(4829)日本エンタープライズ株式会社 コンテンツサービスの拡大に注目

2022/05/12

 

 

植田 勝典 社長

日本エンタープライズ株式会社(4829)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

情報・通信

代表者

植田 勝典

所在地

東京都渋谷区渋谷1-17-8

決算月

5月

HP

https://www.nihon-e.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

167円

40,134,900株

6,702百万円

2.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

3.00円

1.8%

6.35円

26.3倍

121.53円

1.4倍

*株価は4/11終値。発行済株式数、DPS、EPS、BPSは22年5月期第3四半期決算短信より。ROEは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2018年5月(実)

3,892

174

257

166

4.11

2.00

2019年5月(実)

3,413

242

292

97

2.44

2.00

2020年5月(実)

3,588

267

310

176

4.40

2.00

2021年5月(実)

4,346

338

355

134

3.35

3.00

2022年5月(予)

4,730

375

380

255

6.35

3.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。21年5月期の配当には記念配当0.50円/株を含む。

 

日本エンタープライズ(株)の2022年5月期第3四半期決算概要と今後の見通しについてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年5月期第3四半期決算概要
3.セグメント別事業概況
4.2022年5月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 22年5月期第3四半期の売上高は前年同期比6.0%減の29億71百万円。法人向け「受託開発」及び人材不足問題にマッチした「業務支援サービス」などソリューション事業が拡大した一方、クリエーション事業は減収。営業利益は同73.8%減の53百万円。ソリューション事業における採算性の改善等により粗利率は同2.5ポイント上昇したが、減収に伴い売上総利益も減少。一方で、営業力強化に向けた人材採用に伴う人件費が増加した。

     

  • 業績予想に変更は無い。売上高は前期比8.8%増の47億30百万円、営業利益は同10.8%増の3億75百万円の予想。収益性の高い通信キャリア向け定額制コンテンツの拡充、新たなコンテンツサービスの創出、新規端末不足解消を見据えたキッティング支援の拡大、新規事業の推進、コロナ禍における社会のDX化に対応した受託開発や業務支援サービスの拡大等により売上増を目指す。利益に関しては、積極的な人材採用による人件費増加に伴い、低い進捗率となっているが、営業力強化による増収効果や新規端末不足解消により増益を見込んでいる。配当は実質前期比0.50円/株増配の普通配当3.00円/株を予定している。予想配当性向は47.2%。

     

  • 第3四半期の進捗率は営業利益で14.3%と、例年に比較して低水準であるが、最終第4四半期にどの程度回復して、業績予想に対し売上・利益を積み上げることができるかが注目される。

     

  • 中期的な視点としては、DX化及び5G普及の加速が見込まれる良好な事業環境の下、先端LSI の設計開発や機械学習/AI、暗号及びブロックチェーン技術を活用したソリューションを提供する株式会社アクセルとの業務提携も行われ、新たにどんな事業領域の拡大を進めていくのかに期待したい。

     

    ※2022年5月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用しているため、前年同期比は参考値。

1.会社概要

モバイルソリューションカンパニーを標榜。個人向けスマートフォンアプリの開発・提供、企業向けシステム開発、モバイルキッティング、e コマース等のサービスを提供しており、事業セグメントは、自社IP(Intellectual Property)を活用したアプリケーションやシステムを提供する「クリエーション事業」と企業の業務用ソフトウェアやシステムの開発を請け負う「ソリューション事業」に分かれる。また、DXを背景に新たなサービスの創出にも取り組んでいる。
2001年2月16日に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現JASDAQ市場)へ株式上場。2007年7月10日に東京証券取引所市場第二部への市場変更、2014年2月28日に同市場第一部の指定を経て、2022年4月4日に同スタンダード市場へ移行。

 

1-1 経営理念

同社の経営理念は「綱領・信条・五精神」及び「日エン経営原則」に刻まれており、「これを繰り返し学ぶ事で基本理念を永遠に堅持していく」事が同社社員の責務。こうした正しい考えと正しい行動の下にこそ、長い目で見た「株主価値の極大化」、すなわち「資本という大切な“お預かりもの”を1円もムダにせず、最大化していくことが可能である」と言うのが同社を率いる植田社長の考えである。そもそも同社は、「社業を通じて社会のお役に立ちたい」という強い一念から植田社長が興した会社であり、IT技術により様々なコンテンツやソリューションを提供する事でお客様の満足度を高めると共に社会貢献していく事を目指している。こうした植田社長の経営哲学の下、創業初年度の経常利益は、ほぼ全額が日本赤十字社・社会福祉施設・児童養護施設等に寄付され、東日本大震災の折には、被災した方々の支援と東北地方の復興に寄与するべく日本赤十字社に寄付が行われた。

 

綱領

我々は商人たるの本分に徹しその活動を通じ社会に貢献し、文化の進展に寄与することを我々の真の目的とします

信条

我々は以下に掲げる五精神をもって一致団結し力強く職に奉じることを誓います

私たちの遵奉する精神

一、商業報国の精神

一、忘私奉職の精神

一、収益浄財の精神

一、力闘挑戦の精神

一、感謝報恩の精神

 

「綱領」を経営の礎に、グループ全体で「信条」「五精神」を共有し、ビジョンを目指して事業活動に取り組み、「21世紀を代表する、社会をより良い方向に変える会社」を目指している。

 

1-2 企業グループ(連結子会社7社、非連結子会社1社)

連結子会社は、業務支援、アプリ/WEBサイト企画・開発・運用等の(株)ダイブ、アプリ/システム開発~運用、デバッグ等の(株)フォー・クオリア、音声通信関連ソリューションの(株)and One、スマートフォン向けキッティング支援ツール等の(株)プロモート、アプリ/システム開発等の(株)会津ラボ、太陽光発電の(株)スマート・コミュニティ・サポート、電子商取引サービス「いなせり」「いなせり市場」の企画・開発・運営を手掛ける いなせり(株)の国内7社。非連結子会社は、コンテンツ運営等を行うNE銀潤(株)の国内1社。
新規サービス開発による事業創出や事業価値の最大化を図るため、交通情報を中心にした情報提供を行っていた交通情報サービス(株)を2021年6月1日付で吸収合併した。

 

1-3 事業概要

事業は、クリエーション事業とソリューション事業に分かれる。

 

(1)クリエーション事業 : 自社IP(Intellectual Property)を活用したアプリケーション・システムの提供
コンテンツサービス、ビジネスサポートサービス、及びその他(太陽光発電)等、自社で保有する権利や資産を活用したサービスを提供している。

 

◎コンテンツサービス
総合電子書籍サービスやゲーム等のエンターテイメント系のコンテンツ、「ATIS交通情報サービス」、「女性のリズム手帳」、「ラッキーステーション」、更には一般消費者向け鮮魚ECサイト「いなせり市場」といったライフスタイル系のコンテンツを提供している。

 

エンターテインメント

・通信キャリア向け定額制サービスにおいて提供しているゲームや、多彩なジャンルをカバーした総合電子書籍など、様々なコンテンツを提供

ライフスタイル

・全国の高速道路・一般道路の情報を詳しく知りたいお客様に役立つ機能を搭載した実用サービス。アプリを含め一部機能を無料で利用できるサービスサイトも提供

・月間20万ユーザーが利用する女性のための「美」と「健康」をサポートするアプリ。㈱NTTドコモのスマートフォン向けサービス「スゴ得コンテンツ®」でも提供開始

・一般消費者が、豊洲市場の仲卸の目利きに適った水産物等を購入できるECサイト。SNS等で告知を強化

(同社資料を基に作成)

 

◎ビジネスサポートサービス
キッティング作業における人的負担の軽減と生産性・正確性を向上させる支援ツール『Kitting-One』の開発・販売及び『Kitting-One』を使ったキッティング作業の代行を行う「作業請負」、車両動態管理クラウド『iGPS on NET』等の提供も行う「ATIS交通情報サービス」、操作性・柔軟性に優れたビジネスフォン環境を提供するソフトウェア『Primus』やIP-PBXコミュニケーションシステム『NE-Phoneシステム』等の開発・販売を行っている「音声ソリューション」、東京魚市場卸協同組合所属仲卸業者のインターネット水産物販売サイト「いなせり」の運営といったサービスを提供している。

 

キッティング支援

・人的作業の軽減を可能とし「生産性」「正確性」の向上を実現できるキッティング作業支援ツール『Kitting-One』等を開発・販売

ATIS交通情報

・全国の高速道路・一般道の道路状況のみならず、地域に密着した気象情報・鉄道遅延情報をTV局やFM局へ24時間提供

・商業施設の立体駐車場内の混雑状況などをAIカメラで画像解析することにより、最寄り道路到達までの所要時間を可視化するシステムを提供

コミュニケーション

・操作性・柔軟性に優れたビジネスフォン環境を提供するIP-PBXソフトウェア。多くの通信事業者が提供するIP電話サービスの接続認定を有することで高品質な通話を実現

・「シンプル&かんたん」をテーマに、チャットと画面共有を一画面に集約していながら顔認証機能により高セキュリティ性も兼ね備えたWeb会議システム『NEEDS』を開発・販売

教育・調達・観光

・eラーニング、電子見積業務支援ASPサービス、観光促進等

いなせり

・飲食事業者向けECサイト『いなせり』にて東京魚市場卸協同組合(仲卸)等と連携を図り、水産物や青果の販売サービスを提供

(同社資料を基に作成)

 

◎その他
再生可能エネルギーによる地域活性化を目指し、太陽光による発電と、その電力販売等を行っている。

 

太陽光発電

・山口県における再生可能エネルギーによる地域活性化を推進

(同社資料を基に作成)

 

(2)ソリューション事業 : 企業の業務用ソフトウェアやシステムの受託開発
主にシステム開発・運用サービスを提供している。
クリエーション事業で培ったノウハウを活かし、受託開発(スクラッチ開発)を中心としたトータルソリューションサービスに力を入れている他、中古端末買取販売サービスの育成に取り組んでいる。トータルソリューションサービスでは、アプリ開発やサイト構築等の受託に加え、サーバの設計から構築、運用監視、デバッグ、カスタマーサポート、コンサルティング等をワンストップで提供している。
一方、中古端末買取販売サービス(端末周辺事業)は、キッティングサービスの取引先である企業や携帯電話販社を中心に仕入先が順調に拡大しており、端末の安定調達に向けた取り組みが進んでいる。

 

システム開発・運用サービス

*ソリューションサービス

AI、IoT、セキュリティ関連システムの需要が増大する中、コンサルティングから開発、保守・運用まで、市場のニーズに合わせたトータルソリューションサービスを提供

*業務支援サービス

常駐型でクライアント企業の課題解決へ向けた業務支援を行うサービス。幅広い支援内容でサービスを拡大

*中古端末買取サービス

中古端末を買い取り厳正なグレーディング(査定)後、世界標準のソフトを使用しデータを消去

*新型コロナウイルス感染症対策サービス

ガラスコーティング剤の販売など

(同社資料を基に作成)

 

1-4 経営環境と事業方針

コロナ禍で高まったサステナビリティの重要性を追い風に、脱炭素化社会へ向けたDX化が加速している。また、普及が進む5Gはモバイルコンテンツのみならず、IT市場全体を大幅に押し上げると予想されている。
DX国内市場、5G端末の国内販売台数とも急成長が見込まれている。

 

そうした環境下、様々なIT機器を通して便利で面白い多種多様なサービスを創造し提供する事でユーザーの満足度を高めると共に社会貢献していく事を目指している同社は、これまで以上に事業領域の拡大を進めていく考えだ。

 

1-5 ESGについて

持続可能な社会実現と企業価値の向上を目指し、以下のような取り組みを行っている。

E:環境

●企業活動における取り組み

CO2排出量削減に向けたペーパーレス化や消費電力削減 等

 

●事業活動を通じた取り組み

デジタル化支援サービス、再生可能エネルギー開発、水産資源の有効活用に向けた水産物ECサービス、リサイクル支援サービス 等

S:社会

●多様な人材の活躍に向けた取り組み

早朝勤務制度導入、テレワーク体制構築運用、ノー残業デー設置、女性管理職登用、人事評価・教育制度整備 等

 

●社会貢献活動

・品質向上や情報セキュリティ保持のための資格取得

・最終利益の1%相当額を寄付金として積み立て

G:ガバナンス

●経営の透明性・公平性向上に向けた取り組み

・すべてのステークホルダーへの的確な情報開示

・企業理念に基づく企業倫理の浸透とコンプライアンスの徹底

 

1-6 ROE分析

 

18/5期

19/5期

20/5期

21/5期

ROE(%)

3.4

2.0

3.6

2.7

売上高当期純利益率(%)

4.3

2.9

4.9

3.1

総資産回転率(回)

0.6

0.6

0.6

0.7

レバレッジ(倍)

1.2

1.2

1.2

1.2

*同社決算資料を基に(株)インベストメントブリッジが計算。

 

収益性及び資産効率性の改善によるROE水準の上昇が期待される。

 

2.2022年5月期第3四半期決算概要

2-1 連結業績

 

21/5期3Q

構成比

22/5期3Q

構成比

前年同期比

売上高

3,161

100.0%

2,971

100.0%

-6.0%

売上総利益

1,233

39.0%

1,231

41.5%

-0.1%

販管費

1,029

32.6%

1,178

39.7%

+14.5%

営業利益

204

6.5%

53

1.8%

-73.8%

経常利益

217

6.9%

60

2.0%

-72.1%

四半期純利益

60

1.9%

-4

* 単位:百万円。今期より「収益認識に関する会計基準」を適用しているため、前年同期比は参考値。

 

減収減益
売上高は前年同期比6.0%減の29億71百万円。法人向け「受託開発」及び人材不足問題にマッチした「業務支援サービス」などソリューション事業が拡大した一方、クリエーション事業は減収。
営業利益は同73.8%減の53百万円。ソリューション事業における採算性の改善等により粗利率は同2.5ポイント上昇したが、減収に伴い売上総利益も減少。一方で、営業力強化に向けた人材採用に伴う人件費が増加した。

 

「収益認識に関する会計基準」の適用により、適用無しの会計処理と比較して、売上高は70百万円、売上原価は45百万円それぞれ増加しており、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益はそれぞれ25百万円増加している。

 

2-2 セグメント別動向

◎セグメント別売上高・利益

 

21/5期3Q(累計)

構成比

22/5期3Q(累計)

構成比

前年同期比

クリエーション事業

1,559

49.3%

1,361

45.8%

-12.7%

ソリューション事業

1,601

50.7%

1,610

54.2%

+0.6%

連結売上高

3,161

100.0%

2,971

100.0%

-6.0%

クリエーション事業

514

33.0%

324

23.8%

-37.0%

ソリューション事業

123

7.7%

189

11.8%

+53.3%

調整額

-434

-460

連結営業利益

204

6.5%

53

1.8%

-73.8%

* 単位:百万円。利益の構成比は売上高営業利益率。

 

①クリエーション事業

 

21/5期3Q(累計)

22/5期3Q(累計)

前年同期比

コンテンツサービス

868

755

-13.0%

ビジネスサポートサービス

647

560

-13.4%

その他(太陽光発電)

44

45

+2.7%

セグメント売上高

1,559

1,361

-12.7%

* 単位:百万円

 

コンテンツサービスは、通信キャリア向け定額制コンテンツに注力したものの、月額コンテンツと通信キャリア以外が運営するプラットフォームでのコンテンツの減少により減収。
ビジネスサポートサービスは、キッティング支援が新規端末不足の影響を受け減少し、減収。
その他(太陽光発電)は天候による発電量が微増で増収。

 

②ソリューション事業

 

21/5期3Q(累計)

22/5期3Q(累計)

前年同期比

システム開発・運用

1,601

1,610

+0.6%

その他

セグメント売上高

1,601

1,610

+0.6%

* 単位:百万円

 

前期の特需(医療物資の物販)が剥落(2億77百万円)したが、社会のDX化促進に伴うIT需要拡大を背景に、法人向け「受託開発」 及び人手不足問題にマッチした「業務支援サービス」が伸長した

 

2-3 四半期業績の推移

四半期では、前期比(第2四半期比)、前年同期比とも減収減益となった。

 

①クリエーション事業

 

21/5 1Q

2Q

3Q

4Q

22/5 1Q

2Q

3Q

4Q

コンテンツサービス

299

281

287

263

252

251

251

ビジネスサポート

175

192

279

314

211

187

161

その他

17

16

10

17

18

14

12

売上高

492

490

577

595

481

453

426

* 単位:百万円

 

*コンテンツサービス
前期比(第2四半期比)0.2%の増収。通信キャリア向け月額コンテンツと通信キャリア以外が運営するプラットフォームでのコンテンツが減少したものの、通信キャリア向け定額制コンテンツが増加し、新規タイトルの投入も寄与した。

 

*ビジネスサポートサービス
前期比(第2四半期比)13.7%の減収。キッティング支援がサプライチェーンの停滞による新規端末不足の影響等を受けた。

 

②ソリューション事業

 

21/5 1Q

2Q

3Q

4Q

22/5 1Q

2Q

3Q

4Q

システム開発・運用

444

459

697

589

543

538

528

その他

売上高

444

459

697

589

543

538

528

* 単位:百万円

 

前期比(第2四半期比)1.8%の減収ではあったが、引き続き、コロナ禍に伴う企業のDX化推進トレンドは継続しており、「受託開発」が堅調に推移した。

 

2-4 財政状態

◎要約BS

 

21年5月

22年2月

増減

 

21年5月

22年2月

増減

現金及び預金

4,739

3,864

-875

仕入債務

144

142

-1

売上債権

517

645

+128

短期借入金

23

23

流動資産合計

5,395

4,837

-558

流動負債合計

693

496

-197

有形固定資産

333

323

-10

長期借入金

206

189

-17

無形固定資産

225

212

-12

固定負債合計

257

245

-12

投資その他の資産

177

180

+2

負債合計

950

741

-209

固定資産合計

736

717

-19

純資産合計

5,182

4,813

-368

資産合計

6,132

5,554

-577

負債純資産合計

6,132

5,554

-577

* 単位:百万円

 

現預金の減少等で総資産は前期末比5億77百万円減の55億54百万円。負債は同2億9百万円の減少で7億41百万円。純資産は同3億68百万円減少の48億13百万円。この結果自己資本比率は前期末から1.8ポイント上昇し84.3%となった。

 

3.セグメント別事業概況

両事業において、注目すべき商材、サービスは以下の通り。

 

3-1 クリエーション事業

◎エンターテインメント/ライフスタイル
通信キャリアとその他コンテンツ配信サービスの各プラットフォームで展開している自社コンテンツサービス。自社IPの販路(プラットフォーム)拡大により収益性を向上させるとともに、企業や行政等顧客層を広げることで増収を図る。
パートナー企業との協業を促進し事業領域を拡大する。

 

◎いなせり市場
豊洲仲卸の目利きによる高品質な魚介商品を購入できるECサイトである一般消費者向け『いなせり市場』は、出品プラットフォームの開拓を推し進めるとともに、SNSにおいて多様な商品関連情報を発信し、既存顧客の利用と新規顧客の拡大を促進する。

 

◎キッティング支援
端末初期設定を、RPAツールを用いて自動化し行うキッティング(端末初期設定)支援サービスは、サプライチェーンの停滞による新規端末不足に伴いスマホキッティングは減少しているものの、社会のDX化に伴い、取引先企業とキッティング導入製品は拡大している。
端末流通支援会社から、レンタル会社・リース会社等へと取引先を拡大しているほか、スマホからPC、タブレット等の端末に加え、スマートAIボード等、付加価値の高いIoT製品へ取扱商材を拡大する。

 

◎電子見積業務支援ASPサービス『Profair』(プロフェア)
競り下げ式オークション(リバースオークション)サイト「日本オープンマーケット」において公明正大な取引と効率的な購買業務を実現する電子見積業務支援ASPサービス『Profair』は、国公立大学や中央省庁をはじめとした豊富な利用実績と社会における新生活様式の浸透で堅調に推移している。
運営体制とサービス力の強化により、導入・利用を促進する。

 

◎NE-Phoneシステム
オンプレミス/クラウド双方対応のIP-PBXコミュニケーションシステム。4大通信キャリアを含む主要通信事業者が提供するIP電話サービスの接続認定を有することで高品質な通話を実現し、導入企業を拡大している。

 

3-2 ソリューション事業

◎ソリューションサービス
複合的な技術と顧客業務へのコンサルティングが求められるDX関連開発に対し、自社コンテンツ開発で培ったノウハウを活かしたトータルソリューションサービスを提供している。

 

<開発事例>
ゴルファーに広く普及している専用デバイスと連動したナビゲーションシステムを大幅に改修した。スコアの管理や共有・分析、落下地点予測などの他、3点距離測定機能も有するシステムで、アプリやシステムをスクラッチ開発してきた多岐に渡る実績により実現することができた。
豊富な開発を手掛けてきた技術力・提案力で顧客を拡大する。

 

◎業務支援サービス
大手通信キャリアをはじめとした各種企業に対し高度人材により上流工程からのサービスを提供している。DX関連プロジェクトなど、高度な業務での実績を背景に伸長している。
採用力・人材育成力を活かしサービスを拡大する。

 

◎中古端末買取販売サービス(端末周辺事業)
中古端末処分を支援する同サービスは、企業のIT投資熱と持続可能な社会構築への意識の高まりを背景に、堅調に推移している。世界各国で推奨されているソフトウェアを用いた安心・安全なデータ消去、不要資産の有効活用などの特長が評価されている。
新規端末不足の解消を見据え、取引先の開拓を推進している。

 

◎ガラスコーティング剤
抗菌・抗ウイルス性能を有し、SIAA(※)の認証を取得しているガラスコーティング剤。携帯ショップのサービス向上へ向けた取り組みを背景に大手携帯ショップ運営各社と販売契約を締結し堅調に推移している。豊富な実績から2022年2月にはJTの加熱式たばこ「Ploom」シリーズの魅力を上質な空間で体感できる専門店「Ploom Shop」でも採用された。
端末取扱企業との契約増大とサービス力の強化により事業を拡大する。

 

SIAA(※):抗菌技術製品協議会。適正で安心できる抗菌・防カビ加工製品の普及を目的とし、抗菌・抗ウイルス加工製品に求められる品質や安全性に関するルールを整備し、そのルールに適合した製品にSIAAマーク表示を認めている。念

 

◎株式会社アクセルと業務提携
2022年4月、高度なアルゴリズム開発から製品化を担う先端テクノロジー企業・株式会社アクセルと業務提携を行った。
AI画像解析サービスやNFT関連サービスをはじめとする各領域における戦略的な事業パートナーシップで、アクセルが有するAI/機械学習やブロックチェーン、暗号等のコア技術と日本エンタープライズグループの企画力・アプリ開発力を融合させ、新たなビジネス機会の創造を通じて業容を拡大させるとともにDXの推進など様々な社会課題の解決に取り組む。

 

4.2022年5月期業績予想

4-1 連結業績予想

 

21/5期 実績

構成比

22/5期 予想

構成比

前期比

進捗率

売上高

4,346

100.0%

4,730

100.0%

+8.8%

62.8%

営業利益

338

7.8%

375

7.9%

+10.8%

14.3%

経常利益

355

8.2%

380

8.0%

+6.9%

16.0%

当期純利益

134

3.1%

255

5.4%

+89.6%

* 単位:百万円

 

業績予想に変更無し。増収増益予想
業績予想に変更は無い。売上高は前期比8.8%増の47億30百万円、営業利益は同10.8%増の3億75百万円の予想。
収益性の高い通信キャリア向け定額制コンテンツの拡充、新たなコンテンツサービスの創出、新規端末不足解消を見据えたキッティング支援の拡大、新規事業の推進、コロナ禍における社会のDX化に対応した受託開発や業務支援サービスの拡大等により増収を目指す。
利益に関しては、積極的な人材採用による人件費増加に伴い、低い進捗率となっているが、営業力強化による増収効果や新規端末不足解消により増益を見込んでいる。
配当は実質前期比0.50円/株増配の普通配当3.00円/株を予定している。予想配当性向は47.2%。

 

4-2 事業展開の考え方

「社会をより良い方向に変える企業」として脱炭素社会実現に貢献することを目指し、コロナ禍で社会が直面せざるを得なくなった新常態、変革をチャンスと捉え、DXに向け多くの商材を提供する。

 

そのために同社、連結子会社7社、非連結子会社1社の8社から成るグループにおける経営資源を有効に活用するとともに、グループシナジーの最大を目指して事業を推進していく考えだ。

 

5.今後の注目点

第3四半期の進捗率は営業利益で14.3%と、例年に比較して低水準である。最終第4四半期にどの程度回復して、業績予想に対し売上・利益を積み上げることができるかが注目される。
中期的な視点としては、DX化及び5G普及の加速が見込まれる良好な事業環境の下、先端LSI の設計開発や機械学習/AI、暗号及びブロックチェーン技術を活用したソリューションを提供する株式会社アクセルとの業務提携も行われ、新たにどんな事業領域の拡大を進めていくのか期待したい。

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

5名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年12月22日)
基本的な考え方
当社グループは、経営目標の達成の為に取締役会が行う意思決定について、事業リスク回避または軽減を補完しつつ、監査役会による適法性の監視・取締役の不正な業務執行の抑止、また、会社の意思決定の迅速化と経営責任の明確化を実現する企業組織体制の確立により、株主利益の最大化を図ることがコーポレート・ガバナンスと考えております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
2021年6月の改訂後のコードに基づき記載しております。

 

<補充原則2-4-1:多様性の確保に関する考え方と自主的かつ測定可能な目標の開示>
当社は、企業価値向上の実現には、目まぐるしく変化する事業環境において、各々の従業員が継続的に成長し、自らの価値を高めることで、多様性の確保に繋がると考えております。そのため、当社では、管理職への登用に際し、特に制限は設けず、能力や適性、実績等を重視する人物本位の人材登用を実施することを基本方針としております。従いまして、現在、中途採用者の管理職は28名、女性の管理職は7名が登用されておりますが、中途採用者、女性や外国人といったカテゴリー別での具体的な数値目標は特に定めておりません。多様性の確保に向け、人材育成方針及び社内環境整備方針の策定並びにその実施状況の開示について、今後検討してまいります。

 

<補充原則4-2-2:取締役会による自社のサステナビリティを巡る取組みについての基本的な方針の策定、経営戦略の配分や事業ポートフォリオ戦略の実行の監督>
当社では、サステナビリティを巡る取組みを推進するために必要な経営資源を投じておりますが、自社のサステナビリティを巡る取り組みに関する基本方針の策定については検討中であります。また、人的資本や知的財産等の経営資源の配分についても、基本方針に基づき計画を策定し、取締役会による実効性のある監督が機能するよう努めてまいります。

 

<原則5-2:経営戦略や経営計画の策定・公表>
当社は中期経営計画を公表しておりませんが、毎期初において、当該期の目標額を開示しております。その目標額の策定にあたっては、資本コストを考慮した上で、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資、研究開発投資、人的投資への投資を含めた経営資源の配分について計画を策定しておりますが、目標達成に向けた具体的な施策については、決算短信や決算説明会の他、日常のIR活動を通じて株主に分かりやすく伝えるよう努めてまいります。

 

<開示している主な原則>
 2021年6月の改訂後のコードに基づき記載しております。

 

<原則1-4:政策保有株式>
当社の政策保有株式の縮減に関する方針、保有の適否の検証及び議決権行使に関する基準は、以下の通りであります。
1.政策保有株式の縮減に関する方針
当社は、取引先との安定的な関係維持・強化が企業戦略上重要且つ当社の持続的な成長と企業価値向上に資すると判断した場合に限り、政策保有株式を限定的に保有する方針であります。その戦略上の判断は、適宜見直しを行い、意義が不十分であるか、又は資本政策に合致しない政策保有株式については縮減する方針でございます。
2.政策保有株式の保有の適否の検証
当社は、保有先企業の動向、取引の状況、当該保有株式の市場価額等の状況を踏まえて、当該企業との業務提携、取引の維持・発展等の保有目的の合理性を勘案し、当社の成長への必要性、一方では保有リスクも勘案し、資金活用の有効性の観点から、保有の適否について毎年検証を行っております。
3.政策保有株式の議決権行使に関する基準
政策保有株式に係る議決権行使は、その議案が当社の保有方針に適合するかどうかに加え、発行会社の企業価値の向上を期待できるかどうかなど、複合的に勘案して行ってまいります。

 

<補充原則3-1-3:自社のサステナビリティについての取組みに関する開示>
当社グループは、便利でお喜びいただける多種多様なサービスを創出・提供することで、社会全体のお役に立つことを目指しており、当社の企業価値を中長期的に維持・向上させるためには、より便利で豊かな社会の実現に向けた新サービスを開発・提供していくことが重要であると考えております。
当社グループではサステナビリティへの取り組みの一環として、山口県において太陽光発電による発電事業を営む他、ブロックチェーン技術を用いたエネルギー・マネジメント・システム構築を請け負うなど、ITソリューション事業で蓄積した企画力・技術力を活かし、「持続可能な社会の実現」に向けてAIや5G等の最先端技術を用いたシステム開発にも積極的に取り組んでおります。これらの取り組みは、脱炭素社会の実現に繋がるものであり、当社が中長期的に企業価値を維持・向上していくためにも重要であると考えております。
これらの事業推進に必要な人材については積極的な採用活動の継続等、人的資本への投資を行っております。また、知的財産への投資については、継続的なソフトウェア資産への投資が、競争力及び付加価値の向上、当社グループの継続的なサービス提供に資するため、毎年一定水準額の投資を行っております。

 

<原則5-1:株主との建設的な対話に関する方針>
当社では、「IR活動の基本姿勢と開示基準」、「情報開示の方法と情報の公平性」、「将来の見通しについて」、「IR自粛期間について」からなるIR基本方針を策定しており、当社ウェブサイトにて公表しております。

 

      ●IR基本方針
       URL:https://www.nihon-e.co.jp/ir/management/line.html

 

現在、当社ではこのIR基本方針に基づき、株主との建設的な対話という観点から、以下の取り組みを積極的に実施しております。
(1)当社では常務取締役管理本部長を内部情報管理責任者に指定し、経理部、総務部、人事・広報部等のIR活動に関連する部署を管掌し、日常的な部署間の連携を図っております。
(2)社内各部門の会社情報については、内部情報管理責任者が一元的に把握・管理し、的確な経営判断のもと、有機的な連携に努め、IRに関連する他部署との情報共有を密にすることで、連携強化を図るよう努めております。
(3)広報・IRグループにおいて、株主・投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材を積極的に受け付けると共に、アナリスト向けに決算説明会を開催し、社長又は常務取締役が説明を行っております。
(4)IR活動及びそのフィードバック並びに株主異動等の状況については、適宜取締役会へ報告を行い、取締役や監査役との情報共有を図っております。
(5)投資家と対話をする際は、当社の公表済みの情報を用いた企業価値向上に関する議論を対話のテーマとすることにより、インサイダー情報管理に留意しております。

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