(4767)株式会社テー・オー・ダブリュー  デジタル・リアルの売上成長を期待

2022/07/07

 

 

 

村津憲一 代表取締役社長

株式会社テー・オー・ダブリュー(4767)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

サービス業

代表取締役社長

村津 憲一

所在地

東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル

決算月

6月

HP

https://www.tow.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

324円

45,472,344株

14,733百万円

4.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

14.00円

4.3%

12.02円

27.0倍

227.31円

1.4倍

*株価は6/15終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。R
OEは前期実績。BPSは3Q実績、EPSは22/6期予想。
数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2018年6月(実)

16,688

1,825

1,873

1,207

26.87

13.50

2019年6月(実)

16,278

1,995

2,017

1,345

29.94

14.50

2020年6月(実)

19,325

2,316

2,332

1,584

35.26

16.75

2021年6月(実)

12,209

655

698

455

10.14

12.90

2022年6月(予)

11,051

801

841

543

12.02

14.00

*単位:百万円、円。予想は会社予想。2016年3月期より当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
* 2020年4月1日、1株を2株に分割。EPS、DPSは株式分割を反映。

 

 

テー・オー・ダブリューの2022年6月期第3四半期決算と2022年6月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.事業成長ビジョン
3.2022年6月期第3四半期決算
4.2022年6月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて

 

今回のポイント

  • 22/6期3Q累計は前年同期比5.0%減収、188.6%経常増益。リアルイベントは53.6%増収ながら、回復には遅れが見られた。一方、オンラインイベントは、リアルとオンラインのハイブリッド型等の配信型イベントが伸長し44.9%増収。前年に受注した官公庁・団体の大型案件がなかったことが減収の主因。利益面では、採算性が低い官公庁・団体の大型案件の影響がなかったことに加え、「専門性の高い人材の提供価値のマネタイズ」、「制作管理部門の機能強化による適正収益の確保」、「制作業務の内製化による収益性の向上」を引き続き推進したことにより大幅増益となった。売上総利益率は前年同期9.4%から16.1%に向上、販管費の増加を抑え、営業利益率が前年同期2.5%から8.7%へ大きく改善した。

     

  • 通期予想を修正、22/6期は9.5%減収、20.5%の経常増益を見込む。第3四半期までの業績は、前回発表予想に対して計画通りに推移したものの、2022 年1月~3月において断続的に発出されたまん延防止等重点措置による影響を受け、同社グループが得意とする広告市場における大規模なリアルイベントについて、当該期間における発注が見送られ、納期となる第4四半期の業績に影響が出る見込み。また、前期の官公庁・団体の大型案件が減少見込みの中、通常案件を伸ばすことならびに専門性の高い人材の提供価値のマネタイズの推進等で、売上総利益率の向上を図っていく。販管費は、新卒採用に積極的なことや体験デザインエンジンの開発への投資等により増加する見込み。配当は修正なく、7.00円/株の期末配当(通期で14.00円/株)を予定。

     

  • 前年同期の官公庁・団体の大型案件の反動で減収となったが、その案件の採算性が低かったことにより3Q累計の各段階利益は大幅増益となった。まん延防止等重点措置は既に解除、外国人入国制限は緩和、マスク緩和の新方針が示されるなどリアルイベント本格再開の素地は整いつつある。オンラインイベントにおいても、新型コロナ感染拡大以降は先駆けて先端技術を取り入れており、成長が持続するだろう。22/6期は減収となる見込みではあるが、23/6期はデジタル化の進展とリアル回帰の二本柱で売上成長が期待できそうだ。利益面においても、22/6期に取り組んだ施策の成果が引き続き現れると考えられ、増益が見込まれる。

     

1.会社概要

広告業界のイベント・プロモーション分野で独立系No.1、上場市場は東証プライム。記者発表会、PRイベント、展示会、文化・スポーツイベントの、企画・制作・運営を強みに事業規模を拡大。リアルで培ったプロデュース力に加え、2000年代初期からデジタル分野に取り組み、オフライン、オンラインを問わず、「体験価値※」をコアにしたプランニング力とプロデュース力を駆使し、「魅力的なコンテンツを創る力」と「プラットフォームを活性化する力」を発揮することで、新規顧客の獲得、既存顧客の育成・活性化につなげることに成功してきた。
顧客の成長に貢献する『TOW体験デザインモデル』の開発に取り組み、提供価値の拡張とビジネスの成長を実現し、新たな企業像として『体験価値をコアに、成果をデザインするプロダクション』を目指している。
グループは同社の他、イベントの制作・運営・演出及び映像制作を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブ(以下、T2C)の連結子会社1社(22年3月末現在)。

 

尚、「インタラクティブ・プロモーション(IP)」とは、デジタル技術とアイディアで感動体験を創りだし、その体験を情報拡散・共感させるプロモーションである。

 

 

 

【事業内容】

イベント及びプロモーションの企画から実施まで
イベント及びプロモーションは、主催者や広告主が何らかの目的(対象者に情報を発信したいとの意図)を持った時点で案件が発生する。
同社は、主催者や広告主よりその目的についての説明を受け、分析や調査を経て戦略や企画の作成に入り、その後、幾度かのミーティングを繰り返すことにより、当初の企画から基本計画、実施計画、詳細計画へと段階的に移行し、最終的には手法に応じた成果物となり、各種資料に従って準備を進め、イベント及びプロモーションを実施する。

 

同社の業務範囲
上述の企画から実施までを受注し、「分析・調査」・「戦略立案・コンセプト策定」・「企画提案」・「実施制作」・「効果検証」並びにそれに付帯する業務を行うが、それぞれの課題に応じて多くの手法がある。
リアルイベント、オンラインイベント、動画制作、SNSキャンペーン、デジタル広告運用、デジタルメディア運用、SNSアカウント運用、デジタルサービスUX設計、PR、SP等、それぞれの領域の専門業者を外注先として業務ごとに発注し、プロモーション全体をトータルにプロデュース、ディレクションすることで主催者や広告主の意図することを生活者に伝えることが同社の業務である。
なお、株式会社ティー・ツー・クリエイティブは、このうちイベントの「制作」・「運営」・「演出」を主として行っている。

 

2.事業成長ビジョン

Ⅰ.21/6期の取り組み

 

2021年6月期=TOWにとっての転換期

社会・業界の変化がコロナ禍を契機に加速することを見越し次の時代に相応しい新たな提供価値を確立するための「転換期」と早期に位置付け、さまざまな改革やソリューション開発に着手。その先にある成長の方向性を示すべく、本年2月には「TOW事業成長ビジョン」を策定。今後の反転攻勢に向けた土台を築いた一年。

 

 

◎「2つの拡張」による事業成長の実現

 

(同社資料より)

 

体験価値をコアに、成果をデザインするプロダクション

「点×線」の体験デザインで、企業の顧客獲得・顧客育成に貢献する唯一無二のプロダクションへと成長を目指す。

 

社会・業界の変化に対応し、オンラインシフトを加速する 「リアルイベントに強いTOW」から、「リアルにもオンラインにも強いTOW」への変化

 

「点×線」の体験デザインで、クライアントの成果に貢献する アライアンスによるシナジーを活かし、体験デザインの領域(提供価値)を拡張

 

◎オンラインシフトの加速期初に掲げたオンライン案件の比率(売上総利益ベース)を60%にまで高める目標はおおよそ達成。

 

(同社資料より)

 

オンラインシフトが着実に進み、結果にも結びついてきている。

 

「点×線」の体験デザインによる業務領域の拡張

 

(同社資料より)

 

Ⅱ.22/6期アクションプラン

◎社会・業界環境の概観と同社の成長機会

 

企業の更なるDX推進と

デジタル広告市場の伸長

2021年度も20%超の伸長を見込む(日経広告研究所)インターネット広告市場の成長とDXによる 「デジタル体験設計」 の需要の高まりを機会と捉え、同社のデジタル成長を加速。

コロナ後を見据えた経済回復と

「リアル回帰」 への期待

国内外の企業・生活者動向に鑑み、“コロナ後”のリアル回帰を期待。直接体験を伴うイベントや実店舗販促、B2Bカンファレンスなど多種多様な「リアル」が活性化することを見込む。

デジタル×リアルの双方で「体験」の活発化・多様化が見込まれる好機

 

◎22/6期方針

 

前期に培ったノウハウを梃にオンラインプロモーションを拡大 × 経済回復・リアル回帰の流れを掴みリアル体験施策の受注を再拡

 

(同社資料より)

 

二本柱の成長」を通じ、領域拡大と業績回復を目指す

 

 

◎【継続】 主要クライアントの受注拡大(情報通信、自動車、食品・飲料など)
◎【強化】 eスポーツ、ゲームプロモーションの受注拡大
コロナ禍の巣ごもり消費の後押しを受け、ゲーム市場が急速に拡大
それに伴いゲームプロモーション市場も拡大し、TOWのゲーム関連案件の引き合いが活発化

 

→第2四半期の時点で既にコロナ以前を超える受注額で推移

 

ゲーム関連プロモーションは成長領域であり、更なる受注拡大・継続のための取り組みを立ち上げる。
TOWのプランニング・プロデュース力と、T2クリエイティブの制作力・演出力などグループ総合力に加えさまざまなパートナー企業との協業ソリューションを提供するプロジェクトを開始し、新しい時代のゲームプロモーションを生み出す。

 

[PLAY LAB] Game Project by TOW
TOWグループとパートナー企業が持つアセットを組み合わせることで、新しい時代のゲームプロモーションを生み出すパートナープログラム。
プロジェクト立ち上げと同時に、以下2つのソリューション提供を開始。

 

(同社資料より)

 

今後も様々なパートナーとタッグを組み、ソリューション・パッケージの開発を行なっていくとともに、営業開発活動を積極的に行い、受注拡大を目指す。

 

◎【強化】 リアルイベントの提案強化
コロナ禍の最中ではありながら、一部の業種や領域でリアル体験の需要が復活の兆し、実績も出ている
足元の感染拡大はありながらも、今後のピークアウト~アフターコロナ期の到来を見据えた提案活動を活発化
安心・安全と高い接触質を両立する、OMO時代に相応しい 「新たなリアル」 に向けた研究発信や提案活動を行う

 

(同社資料より)

 

◎【強化】 デジタルプロモーション領域の専門性・独自価値づくり
専門人材の採用や機能別組織の設立を通じた提供価値向上の取り組みが、オンライン案件の受注拡大に貢献
TOWではデジタル技術やプラットフォーマーの戦略に精通したチームが、企画・制作・運用・PDCAまで統合的にプロデュースできることが高い提供価値の源泉。この独自性を伸ばす取り組みを継続的に行っていく。

 

(同社資料より)

 

3.2022年6月期第3四半期決算

(1)連結業績

 

21/6期 3Q累計

構成比

22/6期 3Q累計

構成比

前年同期比

売上高

9,165

100.0%

8,709

100.0%

-5.0%

売上総利益

863

9.4%

1,404

16.1%

+62.6%

販管費

630

6.9%

651

7.5%

+3.3%

営業利益

233

2.5%

753

8.7%

+222.8%

経常利益

275

3.0%

794

9.1%

+188.6%

親会社株主に帰属する

四半期純利益

174

1.9%

523

6.0%

+199.2%

*単位:百万円。数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期比5.0%の減収、同188.6%の経常増益
売上高は前年同期比5.0%減の87億9百万円。事業環境としては、これまで主力としてきたリアルイベント領域において、新型コロナ感染状況の沈静化により一時的な回復傾向も見られた。しかし、その後の新たな変異株の感染拡大と感染状況の高止まりもあり、広告市場における大規模なイベントの回復にはその影響が継続している。一方で、インターネット広告における市場が拡大し、オンラインイベントやオンラインプロモーションの制作領域も堅調な伸びを示している。前述で掲げた通り、「体験価値」をコアとしたプランニングとプロデュースを駆使して、「魅力的なコンテンツを創る力」と「プラットフォームを活性化する力」を発揮することで、新規顧客の獲得、既存顧客の育成・活性化に貢献する『TOW体験デザインモデル』を確立する考え。これを通じ、同社グループの提供価値の拡張とビジネスの成長を実現し、新たな企業像として『体験価値をコアに、成果をデザインするプロダクション』を目指している。カテゴリーごとの売上高は以下の通り。

 

①リアルイベント・・・前年同期比53.6%増の32億12百万円。東京2020オリンピック・パラリンピック案件が寄与したが、断続的な緊急事態宣言の発出、また22年1月のまん延防止等重点措置の発出によるイベントの中止・延期等の影響が大きく、回復の立ち遅れが生じたことによりコロナ禍以前の売上水準に戻るには至らなかった。

 

②オンラインイベント・・・同44.9%増27億46百万円。リアルとオンラインのハイブリッド型等の配信型イベントが伸長した。

 

③オンラインプロモーション・・・同126.8%増の26億 19百万円。SNS活用・動画活用等の各種オンラインプロモーション施策の引き合いが増加した。

 

④その他・・・同96.7%減の1億30百万円。前年に受注した官公庁・団体の大型案件がなかったことにより減収

 

営業利益は前年同期比222.8%増の7億53百万円。採算性が低い官公庁・団体の大型案件の影響がなかったことに加え、「専門性の高い人材の提供価値のマネタイズ」、「制作管理部門の機能強化による適正収益の確保」、「制作業務の内製化による収益性の向上」を引き続き推進したことにより大幅増益となった。売上総利益率は前年同期9.4%から16.1%に向上、販管費を3.3%増の6億51百万円に抑え、営業利益率が前年同期2.5%から8.7%に大きく改善した。営業外では受入配当金が増加、経常利益は同188.6%増の7億94百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同199.2%増の5億23百万円となった。

 

(2)財政状態

財政状態

 

21年6月

22年3月

 

21年6月

22年3月

現預金

7,580

7,760

仕入債務

1,346

838

売上債権

2,631

2,322

短期借入金

840

840

未成業務支出金

67

94

未払法人税等

21

186

未収入金

925

815

退職給付負債・役員退職慰労金

429

444

前払費用

64

94

負債

3,099

2,831

流動資産

11,325

11,116

純資産

10,324

10,366

投資その他

1,840

1,852

負債・純資産合計

13,423

13,197

固定資産

2,098

2,081

有利子負債合計

840

840

*単位:百万円。未収入金:ファクタリング方式により譲渡した売上債権の未収額

 

22/6期3Q末の総資産は、前期末比(以下同)2億25百万円減少し、131億97百万円となった。
流動資産は、2億8百万円減の111億16百万円。現預金が1億80百万円増加したものの、売上債権が3億8百万円、未収入金が1億10百万円減少したこと等によるもの。
固定資産は、17百万円減の20億81百万円。固定資産のうち有形固定資産は、24百万円減の2億5百万円、無形固定資産は、5百万円減の23百万円となった。いずれも主に減価償却等によるもの。投資その他の資産は、12百万円増の18億52百万円、繰延税金資産が16百万円増加したこと等によるもの。
流動負債は、2億75百万円減の22億52百万円。これは主に、未払法人税等が1億65百万円、賞与引当金が58百万円増加したが、買掛金(仕入債務の一部)が5億8百万円減少したこと等によるもの。
固定負債は、7百万円増の5億78百万円。これは主に、役員退職慰労金が9百万円増加したこと等によるもの。
純資産は、42百万円増の103億66百万円。これは主に、利益剰余金が1億円減少したが、資本剰余金が1億21百万円増加したこと等によるもの。
自己資本比率は前期末比1.8ポイント増の78.3%となった。

 

4.2022年6月期業績予想

連結業績

 

 

21/6期

実績

構成比

22/6期

修正予想

構成比

前期比

22/6期

(期初予想)

今回修正予想の増減額

今回修正予想の増減率

売上高

12,209

100.0%

11,051

100.0%

-9.5%

12,339

-1,287

-10.4%

営業利益

655

5.4%

801

7.2%

+22.3%

967

-166

-17.2%

経常利益

698

5.7%

841

7.6%

+20.5%

1,000

-158

-15.9%

親会社株主に帰属する当期純利益

455

3.7%

543

4.9%

+19.3%

 

622

-78

-12.6%

*単位:百万円。

 

22/6期は9.5%減収、20.5%経常増益を見込む
通期予想を修正、22/6期は、売上高は前期比9.5%減の110億51百万円、営業利益は同22.3%増の8億1百万円、経常利益は同20.4%増の8億41百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同19.3%増の5億43百万円を見込む。22年1月~3月までのまん延防止等重点措置の発出によるイベントの中止・延期等の影響及び実施規模の回復に立ち遅れがあり、第3四半期までの業績は、前回発表予想に対して計画通りに推移したものの、同社グループが得意とする広告市場における大規模なリアルイベントについて、当該期間における発注が見送られ、納期となる第4四半期の業績に影響が出る見込み。また、前期の官公庁・団体の大型案件が減少見込みの中、通常案件を伸ばすことならびに専門性の高い人材の提供価値のマネタイズの推進等で、売上総利益率の向上を図っていく。販管費については、新卒採用にも積極的に取り組んでいることや成果データベースである体験デザインエンジンの開発への投資等により増加する見込み。これらにより、営業利益、経常利益、親会社に帰属する当期純利益は、前年同期から増加する見通し。

 

配当予想に修正なし。前期に引き続き連結配当性向換算で50%を上限とするという方針を一時的に撤廃し、決算発表日の前日(21年8月6日)の終値に株価配当利回り4.5%を乗じて算出された14円が最低配当金となる予定。従って、1株につき中間配当金を7.00円、期末配当金を7.00円、年間で14.00円とする予定。

 

持続的成長に向けた取り組み
社会・生活のデジタル化や健康意識の高まりなどを背景に生活者の価値観や行動様式は多様化している。更に、環境問題・少子高齢化・地方創生などの社会課題を抱え今後も社会環境や企業活動は変化し続けていく。この環境の中で、企業として持続的な成長を果たすために、同社グループの普遍的な強みである「体験価値」を軸にしながら顧客・生活者・社会に貢献したい、という想いを込めてパーパスを制定した。

(同社資料より)

 

(同社資料より)

 

成長の源泉となる社員の力を引き出す「働きがい・働きやすさ」を整備

 

報酬制度の改定

職能給をアップし、月額平均給与5.9%増額

2軸の領域拡張と提供価値の変化に伴い、その源泉となる社員の価値向上を評価

月額平均給与を平均5.9%増額。

 

選択式キャリア制度の導入

多様な働き方を実現する、コース制職群制度へと移行

パーパス実現に向け、より多様な人材が多様に活躍できるよう、社員が意欲とスキルを高め 多様な働き方やキャリアを形成しやすい制度へと来年度より移行。

 

評価制度の改定

社員の意志をより評価できる制度へと改定

報酬制度と等級制度の改定に伴った設計とし、社員の達成度を評価するだけでなく創造する力や意志を尊重し、社員の多様な活躍を評価する制度へと来年度より移行。

 

働き方改革の推進

業務効率性や生産性と、働きやすさを向上させる改革へ着手

働きがいを高めるとともに、業務効率性や生産性の向上による労働環境の改善、働きやすさを向上させる制度の整備とより良い企業風土の構築に向けて改革を推進。

 

事業拡張と社員の成長との好循環で、持続的に成長する会社へ
(同社資料より)

 

5.今後の注目点

前年同期の官公庁・団体の大型案件の反動で減収となったが、その案件の採算性が低かったことにより3Q累計の各段階利益は大幅増益となった。リアルイベントについては、水準は高いとはいえないが売上高は前年同期比53.6%増とさすがに回復した。通期予想に対する進捗率は売上高で78.8%、経常利益で94.5%。まん延防止等重点措置は既に解除、外国人入国制限は緩和、マスク緩和の新方針が示されるなどリアルイベント本格再開の素地は整いつつある。オンラインイベントにおいても、新型コロナ感染拡大以降は先駆けて先端技術を取り入れており、成長が持続するだろう。22/6期は減収となる見込みではあるが、23/6期はデジタル化の進展とリアル回帰の二本柱で売上成長が期待できそうだ。
新型コロナの影響で混乱したイベント市場だが、コロナ禍を経て提案力に優れた同社のシェアは拡大すると推測される。利益面においても、22/6期に取り組んだ施策の成果が引き続き現れると考えられ、増益が見込まれる。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

10名、うち社外4名(独立社外取締役3名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書 更新日: 2021年12月22日
基本的な考え方

 

同社では、コーポレート・ガバナンスの意味を「企業価値の継続的な向上を目指して、経営層による適正かつ効率的な意思決定と業務執行、並びにステークホルダーに対する迅速な結果報告、及び健全かつ公正で透明性の高い経営を実現する仕組みの構築・運用」と考えている。
株主をはじめ、顧客、従業員その他のステークホルダーに対する責任を果たすとともに、当社の継続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、以下の基本方針に則って、実効性あるコーポレート・ガバナンスを実現していく。

 

1.株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、適切に協働する。
3.会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
4.取締役会による業務執行に対する監督機能の実効性を向上させる。
5.中長期的な株主の利益と合致する投資方針を有する株主との間で建設的な対話を行う。

 

<実施しない主な原則とその理由>

 

【補充原則2-4-1 中核人材の登用等における多様性の確保】
同社は多様性を確保するため、中途採用者等を積極的に中核人材として登用している。また、女性社員の管理職への登用に関しては、2021年6月末現在で12名、全管理職の13.6%。多様性の確保についての方針、目標、環境整備については、今後検討を進めていく。

 

【補充原則3-1-2 英語での情報開示・提供】
同社は英語版の事業報告書を作成するとともに開示しているが、今後は、同社の株主における機関投資家や海外投資家の比率などの動向を踏まえ、決算説明会資料、招集通知記載内容等についても英語での情報提供を検討していく。

 

【補充原則3-1-3 サステナビリティについての取組み】 
【補充原則4-2-2 サステナビリティを巡る取組みに関する方針の策定】同社のサステナビリティに関する方針、取り組みについて、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響の開示については、会社の適正規模を踏まえ業界動向に鑑み、TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づき実施できるよう、取締役会を中心として必要に応じて今後の検討を進めていく。

 

【補充原則4-1-2 中期経営計画に対するコミットメント】
【原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表】
同社は、単年度の業績目標の達成を最重要課題としており、また事業環境の不連続性から中期経営計画の策定は現在凍結しているが、2021年6月期 第2四半期決算説明会において事業成長ビジョンを策定、公表している。なお、持続的な成長を実現していくためにも、中期的な視点に立った経営ビジョンの策定や戦略立案が重要であると考えており、業界環境の動向、施策の効果検証の確信がもてた段階で中期経営計画を公表する。

 

【原則4-8 独立社外取締役の有効な活用】
同社の取締役の構成は、2021年定時株主総会終了時点で、取締役10名(監査等委員である取締役3名を含む)のうち、3名の独立社外取締役を含む社外取締役4名で監督する体制となっている。独立社外取締役を含む取締役を選任するにあたっては取締役会が全体として保有する、企業経営、財務会計、法務・リスク管理、業界の知見等の知識のバランスを考慮し取締役の構成を検討していく。

 

【補充原則4-10-1任意の諮問委員会設置による独立社外取締役の適切な関与・助言】
取締役等の指名・報酬等に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するために、指名・報酬等の検討に際しては、独立社外取締役との連携を深める等、より公正で、透明性の高い検討と手続きが実施できることを目指した体制整備の検討を進める。なお、任意の諮問委員会については、必要性に応じ検討していく。

 

【原則4-11 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】 同社では、取締役は、経営・リスク管理・営業・デジタル等の各分野において専門的知識と豊富な経験を有した者で構成されており、取締役会としての役割・責務を実効的に果たすための適正規模で構成していると認識している。また、同社の監査等委員は財務・会計、法務に関する豊富な経験と高い知見を有している。ジェンダーや国際性の面を含む多様性については、適正規模を考慮した上で構成されるよう努めていく。

 

 

<開示している主な原則>

 

【補充原則1-2-4 議決権の電子行使対応等】
株主における機関投資家や海外投資家の比率などの動向を踏まえ、第46期定時株主総会に向けて、電子投票制度および議決権電子行使プラットフォームの導入を進めていく。

 

【原則1-4 政策保有株式】
同社の純投資目的以外の投資を行う際の基本方針は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社の統合プロモーション事業におけるシナジー効果が期待されることであり、中長期的な視点で価値向上を図るために、取引先との関係強化の観点等を踏まえ、効果が見込まれると判断した場合に限り、必要最小限の上場株式を保有することとしている。
政策保有株式の議決権の行使については、適切な対応を確保するために、議案毎に、保有先企業の中長期的な企業価値の向上、当社及びグループ会社の中長期的な経済的利益の増大等の観点から総合的に判断するものとし、主要な政策保有株式については、議決権行使の状況を取締役会に報告する。

 

【原則2-3 社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題】
同社の取締役会は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題であると認識し、環境管理委員会をはじめとする各委員会でこれらの課題に積極的に取り組んでいる。特に環境課題については2000年から取り組みを継続しており、同社ホームページにも情報を開示している。https://tow.co.jp/iso/

 

【原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
社外取締役候補者の選任にあたっては、東京証券取引所が定める独立性基準を満たす者としている。

 

【補充原則4-11-1 取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方】
同社は、定款により、取締役の員数を14名以内と定めており、2021年9月24日現在10名(うち社外取締役4名)で取締役会を構成。取締役会を構成するメンバーについては、経験、知見、能力等における多様性に配慮している。スキルマトリックスは、株主総会招集通知にも開示している。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
同社は、株主・投資家との双方向の建設的な対話を促進し、これにより同社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた実効的なコーポレート・ガバナンスの実現をはかることを、同社の責任を果たす上での最重要課題の1つと位置付けており、このような考えに基づき、以下のような施策を実施する。

 

1.株主との対話に関する担当取締役の指定
 経営トップ自らが株主との対話に取り組み、管理本部長がIR実務を統括する。

 

2.社内部署の有機的な連携のための方策
 IR担当部署でもある総務チームが経理チームと日常的に打ち合わせや意見交換を実施しており、開示資料作成に際しても連携し、経営トップを交えて内容の検討を行っている。

 

3.個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
 株主総会を株主との重要な対話の場と位置付け、株主総会において、同社事業に関する十分な情報開示の確保をはじめ、株主の皆様からの信認を得られるような運営につとめる。
また、定期的に決算説明会を開催することにより、株主・投資家の皆様とのより緊密なコミュニケーションの実現につとめる。

 

4.株主の意見・懸念のフィードバックのための方策
 株主・投資家との対話において把握されたご意見や当社に関する懸念を担当部署において取りまとめ、その重要性や性質に応じ、これを定期的に経営陣幹部や取締役会に報告するための体制を整備する。

 

5.インサイダー情報の管理に関する方策
 株主・投資家の実質的な平等性を確保すべく、公平な情報開示につとめることを基本方針とし、当該方針に基づき、同社に関する重要情報については、適時かつ公平にこれを開示することとし、一部の株主・投資家に対してのみこれを提供することがないよう、その情報管理の徹底につとめる。

 

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