テー・オー・ダブリュー(4767) 増収増益 本格的な回復への兆し

2023/09/21
 

 

村津憲一 代表取締役社長

株式会社 テー・オー・ダブリュー(4767)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

サービス業

代表取締役社長

村津 憲一

所在地

東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル3F

決算月

6月

HP

https://www.tow.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

313円

40,272,344株

12,605百万円

3.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

14.00円

4.5%

22.74円

13.8倍

208.86円

1.5倍

*株価は9/4終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROE、BPSは23/6期実績、EPS、DPSは24/6期予想。数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年6月(実)

16,278

1,995

2,017

1,345

29.94

14.50

2020年6月(実)

19,325

2,316

2,332

1,584

35.26

16.75

2021年6月(実)

12,209

655

698

455

10.14

12.90

2022年6月(実)

11,134

883

924

598

13.22

14.00

2023年6月(実)

11,774

1,150

1,178

355

8.61

14.40

2024年6月(予)

14,000

1,370

1,400

915

22.74

14.00

*単位:百万円、円。予想は会社予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
* 2020年4月1日、1株を2株に分割。EPS、DPSは株式分割を反映。

 

 

(株)テー・オー・ダブリューの2023年6月期決算と2024年6月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.24/6期アクションプラン
3.2023年6月期決算
4.2024年6月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 23/6期は前期比5.8%増収、30.2%営業増益。東京2020オリンピック・パラリンピックの反動影響はあったものの増収を確保した。リアルイベント回帰の動きは社会経済活動の活性化に伴って徐々に力強さを増し、本格的な回復への兆しが見られた。オンラインプロモーション領域においては、デジタル広告市場の伸長等を背景に、堅調な伸びを示した。また、高付加価値の提供によるフィー型業務等が増加した。利益面では、売上総利益率は改善し、販管費率が大きく低下したことで営業利益率が前期7.9%から9.8%に向上した。退任役員に対する特別功労金を特別損失に計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は同40.6%減となった。期末配当は予想通り7.20円/株を実施。年間で14.40円/株。 
  • 24/6期は、前期比18.9%増収、19.1%営業増益を計画する。同社のコアビジネスであるリアル領域の本格的な回復の兆しを背景に、主力業種のイベント・プロモーションの増加を見込む。また堅調な成長が続くデジタル市場においてオンライン領域の更なる拡張を見込み、2桁増収を計画。利益面では、売上総利益については、高付加価値の提供によるフィー型業務および発注適正化による収益確保を引き続き推進する。販管費は、事業領域の拡大や同社グループの優位性及び独自性を強化するため、戦略的な人的資本へ投資、事業の成長に向けた重点テーマへの取組等の基盤整備のための費用投下を予定している。親会社株主に帰属する当期純利益については、前期の特別損失の影響が無くなることから大幅な増加となる見通し。配当は、前期の方針を踏襲し年間14.00円/株(うち上期末7.00円/株)とする予定。 
  • 23/6期は上期が前年同期比減収、経常減益であったが、3Q累計で増収増益に転じ通期では更に増収増益率が拡大。四半期毎に回復基調を強めた。コロナ関連による規制もほぼなくなり、広告主がリアルプロモーション活動を本格的に再開したことにより、リアルイベントが活性化。同社事業に大きな影響を与える大型展示会等のイベントは上期に多い傾向であり、24/6期上期の売上予想は24.6%増収の7,962百万円、経常利益は43.2%増益の970百万円と大幅な増収増益の見通しであり、通期予想でも3期連続の2桁経常増益予想である。今期から来期にかけては、更なる上乗せ余地が考えられる。今期予想EPSは拡大する見通しであるが株価は低調に推移している。低位にとどまるPERや配当利回りから考慮しても見直し余地は大きいと思われる。株主還元がより強化されていることも注視したい。 

1.会社概要

広告業界のイベント・プロモーション分野で独立系No.1、上場市場は東証プライム。記者発表会、PRイベント、展示会、文化・スポーツイベントの、企画・制作・運営を強みに事業規模を拡大。リアルで培ったプロデュース力に加え、2000年代初期からデジタル分野に取り組み、オフライン、オンラインを問わず、「体験価値(※)」をコアにしたプランニング力とプロデュース力を駆使し、「魅力的なコンテンツを創る力」と「プラットフォームを活性化する力」を発揮することで、新規顧客の獲得、既存顧客の育成・活性化につなげることに成功してきた。
顧客の成長に貢献する『TOW体験デザインモデル』の開発に取り組み、提供価値の拡張とビジネスの成長を実現し、新たな企業像として『新しい時代の体験を創る、成果をデザインするプロダクション』を目指している。
(※)体験価値とは、情緒的価値・感性的価値・機能的価値を含めて顧客心理に訴えかける価値を指す。

 

グループは同社の他、イベントの制作・運営・演出及び映像制作を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブの連結子会社1社(23年6月末現在)。尚、23年7月にCM制作会社である(株)モットを新たに連結子会社化した。

 

 

 

【事業内容】

イベント及びプロモーションの企画から実施まで
イベント及びプロモーションは、主催者や広告主が何らかの目的(対象者に情報を発信したいとの意図)を持った時点で案件が発生する。
同社は、主催者や広告主よりその目的についての説明を受け、分析や調査を経て戦略や企画の作成に入り、その後、幾度かのミーティングを繰り返すことにより、当初の企画から基本計画、実施計画、詳細計画へと段階的に移行し、最終的には手法に応じた成果物となり、各種資料に従って準備を進め、イベント及びプロモーションを実施する。

 

同社の業務範囲
上述の企画から実施までを受注し、「分析・調査」・「戦略立案・コンセプト策定」・「企画提案」・「実施制作」・「効果検証」並びにそれに付帯する業務を行うが、それぞれの課題に応じて多くの手法がある。
リアルイベント、オンラインイベント、動画制作、SNSキャンペーン、デジタル広告運用、デジタルメディア運用、SNSアカウント運用、デジタルサービスUX設計、PR、SP等、それぞれの領域の専門業者を外注先として業務ごとに発注し、プロモーション全体をトータルにプロデュース、ディレクションすることで主催者や広告主の意図することを生活者に伝えることが同社の業務である。
なお、株式会社ティー・ツー・クリエイティブは、このうちイベントの「制作」・「運営」・「演出」を主として行っている。

 

パーパス
同社の普遍的な強みである「体験価値」を軸にしながら顧客・生活者・社会に貢献したい、という想いを込めてパーパスを制定。
 

(同社資料より)

 

パーパスの実現に向けて強化テーマを設定。統合プロモーションの更なる強化のために領域拡張に取り組む。

【強化テーマ】

不確実性の高い時代の中で持続的に成長するために、社会・産業を根本から変革するテクノロジー「AI」及び、ESG・SDGsを背景に取り組みが加速する「環境」に注力

 

【領域拡張】

デジタル領域(SNS・デジタル広告他)に続き、

「映像」「OOH」領域も拡張

 

 

(同社資料より)

 

サステナビリティに関する基本スタンス
パーパス「新しい時代の体験を創る。」を実現するために、クライアントビジネスを通じて持続可能性の好循環を追求する

(同社資料より)

サステナビリティ方針
社員一人一人が創り出す体験を通じて企業課題・社会課題に向き合い、持続的に成長する会社へ

 

 

 

パーパスのもとに、

4つの重要テーマをマテリアリティとして特定し、

これらの重要課題に取り組むことで、

「持続可能な社会への貢献」と

「持続的な企業価値の向上」の両立を目指す。

(同社資料より)

 

マテリアリティと推進体制
サステナビリティ委員会を設置し、重点課題に関する全社方針や目標の策定、推進体制の構築・整備を進める。

 

・・・新しい時代の体験を創る多様な人材が活躍できる会社を目指す
●社員の一層の成長と活躍に応える人事評価制度のアップデート
●社員教育(ナレッジ共有・階層別育成・専門性スキリング)
●女性活躍の推進
・女性リーダー育成、社内ベンチャー制度の活用
・えるぼし認定の申請
●働く環境の整備

・・・テクノロジーを活用し、体験領域の進化をリードする
テクノロジーの進化に対応しながら新しい価値を提供

・・・自社サービスの向上に取り組み、クライアントビジネスを通じて社会貢献・環境貢献を実践

・・・企業の社会的責任を認識し、コンプライアンスを遵守する
「企業倫理と法の遵守」 「適切な情報管理」 「環境問題への適切な取り組み」 「職場環境の維持・向上」

 

2.中期的取り組み

 

(同社資料より)

(同社資料より)

 

 

 

3.2023年6月期決算

(1)連結業績

 

22/6期

構成比

23/6期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

11,134

100.0%

11,774

100.0%

+5.8%

12,000

-1.9%

売上総利益

1,733

15.6%

1,900

16.1%

+9.6%

販管費

850

7.6%

750

6.4%

-11.8%

営業利益

883

7.9%

1,150

9.8%

+30.2%

1,076

+6.9%

経常利益

924

8.3%

1,178

10.0%

+27.5%

1,200

-1.8%

親会社株主に帰属する

当期純利益

598

5.4%

355

3.0%

-40.6%

289

+23.1%

*単位:百万円。数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前期比5.8%の増収、同27.5%の経常増益
売上高は前期比5.8%増の117憶74百万円。東京2020オリンピック・パラリンピックの反動影響はあったものの増収を確保した。リアルイベント回帰の動きは社会経済活動の活性化に伴って徐々に力強さを増し、本格的な回復への兆しが見られた。オンラインプロモーション領域においては、デジタル広告市場の伸長等を背景に、堅調な伸びを示した。また、高付加価値の提供によるフィー型業務等が増加した。
営業利益は前期比30.2%増の11億50百万円。利益面では、売上総利益率は前期から改善し、売上総利益は同9.6%増の19億円。販管費率が退任役員の役員報酬や役員退職慰労引当金繰入額の減少に伴い、前期7.6%から6.4%に大きく低下、販管費が前期比11.8%減の7億50百万円となったことで営業利益率が前期7.9%から9.8%に向上した。営業外では受取配当金の減少などがあり、経常利益は同27.5%増の11億78百万円。退任役員に対する特別功労金6億47百万円を特別損失に計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は同40.6%減の3億55百万円となった。

 

カテゴリー別売上高
リアルイベントが大幅に回復、オンラインプロモーションは堅調に増加

 

22/6期

23/6期

 

売上高

構成比

売上高

構成比

前期比

リアルイベント

4,563

41.0%

6,269

53.2%

+37.4%

オンラインイベント

2,786

25.0%

1,504

12.8%

-46.0%

オンラインプロモーション

3,586

32.2%

3,723

31.6%

+3.8%

その他

197

1.8%

277

2.4%

+40.3%

合計

11,134

100.0%

11,774

100.0%

+5.8%

*単位:百万円。

 

①リアルイベント・・・前期比37.4%増の62億69百万円。社会経済活動の活性化、生活行動の活発化に伴いリアルイベント、リアルプロモーションへの回帰が進んだことにより大幅増収となった。
②オンラインイベント・・・同46.0%減の15億4百万円。オンラインイベントからリアルイベントへの転換に加え、前期に実施した大型イベントが減少したことにより減収となった。
③オンラインプロモーション・・・同3.8%増の37億23百万円。SNS・動画活用プロモーション・デジタル広告等の引き合いによって堅調に推移した。
④その他・・・同40.3%増の2億77百万円。官公庁・団体からの案件を受注した。

 

業種別売上高
デジタルプラットフォーマー等の新たな主力業種伸長、自動車を除く主力業種に回復の兆し

 

 

22/6期

構成比

23/6期

構成比

前期比

情報・通信

2,340

21.1%

2,648

22.6%

+13.2%

自動車

1,787

16.1%

1,538

13.1%

-14.0%

食品・飲料・嗜好品

1,320

11.9%

1,562

13.3%

+18.3%

化粧品・トイレタリー・日用品

1,037

9.3%

1,266

10.8%

+22.0%

官公庁・団体

1,127

10.2%

986

8.4%

-12.5%

金融

734

6.6%

630

5.4%

-14.3%

交通・レジャー

1,006

9.1%

1,116

9.5%

+10.9%

精密機器その他製造

936

8.4%

745

6.3%

-20.5%

流通・小売

374

3.4%

532

4.5%

+42.2%

その他

428

3.9%

719

6.1%

+68.0%

合計

11,093

100.0%

11,745

100.0%

+5.9%

上記のうち、ゲーム案件

882

8.0%

1,010

8.6%

+14.5%

*企画売上高を除く
*単位:百万円

 

●情報・通信は、デジタルプラットフォーマーの伸長もあり、拡大傾向が続く
●食品・飲料は、オンラインプロモーションに加え、リアルイベントの回復もあり増加
●自動車は、世界的な半導体供給不足の影響もあり、回復が遅れる
●化粧品・トイレタリー・日用品は、生活行動の変化に伴い、増加傾向
●官公庁・団体は、東京2020オリンピック・パラリンピック案件の影響もあり、減少
●ゲーム関連は、引き続き堅調

 

価格帯別案件数・案件単価
案件本数が堅調に回復、中規模案件本数が増加

 

22/6期

23/6期

前期比増減

 

金額

件数

金額

件数

金額

件数

~1,000万円

2,703

1,014件

3,054

1,169件

+350

+155件

1,000万円~2,000万円

2,113

148件

2,448

172件

+335

+24件

2,000万円~5,000万円

2,529

87件

3,451

116件

+922

+29件

5,000万円~1億円

1,074

16件

1,791

26件

+717

+10件

1億円~

2,672

15件

998

7件

-1,673

-8件

合計

11,093

1,280件

11,745

1,490件

+651

+210件

案件単価

8.6

 

7.8

 

-0.7

 

*企画売上高を除く。金額の単位は百万円

 

案件数が増加:前期比+16.4%
中規模案件本数が伸長し売上を後押し

2,000~5,000万円の案件数:前期比+33.3%5,000万~1億円の案件数:前期比+62.5%

大型案件本数及び案件単価については、東京2020オリンピック・パラリンピックの反動影響等で減少

(2)財政状態及び

キャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

22年6月

23年6月

 

22年6月

23年6月

現預金

8,590

5,781

仕入債務

1,087

990

売上債権

2,132

2,459

短期借入金

840

840

未成業務支出金

131

233

未払法人税等

267

66

未収入金

528

868

退職給付負債・役員退職慰労金

454

312

前払費用

97

143

負債

3,219

2,767

流動資産

11,537

9,548

純資産

10,544

8,427

投資その他

2,005

1,454

負債・純資産合計

13,764

11,194

固定資産

2,226

1,645

有利子負債合計

840

840

*単位:百万円。未収入金:ファクタリング方式により譲渡した売上債権の未収額

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

23/6期末の総資産は、自己株式の取得を行ったことから前期末比(以下同)25億69百万円減少し、111億94百万円となった。
流動資産は、同19億88百万円減の95億48百万円。これは主に、現預金が28億8百万円減少したこと等によるもの。
固定資産は、同5億81百万円減の16億45百万円。固定資産のうち有形固定資産は、同28百万円減の1億64百万円。これは主に、従業員社宅の売却、減価償却等によるもの。無形固定資産は同2百万円減の26百万円。これは主に減価償却等によるもの。投資その他の資産は、同5億51百万円減の14億54百万円。これは主に、投資有価証券が3億35百万円、保険積立金が2億7百万円減少したこと等によるもの。
流動負債は、同2億33万円減の23億65百万円。これは主に、未払法人税等が2億円減少したこと等によるもの。
固定負債は、同2億18百万円減の4億1百万円。これは主に、役員退職慰労引当金が1億70百万円、繰延税金負債が70百万円減少したこと等によるもの。
純資産は、同21億17百万円減の84億27百万円。これは主に、自己株式の取得等により16億26百万円、利益剰余金が2億99百万円減少したこと等によるもの。
自己資本比率は前期末比1.3ポイント減の75.1%となった。

 

キャッシュ・フロー

 

22/6期

23/6期

前期比

営業キャッシュ・フロー

1,555

-717

-2,272

投資キャッシュ・フロー

-24

211

+236

フリー・キャッシュ・フロー

1,530

-505

-2,036

財務キャッシュ・フロー

-520

-2,303

-1,782

現金及び現金同等物期末残高

8,590

5,781

-2,808

-32.7%

*単位:百万円

 

23/6期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比28億8万円減少し、57億81百万円となった。
営業CFは7億17百万円の支出(前期は15億55百万円の収入)となった。これは主に、税金等調整前当期純利益が5億53百万円であったが、特別功労金の支払額が6億47百万円、法人税等の支払額が4億77百万円、売上債権の増加額が3憶26百万円あったこと等によるもの。
投資CFは2億11百万円の収入(前期は24百万円の支出)となった。これは主に、保険積立金の解約による収入が2億31百万円あったこと等によるもの。
財務CFは23億3百万円の支出(前期は5億20百万円の支出)となった。これは主に、自己株式の取得による支出が16億94百万円、配当金の支払額が6億8百万円あったこと等によるもの。

 

 

4.2024年6月期業績予想

(1)連結業績

 

23/6期 実績

構成比

24/6期 予想

構成比

前期比

売上高

11,774

100.0%

14,000

100.0%

+18.9%

営業利益

1,150

9.8%

1,370

9.8%

+19.1%

経常利益

1,178

10.0%

1,400

10.0%

+18.7%

親会社株主に帰属する

当期純利益

355

3.0%

915

6.5%

+157.4%

*単位:百万円

 

24/6期は前期比18.9%増収、18.7%経常増益を見込む
24/6期は、売上高が140億円(前期比18.9%増)、営業利益13億70百万円(同19.1%増)、経常利益14億円(同18.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億15百万円(同157.4%増)を計画する。
同社のコアビジネスであるリアル領域の本格的な回復の兆しを背景に、主力業種のイベント・プロモーションの増加を見込む。また堅調な成長が続くデジタル市場においてオンライン領域の更なる拡張を見込み、2桁増収を計画。利益面では、売上総利益については、高付加価値の提供によるフィー型業務および発注適正化による収益確保を引き続き推進する。販管費は、事業領域の拡大や同社グループの優位性及び独自性を強化するため、戦略的な人的資本への投資、事業の成長に向けた重点テーマへの取組等の基盤整備のための費用投下を予定している。親会社株主に帰属する当期純利益については、前期の特別損失の影響が無くなることから大幅な増加となる見通し。
予想配当は、引き続き連結配当性向換算で50%を上限とするという方針を一時的に撤廃し、決算発表日の前日(23年8月8日)の終値に株価配当利回り4.5%を乗じて算出された14.0円が最低配当金となる。従って、年間配当金は14.00円/株(うち上期末7.00円/株)とする予定。

 

(2)カテゴリー別の見通し

リアル比率を伸ばしつつ、オンラインも拡大させて、トップラインを上げていく

(同社資料より)

 

(3)取り組み

24/6期の環境認識
社会経済活動及び生活行動の活性化に伴い、マーケティング活動が活性化。このため、当社のコアビジネスであるリアル領域の再開が見込まれ、デジタル市場は引き続き堅調に成長すると予測される。

 

行動意識の変化・人流回復の機を捉え

リアル領域の復活・拡大を目指す

×

今後も成長するデジタル市場の流れを捉え

更なるオンライン領域拡張を推進

 

24/6期に向けて、同社への好影響の兆しが顕在化

 

リアルを中心としたマーケティング活動への取り組み

(同社資料より)

 

デジタルを中心とした統合プロモーションへの取り組み

(同社資料より)

 

 

5.今後の注目点

23/6期は上期が東京2020オリンピック・パラリンピック関連の大型案件の反動を主因に、前年同期比減収、経常減益であったが、3Q累計で増収増益に転じ通期では更に増収増益率が拡大。四半期毎に回復基調を強めた。コロナ関連による規制もほぼなくなり、広告主がリアルプロモーション活動を本格的に再開したことにより、リアルイベントが活性化。同社事業に大きな影響を与える東京ゲームショウ(9月やジャパンモビリティショウ(10月)などの大型イベントは上期に多い傾向であり、23/6期実績の上下比率は概ね55:45である。24/6期上期の売上予想は24.6%増収の7,962百万円、経常利益は43.2%増益の970百万円と大幅な増収増益の見通しであり、通期予想でも3期連続の2桁経常増益予想である。今期から来期にかけては、更なる上乗せ余地が考えられる。
一方で前期の特別損失の影響が無くなるため、今期予想EPSは大きく拡大する見通しであるが株価は低調に推移している。低位にとどまるPERや配当利回りから考慮しても見直し余地は大きいと思われる。尚、昨年9月には発行済株式数の12.1%、550万株にのぼる大規模な自己株式の取得を行っており、株主還元がより強化されていることも注視しておきたい。

 

<参考1:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

8名、うち社外4名(独立社外取締役4名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書 更新日: 2022年9月30日
基本的な考え方

 

当社では、コーポレート・ガバナンスの意味を「企業価値の継続的な向上を目指して、経営層による適正かつ効率的な意思決定と業務執行、並びにステークホルダーに対する迅速な結果報告、及び健全かつ公正で透明性の高い経営を実現する仕組みの構築・運用」と考えております。
株主をはじめ、顧客、従業員その他のステークホルダーに対する責任を果たすとともに、当社の継続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、以下の基本方針に則って、実効性あるコーポレート・ガバナンスを実現してまいります。

 

1.株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、適切に協働する。
3.会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
4.取締役会による業務執行に対する監督機能の実効性を向上させる。
5.中長期的な株主の利益と合致する投資方針を有する株主との間で建設的な対話を行う。

 

<実施しない主な原則とその理由>

 

【補充原則3-1-2 英語での情報開示・提供】
当社は英語版の事業報告書を作成するとともに開示しておりますが、今後につきましては、当社の株主における機関投資家や海外投資家の比率などの動向を踏まえ、決算説明会資料、招集通知記載内容等についても英語での情報提供を検討してまいります。

 

【補充原則3-1-3 サステナビリティについての取組み】 
【補充原則4-2-2 サステナビリティを巡る取組みに関する方針の策定】当社のサステナビリティに関する方針、取り組みについて、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響の開示については、会社の適正規模を踏まえ業界動向に鑑み、TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づき実施できるよう、取締役会を中心として必要に応じて今後の検討を進めてまいります。

 

 

【補充原則4-1-2 中期経営計画に対するコミットメント】
【原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表】
当社は、単年度の業績目標の達成を最重要課題としており、また事業環境の不連続性から中期経営計画の策定は現在凍結しておりますが、2021年6月期 第2四半期決算説明会において事業成長ビジョンを策定、公表しております。なお、持続的な成長を実現していくためにも、中期的な視点に立った経営ビジョンの策定や戦略立案が重要であると考えており、業界環境の動向、施策の効果検証の確信がもてた段階で公表を検討いたします。

 

【補充原則4-10-1任意の諮問委員会設置による独立社外取締役の適切な関与・助言】
取締役等の指名・報酬等に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するために、指名・報酬等の検討に際しては、独立社外取締役との連携を深める等、より公正で、透明性の高い検討と手続きが実施できることを目指した体制整備の検討を進めます。なお、任意の諮問委員会については、必要性に応じ検討してまいります。

 

 

 

 

<開示している主な原則>

 

【補充原則1-2-4 議決権の電子行使対応等】
当社は機関投資家や海外投資家による議決権行使に配慮し、第46期定時株主総会からインターネットによる議決権行使を可能としております。

 

【原則1-4 政策保有株式】
当社の純投資目的以外の投資を行う際の基本方針は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社の統合プロモーション事業におけるシナジー効果が期待されることであり、中長期的な視点で価値向上を図るために、取引先との関係強化の観点等を踏まえ、効果が見込まれると判断した場合に限り、必要最小限の上場株式を保有することとしています。政策保有株式の議決権の行使については、適切な対応を確保するために、議案毎に、保有先企業の中長期的な企業価値の向上、当社及びグループ会社の中長期的な経済的利益の増大等の観点から総合的に判断するものとし、主要な政策保有株式については、議決権行使の状況を取締役会に報告します。

 

【原則2-3 社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題】当社取締役会は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題であると認識し、環境管理委員会をはじめとする各委員会でこれらの課題に積極的に取り組んでおります。特に環境課題については2000年から取り組みを継続しており、当社ホームページにも情報を開示しております。https://tow.co.jp/iso/

 

【原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
社外取締役候補者の選任にあたっては、東京証券取引所が定める独立性基準を満たす者としています。

 

【補充原則4-11-1 取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方】
当社は、定款により、取締役の員数を14名以内と定めており、2022年9月末現在8名(うち社外取締役4名)で取締役会を構成しています。取締役会を構成するメンバーについては、経験、知見、能力等における多様性に配慮しています。スキルマトリックスについては、株主総会招集ご通知においても開示しております。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主・投資家との双方向の建設的な対話を促進し、これにより当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた実効的なコーポレート・ガバナンスの実現をはかることを、当社の責任を果たす上での最重要課題の1つと位置付けます。このような考えに基づき、当社は以下のような施策を実施します。

 

1.株主との対話に関する担当取締役の指定
当社は、経営トップ自らが株主との対話に取り組み、管理本部長がIR実務を統括します。

 

2.社内部署の有機的な連携のための方策
当社は、IR担当部署でもあるコーポレートサービスチームが経理チームと日常的に打ち合わせや意見交換を実施しており、開示資料作成に際しても連携し、経営トップを交えて内容の検討を行っております。

 

3.個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
当社は、株主総会を株主との重要な対話の場と位置付け、株主総会において、当社事業に関する十分な情報開示の確保をはじめ、株主の皆様からの信認を得られるような運営につとめます。
また、当社は、定期的に決算説明会を開催することにより、株主・投資家の皆様とのより緊密なコミュニケーションの実現につとめます。

 

4.株主の意見・懸念のフィードバックのための方策
当社は、株主・投資家との対話において把握されたご意見や当社に関する懸念を担当部署において取りまとめ、その重要性や性質に応じ、これを定期的に経営陣幹部や取締役会に報告するための体制を整備します。

 

5.インサイダー情報の管理に関する方策
当社は、株主・投資家の実質的な平等性を確保すべく、公平な情報開示につとめることを基本方針とします。当該方針に基づき、当社に関する重要情報については、適時かつ公平にこれを開示することとし、一部の株主・投資家に対してのみこれを提供することがないよう、その情報管理の徹底につとめます。

 

<参考2:対処すべき課題と取り組み>

対処すべき課題
◎2024年6月期における取り組み
当社グループがおかれている市場環境は、社会経済活動及び生活行動の活性化に伴い、マーケティング活動においてもリアル領域の再開が見込まれるとともに、デジタル市場においても引き続き堅調な成長をしていくと認識しております。これまでもリアル・オンラインの両領域の拡張を推進してまいりましたが、2024年6月期に向けて、当社への好影響の兆しが顕在化しております。このような環境のなか、注力する主な取り組みは以下のとおりとなります。

①リアル拡大に向けた取り組み

全国規模での体験型プロモーション、4年ぶりに開催される大型イベントや大型展示会、パーパス発信やエンゲージメント強化など各種ステークホルダーに向けたイベント等に注力してまいります。このほか、街を起点とした生活行動活性化の可能性に向けて、屋外広告会社(ケシオン社)とのアライアンスである「TOOH」など、当社の強みである体験領域を活かした更なる体験価値の向上を目指してまいります。

②オンライン領域拡張への取り組み

WEBサイト・SNS・動画・PR等を統合したキャンペーン、デジタル広告を起点に企業の事業に貢献することを目指した年間プロモーション業務、動画・SNSなど専門領域のプロデュースといったデジタル領域にも引き続き注力してまいります。また、動画を起点とする領域拡張を見込み、CM制作会社「MOTTO」を連結子会社化いたしました。これにより当社がプロデュースする統合プロモーションを一層拡張し、提供価値の向上を目指してまいります。これらのアクションにより、当社のコアビジネスであるリアル領域の本格的な回復の兆しを背景に、主力業種のイベント・プロモーションの増加を図ること、また堅調な成長が続くデジタル市場においてオンライン領域の更なる拡張を図ることによりトップラインを上げていき、売上高については前期比18.9%増の140億円を計画しております。また、高付加価値の提供によるフィー型業務及び発注適正化による収益確保を引き続き推進するとともに、事業領域の拡大や当社グループの優位性及び独自性を強化するため、戦略的な人的資本への投資、事業の中長期的な成長に向けた重点テーマへの取り組み等の基盤整備のための費用投下を予定しております。

 

◎中長期的な取り組み
当社のパーパスである「新しい時代の体験を創る」の実現に向けて、持続的な成長と企業価値の向上の実現を図ってまいります。主な取り組みは以下のとおりとなります。

①重点テーマ「テクノロジー・AI」「環境」

急速な進化を続ける生活全体のデジタル化を背景としたプロモーション業務における高度化・複雑化・高速化に対応し、AIを含むデジタルテクノロジーのイベント・プロモーションへの活用を加速するほか、案件成果の可視化、業務の効率化、自社ソリューション開発などを推進し、体験領域の更なるアップデートをリードしてまいります。また、当社が策定した「サステなイベントガイドライン」をはじめとする環境配慮イベントのプロデュースなど、環境問題への対応力を強化し、企業の課題解決のみならずクライアントビジネスを通じて社会貢献・環境貢献を実践してまいります。

②サステナビリティへの取り組み強化

当社グループでは、クライアントビジネスを通じた社会貢献・環境貢献を実践し、持続可能な社会へ貢献すること、またそれらの業務の実践・ノウハウを通じて当社事業の成長へ還元し、持続的な企業価値向上に繋げていきます。このような考えに基づき、サステナビリティ方針を「社員一人一人が作り出す体験を通じて企業課題・社会課題に向き合い、持続的に成長する会社へ」と定め、下記の4つの重要課題に取り組んでまいります。
人材:新しい時代の体験を創る多様な人材が活躍できる会社を目指す
体験の将来性:テクノロジーを活用し、体験領域の進化をリードする
社会貢献:自社サービスの向上に取り組み、クライアントビジネスを通じて社会貢献・環境貢献を実践
コンプライアンス:企業の社会的責任を認識し、コンプライアンスを遵守する

 

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