株式会社ベルシステム24ホールディングス(6183) 増収増益、配当も6円引き上げ

2021/11/04

 

野田 俊介 社長

株式会社ベルシステム24ホールディングス(6183)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表者

野田 俊介

所在地

東京都港区虎ノ門四丁目1番1号

決算月

2月

HP

https://www.bell24.co.jp/ja/index.html

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,546円

73,679,947株

113,909百万円

14.2%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

48.00円

3.1%

105.90円

14.6倍

722.69円

2.1倍

*株価は10/25終値。発行済株式数、DPS、EPSは22年2月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

連結業績推移(IFRS)

決算期

売上収益

営業利益

税前利益

当期利益

EPS

DPS

2018年2月(実)

115,618

9,319

8,502

5,604

76.39

36.00

2019年2月(実)

121,113

8,580

7,944

5,397

73.37

36.00

2020年2月(実)

126,663

11,105

10,534

7,006

95.29

42.00

2021年2月(実)

135,735

11,799

11,305

7,252

98.64

42.00

2022年2月(予)

139,000

12,200

11,869

7,800

105.90

48.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益。以下同様。

 

 

(株)ベルシステム24ホールディングスの2022年2月期第2四半期決算概要などをご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年2月期第2四半期決算概要
3.2022年2月期業績予想
4.中期経営計画2022(21/2期~23/2期)の進捗
5.今後の注目点
<参考1:中期経営計画2022(21/2期~23/2期)>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 22/2期第2四半期の売上収益は前年同期比9.3%増の731億10百万円。コロナウイルス対策の給付金事業に関連したスポット業務が大きく伸びた。継続業務は前年同水準だが、下期に向けた新規案件は着実に進行している。営業利益は同8.7%増の72億円。CRM事業の先行投資(DX投資、本社移転費用など)及び販管費増を増収効果で吸収した。四半当期利益は同15.7%増の49億18百万円。持分法による投資損益が加わり2ケタの増益。

     

  • 業績予想に変更は無い。22/2期の売上収益は前期比2.4%増の1,390億円の予想。下期に向けてスポット業務は縮小する見通しだがBCP、非対面などアウトソーシング需要は堅調で、継続業務が伸長する。前上期はコロナ関連のスポット業務にリソースが割かれたが、今期から新規開拓のための部署を新設したことなどから受注が進んでいる。営業利益は同3.4%の122億円の予想。新規取り組み強化等で継続業務は安定拡大。データ分析、セキュリティ強化、音声認識技術の導入などDX推進により戦略・先行投資が増加するが前期減損損失の反動により営業利益は増益を予想している。配当は前期比6.00円/株増配の48.00円/株を予定。予想配当性向は45.3%。

     

  • 上期進捗率は売上収益52.6%、営業利益59.0%と、過去数年と比較しても高水準である。コロナ関連スポット業務の拡大が大きく寄与している。緊急事態宣言が解除され、日々発表される新規感染者数も大きく減少はしているが、3回目の予防接種も計画が進むなど、コロナ関連のスポット業務は引き続き堅調に発生することとなろう。下期以降、売上・利益をどの程度積上げて行くかを見ていきたい。また、中期経営計画2022の進捗については、3つの重点施策の進捗がどのように成果に結びついていくのかを注目したい。

     

1.会社概要

持株会社である同社と子会社6社でグループを形成。コンタクトセンターアウトソーシングを中心とするCRM事業、テクノロジーサービス及びコンサルティングサービスを主たる事業とする。子会社は、コンタクトセンター運営及びその付帯業務の株式会社ベルシステム24、ITサービスデスクやBPO(Business Process Outsourcing)等のCTCファーストコンタクト株式会社(出資比率51%)、コンテンツ販売の株式会社ポッケ、障がい者の雇用促進を目的とする特例子会社の株式会社ベル・ソレイユ、ベトナムでコンタクトセンター事業を展開するBELLSYSTEM24-HOA SAO(出資比率49%)、同じくタイのTrue Touch(同49.9%)等。
伊藤忠商事(株)が同社議決権の40.79%を有し、同社を持分法適用関連会社としている(同社は出向者を9名受け入れている)。生活消費関連分野を中心とする非資源分野に注力している伊藤忠商事(株)グループにおいて、コールセンター事業を手掛ける同社は「企業と消費者の接点」としての役割を担っている。2014年10月の資本提携以降、様々な連携を進めており、伊藤忠商事グループと取引は順調に拡大している(伊藤忠商事グループとの取引は、他のクライアント企業と同様の取引条件で行っており、今後も同様の方針)。

 

【企業理念】

我々の使命
イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える

 

我々の行動理念
・ 我々は一人ひとりが常に新たな挑戦を続け、楽しく、安心して働ける、人に優しい職場(コミュニティー)を作ります。
・ 我々は企業としての社会的責任を果たし、持続的で健全な成長を目指します。
・ 我々がつくり出した価値を社会に還元し、美しい未来づくりに貢献します。

 

1-1 事業内容

事業は、報告セグメントであるCRM事業とその他に分かれ、CRM事業が連結売上高の90%以上を占めている。その他には、(株)ポッケが手掛けるコンテンツ販売等が含まれている。

 

セグメント別売上

 

21/2期

CRM事業

134,559

その他

1,176

連結売上収益

135,735

*単位:百万円

 

CRM事業
主に(株)ベルシステム24及びCTCファーストコンタクト(株)の事業領域である。電話を主なコミュニケーションチャネルとする従来型のインバウンド・アウトバウンドコールの業務に加え、Webやソーシャルメディア等のIT技術を駆使した様々なサービスを、クライアント企業へ提供している。売上の90数%を継続業務が占めるストック型のビジネスで、キャンペーン対応や選挙関連等のスポット業務が残り数%。また、ソフトバンク向け(BBコール業務)の売上が全体の10数%(継続業務)を占めている。業務は、次の4業務に分ける事ができる。

 

①クライアント企業のカスタマーサポート業務(主にクライアント企業の商品・サービスに関する質問に対応する業務)
②クライアント企業のセールスサポート業務(主にクライアント企業の商品・サービスの販促をサポートする業務)
③クライアント企業のテクニカルサポート業務(主にクライアント企業のIT製品の操作方法等に関する質問に対応する業務)
④BPO業務(主にクライアント企業のWeb制作、データ入力作業等を請け負う業務)

 

業種別売上

 

21/2期

構成比

放送・出版・情報サービス

342.4

27.6%

運輸・通信

307.0

24.7%

流通(小売・卸売)

199.0

16.0%

金融

213.5

17.2%

製造

114.7

9.2%

電気・ガス・水道等

31.2

2.5%

その他

33.0

2.7%

合計

1,240.8

100.0%

*単位:億円。CRM事業の売上収益上位300社が対象

 

その他
(株)ポッケや(株)ベル・ソレイユの収益が計上されている。(株)ポッケは、モバイル・PC等を通じた一般消費者向けコンテンツ販売(月額課金)や事業者向けに気象予報関連コンテンツの販売を行っている。また、(株)ベル・ソレイユは、障がい者の雇用促進を目的とする特例子会社として、同社グループの総務業務及び事務代行の受託を主な業務としている。

 

2.2022年2月期第2四半期決算概要

2-1 連結業績

 

21/2期2Q

構成比

22/2期2Q

構成比

前年同期比

売上収益

66,871

100.0%

73,110

100.0%

+9.3%

売上総利益

13,809

20.7%

15,367

21.0%

+11.3%

販管費

7,267

10.9%

8,311

11.4%

+14.4%

営業利益

6,623

9.9%

7,200

9.8%

+8.7%

税引前利益

6,416

9.6%

7,346

10.0%

+14.5%

四半期利益

4,250

6.4%

4,918

6.7%

+15.7%

*単位:百万円。

 

増収増益
売上収益は前年同期比9.3%増の731億10百万円。コロナウイルス対策の給付金事業に関連したスポット業務が大きく伸びた。継続業務は前年同水準だが、下期に向けた新規案件は着実に進行している。
営業利益は同8.7%増の72億円。CRM事業の先行投資(DX投資、本社移転費用など)及び販管費増を増収効果で吸収した。
四半期利益は同15.7%増の49億18百万円。持分法による投資損益が加わり2ケタの増益。

 

2-2 セグメント別売上収益・営業利益

 

21/2期2Q

構成比

22/2期2Q

構成比

前年同期比

売上収益

66,871

100.0%

73,110

100.0%

+9.3%

 CRM事業

66,269

99.1%

72,599

99.3%

+9.6%

  継続業務

59,010

88.2%

59,508

81.4%

+0.8%

  スポット業務

7,259

10.9%

13,091

17.9%

+80.3%

 その他の事業

602

0.9%

511

0.7%

-15.0%

営業利益

6,623

9.9%

7,200

9.8%

+8.7%

 CRM事業

6,493

9.8%

6,987

9.6%

+7.6%

 その他の事業

130

21.6%

213

41.7%

+63.8%

*単位:百万円。営業利益の構成比は営業利益率。
継続業務、スポット業務の構成比はCRM事業の売上収益に対する構成比

 

(1)CRM事業
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響があったものの、社会インフラとしてのスポット需要及び前期から業務開始した既存継続案件の売上が拡大した他、伊藤忠商事(株)及び凸版印刷(株)との協業強化によるシナジー案件も堅調に推移した。利益面では、増収による利益の伸長に加え、収益改善活動の効果も寄与し増益となった。

 

伊藤忠シナジー

 

18/2期2Q

19/2期2Q

20/2期2Q

21/2期2Q

22/2期2Q

売上収益

45.9

54.2

62.5

72.8

77.5

*単位:億円。スポット業務を含む。

 

引き続き堅調に推移し、前期比6.5%増加。

 

業種別動向

 

22/2期2Q

前期比

サービス

185.1

+15.6%

運輸・通信

169.6

+10.7%

卸売・小売

97.2

-3.5%

金融・保険

103.4

-0.1%

製造

78.6

+14.2%

電気・ガス・水道等

17.5

+14.4%

その他

14.4

+17.1%

合計

665.8

+8.5%

*単位:億円。CRM事業の売上収益上位300社が対象

 

「サービス業」「運輸・通信業」中心に伸長。

 

(2)その他事業
コンテンツ販売収入が減少した一方、費用の精査などによる収益性改善が進んだ。

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

◎財政状態

 

21年2月

21年8月

増減

 

21年2月

21年8月

増減

流動資産

26,381

29,328

+2,947

流動負債

48,952

38,170

-10,782

 現預金

5,518

7,770

+2,252

 営業債務

6,141

5,475

-666

 営業債権

19,644

20,348

+704

 借入金

20,235

9,736

-10,499

非流動資産

146,507

145,994

-513

非流動負債

70,426

80,049

+9,623

 有形固定資産

37,284

36,652

-632

 長期借入金

42,907

53,444

+10,537

 のれん

95,396

95,396

0

負債合計

119,378

118,219

-1,159

資産合計

172,888

175,322

+2,434

資本合計

53,510

57,103

+3,593

 

 

 

 

 自己資本(※)

53,113

56,690

+3,577

 

 

 

 

借入金合計

63,142

63,180

+38

*単位:百万円。自己資本は親会社の所有者に帰属する持分合計。

 

現預金の増加で資産合計は前期末比24億34百万円増加。負債合計は同11億59百万円減少。利益剰余金の増加などで資本合計は同35億93百万円増加。自己資本比率は前期末から1.6ポイント上昇し、32.3%。

 

◎キャッシュ・フロー

 

21/2期2Q

22/2期2Q

増減

営業CF

6,664

8,369

+1,705

投資CF

-1,742

-1,502

+240

フリーCF

4,922

6,867

+1,945

財務CF

-5,139

-4,620

+519

現金・現金同等物期末残高

7,544

7,770

+226

* 単位:百万円

 

税引前四半期利益の増加などで営業CF、フリーCFのプラス幅は拡大。
キャッシュポジションは上昇した。

 

2-4 主なトピックス

①企業のコンタクトセンターDX支援の強化を目的に、自動応答ソリューションのサービスメニュー体系を刷新
コンタクトセンターDX支援の強化を目的に、従来より提供しているボイスボットとチャットボットを活用した自動応答ソリューションのサービスメニュー体系を刷新した。
「ekubot™」シリーズの新たなラインナップとして、約50~数百席規模以上の中規模・大規模のコンタクトセンター業務を想定したボイスボット「ekubot Voice PRO」の提供を開始した。

 

②スーパーバイザー支援に特化したベトナムでのオフショア業務を開始
ベトナムのグループ会社「Bellsystem24-HoaSao Joint Stock Company」との連携により、コンタクトセンター運営におけるスーパーバイザー支援に特化したベトナムでのオフショア業務を開始した。
国内リソースを、業務改善やオペレーターの育成といったコア業務へ注力できる体制を構築し、顧客ロイヤリティの高いコンタクトセンター運営に向け、オペレーターのスキルアップや、応対品質の向上を加速させる。

 

3.2022年2月期業績予想

3-1 連結業績予想

 

21/2期

構成比

22/2期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上収益

135,735

100.0%

139,000

100.0%

+2.4%

52.6%

営業利益

11,799

8.7%

12,200

8.8%

+3.4%

59.0%

税引前利益

11,305

8.3%

11,869

8.5%

+5.0%

61.9%

当期利益

7,252

5.3%

7,800

5.6%

+7.6%

63.1%

*単位:百万円。

 

業績予想に変更無し。増収増益の予想
業績予想に変更は無い。売上収益は前期比2.4%増の1,390億円の予想。下期に向けてスポット業務は縮小する見通しだが、BCP、非対面などアウトソーシング需要は堅調で、継続業務が伸長する。前上期はコロナ関連のスポット業務にリソースが割かれたが、今期から新規開拓のための部署を新設したことなどから顧客開拓が進んでいる。
営業利益は同3.4%の122億円の予想。新規取り組み強化等で継続業務は安定拡大。データ分析、セキュリティ強化、音声認識技術の導入などDX推進により戦略・先行投資が増加するが前期減損損失の反動により営業利益は増益を予想している。
配当は前期比6.00円/株増配の48.00円/株を予定。予想配当性向は45.3%。

 

◎セグメント別売上

 

21/2期

22/2期(予)

前期比

進捗率

売上収益

1357.4

1390.0

+32.6

52.6%

 CRM事業

1345.6

1377.0

+31.4

52.7%

  継続業務

1171.1

1247.0

+75.9

47.7%

  スポット業務

174.5

130.0

-44.5

100.7%

 その他の事業

11.8

13.0

+1.2

39.3%

*単位:億円。同社資料よりインベストメントブリッジが作成。

 

4.中期経営計画2022(21/2期~23/2期)の進捗

(同社資料より)
中計の柱となる重点施策として、「社員3万人の戦力最大化(人材力の強化)」「音声データ活用によるDX推進」「信頼と共創のパートナー成長(パートナーとの連携)」の3つを挙げている。

 

それぞれの進捗事例などは以下の通り。

 

4-1 社員3万人の戦力最大化

コンタクトセンターの席数は、2021年2月末1,300席が8月末には約2,000席まで増加。今期末には2,500席超を計画している。来期末(23年2月末)には4,000席プラスαまで引き上げる。
人材の安定確保に加え、コロナ禍を受け、BCPの観点からコンタクトセンターをどんな状況においてもクローズさせないレジリエンスが重要と考えている。

 

具体的な施策は、自社コールセンター基盤である「Bell@Home」を活用した在宅コンタクトセンター強化、対面とならないオフィスレイアウト・在宅手当付与などによるNew Normal 対応、完全在宅化などである。

 

4-2 音声データ活用によるDX推進

「音声データ活用によるDX推進」を実現するためにクラウド音声基盤「BellCloud+」と音声認識ソリューション基盤「AmiVoice」を活用する。2021年8月末1,100席、2月末3,000席超を、来期末(23年2月末)には7,000席まで拡大する計画だ。
音声認識をOS化することで全ての音声をデータにして活用する。

 

クライアント企業向けサービスにおいては、チャットbotの拡大、消費者の声の恒常的な分析、FAQの改善といった付加価値を提供する。また、リアルタイムFAQのPopUp機能、品質チェック工数軽減、退職検知、ストレス検知によりセンター現場の業務も支援する。

 

この取り組みは21年4月にプレスリリースを行った。今後もより積極的にプレスリリースなどを通じて音声データ活用に取り組みをアピールし、案件増大につなげていく。

 

実例①:自動応答ソリューション「ekubot」
音声認識、音声合成、AIなどの新技術を活用し、生活者からの問い合わせに自動応答するプロダクト。同社がこれまでに培ってきた対話のノウハウや最先端技術の中からコンタクトセンターの自動化に最適な要素をクラウドサービスとして製品化した。
現在38社の顧客企業に提供している。
生命保険会社に導入した事例では、月間約9,000件の生活者からの問い合わせに対応している。

 

実例②:クライアント企業のデータ活用支援
21年4月に協業した株式会社ブレインパッド連携し、クライアント企業のデータ活用支援を開始した。
国内上場企業の80 %以上が部分的なデータ 活用に留まる一方で、15 %が年間 1 億円以上の投資を予定している(過半数が 1,000万円以上)。このように、データ活用の意欲はあるものの、実際には有効に活用できておらず、「縦割りのデータ基盤」「人材不足」「非構造化データの整備」「施策の継続的運用」といった課題の克服が必要である。

 

そこで、データスペシャリスト運用力・データ基盤エンジニアリング・ツール提供実績に強みを持つブレインパッドが「縦割りのデータ基盤」「人材不足」を、オペレーション力・多様な人材に強みを持つベルシステム24が「非構造化データの整備」「施策の継続的運用」について支援することで、顧客企業の出た活用を全方向から支援する。

 

4-3 信頼と共創のパートナー成長(パートナーとの連携)

パートナー企業との連係を更に進化させる。
パートナー企業が持つクライアント基盤やビジネス基盤、営業力や新技術に関する情報、海外ネットワーク等を最大限活用していく。

 

(1)アライアンスパートナー
①凸版印刷株式会社
2020年5月に凸版印刷株式会社と合弁で設立した、企業のDX推進を支援するBPO領域に特化した「株式会社TBネクストコミュニケーションズ」とのビジネスを拡大する。
凸版印刷の持つ高度なセキュリティインフラによる他社との差別化や、幅広いネットワークよるビジネス機会の拡大、業務設計力の活用に加え、ベルシステム24の30余年にわたるコンタクトセンター運営により培った知見が融合することで、これらの社会問題へ迅速に対応し、次世代BPOサービスの展開を実現する。

 

②株式会社ブレインパッド
前述の通り。伊藤忠商事とのシナジー発現の一例である。

 

③新アライアンス
同じく伊藤忠商事とのシナジーにより高度BPO領域での事業を創出する。

 

④True Touch(タイ)
ベルシステム24の運用改善メソッド活用によるオペレーション業務の改善・効率化を目的に、2021年9月1日、タイ通信サービス大手の「True Corporation」のコンタクトセンター勤務者3,000名を、ベルシステム24の出資先であるタイコンタクトセン
ター大手「True Touch」へ移管した。コミュニケーターは計5,000名となり、タイにおける事業拡大を加速させる。

 

(2)チャネルパートナー
音声解析 AI 電話 の 「 RevComm 社」をはじめとするチャネルパートナーとの①パッケージソリューションの協働、②ウェビナーの共同 開催による新クライアントの獲得を進めている。

 

(3)戦略クライアント
クライアント連携による新たなコンタクトセンター像を創出する。

 

5.今後の注目点

上期進捗率は売上収益52.6%、営業利益59.0%と、過去数年と比較しても高水準である。
コロナ関連スポット業務の拡大が大きく寄与している。
緊急事態宣言が解除され、日々発表される新規感染者数も大きく減少はしているが、3回目の予防接種も計画が進むなど、コロナ関連のスポット業務は引き続き堅調に発生することとなろう。
下期以降、売上・利益をどの程度積上げて行くかを見ていきたい。
また、中期経営計画2022の進捗については、3つの重点施策の進捗がどのように成果に結びついていくのかを注目したい。

 

 

 

<参考1:中期経営計画2022(21/2期~23/2期)>

予測される環境変化
今回のコロナ禍は日々の生活に大きな変化を与えており、それに伴い市場も大きく変化していく。具体的には、非対面、オンライン化が進むことで生活の行動はデータとして蓄積され、企業はこのデータをいかに活用するか、それが企業の生死を分ける時代になる。そして、こうした時代に同社に求められる課題は、BCPを念頭に置いた新しいコンタクトセンターの実現や生活者のデータの活用であり、単なるアウトソーサーでないクライアントと共に新しいビジネスモデルをつくることが可能な本当の意味でのベストパートナーに生まれ変わることである。

 

コンセプト
同社は、“イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える”という企業理念の下、医療・介護、電気・ガス・水道、政治・行政、金融・保険、通信・モバイル、食品・生活用品といった社会インフラを支えている。コロナ禍で自由な外出がままならない中、オンラインによる企業と個人とのやり取りが発生し、そのバックオフィスの重要な部分を支えていたコンタクトセンターは業績を伸ばすことができ、コンタクトセンターの業務が必要不可欠であることが再認識された。同社は、社会インフラを利用する人々の心配や不安の声を受け止める役割を担っていく考え。

 

中計の3つの重点施策

(同社資料より)

 

中計の柱となる重点施策として、社員3万人の戦力最大化(人材力の強化)、音声データ活用によるDX推進、信頼と共創のパートナー成長(パートナーとの連携)、の3つを挙げている。

 

社員3万人の戦力最大化では、3万人のオペレーターが働きやすい環境をつくり定着率を上げ、ベテラン社員を増やすことでサービスの品質を上げていく。また、AI等の新技術を活用し業務効率の向上にも努める。これまでは、売上の増加に伴いコミュニケーターの採用を増やしてきたが、今後は、新技術を活用し、効率的に業務を進めることができる体制を整備していく。
音声データ活用によるDX推進では、同社の最大の資産である生活者の生の声(音声データ)を活用したソリューションを展開していく。具体的には、現場を熟知したコンサルティングチームを中心に、生活者の生の声から課題を抽出し、最適な打ち手を用意し、現場で実行していく。
パートナーとの連係・成長では、伊藤忠や凸版印刷といった強力なパートナー企業との連係を更に進化させる。また、ソニーコンピュータサイエンス研究所との提携により、コンタクトセンタービジネスに特化したAIの提供も始めた。

 

これら3つの重点施策を確実かつ迅速に進めることで成果を出していく。

 

3つの重点施策とミッション

(同社資料より)

 

3つの施策は独立したものではなく、密接にかかわっている。ここ数年、取り組んできた、女性活躍推進、子育て支援、LGBTの取り組み等が外部から評価されるようになってきたと言う。引き続き、在宅ワークを含む働きやすい環境をつくり、働き方改革を実現することで従業員の定着率を向上させ、高度なスキルを持った人材を育成し、質の高いサービスをクライアント企業に提供していく。
また、同時にソニーコンピュータサイエンス研究所等のパートナー企業やベンチャー企業との連係により、新しい技術を取り入れ、強みである音声データの活用を中心にしたDXを推進していく。高度な人材と新技術が組み合わされた新しいコンタクトセンター像をこの中計期間中に提示したいと考えている。

 

品質向上と事業創出のための成長ストーリー

(同社資料より)

 

同社は、毎年3,000件の業務、5億件の問い合わせに対応しており、今後は、これらを独自のナレッジ・データベースとして活用していく。そして、コンサルティング企業にはできない現場でのオペレーション、最適なコンタクトセンターシステムの構築・運営、更には、マーケティング等を視野に入れた新たな提案により差別化を図る。この中計期間において、コンサルティング領域を広げ、クライアント企業と新しい領域での事業の創出に取り組んでいく考え。

 

3つの施策の中心となる取り組み
人材活用 : 在宅コンタクトセンター増設

(同社資料より)

 

現在、1,000席を運用している在宅コンタクトセンターを4,000席(全体の10%強)に拡大する。コロナ禍でクライアント企業の意識が変化し、BCPの観点から在宅が加速しているが、同社はコロナ以前から多様な働き方を実現するための在宅コンタクトセンターを進めてきた。引き続き在宅を推進し、多様な人材の多様な働き方を実現していく方針であり、これにより採用での優位性を確立し、優秀な人材の確保と定着率の向上につなげていく。

 

 

DX推進 : 音声/CRMデータ基盤の強化

(同社資料より)

 

既に社内ではデータ活用人材の育成を進めており、新中計期間中に、生活者の音声データの取得・活用・分析・コンサルティングまでを一気通貫で提供するサービスを開始する。従来のコンタクトセンターでは実現できなかった本当の意味でのデータ活用であり、コミュニケーターが受ける生活者の生の声、言い換えると、音声データを分析し、クライアント企業が保有する様々なCRMデータとの統合により生活者が必要とする期待行動データに変換・活用することで、課題を抽出・把握し改善を行う。この一連のプロセスを絶えず高速で回し、スパイラルアップさせることでクライアント企業と、より新しい、より高い次元で連係を実現できると考えている。

 

アライアンス強化 : 戦略提携での新事業モデル推進

(同社資料より)

 

現在、同社は幅広い業種のクライアント企業と取引しており、その多くが各業界のリーディングカンパニーである。こうした企業は、生活者に直接コンタクトするためのラストワンマイルを担う機能として、同社を重要なビジネスパートナーと捉えている。クライアント企業が同社に期待しているのは、新技術を活用した、より高いレベルのコンタクトセンターの実現であり、この期待に応えるべく、伊藤忠や凸版印刷が持つクライアント基盤やビジネス基盤、営業力や新技術に関する情報、海外ネットワーク等を最大限活用していく。また、同社が持つデータを伊藤忠や凸版印刷に提供し、そのビジネスネットワークの中での活用を通して得た情報をクライアント企業にフィードバックしていく。

 

新中計の定量目標

(同社資料より)

 

23/2期の目標を、売上高1,480億円、営業利益140億円(営業利益率9.5%)、税後利益90億円、としており、年率5.3%の売上成長、8.7%の利益成長(税後利益)を目指している。投資に関しては、今後3年間の各取組合計で100億円以上を計画しており、戦略分野でシナジーが期待できるケースでは、ベンチャー投資やM&Aにも積極的に対応していく。

 

社会的課題への取り組み

(同社資料より)

 

企業理念や重要課題及びSDGsを踏まえ、社会課題解決のための活動に取り組んでいく。SDGsについては、「人と働き方」(SDGs17の目標の「5」「8」「10」に関わる取り組み)、「格差縮小」(同「1」「17」に関わる取り組み)、「環境保護」(同「13」に関わる取り組み)の3つのテーマの下で達成に貢献していく。

 

 

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

9名、うち社外5名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年5月28日)
基本的な考え方
当社は、株主をはじめ、クライアント、取引先、従業員等の当社および当社のグループ会社(これらを総称して、以下「当社グループ」といいます。)を取り巻く全てのステークホルダーと良好な関係を構築するとともに、その信頼を得ることが企業価値の最大化に不可欠であり、そのためにはコーポレート・ガバナンスの充実が重要な経営課題の一つであるとの認識のもと、経営の効率化を図りつつ、透明性と健全性を確保した企業運営に努めております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【原則1-4 政策保有株式】
純投資目的以外の投資を行う際は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社グループの事業における相乗効果が期待されるか否かによって投資の是非を判断することとし、縮減するか否かについても同様に相乗効果が期待されるかによって判断することを基本方針としております。さらに、個別の銘柄につき、経済合理性の観点から、配当の有無や業績不振の銘柄については、今後の業績の推移、回復可能性を検討し資本効率向上の観点からも縮減を含めた保有の是非を毎年検討いたします。
なお、当社が保有している上場会社の政策保有株式、1銘柄(貸借対照表計上額19百万円)について、取締役会において継続保有の是非を検証した結果、継続して保有することにいたしました。
また、政策保有株式に係る議決権の行使に関する具体的な基準については設けておりませんが、投資の目的である相乗効果が最大限発揮され、当社グループの企業価値向上に寄与するかどうかなどを総合的に判断して、提案された議案を検討し、行使することを基本方針としております。

 

<開示している主な原則>
【補充原則4-11-3 取締役会全体の実効性についての分析・評価】
取締役会は、今年度もアンケートによる各取締役及び各監査役の自己評価に基づき、取締役会全体の実効性について分析・評価を行いました。その結果の概要は、当社ウェブサイトで開示しております。
https://www.bell24.co.jp/ja/company/governance/corporategovernance/index.html
今年度の結果を踏まえて、今後は、オンラインによる取締役会の開催に際して社外取締役の知見を活かすためのファシリテートを工夫、リスク・危機管理として新型コロナウイルス感染症の変異による更なる感染拡大が想定されることを踏まえた感染防止対策等に関するより一層の情報共有、競合他社や中長期的な課題に対するより実態把握に資する説明を通じた有効な業績モニタリングの実施、株主との対話で得られた意見・要望を取締役会で議論等を行うとともに、非財務情報を含む情報の開示・提供を行う際にステークホルダーにとってより有用性の高いものにするための議論の深化等に取り組んでまいります。
なお、監査役会においても今年度も監査役会の実効性評価を実施いたしました。
3名の監査役(常勤監査役1名、社外監査役2名)が今年度を振り返り、監査役の活動について議論し、評価・分析を行いました。その結果は、当社ウェブサイトで開示しております。
https://www.bell24.co.jp/ja/company/governance/corporategovernance/index.html
2021年2月期の監査活動の振り返りと実効性の検証並びに2022年2月期における監査活動の実効性向上に向けた主要課題について監査役3名で意見交換を行いました結果、2021年2月期の監査活動は有効に機能していると結論付けました。
また、当監査役会は、2022年2月期において監査の網羅性・実効性を高めるため企業集団監査役監査体制の整備、会計監査人・内部監査部門との三様監査連携強化による内部統制システムの整備・運用状況並びにリスクマネジメント体制の監視・検証に努めて参ります。
また、取締役会と協働で会社の監督機能の一翼を努め企業集団の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を実現し、社会的信頼に応える良質な企業統治体制を確立して参る所存でございます。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、以下の方針に則り、当社が相当と認める範囲および方法で株主との間で建設的な対話を行います。
(1) IRを管掌する取締役を指名し、かかる取締役が株主との対話全般を統括します。
(2) IR管掌取締役のもと、IR部門を設置し、これを中心に経営企画部門、経理・財務部門その他の関連部門と適切に情報交換を行い、有機的に連携します。
(3) 株主との対話の手段を充実させるため、第2四半期および通期の決算発表時において、決算説明会を実施します。
(4) 対話において把握された株主の意見等については、IR管掌取締役や関連部門に随時報告するとともに、必要に応じて取締役会に共有します。
(5) 対話にあたっては、情報伝達行為や取引推奨行為の禁止、インサイダー情報の再伝達を制限するための必要な措置を定めたインサイダー取引防止規程に従って対応します。

 

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