(8931)和田興産株式会社 分譲マンション事業の大幅増益
和田 憲昌 会長 |
高島 武郎 社長 |
和田興産株式会社(8931) |
|
企業情報
市場 |
東証スタンダード市場 |
業種 |
不動産業 |
会長 |
和田 憲昌 |
社長 |
高島 武郎 |
所在地 |
兵庫県神戸市中央区栄町通4-2-13 |
決算月 |
2月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(自己株式を控除) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
801円 |
11,099,752株 |
8,890百万円 |
9.1% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
42.00円 |
5.2% |
180.18円 |
4.4倍 |
2,401.56円 |
0.3倍 |
*株価は4/26終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期実績。
非連結業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
EPS |
DPS |
2019年2月(実) |
39,287 |
3,445 |
2,687 |
1,843 |
166.07 |
32.00 |
2020年2月(実) |
40,093 |
3,290 |
2,442 |
1,781 |
160.49 |
35.00 |
2021年2月(実) |
39,806 |
2,737 |
1,918 |
1,267 |
114.22 |
35.00 |
2022年2月(実) |
41,785 |
3,883 |
3,162 |
2,337 |
210.55 |
40.00 |
2023年2月(予) |
42,000 |
3,700 |
2,900 |
2,000 |
180.18 |
42.00 |
* 予想は会社予想。単位:百万円。
和田興産(株)の2022年2月期決算の概要と2023年2月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2022年2月期決算概要
3.2023年2月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:ESG活動>
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 22/2期は前期比5.0%の増収、同41.9%の営業増益。分譲マンション事業は引渡戸数と売上高がともに前期比で微減となったものの、前期の反動に加え採算性も向上し前期比で大幅な増益となった。また、その他不動産販売事業は販売用収益物件の販売増加に加え、期初に好採算の大型素地売却もあり、前期比で大幅な増収増益となった。不動産賃貸収入事業は賃貸物件の稼働率も安定し、ほぼ前期並みの売上高と利益になった。
- 23/2期は前期比0.5%の増収、同4.7%の営業減益の見通し。主力の分譲マンション販売事業において、引渡戸数は前期並みも戸当たり平均価格の上昇が寄与し売上高が前期比で増加する見込み。一方、分譲マンション販売事業以外のその他の3セグメントにおいては前期比で売上高の減少を予定している。前期にその他不動産販売事業において大型素地の売却を実施した反動減も影響する。売上高と利益は、先行きの景気動向への不透明感が考慮された保守的な計画となっている。年間配当は、前期比2円増配の42円とする方針(予想配当性向23.3%)。
- 世界的商品市況の高騰や円安による輸入物価の上昇、不安定な国際情勢など先行きの景気動向への不透明感が強まっている。こうした反面、住まいへの関心や生活スタイルの変化によるニーズの多様化などから、住宅市場は今後も堅調に推移することが期待される。不透明な外部環境をはね返し、持ち前の商品力を武器に23/3期においても高水準の販売契約を獲得し、契約済未引渡残高を積み上げることができるのか注目される。
1.会社概要
明治32年(1899年)創業の老舗不動産会社。兵庫県神戸市・明石市・阪神間を主要地盤に、マンションや戸建て住宅の分譲、不動産賃貸及び土地有効活用等、地域密着型の不動産事業を展開。同社は用地仕入と企画に特化し、設計・建築・販売業務を他社に委託している。ブランド名「ワコーレ」を冠するマンション分譲は30戸~50戸程度の中規模マンションが中心だが、近年、大型マンション開発にも取組んでいる。また、上記事業エリアに近接する大阪府内、姫路市へのエリア拡大も進めている。加えて、マンションギャラリーの常設化により、価格競争力と利益率の向上を実現している。
神戸市内供給棟数 24年連続第1位、近畿圏供給棟数 第2位(いずれも2021年)。2022年2月末現在の累積供給実績は527棟20,184戸(着工ベース)。
1899年1月、神戸市で不動産賃貸業を創業。1966年12月に和田興産(有)として法人化され、1979年9月に和田興産(株)に改組し、1991年3月より自社ブランドである「ワコーレ」分譲マンション事業を本格的に開始した。
【企業理念-共生(ともいき) : 自分の生き方が他の人の幸せにつながる-】
人と人とのつながりを大切に、共に支え合い、自分の生き方が他の人の幸せにつながることを歓びとする「共生(ともいき)」の理念。同社はこの想いのもと、プロダクトコンセプトとして「PREMIUM UNIQUE (プレミアムユニーク)」を掲げ、住まう一人一人の気持ちに応えながら、自身の生き方にフィットするオンリーワンの住まいづくりを目指している。
1-1 事業セグメント
「ワコーレ」ブランドで展開する(1)分譲マンション販売、「ワコーレノイエ」ブランドで展開する(2)戸建て住宅販売(販売は両事業共に外部委託)、収益物件や宅地等の開発・販売を手掛ける(3)その他不動産販売、賃貸マンション(ブランド名「ワコーレヴィータ」他)、店舗、駐車場等の賃貸を行う(4)不動産賃貸収入、及び解約手付金収入、仲介手数料収入、保険代理店手数料等の報告セグメントに含まれない(5)「その他」に区分される。
分譲マンション販売事業(22/2期の売上構成比74.1%)
神戸・明石地区(兵庫県神戸市、明石市周辺)、阪神地区(兵庫県芦屋市、西宮市、尼崎市、伊丹市、宝塚市)を主要エリアとし、大手マンションデベロッパーと競合の少ない30戸~50戸程度の中規模マンションを中心に「ワコーレ」ブランドで展開している。人気の高いエリアにフォーカスし、同一地域で異なるタイプのマンションを供給することで、消費者の多様なニーズの取り込みと高い販売効率を実現する販売戦略、常設マンションギャラリーで販売することで販促費を抑制する戦略等、独自の地域密着戦略で効率的な事業モデルを確立している事が強み。また、近年では建築コスト増への対応や仕入力の向上を反映して総戸数が100戸を超える大型プロジェクトへの取り組みや神戸・阪神間に隣接する大阪府北摂地域や大阪市内、兵庫県姫路市へのエリア拡大で新たな可能性を追求している。
22/2期プロジェクト事例
(同社2022/2期決算説明資料より)
「ワコーレ神戸三宮G.C.」は、戦後関西圏を中心に地域の商業施設として発展してきた「小売市場」の再開発プロジェクトであり、神戸のターミナル駅である三ノ宮駅から徒歩5分の駅近物件である。「ワコーレ芦屋大原」は、坪単価約500万円、戸当たり平均でも約1億2千万円と阪神間の高級立地の中でも、高額の物件となっている。「ワコーレ姫路 城巽ガーデンズ」は、近年取組みを進めている広域展開の一環として兵庫県姫路市で開発した物件であるが、主要エリアである神戸阪神間から東は大阪、西は兵庫県の姫路市の範囲内で着実に展開地域を拡大している。
戸建て住宅販売事業(22/2期の売上構成比5.4%)
2007年より「ワコーレノイエ」ブランドで、神戸市・阪神間を中心に北摂地域も含め、10戸程度の中小規模の宅地造成開発を行っている。用地入れのネットワークを活かし、デザイン面の配慮や環境や災害などへの備えも含めた付加価値重視による開発を進めている。数多く寄せられる多様な用地情報の中には、立地、面積、地形等の面で戸建分譲に適した案件も多い。また、分譲マンションの事業期間が2年弱であるのに対して当事業は1年程度と短いため資金効率も高く、分譲マンション竣工の谷間を埋める事ができる。街並み造りを基本とする開発コンセプト、分譲マンション事業で培ったデザイン性や設計・企画力等でパワービルダーとの差別化を図っている。
その他不動産販売事業(22/2期の売上構成比12.8%)
鉄骨アパートや木造アパート等の企画開発に加え、マンション用地や戸建て用地の素地売りなどを含め開発用地等の出口戦略における選択肢の確保に寄与している。物件情報を有効活用する機能を担う他、資産の入替えに伴う賃貸物件(棚卸資産)の売却収益も当セグメントに計上される。近年は販売用小型収益物件(鉄骨・木造アパート)の販売が順調に進捗している。
不動産賃貸事業(22/2期の売上構成比7.5%)
賃貸事業は、住居系を中心に、店舗・事務所等、駐車場、トランクルーム等も保有している。安定的なキャッシュ・フローが得られるビジネスとして創業時より継続する事業であり、市況に左右されがちな分譲マンション事業のウエイトが高い同社にあって、収益の安定化に寄与している。これらの賃貸物件は、既存物件の取得が中心で、長期保有を前提に固定資産へ計上し賃貸収入を得ている。その一方で、その他不動産販売事業における鉄骨等のアパートについては販売用としてたな卸資産へ計上するものの売却期間までに得られる賃貸収入は不動産賃貸収入セグメントに計上され、近年の当該事業の売上高の増加に寄与している。また、将来的に分譲開発案件へ転換するケースも視野に入れている。稼働率は95%前後の水準を維持している(駐車場を除く)。
1-2 和田興産の強み
日本有数の住宅地が事業エリア
日本有数の住宅地である神戸、明石、阪神間を主要な事業エリアとする事で旺盛な住宅需要を取り込むと共に情報力で比較優位を確立しており、地域に根差したコミュニティづくりでも定評がある。
(同社2022/2期決算説明資料より)
関西における「ワコーレ」ブランドの浸透
関西において「ワコーレ」ブランドは浸透しており、そのブランド力は大手マンションデベロッパーに引けを取らない。日本経済新聞社大阪本社が実施した第24回(2021年) マンションブランドアンケートにおいて、「個性がある」ブランド部門と「親しみがある」ブランド部門でそれぞれ3位にランクされた。
(同社2022/2期決算説明資料より)
徹底したリスク管理により財務の健全性を維持
リスク管理を徹底する事で財務の健全性を維持しており、金融機関での取引もバランスがよく、かつ、安定している。この結果、多くの企業が淘汰されてきた不動産業界にあって、創業から120年以上の社歴の中で赤字計上はリーマン・ショックの影響を受けた10/2期のみ。安定的な配当も継続している。
大手との差別化に成功・事業エリア拡大による成長余地
近畿圏では、リーマン・ショック後の不動産不況で中堅・中小のマンション事業者の淘汰が進み、大手不動産会社や鉄道系不動産会社等に絞られてきたが、これらの不動産会社は大型物件や沿線開発を得意とするため、30戸~50戸程度の中規模マンションを中心に展開する同社とは用地取得等で競合するケースが少ない。ただ、同社は更なる業容拡大に向け、既存エリアにおいて大型物件の開発に取組むと共に、既存事業エリアと近接する兵庫県姫路市や大阪府内へ事業エリアを拡大中である。
(同社2022/2期決算説明資料より)
2.2022年2月期決算概要
2-1 非連結業績
|
21/2期 |
構成比 |
22/2期 |
構成比 |
前期比 |
期初予想 |
予想比 |
売上高 |
39,806 |
100.0% |
41,785 |
100.0% |
+5.0% |
40,000 |
+4.5% |
売上総利益 |
6,688 |
16.8% |
7,986 |
19.1% |
+19.4% |
– |
– |
販管費 |
3,950 |
9.9% |
4,102 |
9.8% |
+3.8% |
– |
– |
営業利益 |
2,737 |
6.9% |
3,883 |
9.3% |
+41.9% |
2,900 |
+33.9% |
経常利益 |
1,918 |
4.8% |
3,162 |
7.6% |
+64.9% |
2,200 |
+43.7% |
当期純利益 |
1,267 |
3.2% |
2,337 |
5.6% |
+84.3% |
1,500 |
+55.8% |
* 単位:百万円
前期比5.0%の増収、同41.9%の営業増益
売上高は前期比5.0%増の417億85百万円。主力の分譲マンション事業において、引渡戸数と売上高が前期比で微減となった。一方、その他不動産販売事業では、販売用収益物件の販売増加に加え、期初に好採算の大型素地の売却を行ったことが寄与し売上高が前期比で大幅に増加した。不動産賃貸収入事業の売上高は、賃貸物件の稼働率が安定的に推移し、賃貸収入が前期比微増となった。また、分譲マンション事業の増加が寄与し、多くは来期以降の業績寄与となる期中契約高は前期比6.2%増の437億43百万円、契約済未引渡残高は同13.7%増の434億54百万円となった。
営業利益は前期比41.9%増の38億83百万円。利益面では、前期の反動に加え採算性も向上したことから分譲マンション事業でセグメント利益が大幅に増加した。加えて、その他不動産販売事業においても売上高の増加によりセグメント利益が前期比増加した。売上総利益率は前期比2.3ポイント上昇の19.1%と収益性の大幅な改善が図られた。また、販管費の増加率が売上高の増加率以下に抑制されたことから、売上高営業利益率も9.3%と前期比2.4ポイントの改善となった。その他、営業外収益で為替差益が発生したことや受取手数料が増加したことに加え、営業外費用で支払利息が減少したことなどにより、経常利益は前期比64.9%増と営業利益の増加率を上回った。更に、特別損失においても固定資産売却損や固定資産除却損が減少したことなどにより、当期純利益が同84.3%の大幅な増益となった。
期初予想との差異要因
22/2期の着地は、期初予想に対し、売上面で4.5%上回り、営業利益で33.9%上回った。分譲マンション事業では、販売が好調に推移し、会社計画を上回る引渡により売上高が上振れた。セグメント利益についても好採算物件の引渡が進み、想定以上に計画比で増益となった。また、不動産賃貸収入事業でも、新型コロナウイルス感染拡大の影響もなく、売上高、セグメント利益ともに計画を上回った。一方、戸建て住宅事業は軟調に推移し、売上高、セグメント利益ともに計画を下回った。
営業利益の変動要因
21/2期営業利益 |
2,737 |
分譲マンションの利益率上昇 |
+980 |
戸建て住宅の利益率上昇 |
+76 |
その他不動産販売の増収による利益増加 |
+316 |
賃貸収入の増加 |
+10 |
賃貸物件の原価増加 |
-55 |
その他手数料収入等の減少 |
-30 |
販管費の増加 |
-151 |
22/2期営業利益 |
3,883 |
* 単位:百万円
2-2 セグメント別動向
|
21/2期 |
構成比 |
22/2期 |
構成比 |
前期比 |
分譲マンション販売 |
31,697 |
79.6% |
30,960 |
74.1% |
-2.3% |
戸建て住宅販売 |
2,303 |
5.8% |
2,239 |
5.4% |
-2.8% |
その他不動産販売 |
2,551 |
6.4% |
5,346 |
12.8% |
+109.6% |
不動産賃貸収入 |
3,140 |
7.9% |
3,151 |
7.5% |
+0.3% |
その他 |
114 |
0.3% |
88 |
0.2% |
-22.4% |
売上高 |
39,806 |
100.0% |
41,785 |
100.0% |
+5.0% |
分譲マンション販売 |
2,178 |
6.9% |
3,070 |
9.9% |
+40.9% |
戸建て住宅販売 |
17 |
0.8% |
90 |
4.0% |
+414.8% |
その他不動産販売 |
150 |
5.9% |
422 |
7.9% |
+180.9% |
不動産賃貸収入 |
1,172 |
37.3% |
1,123 |
35.6% |
-4.2% |
その他 |
103 |
90.6% |
73 |
82.2% |
-29.6% |
調整額 |
-885 |
– |
-895 |
– |
– |
営業利益 |
2,737 |
6.9% |
3,883 |
9.3% |
+41.9% |
* 単位:百万円。営業利益の構成比は売上高利益率。
分譲マンション販売
売上高309億60百万円(前期比2.3%減)、セグメント利益30億70百万円(同40.9%増)。「ワコーレ塚口駅前ファーストエンブレム」など18棟が竣工したことにより666戸の引渡を行った(前期は677戸)。戸当たり平均価格が46百万円と前期比で約1百万円下落した。売上総利益率は、前期比3.5ポイント上昇の18.1%となった。
その他のKPIは、発売戸数720戸(前期898戸)、契約戸数773(同664戸)・期中契約高366億69百万円(前期比+5.0%)、契約済未引渡戸数829戸(前期722戸)・期末残高416億43百万円(前期比+15.9%)。期末の完成在庫(未契約)は32戸(前期7戸)。
仕入戸数は、649戸(前期601戸)。期末時点の地域別の仕入済未発売プロジェクト数は22棟・1,118戸。内訳は、神戸市13棟・618戸、阪神間2棟・113戸、明石市・姫路市3棟・225戸、大阪府4棟・162戸。
分譲マンション販売事業のKPI
|
21/2期 |
前期比 |
22/2期 |
前期比 |
引渡戸数 |
677戸 |
+22.0% |
666戸 |
-1.6% |
戸当平均価格 |
47百万円 |
-9百万円 |
46百万円 |
-1百万円 |
発売戸数 |
898戸 |
+123.9% |
720戸 |
-19.8% |
契約戸数 |
664戸 |
+8.5% |
773戸 |
+16.4% |
契約済未引渡戸数 |
722戸 |
-1.8% |
829戸 |
+14.8% |
仕入戸数 |
601戸 |
-41.5% |
649戸 |
+8.0% |
戸建て住宅販売
売上高22億39億円(前期比2.8%減)、セグメント利益90百万円(同414.8%増)。引渡戸数は39戸(前期44戸)となった。契約戸数は34戸(同43戸)・期中契約高19億72百万円(前期比-19.1%)、契約済未引渡戸数は2戸(前期7戸)・期末残高1億67百万円(前期比-61.5%)。売上総利益率は、前期比3.7ポイント上昇の13.1%となった。
その他不動産販売
売上高53億46百万円(前期比109.6%増)、セグメント利益は4億22百万円(同180.9%増))。賃貸マンション・宅地等26物件(前期22物件)を販売した。販売用収益物件の売却が順調だった他、第1四半期に学校法人に対して、10億円を超える素地売却を行ったことが、売上高の増加に大きく寄与した。なお、プロジェクトの内訳は、開発関連6件:8億27百万円(前期:7件・9億59百万円)、販売用収益物件19件・32億68百万円(同:13件・15億67百万円)、その他1件・12億50百万円(同:2件・25百万円)。販売用収益物件については、木造収益物件6件・51戸、鉄骨収益物件12件・178戸、RC収益物件1件・23戸を販売した。また、開発中物件は、期末現在で63棟・956戸(前期末:78棟・1,104戸)となった。
契約戸数は314戸(同127戸)・期中契約高51億1百万円(前期比+33.5%)、契約済未引渡戸数は70戸(前期9戸)・期末残高16億43百万円(前期比-10.9%)。売上総利益率は、前期比1.0ポイント低下の12.2%となった。
その他不動産販売の内訳
|
21/2期 |
22/2期 |
|||
|
プロジェクト数 |
売上高 |
プロジェクト数 |
売上高 |
前期比 |
その他不動産販売 |
22件 |
2,551 |
26件 |
5,346 |
+109.6% |
開発関連 |
7件 |
959 |
6件 |
827 |
-13.7% |
収益物件 |
13件 |
1,567 |
19件 |
3,268 |
+108.5% |
その他(*) |
2件 |
25 |
1件 |
1,250 |
+4,900.0% |
* 単位:百万円
不動産賃貸収入
売上高31億51百万円(前期比0.3%増)、セグメント利益は11億23百万円(同4.2%減)。同社が主力としている住居系は比較的安定した賃料水準を維持している。入居率向上と滞納率の改善に努めると同時に、最適な賃貸不動産のポートフォリオ構築のため、新規物件の取得など賃貸収入の安定的な確保を目指した事業運営を進めたことで、主力の住居系の賃貸収入が増加した。売上総利益率は、前期比1.6ポイント低下の43.1%となった。賃貸物件の原価増加が影響した。
賃貸収入の内訳
|
収入額 |
構成比 |
前期比 |
住居 |
2,309 |
73.3% |
+1.2% |
店舗・事務所 |
685 |
21.7% |
-2.1% |
駐車場 |
88 |
2.8% |
-13.3% |
トランクルーム他 |
68 |
2.2% |
+21.3% |
合計 |
3,151 |
100.0% |
+0.3% |
* 単位:百万円
稼働率の推移
|
20/2期上期末 |
20/2期期末 |
21/2期上期末 |
21/2期期末 |
22/2期上期末 |
22/2期期末 |
住居 |
93.7% |
96.5% |
95.8% |
97.1% |
96.4% |
96.7% |
店舗・事務所 |
93.4% |
95.9% |
94.1% |
97.2% |
96.3% |
95.4% |
駐車場 |
66.1% |
67.3% |
68.5% |
68.6% |
64.5% |
61.3% |
セグメント別売上総利益
|
21/2期 |
売上総利益率 |
22/2期 |
売上総利益率 |
売上総利益 前期比 |
売上総利益率 前期比 |
分譲マンション販売 |
4,627 |
14.6% |
5,608 |
18.1% |
+21.2% |
+3.5P |
戸建て住宅販売 |
215 |
9.4% |
292 |
13.1% |
+35.7% |
+3.7P |
その他不動産販売 |
337 |
13.2% |
653 |
12.2% |
+93.7% |
-1.0P |
不動産賃貸収入 |
1,403 |
44.7% |
1,358 |
43.1% |
-3.3% |
-1.6P |
その他 |
106 |
– |
75 |
– |
-29.2% |
– |
売上総利益合計 |
6,688 |
16.8% |
7,986 |
19.1% |
19.4% |
+2.3P |
* 単位:百万円
2-3 期中契約高と契約済引渡残高の推移
期中契約高と契約済未引渡残高は概ね増加傾向にある。22/2期は分譲マンション事業の増加が寄与し、期中契約高が前期比6.2%増、契約済未引渡残高が同13.7%増となった。
2-4 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
財政状態
|
21年2月末 |
22年2月末 |
|
21年2月末 |
22年2月末 |
現預金 |
11,835 |
17,007 |
仕入債務 |
7,674 |
13,204 |
販売用不動産 |
11,145 |
10,478 |
短期有利子負債 |
19,533 |
28,387 |
仕掛販売用不動産 |
39,447 |
40,872 |
前受金 |
4,028 |
4,202 |
流動資産 |
63,610 |
69,945 |
長期有利子負債 |
33,659 |
22,279 |
有形固定資産 |
26,297 |
25,671 |
負債 |
67,453 |
71,645 |
無形固定資産 |
620 |
617 |
純資産 |
24,882 |
26,656 |
投資その他 |
1,807 |
2,067 |
負債・純資産合計 |
92,335 |
98,302 |
固定資産 |
28,725 |
28,356 |
有利子負債 |
53,193 |
50,667 |
* 単位:百万円
* 有利子負債=社債+借入金(リース債務を含まず)
22/2期末の総資産は前期末との比較で59億66百万円増の983億2百万円。資産サイドは、引渡進捗等による販売用不動産と事業用固定資産の売却等による土地が主に減少し、次期以降の事業用地取得や建築進捗等による仕掛販売用不動産と現預金が主に増加した。一方、負債・純資産サイドは、長期有利子負債が主に減少し、建築代金支払による仕入債務や当期純利益の計上による利益剰余金が主に増加した。有利子負債の内訳は、大手銀行43.4%(前期末41.8%)、地方銀行34.7%(同35.5%)、信用金庫21.9%(同22.7%)。また、22/2期末の自己資本比率27.1%と前期末比で0.2ポイント上昇した。
尚、販売用不動産104億78百万円の内訳は、分譲マンション19億31百万円、戸建て住宅5億51百万円、収益物件を中心とするその他79億95百万円。仕掛販売用不動産408億72百万円の内訳は、分譲マンション390億4百万円、戸建て住宅7億9百円、収益物件を中心とするその他11億58百万円。
キャッシュ・フロー(CF)
|
21/2期 |
22/2期 |
前期比 |
|
営業キャッシュ・フロー(A) |
3,718 |
8,223 |
4,505 |
+121.2% |
投資キャッシュ・フロー(B) |
-1 |
190 |
191 |
– |
フリー・キャッシュ・フロー(A+B) |
3,717 |
8,414 |
4,696 |
+126.4% |
財務キャッシュ・フロー |
-587 |
-3,116 |
-2,529 |
– |
現金及び現金同等物期末残高 |
9,391 |
14,689 |
5,297 |
+56.4% |
* 単位:百万円
税前当期純利益や仕入債務の増加などにより営業CFのプラスが拡大した。また、有形固定資産の売却による収入の増加などにより投資CFがプラスに転じ、フリーCFも拡大した。一方、短期借入金や長期借入金の減少などにより財務CFのマイナスが拡大した。以上により、期末のキャッシュポジションは拡大した。
3.2023年2月期業績予想
3-1 非連結業績予想
|
22/2期 実績 |
構成比 |
23/2期 予想 |
構成比 |
前期比 |
売上高 |
41,785 |
100.0% |
42,000 |
100.0% |
+0.5% |
営業利益 |
3,883 |
9.3% |
3,700 |
8.8% |
-4.7% |
経常利益 |
3,162 |
7.6% |
2,900 |
6.9% |
-8.3% |
当期純利益 |
2,337 |
5.6% |
2,000 |
4.8% |
-14.4% |
* 単位:百万円
前期比0.5%の増収、同4.7%の営業減益予想
売上高は前期比0.5%増の420億円を計画。世界的な商品市況の高騰や円安により原材料の輸入物価が上昇傾向にあることに加え、不安定な国際情勢により今後更なる上昇も見込まれるなど、先行きの景気動向への不透明感が高まっている。こうした環境下ではあるものの、売上高面では同社の主力である分譲マンション事業において23/2期に竣工予定のうち戸数ベースで9割程度の販売契約を有していることもあり、安定的な推移が見込まれる。一方、分譲マンション事業以外ではいずれも前期比で売上高の減少を予定している。戸建て住宅販売事業とその他不動産販売事業においては、来期以降の収益確保に向けて抑えた今期計画となっており、不動産賃貸収入事業においても前期の物件売却等の要因を踏まえ保守的な計画となっている。
営業利益は前期比4.7%減の37億円の計画。利益面では、用地価格や建築コストの上昇基調が継続していることに考慮し保守的な見通しとなっている。また、前期にその他不動産販売事業において大型素地の売却を実施した反動減も影響する。売上高営業利益率は、前期比0.5ポイント低下の8.8%の予定。
また、年間配当は、前期比2円増配の42円とする方針(予想配当性向23.3%)。
3-2 セグメント別見通し
|
22/2期 実績 |
構成比 |
23/2期 予想 |
構成比 |
前期比 |
分譲マンション販売 |
30,960 |
74.1% |
35,500 |
84.5% |
+14.7% |
戸建て住宅販売 |
2,239 |
5.4% |
1,300 |
3.1% |
-41.9% |
その他不動産販売 |
5,346 |
12.8% |
2,300 |
5.5% |
-57.0% |
不動産賃貸収入 |
3,151 |
7.5% |
2,900 |
6.9% |
-8.0% |
その他 |
88 |
0.2% |
– |
– |
– |
売上高 |
41,785 |
100.0% |
42,000 |
100.0% |
+0.5% |
* 単位:百万円
分譲マンション販売
売上高は前期比14.7%増の355億円の計画。23/2期に竣工予定のうち戸数ベースで9割程度の販売契約を有していることもあり、計画の達成確度が高い。引渡戸数は、前期比0.9%減の660戸を計画しているものの、高単価の大型物件の引渡しにより戸当たり平均価格が前期比8百万円上昇の54百万円となることが売上高の増加に寄与する。引渡戸数は第3四半期までに全体の9割近くを引渡す予定である。「ワコーレ夙川羽衣町」(西宮市、総戸数21戸)と「ワコーレ ザ・神戸旧居留地レジデンスタワー」(神戸市中央区、総戸数128戸)は第3四半期に竣工・引渡しを予定しているが、両物件とも坪単価が400万円に迫る高価格帯かつ販売が好調に進んだプロジェクトとなった。また、発売戸数は、前期比9.7%減の650戸を計画しており、契約戸数は同25.0%減の580戸を計画している。仕入戸数は前期比10.9%増の720戸を計画。仕入れスタンスについては、市況などを勘案しつつ、引き続き採算性を重視した仕入を徹底していく方針を示している。また、エリアリノベーション(小売市場再開発)への注力も続けており、2022年5月引渡予定の「ワコーレシティKOBE湊川公園」(神戸市兵庫区、総戸数168戸)は、同領域に属する大型物件であり、神戸市コンペ当選事業(湊川市場再開発)であり既に契約完売している。更に、2023年11月引渡予定の「ワコーレシティ立花」(尼崎市、総戸数132戸)は2022年2月の発売以降既に半数以上の契約を獲得している。加えて、事業エリアの拡大を目的とした大阪府、兵庫県姫路市でのマンション開発も継続する。大阪市内でのマンションプロジェクト「ワコーレ福島野田ザ・レジデンス」(大阪市福島区、総戸数56戸)は契約完売となった。兵庫県姫路市では、2023年3月引渡予定の「ワコーレ姫路オーナーズレジデンス」(兵庫県姫路市、総戸数92戸)の他、「ワコーレ姫路ディアプレイス」(兵庫県姫路市、総戸数44戸)も順調に契約活動が進んでいる。
分譲マンション販売事業のKPI
|
22/2期 実績 |
前期比 |
23/2期 予想 |
前期比 |
引渡戸数 |
666戸 |
-1.6% |
660戸 |
-0.9% |
発売戸数 |
720戸 |
-19.8% |
650戸 |
-9.7% |
契約戸数 |
773戸 |
16.4% |
580戸 |
-25.0% |
仕入戸数 |
649戸 |
+8.0% |
720戸 |
+10.9% |
戸建て住宅販売
売上高は前期比41.9%減の13億円の計画。来期以降の収益確保に向けて今期は売上・利益ともに抑えた計画となっている。用地価格の上昇基調と建築資材の高騰等先行き不透明感が高まる中で分譲マンション以外の事業で収益を下支えすることを狙ったものである。
その他不動産販売
売上高は前期比57.0%減の23億円の計画。戸建住宅販売事業同様に来期以降の収益確保に向けて今期は売上・利益ともに抑えた計画となっていることに加え、前期に大型素地の売却を実施した反動減も影響する。今後も同社が強みとする地元の不動産流通業者とのネットワークを活用し実績を積み上げる方針である。
開発中のプロジェクトと今期販売予定
|
開発中のプロジェクト数 |
戸数 |
うち23/2期販売予定 |
戸数 |
木造収益物件 |
13棟 |
174戸 |
4棟 |
49戸 |
鉄骨収益物件 |
47棟 |
649戸 |
6棟 |
94戸 |
うちRC造・S造 |
3棟 |
133戸 |
1棟 |
48戸 |
合計 |
63棟 |
956戸 |
11棟 |
191戸 |
不動産賃貸収入
売上高は前期比8.0%減の29億円の計画。不動産賃貸収入事業においても前期の物件売却等の要因を踏まえ保守的な計画となっている。95%超の稼働率維持による安定収益の確保を目指しつつ、良質なポートフォリオの構築に向けて築古や不採算物件の売却を積極的に進めていく。
4.今後の注目点
22/2期は、分譲マンション事業の増加が寄与し期中契約高が前期比6.2%増加した。また、好調な期中契約高を反映して、22/2期末の契約済未引渡残高も前期比13.7%増と積み上がった。契約済未引渡残高は売上高の先行指標であり、今後の売上高の拡大が期待される。一方で来期以降の業績拡大のためには更なる期中契約高の増加と契約済未引渡残高の積み増しが必要となる。世界的商品市況の高騰や円安による輸入物価の上昇に加え、不安定な国際情勢など先行きの景気動向への不透明感が強まっている反面、住まいへの関心や生活スタイルの変化によるニーズの多様化などから、住宅市場は今後も堅調に推移することが期待される。不透明な外部環境をはね返し、持ち前の商品力を武器に23/3期においても高水準の期中契約高を獲得し、契約済未引渡残高を積み上げることがでるのか注目される。
また、同社の23/2期の会社計画はこうした先行きの不透明感を考慮し、保守的な予想となっている。分譲マンション販売事業以外の3セグメントにおいて本当にここまで売上高が減少するのか、更に、分譲マンション販売において戸当たり平均価格が上昇する環境下で本当にここまで全社の収益性が悪化するのか疑問である。主力の分譲マンション販売事業以外の3セグメントの今後の売上高の動向や全社の収益性の状況についても注目したい。
更に、同社は2022年5月27日(金)開催予定の第56回定時株主総会における承認を経て、代表取締役の異動を実施する。現在の和田憲昌代表取締役会長が名誉相談役へ、高島武郎代表取締役社長が特別顧問へ異動し、現在の和田剛直取締役副社長が代表取締役会長へ、溝本俊哉常務取締役が代表取締役社長へ就任する。中長期的な観点から経営陣の若返りを図り、新たな時代に即応したマネジメント力の強化と地域密着に根差した存在感の向上が重要であるとの認識より、会長及び社長の交代を行うものであり、新しい経営陣のもと今後どの様な戦略が打ち出されるのかについても期待を込めて注目したい。
<参考:ESG活動>
同社はESG活動として、居住者の、安心、安全、健康に配慮した住宅づくりに取り組むと共に、自然災害時の住宅補償や青少年育成支援を通した社会貢献にも力を入れている。また、ガバナンスの面では、健全かつ透明性が高く効率の良い経営体制の確立を最重要課題と考え、ガバナンス体制の整備と充実に取り組んでいる。
環境
同社が販売する分譲マンションは神戸市準拠の環境性能を採用しており、戸建て住宅は「認定低炭素住宅」基準に適合している。また、住宅全般でシックハウス対策を講じている他、一部の分譲マンションでスマートフォンを利用したサービスを採用する等、スマートマンションの取り組みも進めている。
神戸市準拠の環境性能を分譲マンションに採用 |
神戸市では、一定規模の建築物を建てる際、地球温暖化への配慮、住む人の安心・安全など環境配慮への取り組みを事業会社が自己評価し市へ届出、市は採点結果をホームページ等で公開している。同社は、この結果を分譲マンションのチラシやホームページ等の広告物に掲載し、建物の安全性を示している。 |
高断熱で高気密な住まいの実現 |
例えば、ワコーレノイエ神戸鹿の子台では、従来の軸組工法と比べ機密性の高いツーバイフォー工法を全邸に採用。二重屋根構造や床断熱、玄関ドアやバスルームにも高断熱の設備を使用し、品確法に基づく「断念等性能等級4」の住まいの約1.5倍の断熱性能を実現している。 |
シックハウス対策 |
同社の建築物のフローリングや建具は、ホルムアルデヒド放散量が極めて少ないF☆☆☆☆等級の素材を採用している。また、クロス接着剤もノンホルマリンタイプを選びシックハウス等に配慮している。 |
スマートフォンアプリにより見守り機能を強化 |
一部の分譲マンションで、スマートフォンを利用したサービスを採用しており、エネルギー使用量の確認やエコジョーズ(給湯器)、外出先からのガス機器操作、入浴中の見守り機能をスマートフォン1台で一括管理できる。安全安心な暮らしのサポートを行っている。 |
社会
兵庫県が実施する住宅再建共済制度「フェニックス共済」へ加入
兵庫県では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、自然災害で被害を受け、再建、補修等を行う際に給付金を支払う住宅再建共済制度「フェニックス共済」を平成17年9月から全国に先駆けて実施ししている。同社は、県下で販売する分譲マンション全てにフェニックス共済を採用しており、引渡の年度末まで及び翌年度1年間は同社負担で補償を受けることができる。
SDGs私募債を通じて、コロナ対策支援基金へ寄付
同社は2020年9月30日付で徳島大正銀行SDGs私募債による資金調達を通じて、「ひょうご新型コロナウイルス対策支援基金」へ寄付。同基金は医療従事者のサポートや医療資材の確保に活用されている。なお、今回の寄付で兵庫県知事より感謝状を受領している。
青少年育成支援への取組み
少子高齢社会が進行する中、子供達が健全な社会生活を過ごせるよう、様々な育成支援を行っている。
ワコーレ杯チビリンピック兵庫県大会の主催・特別協賛 こどもたちがサッカーと触れ合う機会の提供や、全国で活躍できる選手を発掘するため、2018年より同大会を主催並びに特別協賛している。 |
ヴィッセル神戸サッカースクールパートナー 青少年へのサッカー普及活動支援のため、ヴィッセル神戸が運営する「サッカースクール」に協賛している。 |
神戸新聞社子育て支援プロジェクト「すきっぷ」 毎月12日「育児の日」に、神戸新聞社が主催する親子参加型の地域イベント「すきっぷサロン」に協賛している。 |
ガバナンス・その他
監査等委員会設置会社
同社はコーポレート・ガバナンスの強化及び企業価値の向上を図るため、2019年5月の株主総会をもって「監査等委員会設置会社」へ移行した。これにより、2021年5月より同社の取締役は13名(2022年5月27日以降は12名)、うち5名が社外取締役(構成比率は3分の1超)として選任されている。
コンプライアンス体制
「コンプライアンス規程」を基本方針に「内部通報規程」や「取引先管理規程」など各種マニュアルを制定している。また、コンプライアンスの統括部署として内部統制委員会を設置し、適宜、法令順守状況の検証や改善策を実施している。加えて、監査等委員会直下に内部監査室を設置し牽制機能を強化している他、外部の法律事務所や税理士と顧問契約を締結しコンプライアンス体制の充実に向けた対応を行っている。
女性社員のアイデアを採り入れた分譲マンションを発売
女性のニーズを満たす住宅設備が好まれる中、女性目線での住まいづくりができるよう同社女性社員6名にてプロジェクトチームを組成、女性の声を反映した分譲マンションを企画。日々の生活における不満や改善点を出しながら、ちょっとした工夫で家族全員が使いやすくなるような効率的な設備を採り入れるなど、多様な観点から付加価値を高める取り組みを行っている。
働きやすい職場環境づくり
同社は従業員が働きやすい職場環境づくりのため、有休休暇、時間単位休暇をはじめとした各種福利厚生制度を充実に努めている。また、女性の就業環境改善のため産前産後休暇・育児休暇や時短勤務制度を制定している。さらに、従業員の健康維持のため、産業医を交えた衛生委員会を毎月開催すると共に、健康診断やメンタルヘルスチェックを実施しており、健康状態の把握に努めている。
入社から3年以内の定着率 |
90.2% |
平均雇用年数の男女差 |
2.2ヶ月 |
産休・育児休暇取得率 |
100.0% |
入社5年以内の社員に占める女性比率 |
35.2% |
産休・育児休暇後復帰率 |
100.0% |
(2022年2月末時点)
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 |
監査等委員会設置会社 |
取締役 |
13名、うち社外5名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年10月20日)
基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、健全かつ透明性が高く効率の良い経営体制の確立を最重要課題と考え、その充実に取組んでおります。また、当社は小規模な組織でありますが、相互牽制や独立性にも配慮したシンプルで効率的な組織体系を構築しており、意思決定の迅速化と透明性の高い経営の実現を一層強固なものとするため、以下の5項目を重点にガバナンス体制の整備に努めております。
1.取締役会における実質的な議論に基づく監督機能の発揮
2.常務会による経営の意思決定のための重要事項の適時適切な審議
3.監査等委員会による実効性の高い監査の実施
4.内部監査室の設置、内部統制委員会の開催等による内部管理体制の整備
5.コンプライアンス体制の実現に向けた法律事務所等の外部機関との連携
<実施しない主な原則とその理由>
【原則5-2. 経営戦略や経営計画の策定・公表】
当社は株主価値の持続的向上を図るためROEを目標とする経営指標としております。また、資本コストにつきましてもその数値に関しては把握しております。しかしながらこれらの数値を用いた収益計画や事業方針の策定よりむしろ他の計数目標を活用する方が、実務上では効果的な運用が可能になるものと認識しております。但し、株主価値の向上や投資家に対する説明責任がより一層求められるなかにあっては、資本コスト等の指標を用いた投資計画の策定や資本の効率的運用を進めていくことを通じて、引き続き経営管理の高度化を図ってまいります。
【補充原則5-2①】
経営戦略の策定にあたっては各セグメントの事業特性、収益性、財務面に対する影響等を総合的に勘案したうえで、最適な事業ポートフォリオの構成に努めるとともに環境変化に応じて適宜見直しを図っておりますが、現段階では中期経営計画を含めて公表には至っておらず、今後セグメント別の資本コスト対比の収益性分析等とも併せて対応方法を検討してまいります。
<開示している主な原則>
【補充原則2-4①】
人材の多様性確保の観点から、適宜中途採用も行っており、採用した人材を管理職に登用するなどの対応も図っております。また、女性が永年働けるように産休制度の充実にも努めており、出産後の復帰率は100%となっております。さらに人材戦略を推進するため、新たに人事課の設置を行っております。
【原則3-1. 情報開示の充実】
(ⅰ)有価証券報告書に「共生(ともいき)」の企業理念をはじめ経営に関する基本的な考え方、事業展開方針等を明確にしております。
(ⅱ)コーポレート・ガバナンスの考え方につきましても有価証券報告書や上記「1.基本的な考え方」に記載しております。
(ⅲ)報酬決定に関しましては総額については株主総会で、各取締役の報酬は担当職務、役割等に応じて取締役会において決定しております。
(ⅳ)取締役を含む経営幹部の選解任につきましては、各取締役の成果等に応じて取締役会にて株主総会への上程議案を定めて株主総会の決議により決定しております。
(ⅴ)取締役の選任理由等につきましては、事業報告書に記載することで開示しております。
【原則5-1. 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は総合企画部経営企画課をIR担当部署として年2回神戸と東京で決算説明会を開催するとともに、個人投資家向けの説明会を大阪と東京で開催し、株主等との積極的なコミュニケーションを図っております。加えて株主等からの当社の理解を促進させるためWebサイトの充実にも努めております。