ビジョン(9416) グローバルWiFi事業牽引 大幅増収増益

2023/06/01

 

佐野 健一 会長 CEO

株式会社ビジョン(9416)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

情報・通信

代表取締役会長 CEO

佐野 健一

代表取締役社長 COO

大田 健司

所在地

東京都新宿区新宿六丁目27番30号 新宿イーストサイドスクエア8階

決算月

12月

HP

https://www.vision-net.co.jp/ir/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,631円

50,448,600株

82,281百万円

14.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00円

40.69円

40.0倍

245.75円

6.6倍

*株価は5/25終値。発行済株式数、DPS、EPSは23年12月期第1四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2019年12月

27,318

3,325

3,358

2,226

46.05

0.00

2020年12月

16,654

103

227

-1,183

-25.07

0.00

2021年12月

18,100

1,105

1,143

729

15.47

0.00

2022年12月

25,487

2,414

2,422

1,548

31.96

0.00

2023年12月(予)

26,553

3,000

2,998

1,990

40.69

0.00

*予想は会社予想。単位:百万円、円。2019年10月、1株を3株に分割(EPSを遡及修正)。

 

 

株式会社ビジョンの2023年12月期第1四半期決算概要などについてお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2023年12月期第1四半期決算概要
3.2023年12月期業績予想
4.成長に向けた取り組みの内容
5.今後の注目点
<参考1:ESG・SDGsにおける取り組み>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 売上高は前年同期比48.8%増の83億47百万円。グローバルWiFi事業が95.1%の大幅増収、情報通信サービス事業は堅調に推移した。グランピング・ツーリズム事業は山中湖の施設が本格稼働。売上総利益は海外通信原価等の改善により売上総利益率が前年同期45.4%から50.9%に改善、売上総利益は同67.1%増の42億52百万円となった。営業利益は同242.3%増の13億82百万円。売上総利益が大幅増だった一方、販管費が業績連動費用を含め微増にとどまった。このため、営業利益率は前年同期7.2%から16.6%へ大幅改善し、大幅な営業増益となった。

     

  • グローバルWiFi事業は大幅な増収増益。23年1~3月の出国者数と訪日外国人数の平均は19年同期間対比でそれぞれ34.1%、59.5%まで回復。法人需要を取り込んだことにより、19年1~3月対比で、アウトバウンドのレンタル件数は44.2%、売上高は75.2%まで回復した(グローバルWiFi for Biz含む)。欧米からの受注をしっかりと取り込み、インバウンドのレンタル件数は105.1%、売上高は124.1%増加。空港の水際対策業務及びPCR検査は1Qにおいては継続した。

       

  • 情報通信サービス事業は増収減益。物販系商材(OA機器、移動体通信機器等)の販売が引き続き堅調に推移した。また、将来的なアップセルやクロスセル、長期的な解約率の低減、ストック商材による継続的収入といった、ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)の最大化を図り、月額自社サービスの積極的な拡販を展開した。営業活動強化のため中途採用を実施、コストが先行して減益となった。

     

  • 通期予想に修正はなく、23年12月期の売上高は前期比4.2%増の265億円、営業利益は同24.3%増の30億円の予想。個人消費の回復や企業による設備投資により、内需主導の緩やかな景気の回復が続く中、各国における水際対策の緩和により国際的な人の往来も一定程度増加する傾向にある。既存事業の収益及び収益率の向上を図りつつ、新事業・新サービスの拡充を行いながら、事業活動を実施する。グローバルWiFi事業は減収減益、情報通信事業は増収増益を見込む。グランピング・ツーリズム事業は増収・黒字化を計画。

     

  • 減収減益を見込んでいたグローバルWiFi事業だが、1Qの実績は前年同期を大きく上回っただけでなく前4Qも上回り、四半期毎の右肩上がりが継続している。通期予想に対する進捗率は売上高で37.2%、セグメント利益は57.7%に達している。入出国数はともに2Q以降も増加が続いており、PCR検査の終了やテレワーク需要などを取り込んできた国内Wi-Fiのコロナ禍の影響鎮静化はあるものの超過達成となりそうだ。情報通信サービスにおいてセグメント利益の進捗率が17.7%にとどまるが、これは営業活動強化に伴う先行投資によるもの。売上は着実に進捗しており、2Q以降に盛り返すだろう。また、新事業であるグランピング・ツーリズム事業は、今期が2期目となる。売上が急拡大する中、1Qはしっかり黒字を確保しており、引き続き成長スピードに注目したい。

     

     

     

1.会社概要

「世の中の情報通信産業革命に貢献します」と言う経営理念の下、世界200以上の国と地域で利用可能な定額制Wi-Fiルーターのレンタルを行うグローバルWiFi事業と、情報通信関連のディストリビューターとして、固定通信、移動体通信、ブロードバンド等の事業活動に必要な通信インフラ環境やオフィス機器を扱う情報通信サービス事業を展開している。国内外の連結子会社20社とグループを形成しており、国内子会社は、請求業務の代行や固定電話サービスの加入取次ぎ等を行う(株)メンバーズネット、ブロードバンドサービスの加入取次ぎを手掛けるベストリンク(株)など8社。海外は、グローバルWiFi事業の海外拠点となる、韓国、米国(ハワイ)、香港、シンガポール、台湾、英国、中国(上海)、フランス、イタリア、米国(カリフォルニア)、ニューカレドニアの現地法人とシステム開発及びデータベース構築のオフショア拠点であるベトナムの現地法人の計12社(2023年3月末)。

 

【ビジョングループ経営理念- 世の中の情報通信革命に貢献します -】
私達は、世の中の情報通信産業革命を積極的に推進し個人のライフスタイル、そして企業のビジネススタイルをイノベーションし、クライアント企業様とエンドユーザー様を効率的、効果的につなぐディストリビューター企業として、永久にベンチャースピリットを忘れず従業員の無限なる向上心や夢・思いがステークホルダーに貢献できているか確認しあい妥協しない集団であり続け、人類と社会の進歩発展に貢献します。

 

1-1 事業内容

①グローバルWiFi事業
海外の通信会社と提携して、海外への渡航者に現地のインターネットサービスを安価で利用できるWi-Fiルーターをレンタルする「グローバルWiFi」及び訪日外国人等へ日本国内で利用できるWi-Fiルーターをレンタルする「NINJA WiFi」といったサービスを提供しており、進出先(韓国、台湾、カリフォルニア)において、海外to海外の渡航者向けサービスにも取り組んでいる。
Wi-Fiルーターについては、クラウド上でSIMを管理する次世代型の通信技術(クラウドWi-Fi)を搭載したWi-Fiルーターの端末レンタル数がレンタルされている端末全体の90%以上を占めている(通信キャリアによっては対応できない国もあり90%程度が上限)。

 

(同社資料より)

 

強み ①割安な定額制、②最多エリア、③快適、④安心・安全、⑤サポート拠点、及び法人営業力 ⇒ No.1クラスの顧客数
「グローバルWiFi」及び「NINJA WiFi」のサービス上の強みは、①国内携帯会社の海外パケット定額プランとの比較で最大89.9%のコストメリット(渡航先によっては1日のレンタル料金が300円から)を有し、②カバレッジは業界最多クラスの200以上の国と地域。また、③世界中の通信事業者との提携による高速通信、④セキュア24時間365日世界47の拠点、⑤業界最多クラスの空港カウンター設置拠点数。また、事業としては、安定した需要が見込める法人の利用が約40%~50%を占めている事も強みであり、この結果、シェアナンバーワンクラスの利用者数を誇る。

 

店舗スマート化戦略(テンスマ)と超直前オンライン受注体制の整備
国内では有人カウンターの拡充に加え、①自動受渡しロッカー(Smart Pickup)、QRコード活用受付カウンターである②即時お客様識別カウンター(Smart Check)の設置による店舗スマート化戦略を進めている。レンタル件数(受渡件数)やオプションサービス(補償サービス、付帯品等)の増加への対応強化はもちろんだが、海外へ渡航する日本人・訪日外国人旅行客にとって、より便利に、より快適で、より安心して利用できる店舗への進化に向けた取り組みの一環でもある。

 

(同社資料より)

 

同社においては、店舗スマート化戦略により、ユーザータッチポイントの強化やユーザーに応じサービスレベルの最適化が可能になる(リピーター層等の説明が不要なユーザーの待ち時間をなくし、説明が必要なユーザーには空港スタッフが応対する)。空港カウンターの増設や拡張が難しい中、自動受渡しロッカー(Smart Pickup)の増設により人員を増やすことなく、限られたスペースを有効活用してスループットの向上とコスト削減につなげていく考え。

 

尚、店舗スマート化戦略、クラウドWi-Fi、及び顧客データベースを連携させる事で「“超”直前オンライン受注体制」が整備され、出発当日客へのサービス提供が可能になった(データベースと連携させる事で空港カウンター店舗目の前でのWEB申込への即時対応が可能になった)。

 

新型コロナウイルス感染症拡大によりインバウンド・アウトバウンドとも需要が消失した状況だが、増大するテレワーク需要の取り込みに向け、法人向け社内常備型「グローバルWiFi for Biz」の国内プランオプションを積極的に拡販している。
現時点では法人の海外渡航は滞っているが、渡航回復時の競争優位性を発揮するために、法人顧客とのリレーションを強化している。

 

②情報通信サービス事業
新設法人、ベンチャー企業、及び外食チェーン等の多店舗展開企業を主要ターゲットとして、連結子会社ベストリンク(株)を中心に、全国14か所の営業所、及びパートナー企業との連携の下、ビジネスフォン、固定電話・加入電話・ヒカリ電話の取次ぎ、法人携帯、OA機器・セキュリティ製品(UTM)等の販売・保守、ホームページ制作、更には事業者向け新電力サービスの取次ぎ等のサービスを提供している。
主要ターゲットでもある新設法人(設立後6ヶ月以内の企業)の開拓に強みを有し、法務省のデータ(2022年全国法人登記件数129,548社)を基にすると、国内で新規設立される法人の約10社に1社と取引がある計算。独自のWebマーケティング(インターネットメディア戦略)で集客し、CRM(顧客関係・取引継続)戦略により、継続的収益の最大化(ストックビジネス化)、高生産性追加販売(アップセル・クロスセル)につなげている。

 

例えば、回線の取次ぎであれば、サービスが解約されない限りキャリアから手数料を受け取る事ができ、複写機等であれば継続的に保守料を得る事ができる。そして、カスタマー・ロイヤリティ・チームが継続的にフォローしていく事で、顧客の成長と共に増加する回線や機器の需要取り込み、成長ステージに応じた最適なサービスの提供(アップセルやクロスセルによる生産性の高い追加販売)で収益が積み上がっていくストック型ビジネスモデルを確立している。ターゲット層を、成長予備軍から、成長過程の企業へも展開させつつ、ストック型ビジネスモデルを進化させていく。

 

③グランピング・ツーリズム事業
第3の柱に成長する事業としてグランピング事業を開始した。現在、「VISION GLAMPING Resort & Spa こしかの温泉」(鹿児島県霧島市)、「VISION GLAMPING Resort & Spa 山中湖」(山梨県南都留郡山中湖村)の2施設を運営。
同事業は既に佐野会長の実家での運営実績・ノウハウがある点が大きなアドバンテージである。

 

2.2023年12月期第1四半期決算概要

2-1 連結業績

 

22/12期 1Q

構成比

23/12期 1Q

構成比

前年同期比

売上高

5,609

100.0%

8,347

100.0%

+48.8%

売上総利益

2,544

45.4%

4,252

50.9%

+67.1%

販管費

2,140

38.2%

2,870

34.4%

+34.1%

営業利益

403

7.2%

1,382

16.6%

+242.3%

経常利益

406

7.2%

1,423

17.0%

+250.4%

当期純利益

245

4.4%

940

11.3%

+282.4%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。修正予想比は22年11月発表の業績予想に対する比率。

 

 

(同社資料より)

 

グローバルWiFi事業が牽引し、大幅な増収増益。
売上高は前年同期比48.8%増の83億47百万円。グローバルWiFi事業が95.1%の大幅増収、情報通信サービス事業は堅調に推移した。グランピング・ツーリズム事業は山中湖の施設が本格稼働。
売上総利益は海外通信原価等の改善により売上総利益率が前年同期45.4%から50.9%に改善、売上総利益は同67.1%増の42億52百万円となった。
営業利益は同242.3%増の13億82百万円。売上総利益が大幅増だった一方、販管費が業績連動費用を含め微増にとどまった。このため、営業利益率は前年同期7.2%から16.6%へ大幅改善し、大幅な営業増益となった。

 

四半期業績の推移

 

21/12-1Q

2Q

3Q

4Q

22/12-1Q

2Q

3Q

4Q

23/12-1Q

2Q

3Q

4Q

売上高

3,938

4,706

4,747

4,708

5,609

6,019

6,849

7,009

8,347

売上総利益

2,176

2,328

2,313

2,189

2,544

2,910

3,525

3,350

4,252

販管費

1,890

1,960

1,953

2,098

2,140

2,392

2,497

2,885

2,870

営業利益

285

368

359

91

403

517

1,027

464

1,382

経常利益

313

367

361

101

406

516

1,031

468

1,423

四半期純利益

232

223

246

27

245

320

704

278

940

売上総利益率

55.3%

49.5%

48.7%

46.5%

45.4%

48.3%

51.5%

47.8%

50.9%

販管費率

48.0%

41.7%

41.2%

44.6%

38.2%

39.7%

36.5%

41.2%

34.4%

営業利益率

7.3%

7.8%

7.6%

1.9%

7.2%

8.6%

15.0%

6.6%

16.6%

*単位:百万円。

 

 

2-2 セグメント別動向

 

22/12期 1Q

構成比・利益率

23/12期 1Q

構成比・利益率

前年同期比

グローバルWiFi事業

2,618

46.7%

5,108

61.2%

+95.1%

情報通信サービス事業

2,871

51.2%

2,981

35.7%

+3.8%

グランピング・ツーリズム事業

67

1.2%

212

2.5%

+214.0%

その他

51

0.9%

45

0.5%

-11.4%

連結売上高

5,609

100.0%

8,347

100.0%

+48.8%

グローバルWiFi事業

359

13.7%

1,443

28.3%

+301.5%

情報通信サービス事業

347

12.1%

302

10.1%

-13.0%

グランピング・ツーリズム事業

2

3.3%

6

3.1%

+192.2%

その他

-36

-29

調整額

-268

-340

連結営業利益

403

7.2%

1,382

16.6%

+242.3%

*単位:百万円。売上は外部顧客への売上高。

 

 

21/12-1Q

2Q

3Q

4Q

22/12-1Q

2Q

3Q

4Q

23/12-1Q

2Q

3Q

4Q

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グローバルWiFi事業

1,515

2,349

2,628

2,577

2,618

3,174

4,125

4,471

5,108

 情報通信サービス事業

2,357

2,297

2,068

2,080

2,875

2,744

2,594

2,370

2,984

営業利益

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グローバルWiFi事業

117

262

368

284

359

593

1,156

968

1,443

 情報通信サービス事業

410

367

246

92

347

259

197

-36

302

*単位:百万円。売上は外部顧客への売上高。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

グローバルWiFi事業
大幅な増収増益。
23年1~3月の出国者数と訪日外国人数の平均は19年同期間対比でそれぞれ34.1%、59.5%まで回復。法人需要を取り込んだことにより、19年1~3月対比で、アウトバウンドのレンタル件数は44.2%、売上高は75.2%まで回復した(グローバルWiFi for Biz含む)。欧米からの受注をしっかりと取り込み、インバウンドのレンタル件数は105.1%、売上高は124.1%増加。空港の水際対策業務及びPCR検査は1Qにおいては継続した。

 

 

情報通信サービス事業
増収減益。
物販系商材(移動体通信機器、OA機器等)の販売が引き続き堅調に推移した。また、将来的なアップセルやクロスセル、長期的な解約率の低減、ストック商材による継続的収入といった、ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)の最大化を図り、月額性自社サービスの積極的な拡販を展開した。営業活動強化のため中途採用を実施、コストが先行して減益となった。

 

 

2-3 財政状態

◎財政状態

 

22年12月

23年3月

増減

 

22年12月

23年3月

増減

流動資産

12,852

13,977

+1,124

流動負債

4,872

5,063

+191

 現預金

8,156

8,680

+524

 買入債務

820

1,119

+298

 売上債権

3,658

4,216

+557

固定負債

1,038

1,018

-20

固定資産

5,098

5,100

+1

負債合計

5,911

6,082

+170

 有形固定資産

2,185

2,238

+53

純資産

12,039

12,995

+955

 無形固定資産

1,331

1,272

-59

 利益剰余金

8,637

9,577

+940

 投資その他の資産

1,581

1,588

+7

負債・純資産合計

17,951

19,077

+1,126

資産合計

17,951

19,077

+1,126

長短借入金合計

967

938

-28

*単位:百万円。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

売上債権及び現預金の増加による流動資産の増加を主因に、資産合計は前期末比11億円増加の190億円。
買入債務の増加などで負債合計は同1億円増加の60億円。
利益剰余金の増加などで純資産は同9億円増加の129億円。
自己資本比率は前期末から1.0pt上昇し68.0%。

 

 

3.2023年12月期業績予想

3-1 通期業績予想

 

22/12期

構成比

23/12期(予)

構成比

前期比

売上高

25,487

100.0%

26,553

100.0%

+4.2%

売上総利益

12,330

48.4%

14,135

53.2%

+14.6%

販管費

9,916

38.9%

11,134

41.9%

+12.3%

営業利益

2,414

9.5%

3,000

11.3%

+24.3%

経常利益

2,422

9.5%

2,998

11.3%

+23.8%

当期純利益

1,548

6.1%

1,990

7.5%

+28.6%

*単位:百万円。

 

増収増益を予想
通期予想に修正はなく、23年12月期の売上高は前期比4.2%増の265億円、営業利益は同24.3%増の30億円の予想。
個人消費の回復や企業による設備投資により、内需主導の緩やかな景気の回復が続く中、各国における水際対策の緩和により国際的な人の往来も一定程度増加する傾向にある。
既存事業の収益及び収益率の向上を図りつつ、新事業・新サービスの拡充を行いながら、事業活動を実施する。
グローバルWiFi事業は減収減益、情報通信事業は増収増益を見込む。グランピング・ツーリズム事業は増収・黒字化を計画。

 

 

3-2 セグメント別見通し

 

22/12期

構成比・利益率

23/12期(予)

構成比・利益率

前期比

グローバルWiFi事業

14,389

56.5%

13,741

51.7%

-4.5%

情報通信サービス事業

10,572

41.5%

11,623

43.8%

+9.5%

グランピング・ツーリズム事業

338

1.3%

885

3.3%

+160.3%

その他

186

0.7%

302

1.1%

+53.0%

連結売上高

25,487

100.0%

26,553

100.0%

+4.2%

グローバルWiFi事業

3,078

21.4%

2,502

18.2%

-18.7%

情報通信サービス事業

765

7.2%

1,708

14.7%

+123.2%

グランピング・ツーリズム事業

-122

45

5.1%

その他

-119

53

17.5%

調整額

-1,186

-1,309

連結営業利益

2,414

9.5%

3,000

11.3%

+24.3%

*単位:百万円。

 

[業績予想の前提]
グローバルWiFi事業
減収減益予想。
新型コロナウイルス感染症の拡大により実施されていた水際対策につき、入国制限の緩和・全廃の動きにより、空港検疫受託業務及びPCR検査の終了並びに国内Wi-Fiの減少を加味している。
グローバルWiFiとNINJA WiFiに関しては、順調に回復傾向にある。今後については、予算計画を作成した時点における回復速度よりも早く回復する可能性もあるとみている。

 

情報通信サービス事業
増収増益予想。
引き続き物販系商材の仕入(半導体不足等の影響による機器仕入)等への影響は見込まれるが、1つの事業や販売チャネルに依存しない複数の事業(商品・サービス)・販売チャネルを持つ強みを活かして、外部環境の変化へ柔軟に対応可能であり堅調に推移すると見ている。
自社サービス(月額制)販売強化、長期的に安定した収益基盤の構築を継続する。

 

 

4.成長に向けた取組みの内容

4-1 グローバルWiFi事業

海外・・・「グローバルWiFi for Biz」積極拡販
法人向け社内常備型「グローバルWiFi for Biz」、引き続きテレワーク兼用としての提案により販売好調(保有契約数及び通信利用実績増加)。

 

(同社資料より)

 

国内・・・訪日外国人向けにNINJA WiFiの販売強化
23年1月~3月における訪日外国人の平均は、19年同期間対比で59.5%まで回復。フリーWi-Fiスポットが少ない日本で、顧客の利用ニーズに応える。

 

(同社資料より)

 

4-2 情報通信サービス事業

自社サービス(月額制)「VWSシリーズ」販売好調。
自社開発及び自社で利用しているサービスをユーザーへ展開(DX推進)。クラウドで必要な機能を必要な分だけ月額制で提供。

 

長期的に安定した収益基盤となるストック収益及び自社サービス(月額制)の強化に取り組んでいる。
19/12期より自社サービス(月額制)獲得を強化、売上総利益は21/12月期に10億円を超え、22/12期も2桁の伸長。サービス拡充、拡販強化により堅調に増加している。
(ストック収益とは、情報通信サービス事業における加入取次契約に伴う継続手数料及びOA機器販売事業における保守メンテナンス料金の数値)

 

 

スタートアップ支援
21年、22年の設立登記数は年間約13万社。年間国内で新規設立する法人の約10社に1社と取引がある強みを活かす。
顧客企業の成長に寄り添い続け、成長ステージに応じた最適なソリューションを提供。独自ノウハウのCRM(顧客関係・継続取引)により、利益が積み上がっていくストック型ビジネスモデル。
現在の主なターゲットは「成長予備軍」だが、今後は「成長過程の企業」もターゲットへ。

 

(同社資料より)

 

4-3 成長戦略の方針

(同社資料より)

 

4-4 グランピング事業

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

減収減益を見込んでいたグローバルWiFi事業だが、1Qの実績は前年同期を大きく上回っただけでなく前4Qも上回り、四半期毎の右肩上がりが継続している。通期予想に対する進捗率は売上高で37.2%、セグメント利益は57.7%に達している。入出国数はともに2Q以降も増加が続いており、PCR検査の終了やテレワーク需要などを取り込んできた国内Wi-Fiのコロナ禍の影響鎮静化はあるものの超過達成となりそうだ。
情報通信サービスにおいてセグメント利益の進捗率が17.7%にとどまるが、これは営業活動強化に伴う先行投資によるもの。売上は着実に進捗しており、2Q以降に盛り返すだろう。
また、新事業であるグランピング・ツーリズム事業は、今期が2期目となる。売上が急拡大する中、1Qはしっかり黒字を確保しており、引き続き成長スピードに注目したい。

 

<参考1:ESG・SDGsにおける取り組み>

経営体制の変更
意思決定の迅速化を目指し、経営体制を変更した。新たに代表取締役社長COOとなる大田健司氏は既存事業に、新たに代表取締役会長CEOとなる佐野健一氏は新規事業やブランディングに取り組む。

 

(同社資料より)

 

「情報通信の未来を、すべての人たちの未来のために」という思いの下に、ESG(Environment = 環境、Social = 社会、Governance = ガバナンス)に配慮した経営と事業戦略を通して、継続的な成長と企業価値向上を目指している。また、国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)に代表される社会課題の解決を通じて、持続可能な社会の発展に寄与すると共に、情報通信産業革命に貢献していく考え。尚、SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際目標。

 

Environmental

 

同社は、WEBサイトをカーボンオフセットする「グリーンサイトライセンス」、及び、WEBサイトのCO2削減活動として、「グリーン電力」による地球温暖化防止の環境認証を取得している。「一人でも多くの方が震災時に命を繋げる社会の実現」を目指し、情報発信、被災地での支援活動、各種活動への支援を行っている団体である特定非営利活動法人震災リゲインの活動に賛同し、支援・協同している。この他、省電力に優れたLED照明格安レンタルや社内でペーパーレス化を進めている。また、必要最低限の有形固定資産による事業運営をおこなっており、2021年12月期末総資産に占める有形固定資産の割合は3.6%と様々な環境の変化に順応している。

 

Social

 

健康と福祉、働きがいと経済成長の両立、平等を念頭に、多様な採用チャネルの活用(公正採用、リファラル採用、女性採用(社員比率34%)、多国籍社員採用(同15%)、障がい者雇用)、時代環境に則した人事制度や独自の福利厚生制度の導入(時短勤務、シフト制、フレックスタイム制、水分補給手当て:夏季、インフルエンザ予防接種補助金等)、といった施策を進めている。また、従業員のライフイベントである出産・育児における、勤務ルールの柔軟化や休暇制度の拡充及び取得促進等に加え、子育てをサポートし、これまで以上に働きやすい環境を作る事を目的に、企業主導型保育事業「ビジョンキッズ保育園」の運営等でより仕事に集中できる環境の整備と育児世代で働く意欲のある人材の雇用に取り組んでいる(女性従業員が90%以上を占めるCLT敷地内に保育施設を設置)。上記に加え、「医療の届かないところに医療を届ける」を理念に国、地域、人種、政治、宗教、境遇を問わず、全てのひとが平等に医療を受ける事ができ、"生まれてきてよかった"と思える社会の実現を目指して活動しているジャパンハートの法人会員として、その活動を支援している。
新型コロナウイルス感染症の拡大に関しては、厚生労働省が行う「水際対策に係る新たな措置」について、空港検疫所が実施している水際対策業務の一部であるアプリ確認業務を受託していた。

 

Governance

 

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格である「ISO/IEC 27001」の認証を取得しており、情報セキュリティ上の脅威から適用範囲内の情報資産を保護するために、情報資産を正確かつ安全に取り扱い、運用、監視、見直し、維持及び継続的な改善に取り組んでいる。また、ステークホルダーから継続的な信頼を得る事が重要であるとの認識の下、ビジネス活動におけるリスクマネジメントを推進し、コンプライアンスを徹底する事により、ガバナンスの更なる強化に努めている他、経営の透明性及び健全性を図るべく、取締役6名中3名(うち女性1名)を企業経営者等からなる社外取締役とし、監査役4名中3名を公認会計士等からなる社外監査役としている。

 

 

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外3名

監査役

4名、うち社外3名

社外取締役、社外監査役は全員独立役員である。

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2023年4月13日)
基本的な考え方
当社グループは、お客様の期待を感動に変えるため、常に自らを磨き、理想を実現させるため、ためらうことなく変革への挑戦を続け、常に多くの人々(ステークホルダー)に支えられていることに感謝し、謙虚な気持ちで事業活動を行っております。この行動規範に従って、法令、社内規則、方針を遵守し誠実に取り組み、最適なコーポレート・ガバナンスの構築に努めております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【原則2-4-1多様性の確保について】
当社では、学歴、職歴、性別、国籍、障がいの有無を問わず、多様な人財(人材)を積極的に採用しております。社員一人ひとりの個性を活かすことで、多様な商品・サービスを生み出し、当社の成長につながるという考えの下、当社で働く全ての人々が成長できる、充実した職場環境の整備に取り組んでいます。当社グループにおける管理職の割合は中途採用者が大半であり、そのうち女性管理職比率は約8%となっております。外国人・女性の管理職への登用につきましては、候補となる人材の全従業員に占める比率が大きくないため、現時点では測定可能な数値目標を定めるには至っておりません。引き続き、母集団となる候補人材確保に向けた採用強化を通じて、母集団の形成を図ってまいります。当社ウェブサイト(ダイバーシティ推進の方針):https://www.vision-net.co.jp/company/diversity.html

 

【補充原則3-1-3サステナビリティについての取組み】 当社では、中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティをめぐる課題対応を経営戦略の重要な要素と認識しております。サステナビリティの取り組みについては当社ウェブサイト及び決算説明資料等で開示しております。また、環境に関する要素に加え、人的資本や知的財産への投資等の社会に関する要素の重要性が指摘されている点も踏まえて開示に向けて調査を行なっております。当社ウェブサイト(VisionのESGとSDGsへの取り組み):https://www.vision-net.co.jp/company/esg.html

 

原則4-1-3 取締役会の役割・責務(1)(最高経営責任者等の後継者の計画の監督)】
当社では、最高経営責任者である代表取締役会長及び社長の具体的な後継者計画は策定しておりませんが、最高経営責任者等の後継者の選定については、代表取締役会長及び社長が責任をもってこれにあたる事としております。 その適格性について社外取締役及び監査役とも十分に情報共有・協議の上、もっともふさわしい人物を取締役会で選定します。

 

【補充原則4-3-3取締役会の役割・責務(CEO解任手続き)】
当社では、最高経営責任者を解任するための一律の評価基準や解任要件は定めておりません。 最高経営責任者が法令・定款等に違反し、当社の企業価値を著しく毀損したと認められるなど、客観的に解任が相当と判断される場合には、独立社外取締役が出席する取締役会において十分な審議を尽くした上で、決議いたします。

 

【補充原則4-10-1 任意の諮問委員会の設置による指名・報酬等に関する独立社外取締役の関与・助言】
当社の取締役会の構成は、取締役6名中3名が社外取締役であり、また監査役も4名中3名が社外監査役であります。これらの社外役員は、いずれも独立・客観的な立場から取締役会にて積極的に意見を述べています。取締役・監査役候補の指名・選任については、知識、経験、能力等を総合的に勘案し、取締役会で審議の上決定していること、また、報酬の決定については、株主総会で決議された報酬総額の限度内で、取締役会決議による委任に基づき代表取締役会長が決定しております。そのため当社では、取締役会とは別に指名・報酬に関して任意の諮問委員会を設けておらず今後の検討課題といたします。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4 いわゆる政策保有株式】
当社では、中長期的な企業価値向上に資すると認められる場合を除き、原則として政策保有株式を保有しないことを基本方針といたします。政策保有株式として上場株式を保有する場合には、四半期毎、全株式を取締役会で個別に検証し、中長期的な視点で企業価値向上の効果等が期待できないと判断した企業の株式については、株価や市場動向等を勘案し売却いたします。議決権行使につきましては、案件ごとに賛否を判断する方針であり、当社の中長期的な企業価値向上に資するかどうかなどを勘案し判断いたします。
なお、政策保有株式の保有目的の検証結果の開示については、事業戦略に関わることでもあり、開示を行うことで当社および株主の利益が毀損されることもあることから、開示は行っておりません。

 

【原則1-7 関連当事者間の取引】
当社では、会社経営の健全性の観点より、関連当事者との取引を開始する際には、留意すべき必要性が高いことを認識し、その取引が当社グループの経営の健全性を損なってはいないか、その取引が合理的判断に照らしあわせて有効であるか、また取引条件は他の外部取引と比較して適正であるか等に特に留意して、稟議規程、職務権限規程等に則り、取締役会決議等、適正な決裁を受けることとしております。なお、関連当事者取引等を把握するため、役員就任時及び事業年度末に全役員対象に関連当事者リスト及び取引の有無に関する調査票の提出を求めております。

 

【原則2-6 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮】
当社では、企業年金基金制度はありません。

 

【原則3-1 情報開示の充実】
(1)当社の経営理念や経営戦略等は、当社ウェブサイト等にて開示しております。 (2)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針については、コーポレート・ガバナンス報告書及び有価証券報告書にて開示しております。 (3)各取締役の報酬額は、株主総会で決議された報酬総額の限度内で、当社の業績や会社への貢献度等を勘案し、取締役決議による委任に基づき代表取締役会長が決定しております。報酬制度の設計については、取締役会にて必要に応じて見直しを行います。 (4)取締役及び監査役候補の指名を行うに当たっては、各人の知識、経験、能力等を総合的に勘案し、取締役会にて決議し、株主総会に付議しております。また、取締役が提案する監査役候補について、社外監査役が半数以上を占める監査役会の審議、同意を経て取締役会で決議し、株主総会に付議することとしております。経営陣幹部が、法令・定款等に違反し、当社の企業価値を著しく毀損したと認められるなど、客観的に解任が相当と判断される場合には、独立社外取締役が出席する取締役会において十分な審議を尽くした上で、決議いたします。 (5)各社外役員候補者の選任理由については、定時株主総会招集ご通知にて開示しております。

 

【補充原則4-1-1 取締役会の役割・責務(1)(経営陣に対する委任の範囲)】
取締役会においては、法令・定款及び取締役会規則に定められた事項等を決定しております。また、経営陣に委ねる範囲については、職務権限規程等で職務権限を明確化しております。

 

【原則4-8 独立社外取締役の有効な活用】
当社では、取締役6名のうち3名が独立社外取締役であります。独立社外取締役3名は、それぞれWEBマーケティング、インバウンドビジネス、金融業界、グローバルビジネス等に関する豊富な経験及び企業経営者としての経験を活かし、経営を監視いただくとともに、当社の経営全般に助言を頂戴することによりコーポレート・ガバナンス強化に寄与していただけるものと考えております。

 

【原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
会社法及び東京証券取引所が定める基準を参考に選任しております。また、豊富な経験と幅広い見識から、当社の経営全般に助言していただける方を選定しております。

 

【補充原則4-11-1 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件(取締役会の多様性に関する考え方等)】
当社の取締役会は、性別、専門知識や経験等のバックグラウンドが異なる多様な取締役で構成しております。また、社外取締役を半数選任しており、取締役会において独立かつ客観的な立場から意見を述べていただくことにより、経営の監督体制を確保しております。 なお、当社取締役のスキル・マトリックスは、定時株主総会招集ご通知に記載しております。

 

【補充原則4-11-2 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件(取締役及び監査役の兼任状況)】
当社は、社外取締役及び社外監査役が他の会社の役員を兼任する場合は、当社の職務に必要な時間を確保できる範囲とし、その兼任状況を定時株主総会招集ご通知に記載しております。

 

【補充原則4-11-3 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件(取締役会の実効性に関する分析及び評価)】
当社の取締役会は、社外取締役及び社外監査役を含めた発言や議論の状況等から、その実効性は保たれていると判断しております。また、各取締役を対象として自己評価のアンケートを実施し、その結果を社外監査役にて確認しており、更なる実効性、機能の向上に努めております。

 

【補充原則4-14-2 取締役・監査役のトレーニング(取締役及び監査役に対するトレーニングの方針)】
取締役及び監査役は、加入する団体のセミナーや勉強会、交流会への参加等、独自の判断で事業・業務及びそれぞれの立場で必要な知識の習得を継続的に行っており、当社にて必要に応じ費用の支援を行っております。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主等からの対話の申込みに対しては、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で前向きに対応することとしております。現在のところ、決算説明会を年4回開催しているほか、随時国内外の機関投資家とのミーティングや、年に複数回の個人投資家向け説明会等も実施しております。それらの結果については、適宜、取締役会等で、得られた情報等の共有を図っております。なお、インサイダー情報の漏洩防止を徹底しております。

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