
4,249 |
-241 |
経常利益 |
4,573 |
4,072 |
-501 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
2,813 |
2,695 |
-118 |
*単位:百万円
調査において確認された総経理による英才 JV の預金を私的に流用していたものについては、回収可能性が低いと判断し営業外費用として 2億60 百万円を計上、調査の過程で発覚した社会保険料等が一部未納となっているものについては、販管費として 2億40 百万円計上した。また親会社株主に帰属する当期純利益は、同社の英才 JV に対する持分が 51%であることから 1億18 百万円減少している。
(6)連結子会社の異動
(持分譲渡)
同社は、2023 年7月 24 日開催の取締役会において、同社の連結子会社である英才網聯(北京)科技有限公司の持分を譲渡することを決議した。持分譲渡の相手先は、英才網聯(北京)科技有限公司 の総経理で譲渡前において48.6%の持分を持つ株主である。譲渡価格は、約93,792 千円、持分譲渡実行日は2023 年7月 24 日、譲渡代金の送金手続きは2023 年9月 30 日までの完了を予定している。
5.今後の注目点
24/3期第2四半期累計決算では、計画通りの投資の実行により、投資事業で売上高とKPIが好調に推移していることが確認された。engageの売上高は、前年同期比96.7%増加し、人財プラットフォームの売上高も、前年度期比で19.7%増加した。積極的なプロモーション投資の実施により営業損失が続いているものの、好調な売上高を反映して、engageの営業損失は23/3期第4四半期(1-3月)以降縮小傾向が続いている。また、人財プラットフォームの営業損失も前年同期比で縮小した。engageにおいては、総アカウント数、有料アカウント数、公開求人数、有料求人数、会員数、MAU数が、AMBI・ミドルの転職においては、利用社数、求人数、会員数が同社の重要視するKPIである。HR-Tech engageでは、求人掲載ロジックの改善やメールマーケティングの運用改善により求職者のアクティビティが向上し、求職者会員数が大幅に増加している。また、採用決定率の向上により大口企業での有料利用が促進され、有料求人数も大幅に増加している。また、人財プラットフォームでも、7月のテレビCMなど、継続的なプロモーションにより認知度が向上し、想定より良いCPA(顧客獲得単価)で求職者を獲得でき、直接採用企業を中心に利用社数が増加している。HR-Tech engageと人財プラットフォームにおいて、好調なKPIがどれ位のインパクトで会社計画を上回る売上高の増加と営業損失の縮小に結び付くのか注目される。
一方で、既存事業は少し物足りなさを感じる。これは、エン派遣とEWJが苦戦していることに加え、エン転職の成長がスローダウンしていることが影響している。エン派遣はコロナ禍の特需の反動や法改正の影響による収益の落ち込みを回避すべく大手派遣会社が出稿を抑制したことが影響している。EWJは属人に頼った仕組みから組織力で収益をあげる体制の構築途上にある。また、エン転職は市場全体の緩やかな成熟に加え、engageの様な新しい採用手法が徐々に台頭してきていることが影響している。しかし、人手不足が続く中、大手派遣会社の出稿抑制がいつまでも続くとは考えられずいずれ出稿が回復してくるものと期待される。また、EWJは第1四半期(4-6月)よりも減収額が縮小しており、組織力強化の成果が見え始めている。更に10月以降、エン転職へ求人案件を掲載するとengageから求職の応募が可能となる。求人への応募の増加は顧客満足度の向上につながり、エン転職への求人案件の掲載増加に結び付くものと期待される。これら施策により、今後既存国内事業の成長性が高まるのか注目される。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
<組織形態および取締役・監査役の構成>
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 12名、うち社外6名 |
監査役 | 3名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日: 2023年8月25日
<基本的な考え方>
当社は、その事業を通じて、株主やクライアント等様々なステークホルダーをはじめ、広く社会に役立つ存在でありたいと考えております。そのために、当社グループ全体として経営環境の変化に対応できる組織体制を構築することを重要な施策と位置付けており、当社グループの健全な成長のため、コーポレート・ガバナンスの強化と充実を図り、公正な経営システム作りに取り組んでおります。また、役職員の倫理観・誠実さを高めることは、様々なステークホルダーの真の信頼を得るうえで、基本的な前提となると考えております。今後もコンプライアンスに関する教育の徹底等内部管理体制の更なる整備を進め、これを適正に機能させることによって、健全な経営を確保してまいります。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく主な開示>
【補充原則2-4 ①】
当社グループでは、画一的な視点や従来からの固定観念にとらわれないイノベーティブな事業創造のために、「多様な人材の活躍」が必要不可欠であると考えています。従来より注力している女性活躍推進に加え、グローバル人材紹介を手掛けるen worldを中心とした海外人材の採用、既存社員のキャリアパス多様化、LGBTフレンドリーな制度整備、障がい者雇用の促進など様々な施策を通じ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しております。
なお、当社では一般事業主行動計画(計画期間:2021年8月1日~2025年3月31日)において「女性管理職の割合を20%以上」を目標に掲げましたが、達成をしましたので新たな測定可能目標は設定しておりません。
実績値は以下の通りです。女性役員3名、女性管理職者比率が26.1%、中途採用者の管理職者比率42.8%(いずれも2023年6月1日現在)でありますが、「チャレンジ管理職制度」等の施策を通じ、それぞれの管理職者比率を現状より増加させるよう、取り組んでおります。また、当社グループでは外国人役員9名(2023年6月1日現在)の他、複数の外国人管理職者が在職しておりますが、在職者数を現状の維持又はより増加するように取り組んでまいります。。
【原則3-1】
(ⅰ)当社は、「誰かのため、社会のために懸命になる人を増やし、世界をよくする」をパーパス(社会における当社の存在意義)として掲げております。
(ⅱ)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方を当社ホームページに記載しております。
(ⅲ)当社の役員の報酬等の額は、株主総会で決議された報酬枠の範囲内で支給し、毎月の定期同額給与(基本報酬)によって構成されております。取締役の報酬(監査等委員である取締役を除く。)に関しては、社外取締役を主要な構成員とする任意の指名・報酬委員会が、確認・検証を行っており、その答申結果を踏まえ、取締役会により決定しております。各監査等委員である取締役の報酬に関しては監査等委員会の協議により決定しております。また、取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)に関しては、基本報酬の他に業績連動報酬(現金賞与)も定めております。これは、株主の皆様と業績向上によるメリット及び業績下落によるリスクを経営陣が共有する仕組みであり、事業年度ごとの業績向上に対する意識を高め、持続的な企業価値の上昇を図るインセンティブを有する報酬として位置付けております。なお、中長期的な業績連動報酬としての株式報酬型ストックオプションに関しては、2023年3月期に導入しております。
これにより、取締役の業績連動報酬実績および今後の想定に関しては下記の通りです。
(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)
2023年3月期 固定報酬68%、業績連動報酬32%
2027年3月期(予) 固定報酬56%、業績連動報酬44%
※2027年3月期以降の業績連動報酬は、目標指標に対して100%達成した前提で構成比を算出しています。
なお、業績連動報酬(現金賞与)の評価指標に関しては下記の通りです。
<各指標の評価ウエイト>
指標 評価ウエイト
連結売上高 40%
連結営業利益 40%
連結当期純利益 20%
<各指標の目標達成率に応じた支給率>
達成率 支給率
80%未満 0%
80%以上100%未満 50%
100%以上120%未満 100%
120%以上 120%
また、株式報酬型ストックオプションの評価指標に関しては下記の通りです。
<各指標の評価ウエイト>
指標 評価ウエイト
連結売上高 40%
連結営業利益 40%
連結当期純利益 20%
<各指標の目標達成率に応じた支給率>
達成率 支給率
90%未満 0%
90%以上100%未満 50%
100%以上 100%
(ⅳ)社内取締役(監査等委員である取締役を除く。)の選任については、当社の経営理念を共創し、その実現に向け、日々注力できていることを前提として、担当分野において高度な専門性を有するのみならず、経営環境の変化に対して迅速、柔軟且つ的確に対応できる効率性の高い経営システムを推進していくにふさわしい人材を指名しております。社外取締役の選任については、当社の経営理念に共感し、経営陣や特定の利害関係者の利益に偏ることなく、客観的な立場から独立性をもって経営を監視することが可能で、且つ幅広い見識をもった人材を指名しております。
社外を含めた取締役の解任については、職務の執行について善管注意義務・忠実義務を適切に果たしていないと認められる場合や当社の持続的な利益成長と企業価値向上に貢献していないと認められる場合等取締役としての資質に疑義が存在する場合は解任を検討することとし、不正または重大な法令違反等があった場合は、解任することとしております。
取締役(監査等委員である取締役を除く。)候補の指名に際しては、社外取締役を主要な構成員とする任意の指名・報酬委員会の意見を踏まえた上で、取締役会で検討し決定しております。また、監査等委員である取締役候補の指名に際しては、社外取締役の意見を踏まえ、且つ監査等委員会の同意を得た上で、代表取締役が提案した内容を取締役会で検討し決定しております。
(ⅴ)取締役候補者(監査等委員である取締役を含む)について、株主総会参考書類において経歴その他の事項を開示し、これと合わせてそれぞれの推薦の理由を開示しております。
〔取締役候補者(監査等委員である取締役を除く)推薦理由〕
第23期定時株主総会招集ご通知を参照
〔監査等委員である取締役候補者推薦理由〕
第22期定時株主総会招集ご通知を参照
【補充原則3-1 ③】当社グループのサステナビリティについての取組みやペーパーレス化やテレワークの推進などによる環境負荷軽減への取組み、人的資本や知的財産への投資等については、統合報告書(https://corp.en-japan.com/IR/annual.html)にて開示しております。また、気候変動緩和策・適応策として「環境基本方針」を定め、環境負担軽減への取り組みとともに当社ホームページ(https://corp.en-japan.com/sustainability/)にて公表しております。
気候変動に係るリスク及び収益機会について、気候変動が様々な企業の経済活動に影響を及ぼし、当社事業に間接的に影響する可能性があると認識しております。ただし、当社事業の特性を鑑みると、気候変動が当社事業に及ぼす直接的な影響は限定的であると考えております。しかしながら、地球環境の保護により持続可能な開発目標の達成を支援することは、重要な責務の一つであると考えて、GHG排出量削減を目的とした数値計測を実施しております。
【原則5-1】
当社では、代表取締役を中心としたIR体制を整備しており、経営企画室をIR担当部署としております。株主や投資家に対しては、決算説明会を四半期に1回開催するとともに、逐次、スモールミーティングや国内外において個別ミーティングを実施しております。