(4767)株式会社テー・オー・ダブリュー リアル、オンライン双方の伸長に期待

2022/10/13

 

 

 

村津憲一 代表取締役社長

株式会社 テー・オー・ダブリュー(4767)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

サービス業

代表取締役社長

村津 憲一

所在地

東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル

決算月

6月

HP

https://www.tow.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

306円

45,472,344株

13,914百万円

5.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

14.40円

4.7%

3.85円

79.5倍

231.21円

1.3倍

*株価は9/27終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは22/6期実績、EPS、DPSは23/6期予想(レンジ予想の平均値)。
数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2018年6月(実)

16,688

1,825

1,873

1,207

26.87

13.50

2019年6月(実)

16,278

1,995

2,017

1,345

29.94

14.50

2020年6月(実)

19,325

2,316

2,332

1,584

35.26

16.75

2021年6月(実)

12,209

655

698

455

10.14

12.90

2022年6月(実)

11,134

883

924

598

13.22

14.00

2023年6月(予)

11,200

~12,200

907

~1,076

930

~1,100

95

~254

2.11

~5.60

14.40

*単位:百万円、円。予想は会社予想。2016年3月期より当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
* 2020年4月1日、1株を2株に分割。EPS、DPSは株式分割を反映。

 

 

テー・オー・ダブリューの2022年6月期決算と2022年6月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.23/6期アクションプラン
3.2022年6月期決算
4.2023年6月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて

 

今回のポイント

  • 22/6期は前期比8.8%減収、32.3%経常増益。これまで主力としてきたリアルイベント領域において、上半期は新型コロナ感染状況の沈静化により一時的な回復も見られた。下期はまん延防止等重点措置による実施予定案件の延期や中止等もあり、広告市場における大規模なイベント回復にはその影響が継続している。一方で、オンラインイベントやオンラインプロモーションの制作領域も堅調に伸びている。利益面では、前期低採算の官公庁・団体の大型案件の影響がなかったことに加え、「専門性の高い人材の提供価値のマネタイズ」、「制作管理部門の機能強化による適正収益の確保」、「制作業務の内製化による収益性の向上」を引き続き推進し大幅増益。期末配当は7.00円/株(通期で14.00円/株)を実施。
  • 23/6期は、前期比0.6~9.6%増収、0.7~19.0%経常増益を見込む。感染拡大による影響を受ける期間および中止や延期の規模が現段階では不透明なため、レンジ形式による業績予想開示を行うこととした。こうした状況を前提としながらも、リアル領域およびオンライン領域の双方を伸長させるため、これまで取り組んできた成長戦略を着実に実行していく。オンラインイベントやオンラインプロモーション領域においては、広告のオンライン化の流れが今後も続いていく認識のもと一層の伸長を図る。また、リアルイベント領域においては、これまでに培った知見と新たな発想によって回復を目指していく。利益面では、専門性の高い人材の提供価値のマネタイズおよび制作業務の内製化による収益性の向上を継続して推進する。配当は14.40円/株(うち上期7.20円/株)を予定。
  • 22/6期の減収は、低採算の官公庁の大型受注が縮小したことによるもの。民間企業向けは、いずれの業種も好調に推移した。このため、利益面では大幅増益を確保した。23/6期予想についてはレンジ予想。ただし、足元で感染拡大が進んでいるものの、リアルイベントへの影響は限定的となっている模様。また、同社は先駆けてかつ急速にオンラインイベント、オンラインプロモーションへの対応を進めてきた。また、オンラインプロモーションについては、単価が低い案件があっても収益性は確保できている模様。ひいては、今後は新型コロナ感染拡大の収益への影響は、売上形態が異なっても軽微にとどまるモデルが出来つつあるように感じる。コロナ禍を経て、再び成長軌道を取り戻しつつあるといえる。 

1.会社概要

広告業界のイベント・プロモーション分野で独立系No.1、上場市場は東証プライム。記者発表会、PRイベント、展示会、文化・スポーツイベントの、企画・制作・運営を強みに事業規模を拡大。リアルで培ったプロデュース力に加え、2000年代初期からデジタル分野に取り組み、オフライン、オンラインを問わず、「体験価値※」をコアにしたプランニング力とプロデュース力を駆使し、「魅力的なコンテンツを創る力」と「プラットフォームを活性化する力」を発揮することで、新規顧客の獲得、既存顧客の育成・活性化につなげることに成功してきた。
顧客の成長に貢献する『TOW体験デザインモデル』の開発に取り組み、提供価値の拡張とビジネスの成長を実現し、新たな企業像として『体験価値をコアに、成果をデザインするプロダクション』を目指している。
グループは同社の他、イベントの制作・運営・演出及び映像制作を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブ(以下、T2C)の連結子会社1社(22年6月末現在)。

 

尚、「インタラクティブ・プロモーション(IP)」とは、デジタル技術とアイディアで感動体験を創りだし、その体験を情報拡散・共感させるプロモーションである。

 

※体験価値:情緒的価値・感性的価値・機能的価値を含めて顧客心理に訴えかける価値

 

 

【事業内容】

イベント及びプロモーションの企画から実施まで
イベント及びプロモーションは、主催者や広告主が何らかの目的(対象者に情報を発信したいとの意図)を持った時点で案件が発生する。
同社は、主催者や広告主よりその目的についての説明を受け、分析や調査を経て戦略や企画の作成に入り、その後、幾度かのミーティングを繰り返すことにより、当初の企画から基本計画、実施計画、詳細計画へと段階的に移行し、最終的には手法に応じた成果物となり、各種資料に従って準備を進め、イベント及びプロモーションを実施する。

 

同社の業務範囲
上述の企画から実施までを受注し、「分析・調査」・「戦略立案・コンセプト策定」・「企画提案」・「実施制作」・「効果検証」並びにそれに付帯する業務を行うが、それぞれの課題に応じて多くの手法がある。
リアルイベント、オンラインイベント、動画制作、SNSキャンペーン、デジタル広告運用、デジタルメディア運用、SNSアカウント運用、デジタルサービスUX設計、PR、SP等、それぞれの領域の専門業者を外注先として業務ごとに発注し、プロモーション全体をトータルにプロデュース、ディレクションすることで主催者や広告主の意図することを生活者に伝えることが同社の業務である。
なお、株式会社ティー・ツー・クリエイティブは、このうちイベントの「制作」・「運営」・「演出」を主として行っている。

 

パーパス
同社の普遍的な強みである「体験価値」を軸にしながら顧客・生活者・社会に貢献したい、という想いを込めてパーパスを制定。
 

(同社資料より)

 

2.23/6期アクションプラン

リアル拡大 目的に応じた多様なかたちでのリアルイベントの実施

 

経済や生活行動等の変化を捉え、社会の新たな課題解決にも向き合い、
社会・企業・生活者を元気にするリアルプロモーションを手掛け、「リアル回帰」を牽引する。

 

(同社資料より)

 

リアル拡大 「新しい時代のリアル体験」の提案強化~提供価値の確立

 

これまでに培ったイベント企画・制作の知見と、新たな発想を掛け合わせ、リアルの価値を進化。
OMO(*)時代に相応しい「新たな役割」を持たせたリアル体験施策を生み出していく。

 

【22年5月リリース】
体験型テストマーケティングサービス「PreSTORE」
✓都内一等地にリアル拠点を構え、販売・接客等の実証実験
✓来店者の生声・行動を分析し、次のアクションに向けた発見を得る

 

(同社資料より)

 

企業の事業拡張を支援する、PoC(*)型の新たなリアル施策を提案
(*)OMO・・・Online Merges with Offlineの略称、オンラインとオフラインの融合を指す
PoC・・・Proof of Conceptの略称、規制概念の実証を指す

 

【22年6月リリース】
LINE連動型リアルイベントパッケージ「EVENT CONNECT」
✓LINE上でイベント予約~会場でLINE連動コンテンツを利用可能
✓イベント後にも“私向け”のメッセージをLINEで受け取ることができる

 

(同社資料より)

 

企業と生活者の持続的な関係づくり、ファンづくりに貢献

 

オンライン領域拡張 重点領域「SNS」「動画」「デジタル広告」による領域拡張

 

統合プランニングにより、SNS・動画・デジタル広告といったオンライン体験の領域拡大へ。
拡大に向け、機能型チーム/グループを整備し、領域拡張を加速する。

 

(同社資料より)

 

TOWの優位性・独自性の強化 独自の強みである「体験価値」を軸に置いたソリューションを開発

 

【新規オリジナルソリューション開発】
✓開発と活用を主導する 「体験デザインラボ」 を新たに設立
★検討中テーマ
・デジタル販促領域
・メタバース
・SNS連動ソリューション
・環境配慮型イベント
 などリアル/デジタルそれぞれに重点テーマを設定

 

【「体験型デザインエンジン」の継続・発展】
✓昨年開発した独自の成果データベース「体験デザインエンジン」の機能拡充
✓前年度実施案件の約3割をデータ化。今年度は約5割のデータ化を目指して、体験設計とデータの獲得・活用を進める。

 

 

3.2022年6月期決算

(1)連結業績

21/6期

構成比

22/6期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

12,209

100.0%

11,134

100.0%

-8.8%

11,051

+0.8%

売上総利益

1,470

12.0%

1,733

15.6%

+17.9%

販管費

815

6.7%

850

7.6%

+4.3%

営業利益

655

5.4%

883

7.9%

+34.7%

801

+10.3%

経常利益

698

5.7%

924

8.3%

+32.3%

841

+9.9%

親会社株主に帰属する

当期純利益

455

3.7%

598

5.4%

+31.3%

543

+10.2%

*単位:百万円。数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前期比8.8%の減収、同32.3%の経常増益
売上高は前期比8.8%減の111億34百万円。事業環境としては、これまで主力としてきたリアルイベント領域において、上半期は新型コロナ感染状況の沈静化により一時的な回復傾向も見られた。下期は22年1月から3月21日まで断続的に発出されたまん延防止等重点措置による実施予定案件の延期や中止等もあり、広告市場における大規模なイベント回復にはその影響が継続している。一方で、インターネット広告における市場が拡大し、オンラインイベントやオンラインプロモーションの制作領域も堅調な伸びを示している。
カテゴリーごとの売上高は以下の通り。

 

21/6期

22/6期

売上高

構成比

売上高

構成比

前期比

リアルイベント

3,381

27.7%

4,563

41.0%

+35.0%

オンラインイベント

2,601

21.3%

2,787

25.0%

+7.1%

オンラインプロモーション

2,106

17.2%

3,586

32.2%

+70.3%

その他

4,121

33.8%

198

1.8%

-95.2%

合計

12,209

100.0%

11,134

100.0%

-8.8%

*単位:百万円。

 

①リアルイベント・・・35.0%増の45億63百万円。東京2020オリンピック・パラリンピック案件が寄与したが、断続的な緊急事態宣言の発出、また22年1月のまん延防止等重点措置の発出によるイベントの中止・延期等の影響が大きく、回復の立ち遅れが生じたことによりコロナ禍以前の売上水準に戻るには至らなかった。
②オンラインイベント・・・7.1%増の27億87百万円。リアルとオンラインのハイブリッド型等の配信型イベントが伸長した。
③オンラインプロモーション・・・70.3%増の35億86百万円。SNS活用・動画活用等の各種オンラインプロモーション施策の引き合いが増加した。
④その他・・・同95.2%減の1億98百万円。前年に受注した官公庁・団体の大型案件がなかったことにより減収。

 

営業利益は前期比34.7%増の8億83百万円。利益面では、前期に受注した採算性が低い官公庁・団体の大型案件の影響がなかったことに加え、「専門性の高い人材の提供価値のマネタイズ」、「制作管理部門の機能強化による適正収益の確保」、「制作業務の内製化による収益性の向上」を引き続き推進したことにより大幅増益となった。売上総利益率は前期12.0%から15.6%に向上、販管費を4.3%増の8億50百万円に抑え、営業利益率が前期5.4%から7.9%に大きく改善した。営業外では助成金収入の減少はあったものの、受入配当金が増加、経常利益は同32.3%増の9億24百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同31.3%増の5億98百万円となった。
期末配当は予定通り7.00円/株を実施、年間配当は14.00円/株。

 

業種別売上高

 

21/6期

構成比

22/6期

構成比

前期比

情報・通信

2,297

18.9%

2,412

21.8%

+5.0%

自動車

1,297

10.6%

1,787

16.1%

+37.8%

食品・飲料・嗜好品

930

7.6%

1,313

11.8%

+41.2%

化粧品・トイレタリー・日用品

855

7.0%

1,042

9.4%

+22.0%

官公庁・団体

4,783

39.3%

1,535

13.9%

-67.9%

金融

585

4.8%

325

2.9%

-44.5%

交通・レジャー

423

3.5%

841

7.6%

+98.8%

精密機器その他製造

414

3.4%

933

8.4%

+125.3%

流通・小売

259

2.1%

423

3.8%

+63.2%

その他

337

2.8%

482

4.3%

+42.8%

合計

12,180

100.0%

11,093

100.0%

-8.9%

上記のうち、ゲーム案件

825

6.8%

882

8.0%

+6.9%

*企画売上高を除く
*単位:百万円

 

●主要業種の回復
・自動車はリアルイベントが復調傾向
・食品・飲料等は、オンラインプロモーションに加え、リアルイベントの回復もあり拡大
・情報・通信は、デジタルプラットフォーマーの好調もあり堅調に推移
・精密機器は、BtoBイベントが拡大
●官公庁・団体は大型案件がなくなった一方、東京2020オリンピック・パラリンピック案件が寄与
●ゲーム関連は引き続き好調

 

価格帯別案件数

 

21/6期

22/6期

前期比

金額

件数

金額

件数

金額

件数

~1,000万円

2,031

828件

2,703

1,014件

+672

+186件

1,000万円~2,000万円

1,517

108件

2,113

148件

+596

+40件

2,000万円~5,000万円

1,830

58件

2,529

87件

+698

+29件

5,000万円~1億円

941

15件

1,074

16件

+132

+1件

1億円~

5,861

11件

2,672

15件

-3,189

+4件

合計

12,180

1,020件

11,093

1,280件

-1,086

+260件

案件単価

11.9

8.6

-3.2

案件単価(官公庁大型案件除く)

8.0

8.6

+0.6

*企画売上高を除く
*単位:百万円

 

●案件数は122%増
●大型案件はリアルイベントが復調傾向も、新型コロナの影響を受け、小幅な回復にとどまる(5,000万円以上の案件数26本→31本)
●オンラインプロモーションは単価が低い案件もあるが、内製化や提供価値のマネタイズにより収益性は確保

 

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フロー

財政状態

21年6月

22年6月

21年6月

22年6月

現預金

7,580

8,590

仕入債務

1,346

1,087

売上債権

2,631

2,132

短期借入金

840

840

未成業務支出金

67

131

未払法人税等

21

267

未収入金

925

528

退職給付負債・役員退職慰労金

429

454

前払費用

64

97

負債

3,099

3,219

流動資産

11,325

11,537

純資産

10,324

10,544

投資その他

1,840

2,005

負債・純資産合計

13,423

13,764

固定資産

2,098

2,226

有利子負債合計

840

840

*単位:百万円。未収入金:ファクタリング方式により譲渡した売上債権の未収額

 

22/6期末の総資産は、前期末比(以下同)3億40百万円増加し、137億64百万円となった。
流動資産は、2億12百万円増の115億37百万円。未収入金が3億96百万円、売上債権が4億98百万円減少したものの、現預金が10億9百万円増加したこと等によるもの。
固定資産は、1億28百万円増の22億26百万円。固定資産のうち有形固定資産は、36百万円減の1億92百万円。主に減価償却等によるもの。無形固定資産はほぼ同額の28百万円となった。投資その他の資産は、1億64百万円増の20億5百万円。これは主に、投資有価証券が1億45百万円増加したこと等によるもの。
流動負債は、70百万円増の25億98百万円。これは主に、買掛金(仕入債務の一部)が2億59百万円減少したが、未払法人税等が2億46百万円、その他が82百万円増加したこと等によるもの。
固定負債は、50百万円増の6億20百万円。これは主に、繰延税金負債が26百万円、退職給付に係る負債が12百万円、役員退職慰労引当金が11百万円増加したこと等によるもの。
純資産は、2億20百万円増の105億44百万円。これは主に、利益剰余金が1億21百万円、その他有価証券評価差額金が1億円増加したこと等によるもの。
自己資本比率は前期末比0.1ポイント減の76.4%となった。

 

キャッシュ・フロー

 

21/6期

22/6期

前期比

営業キャッシュ・フロー

3,388

1,555

-1,832

-54.1%

投資キャッシュ・フロー

-206

-24

+181

フリー・キャッシュ・フロー

3,182

1,530

-1,651

-51.9%

財務キャッシュ・フロー

-657

-520

+136

現金及び現金同等物期末残高

7,580

8,590

+1,009

+13.3%

*単位:百万円

 

22/6期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比10億9万円増加し、85億90百万円となった。
営業CFは15億55百万円の収入(前期は33億88百万円の収入)となった。これは主に、仕入債務の減少額が2億58百万円あったが、税金等調整前当期純利益が9億26百万円、売上債権の減少額が4億98百万円、未収入金の減少額が1億43百万円、法人税等の還付額が1億19百万円あったこと等によるもの。
投資CFは24百万円の支出(前期は2億6百万円の支出)となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出が23百万円あったこと等によるもの。
財務CFは5億20百万円の支出(前期は6億57百万円の支出)となった。これは主に、配当金の支払額が6億23百万円あったこと等によるもの。

 

 

4.2023年6月期業績予想

連結業績

22/6期 実績

構成比

23/6期 予想

構成比

前期比

売上高

11,134

100.0%

11,200~12,200

100.0%

+0.6~9.6%

営業利益

883

7.9%

907~1,076

8.1~8.8%

+2.7~21.8%

経常利益

924

8.3%

930~1,100

8.3~9.0%

+0.7~19.0%

親会社株主に帰属する

当期純利益

598

5.4%

95~254

0.9~2.1%

-84.0~-57.4%

*単位:百万円

 

23/6期はレンジ予想、増収・経常増益を見込む
23/6期はレンジ予想。売上高は112億円~122億円(前期比0.6~9.6%増)、営業利益は9億7百万円~10億76百万円(同2.7~21.8%増)、経常利益は9億30百万円~11億円(同0.7~19.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は95百万円~2億54百万円(同84.0%~57.4%減)を計画する。22年1月から3月まで断続的に発出されたまん延防止等重点措置により、同社が得意とする広告市場における大規模なリアルイベントについては大きな影響を受け、22/6期4Qには市場環境の不確実性が高い状況が継続していた。その後、行動規制の緩和により人流は回復傾向にあるものの、変異株の急速な拡大で国内の感染者数が世界最多となった状況を受け、飲食を伴うイベントや密になりやすいクローズド空間でのイベントなど一部の案件での中止や延期が発生し、同社を取り巻く市場環境の不確実性は継続している。そのため、23/6期における業績の見通しについては、感染拡大による影響を受ける期間および中止や延期の規模が現段階では不透明なため、レンジ形式による業績予想開示を行うこととした。こうした状況を前提としながらも、同社グループはリアル領域およびオンライン領域の双方を伸長させるため、これまで取り組んできた成長戦略を着実に実行していく。オンラインイベントやオンラインプロモーション領域においては、広告のオンライン化の流れが今後も続いていく認識のもと一層の伸長を図る。また、リアルイベント領域においては、前期にあったオリンピック・パラリンピック等の特需がないものの、経済活動の回復傾向および生活者行動の変化を背景に、これまでに培った知見と新たな発想によって回復を目指していく。
利益面では、専門性の高い人材の提供価値のマネタイズおよび制作業務の内製化による収益性の向上を継続して推進する。販管費については、退任する役員に係る報酬が減少する一方、22年2月に実施した全社員の給与ベースアップ、新卒採用等の人的投資、事業領域の拡大や同社の優位性及び独自性を強化するための戦略的なソリューション開発への投資等を予定している。なお、6億47百万円の特別損失の計上を予定している。これは、退任する取締役会長川村治氏に対し功労金及び特別功労金、取締役副会長秋本道弘氏に対し功労金を贈呈する見込みであることによる。
配当予想に修正なし。前期に引き続き連結配当性向換算で50%を上限とするという方針を一時的に撤廃し、決算発表日の前日(22年8月8日)の終値に株価配当利回り4.5%を乗じて算出された14.4円が最低配当金となる予定。従って、1株につき中間配当金を7.20円、期末配当金を7.20円、年間で14.40円とする予定。

 

23/6期の進捗

 

22/6期(21/7/30現在)

23/6期(22/7/31現在)

前期差

一般企業案件 受注残高(A・B・松の合計)

3,865

4,131

266

竹・梅の合計

1,397

1,292

-105

官公庁・団体

案件

受注残高(A・B・松の合計)

685

515

-170

竹・梅の合計

32

226

194

合計 受注残高(A・B・松の合計)

4,550

4,647

97

竹・梅の合計

1,429

1,518

89

*単位:百万円

 

A:イベントの規模(金額)、実施時期等が決定している案件

B:受注決定だが、金額・実施時期等に不確定要素のある案件

松:同社がほぼ受注する見込みにある案件(80%以上の確度)

竹:企画・提案案件のうち、同社が受注する確度の高い案件(50%以上の確度)

梅:企画・提案中の案件

 

●企業のプロモーション業務は前期比106%で 回復傾向
●特に中~大型のリアルイベントが回復の兆し
・ポップアップショップや街頭プロモーションなどリアル体験施策も復調傾向
●オンライン領域の引き合いは引き続き堅調
●但し、直近の新型コロナの急拡大により、一部で案件の中止や延期が発生するなど、今後の見通しは不透明
●官公庁案件はオリパラの影響もあり減少

 

直近の受注状況と23/6期兆し

リアルイベント

企業のリアルイベントは回復傾向にあるが、感染拡大状況に臨機応変に対応

これまでに培った知見と新たな生活者行動に合わせたリアルイベントの提案・実施に注力

オンラインイベント

(ハイブリッドイベント含む)

●リアルと配信の双方を有効活用するハイブリッドイベントが定着化

●ファンとの直接的な接点づくりを目的とするオンラインイベントも活性化

オンラインプロモーション

●「SNS」や「動画」を活用した施策の引合が増加

●より実売への貢献が高い「デジタル販促」や、「デジタル広告」領域の提案を強化

 

23/6期方針

 

生活者の意識や生活行動の変化・活発化も見込まれる中で、

「体験価値を軸とした顧客体験設計」により、

生活者に感動や共感やワクワクを届け、企業の成果に貢献する。

 

大きくは次の2つの方向

行動意識の変化・人流回復の機を捉え

リアル領域の復活・拡大を目指す

足元の感染拡大 「第七波」 の影響に注視しつつも リアル体験の価値によって、企業の成果に貢献する

リアルイベントを復活・拡大させる

 

×

今後も成長するデジタル市場の流れを捉え

更なるオンライン領域拡張を推進

マーケティングや生活行動に不可欠となった デジタル体験の新たな領域を拡張し

OMO時代の統合的な顧客体験設計に貢献する

 

 

(同社資料より)

 

方針実行のキーワード=「拡張」と「事業貢献」

拡張

顧客体験設計の統合プロデュースによる受注領域拡張(動画、SNS、PR、デジタル広告・・・)

クライアント理解とフルファネル発想による担当ブランド/サービスの拡張

事業貢献

成長ビジョン 「体験価値をコアに、成果をデザインする」 による事業貢献

点✕線の体験デザインを通じて、クライアントの顧客獲得・顧客育成に貢献

 

 

5.今後の注目点

22/6期に減収となったのは、採算性の低い官公庁の受注が縮小したことによるもの。民間企業向けは、前期新型コロナ影響の反動もあり、いずれの業種も好調に推移した。このため、利益面では大幅増益を確保した。23/6期はレンジ予想、新型コロナの影響を考慮したものだがやや地味な印象を持っている。足元、全国で感染拡大が急速に進んでいるものの、リアルイベントへの影響は限定的となっている模様。また、同社は20年春に初めて新型コロナが感染拡大した当初から、先駆けてかつ急速にオンラインイベント、オンラインプロモーションへの対応を進めてきた。そのノウハウにも「一日の長」があると思われる。また、オンラインプロモーションについては、単価が低い案件があっても収益性は確保できている模様。ひいては、今後は新型コロナ感染拡大の影響は、売上形態が異なっても収益への影響は軽微になるモデルが出来つつあるように感じる。当初予想されたより長きにわたるコロナ禍を経て、再び成長軌道を取り戻しつつあるといえる。19/6期レベルの収益(売上高162億78百万円、経常利益20億17百万円、EPS29.94円)を取り戻すのもそれほど時間を要しないだろう。また、外国人観光客が復活すれば、さらに見通しは明るくなるだろう。

 

*2020年4月1日付で普通株式1株につき普通株式2株の割合で株式分割を実施、EPSは分割後の数値に修正しております。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

10名、うち社外4名(独立社外取締役3名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書 更新日: 2021年12月22日
基本的な考え方

 

同社では、コーポレート・ガバナンスの意味を「企業価値の継続的な向上を目指して、経営層による適正かつ効率的な意思決定と業務執行、並びにステークホルダーに対する迅速な結果報告、及び健全かつ公正で透明性の高い経営を実現する仕組みの構築・運用」と考えている。
株主をはじめ、顧客、従業員その他のステークホルダーに対する責任を果たすとともに、当社の継続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、以下の基本方針に則って、実効性あるコーポレート・ガバナンスを実現していく。

 

1.株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、適切に協働する。
3.会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
4.取締役会による業務執行に対する監督機能の実効性を向上させる。
5.中長期的な株主の利益と合致する投資方針を有する株主との間で建設的な対話を行う。

 

<実施しない主な原則とその理由>

 

【補充原則2-4-1 中核人材の登用等における多様性の確保】
同社は、多様性を確保するため、中途採用者等を積極的に中核人材として登用している。また、女性社員の管理職への登用に関しては、2021年6月末現在で12名、全管理職の13.6%。多様性の確保についての方針、目標、環境整備については、今後検討を進めていく。

 

【補充原則3-1-2 英語での情報開示・提供】
同社は英語版の事業報告書を作成するとともに開示しているが、今後は、同社の株主における機関投資家や海外投資家の比率などの動向を踏まえ、決算説明会資料、招集通知記載内容等についても英語での情報提供を検討していく。

 

【補充原則3-1-3 サステナビリティについての取組み】 
【補充原則4-2-2 サステナビリティを巡る取組みに関する方針の策定】
同社のサステナビリティに関する方針、取り組みについて、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響の開示については、会社の適正規模を踏まえ業界動向に鑑み、TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づき実施できるよう、取締役会を中心として必要に応じて今後の検討を進めていく。

 

【補充原則4-1-2 中期経営計画に対するコミットメント】
【原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表】
同社は、単年度の業績目標の達成を最重要課題としており、また事業環境の不連続性から中期経営計画の策定は現在凍結しているが、2021年6月期 第2四半期決算説明会において事業成長ビジョンを策定、公表している。なお、持続的な成長を実現していくためにも、中期的な視点に立った経営ビジョンの策定や戦略立案が重要であると考えており、業界環境の動向、施策の効果検証の確信がもてた段階で中期経営計画を公表する。

 

【原則4-8 独立社外取締役の有効な活用】
同社の取締役の構成は、2021年定時株主総会終了時点で、取締役10名(監査等委員である取締役3名を含む)のうち、3名の独立社外取締役を含む社外取締役4名で監督する体制となっている。独立社外取締役を含む取締役を選任するにあたっては取締役会が全体として保有する、企業経営、財務会計、法務・リスク管理、業界の知見等の知識のバランスを考慮し取締役の構成を検討していく。

 

【補充原則4-10-1任意の諮問委員会設置による独立社外取締役の適切な関与・助言】
取締役等の指名・報酬等に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するために、指名・報酬等の検討に際しては、独立社外取締役との連携を深める等、より公正で、透明性の高い検討と手続きが実施できることを目指した体制整備の検討を進める。なお、任意の諮問委員会については、必要性に応じ検討していく。

 

【原則4-11 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】
同社では、取締役は、経営・リスク管理・営業・デジタル等の各分野において専門的知識と豊富な経験を有した者で構成されており、取締役会としての役割・責務を実効的に果たすための適正規模で構成していると認識している。また、同社の監査等委員は財務・会計、法務に関する豊富な経験と高い知見を有している。ジェンダーや国際性の面を含む多様性については、適正規模を考慮した上で構成されるよう努めていく。

 

 

<開示している主な原則>

 

【補充原則1-2-4 議決権の電子行使対応等】
株主における機関投資家や海外投資家の比率などの動向を踏まえ、第46期定時株主総会に向けて、電子投票制度および議決権電子行使プラットフォームの導入を進めていく。

 

【原則1-4 政策保有株式】
同社の純投資目的以外の投資を行う際の基本方針は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社の統合プロモーション事業におけるシナジー効果が期待されることであり、中長期的な視点で価値向上を図るために、取引先との関係強化の観点等を踏まえ、効果が見込まれると判断した場合に限り、必要最小限の上場株式を保有することとしている。
政策保有株式の議決権の行使については、適切な対応を確保するために、議案毎に、保有先企業の中長期的な企業価値の向上、当社及びグループ会社の中長期的な経済的利益の増大等の観点から総合的に判断するものとし、主要な政策保有株式については、議決権行使の状況を取締役会に報告する。

 

【原則2-3 社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題】
同社の取締役会は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題であると認識し、環境管理委員会をはじめとする各委員会でこれらの課題に積極的に取り組んでいる。特に環境課題については2000年から取り組みを継続しており、同社ホームページにも情報を開示している。
https://tow.co.jp/iso/

 

【原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
社外取締役候補者の選任にあたっては、東京証券取引所が定める独立性基準を満たす者としている。

 

【補充原則4-11-1 取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方】
同社は、定款により、取締役の員数を14名以内と定めており、2021年9月24日現在10名(うち社外取締役4名)で取締役会を構成。取締役会を構成するメンバーについては、経験、知見、能力等における多様性に配慮している。スキルマトリックスは、株主総会招集通知にも開示している。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
同社は、株主・投資家との双方向の建設的な対話を促進し、これにより同社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた実効的なコーポレート・ガバナンスの実現をはかることを、同社の責任を果たす上での最重要課題の1つと位置付けており、このような考えに基づき、以下のような施策を実施する。

 

1.株主との対話に関する担当取締役の指定
 経営トップ自らが株主との対話に取り組み、管理本部長がIR実務を統括する。

 

2.社内部署の有機的な連携のための方策
 IR担当部署でもある総務チームが経理チームと日常的に打ち合わせや意見交換を実施しており、開示資料作成に際しても連携し、経営トップを交えて内容の検討を行っている。

 

3.個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
 株主総会を株主との重要な対話の場と位置付け、株主総会において、同社事業に関する十分な情報開示の確保をはじめ、株主の皆様からの信認を得られるような運営につとめる。
また、定期的に決算説明会を開催することにより、株主・投資家の皆様とのより緊密なコミュニケーションの実現につとめる。

 

4.株主の意見・懸念のフィードバックのための方策
 株主・投資家との対話において把握されたご意見や当社に関する懸念を担当部署において取りまとめ、その重要性や性質に応じ、これを定期的に経営陣幹部や取締役会に報告するための体制を整備する。

 

5.インサイダー情報の管理に関する方策
 株主・投資家の実質的な平等性を確保すべく、公平な情報開示につとめることを基本方針とし、当該方針に基づき、同社に関する重要情報については、適時かつ公平にこれを開示することとし、一部の株主・投資家に対してのみこれを提供することがないよう、その情報管理の徹底につとめる。

 

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