株式会社メディカルネット(3645) 主力3事業がいずれも増収

2021/11/11

 

平川 大 会長CEO

株式会社メディカルネット(3645)

 

 

企業情報

市場

東証マザーズ

業種

情報・通信

会長CEO

平川 大

所在地

東京都渋谷区幡ヶ谷1-34-14 宝ビル

決算月

5月末日

HP

https://www.medical-net.com

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

648円

8,617,570株

5,584百万円

11.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

2.50円

0.4%

32.95円

19.7倍

144.23円

4.5倍

* 株価 10/15終値。発行済株式数は直近期決算短信より。発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2018年5月(実)

1,498

152

154

88

8.18

1.00

2019年5月(実)

1,964

176

182

102

9.49

1.00

2020年5月(実)

2,570

106

103

79

9.26

0.75

2021年5月(実)

2,904

331

336

129

15.36

4.00

2022年5月(予)

3,547

360

359

284

32.95

2.50

* 予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。
* 2021年6月、普通株式1株を普通株式2株に分割。EPS、DPSは株式分割を反映。
* 22/5期より「収益認識に関する会計基準」等を適用。18/5期以降の売上高は、当該会計基準等を遡って適用した後の数値。

 

株式会社メディカルネットの2022年5月期第1四半期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年5月期第1四半期決算概要
3.2022年5月期業績見通し
4.今後の注目点
<参考1:今後の成長戦略 ~予防医療・未病医療へ注力~>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 22/5期は前年同期比29.8%増収、108.6%営業増益。歯科診療医療費の伸び悩みなど厳しい状況が続く中、スマートフォン広告の拡充など新たなサービス構築に取り組んだ。業務効率を重視した戦略により、売上総利益率が前年同期39.0%から39.5%に改善、販管費率は31.3%から27.0%に低下し、営業利益率が前年同期7.7%から12.4%へ大幅に改善した。主力3事業がいずれも増収、損益が改善した。

     

  • 通期予想は前期比22.1%増収、8.8%営業増益。売上高が減額修正されているが、これは「収益認識に関する会計基準」等を適用することによるもの。各利益に修正はなく、実質は修正なし。新型コロナウイルス感染拡大は好影響となっている。医薬品販売事業を開始するなど新規事業を拡大させ、増収増益を見込む。また、引き続き成長のために積極的に投資を行う。事業投資では新規事業のほか、各事業で展開を進展させ、医薬品・医薬部外品の製造・販売事業も開始、大学との共同研究も進める。配当は修正なく2.50円/株の期末配当を見込む。

     

  • 一見、売上高が下方修正だが、実質は修正なし。新型コロナウイルス感染拡大の影響もフォローとし、1Qは大幅な増収増益を確保しており、好スタートを切ったといえる。進捗率についても経常利益で通期予想に対して27.5%、上期予想に対しては62.4%と悪くはない。22/5期予想は2桁増収ながら1桁の営業増益にとどまっている。同社が目指す売上は25/5期に100億円。達成に向けた先行投資が負担となる。ただし、21/5期も期初予想営業利益は1億10百万円~2億円のレンジ予想だったが大幅に上回っており、今期も利益の上乗せに期待したい。新型コロナウイルス感染拡大でネガティブな影響を受けているタイでの歯科医院展開など改善余地も残されている。高成長企業にもかかわらずPERは20倍程度にとどまっており、引き続き株価の見直し余地は大きいと考える。

     

1.会社概要

「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより笑顔を増やします。」を企業理念とし、歯科医院の経営をトータルで支援する「歯科医療プラットフォームビジネス」、歯科のみでなく医療、美容、ライフスタイルなど生活者にとって有益な情報を提供する「生活者向けサービス」、歯科関連企業のマーケティング支援などを行う「事業者向けサービス」を展開している。
生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶビジネスモデルを有する唯一の企業。2021年8月末で44,431名に上るメディカルネットグループ会員数が大きな資産。

 

【1-1 沿革】

2000年

4月

前身である日本インターネットメディアセンター創業。ポータルサイト運営事業・ホームページ制作事業を開始

9月

ポータルサイト「インプラントネット」リリース

2001年

6月

「日本メディカルネットコミュニケーションズ株式会社(現 株式会社メディカルネット)設立」

2002年

2月

ポータルサイト「矯正歯科ネット」・「審美歯科ネット」リリース

2005年

4月

ポータルサイト「エステ・人気ランキング」リリース

2006年

10月

SEM事業開始

2007年

9月

東証一部上場ソネット・エムスリー株式会社(現エムスリー株式会社)と業務資本提携

2009年

3月

「モバイル!歯医者さんネット」リリース

2010年

12月

東京証券取引所 マザーズへ上場

2012年

11月

ブランネットワークス株式会社を連結子会社化、医療BtoB事業を展開

2014年

9月

ヘルスケア情報サイト「4healthcare」リリース

10月

美容情報サイト「美LAB.」リリース

2015年

1月

ママ向け子育て情報サイト「まんまみーあ」リリース

2015年

9月

株式会社ミルテルと業務資本提携

2016年

12月

「株式会社メディカルネット」に商号変更

2017年

4月

「公開育児アプリ「Moopen(モープン)」リリース

 

5月

「デンタルトリビューンインターナショナル社」と業務提携

 

9月

「Success Sound Co., Ltd.(現 Medical Net Thailand Co., Ltd.)」を連結子会社化。タイ国バンコクにおいて、歯科医院運営を開始

 

10月

日本の総代理店として「デンタルトリビューン日本版」オープン

 

12月

Medical Net Thailand Co., Ltd.「ゆたかデンタルクリニック」をリニューアルオープン

2018年

2月

福岡支社開設

 

12月

株式会社オカムラの株式取得し完全子会社化(歯科ディーラー事業を開始)

2020年

2月

連結子会社であったブランネットワークス株式会社を吸収合併

9月

岡山大学との共同研究により開発した「歯科医院での新しい口臭センサーシステム」について特許を取得

10月

Pacific Dental Care Co., Ltd.を連結子会社(孫会社)化

2021年

6月

ノーエチ薬品株式会社を完全子会社化。医薬品・医薬部外品の製造・販売事業を開始

 

歯科医にターゲットを絞り、インターネット広告を中心としたビジネスを展開しようとした企業は多数あったが、個人事業主が多数を占める歯科医に対し継続的な営業を展開することが出来ず、ほとんどの企業が撤退していった。
これに対し同社は、歯科医の中でも自由診療に対象を絞り込んだうえ、ビジネスの成功のみでなく、創業時のビジョンを重視し、歯科医に対しては「新しい治療の理解と普及」や「地域医療の改善や治療に専念できる環境の提供」を、患者に対しては「より良い治療方法の情報提供」を目指し地道な努力を継続した結果、多くの歯科医師から圧倒的な共感を勝ち取り、生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶビジネスモデルを有するオンリーワン企業となった。

【1-2 企業理念など】

「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。」を企業理念とし、以下のMISSION、VISION、VALUEからなるミッションステートメントを掲げている。

 

MISSION

社会的存在意義

インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。

 

VISION

目指す姿

生活者・事業者に革新的なサービスを提供し続け、歯科医療プラットフォームビジネス・領域特化型プラットフォームビジネスにおいて、国内外でトップ企業となります。

VALUE

組織的価値観

 

変化なくして進歩なし。(あくなき挑戦である。)

◇情熱:向上心であり、自発性であり、責任であり、マインドである。

◇スピード:意識であり、発想であり、判断であり、言動であり、行動である。

◇チームワーク:協調であり、協力であり、競争であり、シナジーであり、利他である。

◇リスペクト:感謝であり、思慮であり、尊敬であり、真摯さである。

 

同社では、全社員に理念、VISIONを浸透させることを重視して、様々な取り組みを行っている。
2016年12月の社名変更も理念経営をこれまで以上に徹底して行っていくという経営からの社内外へのメッセージである。
中堅層育成のための2か月に1回の集合研修の場や中途採用時には平川大会長・平川裕司社長自らが同社の価値観を繰り返し語りかけている。
また、各事業ユニットおよび社員各人のVISION実現に向けた取り組みや実績を定量的・定性的に評価する仕組みもスタートさせた。
この評価制度を通じてビジョンや理念の更なる浸透を図り、より強固な組織づくりを目指している。

 

【1-3 市場環境】

◎歯科診療市場
厚生労働省の調査によれば、2020年度の歯科診療医療費は約3.0兆円で、前年比0.8%減と微減にとどまった。日本の健康保険財政状況からは今後も大きな伸びは予想できない。
一方、歯科診療所は2021年7月末で前年同月比0.3%減の68,024施設であった。2年連続の減少ながら高水準が続いている。

 

インプラントやホワイトニングなどの自費診療の普及や口腔衛生意識の高まりはあるものの、医療費抑制政策が続く中、歯科医院は過当競争状態にあると言われており、取り巻く経営環境は引き続き厳しい。
集客増を中心とした有効な施策に対する歯科医院のニーズは極めて大きいと思われる。

 

 

◎インターネット広告市場
医療機関経営支援事業における歯科医の集客のための重要なソリューションである「インターネット広告」は高成長が続いている。
電通が発表している「2020年 日本の広告費」によれば、日本の総広告費は19年が6.2%の増加と大きく伸びたものの、20年は新型コロナの影響もあり11.2%減となった。
一方、インターネット広告は、19年は19.7%と6年連続で2桁の伸びが続いており、20年についても5.9%増となった。19年には初めてテレビ広告を上回ったが、さらに大きな差をつけ、日本の広告市場を牽引している。
こうした傾向は今後も続くと思われ、歯科医にとってのマーケティングツールとしてインターネット広告はますます重要なものとなるだろう。

 

【1-4 事業内容】

<サービス概要>
『インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします』という企業理念の下、生活者、歯科医院、歯科関連企業に対しそれぞれ以下のようなサービスを提供している。

 

(生活者向け)
歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、インプラントなどの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報を、各種ポータルサイトを通じて提供している。
また、対象は歯科のみでなく医療、美容、ライフスタイルなど幅広い。

 

(歯科医院向け)
競争の激しい歯科医院業界に対し、様々な角度から経営支援サービスを提供している。
送客集客に結び付くホームページ制作やWebマーケティング、歯科従事者のための求職サイト運営による人材・キャリアサポート、日々の歯科治療で必要となる消耗品や歯科材料および高度管理医療機器導入のトータルサポートに加え、歯科医院の新規開業に伴う、物件、設備・インフラ、ホームページ、集客などのトータルサポートも提供している。

 

(歯科関連企業向け)
歯科医院向けビジネスを拡大させたい歯科関連企業のサポートを行っている。
ここで重要な役割を担っているのが、同社が運営する、歯科医療従事者登録数が2021年8月末時点で34,312名と日本最大級である歯科医療総合情報サイト「Dentwave.com」である。
「Dentwave.com」におけるバナー広告やメールマガジンといった広告掲載に加え、登録者を対象としたネット調査「デントリサーチ」も、マーケティングのための有効なツールとして高い評価を受けている。スピーディに精度の高い調査が可能であることに加え、職種、専門、年代、エリアなど細かいスクリーニングにも柔軟に対応しており、多くの歯科関連企業が導入している。
ほかにも、学会や企業のWebサイトやランディングページおよびカタログなどの制作、歯科コンベンションや歯科イベントの企画・集客・運営支援も行っている。

 

<報告セグメント>
開示上の報告セグメントは、「メディア・プラットフォーム事業」、「医療機関経営支援事業」、「医療BtoB事業」の3つ。

 

(1) メディア・プラットフォーム事業
「からだ」・「健康」・「美」に特化した情報を提供するサイトの開発・運営を行っている。
様々な切り口で、歯科分野、美容・エステ分野、子育て分野合わせて、58のメディアを運営している。

 

(歯科分野)

インプラントネット

歯科インプラント治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト

・インプラントネット(全国版)

・インプラントネット(スマートフォン版)

 

矯正歯科ネット

矯正歯科治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト

・矯正歯科ネット(全国版)

・矯正歯科ネット(スマートフォン版)

審美歯科ネット

 

審美治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト

・審美歯科ネット(全国版)

・審美歯科ネット(スマートフォン版)

その他歯科関連

「歯医者さんネット」

主に虫歯治療、歯周病治療などの保険診療を行う歯科医院を紹介し、幅広い顧客層をターゲットにしたポータルサイト

「Ask Dentist」

インターネットユーザーからの歯や口腔に関する質問・相談に歯科医師が回答する歯科Q&Aサイト

歯科求人サイト「Denty」

歯科医療業界に特化した求人サイト。歯科ポータルサイトの運営実績を活かして、求職者の目線を意識した求人情報の発信に努めている。

 

主なポータルサイトは歯科医院検索、歯科医院紹介、歯科医師の紹介に加え、患者に対する情報提供として、治療説明、よくある質問と回答のQ&Aといったコンテンツも掲載している。

 

(美容・エステ分野)

エステ関連サイト

 

美意識の高い女性をターゲットに、エステに関する情報を提供するポータルサイト「エステ・人気ランキング」をはじめ8サイトを運営している。

美容整形関連サイト

 

美意識の高い女性をターゲットに、美容整形に関する情報を提供するポータルサイト「気になる!美容整形・総合ランキング」をはじめ3サイトを運営している。

 

主なコンテンツは、エステサロン検索、エステサロン紹介、総合人気ランキング、キャンペーン人気ランキング、コース人気ランキング、実際にエステサロンで受けた施術の感想等を掲載した体験レポートなど。

 

*ビジネスモデル
各ポータルサイトは、歯科医院やエステサロン等を顧客として、広告料収入を得て運営している。
インターネットユーザーは、各ポータルサイトにおいて、無料で歯科医院、エステサロン等の情報を検索・閲覧することができる。
広告料収入の具体的内容は、主に①クライアント紹介ページの初期制作料及び月額掲載料、②クライアントのホームページへのリンクを貼ったバナー広告の月額掲載料となっている。
契約形態は原則12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスとなっている。

 

(2)医療機関経営支援事業
①SEM事業
検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEO(検索エンジン最適化)サービスや、ヤフー株式会社及びGoogle LLCが運営するポータルサイトにおけるリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを提供している。

 

(A)SEO
検索エンジンを活用してホームページへの集客やホームページから情報配信を行うクライアントに対して、検索エンジンの表示順位判定基準(アルゴリズム)を分析し、ホームページの状態を最適化することにより、ホームページの検索エンジンからのキーワードに対する評価を高め、検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEOサービスを提供している。
定額料金により複数のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果を上位表示させる月次定額型サービスと、特定のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果の順位に応じた料金が発生する成功報酬型サービスがある。

 

(B)リスティング広告(検索連動広告)
ヤフー株式会社及びGoogle LLCが運営するポータルサイトにおいてリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを行っている。
「リスティング広告」とは、検索エンジンの検索結果ページに設定された広告枠に表示される広告のことで、インターネットユーザーが広告をクリックした場合にのみ広告主に広告料が発生する。
クライアントにとって費用対効果の高い広告運用を実現するため、キーワードや広告原稿の提案から、運用面における入札価格の調整や予算管理までの総合的なサービスを提供している。

 

②事業者向けホームページ制作・メンテナンス事業
主に「からだ」・「健康」・「美」に関連する事業者(歯科医院、エステサロン等)をクライアントとしてホームページ制作・メンテナンス事業を行っている。
インターネットユーザーが、その歯科医院やエステサロン等に対して安心感を持ってもらえるように「清潔感・高級感」を重視したウェブデザインを手掛けるほか、歯科分野及び美容・エステ分野に特化している同社ならではの医療・美容知識を活かして、患者や医療・美容に対するクライアントの考え方など、インターネットユーザーに情報を分かりやすく伝えることができるホームページを制作している。
また、人工知能(AI)機能を搭載したWeb接遇支援システムの提供も開始した。これは歯科業界初の取り組みである。

 

③販売代理事業
クライアントを中心に、新聞折込広告をはじめとする広告出稿、他社商材等の販売代理業務を行っている。

 

④海外での歯科医院経営
タイ・バンコクで歯科医院の経営を開始。タイでの歯科医院経営を皮切りに、海外諸国において日本の先進歯科医療の普及を図る。

 

⑤歯科ディーラー事業
18年12月より連結化した(株)オカムラが展開する歯科機材卸事業。

 

(3)医療BtoB事業
歯科医療従事者と歯科関連企業等をつなぐBtoB型の歯科医療総合情報サイト「Dentwave.com」の運営を行っている。
同サイトの歯科医療従事者登録は2021年8月末時点で34,312名と日本最大級。
この会員を基盤として、歯科関連企業等に対する広告ソリューション、リサーチ、コンベンション運営受託等のサービスを提供している。20年2月には運営するブランネットワークスを吸収合併した。
また、世界最大規模の歯科メディアであるデンタルトリビューンインターナショナルと業務提携し、世界90カ国、65万人の歯科医師をユーザーにもつ「DENTAL TRIBUNE」日本版のメディアの運営とマガジンの発行をしている。

 

【1-5 特長と強み】

(1)生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶプラットフォームを構築している唯一の企業

(同社資料より)

 

同社は、歯科医療を中心に生活者・歯科医院・歯科関連企業を結んだプラットフォームを構築しているが、こうしたプラットフォームを構築している企業は他には無く、同社の大きな特徴となっている。
この強固でユニークなプラットフォームを活かし、生活者・歯科医院・歯科関連企業、それぞれに向けて様々なサービスを提供しており、これが強力な競合優位性となっている。
創業から約20年をかけて構築してきたポジショニングは強固であり、新規参入は極めて難しいと同社では考えている。

 

◎対生活者:自社メディアで信頼性の高い公平・中立な情報を提供
歯科医師など専門家と直接やりとりしながら、多くのメディアを構築・運営してきた同社は、歯科医療における豊富な専門知識を有している。
そのため、生活者に対し信頼性が高くかつ分かりやすい情報を提供することが可能であり、そのクオリティの高さは、医師が患者に説明する際に、同社が運営するWebサイトのコンテンツを利用することもあるほどである。
より専門性の高いテーマについては、長年築き上げた信頼関係に基づき、歯科医師に執筆を依頼している。
様々な見解があるテーマについては、複数の歯科医師に意見を述べてもらったり、治療方法のデメリットなどについても言及してもらったりしており、生活者に公平・中立な情報を提供している。
同社の売上高の多くは歯科医向けサービスによるものではあるが、ビジョンや理念の下、常に「生活者・利用者の視点」を重視したアドバイスを歯科医に提供しており、これが同社に対する一層の信頼性向上に結び付いている。

 

◎対歯科医:ワンストップWebサービス×多彩なリアルサービス×コンサルティング
さまざまな自社メディア、および事業者向けWebサイトを構築してきた同社は、Webサイト構築からSEM施策の立案・実施までをワンストップで提供することが可能であり、これに加え、人材紹介、保険、専門機材、オフィスサプライなど、リアルな領域においても全方位的なサービスを提案している。
さらに、歯科医師の専門領域や課題を理解した上で、経営実態を把握・分析し、インターネットを活用した効果的な送客・集客や、リアルビジネスを組み合わせた人員・設備・事業計画の提案など、歯科医院に対する経営支援コンサルティングを幅広く提供することができる。

 

◎対歯科関連企業:優良歯科医院へのアプローチやマーケットリサーチが可能
前述のように、同社は、会員数トップクラスの歯科医療従事者向けサイト「Dentwave.com」を運営している。
会員の多くは、経営状態が良好でかつ事業拡大にも前向きであり、医療機器メーカー・卸などメーカー・サプライヤーは、こうした優良顧客に対して広告展開や、製品・サービスの提案をすることが可能である。

 

(2)ストックビジネスによる安定した収益構造
同社売上の過半を占めるポータルサイト運営事業における広告出稿は、原則として12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスであり、同社の収益基盤に安定性をもたらしている。
同社では新規顧客開拓を進めて事業基盤の更なる強化を図る考えだ。

 

(3)圧倒的な会員数
歯科医療従事者会員からなるメディカルネットグループ会員数は21年8月末で44,431名と、上場時の5.6倍にまで拡大している。
この会員は、対歯科医院向けビジネスの顧客であると同時に、対歯科関連企業向けビジネスにおいても重要な資産として同社の事業基盤を支えている。
日本全国には約10万人の歯科医師がいると同社では想定しており、今後は8割、8万人の会員化を目指している。

 

(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

【1-6 ROE分析】

 

15/5期

16/5期

17/5期

18/5期

19/5期

20/5期

21/5期

ROE (%)

3.8

14.0

5.6

5.8

6.4

6.0

11.6

 売上高当期純利益率(%)

4.21

14.51

6.47

5.88

5.20

3.04

4.46

 総資産回転率(回)

0.65

0.75

0.74

0.82

1.00

1.36

1.51

 レバレッジ(倍)

1.40

1.29

1.18

1.20

1.24

1.44

1.72

* 22/5期より「収益認識に関する会計基準」等を適用。15/5期以降の売上高当期純利益率及び総資産回転率は、当該会計基準等を遡って適用した後の数値。

 

ROEは21/5期に、日本企業が一般的に目指すべきと言われている8%を大きく上回った。
総資産回転率とレバレッジの改善が顕著に現れた。

2.2022年5月期第1四半期決算概要

(1)業績概要

 

21/5期 1Q

構成比

22/5期 1Q

構成比

前年同期比

売上高

618

100.0%

803

100.0%

+29.8%

売上総利益

241

39.0%

317

39.5%

+31.4%

販管費

193

31.3%

217

27.0%

+12.3%

営業利益

47

7.7%

99

12.4%

+108.6%

経常利益

48

7.8%

98

12.3%

+103.3%

純利益

29

4.8%

147

18.3%

+392.1%

* 単位:百万円、純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。以下同様。
* 22/5期より「収益認識に関する会計基準」等を適用。

 

大幅増収増益
売上高は前年同期比29.8%増の8億3百万円。メディア・プラットフォーム事業、医療機関経営支援事業、医療BtoB事業の主力3事業がいずれも増収となった。
世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響により日本の総広告費は前年を大きく下回ったが、インターネット広告費は社会のデジタル化加速が追い風となり、前年を上回った。また、同社が属するインターネット附随サービス業においても、売上高が概ね前年を上回る水準で推移している。一方、歯科市場においては、厳しい状況が続いている中、新型コロナウイルス感染拡大により、口腔衛生意識の高まりからインプラントや矯正治療等の自費診療への需要の高まりもあり、歯科診療医療費は21年4月~5月に、前年比23.6%増と回復傾向にある。 こうした状況下、基幹事業であるメディア・プラットフォーム事業の効率化を推し進めると共に顧客満足度の向上を図るためスマートフォン広告の拡充、新たなサービス構築に取り組んだ。医療機関経営支援事業では、21年6月よりノーエチ薬品株式会社を連結子会社(孫会社)化、タイ・バンコクの歯科医院経営では、20年10月に2院目となるPacific Dental Care Co., Ltd.を連結子会社(孫会社)化し、海外における事業領域を拡大している。医療BtoB事業においては、20年2月にブランネットワークス株式会社を吸収合併したことによる組織再編の効果が現れ、事業を拡大している。
営業利益は前年同期比108.6%増の99百万円。利益面では、新型コロナウイルス感染予防のため口腔ケアの意識が高まり、主要顧客である自由診療を主とする歯科医院の患者数が増加した。同社サービスへの需要も増加し、収益性の高い広告サービスの販売が好調に推移した。Pacific Dental Care Co., Ltd.とノーエチ薬品株式会社の連結子会社(孫会社)化や、組織体制の強化により、売上原価、販管費ともに増加した。業務効率を重視した戦略により、売上総利益率が前年同期39.0%から39.5%に改善、販管費率は31.3%から27.0%に低下し、営業利益率が前年同期7.7%から12.4%へ大幅に改善した。主力3事業においていずれも損益が改善した。
営業利益の増減要因は以下の通り。

(同社資料より)

 

為替差損の計上などがあり経常利益は前年同期比103.3%増の98百万円、特別利益に負ののれん発生益を82百万円計上したこと等により四半期純利益は同392.1%増の1億47百万円となった。
尚、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を今1Qから適用している。これにより、前1Qの売上高及び売上原価は89百万円減少している。各段階利益への影響はない。

 

(2)セグメント別動向

 

21/5期 1Q

構成比

22/5期 1Q

構成比

前年同期比

メディア・プラットフォーム事業

209

33.8%

244

30.4%

+16.6%

医療機関経営支援事業

397

64.3%

531

66.1%

+33.3%

医療BtoB事業

10

1.7%

27

3.4%

+155.4%

その他

0

0.2%

0

0.1%

-3.3%

調整額

-0

-0

売上合計

618

100.0%

803

100.0%

+29.8%

メディア・プラットフォーム事業

138

66.2%

169

69.4%

+22.3%

医療機関経営支援事業

1

0.4%

17

3.2%

+994.9%

医療BtoB事業

-6

8

31.2%

その他

0

100.0%

0

100.0%

-3.3%

調整額

-87

-96

営業利益合計

47

7.7%

99

12.4%

+108.6%

* 単位:百万円
* 営業利益の構成比は売上高営業利益率。その他は報告セグメントに含まれない事業セグメントで管理業務受託事業。

 

◎メディア・プラットフォーム事業
売上高は前年同期比16.6%増の2億44百万円、営業利益は同22.3%増の1億69百万円。
インターネット広告市場における広告費は拡大基調にあるものの、歯科分野では、歯科診療医療費の伸び悩みや歯科医院の過当競争の進展により厳しい状況が続いたが、新型コロナウイルス感染症拡大により、良好な口腔環境が感染症リスクを減らす効果に対する需要が増大し、自由診療分野において患者数の増加がみられた。こうしたなか、歯科分野においては、Googleのアルゴリズムの変動の影響への対応が進んだことや、自由診療への需要が高まったことで、歯科クリニックの広告出稿意欲が高まり、主力サイトの「矯正歯科ネット」の売上高が前年同期比25.2%増、「インプラントネット」の売上高が同33.7%増となるなど好調に推移している。美容・エステ分野では、20年のエステティックサロン総市場規模は減少推移 となり、施術分野が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け、厳しい状況が続いた。しかし、緊急事態宣言解除後は来店客数の一定の戻りが見られた。こうしたなか、美容整形専門サイト「気になる!美容整形・総合ランキング」、エステ専門サイト「エステ・人気ランキング」等のポータルサイトの収益化を目指した。また、運営する各ポータルサイ トの認知度の向上を図ると共に引き続きスマートフォン広告の拡充を進め、新たなサービスの提供を実現するための体制を整備した。また、21年6月には株式会社レッツエンジョイ東京の運営するLet’s BEAUTY事業を簡易吸収分割により取得し、事業の拡大を目指した。しかし、美容・エステ分野においてはポータルサイトへの広告出稿については厳しい状況が続いている。「気になる!美容整形・総合ランキング」の売上高は前年同期比13.4%減、「エステ・人気ランキング」の売上高は同37.2%減となるなど苦戦した。

 

◎医療機関経営支援事業
売上高は前年同期比33.3%増の5億31百万円、営業利益は同994.9%増の17百万円。
(SEMサービス)
20年もインターネット広告媒体費は好調に推移した。このうち、運用型広告市場規模は、大型プラットフォーマーを中心に高成長となった。運用型広告へのシフトが進んだことによる市場規模の拡大の影響を受け、リスティング広告運用代行サービスのクライアント数が増加したことや、提供するサービスの多様化により売上高が増加した。

(SEOサービス)
複数キーワードへの対策結果を短期的に求めることが難しい仕組みへと変化したことにより、比較的効果の現れやすい検索連動広告をSEO対策に代わる手法として求めるクライアントが増えている。そのようななか、Googleなどの検索エンジンで利用されているアルゴリズム(検索キーワードに対して最適なページを判定するための処理手順)への対応、クライアントのサイトの検索順位を回復させることや新たなサービスを開始したことなどにより売上高は増加した。
(事業者向けホームページ制作・メンテナンスサービス)
ワンストップソリューションサービスの一環である事業者向けホームページ制作・メンテナンスは制作案件の受注が伸び悩み、売上高は減少した。
(歯科医療の開業支援、経営支援サービス)
歯科医療機器・材料の販売及び歯科医院経営支援サービスの営業活動が新型コロナウイルス感染症拡大による影響があった。しかし、経営支援のサービスメニューの拡充やSNSを通じてサービスの認知度が高まったことにより、売上高は増加した。
(歯科医院運営)
在バンコクの日系企業へ積極的に検診実施の営業活動を行った。また、在バンコクの邦人コミュニティーへ積極的に働きかけることにより患者数の増加に努めた。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、売上高は減少した。また、2QよりPacific Dental Care Co., Ltd.を連結子会社(孫会社)化し、タイ・バンコクで2院目の歯科医院を運営している。
(歯科器械材料・医薬品卸売)
歯科医院開業に伴う大型機器の販売があったことや、新型コロナウイルス感染予防の補助金の影響により関連機器の販売が好調に推移し、売上高は増加した。

 

◎医療B to B事業
売上高は前年同期比155.4%増の27百万円、営業利益8百万円(前年同期は6百万円の損失)。
昨年2月にブランネットワークス株式会社を吸収合併し、経営資源の有効活用、柔軟な人材配置による業務の効率化により、業績の拡大を図ってきた効果が現れ、新規顧客の獲得、大口案件を受注するなど好調に推移した。

 

(3)財務状態

◎主要BS

 

21年5月末

21年8月末

 

21年5月末

21年8月末

流動資産

1,505

1,603

流動負債

722

738

現預金

868

954

仕入債務

111

224

売上債権

465

451

負債合計

846

895

固定資産

602

664

純資産

1,260

1,373

有形固定資産

39

93

利益剰余金

1,283

1,396

無形固定資産

204

199

負債純資産合計

2,107

2,268

投資その他の資産

358

371

 

 

 

資産合計

2,107

2,268

 

 

 

* 単位:百万円

 

資産合計は、前期末比1億61百万円増の22億68百万円となった。これは主に、受取手形及び売掛金(売上債権)が14百万円、前渡金が19百万円減少したが、現預金が86百万円、商品が40百万円、有形固定資産が54百万円増加したため。
負債合計は、前期末比48百万円増の8億95百万円となった。これは主に、未払金が44百万円、未払法人税等が72百万円減少したが、支払手形及び買掛金(仕入債務)が1億13百万円、1年以内返済予定の長期借入金が29百万円、長期借入金が32百万円増加したため。
純資産合計は、前期末比1億13百万円増の13億73百万円となった。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益1億47百万円の計上と、剰余金配当34百万円行ったため。
自己資本比率は59.7%(前期末59.0%)となった。

(4)トピックス

◎新型コロナウイルス感染症の影響
長期的な視点で見れば、株主価値への影響はポジティブという考え
20年4月に緊急事態宣言が発出された際には、歯科医院において特に保険診療分野で患者数が減少するなど、先行きが不透明であったため、歯科医院の広告出稿が減少した。しかし、同社への影響は限定的だった。緊急事態宣言が解除されたのちは、特に自由診療分野において患者数が増加するなどコロナショックの影響は見られず、逆に歯科医院の広告意欲が高まってきている。同社では新型コロナウイルス感染症の影響は短期的にはマイナスと見込んでいたが、メディア・プラットフォーム事業の広告サービスの売上は増加、医療機関経営支援、医療BtoB事業においても前年を上回って推移し、21/5期の売上高、営業利益、経常利益は過去最高を達成、22/5期1Qも好調に推移している。
今後のプラスの影響としては良好な口腔環境が感染症リスクを減らす効果に対する需要が増大することがあげられる。口の中を清潔にして細菌の数を減らすことが、誤嚥性肺炎やウイルス性疾患の予防につながる。さらに今後、ウイルスの院内感染を防ぐための各種予防器具の販売などを拡大していくことも長期的なプラスになると考えられる。例として、20年3月に外部企業との協業により、歯科クリニック向け「まるごと抗菌コーティング」の販売を強化することにした。以上から、25年5月までの長期的な視点でみれば、コロナショックの株主価値への影響はポジティブと捉えている。

 

◎ノーエチ薬品(株)の全株式を取得、連結子会社化し、医薬品・医薬部外品の製造・販売事業を開始

 

 

(同社資料より)

 

新たに歯科向けOTC医薬品の開発・製造を可能にし、また、口腔周りから全身の健康を実現するため歯科に限らず一般向けのOTC医薬品の開発・製造を開始し、事業分野を拡大させる考え。また、既存事業とのシナジーを活かし、クライアントである歯科医院に対して、適正価格のプライベートブランド商品を提供、さらにクライアントからの要望を新商品に活かしていく。加えて、一般消費者へOTC医薬品の販売を開始しBtoC分野へ進出する。

 

◎(株)チェンジ・ザ・ワールドと資本・業務提携及び第三者割当増資引受

 

 

(同社資料より)

 

20年10月の所信表明演説において、菅義偉首相は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言するなど、持続可能な社会の実現の必要性が高まっている。そのような状況のなか、㈱チェンジ・ザ・ワールドは、「社会的で革新的な事業に挑戦し、より良いカタチに「世界を変える」というミッションを掲げ、CHANGE for Biz事業(企業の再エネ100%転換支援)、CHANGE事業(スマホで買える太陽光発電所)を展開している。再生可能エネルギーの普及と、クリーンな電力による日本のエネルギー自給率向上を目指し、排出したCO2 を自分で削減できる「セルフカーボンオフセット」の実現に向け、17年7月より、誰でも簡単に1ワット(約250円)から太陽光発電所を分割購入することができるウェブサービス【スマホで買える太陽光発電所CHANGE(チェンジ)】を運営している。歯科医療従事者、歯科事業関係者との強いネットワークを保有している同社は、今回の資本・業務提携によって、チェンジ・ザ・ ワールドと協力し、歯科業界のカーボンニュートラル実現の支援及び応援をするとともに、カーボンニュートラル社会の実現を目指す当事者としてカーボンニュートラルを推進していく。さらに、医療分野やヘルスケア分野においても、この取り組みを推進し、当該活動を通じて歯科医療業界、医療業界及びヘルスケア業界の意識を“変えて”、地球全体の”笑顔を増やす”ことにより社会貢献することを目的としている。

 

◎歯科医院向けハイブリッド型事務代行サービスの提供を開始

 

(同社資料より)

 

歯科専門に完全オンラインで診療外の事務代行サービスを提供する株式会社SABUと協業し、21年2月より歯科医院向けハイブリッド型事務代行サービスの提供を開始する。

 

・ハイブリッド型事務代行サービス
歯科医師の80%以上が開業医である歯科医療機関の経営における課題は、歯科医師である院長自身が経営者であることが多く、診療をしながら多くのバックオフィス業務や人事業務の他、経営全般に関する業務を行なっていること。また専門的な知識がない場合が多く、かつ診療時間外に行う必要があるため、歯科医師にとって大きな負担となっていた。
今般、同社とSABUが協業することで、オフラインだけでは解決できない課題及び業務をSABUのオンラインサービスと組み合わせ、より効率的かつコロナ禍でも対応可能な、ハイブリッド型事務代行サービスを提供し、全国の歯科医院経営における大きな課題の解決に寄与する。
この協業により開業後の歯科医院経営の運営をサポート、歯科医院のプロモーションや集患までをオンライン、オフラインで幅広くカバーすることで、ワンストップで歯科医院の経営支援を可能にする。

 

◎歯科医院の資金需要をサポート
オフィス・店舗等商業用不動産の賃貸時に預ける「敷金」を事業資金として変換し、ベンチャー・スタートアップ等の“企業出世”をサポートする、株式会社日本商業不動産保証と、東証マザーズ上場のインパクトホールディングスのグループ会社であり、不動産仲介に強みを持つインパクト・リアルティ株式会社と業務提携し、保証を通じて敷金を0円にするサービスにより、新規クリニック開設時に係るイニシャルコストを削減することで開業医を支援するサービスを開始した。

 

・歯科医院のイニシャルコストを削減しクリニックの新規開設をサポート

開業コストを抑えたい開業医のニーズを受け、歯科医療業界と強いつながりを持つ同社は、不動産仲介に強みを持つインパクト・リアルティ、日本商業不動産保証と提携し、日本商業不動産保証の保証による敷金減額のサービスを活用することで、イニシャルコストを抑えてスムーズに開業できる支援策を提供し、開業医をサポートしていく。また、新規開業だけでなく開業済みのクリニック向けに敷金減額サービスを提供することで、すでに預け入れている敷金の返還も可能となる。運営資金安定化に寄与し、クリニックの感染症対策などに活用する事で歯科医療業界をサポートしていく。

 

(同社資料より)

◎タイにおける歯科医院経営事業拡大
17年9月に連結子会社のMedical Net Thailand Co., Ltd.においてタイ・バンコクで開始した歯科医院経営。タイでの歯科医院経営が軌道に乗り、事業開始から3年経った20年10月に、Pacific Dental Care Co., Ltd.を連結子会社 (孫会社)化し、タイでの事業を拡大。今後も海外諸国において日本の先進歯科医療の普及進める。事業化を行い新たなマーケットの拡大を図るとともに、歯科医療環境の健全な発展を目指す。
29歳の若手社員がタイで社長として活躍。事業を軌道に乗せ、さらなる拡大を目指す。

 

(同社資料より)

 

◎歯科医療従事者のための総合情報サイト『Dentwave.com 』のサイトをフルリニューアル
歯科医療従事者のための総合情報サイト『Dentwave.com』( https://www.dentwave.com/ )を全面リニューアルし、20年11月18日にリリースした。
21年8末現在で34,312名の歯科医療従事者の会員数を有し、業界内の各プレイヤーをつなぐ業界最大級のプラットフォームとして、歯科医療従事者への最新情報の提供や歯科関連企業のマーケティング支援等を通じて、各プレイヤーの個別課題の解決を図っている。Dentwave.comを通じた各プレイヤーの個別課題解決の先に、歯科業界の更なるプレゼンス向上を見据え、同社のミッションである「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。」の実現を目指す。
サイトリニューアルのポイント
①ニュース・記事の検索機能の充実
②アンケート機能の拡充
③会員ランク制度の導入(20年12月1日開始)

 

(『Dentwave.com』トップページの一部)

 

◎Letʼs Enjoy Tokyo【Letʼs Beauty】事業を 吸収分割により取得

 

(同社資料より)

 

Letʻs Enjoy Tokyoは、メディア運営を通じて人々におでかけの楽しさを提案し、豊かなくらしづくりに貢献できるサービス提供を追求している。その中で「Letʼs Beauty」は美容・癒し・健康をテーマに“おすすめのサロン”を紹介するサイト。Letʼs Enjoy Tokyoが運営するLetʼs Beautyのもつ顧客を譲受し、同社が運営する「エステ・人気ランキング」と統合し、今後Letʼs Enjoy Tokyoと連携することにより、エステ・人気ランキングのサイト価値向上と事業拡大を目指す。

 

◎ヘルスケアのプラットフォーム『for health care』をリリース
ヘルスケアの総合サイト「for health care(フォーヘルスケア)」https://forhealthcare.jp/)を刷新し20年11月にリリースした。
これまでは歯の治療のメディアが中心だったが、今後は口腔周りから健康な社会を実現するための予防医療の発展・強化に繋げていく。さらには、患者自らのPHR(Personal Health Record*)などのデータを活用し、隠れた不調「未病」の発見に寄与できるような「健康・医療・歯科・美容」プラットフォームを目指し、すべての人の健康寿命増進に貢献する考え。
*Personal Health Recordとは、ひとりの患者に関する医療や介護、健康といった分野のデータを統合的に収集し、一元的に保存することを指す。

 

『for health care(フォーヘルスケア)』の主要コンテンツ
・「お口の悩み」・・・虫歯、口内炎、知覚過敏、歯肉炎、ドライマウス、口臭など、お口のお悩みを抱えている方へ向けて解決方法を提供します
・「お口の健康」・・・歯磨き、デンタルグッズ、歯周病、糖尿病、心筋梗塞、悪性腫瘍など、オーラルケアから病気の予防、健康促進に役立つ情報を発信します
・「お口の美容」・・・歯並び、ホワイトニング、口内マッサージ、オーラルスパ、エステ、スキンケアなど、オーラルケアから美容、エステの情報をお届けします

 

(『for health care』トップページの一部)

 

◎業界初の口腔内カメラを活用した歯科向けデンタルオンライン診療サービス提供開始

 

 

(同社資料より)

 

スマートフォンを活用し、企業のO2O(Online to Offline)/(Online Merges with Offline)支援している株式会社アイリッジ(本社:東京都港区、代表取締役社長:小田 健太郎)と共同開発した、歯科向けの口腔内カメラを活用した業界初のオンライン診察サービス「デンタルオンライン」の提供を21年2月に開始した。

 

・口腔内カメラを活用したオンライン診療サービス

事前に歯科医院から患者に提供される歯科用口腔内カメラとスマートフォンに よるビデオチャットを活用し、患者の口腔内状況をリアルタイムに部位を確認しながら診察を行える、業界初のサービス。医師とのオンライン診療中に、患者自ら口腔内カメラを操作し患部の状態を動画で送信することで、問診だけの診察に比べ適切な診断が期待できる。患者は受診前に自分に合った歯科医院が選びやすくなり、通院負担も少なくなることから、居住地域にとらわれない良い科医院選びが可能になる。「デンタルオンライン」を通じて、DXや先進的な治療に積極的に取り組む歯科医院と、良い歯科医院を選びたい患者のマッチングを実現し、歯科医院・患者双方の利便性向上に努めていく。

 

(同社資料より)

 

◎岡山大学との共同研究により、「歯科医院での新しい口臭センサーシステム」特許取得

 

(同社資料より)

 

・口臭センサーシステム

この口臭センサーシステムは、「検査から診断・治療」までトータルでサポートする仕組みを作っている。1歯ごとにセンサー先端部を近づけ、臭気レベルを測定。現在岡山大学では、口腔衛生状態、歯周病のレベルを検知、診断基準に基づきグラフ化することで将来の疾患予測も視野に入れた研究開発を進めている。また、生活習慣の改善するきっかけを作る「未病検査」と「疾患の早期発見」を組み合わせ資本提携している株式会社ミルテルとの共同研究を通じた血液検査等との融合も想定し、新たな病気の発見と、口臭を発生しやすい個人への個別医療アプローチの実現も視野に入れている。この口臭センサーシステムについては、20年6月に開催された第11回日本口臭学会において、「口腔内局所臭気回収方法の最適化に関する研究」として発表されている。

 

(同社資料より)

 

◎株式会社ミルテルとの連携

株式会社ミルテルは、染色体の最末端部分のテロメア1本鎖DNA配列(Gテール)の長さを測定する世界オンリーワンの技術を用いた未病検知検査「テロメアテスト」を事業として行う広島大学発のベンチャー企業。

(ミルテルHPより)

 

15年9月30日

業務資本提携契約を締結

ミルテルが発行する無担保転換社債型新株予約権社債を引受け

16年7月12日

同社、株式会社東京大学エッジキャピタル、株式会社広島ベンチャーキャピタル、株式会社ウィルグループ、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズを割当先とする第三者割当増資を実施

15年に引受けた社債を株式に転換

18年6月8日

資本・業務提携及び第三者割当増資の引受けを実施

本提携により、メディカルネットとミルテルは、口腔領域における唾液や口腔粘膜などの臨床検体等を利用した未病・疾患早期発見を目的とした検査等の歯科領域における事業を企画・開発し、メディカルネットが独占的に販売

20年4月24日

ミルテルはふるさと連携応援ファンド投資事業有限責任組合、帝人株式会社、株式会社広島ベンチャーキャピタルHigh-Value C 1st投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当増資を実施し、4.6億円を調達。

 

3.2022年5月期業績見通し

(1)通期業績予想

 

21/5期

構成比

22/5期(予)

構成比

前期比

売上高

2,904

100.0%

3,547

100.0%

+22.1%

営業利益

331

11.4%

360

10.1%

+8.8%

経常利益

336

11.6%

359

10.1%

+7.0%

当期純利益

129

4.4%

284

8.0%

+120.1%

* 単位:百万円 * 予想は会社側発表。

 

22/5期は22.1%増収、8.8%営業増益を見込む
通期予想は、売上高が前期比22.1%増の35億47百万円、営業利益は同8.8%増の3億60百万円を見込む。
売上高が期初予想40億円から修正されている。医療機関経営支援事業において、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」等の適用を検討した結果、媒体社が提供するデジタルメディアに対する広告配信・広 告出稿に関して、従来は顧客から受領する対価の総額を収益として認識していたが、顧客への財又はサービスの提供における同社グループの役割が代理人に該当する取引については、顧客から受領する対価から関連する原価を控除した純額、あるいは手数料の金額を収益として認識する方法に変更することとなった。このため、売上高が前回発表値を下回る見込み。各利益に修正はなく、実質は修正なし。尚、売上高は前期実績についても同じ基準を適用し33億30百万円から29億4百万円へ修正されており、増収率は前回20.1%から22.1%に修正されている。
新型コロナウイルス感染拡大も好影響となっている。医薬品販売事業を開始するなど新規事業を拡大させ、増収増益を見込む。また、引き続き成長のために積極的に投資を行う。人的投資では、新卒採用は12名(前年比1名増)を予定、既存事業で24名の増員を計画し単体における22/5期末人員は前期末122名から146名への増加を見込んでいる。事業投資では新規事業のほか、医療BtoB事業のリヴァイヴを継続、歯科事業の海外展開や歯科ディーラー事業を拡大、医薬品医薬部外品販売事業も開始する。大学との共同研究も進める。
上期予想は以下の通り

 

上期業績予想

 

21/5期 上期

構成比

22/5期 上期(予)

構成比

前年道期比

売上高

1,399

100.0%

1,712

100.0%

+22.3%

営業利益

180

12.9%

158

9.2%

-12.3%

経常利益

181

13.0%

158

9.2%

-13.4%

当期純利益

65

4.6%

152

8.9%

+133.3%

*単位:百万円 *予想は会社側発表。

 

配当は修正なく、2.50円/株の期末配当を実施予定。

 

(2)事業別取り組み

事業別取り組み

事業

取り組み

メディア・プラットフォーム

歯科・美容

●人材強化

●サービスの改善・拡充、セールスとのサービス販売強化

●専門コンテンツ強化

医療機関経営支援事業

●新規チャネル開拓と収益モデル構築

●歯科医院の開業・経営を多チャンネルで支援

●AI搭載およびユーザーコミュニケーション型web開発・販売

●セミナー、大学及びスタディグループの開業支援及び経営支援案件の掘り起こし

●歯科ディーラー事業を拡大

●医薬品・医薬部外品の製造・販売を開始

医療B to B

●会員数増加に向けた施策強化

●新サービスの開発、販売強化

ビジネスディベロップメント・経営企画

●新規事業

●広島大学、岡山大学との共同研究

 

(3)計画の前提

各事業で増収を見込む。

事業

売上状況

メディア・プラットフォーム

歯科分野、美容分野ともに、前年に続き受注が好調に推移する見込み。

医療機関経営支援事業

体制を強化し新事業、新商材の取扱いに加え、既存事業も収益力を強化、歯科医院運営事業も軌道に乗り収益拡大。医薬品販売事業を開始。歯科ディーラー事業とのシナジーを生み、両事業の拡大を見込む。

医療B to B

Dentwave.comのサービス拡充及び新サービスを投入し売上増を図る。

 

費用についても仕入原価、人件費とも増加する見通し。

費用

見通し

売上原価(仕入高)

 

歯科ディーラー事業の売上増加及び医薬品販売事業開始に伴い商品仕入高が増加。既存サイトの拡充、新サイト開発等サービスの多様化を図り、業務拡大により労務費が増加。

販管費(人件費)

営業力強化のための人件費、新サービス投入に係るコストが増加する見込み。

 

4.今後の注目点

一見、売上高が下方修正だが、実質は修正なし。新型コロナウイルス感染拡大の影響もフォローとし、1Qは大幅な増収増益を確保しており、好スタートを切ったといえる。進捗率についても経常利益で通期予想に対して27.5%、上期予想に対しては62.4%(前年同期実績ベースでそれぞれ30.6%、46.6%)と悪くはない。
22/5期予想は2桁増収ながら1桁の営業増益にとどまっている。同社が目指す売上は25/5期に100億円。達成に向けた先行投資が負担となる。ただし、21/5期も期初予想営業利益は1億10百万円~2億円のレンジ予想だったが大幅に上回っており、今期も利益の上乗せに期待したい。新型コロナウイルス感染拡大でネガティブな影響を受けているタイでの歯科医院展開など改善余地も残されている。
高成長企業にもかかわらずPERは20倍程度にとどまっており、引き続き株価の見直し余地は大きいと考える。

(決算短信よりインベストメントブリッジ作成)

 

株主優待変更(オリジナルQUOカード)

これまで

100株以上保有株主 500円

600株以上かつ1年以上保有 1,000円

21年5月変更後

100株以上かつ1年以上保有 1,000円

600株以上かつ1年以上保有 1,500円

1,000株以上かつ1年以上3年未満保有 1,500円

1,000株以上かつ3年以上保有 2,000円

 

<参考1:今後の成長戦略 ~予防医療・未病医療へ注力~>

今後の更なる成長を目指す同社では「予防医療・未病医療」が重要なキーワードであると考えている。
同社がオンリーワン企業としてポジショニングを構築している歯科業界において大きな環境変化が起きている。
日本では歯科治療というとこれまでは虫歯治療が中心であった。
一方欧米では虫歯治療だけではなく、歯周病が動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、アルツハイマーなど様々な疾病の原因の一つであり、歯の健康を保つことがこれらの疾病予防につながるという考え方が中心となっている。
このような、全身の健康・長寿につながる「予防歯科・未病歯科」という考え方が今後日本でも重視されるといわれている。
既存のストックビジネスに歯科医院運営やDENTAL TRIBUNEの活用などの「海外事業」と予防医療・未病医療など「新規事業」を積み上げるとともに、成長を加速させるブランディング創りにも取り組み、2025年5月期売上高100億円を目指している。
~2025年5月期売上高100億円に向けて~

(同社資料より)

(同社資料より)

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2021年8月31日

 

<基本的な考え方>
当社は、株主の利益の最大化を図りつつ、株主・クライアント・エンドユーザー・従業員・地域の方々等すべてのステークホルダーに対して、経営の健全性・効率性・透明性を通じて企業社会の一員としての社会的責任を果たしていくことをコーポレート・ガバナンスの基本方針としております。

 

その実現のために、現状に満足することなく経営環境の変化に応じてコーポレート・ガバナンス体制を強化し、企業価値の最大化を図ってまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。」と記述している。

 

 

株式会社インベストメントブリッジ
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