メディカルネット(3645) 大幅増収、販管費増加により経常減益
平川 大 会長CEO |
株式会社メディカルネット(3645) |
企業情報
市場 |
東証グロース市場 |
業種 |
情報・通信 |
会長CEO |
平川 大 |
所在地 |
東京都渋谷区幡ヶ谷1-34-14 宝ビル |
決算月 |
5月末日 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(自己株式を控除) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
405円 |
9,045,270株 |
3,663百万円 |
26.1% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
2.50円 |
0.6% |
21.51円 |
18.8倍 |
193.73円 |
2.1倍 |
* 株価は2/13終値。発行済株式数は直近期決算短信より。発行済株式数から自己株式を控除。
ROE、BPSは22年5月期決算短信より。
業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
EPS |
DPS |
2019年5月(実) |
1,964 |
176 |
182 |
102 |
9.49 |
1.00 |
2020年5月(実) |
2,570 |
106 |
103 |
79 |
9.26 |
0.75 |
2021年5月(実) |
2,904 |
331 |
336 |
129 |
15.36 |
4.00 |
2022年5月(実) |
3,745 |
449 |
454 |
384 |
43.98 |
4.00 |
2023年5月(予) |
4,500 |
320 |
321 |
190 |
21.51 |
2.50 |
* 予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。
* 2021年6月、普通株式1株を普通株式2株に分割。EPS、DPSは株式分割を反映。
* 22/5期より「収益認識に関する会計基準」等を適用。19/5期以降の売上高は、当該会計基準等を遡って適用した後の数値。
株式会社メディカルネットの2023年5月期上期決算概要などをお伝えします。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2023年5月期上期決算概要
3.2023年5月期業績見通し
4.今後の注目点
<参考1:今後の成長戦略 ~予防医療・未病医療へ注力~>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 23/5期上期は前年同期比17.4%増収、22.8%営業減益。メディア・プラットフォーム事業、医療機関経営支援事業、医療BtoB事業の主力3事業がいずれも増収、売上高は上期として過去最高を更新した。既存事業のさらなる効率化を進めるとともに歯科業界でのメディカルネット経済圏を構築し、歯科医療業界のデジタル化の中核を担うプラットフォームの確立を進めている。さらに、口腔周りから始まる健康寿命増進プラットフォームビジネスという新たなサービスの構築に取り組み、事業を拡大した。利益面では、業容及び事業拡大のための人材採用を強化したことによる人件費の増加を主因に販管費が大きく増加したことにより、営業利益率が低下した。
- 通期予想に修正はなく、23/5期は前期比20.1%増収、28.9%営業減益を見込む。新型コロナウイルス感染拡大は好影響となる。医薬品販売事業を開始するなど、新規事業も拡大させて大幅増収を見込む。メディア・プラットフォーム事業、医療機関経営支援事業、医療BtoB事業の主力3事業がいずれも増収の見通し。業容拡大に向けた組織体制の強化、成長のための戦略投資を継続する。事業が拡大するものの、引き続き成長のために積極投資を行うことから、利益面では減益を見込んでいる。配当についても修正なく、1株につき2.50円の期末配当を計画する。
- 上期の通期予想に対する進捗率は売上高で44.4%、営業利益で60.1%。売上高は会社予想との比較でも下回ったが、昨年5月に設立したオカムラOsakaのスタートの遅れとノーエチ薬品の資材不足による影響があった模様。ノーエチ薬品については、下期には巻き返せる見通し。近年の増収傾向を見ると十分達成可能だろう。一方、営業利益の進捗率は高く、超過達成となる可能性もあるが、人材獲得が進まず人材獲得関連費用の進捗が遅れているという側面もある。人材獲得を進めて来期以降の成長につなげたいところ。今回の説明会ではM&Aとその後の子会社の成長について平川社長から踏み込んだ説明があった。子会社を多く含んでいる医療機関経営支援事業において23.9%増収ながら14.5%減益と利益水準は低く、今後の改善余地は大きい。23/5期予想は減益であるものの、高い売上成長を持続させ、利益面での進捗率は高い。株価は軟調に推移しているが、現状のバリュエーションは評価不足の水準にあると考える。
1.会社概要
「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。」を企業理念とし、歯科医院の経営をトータルで支援する「歯科医療プラットフォームビジネス」、歯科のみでなく医療、美容、ライフスタイルなど生活者にとって有益な情報を提供する「生活者向けサービス」、歯科関連企業のマーケティング支援などを行う「事業者向けサービス」を展開している。
生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶビジネスモデルを有する唯一の企業。22年11月末で48,503名に上るメディカルネットグループ会員数が大きな資産。
【1-1 沿革】
2000年 |
4月 |
前身である日本インターネットメディアセンター創業。ポータルサイト運営事業・ホームページ制作事業を開始 |
9月 |
ポータルサイト「インプラントネット」リリース | |
2001年 |
6月 |
「日本メディカルネットコミュニケーションズ株式会社(現 株式会社メディカルネット)設立」 |
2002年 |
2月 |
ポータルサイト「矯正歯科ネット」・「審美歯科ネット」リリース |
2005年 |
4月 |
ポータルサイト「エステ・人気ランキング」リリース |
2006年 |
10月 |
SEM事業開始 |
2007年 |
8月 |
東証一部上場ソネット・エムスリー株式会社(現エムスリー株式会社)と業務資本提携 |
2009年 |
3月 |
「モバイル!歯医者さんネット」リリース |
2010年 |
12月 |
東京証券取引所 マザーズへ上場 |
2012年 |
11月 |
ブランネットワークス株式会社を連結子会社化、医療BtoB事業を展開 |
2014年 |
9月 |
ヘルスケア情報サイト「4healthcare」リリース |
2015年 |
9月 |
株式会社ミルテルと業務資本提携 |
2016年 |
12月 |
「株式会社メディカルネット」に商号変更 |
2017年 |
5月 |
「デンタルトリビューンインターナショナル社」と業務提携 |
9月 |
「Success Sound Co., Ltd.(現 Medical Net Thailand Co., Ltd.)」を連結子会社化。タイ国バンコクにおいて、歯科医院運営を開始 | |
10月 |
日本の総代理店として「デンタルトリビューン日本版」オープン | |
12月 |
Medical Net Thailand Co., Ltd.「ゆたかデンタルクリニック」をリニューアルオープン | |
2018年 |
2月 |
福岡支社開設 |
12月 |
株式会社オカムラの株式取得し完全子会社化(歯科ディーラー事業を開始) | |
2020年 |
2月 |
連結子会社であったブランネットワークス株式会社を吸収合併 |
9月 |
岡山大学との共同研究により開発した「歯科医院での新しい口臭センサーシステム」について特許を取得 | |
10月 |
Pacific Dental Care Co., Ltd.を連結子会社(孫会社)化 | |
2021年 |
6月 |
ノーエチ薬品株式会社を連結子会社(孫会社)化。医薬品・医薬部外品の製造・販売事業を開始 |
2022年 |
3月 |
NU-DENT Co., Ltd.、D.D.DENT Co., Ltd.、Fukumori Dental Clinic Co., Ltd.をそれぞれ連結子会社(孫会社)化 |
4月 |
東京証券取引所の市場区分の見直しに伴い、東京証券取引所マザーズ市場から東京証券取引所のグロース市場に移行 | |
5月 |
連結子会社(孫会社)株式会社オカムラOsaka設立 |
歯科医にターゲットを絞り、インターネット広告を中心としたビジネスを展開しようとした企業は多数あったが、個人事業主が多数を占める歯科医に対し継続的な営業を展開することが出来ず、ほとんどの企業が撤退していった。
これに対し同社は、歯科医の中でも自由診療に対象を絞り込んだうえ、ビジネスの成功のみでなく、創業時のビジョンを重視し、歯科医に対しては「新しい治療の理解と普及」や「地域医療の改善や治療に専念できる環境の提供」を、患者に対しては「より良い治療方法の情報提供」を目指し地道な努力を継続した結果、多くの歯科医師から圧倒的な共感を勝ち取り、生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶビジネスモデルを有するオンリーワン企業となった。
【1-2 企業理念など】
「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。」を企業理念とし、以下のMISSION、VISION、VALUEからなるミッションステートメントを掲げている。
MISSION
社会的存在意義 |
インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。
|
VISION
目指す姿 |
生活者・事業者に革新的なサービスを提供し続け、歯科医療プラットフォームビジネス・領域特化型プラットフォームビジネスにおいて、国内外でトップ企業となります。 |
VALUE
組織的価値観
|
変化なくして進歩なし あくなき挑戦である
◇情熱:向上心であり、自発性であり、責任であり、マインドである ◇スピード:意識であり、発想であり、判断であり、言動であり、行動である ◇チームワーク:協調であり、協力であり、競争であり、シナジーであり、利他である ◇リスペクト:感謝であり、思慮であり、尊敬であり、真摯さである |
同社では、全社員に理念、VISIONを浸透させることを重視して、様々な取り組みを行っている。
2016年12月の社名変更も理念経営をこれまで以上に徹底して行っていくという経営からの社内外へのメッセージである。
中堅層育成のための2か月に1回の集合研修の場や中途採用時には平川大会長・平川裕司社長自らが同社の価値観を繰り返し語りかけている。
また、各事業ユニットおよび社員各人のVISION実現に向けた取り組みや実績を定量的・定性的に評価する仕組みもスタートさせた。
この評価制度を通じてビジョンや理念の更なる浸透を図り、より強固な組織づくりを目指している。
また、近年は子会社への浸透を進め、グループの成長にもつなげている。
【1-3 グループ経営】
◎M&Aについて
「採用・仲間創り」の一環として、M&Aを積極的に推進していく方針。口腔周りから全身の健康を導き、笑顔溢れる世界を創るためプラットフォーマー戦略を推し進め、歯科医療バリューチェーンを構築する。
(同社資料より)
◎企業価値の向上について
グループ入り後、PMI (Post Merger Integration、経営統合プロセス)を進め、子会社でもメディカルネットのパーパス・ミッション・ビジョン・バリューの認識→理解→共感→具象化→実践→習慣化を実現し、またメディカルネットの経営管理方式を導入。子会社の利益率の向上を図るとともに、各子会社はメディカルネットグループの一事業を担う存在として、シナジーを創出。
経営管理方式の導入 | 感覚による経営⇒数値を重視した経営管理体制 |
子会社利益率の向上 | シナジーの創出 |
【1-3 市場環境】
◎歯科診療市場
厚生労働省の調査によれば、2021年度の歯科診療医療費は約3.1兆円で、前年比4.8%増。新型コロナウイルス感染症拡大により、口腔衛生意識の高まりからインプラントや矯正治療等の自費診療への需要が増大し、ここ近年にはない大幅な伸び率となった。
歯科診療所については、22年10月末で前年同月比微減の67,723施設であった。
インプラントやホワイトニングなどの自費診療の普及や口腔衛生意識の高まりはあるものの、医療費抑制政策が続く中、過当競争状態にあると言われている歯科医院の取り巻く経営環境は引き続き厳しい。
集客増を中心とした有効な施策に対する歯科医院のニーズは極めて大きいと思われる。
◎インターネット広告市場
医療機関経営支援事業における歯科医の集客のための重要なソリューションである「インターネット広告」は高成長が続いている。
電通が発表している「2021年日本の広告費」によれば、日本の総広告費は、20年は新型コロナの影響もあり11.2%減となったが21年は10.4%増と巻き返した。
一方、インターネット広告は、20年についても5.9%増となった。21年には21.4%増となり、マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費の合算)を初めて上回り、日本の広告市場を牽引している。
こうした傾向は今後も続くと思われ、歯科医にとってのマーケティングツールとしてインターネット広告はますます重要なものとなるだろう。
【1-4 事業内容】
<サービス概要>
『インターネットを活用し健康と生活の質を向上させることにより笑顔を増やします』という企業理念の下、生活者、歯科医院、歯科関連企業に対しそれぞれ以下のようなサービスを提供している。
(生活者向け)
歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、インプラントなどの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報を、各種ポータルサイトを通じて提供している。
また、対象は歯科のみでなく医療、美容、ライフスタイルなど幅広い。
(歯科医院向け)
競争の激しい歯科医院業界に対し、様々な角度から経営支援サービスを提供している。
送客集客に結び付くホームページ制作やWebマーケティング、歯科従事者のための求職サイト運営による人材・キャリアサポート、日々の歯科治療で必要となる消耗品や歯科材料および高度管理医療機器導入のトータルサポートに加え、歯科医院の新規開業に伴う、物件、設備・インフラ、ホームページ、集客などのトータルサポートも提供している。
(歯科関連企業向け)
歯科医院向けビジネスを拡大させたい歯科関連企業のサポートを行っている。
ここで重要な役割を担っているのが、同社が運営する、歯科医療従事者登録数が22年11月末時点で45,188名と日本最大級である歯科医療総合情報サイト「Dentwave.com」である。
「Dentwave.com」におけるバナー広告やメールマガジンといった広告掲載に加え、登録者を対象としたネット調査「デントリサーチ」も、マーケティングのための有効なツールとして高い評価を受けている。スピーディに精度の高い調査が可能であることに加え、職種、専門、年代、エリアなど細かいスクリーニングにも柔軟に対応しており、多くの歯科関連企業が導入している。
ほかにも、学会や企業のWebサイトやランディングページおよびカタログなどの制作、来場者数1万人規模のオンラインデンタルショー等の歯科コンベンションや歯科イベントの企画・集客・運営支援も行っている。
<報告セグメント>
開示上の報告セグメントは、「メディア・プラットフォーム事業」、「医療機関経営支援事業」、「医療BtoB事業」の3つ。
(同社資料より)
(1) メディア・プラットフォーム事業
「からだ」・「健康」・「美」に特化した情報を提供するサイトの開発・運営を行っている。
様々な切り口で、歯科分野、美容・エステ分野、合わせて、58のサイトを運営している。
(歯科分野)
インプラントネット | 歯科インプラント治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト | ・インプラントネット(全国版)
・インプラントネット(スマートフォン版)
|
矯正歯科ネット | 矯正歯科治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト | ・矯正歯科ネット(全国版)
・矯正歯科ネット(スマートフォン版) |
審美歯科ネット
|
審美治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト | ・審美歯科ネット(全国版)
・審美歯科ネット(スマートフォン版) |
その他歯科関連 | 「歯医者さんネット」 | 主に虫歯治療、歯周病治療などの保険診療を行う歯科医院を紹介し、幅広い顧客層をターゲットにしたポータルサイト |
「Ask Dentist」 | インターネットユーザーからの歯や口腔に関する質問・相談に歯科医師が回答する歯科Q&Aサイト | |
歯科求人サイト「Denty」 | 歯科医療業界に特化した求人サイト。歯科ポータルサイトの運営実績を活かして、求職者の目線を意識した求人情報の発信に努めている。 |
主なポータルサイトは歯科医院検索、歯科医院紹介、歯科医師の紹介に加え、患者に対する情報提供として、治療説明、よくある質問と回答のQ&Aといったコンテンツも掲載している。
(美容・エステ分野)
エステ関連サイト
|
美意識の高い女性をターゲットに、エステに関する情報を提供するポータルサイト「エステ・人気ランキング」をはじめ8サイトを運営している。 |
美容整形関連サイト
|
美意識の高い女性をターゲットに、美容整形に関する情報を提供するポータルサイト「気になる!美容整形・総合ランキング」をはじめ3サイトを運営している。 |
主なコンテンツは、エステサロン検索、エステサロン紹介、総合人気ランキング、キャンペーン人気ランキング、コース人気ランキング、実際にエステサロンで受けた施術の感想等を掲載した体験レポートなど。
*ビジネスモデル
各ポータルサイトは、歯科医院やエステサロン等を顧客として、広告料収入を得て運営している。
インターネットユーザーは、各ポータルサイトにおいて、無料で歯科医院、エステサロン等の情報を検索・閲覧することができる。
広告料収入の具体的内容は、主に①クライアント紹介ページの初期制作料及び月額掲載料、②クライアントのホームページへのリンクを貼ったバナー広告の月額掲載料となっている。
契約形態は原則12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスとなっている。
(2)医療機関経営支援事業
①SEMサービス
検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEO(検索エンジン最適化)サービスや、ヤフー株式会社及びGoogle LLCが運営するポータルサイトにおけるリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを提供している。
(A)SEO
検索エンジンを活用してホームページへの集客やホームページから情報配信を行うクライアントに対して、検索エンジンの表示順位判定基準(アルゴリズム)を分析し、ホームページの状態を最適化することにより、ホームページの検索エンジンからのキーワードに対する評価を高め、検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEOサービスを提供している。
定額料金により複数のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果を上位表示させる月次定額型サービスと、特定のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果の順位に応じた料金が発生する成功報酬型サービスがある。
(B)リスティング広告(検索連動広告)
ヤフー株式会社及びGoogle LLCが運営するポータルサイトにおいてリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを行っている。
「リスティング広告」とは、検索エンジンの検索結果ページに設定された広告枠に表示される広告のことで、インターネットユーザーが広告をクリックした場合にのみ広告主に広告料が発生する。
クライアントにとって費用対効果の高い広告運用を実現するため、キーワードや広告原稿の提案から、運用面における入札価格の調整や予算管理までの総合的なサービスを提供している。
②ホームページ制作・メンテナンスサービス
主に「からだ」・「健康」・「美」に関連する事業者(歯科医院、エステサロン等)をクライアントとしてホームページ制作・メンテナンス事業を行っている。
インターネットユーザーが、その歯科医院やエステサロン等に対して安心感を持ってもらえるように「清潔感・高級感」を重視したウェブデザインを手掛けるほか、歯科分野及び美容・エステ分野に特化している同社ならではの医療・美容知識を活かして、患者や医療・美容に対するクライアントの考え方など、インターネットユーザーに情報を分かりやすく伝えることができるホームページを制作している。
また、人工知能(AI)機能を搭載したWeb接遇支援システムの提供も開始した。これは歯科業界初の取り組みである。
③歯科医院運営
タイ・バンコクで歯科医院の経営を展開する。連結子会社のMedical Net Thailand Co., Ltd.と連結子会社(孫会社)のPacific Dental Care Co., Ltd.、及び22年3月に連結子会社(孫会社)化したFukumori Dental Clinic Co., Ltd.において歯科医院を運営している。タイでの歯科医院経営を皮切りに、海外諸国において日本の先進歯科医療の普及を図る。
④歯科器材・医薬品販売
18年12月より連結化した(株)オカムラが展開する歯科器械材料・医薬品販売事業。22年5月には(株)オカムラOsakaを設立し、首都圏のみならず西日本へ進出。規模拡大を図る。また、タイ・バンコクにおいて、22年3月に連結子会社(孫会社)化したNU-DENT Co., Ltd.、D.D.DENT Co., Ltd.において、歯科商社事業を行っている。
⑤医薬品・医薬部外品の製造・販売
21年6月にノーエチ薬品(株)を連結子会社(孫会社)化し、医薬品製造・販売事業を開始。
⑥歯科医院の事務代行・開業支援・経営支援
「歯科医師が、歯科医療に専念できる環境を創る。」というミッションを掲げ、業界随一の歯科医院の開業時の不動産まわりから、開業後の事務長代行サービス等の経営支援までをワンストップで支援するサービスを提供している。経営支援のサービスメニューの拡充や専門ポータルサイト「メディサポ」を開設。
(3)医療BtoB事業
歯科医療従事者と歯科関連企業等をつなぐBtoB型の歯科医療総合情報サイト「Dentwave.com」の運営を行っている。同サイトの歯科医療従事者登録は22年11月末時点で45,188名と日本最大級。
この会員を基盤として、歯科関連企業等に対する広告ソリューション、リサーチ、コンベンション運営受託等のサービスを提供している。20年2月には運営するブランネットワークスを吸収合併した。
また、世界最大規模の歯科メディアであるデンタルトリビューンインターナショナルと業務提携し、世界90カ国、65万人の歯科医師をユーザーにもつ「DENTAL TRIBUNE」日本版のメディアの運営とマガジンの発行をしている。
【1-5 特長と強み】
生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶプラットフォームを構築している唯一の企業
(同社資料より)
同社は、歯科医療を中心に生活者・歯科医院・歯科関連企業を結んだプラットフォームを構築しているが、こうしたプラットフォームを構築している企業は他には無く、同社の大きな特徴となっている。
この強固でユニークなプラットフォームを活かし、生活者・歯科医院・歯科関連企業、それぞれに向けて様々なサービスを提供しており、これが強力な競合優位性となっている。
創業から約20年をかけて構築してきたポジショニングは強固であり、新規参入は極めて難しいと同社では考えている。
◎対生活者:自社メディアで信頼性の高い公平・中立な情報を提供
歯科医師など専門家と直接やりとりしながら、多くのメディアを構築・運営してきた同社は、歯科医療における豊富な専門知識を有している。
そのため、生活者に対し信頼性が高くかつ分かりやすい情報を提供することが可能であり、そのクオリティの高さは、医師が患者に説明する際に、同社が運営するWebサイトのコンテンツを利用することもあるほどである。
より専門性の高いテーマについては、長年築き上げた信頼関係に基づき、歯科医師に執筆を依頼している。
様々な見解があるテーマについては、複数の歯科医師に意見を述べてもらったり、治療方法のデメリットなどについても言及してもらったりしており、生活者に公平・中立な情報を提供している。
同社の売上高の多くは歯科医向けサービスによるものではあるが、ビジョンや理念の下、常に「生活者・利用者の視点」を重視したアドバイスを歯科医に提供しており、これが同社に対する一層の信頼性向上に結び付いている。
◎対歯科医:ワンストップWebサービス×多彩なリアルサービス×コンサルティング
さまざまな自社メディア、および事業者向けWebサイトを構築してきた同社は、Webサイト構築からSEM施策の立案・実施までをワンストップで提供することが可能であり、これに加え、開業時の不動産紹介、開業後の事務長代行サービス、人材紹介、専門機材、オフィスサプライ、助成金申請サポートなど、リアルな領域においても全方位的なサービスを提案している。
さらに、歯科医師の専門領域や課題を理解した上で、経営実態を把握・分析し、インターネットを活用した効果的な送客・集客や、リアルビジネスを組み合わせた人員・設備・事業計画の提案など、歯科医院に対する経営支援コンサルティングを幅広く提供することができる。
◎対歯科関連企業:優良歯科医院へのアプローチやマーケットリサーチが可能
前述のように、同社は、会員数トップクラスの歯科医療従事者向けサイト「Dentwave.com」を運営している。
会員の多くは、経営状態が良好でかつ事業拡大にも前向きであり、医療機器メーカー・卸などメーカー・サプライヤーは、こうした優良顧客に対して広告展開や、製品・サービスの提案をすることが可能である。
(2)ストックビジネスによる安定した収益構造
ポータルサイト運営事業における広告出稿は、原則として12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスであり、同社の収益基盤に安定性をもたらしている。
同社では新規顧客開拓を進めて事業基盤の更なる強化を図る考えだ。
メディア・プラットフォーム事業の収益モデル
(同社資料より)
(3)圧倒的な会員数
歯科医療従事者会員からなるメディカルネットグループ会員数は22年11月末で48,503名と、上場時の6.2倍にまで拡大している。
この会員は、対歯科医院向けビジネスの顧客であると同時に、対歯科関連企業向けビジネスにおいても重要な資産として同社の事業基盤を支えている。
日本全国には約10万人の歯科医師がいると同社では想定しており、今後は全体の8割にあたる8万人の会員化を目指している。
(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)
【1-6 ROE分析】
16/5期 |
17/5期 |
18/5期 |
19/5期 |
20/5期 |
21/5期 |
22/5期 |
|
ROE (%) |
14.0 |
5.6 |
5.8 |
6.4 |
6.0 |
11.6 |
26.1 |
売上高当期純利益率(%) |
14.51 |
6.47 |
5.88 |
5.20 |
3.09 |
4.46 |
10.27 |
総資産回転率(回) |
0.75 |
0.74 |
0.82 |
1.00 |
1.36 |
1.51 |
1.42 |
レバレッジ(倍) |
1.29 |
1.18 |
1.20 |
1.24 |
1.44 |
1.72 |
1.78 |
* 22/5期より「収益認識に関する会計基準」等を適用。16/5期以降の売上高当期純利益率及び総資産回転率は、当該会計基準等を遡って適用した後の数値。
*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。
ROEは21/5期に、総資産回転率とレバレッジの改善が顕著に現れて日本企業が一般的に目指すべきと言われている8%を大きく上回った。22/5期は売上高当期純利益率が大幅に上昇したことで更に向上した。
2.2023年5月期上期決算概要
(1)業績概要
22/5期 上期 |
構成比 |
23/5上期 |
構成比 |
前年同期比 |
会社予想 |
予想比 |
|
売上高 |
1,702 |
100.0% |
1,997 |
100.0% |
+17.4% |
2,131 |
-6.3% |
売上総利益 |
688 |
40.5% |
824 |
41.2% |
+19.7% |
– |
– |
販管費 |
439 |
25.8% |
631 |
31.6% |
+43.8% |
– |
– |
営業利益 |
249 |
14.7% |
192 |
9.6% |
-22.8% |
114 |
+69.4% |
経常利益 |
246 |
14.5% |
219 |
11.0% |
-10.9% |
115 |
+91.5% |
当期純利益 |
246 |
14.5% |
130 |
6.5% |
-47.0% |
65 |
+102.6% |
* 単位:百万円、当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。
* 22/5期より「収益認識に関する会計基準」等を適用。
大幅増収、販管費の増加により経常減益
売上高は前年同期比17.4%増の19億97百万円。メディア・プラットフォーム事業、医療機関経営支援事業、医療BtoB事業の主力3事業がいずれも増収、上期として過去最高を更新した。
既存事業のさらなる効率化を進めるとともに歯科業界でのメディカルネット経済圏を構築し、歯科医療業界のデジタル化の中核を担うプラットフォームの確立を進めている。さらに、口腔周りから始まる健康寿命増進プラットフォームビジネスという新たなサービスの構築に取り組み、事業を拡大した。
営業利益は前年同期比22.8%減の1億92百万円。利益面では売上総利益率が前年同期40.5%から41.2%に向上したものの、販管費が4億39百万円(販管費率25.8%)から6億31百万円(同31.6%)へ大幅に増加したことにより、営業利益率が前年同期14.7%から9.6%に低下した。販管費の増加は、業容及び事業拡大のための人材採用を強化したことによる人件費の増加が主因。
営業利益の増減要因は以下の通り。
*21期は22/5期上期、22期は23/5期上期
(同社資料より)
営業外では前年同期は為替差損だったが、今上期は21百万円の為替差益を計上したことにより、経常利益は前期比10.9%減の2億19百万円。前年同期は特別利益に負ののれん発生益を82百万円計上した反動により、四半期純利益は同47.0%減の1億30百万円となった。
(2)セグメント別動向
22/5期 上期 |
構成比 |
23/5期 上期 |
構成比 |
前年同期比 |
|
メディア・プラットフォーム事業 |
483 |
28.4% |
499 |
25.0% |
+3.3% |
医療機関経営支援事業 |
1,141 |
67.0% |
1,414 |
70.8% |
+23.9% |
医療BtoB事業 |
75 |
4.4% |
82 |
4.2% |
+9.7% |
その他 |
1 |
0.1% |
1 |
0.1% |
+0.2% |
調整額 |
-0 |
– |
-0 |
– |
– |
売上合計 |
1,702 |
100.0% |
1,997 |
100.0% |
+17.4% |
メディア・プラットフォーム事業 |
326 |
67.5% |
296 |
59.5% |
-9.0% |
医療機関経営支援事業 |
77 |
6.8% |
66 |
4.7% |
-14.5% |
医療BtoB事業 |
31 |
42.2% |
25 |
30.6% |
-20.4% |
その他 |
1 |
100% |
1 |
100% |
+0.2% |
調整額 |
-187 |
– |
-198 |
– |
– |
営業利益合計 |
249 |
14.7% |
192 |
9.6% |
-22.8% |
* 単位:百万円
* 営業利益の構成比は売上高営業利益率。その他は報告セグメントに含まれない事業セグメントで管理業務受託事業。
*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。
◎メディア・プラットフォーム事業
売上高は前年同期比3.3%増の4億99百万円、営業利益は同9.0%減の2億96百万円。
インターネット広告市場における広告費は拡大基調にある中、歯科市場では新型コロナウイルス感染症長期化により、良好な口腔環境が感染症リスクを減らす効果に対する需要が増大し、自由診療分野において患者数の増加がみられた。こうしたなか、歯科分野においては、Googleのアルゴリズムの変動の影響への対応が進んだことや、自由診療への需要が高まったことで、歯科医院の広告出稿意欲が高まり、主力サイトの「矯正歯科ネット」の売上高が 前年同期比7.4%増、「インプラントネット」の売上高が同12.9%増となるなど好調に推移している。歯科分野は前年に引き続き受注が好調に推移する見込みであり、人材強化のため積極的な人的投資を行っている。美容分野では、同社グループが運営する各ポータルサイトの認知度の向上を図ると共に引き続きスマートフォン広告の拡充を進め、新たなサービスの提供を実現するための体制を整備した。しかし、美容・エステ分野におけるポータルサイトへの広告出稿については厳しい状況が続いている。こうしたなか、「気になる!美容整形・総合ランキング」の売上高は前年同期比 20.9%減、「エステ・人気ランキング」の売上高は同46.1%減となるなど苦戦した。ヘルスケア分野では、口腔の健康が全身の健康に関係性があることが明らかになってきた。「口腔周りから全身の健康を導き、笑顔溢れる世界を創る」を目的に、「for health care」をリリースし「口腔周りから身体全体の健康を導く」ことに関する情報を伝えることや様々なサービスの提供をしている。また、生活者自ら予防意識を高めセルフメディケーションを支援するため、「for health care EC」をオープンし、ポータルサイトの収益化を目指した。
◎医療機関経営支援事業
売上高は前年同期比23.9%増の14億14百万円、営業利益は同14.5%減の66百万円。
(SEMサービス)
SEOサービスにおいては、近年のGoogleアルゴリズムの変動の影響もあり短期的に検索順位向上を図ることが難しくなっているが、アクセス増加と順位対策を同時に行える新サービスの提供を開始し、継続的に収益を獲得することで売上高は増加した。
一方で、複数のキーワードへの対策結果を短期的に求めることが難しい仕組みに変化したことにより、比較的効果の現れやすいリスティング広告をSEO対策に代わる手法として求めるクライントが増えている。そのようななか、多様化・細分化するユーザーニーズに応えるべく、従来のYahoo!やGoogleのリスティング広告に加え、LINE広告などの運用代行を開始するなどサービスの拡充に努め、売上高は増加した。
(HP制作・メンテナンスサービス)
クライアントである歯科医院はもちろん、「生活者にこそ価値のあるホームページ」を目指し、歯科医院やエステサロン等に対して安心感を持ってもらえるように「清潔感・高級感」を重視したウェブデザインを提供すると同時に生活者にとって有意義な情報を提供している。しかし近年、SNSの利用者が増え、専門知識がなくとも手軽に情報を発信できることができるようになった背景もあり、受注制作案件が伸び悩み、売上高は減少した。
(歯科医院運営)
21年11月にタイが新型コロナウイルスの規制緩和として開国に踏み切り、国内外の人の往来が増加した。その間、タイ人スタッフへの研修に注力し、人材育成、組織改革を行った結果、バンコクの頼れるインターナショナルクリニックへの成長を遂げている。外部要因の変化及び内部組織の改善、Fukumori Dental Clinic Co., Ltd.が連結に含まれたことにより、売上高は増加した。
(歯科器材・医薬品販売)
日本国内においては、東京と大阪の2拠点体制になった。株式会社オカムラOsakaが連結に含まれたことや、東京において学納事業など新たな顧客との取引を開始し事業を拡大している。タイ・バンコクにおいては、日本やその他諸外国から輸入商品を増加させて、患者により高品質なものを提供することに努めている。また、歯科医師の学術的なサポートを行っており、新しい歯科製品を学ぶためのトレーニングコースを設け、社会的に還元できる施策として好評を得ている。国内での事業拡大及びタイ・バンコクでNU-DENT Co., Ltd.及びD.D.DENT Co., Ltd.が連結に含まれたことにより、売上高は増加した。
(医薬品・医薬部外品の製造・販売)
22年は新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響で、ドラッグストアへ来店する顧客が減少する傾向があった。こうした中、医薬品などのまとめ買いの購買動向がみられたため、一度の買い物でストックできるような大容量サイズをリリースし、ラインアップの強化を図った。また、メディカルネットとの初の共同企画製品として、歯ぎしり、イライラ、不眠などの効能を持つ漢方薬(デンター漢方錠)を新発売した。しかし、医薬品小売業界は、EC利用者が増え、実店舗への来客頻度が減少している影響もあり、売上高は減少した。
(歯科医院の事務代行・開業支援・経営支援)
歯科医院の開業支援、経営支援サービスの営業活動が新型コロナウイルス感染症による影響があった。しかし、経営支援のサービスメニューの拡充や専門ポータルサイト「メディサポ」を開設したこと等によりサービスの認知度が高まり、売上高は増加した。
◎医療B to B事業
売上高は前年同期比9.7%増の82百万円、営業利益は同20.4%減の25百万円。
22年は、これまで開催が制限されてきた学会やデンタルショー等の展示会のリアル開催が復活した。一方で、歯科医療従事者のデジタルを活用した情報収集意欲も依然として高い状態が続いている。こうした中、「Dentwave.com」を活用した広告やウェビナー配信、リサーチの支援を拡大するとともに、オンラインデンタルショー(DDS)やオンラインイベント「歯科衛生士フェスタ」を開催した。
(3)財務状態及びキャッシュ・フロー(CF)
◎主要BS
22年5月末 |
22年11月末 |
22年5月末 |
22年11月末 |
||
流動資産 |
2,077 |
2,246 |
流動負債 |
1,300 |
1,372 |
現預金 |
1,133 |
1,173 |
仕入債務 |
259 |
321 |
売上債権 |
664 |
658 |
固定負債 |
116 |
106 |
固定資産 |
1,076 |
1,199 |
長期借入金 |
111 |
96 |
有形固定資産 |
106 |
105 |
負債合計 |
1,416 |
1,478 |
無形固定資産 |
477 |
482 |
純資産 |
1,737 |
1,967 |
投資その他の資産 |
492 |
611 |
利益剰余金 |
1,634 |
1,729 |
資産合計 |
3,154 |
3,446 |
負債純資産合計 |
3,154 |
3,446 |
* 単位:百万円
*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。
資産合計は、前期末比(以下同)2億92百万円増の34億46百万円となった。これは主に、現預金が39百万円、商品が64百万円、前払費用が43百万円、長期前払費用が85百万円増加したため。
負債合計は、61百万円増の14億78百万円となった。これは主に、長期借入金が14百万円減少したが、買掛金(仕入債務)が61百万円、前受金が18百万円、短期借入金が50百万円増加したため。
純資産合計は、2億30百万円増の19億67百万円となった。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益1億30百万円の計上と、剰余金配当35百万円を行ったことに加え、その他資本剰余金が49百万円増加、自己株式が67百万円減少したため。
自己資本比率は56.0%(前期末54.1%)となった。
◎キャッシュ・フロー(CF)
22/5期 上期 |
23/5期 上期 |
増減 |
前期比 |
|
営業CF |
84 |
59 |
-25 |
-30.0% |
投資CF |
68 |
-32 |
-100 |
– |
FCF |
153 |
27 |
-126 |
-82.2% |
財務CF |
-69 |
-0 |
+68 |
– |
現金及び現金同等物の四半期末残高 |
950 |
1,168 |
+217 |
+22.9% |
* 単位:百万円
*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。
上期末における現金及び現金同等物は、前期末比39百万円増加し、11億68百万円となった。
営業CFは59百万円の収入となった。これは棚卸資産の増加、前払費用の増加、未払金の減少、為替差益の計上、法人税等の支払があったものの、税金等調整前当期純利益の計上、仕入債務の増加があったこと等によるもの。
投資CFは32百万円の支出となった。これは投資有価証券の取得による支出、敷金・保証金の差入、有形固定資産の取得による支出があったこと等によるもの。
財務CFは0.9百万円の支出となった。これは短期借入金の純増があったものの、長期借入金の返済による支出、配当金の支払があったこと等によるもの。
3.2023年5月期業績見通し
(1)通期業績予想
22/5期 |
構成比 |
23/5期(予) |
構成比 |
前期比 |
|
売上高 |
3,745 |
100.0% |
4,500 |
100.0% |
+20.1% |
営業利益 |
449 |
12.0% |
320 |
7.1% |
-28.9% |
経常利益 |
454 |
12.1% |
321 |
7.1% |
-29.2% |
当期純利益 |
384 |
10.3% |
190 |
4.2% |
-50.7% |
* 単位:百万円
* 予想は会社側発表。
23/5期は20.1%増収、28.9%営業減益を見込む
通期予想に修正はなく、23/5期は売上高が前期比20.1%増の45億円、営業利益は同28.9%減の3億20百万円、経常利益は同29.2%減の3億21百万、当期純利益は同50.7%減の1億90百万円を見込む。
新型コロナウイルス感染拡大は好影響となる。医薬品販売事業を開始するなど、新規事業も拡大させて大幅増収を見込む。メディア・プラットフォーム事業、医療機関経営支援事業、医療BtoB事業の主力3事業がいずれも増収の見通し。業容拡大に向けた組織体制の強化、成長のための戦略投資を継続する。事業が拡大するものの、利益面では投資が先行することに伴い減益を見込んでいる。
配当についても修正なく、1株につき2.50円の期末配当を計画する。
23/5期も引き続き、成長のために積極的に投資を行う方針。
現状、人員増は計画通りには進まず、新卒採用も9名程度にとどまる模様。
人的投資 |
●人件費は対前年41.8%増計画
・ 中途27名採用 プロフェッショナル人材の採用を強化 ●23/4新卒12名採用予定(前年より5名増) |
事業投資 |
・ 新規事業
・ 医療BtoB事業のV字回復から更なる拡大 ・ 歯科事業の海外展開拡大 ・ 歯科ディーラー事業を拡大 ・ 医薬品・医薬部外品販売事業のシナジー ・ 大学との共同研究 |
成長に向けた今後の投資(百万円)
(同社資料より)
(2)事業別取り組み
特に医療機関経営支援事業における、歯科医院の開業・経営に対する支援から歯科医師個人のライフサポートまの総合的な支援が期待される。
事業 |
取り組み |
メディア・プラットフォーム
歯科・美容 |
・人材強化
・サービスの改善・拡充、セールスとのサービス販売強化 ・専門コンテンツ強化 ・口腔周りから全身の健康へつながる橋渡し |
医療機関経営支援事業 | ・新規チャネル開拓と収益モデル構築
・歯科医院の開業・経営に対する多チャンネルでの支援から歯科医師個人のライフサポートまで総合的に支援 ・セミナー、大学及びスタディグループの開業支援及び経営支援案件の掘り起こし ・歯科ディーラー事業を拡大 ・医薬品・医薬部外品の販売 ・タイでの歯科事業の拡大 |
医療B to B | ・会員数増加に向けた施策強化
・新サービスの開発、販売強化 ・デジタル及びリアルのデンタルショー開催 |
ビジネスディベロップメント・経営企画 | ・新規事業
・岡山大学との共同研究を継続 |
(3)計画の前提
各事業で増収を見込む。
事業 |
売上状況 |
メディア・プラットフォーム | 歯科分野は前年に続き受注が好調に推移する見込み。
美容分野は新規分野へ進出し、成長を目指す。 |
医療機関経営支援事業 | 体制を強化し新事業、新商材取扱いに加え、既存事業も収益力を強化し収益拡大。医薬品販売事業と歯科ディーラー事業とのシナジーを生み、両事業拡大見込み。
タイで歯科医院経営支援に加え、歯科ディーラー事業を開始、収益拡大を目指す。 |
医療B to B | Dentwave.comのサービス拡充及び新サービスの投入で売上増を図る。 |
費用についても仕入原価、人件費とも増加する見通し。
費用 |
見通し |
売上原価(仕入高)
|
歯科ディーラー事業の売上増加及び医薬品販売事業開始に伴い商品仕入高が増加。
既存サイトの拡充、新サイト開発等サービスの多様化を図り、業務拡大により労務費増加。 |
販管費(人件費) | 組織体制強化のための人件費、新サービス投入に係るコストが増加する見込み。 |
4.今後の注目点
上期の通期予想に対する進捗率は売上高で44.4%、営業利益で60.1%。売上高は会社予想との比較でも下回ったが、昨年5月に設立したオカムラOsakaのスタートの遅れとノーエチ薬品の資材不足による影響があった模様。ノーエチ薬品については、下期には巻き返せる見通し。近年の増収傾向を見ると十分達成可能だろう。一方、営業利益の進捗率は高く、超過達成となる可能性もあるが、人材獲得が進まず人材獲得関連費用の進捗が遅れているという側面もある。売上高100億円を目指す成長戦略に対して「若干ビハインドしている」と平川社長はコメントしており、人材獲得を進めて来期以降の成長につなげたいところ。
今上期は特段新たなトピックはなかったが、今回の説明会ではM&Aとその後の子会社の成長について平川社長から踏み込んだ説明があった。子会社を多く含んでいる医療機関経営支援事業において23.9%増収ながら14.5%減益と利益水準は低い。オカムラやノーエチ薬品など買収したばかりの企業もあり、今後の改善余地は大きい。
21年度の歯科診療医療費は前年比4.8%増。新型コロナウイルス感染症拡大により、口腔衛生意識の高まりからインプラントや矯正治療等の自費診療への需要が増大し、ここ近年にはない大幅な伸び率となった。
23/5期予想は減益であるものの、高い売上成長を持続させ、利益面では進捗率は高い。株価は軟調に推移しているが、現状のバリュエーションは評価不足の水準にあると考える。
(決算短信よりインベストメントブリッジ作成)
◎株主優待(オリジナルQUOカード)
100株以上かつ1年以上保有 1,000円
600株以上かつ1年以上保有 1,500円
1,000株以上かつ1年以上3年未満保有 1,500円
1,000株以上かつ3年以上保有 2,000円
<参考1:今後の成長戦略 ~予防医療・未病医療へ注力~>
今後の更なる成長を目指す同社では「予防医療・未病医療」が重要なキーワードであると考えている。
同社がオンリーワン企業としてポジショニングを構築している歯科業界において大きな環境変化が起きている。
日本では歯科治療というとこれまでは虫歯治療が中心であった。
一方欧米では虫歯治療だけではなく、歯周病が動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、アルツハイマーなど様々な疾病の原因の一つであり、歯の健康を保つことがこれらの疾病予防につながるという考え方が中心となっている。
このような、全身の健康・長寿につながる「予防歯科・未病歯科」という考え方が今後日本でも重視されるといわれている。
既存のストックビジネスに歯科医院運営やDENTAL TRIBUNEの活用などの「海外事業」と予防医療・未病医療など「新規事業」を積み上げるとともに、成長を加速させるブランディング創りにも取り組み、2025年5月期売上高100億円を目指している。
~2025年5月期売上高100億円に向けて~
(同社資料より)
今後の成長戦略・成長ドライバー
(同社資料より)
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 5名、うち社外1名 |
監査役 | 3名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2022年8月31日
<基本的な考え方>
当社は、株主の利益の最大化を図りつつ、株主・クライアント・エンドユーザー・従業員・地域の方々等すべてのステークホルダーに対して、経営の健全性・効率性・透明性を通じて企業社会の一員としての社会的責任を果たしていくことをコーポレート・ガバナンスの基本方針としております。
その実現のために、現状に満足することなく経営環境の変化に応じてコーポレート・ガバナンス体制を強化し、企業価値の最大化を図ってまいります。
<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。」と記述している。