プラップジャパン(2449) 増収大幅な増益 収益性向上ができるか注目
鈴木 勇夫 社長 |
株式会社プラップジャパン(2449) |
企業情報
市場 |
東証スタンダード市場 |
業種 |
サービス業 |
代表取締役社長 |
鈴木 勇夫 |
所在地 |
東京都港区赤坂9-7-2 ミッドタウン・イースト8階 |
決算月 |
8月 |
HP |
https://www.prap.co.jp/ |
株式情報
株価 |
発行済株式数 |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
1,055円 |
4,679,010株 |
4,936百万円 |
9.0% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
40.00円 |
3.8% |
– |
– |
1,145.47円 |
0.9倍 |
*株価は11/13終値。各数値は2023年8月期決算短信より。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益についても黒字の計上を見込んでいるが、具体的な予想数値の開示は行っていない。
業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
EPS |
DPS |
2020年8月 |
4,759 |
241 |
260 |
174 |
43.56 |
40.00 |
2021年8月 |
8,211 |
312 |
336 |
140 |
34.82 |
40.00 |
2022年8月 |
6,274 |
439 |
441 |
157 |
39.26 |
40.00 |
2023年8月 |
6,635 |
730 |
747 |
436 |
99.88 |
40.00 |
2024年8月(予) |
7,170 |
790 |
– |
– |
– |
40.00 |
*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益についても黒字の計上を見込んでいるが、具体的な予想数値の開示は行っていない。
株式会社プラップジャパンの2023年8月期決算概要などをお伝えします。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2. 中期的な経営戦略
3.2023年8月期決算概要
4.2024年8月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 「世の中のあらゆる関係性を良好にする」ことをミッションとして、PRやマーケティングといったコミュニケーション領域でのコンサルティングサービスを日本・中国・東南アジアで展開。クライアントのコミュニケーション活動上の課題に対して、PR戦略策定やメディアリレーション等のサービスから、SNSマーケティングやデジタル広告等のサービスまでを包括的に提供している。
- 23年8月期の売上高は前期比5.8%増の66億35百万円。両セグメントとも増収。営業利益は同66.0%増の7億30百万円。売上総利益が増収率を上回る同17.7%の増加。販管費増を吸収し大幅な増益となった。クライアントからのPR・マーケティング案件の引き合いは引き続き旺盛。前期に実施した本社移転による賃料等の削減効果も寄与し収益力は大幅に改善した。サステナビリティや危機管理広報に関するコンサルティング、訪日外国人や海外進出日系企業を対象とした PR・マーケティング、SNS やデータ等を活用したデジタル PR・マーケティングなどの各種案件の受注がグループ各社で増加した一方、プラップジャパン単体でスポット案件の獲得が想定を下回ったことが影響し、売上高は予想レンジの上限を下回った。
- 24年8月期は、売上高は71億円70百万円、営業利益は7億90百万円の予想。今期もコミュニケーション領域におけるDX推進やクライアントへの提供価値の拡充を図る。そのため、多様な人材の採用・育成、多様な働き方への対応を進める。配当は前期と同じく40.00円/株を予定している。
- 収益力の回復が著しい。23年8月期の売上高総利益率は、22年8月期の35.5%を上回り39.5%となった。これを受け、営業利益率も11.0%と4期ぶりに2桁を回復した。24年8月期も11%と予想しており、成長投資を実施しながらも、デジタル領域の拡充等を通じて、さらに収益性向上を図ることができるかを注目していきたい。収益性という面では、子会社プラップノードの広報PR活動DX化ツール「PRオートメーション」のユーザー拡大の進捗にも期待したい。
1.会社概要
「世の中のあらゆる関係性を良好にする」ことをミッションとして、PRやマーケティングといったコミュニケーション領域でのコンサルティングサービスを日本・中国・東南アジアで展開している。クライアントのコミュニケーション活動上の課題に対して、PR戦略策定やメディアリレーション等のサービスから、SNSマーケティングやデジタル広告等のサービスまでを包括的に提供できる点を強みとしている。
【1-1沿革】
1970年に企業コミュニケーションのためのパブリシティ、編集制作を目的として設立。1978年には企画開発部を設立し、イベントの企画・運営、PRコンサルティングをスタートさせる。
日本におけるPR会社の草分けとして、PR、広告、マーケティングをはじめ、危機対応、メディアトレーニングも含め、幅広い業種・業界の多様なニーズを取り込んで成長し、2005年ジャスダックに上場。
M&Aや新規設立により中国、シンガポールなど海外も含めグループを構築し、広範なソリューションを提供している。
2022年4月、市場再編に伴い東証スタンダード市場に移行した。
【1-2 経営理念】
企業のPR・コミュニケーション活動を支援することで、企業と企業、企業と社員、企業と株主など、企業をとりまくさまざまなステークホルダーとの関係性を良好にし、より円滑な経済活動の実現、ひいては社会発展に貢献することを経営理念としている。
多様な価値観に寄り添う誠実で寛容な姿勢と、専門性を組み合わせた革新的な技術こそが、あらゆるコミュニケーション課題を解決すると考えており、今後も人格的な資質を磨き、サービス内容を進化させ続けることで、いちばん信頼されるコミュニケーション・コンサルティンググループを目指している。
MISSION | 世の中のあらゆる関係性を良好にする |
VISION | いちばん信頼されるコミュニケーション・コンサルティンググループ |
VALUES | 誠実で寛容な姿勢、専門性と革新性、社会への貢献 |
【1-3 事業内容】
(1)プラップグループ概要
株式会社プラップジャパンを中核とし、国内7社、海外5社の合計13社から成るコミュニケーションコンサルティング・グループを形成している。
主要業務 |
企業 |
日本市場における国内企業、外資系現地法人の広報全般をサポート | プラップジャパン
プラップコンサルティング ブレインズ・カンパニー ポインツジャパン トランスコネクト |
バイリンガルスタッフによる海外法人の日本市場に向けたマーケティング・広報をサポート | 旭エージェンシー |
多数の現地スタッフによる日本企業の中国・東南アジア市場におけるマーケティング・PRをサポート | プラップチャイナ
ブレインズチャイナ プラップポインツシンガポール WILD ADVERTISING & MARKETING |
シンガポールにあるグループ会社の経営管理を実施 | プラップアジア |
PR・広報領域のデジタルトランスフォーメーションをサポート | プラップノード |
デジタルマーケティングをワンストップでサポート | プレシジョンマーケティング |
(2)PRについて
「PR 発想であらゆるコミュニケーション活動を支援する」同社は、PRとは、ブランドとファンの絆を深める力であり、企業と生活者とのエンゲージメントを高める活動であると考えている。
①プラップジャパンが考えるPR発想
PRには「社会」「事実」「視点」の3要素が重要であると考えている。
「社会」との相互利益 | PRとは、企業と社会の間で相互に利益をもたらす関係を築くための戦略的なコミュニケーションである。経済的価値だけでなく、自社の商品やサービスが、いかにして世の中の課題解決に寄与するかという社会的価値の視点がPRには欠かせない。 |
「事実」をあぶり出す | 事実に基づくメッセージには信用を生み出す力があり、事実に基づくストーリーには人の心を動かす力がある。事実に基づく情報発信、隠れた事実を可視化するクリエイティブ企画など、PRは徹底的に事実にこだわる。 |
「視点」を変える | これまで見向きもされなかった情報を別の角度から見せることで、関心の対象に変え、既成概念を超えた考え方を提示することで、生活者の認識を変える。PRには、まったく新しい視点を創り出す力や、多様な視点で物事の捉え方を変える力が重要になる。 |
②PR活動の効果
PR活動によって、さまざまなステークホルダーの間で企業やブランドに対するポジティブな合意を形成する。
(同社ウェブサイトより)
③PR活動の流れ
企画 | PR戦略の策定
情報発信の企画立案 |
どのメディアに、どのようなメッセージで、どのようにアプローチしたらよいかについて、企業課題にあわせた適切なコミュニケーションの企画立案を行う。 |
↓ | ||
実行 | コミュニケーションの実施 | 同社が有する様々なサービスの中から、目的達成に向けた適切な手法を選択し実践する。 |
↓ | ||
結果 | 社会的評価の獲得 | 第三者評価としてのメディア露出やSNS上の口コミを創出し、話題喚起や信頼感を醸成する。 |
④契約形態
リテナー契約とプロジェクト契約に大別される。
リテナー契約 | コミュニケーションサービスにおいて最も標準的な契約形態で、半年間または1年間という期間を設定し、長期的なパートナーシップのもと、クライアントのコミュニケーション上の問題解決を総合的に図る。
原則としてマネジャーとメイン担当者等による「担当チーム」を組み、サービスを継続的に提供する。 担当スタッフのタイムチャージをベースに月額固定フィーを設定し、毎月活動フィーと活動経費・進行管理費を請求する。 |
プロジェクト契約 | 短期間で単一のプロジェクト業務に関する契約形態。
記者発表会やイベントへの取材誘致など、1-3ヵ月程度で実施するパブリシティ活動支援や、コミュニケーション戦略の立案プログラム、危機管理プログラム、メディアトレーニング、社内コミュニケーションプログラムなどコンサルティングサービス、クリエイティブサービス(イベント実施運営、広告/広報誌等の編集制作、ウェブ制作など)によるサポートなどがある。 活動や制作内容に応じてフィー・価格を設定し、企画・実施内容、運営規模、期間に応じて都度見積もりを提出する。 |
(3)事業セグメント
事業セグメントは「コミュニケーションサービス事業」と「デジタルソリューション事業」の2つ。
総合的なグループシナジーを発揮し、両事業の組み合わせによって差別化を図り新たな価値を提供している。
①コミュニケーションサービス事業
コミュニケーション戦略策定などのコンサルテーション、メディアやインフルエンサーとの関係性を構築するリレーション活動や、情報をメディアを通じてステークホルダーへ伝えるパブリシティ活動を含めた情報流通のデザインなど、コミュニケーション活動において包括的なサービスを提供している。
◎主なサービス
サービス項目 |
概要 |
PRコンサルティング | 各種調査・分析などデータに基づいてコミュニケーション課題を抽出し、戦略的なPRストーリー構築やメッセージ開発を行う。 |
メディアリレーション | メディアにとって最適な形で情報発信をすることで、クライアントとメディアとの信頼関係を構築する。 |
コーポレートコミュニケーション | クライアントの企業戦略やトップの意思をステークホルダーに正しく伝え、クライアントの社会的価値を高める。 |
マーケティングコミュニケーション | クライアントの商品やサービスについてターゲット層の認知を拡大し、ブランド力を高め購買につなげる。 |
インターナルコミュニケーション | クライアントの組織内における円滑な情報流通を促進することで、組織内の融和を図る一方、情報の共有化によりビジネス活動の活性化を図る。 |
インバウンドプロモーション | 観光・商業情報を中心に訪日外国人向けの情報発信から購買につなげる施策まで包括的にサポートする。 |
イベントコミュニケーション | 記者会見や芸能イベント、少人数のセミナーや試食会にいたるまで、話題化を意識して、メディア露出につなげるよう演出からプレゼンテーション内容まで支援する。 |
パブリックアクセプタンス | 環境問題や公共インフラの整備など、立場や地域差による様々な利害の対立を調整し、最適なコンセンサスを導き出す。 |
クライシスコミュニケーション | クライアントが直面するであろう事故や事件等のリスク要因の抽出、分析から危機対応マニュアルの作成、シミュレーション・トレーニングの実施、実際に起きてしまったクライシスの際のメディア対応まで、クライシスから企業を守るための適切なコミュニケーション対応全般をサポートする。 |
メディアトレーニング | 企業トップを対象に行うコミュニケーションスキル向上のためのトレーニング。クライシス対応、IRコミュニケーション、SDGs関連発表など、様々なケースを想定した実践的なトレーニングを提供する。 |
※事例紹介
同社が手掛けたPRプロジェクトの一部は以下のとおりである。
(同社ホームページより) https://www.prap.co.jp/case/
◎クライアント:通信機器メーカー
目的 | 一部のマニア向けのイメージが強かったスマートフォンを、「スタイリッシュで機能的」な商品としてイメージの転換を図りたい。 |
活動概要 | 従来のイメージを大きく変えるため、芸能人を使った新製品イベントの実施を提案。それまでのIT/ビジネス系ユーザーだけでなく20-30代女性を新たなターゲット層と設定し、若い女性からの支持をもつタレントを起用して「おしゃれ」「スタイリッシュ」「使い勝手がよい」とのイメージ訴求を行った。 |
成果 | 記者発表会では、TV、芸能、ライフスタイル系媒体の誘致に成功。今までリーチできなかった層に幅広くブランドと新製品の訴求ができ、さらにファッション雑誌での撮影小物としても使われるようになったことから、販売台数を大きく伸ばすことができた。 |
◎クライアント:外資系ソフトウェア企業
目的 | 日本法人設立にあわせて企業認知を高めたい。 |
活動概要 | 戦略説明会の開催、CEO来日時の主要ビジネスメディアによるインタビュー実施、製品ユーザーとのメディア会合に加え、プラップグループのサービスであるデジタルPRプラットフォームによる配信サービスを組み合わせ、戦略的に広報サポートを実施した。 |
成果 | 短期間で多数のメディア露出を獲得し、利用ユーザーが増加。さらにはユーザー事例がニュース素材として活用され、メディアからの問い合わせも増えるなどの波及効果を生んだ。 |
◎クライアント:電機メーカー
目的 | 中国市場においては後発となるBtoBメーカーではあるが、中国でも日本同様のブランド構築を図りたい。 |
活動概要 | 先行するメーカーを追随するため、ブランド戦略において、中国市場にあった計画に基づき活動を実施した。 |
成果 | ローカライズを重視し、PR体制、徹底した中国メディアに合わせたリレーションの構築、地域性を考慮したメッセージ発信、スポークスパーソンのメディアトレーニングなど、広報部門全体の活動をサポートした。 |
②デジタルソリューション事業
広報PRのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するクラウドツールの提供、デジタル広告やソーシャルメディアの運用、動画・バナー・WEBサイト等のクリエイティブ制作といったサービスを提供している。
◎主なサービス
サービス項目 |
概要 |
デジタルコミュニケーション | オンラインメディアやソーシャルメディアといったインターネットメディアにおいてクライアントの情報が効果的に取り上げられるようなコミュニケーション戦略を企画立案する。 |
ソーシャルメディア運用 | 情報拡散力が高いSNSを活用し、クライアントの商品やサービスの認知・理解を促進するためのマーケティング活動を行う。 |
デジタル広告運用 | 最先端のテクノロジーを活用し、クライアントの優良な顧客を最大化するため、効果的なインターネット広告運用を行う。 |
デジタルクリエイティブ | プロモーション動画やバナー広告素材、WEBサイトやLP(Landing Page)制作など、デジタル広告運用をより効率化するために必要なクリエイティブをターゲットや媒体に合わせて制作する。 |
広報PR活動DX化ツール(※) | リリース作成から配信・クリッピングまで、あらゆる広報・PR業務をひとつのプラットフォームで自動化できるPRのオールインワンクラウドサービスを開発し、サービスを提供している。 |
※広報PR活動DX化ツール「PRオートメーション」
子会社プラップノードがクラウドサービスとして提供する「PRオートメーション」は、顧客の広報PR活動を大幅に効率化・自動化し、広報担当者の業務負担を大幅に軽減する広報PR活動DX化ツールである。
(PRオートメーションの機能概要)
「PRオートメーション」は国内初の機能を多数採用し、「自動化」「効率化」「データドリブン」によってPRの進化を実現している。
「自動化」
企画づくり、リリース配信、記者データベースとリレーション活動の管理、クリッピングなど、あらゆる広報作業をわかりやすいフローで自動化し、一つのプラットフォームで完結させることができる。
* | リリースの作成からクリッピングまでPR業務のすべてを30以上の機能で支援する。わかりやすいフローで作業を進めることができる。 |
* | どのカテゴリーのメディアにどれくらい配信し、既読され、掲載があり、SNS反響があったのか、全てのデータは自動でリンクされる。煩雑な集計作業から担当者を解放する。 |
* | 「オートクリッピング機能」により、一つひとつの「リリースごと」にキーワード設定することができ、SNS反響もリリースごとに取得するため、再集計する必要がない。 |
「効率化」
リリース作成、配信後の分析・レポート作成など、膨大な時間がかかる作業を大幅に効率化する。過去のアプローチ歴から、リリースを閲覧し、記事化してもらえそうな記者の選定も簡単に行うことができる。
* | PRシーンごとに定型文を用意しているため、リリース作成にかかる時間も大幅に削減できる。リリースを閲覧した記者のリアルタイム通知や未読記者への再送もワンタッチで行うことができる。 |
* | 過去配信リストの統合(マージ)や革新的なタグ検索で配信先の選定も容易。自社所有のリストを最大10,000件インポートし、メンテナンスも効率的に行うことができる。 |
* | リリースの既読率やアプローチ歴、掲載記事をデータリンクさせて管理することでホット/コールドメディアを分類し、効率的なメディアアプローチを支援する。メディアのリリース閲覧をリアルタイムでモニタリングすることで、適切なアプローチのタイミングを捉えることができる。 |
「データドリブン」
複数の広報担当者が各自バラバラに管理してきた様々なデータを、一つのクラウドプラットフォームで統合管理し、見える化する。さらに、データを重要な指標や外部データと組みあわせて分析することで、データドリブンなPR活動を実現する。
* | 属人の経験やセンスに任せるのではなく、過去に成功したメディア露出のデータベースを活用して企画作りが可能。SNS反響を数値化した「日本のバズ」データ検索やシーズナリー企画のための記念日データなど、検索ボリュームの調査を通して効率的な企画づくり・タイトルづくりをサポートする。 |
* | 記者リストでは記者のプロフィール、所属するメディアとメディアカテゴリ、過去のリリースの既読数や既読率から執筆記事、アプローチ歴までをひと目でわかるよう管理している。電話や面会のステータス管理も実装しているので、広報PR担当者と記者との関係を見える化し、データドリブンなアプローチを実現する。 |
* | クリップ数、推定閲覧数、SNS反響数、広告換算など、さまざまな指標でPR成果と効果を見える化している。結果データだけにとどまらず、リリースの既読数や重要リンクのクリック数、アプローチ歴などプロセスデータも提供しているため、一つひとつの企画成功に向けた努力と成果を立体的に把握し、重要なインサイトを導くことができる。 |
(利用料、導入件数)
月額10万円(税抜)から利用可能で、予算や取得データ量、アクセスするユーザー数に応じて料金プランを設定。
課題や企業規模、目的などに応じて最適なプランを提案している。
2020年9月の提供開始以降、現在では350社超に導入されている。
(4)顧客企業
顧客と同社が直接取引を行う比率は、売上の約9割。そのうち約9割が国内外の上場企業である。
官公庁、重厚長大の化学メーカー、消費財メーカーなど、業種的な偏りはない。
一方で、薬事法やその他の規制・法令に厳密に適合した広告・PRを展開するノウハウが欠かせない医薬品・ヘルスケア分野では、長年の経験・知見の蓄積により大きなアドバンテージを有しており、クライアントの評価も高い。
【1-4 特徴と強み】
(1)強固な顧客基盤とPRの豊富なノウハウ・実績、幅広いサービス
業種や規模を問わず、国内外の幅広い顧客基盤を有し、上記のように直接取引を行う比率は、売上の約9割。そのうち約9割が国内外の上場企業である。また長期間にわたった契約関係にある顧客も多数である。
こうした顧客基盤をベースに、長年に渡り業界のトップリーダーとしてPRについての豊富なノウハウや実績・経験を有している。
また、サービス内容も、コーポレートPR、プロダクトPR、クライシスマネージメントなど幅広く、総合PR会社として顧客のニーズを確実に取り込むことができる。
(2)安定した収益力
多様なクライアントから成る強固な顧客基盤は安定した収益力に結び付いている。
2005年の上場以来、新型コロナ禍の環境下においても、毎期連続して黒字を達成している。
(3)時代の変化に合わせたソリューションの提供
1970年に企業コミュニケーションのためのパブリシティ、編集制作を目的としてスタートした同社は、その後、時代の変化や企業ニーズの多様化に応じて、イベントの企画・運営、PRコンサルティング、広告、マーケティング、危機対応、メディアトレーニングへとサービス内容を拡充させてきた。
現在はデジタル分野の強化を進めており、常にソリューションの多様化を図っている。
(4)誠実な姿勢
VALUESに「誠実で寛容な姿勢、専門性と革新性、社会への貢献」と掲げているように、顧客に対する誠実さを重要な価値と位置付けており、顧客からの信頼獲得、強固な顧客基盤形成の一因ともなっている。
【1-5 配当政策・株主還元】
利益配分に関しては、株主に対する安定した配当を継続していくだけではなく、将来の事業展開と投資計画のバランスをとりながら決定し、その上で、経営成績及び配当性向なども考慮して株主への利益還元を実施することを基本方針としている。
事業環境や投資機会を踏まえて、今後も安定的な配当実施に努める。
同社開示資料の範囲内では過去1度も減配を行っていない。
【1-6 ROE分析】
15/8期 |
16/8期 |
17/8期 |
18/8期 |
19/8期 |
20/8期 |
21/8期 |
22/8期 |
23/8期 |
|
ROE(%) |
13.3% |
11.8% |
12.7% |
14.1% |
9.8% |
4.1% |
3.3% |
3.5% |
9.0% |
売上高当期純利益率(%) |
7.191 |
7.000 |
6.663 |
7.892 |
6.646 |
3.658 |
1.707 |
2.505 |
6.576 |
総資産回転率(回) |
1.256 |
1.204 |
1.362 |
1.277 |
1.114 |
0.900 |
1.476 |
1.019 |
1.001 |
レバレッジ(倍) |
1.469 |
1.392 |
1.395 |
1.395 |
1.324 |
1.223 |
1.294 |
1.362 |
1.365 |
*22/8期より収益認識会計基準を適用
23/8期は売上高当期純利益率の上昇により、ROEは9%に回復し、目標である8.0%をクリアした。
持続的な収益拡大と機動的な株主還元策を通じた資本収益性の向上に今後も注力する。
*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
【1-7 サステナビリティ】
同社グループは、企業の公正なコミュニケーション活動をコンサルティングすることで、企業をとりまくさまざまなステークホルダーとの関係性を良好にすることをミッションに掲げ、より円滑な経済活動の実現、ひいては社会発展への貢献を目指している。
そこで、サステナビリティ経営への取り組みを強化するため、以下のような体制構築や取り組みを進めている。
(1)サステナビリティ推進・実行体制
国内主要グループ会社が参画するサステナビリティ推進委員会を設置し、グループとしてサステナビリティへの対応を組織的に推進し実装することで、クライアントへのコンサルティングに還元し、クライアントおよび同社グループの長期的な企業価値向上に積極的に取り組んでいる。
(同社資料より)
(2)マテリアリティ
「国際基準に基づく課題要素洗い出し」「重要度のスコアリング」を行い、以下の4つのマテリアリティ(重要課題)を決定した。
マテリアリティ |
概要 |
1.地域と産業の持続的な発展に貢献 | 環境や社会のサステナビリティを追求する企業・自治体の取り組みをコミュニケーションの側面からコンサルテーションすることで、持続可能な発展・成長に寄与します。 |
2.公正で多様性のある社会の実現 | 誰にとっても公正なコミュニケーションを展開することによって、多様な個を尊重しお互いを受容する社会を促進します。 |
3.インテグリティのある組織づくり | 誰からも信頼されるコミュニケーションコンサルティング・グループとして、コーポレートガバナンス・コンプライアンスを強化し健全な経営を行います。 |
4.「あしたの常識をつくる」人材育成 | 誠実で寛容な姿勢で社会と向き合い、真摯なコミュニケーションによって次世代につながる価値創造ができる人材を育成し、社会全体の公正なコミュニケーション環境構築に貢献します。 |
(3)主要な取り組み
①本業を通じて企業と社会の持続的な発展に貢献
SDGs の達成やサステナブルな社会の実現に向けた取り組みを企業が求められるようになっている中で、同社グループでは、サステナビリティに対する取り組みや、SDGs・ESG に関するコミュニケーション施策のサポートをしたプロジェクトを多数手掛けている。
広報コンサルティングやメディアトレーニングを提供するグループ会社では、企業がサステナブルな成長を中長期にわたってどう実現していくのかというストーリーを、いかに描き、どのように伝えるのかというコンサルティングを多数実施しており、中期経営計画発表会や ESG 説明会を想定した模擬会見のトレーニングが急増している。
同社では、2021年10月に専門チーム「プラップ・サステナビリティ&SDGsラボ」を立ち上げ、企業が抱える課題を解決すべくノウハウを提供しソリューションを開発している。中でも、企業のマテリアリティに即した施策について、施策の立ち上げから実行、情報発信までのフェーズをリードする「サステナビリティ・ゼロイチコンサルティング」は、同社が得意とするコンサルテーションスキルを活かした同社ならではのサービスである。
②誰もが働きやすい職場環境から多様性のある社会を実現
同社グループにおける2022年8月末の中核人材に関する主要データは以下のとおり。
管理職における女性比率 |
46.0% |
管理職における外国人比率 |
19.5% |
管理職における経験者採用者比率 |
86.2% |
女性管理職の割合は全国平均 9.4%、政府が目指す「30%」以上の企業は 1 割弱(※)のところ、同社グループにおける女性管理職比率は 46%、単体でも 34%と高い水準であり、性差による賃金格差もない。
また、グループ全体で管理職における外国人割合や経験者採用者の割合も高く、性別のみならず人種や雇用形態といった属性を問わず、必要とされる経験や能力等に基づいた公正な評価の結果により管理職への登用を行っている。さらに、LGBTQ などの性的マイノリティの社員が尊重される環境整備を推進している。
男女という枠を越え、多様な背景や価値観を持つ全ての社員がいきいきと活躍できることが、業務を通じて社会の発展に繋がると考えている。
※同社リリースより(帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査(2022 年)」2022 年 8 月 30 日発表)。
③取締役会のダイバーシティを推進
同社における取締役会構成に関する主要データは以下のとおり。
取締役の人数 |
7名 |
社外取締役 |
3名(うち独立役員2名) |
女性取締役 |
1名 |
外国籍取締役 |
1名 |
*22年8月期有価証券報告書、コーポレート・ガバナンス報告書(最終更新日:2022年12月6日)より
同社の取締役会は、他社での経営経験または同社グループの事業に係る豊富な経験、および財務会計、法務・リスクマネジメント、IT 等に関する専門知識をもつ、多様性のある取締役で構成されている。
多様な人材が意思決定に関わることで、グループシンク(集団浅慮)を緩和し、不確実性の高いビジネス環境においても管理・監督機能を向上させると考え、取締役のダイバーシティを推進している。
④社内外における「あしたの常識をつくる」人材育成
誠実で寛容な姿勢で社会と向き合い、PR 発想のコミュニケーションによって次世代につながる価値創造ができる人材を育成し、社会全体の公正なコミュニケーション環境構築に貢献するため、同社グループは社内外における人材教育に注力している。
<社内の教育制度>
同社では、「PRAP 大学」という人材育成プログラムを構築している。
①既存業務のスキルアップ、②階層別研修という 2 つの観点でプログラムを構成し、①においては、社内におけるケーススタディや実践的なスキルの獲得を社内講師によって提供する他、外部セミナーも活用して専門的知識を習得する機会を設けている。ケーススタディについては、グループ全体で知見の共有を行っている。
②の階層別研修では、職位別スキルセットに対応した能力・知識の習得を目的として、次世代リーダー育成や管理職研修プログラムを実施している。
<大学や学会での取り組み>
同社グループでは、社外での人材育成の機会も積極的に提供している。
慶應義塾大学での「広報・PR 論」講義や、上智大学の広報ゼミにおいて実務に関するセミナーなどを実施している。
また、日本広報学会に所属し、研究発表全国大会で発表したり、各調査研究会に参加したり、現場としての知見を共有している。これまで培ってきた戦略的コミュニケーションの豊富な知識や経験を活かし、アカデミアにも貢献している。
(4)サステナビリティに関連した受賞歴
こうした取り組みが外部からも高く評価されている。
主な受賞 |
概要 |
「PRIDE 指標」ゴールド | 同社は、LGBTQ 関連の取り組みを評価する「PRIDE 指標」において、最高評価である「ゴールド」を PR 会社で唯一 2016 年より連続で受賞している。 |
「D&I アワード 2022」 Best Workplace 認定
中小企業部門「D&I Award賞」受賞 |
企業のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みを評価する認定制度である「D&I アワード」において、2021 年から最高位ランクに連続で認定されている。
2022 年には、中小企業部門で「D&I Award 賞」を受賞した。 |
「みえない多様性 PROJECT」国内外の PR アワード受賞 | 片頭痛をはじめ、さまざまな健康課題に付随した症状に伴う、見えない不安や支障、つらさを抱えながら働く人と周囲の人が共に働きやすい職場づくりを目指すプロジェクトである「みえない多様性 PROJECT」において、2021年、クライアントとともに行ったプロジェクトが「ソーシャルグッド」のカテゴリーで国内外のアワードを受賞した。 |
2.中期的な経営戦略
(1)基本方針
PR活動よりもさらに広い範囲で企業・団体のコミュニケーションを支援する「コミュニケーションコンサルティング・グループ」への成長を目指している。
このビジョンを実現するため「コア事業拡大」「新規事業拡大」「人材強化」「経営力強化」の4つの分野への投資を続けており、特に今後も成長の見込めるデジタル領域のソリューション拡充、海外でのサービス提供は、同社グループの成長ドライバーと位置付けている。
(2)4分野における取り組み・課題
①コア事業拡大、新規事業拡大
* | 同社の強みであるヘルスケア、IT、危機管理広報コンサルティングなど専門性の高いコンサルティングサービスの提供 |
* | デジタル領域でのサービス強化、拡充、新規サービスの開発 |
* | PRとデジタル/マーケティングを融合したサービス開発 |
* | 中国、東南アジアでの提供可能サービスの拡大 |
* | 海外における新規拠点開発 |
②人材強化、経営力強化
* | 専門性を有する優秀人材の確保 |
* | 研修、人事交流など多種多様な経験を通した人材育成の機会の創出 |
* | 生産性向上のためのIT活用 |
* | 人的リソースの適正配置の推進 |
* | 多様な働き方への対応 |
3.2023年8月期決算概要
【3-1 連結業績】
22/8期 |
構成比 |
23/8期 |
構成比 |
前期比 |
予想レンジ |
|
売上高 |
6,274 |
100.0% |
6,635 |
100.0% |
+5.8% |
6,500~7,500 |
売上総利益 |
2,227 |
35.5% |
2,621 |
39.5% |
+17.7% |
– |
販管費 |
1,787 |
28.5% |
1,891 |
28.5% |
+5.8% |
– |
営業利益 |
439 |
7.0% |
730 |
11.0% |
+66.0% |
600~700 |
経常利益 |
441 |
7.0% |
747 |
11.3% |
+69.4% |
– |
当期純利益 |
157 |
2.5% |
436 |
6.6% |
+177.7% |
– |
EBITDA |
601 |
9.6% |
915 |
13.8% |
+52.2% |
– |
* 単位:百万円。EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額
増収、大幅増益も売上高は予想レンジの上限を下回る
売上高は前期比5.8%増の66億35百万円。両セグメントとも増収。
営業利益は同66.0%増の7億30百万円。売上総利益が増収率を上回る同17.7%の増加。販管費増を吸収し大幅な増益となった。
クライアントからのPR・マーケティング案件の引き合いは引き続き旺盛。前期に実施した本社移転による賃料等の削減効果も寄与し収益力は大幅に改善した。
サステナビリティや危機管理広報に関するコンサルティング、訪日外国人や海外進出日系企業を対象とした PR・マーケティング、SNS やデータ等を活用したデジタル PR・マーケティングなどの各種案件の受注がグループ各社で増加した一方、プラップジャパン単体でスポット案件の獲得が想定を下回ったことが影響し、売上高は予想レンジの上限を下回った。
【3-2 セグメント動向】
22/8期 |
構成比 |
23/8期 |
構成比 |
前期比 |
|
売上高 |
|||||
コミュニケーションサービス事業 |
5,392 |
85.9% |
5,720 |
86.2% |
+6.1% |
デジタルソリューション事業 |
882 |
14.1% |
915 |
13.8% |
+3.7% |
合計 |
6,274 |
100.0% |
6,635 |
100.0% |
+5.8% |
セグメント利益 |
|||||
コミュニケーションサービス事業 |
424 |
7.9% |
737 |
12.9% |
+73.7% |
デジタルソリューション事業 |
89 |
10.1% |
70 |
7.7% |
-20.6% |
調整 |
-73 |
– |
-78 |
– |
– |
合計 |
439 |
7.0% |
730 |
11.0% |
+66.0% |
* 単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。セグメント利益の構成比はセグメント利益率。
(1)コミュニケーションサービス事業
*国内
クライアントのニーズが高まっているサステナビリティ関連のコミュニケーションコンサルティング、豊富な経験と実績を有するヘルスケア・IT関連の案件などにおいて、収益性の高い案件を中心に受注を獲得した。
前期に実施した本社移転に伴うオフィス関連費用の削減効果も増益に寄与した。
*海外
営業体制の強化によって、中国事業は増収増益、東南アジアにおいては、訪日観光客向けプロモーションや日系企業の東南アジアでのマーケティング支援など、インバウンド・アウトバウンド案件の受注が拡大した。
(2)デジタルソリューション事業
プラップノードが提供する広報PR業務のSaaS型クラウドサービス「PRオートメーション」は、広報PRのDX推進に向けて、クライアントのニーズに対応した機能追加・改善を継続的に実施しながら堅調に導入クライアント数が増加。さらなるクライアント獲得に向けて適切な先行投資を実施した。
プレシジョンマーケティングが提供するデジタル広告やSNS運用などのデジタルマーケティング関連サービスの受注は継続して拡大している。
【3-3 財政状態】
◎財政状態
22年8月 |
23年8月 |
増減 |
22年8月 |
23年8月 |
増減 |
||
流動資産 |
5,000 |
5,720 |
+720 |
流動負債 |
1,347 |
1,453 |
+105 |
現預金 |
3,514 |
4,130 |
+615 |
仕入債務 |
688 |
607 |
-80 |
売上債権 |
1,188 |
1,165 |
-23 |
短期有利子負債 |
3 |
3 |
0 |
固定資産 |
1,406 |
1,131 |
-274 |
固定負債 |
140 |
100 |
-40 |
有形固定資産 |
185 |
199 |
+14 |
長期有利子負債 |
14 |
11 |
-3 |
無形固定資産 |
523 |
483 |
-40 |
負債合計 |
1,488 |
1,553 |
+64 |
投資その他の資産 |
697 |
449 |
-247 |
純資産 |
4,917 |
5,298 |
+380 |
資産合計 |
6,406 |
6,852 |
+445 |
株主資本 |
4,595 |
4,899 |
+304 |
負債純資産合計 |
6,406 |
6,852 |
+445 |
* 単位:百万円。
現預金の増加などで資産合計は前期末比4億円増加し68億円。
負債合計は同0.6億円増加し15億円。
利益剰余金の増加などで純資産は同3億円増加し52億円。
自己資本比率は前期末より0.1%上昇し73.3%となった。
【3-4 トピックス】
(1)サービス等
①「インフルエンサーリレーションズ」に関するサービス展開
企業やブランドと生活者のコミュニケーションにおいて、SNS上で影響力を持つインフルエンサーと関係性を構築したいというニーズが増加していることに対応し、インフルエンサーを活用したPR施策を数多く実施してきた経験を活かして、Z世代社員を中心とした若年層マーケティングに特化した社内横断チームを編成。インフルエンサー向けに情報提供を行う「インフルエンサーリレーションズ」サービスの提供を強化している。
②広報PR業務のDX化
生成AIなどの新たなテクノロジーの業務活用を目指し、プラップジャパンとプラップノードが連携して「デジタルPR研究所」をリニューアルした。
テクノロジーを活用して社内の生産性向上を図り、新規サービスの開発にも取り組む。
③サステナビリティPR専門チームが開発した「サステナビリティ・ゼロイチコンサルティング」
サステナビリティへの取り組みを具体化して情報発信するまでのフェーズを一貫してサポートする。
PR観点を交え施策プランニングを支援することで、企業のサステナビリティに対する取り組みの情報発信に貢献するほか、話題化するためだけの施策ではなく、本業とサステナビリティの本質を繋ぐ施策をプランニングする。
④IR・ESG関連文書の翻訳サービス
グループ会社のトランスコネクトでは、クライアントと海外ステークホルダーの間のコミュニケーションを支援するためのIR・ESG関連文書の翻訳サービスを提供している。
⑤PRパーソンの育成とスキルを生かす場を提供する「SCALE Powered by PR」に参画しPR業界の発展に貢献
2023年9月、株式会社本田事務所(東京都)が運営する成長型PR人材データベース「SCALE Powered by PR」(SCALE)の運営に参画すると発表した。
(SCALE概要)
2020年3月から始動したフリーランスや副業人材からなるPRパーソンと、PRニーズのある企業とをつなぐPR人材データベース。人材不足や多様な働き方の定着といった外部環境により、外部人材活用が進む中、SCALEの登録PR人材は2023年8月時点で1,200名を突破した。体系的な教育を受ける機会や、スキルを正しく評価するのが難しいというPR業界の課題に着目し、SCALEは業界初のスキル認定システムをベースとした教育プログラムを持ち、一流の講師陣をそろえたアカデミー「SCALE PR ACADEMY」を無償提供することで、継続的なスキルアップをサポートするのが特徴である。
(参画の内容)
今回、SCALEに参画するにあたり、これまで蓄積してきたプラップジャパンの知見を提供するとともに、プラップジャパンとしても専門性の高い外部人材の活用を積極的に推進し、より多様なクライアントの課題解決や事業成長を実現していきたいと考えている。
また、サステナビリティにおいて、PR人材を社内外で育成していくことをマテリアリティ(重要課題)のひとつとして認識しており、社内教育の拡充や大学で寄付講座を開講するなど、社内外で学びの場を提供することに注力している。
「SCALE PR ACADEMY」においては、プラップジャパンの社員が講師を務めることで、社会のPRパーソンに対する人材育成に寄与するとともに、PR業界の活性化と継続的な発展に貢献する考え。
第1弾として、2023年9月に、プラップジャパン取締役の吉宮拓が「SCALE PR ACADEMY 第4期 第5回講義」に登壇した。
(2)各種アワードの受賞
①プラップノードの「PRオートメーション」 が国際的なビジネスアワードを受賞
プラップノードが開発する広報DXツール「PRオートメーション」が、イノベーションを産んだサービスとして、スティービー・アジア・パシフィック賞の「Innovation in Business-to-Business Services」部門でブロンズスティービー賞を受賞した。
②Wild Advertising & Marketing がシンガポールのマーケティングアワードを受賞
シンガポールのマーケティング業界における創造的かつ効果的なプロジェクト/キャンペーンを選出するアワードにおいて、Wild Advertising & Marketing社が手掛けた政府系クライアントの案件が「B2B Marketing」と「Influencers / KOLs」の2部門でゴールドを受賞した。
(3)情報発信の強化
プラップジャパンのホームページ内においてPR支援事例に関する情報の拡充を進めている。
サステナビリティ、デジタルサービス、インバウンド、ヘルスケアなど、同社グループが強みとする領域を中心に事例を紹介して情報発信を強化する。
4.2024年8月期業績予想
【4-1 業績予想】
23/8期 |
構成比 |
24/8期(予) |
構成比 |
前期比 |
|
売上高 |
6,635 |
100.0% |
7,170 |
100.0% |
+8.1% |
営業利益 |
730 |
11.0% |
790 |
11.0% |
+8.2% |
* 単位:百万円。
増収増益を予想
売上高は71億70百万円、営業利益は7億90百万円の予想。
今期もコミュニケーション領域におけるDX推進やクライアントへの提供価値の拡充を図る。そのため、多様な人材の採用・育成、多様な働き方への対応を進める。
同社は、中長期的な業容拡大に向けたさまざまな投資を機動的かつ柔軟に実行する予定のため、レンジで業績見通しを開示している。経常利益及び当期純利益についても黒字の計上を見込んでいるが、具体的な予想数値の開示は行っていない。
配当は前期と同じく40.00円/株を予定している。
【4-2】
24年8月期の方針・取り組み
以下、5つの事業戦略を推進する。
(1)PR会社の枠を超えたサービスポートフォリオの構築
長年の歴史の中で培ってきたトラディショナルなPRサービスと、新たに加わったグループ各社のノウハウを活かしたコミュニケーションサービスを掛け合わせ、多様化するクライアントニーズに対応できるポートフォリオを構築する。
(2)既存事業強化 × 新サービス・事業開発
人材やテクノロジーへの投資を積極的に行うことで、クライアントへの提供サービスを持続的に改善させ、既存事業を強化する「知の進化」と、新規事業を展開する「知の探索」が融合した「両利きの経営」を推進する。
(3)海外事業の拡大
アフターコロナで需要拡大中のリアルイベントやインバウンド・アウトバウンド案件を獲得する。
外国人インフルエンサーのネットワーク拡充など提供サービスの強化を図る。
上海での営業強化、ベトナムでのクリエイティブ人材確保など、展開エリアの拡充を進める。
(4)デジタル領域の拡充
ニーズの高いデジタル広告、SNS運用、データ分析などのサービスに注力する。
市場拡大が見込まれるデジタル領域には、引き続き経営資源を積極投入する。
(5)M&A・アライアンスの推進
この数年間、デジタルサービスの事業領域を中心に、専門性の高いグループ会社が新たに加わったことで、サービスラインナップは拡大・拡充した。
今後も、PR発想のコミュニケーションコンサルティング・グループとして、クライアントが抱えるさまざまな課題に対し、グループ一丸で最適なソリューションを提供できる体制の強化を図るために、事業シナジーの高いM&Aやアライアンスの検討を積極的に進めていく。
5.今後の注目点
収益力の回復が著しい。23年8月期の売上高総利益率は、22年8月期の35.5%を上回り39.5%となった。これを受け、営業利益率も11.0%と4期ぶりに2桁を回復した。24年8月期も11%と予想しており、成長投資を実施しながらも、デジタル領域の拡充等を通じて、さらに収益性向上を図ることができるかを注目していきたい。
収益性という面では、子会社プラップノードの広報PR活動DX化ツール「PRオートメーション」のユーザー拡大の進捗にも期待したい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 7名、うち社外3名 |
監査役 | 3名、うち社外2名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2022年12月6日
<基本的な考え方>
当社は、長期安定的な株主価値の向上を経営の重要課題と位置付けており、会社の永続的な発展のために、経営の透明性、効率性及び健全性を追及してまいります。また、当社は、会社の社会的役割を認識し、法令を遵守するとともに株主をはじめ地域社会、顧客企業、社員などステークホルダーとの良好な関係の維持発展を図るために、経営の意思決定及び業務の執行に関しての責任の明確化を行い、企業自身の統制機能を強化していくこととしており、この基本的な考え方に沿って、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでおります。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【対象コード】
2021年6月の改訂後のコードに基づき記載しています。
原則 |
実施しない理由 |
|
【補充原則1-2⑤ 機関投資家の株主総会での議決権行使】 | 当社は、株主名簿に登録のない機関投資家等の実質株主が株主総会へ出席し、議決権の行使等を行うことは認めておりません。
今後につきましては、実質株主の要望や信託銀行等の動向を勘案し、必要に応じて信託銀行等と協議し検討してまいります。 |
|
【補充原則4-1② 中期経営計画のコミットメント】 | 当社は、中期経営計画を策定してグループ内で共有し、その目標達成に向け経営戦略や事業戦略の遂行に取り組み、取締役会において進捗状況を確認、適宜見直しをしております。しかし、激しく変化するビジネス環境の中で、中期的な業績予測を掲げることは必ずしもステークホルダーの適切な判断に資するものではないとの立場から、中期経営計画を開示しておりません。
当社の経営方針と経営戦略の概要については、有価証券報告書、決算説明会資料等により公表しております。 |
|
【補充原則4-1③ 最高経営責任者(CEO)等の後継者の計画】 | 当社は現在、代表取締役の後継者に関する具体的な計画は有しておりません。今後、取締役会において独立社外取締役の助言等を得ながら、後継者計画の要否も含めて検討してまいります。 |
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
原則 |
開示内容 |
【原則1-4 政策保有株式】 | (1)政策保有株式に関する方針
当社は、上場株式を政策的に保有する場合、取引の経済合理性を含めて当該企業との関係強化による収益力向上の観点から有効性を判断するとともに、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するかどうかを総合的に勘案し、取締役会で決議しております。
(2)政策保有にかかる検証、縮減に関する方針 取締役会にて政策保有株式について個々の株式の保有目的に合致しているか否かを確認するとともに、取引状況を把握し、また、当該企業の将来見通し等を検証のうえ、保有が当社企業価値・株式向上に資するか否かを都度確認していきます。保有合理性が著しく低い株式については適宜、縮減を進めてまいります。
(3)議決権の行使基準 当社は政策保有株式に係る議決権の行使については、上程された議案が当社の保有目的に合致しているか否か、当該企業価値・株式価値の向上に資するか否かを判断のうえ、行使することにしております。 |
【補充原則2-4① 社内の多様性の確保】 | 当社ウェブサイトにおいて、当社の人材における多様性の確保の方針と社内環境の整備の状況について公表しております。
<ダイバーシティ宣言> https://www.prap.co.jp/diversity/
当社グループの2022年8月末日時点の中核人材の登用等における多様性の確保の状況は、以下の通りです。 [管理職における女性の割合] 46.0% [管理職における外国人の割合] 19.5% [管理職における中途採用者の割合] 86.2% 当社グループでは、キャリア採用を積極的かつ継続的に行い、性別、国籍、年齢等を問わず、能力のある人材を採用しております。また、女性・外国人・中途採用者といった属性を問わず、必要とされる経験や能力等に基づいた公正な評価の結果により管理職への登用を行っていることから、中核人材の登用等における多様性の確保について測定可能な目標を設定しない方針としております。 |
【補充原則3-1③ サステナビリティについての取組み等】 | 当社は、サステナビリティ推進委員会を設置し、当社グループのサステナビリティに関する計画および実行を推進しております。
当社ウェブサイトにおいて、サステナビリティに関する方針、取り組みを開示しております。 <PRAP Group Sustainability> https://www.prapgroup.com/sustainability/ 人的資本への投資については、当社の事業強化には多くの優秀な人材の獲得及び育成が必須である、との考えから、人材強化を経営戦略の一部とし、積極的な専門人材の採用、社内教育機関「プラップ大学」による社内研修及び社外研修を活用した社員のキャリア育成、公正で柔軟な人事制度の導入、多様な働き方への対応等の施策を講じております。 |
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】 | 当社は、管理部門担当取締役のもと経営企画室をIR担当部門とし、法務および財務部門と常に連携が取れる体制を取っております。
株主との対話・面談については合理的な範囲で対応することとし、面談の目的・内容の重要性等により必要に応じて担当取締役またはIR担当者が対応しております。 対話を通じた株主からの意見は、必要に応じて経営陣へ報告する体制を取っております。 また、インサイダー取引防止規程に基づき、面談等における情報管理を徹底しております。 |