(9837)モリト株式会社 増収・大幅増益で増配へ

2022/02/17

 

 

一坪 隆紀 社長

モリト株式会社(9837)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

卸売業(商業)

代表取締役社長

一坪 隆紀

所在地

大阪市中央区南本町4-2-4

決算月

11月末日

HP

http://www.morito.co.jp/hd/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

730円

30,800,000株

22,484百万円

4.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

27.00円

3.7%

53.13円

13.7倍

1,240.70円

0.6倍

*株価は2/2終値。各数値は21年11月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2018年11月(実)

43,943

1,725

1,790

1,257

45.71

25.00

2019年11月(実)

45,987

1,734

1,779

1,402

51.17

26.00

2020年11月(実)

40,727

856

928

470

17.17

18.00

2021年11月(実)

43,636

1,619

1,834

1,407

51.41

26.00

2022年11月(予)

45,000

1,800

1,850

1,450

53.13

27.00

*予想は会社側予想。単位:円、百万円。

 

モリト株式会社の2021年11月期決算概要等についてご紹介します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年11月期決算概要
3.2022年11月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 21/11期は前期比7.1%増収、97.6%経常増益。新型コロナウイルス感染拡大の影響や材料価格の高騰、さらには運送費の高騰など、同社のコア事業にとって非常に厳しい外部環境だった。一方で、それほど季節性を問わない商材を中心に、アパレル事業が底堅く、かつ順調に推移した。また、スポーツ・レジャー関連商品の売上が増加した。利益面では、不採算事業にかかる経費の見直しや、物流における自社倉庫への移管の推進など経費の削減を継続しており、販管費率が低下、営業利益率は前年同期2.1%から3.7%へ大きく改善した。期末配当は17.00円を実施、中間配当9.00円と合わせ通期では前期比8.00円増配となる26.00円。

     

  • 22/11期は売上高が前期比3.1%増の450億円、経常利益は同0.9%増の18億50百万円を計画する。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、経済活動に一定の制限が生じているが、第8次中期経営計画にて定めた26年11月期連結売上高500億円、連結営業利益25億円 を目指し、移り変わりの早い市場や新しい生活様式にも対応すべく各種施策に取り組む考え。配当は1.00円増配の27.00円(うち上期13.50円)を見込む。

     

  • 第8次中期計画における事業体制構築の期間との位置付けた21/11期は、期初予想を大きく上回った。22/11期については、新型コロナ感染拡大の影響は気掛かりだが、これまでの対策の実績も考慮すると大きな影響はなさそうだ。もうひとつの懸念が原材料価格の高騰だが、同社では値上げとコスト削減で対応していく考え。また、環境配慮型の商品開発への取り組みや新商品の投入など、今後に向けた取り組みもしっかり進めている。PBRは0.6倍と低位、中期計画達成を前提した利益水準を考慮しても株価の見直し余地は大きい。

     

1.会社概要

靴・衣類などに紐を通す穴に取り付ける環状の金具である「ハトメ」をはじめとし、ホック、マジックテープ®などの服飾の付属品や、自動車の内装品等の企画・開発から製造に加え、卸・流通までを一貫して手掛ける専門商社。
創業100年を超す歴史の中で培われた高い信頼性、高シェア、グローバルネットワークなどが強み。
2021年11月末現在、連結子会社は国内6社、海外14社の合計20社、持分法適用関連会社は国内に1社。
尚、2019年6月より持株会社体制となっている。

 

【沿革】

大阪の呉服商で奉公人として働いていた創業者・森藤寿吉氏が、1908年(明治41年)に独立し、ハトメ、ホックの仲買商「森藤商店」を一人で開業。大正時代に入りファッションの洋装化が進むのに伴い、靴の需要も拡大し、急成長を遂げる。1937年にはホックをスマトラ、ジャワへ、靴ひもをヨハネスブルグ(南アフリカ)、イギリスへ輸出するなど国際化も進めた。太平洋戦争後は、カラーナイロンファスナーやマジックテープ®の販売を開始したほか、1990年代に入り汎用資材の拡販を目指し、自動車の内装品、カメラのストラップなど生活産業資材関連事業にも進出し事業ドメインを拡大した。海外事業も積極的に展開。1989年、大阪証券取引所第2部に上場し、2013年7月の東証・大証の統合に伴い東京証券取引所第2部に移行。2016年12月には、東証1部に昇格した。

 

1908年

森藤商店創業(ハトメ、ホック、靴ひもの商売開始)

1935年

株式会社森藤商店設立

1958年

カラーナイロンファスナーの販売を開始

1960年

マジックテープ®の販売を開始

1976年

モリト株式会社に商号変更

1977年

摩理都實業(香港)有限公司 設立(中国)(現 MORITO SCOVILL HONGKONG COMPANY LIMITED)

1983年

KANE-M,INC. 設立(米国)

1985年

MORITO(EUROPE)B.V. 設立(オランダ)

1987年

エース工機株式会社設立(日本)

1988年

台湾摩理都股份有限公司設立(台湾)

1989年

大阪証券取引所 第2部上場

2001年

摩理都實業(香港)の子会社として、

華健金属製品有限公司をM&A(中国)

(現 摩理都工貿(深圳)有限公司)

2003年

佳耐美国際貿易(上海)有限公司設立(中国)

2005年

摩理都實業(香港)宝安工場、摩理都工貿(深圳)を移設、拡張(中国)

2007年

摩理都實業(香港)有限公司が華健金属製品有限公司を吸収合併(中国)

2008年

クラレグループと事業・資本提携 クラレファスニング株式会社を持分法適用会社に

2010年

カネエムダナン設立(ベトナム)

2011年

カネエムタイランド設立(タイ)

2012年

ミャンマー駐在員事務所開設(ミャンマー)(現 モリトジャパン株式会社ミャンマー駐在員事務所)

カネエムインクミシガン支店開設(米国)

カネエムダナン操業開始

2013年

東京証券取引所 第2部に移行

2014年

株式会社マテックスをM&A(日本)

カネエムインク テネシー支店開設(米国)

米国の服飾資材製造販売企業 SCOVILLをM&A(現 MORITO SCOVILL AMERICAS,LLC)

2016年

東京証券取引所 第1部に上場

2017年

モリトスコーヴィルメキシコ設立(メキシコ)

株式会社52DESIGN設立(日本)

2018年

モリト関東ロジスティクスセンター開設

株式会社マニューバーラインをM&A(日本)

分割準備のために、モリト株式会社の100%子会社としてモリトジャパン株式会社を設立

2019年

持株会社体制への移行に伴い、モリト株式会社(純粋持株会社)とモリトジャパン株式会社(事業会社)に会社を分割

 

【ビジョンなど】

1.創業理念
「積極・堅実」
創業期より培われてきた同社の精神。「自ら進んで判断・行動することで確実に成果を上げることが出来る」という意味を表す。また、「他人に勝つためには常に他人の意表をつくアイデアが必要。日頃から何かないかと考えながら商売せよ。」という、創業者・森藤寿吉氏の精神が同社事業のバックボーンとなっている。

 

2.経営理念
「パーツでつなぐ、あなたとつながる、未来につなげる」
(1)多彩なパーツを全世界に供給し、ジャンルを超えた無限の市場作りを追求します。
(2)お客様の要望を形にし、人々の豊かな暮らしにつながる本物のもの造りを実現します。
(3)ファッション性、機能性、快適性、安全性といったトータルな視点で価値創造力を発揮し、全ステークホルダーと一体になって未来創りに貢献します。

(同社HPより)

 

3.経営ビジョン
『存在価値を創造する、あたらしい「モリトグループ」の実現』

 

4.企業行動指針

顧客に対する責任を果たす

株主に対する責任を果たす

ビジネスパートナーに対する責任を果たす

社会に対する責任を果たす

お互いに対する責任を果たす

 

【事業内容】

ハトメ、ホック、バックル、ファスナーなど服飾の付属品を扱う「アパレル事業」、カメラ・携帯端末用のストラップ、靴の副資材やインソールなどフットケア商品を扱う「プロダクト事業」、マットエンブレム、ドアグリップなど自動車の内装品を中心とした「輸送事業」の3事業で構成される。
どの事業においても、ファッション性、機能性、快適性、安全性等を勘案し、市場や顧客ニーズに沿った商品の企画、開発からはじまり、製造、流通、販売までを一貫して手掛けている。
報告セグメントは、日本、アジア、欧米の3セグメント。

 

アパレル事業

 

(同社資料より)

 

21年11月期の売上構成比46%。
ハトメ、ホック、バックル、ファスナー、リベットなど服飾品やフットウェアの付属品を、主として卸、商社、代理店などを通じて同社の最終顧客である国内外のアパレルメーカー等に納入している。

 

◎プロダクト事業

 

インソール

 

靴クリーム

 

消臭スプレー

 

防水素材バッグ

(同社資料より)

 

マリンレジャー取扱ブランド

 

スノーボード・スケートボード取扱ブランド

 

(同社資料より)

 

21年11月期の売上構成比36%。
産業資材分野への付属品、半製品の提供の他、インソール、靴クリームなどフットケア商品を中心に、同社オリジナル製品として自社ブランドで販売している。

 

◎輸送機器事業

 

(同社資料より)

 

21年11月期の売上構成比18%。
主としてマットエンブレム、ドアグリップ、アームレストといった自動車の内装品を中心に取り扱っている。
自動車関連が約9割を占める。日系の主要自動車メーカーのサプライヤー企業などが主な顧客となっている。

 

【特長と強み】

①安定した業績推移
沿革でも触れたように、創業以来ハトメ、ホック、マジックテープ®などを中心にアパレル事業を展開してきた同社だが、汎用資材の用途拡大を進め、輸送機器事業を含むプロダクト事業をスタートさせ、アパレル事業が4割強、プロダクト事業が4割弱、輸送機器事業が2割弱となっている。
この事業ポートフォリオは同社の業績に安定性をもたらしており、戦後2度の石油ショック、世界的な経済危機「リーマンショック」、及び今般の新型コロナの影響を含めても赤字に陥ったことが無い。

 

②多くのアイテムで高いシェア
表の様に様々な商品アイテムにおいて高いシェアを有している。
価格のみで見れば同社よりも低価格で供給する新興国の企業もあるが、企画・開発から製造、流通にわたり一貫し、加えて様々な状況にも適切に対処できる対応力、長い歴史の蓄積の中で培った安全性も含めた品質の高さ等で発注元からの信用、信頼度は高く、それが高シェアにつながっている。
例えば、同社では顧客のサンプル製作段階から適切な技術的アドバイスを提供したり、顧客の要望に合わせた微妙な色味の調整を何度も繰り返したりするほか、本生産に入ってからも定期的にチェックを繰り返すなど、単に完成品を販売するのではなく、取引開始に至るまで多くのハードルをクリアし、川上から川下までの全工程を仕組みとして顧客に提供している。こうした付加価値の提供が海外の有名ブランドを中心とした顧客から高く評価されている。

 

<主要アイテムとシェア>

(同社調べ)

 

 

 

③グローバルネットワーク
企画・開発は主として日本で行う一方、欧州、北米、アジアに製造・販売の拠点を有している。

 

(同社資料より)

 

同社ではグローバル成長企業を目指しグローバルな生産拠点、販売網の拡充とグローバル経営を支える内部体制の構築を進めている。これが計画通りに進捗し、より強固なグローバルネットワークが構築されれば、同社の競争優位性は一段と強固なものとなるだろう。

 

以上の3点に加え、「ユニークなポジショニング」も同社の特徴の一つと言って良いだろう。
同社が取り扱う品目一つ一つをとれば競合先もあるが、これだけ多彩な品目を取扱いながら、その企画・開発から製造、流通、販売までを一貫して手掛け、売上高400億円を超すというボリュームを実現している企業は世界的にも他に見当たらないということだ。

 

【ROE分析】

 

15/11期

16/11期

17/11期

18/11期

19/11期

20/11期

21/11期

ROE(%)

4.7

3.9

10.7

3.8

4.3

1.5

4.3

売上高当期純利益率(%)

3.31

2.95

7.99

2.86

3.05

1.15

3.22

総資産回転率(回)

0.93

0.91

0.98

0.96

0.97

0.93

0.97

レバレッジ(倍)

1.53

1.46

1.36

1.40

1.45

1.37

1.36

 

17/11期のROEが大幅に上昇したのは、土地売却による特別利益の計上で当期純利益が大きく増加したため。19/11期も固定資産売却益や有価証券売却益が当期純利益を押し上げた。20/11期は新型コロナの影響で売上高当期純利益率が低下した。21/11期は売上高当期純利益率が大幅に改善。22/11期の売上高当期純利益率は21/11期と同等、3.22%の予想。

 

 

2.2021年11月期決算概要

(1)連結業績概要

 

20/11期

構成比

21/11期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

40,727

100.0%

43,636

100.0%

+7.1%

43,000

+1.5%

売上総利益

10,573

26.0%

11,401

26.1%

+7.8%

販管費

9,717

23.9%

9,781

22.4%

+0.7%

営業利益

856

2.1%

1,619

3.7%

+89.1%

1,550

+4.5%

経常利益

928

2.3%

1,834

4.2%

+97.6%

1,700

+7.9%

純利益

470

1.2%

1,407

3.2%

+199.3%

1,050

+34.0%

*単位:百万円。純利益は親会社株主に帰属する純利益。以下同様。

 

7.1%増収、販管費抑制などで97.6%経常増益
売上高は前期比7.1%増の436億36百万円。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた。百貨店の休業による各種メーカーでの生産調整や、半導体不足による自動車の減産、主力商品のハトメ・ホックの原材料である銅などの金属、および樹脂などの材料価格の高騰があった。さらに海上運送のコンテナ不足、輸出入通関時の入港・出港の大幅なズレ、それに伴う運送費の高騰など、同社のコア事業にとって非常に厳しい外部環境だった。一方で、それほど季節性を問わないベビー服、メディカルウェア、また作業服などを中心に、アパレル事業が底堅く、かつ順調に推移した。また、スケートボード、ヨガ、フィッシング、キャンプなどのスポーツ・レジャー関連商品の売上が増加した。4Q(9-11月)の売上は、新型コロナウイルス流行前の19/11期4Qの売上を上回り、経済活動や受注は回復を見せているという。

 

営業利益は前期比89.1%増の16億19百万円。売上総利益率は26.1%で微増。不採算事業にかかる経費の見直しや、物流における自社倉庫への移管の推進などで、昨年より経費の削減を継続しており、これが功を奏して、販管費率が低下、営業利益率は前期2.1%から3.7%へ大きく改善した。営業外では、為替差損が昨年よりも減少、新型コロナウイルスに関連した雇用調整助成金の増加などで経常利益は前期比97.6%増の18億34百万円。政策投資株式の見直しを進めており、投資有価証券の売却益を特別利益に計上し、純利益は同199.3%増の14億7百万円となった。
期末配当は17.00円を実施、中間配当9.00円と合わせ通期では前期比8.00円増配となる26.00円。

 

(2)セグメント別動向

地域別動向

 

20/11期

構成比

21/11期

構成比

前年同期比

売上高

 

 

 

 

 

 日本

28,810

70.7%

30,229

69.3%

+4.9%

 アジア

7,225

17.7%

8,054

18.5%

+11.5%

 欧米

4,691

11.5%

5,353

12.3%

+14.1%

 合計

40,727

100.0%

43,636

100.0%

+7.1%

セグメント利益

 

 

 

 

 

 日本

868

3.0%

1,375

4.6%

+58.4%

 アジア

255

3.5%

401

5.0%

+56.7%

 欧米

-63

56

1.1%

 調整額

-205

-213

 合計

856

2.1%

1,619

3.7%

+89.1%

*単位:百万円
*売上高は外部顧客への売上高。利益の構成比は売上高利益率

 

◎日本
前期比4.9%増収、58.4%増益
バッグや靴向けの付属品は約2億円減少した。スポーツ、アウトドア関連の商品の付属品は約4億円増加した。特にキャンプ関連グッズおよびその付属品、ヨガウェア向けの付属品、フィッシング用のバッカンという釣り具などを入れるためのケース、スポーツメーカー向けのシューズの乾燥剤の売上が好調に推移した。また、日系自動車メーカーにおける次期マイナーチェンジモデル用の自動車内装部品は、4億円ほど増加した。そして、東京五輪で話題となったサーフィン・スケートボード関連商品の売上高は約3億円増加した。

 

◎アジア
前期比11.5%増収、56.7%増益。
中国における日系自動車メーカー向けの自動車内装部品の売上は減少した。これは自動車メーカーの工場を、天津から成都に生産移管した影響、調整のため約3億円の減少となった。一方、中国や香港における欧米向け作業服の関連付属品、ベビー服の関連付属品などの売上が増加した。作業服やベビー服などは、コロナ禍でも継続して需要がある商品であり、ベースとなる売上の増加や、新規受注の獲得が大きな要因。

 

◎欧米
前期比14.1%増収、56百万円の利益(前期は63百万円の損失)。
作業服向けの付属品やキャンピングカーやボートなどのレジャー関連商品の売上が増加した。さらに、北米やイギリスを中心に、半導体不足による自動車メーカーの減産はあったものの、新規受注の獲得もあり、日系自動車メーカー向けの自動車内装部品の売上は約2億円増加した。

 

(3)財務状態とキャッシュフロー(CF)

◎主要BS

 

20年11月末

21年11月末

 

20年11月末

21年11月末

流動資産

25,496

26,957

流動負債

6,927

7,507

 現預金

10,125

11,103

 仕入債務

4,255

4,453

 売上債権

9,957

10,649

 短期有利子負債

780

444

 たな卸資産

4,721

4,540

固定負債

4,756

4,515

固定資産

18,201

18,980

 長期有利子負債

2,097

1,703

 有形固定資産

9,565

9,876

負債合計

11,684

12,023

 無形固定資産

3,651

3,469

 株主資本

30,516

31,477

 投資その他の資産

4,984

5,633

 利益剰余金

25,703

26,726

資産合計

43,699

45,938

 自己株式

-2,227

-2,289

 

 

 純資産

32,015

33,914

負債純資産合計

43,699

45,938

自己資本比率(%)

73.1%

73.7%

*単位:百万円

 

総資産は、459億38百万円となり前期末比22億38百万円増加した。
流動資産は、269億57百万円となり前期末比14億61百万円増加した。これは主に、現預金が9億78百万円、受取手形及び売掛金(売上債権)が6億92百万円、原材料及び貯蔵品(たな卸資産の一部)が1億41百万円増加したこと、商品及び製品(たな卸資産の一部)が3億48百万円減少したことによるもの。

 

固定資産は、189億80百万円となり前期末比7億78百万円増加した。これは主に、投資有価証券が5億44百万円、土地が5億17百万円増加したこと、のれんが1億29百万円減少したことによるもの。
流動負債は、75億7百万円となり前期末比5億80万円増加した。これは主に、未払法人税等が3億85百万円増加、支払手形及び買掛金(仕入債務)が1億97百万円増加したことによるもの。
固定負債は、45億15百万円となり前期末比2億41百万円減少し。これは主に、長期借入金が3億94百万円減少したこと、繰延税金負債が2億9百万円増加したことによるもの。
純資産は、339億14百万円となり前期末比18億99百万円増加した。
自己資本比率は前期末の73.1%から73.7%へ、0.6ポイント増加した。

 

◎キャッシュフロー

 

20/11期

21/11期

増減

営業CF

2,462

2,644

+181

投資CF

-16

-401

-384

フリーCF

2,445

2,242

-203

財務CF

-1,878

-1,380

+497

現金同等物残高

10,052

11,020

+968

*単位:百万円

 

22/11期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比9億68百万円増加し、110億20百万円となった。
営業CFは、26億44百万円の収支プラス(前期は24億62百万円の収支プラス)となった。これは主に、売上債権の増加により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益の獲得及び減価償却費の計上により資金が増加したもの。
投資CFは、4億1百万円の収支マイナス(前期は16百万円の収支マイナス)となった。これは主に、投資有価証券の売却により資金が増加した一方で、有形固定資産の取得により資金が減少したもの。
財務CFは、13億80万円の収支マイナス(前期は18億78百万円の収支マイナス)となった。これは主に、長期借入金の返済による支出、配当金の支払及び社債の償還による支出により資金が減少したもの。

 

(4)事業のトピックス 

◎<アパレル・プロダクト事業>環境配慮型の商品開発等の取り組み「C.O.R.E.」
「C.O.R.E.」は、「committed to our resource and environment」の略称。環境配慮型の商品開発などの取り組みであり、モリトグループの環境へのコミットメント。美しい地球と限りある資源を未来につなげる包括的なアプローチで、製品の製造工程において環境に配慮したプロセスの採用や、環境に優しい新製品の開発と販売に向けた、同社グループ独自の取り組み。
海・空気・森をテーマに、まずは海洋プラスチックごみの約40%を占めていると言われている廃漁網をリサイクルした、ナイロン樹脂の「リアミド®」を使用した樹脂のパーツ・テープ・生地など、主にアパレル向け資材の開発を進めている。
開発した資材はどんどん増加しており、ホックなどの「点」で留めるパーツ、テープなどの「線」でつなぐパーツ、生地などの「面」で飾るパーツなど、あらゆる用途や業界にアプローチできるようになってきた。各種大手ブランドでの採用もすでに決まっており、22/11期はこの取り組みを拡大していく。

 

廃漁網をリサイクルした素材を用いた資材の例

(同社資料より)

 

「C.O.R.E.」で開発した生地・テープなどの資材を使い、兵庫県の地域ブランド「豊岡鞄®」と協業した鞄の開発を行っている。これは単なる素材の再利用ではなく、元の製品よりも次元や価値の高いものを生み出す「アップサイクル」と呼ばれている取り組み。
これらのバッグは「豊岡鞄®」の店舗やオンラインショップ(https://shop.artisan-atelier.net)で販売している。今後は地産地消を目的とした自治体とのイベント企画など、「C.O.R.E.」のアプローチを広げるために新たな取り組みを企画していく。まず足がかりとして、潮の流れの関係で漂着物が非常に多いと言われている兵庫県今子浦海岸での清掃活動を継続して実施する。実際に足を運ぶことで、地方の人々が困っているごみ問題を支援するだけでなく、同社が今後どのような取り組みを行っていくかを考えるきっかけになっている。

 

豊岡鞄®

(同社資料より)

 

昨年に続き、今年も10月に東京ビッグサイトで開催される「サステナブルファッションEXPO」に大規模出展を行う予定。昨年の展示会は洋服や帽子、靴などをはじめ、様々な提案をした。今年は「C.O.R.E.」を推し進める考え。

(同社資料より)

 

◎<プロダクト事業>スケートボード・サーフィン関連商品が好調
21年に開催された東京五輪で日本人選手がメダルを獲得したこともあり、スケートボード・サーフィン関連商品が注目を集めている。もともと、コロナ禍において密を避けて楽しめる屋外スポーツとして売上が伸びていたが、今回の五輪が追い風となった。また、24年のパリ五輪に向けても、売上は好調に推移している。

 

(スケートボード関連 注目ブランド)

(同社資料より)

 

(サーフィン関連 注目ブランド)
ウィンドサーフィンの関連商品を扱う「NEILPRYDE」というブランドの取り扱いを開始した。さらに、世界の有名サーファーを抱えるブランド「CHANNEL ISLANDS」の輸入代理店ともなっている。今後、専門に扱う店舗がオープンするため、売上を拡大できる見込み。

 

(同社資料より)

 

スノーボード関連では、当社子会社のマニューバーラインが取り扱っている「NITRO」ブランドが人気となっている。
アウトドア関連では、22年1月に個展やアウトドアショーなどで、2ヶ所に出展した。前年の倍近い引き合いと受注を受けているという。

 

◎<日本 アパレル事業>BtoCビジネスの展開 52DESIGN
17年に設立した52DESIGNでは、BtoCビジネスを展開している。ISSEY MIYAKEで「BAO BAO」のバッグの開発に携わっていた松村光氏と協業して設立した。高価格帯のバッグの販売を中心とする会社。
各地百貨店・セレクトショップで、POP-UP STOREの展開も積極的に継続していく考え。また、国内外の卸先も増加傾向にあり、特に中国のセレクトショップからの問い合わせや購入が増加している。中国の海南島でもPOP-UP STOREを実施しており、アジアを中心に販売を強化する。
今後、海外の有名ブランドとのコラボや、バッグだけでなく新たな分野への商品展開も予定しており、期待できそうだ。

 

(同社資料より)

 

 

 

◎<プロダクト事業>均一価格小売店向け商品の取扱い拡大
従来、インソールを中心に商品を販売していたが、インソールに使用していた素材を活用したマウスパッドなどのパソコン関連商品の販売も開始している。コロナ禍での在宅勤務の増加により需要が高まっており、強化を継続する。
また、今年度からマスク関連商品や手芸・ハンドメイド関連商品なども展開している。22/11期から本格導入の商品もあり、今後も売上が期待できそう。
22/11期は付加価値とコロナ禍での事業拡大にフォーカスして進めていく考え、低粗利や不採算事業の見直しの改革も継続していく。

 

(同社資料より)

 

3.2022年11月期業績予想

(1)連結業績予想

 

21/11期

構成比

22/11期(予)

構成比

前期比

売上高

43,636

100.0%

45,000

100.0%

+3.1%

営業利益

1,619

3.7%

1,800

4.0%

+11.1%

経常利益

1,834

4.2%

1,850

4.1%

+0.9%

当期純利益

1,407

3.2%

1,450

3.2%

+3.0%

*単位:百万円
*予想は会社側発表。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益
22/11期は増収増益予想
22/11期は売上高が前期比3.1%増の450億円、営業利益は同11.1%増の18億円、経常利益は同0.9%増の18億50百万円、当期純利益は同3.0%増の14億50百万円を計画する。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、経済活動に一定の制限が生じているが、第8次中期経営計画(詳細は後述)にて定めた26年11月期連結売上高500億円、連結営業利益25億円 を目指し、移り変わりの早い市場や新しい生活様式にも対応すべく各種施策に取り組む考え。
感染症の流行再拡大、米中貿易摩擦など、世界経済の先行きが不透明な中ではあるが、基軸商品に加え、機能性、サステナブルやエコにこだわった付加価値商品の販売に注力し増収増益を目指す。
配当は1.00円増配の27.00円(うち上期13.50円)を見込む。

 

(2)利益配分に関する基本方針

●継続的配当の実現
●配当性向は50%以上を基準(純利益が大きく変動した場合、その影響を考慮)
●DOE1.5%を維持
*自己株式取得および消却については、株主還元の更なる充実を図っていく観点から、収支状況や株価水準などを勘案しながら、弾力的な実施を引き続き検討。

 

(3)第8次中期経営計画の開始

当初は20/11期から5年間と予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、開始時期を22/11期からに見直している。
20/11期、21/11期は事業体制構築の期間として、利益体質の改善、コロナ禍での社員あるいは事業に対する対応、アフターコロナを見据えた準備、新商品開発などを進めてきた。22/11期から26/11期の5年間での定量目標である売上高500億円、営業利益25億円を前倒しで達成すべく努めていく。

 

(同社資料より)

 

4.今後の注目点

第8次中期計画における事業体制構築の期間との位置付けた21/11期は、期初予想売上高430億円、営業利益13億円だったが、結果としては大きく上回った。22/11期については、足元の新型コロナ感染拡大の影響は気掛かりではあるものの、これまで対策を講じてきた実績もあり大きな影響はなさそうだ。もうひとつの懸念が原材料価格の高騰。特にホックで使用される真鍮(しんちゅう)や銅が高騰している。同社では値上げと、既に不採算事業の見直しを進めているが、コスト削減でも対応していく考え。海外では欧米の利益水準が低位にとどまっているが、昨今の物価上昇にあわせ価格転嫁を進めたいところだ。また、既存領域を立て直しているだけではなく、環境配慮型の商品開発への取り組みや新商品の投入など、今後に向けたトップライン拡大への取り組みもしっかり進めている。
株価については、PBRは0.6倍と低位。中期計画達成を前提とすればEPSは70円程度が見込まれることからも、見直し余地は大きい。

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査役会設置会社

取締役

5名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

社外取締役が委員長(議長)を務める任意の指名報酬委員会を設置している。委員は3名でうち2名が社外取締役。

 

◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2021年12月17日
<基本的な考え方>
当社は、経営理念及びすべての役員、社員が取り組むべきことをまとめた行動規範に則りステークホルダーの立場に立って、長期的継続的な企業価値の向上を実現するうえで、コーポレート・ガバナンスの強化・充実を経営上の最重要課題と位置付けております。ステークホルダーに対しては、誠実な姿勢で適時開示、役割と責任の明確化によるスピーディな意思決定、そして客観的なチェック機能の強化が必要であると考えます。
当社は、社外取締役による取締役会に対する業務執行の監督および社外監査役を含めた監査役による監査が経営監視機能として有効であると判断し、監査役会設置会社形態を採用しております。
取締役会は社内取締役3名と社外取締役2名で構成されており、毎月1回定例開催し、法令に定められた事項及び会社の経営戦略に関わる重要事項について決定するとともに取締役の職務の執行について監督しております。また、コンプライアンス委員会を設置しコンプライアンス体制の定着と維持を図り、内部統制システムの要請に対応しております。
なお、社外取締役2名について、東京証券取引所の定めに基づく独立役員として指定し、同取引所に届け出ております。
監査役会は社外監査役2名を含む3名で構成されており、コーポレート・ガバナンス体制の確立を基本的な監査視点とし、公正かつ客観的な監査を行っております。
なお、社外監査役2名について、東京証券取引所の定めに基づく独立役員として指定し、同取引所に届け出ております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
【対象コード】
2021年6月の改定後のコードに基づき記載しています。

 

原則

実施しない理由

【補充原則2-4① 中核人材の登用等における多様性の確保】

 

中核人材への登用は、性別や国籍等にかかわらず能力・見識・人格等を公正に評価して行っているため、数値目標は現在設定してはおりませんが、既に、当社グループにおいて海外拠点の取締役、管理職にローカル社員や女性社員を登用しており、多様性の確保を進めております。

数値目標の設定等については引続き検討してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>

原則

開示内容

【原則1-4 政策保有株式】

(1)政策保有に関する方針

当社は、事業戦略上の重要性、販売・生産・資金調達における各取引先との取引関係の必要性等を勘案し、企業価値向上に寄与するもの、または業務上必要とされるものと判断した場合に限り、上場株式を保有いたします。

(2)政策保有株式にかかる検証の内容

上場株式の継続保有の適否については、毎年、取締役会にて、配当金額や取引高等の保有に伴う便益や保有目的及び今後の取引見通しなどを検証し、総合的に判断しております。

検証の結果、保有の意義が十分でないと判断される保有株式については、適宜売却いたします。

なお、検証において妥当性が認められる場合でも、市場環境や経営・財務戦略等を考慮し、売却をすることがあります。

また、検証の結果、保有を継続すると判断した銘柄のうち保有数が多いものについては、有価証券報告書において、その保有株数・保有目的を開示しております。

(3)政策保有株式にかかる議決権行使基準

保有株式の議決権の行使については、株主価値の向上に資するものなのか否か、また、当社への影響等の観点を踏まえ、総合的に判断し、適切に行使しております。

【補充原則2-4① 中核人材の登用等における多様性の確保】

当社は、モリトグループ人材マネジメント方針を定め、その中で「働く人々の多様性を受容する人事管理を実現する」ことを掲げています。

中核人材への登用は、性別や国籍等にかかわらず能力・見識・人格等を公正に評価して行っているため、数値目標は現在設定してはおりませんが、既に、当社グループにおいて海外拠点の取締役、管理職にローカル社員や女性社員を登用しており、多様性の確保を進めております。

また、中途採用者につきましても、既に当社における中途採用者の管理職比率は5割を超えております。

引き続き、モリトグループ人材マネジメント方針に沿って、多様性の確保に努めてまいります。

モリトグループ人材マネジメント方針および各種データについて当社ホームページにて公開しております。

http://www.morito.co.jp/csr/

【補充原則3-1③ サステナビリティについての取組み】

<サステナビリティについての取組み>

当社のサステナビリティの考え方や方針、取り組みについては当社ホームページにて掲載しております。

http://www.morito.co.jp/ir/management/risk.html

http://www.morito.co.jp/core/

http://www.morito.co.jp/csr/03_society/index.html

<人的資本、知的財産への投資等>

当社は、モリトグループ人材マネジメント方針を定め、「自育・自成」の教育方針のもと、高い成果を発揮する能力・意欲を持つ人材に対し、能力開発の機会を提供しています。各階層に応じた研修やキャリアデザイン研修、自己啓発の支援等を定期的に実施し、人的資本強化に努めております。

また、サステナビリティに関連する商品に関して統一したブランドを設定し商標出願を行ったり、商品についての特許、意匠等を出願するなどして知的財産への投資も行っております。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、株主との対話の場を設けております。

①体制整備状況

当社は株主との建設的な対話の実現のためIR担当役員を任命しております。また、IR担当部署を中心に関連部署が連携し、株主に対し適切な情報を提供できるような体制を構築しております。

②取組の方針

半期毎に代表取締役またはIR担当役員によるアナリスト・機関投資家向け決算説明会や個別面談を行い、オンライン開催による個人投資家向け会社説明会やIRフェアへの参加を年に複数回行うことを基本方針としております。それらの機会に得た情報を経営に反映させるため、経営陣で情報の共有をしております。また、当社は内部者取引管理規程に基づきインサイダー情報を適切に把握し、株主との対話の際には細心の注意をはらっております。

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