(6809)TOA 第3四半期以降の回復に注目

2021/02/04

 

 

 

竹内 一弘 社長

TOA株式会社(6809)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

電気機器(製造業)

代表取締役社長執行役員

竹内 一弘

所在地

兵庫県神戸市中央区港島中町7-2-1

決算月

3月末日

HP

https://www.toa.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

865円

34,536,635株

29,874百万円

4.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

2.3%

18.45円

46.9倍

1,262.02

0.7倍

*株価は12/10終値。ROE、BPSは前期実績。それ以外の各数値は21年3月期第2四半期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

42,504

2,935

3,040

1,750

51.70

22.00

2018年3月(実)

44,180

3,510

3,561

2,138

63.16

23.00

2019年3月(実)

46,338

3,903

4,099

2,504

73.97

26.00

2020年3月(実)

45,068

3,465

3,577

2,065

60.99

26.00

2021年3月(予)

40,500

700

750

600

18.45

20.00

*予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下同様)。

 

 

TOAの2021年3月期第2四半期決算概要などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期第2四半期決算概要
3.2021年3月期業績予想
4.ニューノーマルの時代におけるTOAの役割
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 避難誘導や案内放送を行う非常用業務用放送設備、快適な空間を創造する音響システム、監視カメラを含めた防犯システムなど、音響機器、映像機器の製造販売を行う専門メーカー。非常用放送設備でトップシェア。豊富な採用実績、「音」のプロフェッショナルとしての知見・ノウハウ、ラインアップの幅広さと地域密着型の営業体制も強み。世界120か国以上で営業を展開。

     

  • 21年3月期第2四半期の売上高は前期比14.9%減の176億円。国内、海外とも新型コロナウイルスの影響で販売が低迷した。粗利は同20.2%減少。販管費をコントロールしたが吸収できず、営業利益は32百万円の損失となった。為替差損89百万円が発生したが、助成金収入が78百万円あったため、経常利益は同95.8%減の53百万円。四半期純利益は1億55百万円の損失となった。減収・減益ではあったが会社側の期初想定は上回った。

     

  • 通期業績予想に変更は無い。21年3月期の売上高は前期比10.1%減の405億円、営業利益は同79.8%減の7億円を予想。配当は現時点では中間・期末ともに10円/株の合計20円/株の予定。予想配当性向は108.4%。最低額を20円/株とした安定配当をベースに連結配当性向35%を目安とした業績連動配当を実施することを基本方針としている。

     

  • 四半期ベースで見ると、同社の場合第1四半期(4‐6月)が売上・利益とも最も低水準となる季節特性がある。今期も新型コロナウイルスの影響があるものの、その傾向に変わりはなく、第2四半期(7‐9月)も前年同期比減収減益ながら前期比は上回っている。最もインパクトの大きい第4四半期(1-3月)に向けて、第3四半期以降の回復度合いが注目される。

     

1.会社概要

避難誘導や案内放送を行う非常用業務用放送設備、快適な空間を創造する音響システム、監視カメラを含めた防犯システムなど、音響機器、映像機器の製造販売を行う専門メーカー。非常用放送設備でトップシェア。豊富な採用実績、「音」のプロフェッショナルとしての知見・ノウハウ、ラインアップの幅広さと地域密着型の営業体制も強み。アジア・パシフィック、欧州などを中心に世界120か国以上で営業を展開。

 

【1-1 沿革】

1934年、マイクロホン作りに強い関心を抱いた中谷常太郎氏が東亞特殊電機製作所を創業し、トランペットスピーカーやマイクロホン等の製造販売を開始。マイクロホン、アンプ、スピーカーなどを一貫して自家生産し民需、軍需を取り込み成長する。
第2次世界大戦終戦後の1947年には日本で初めて軽量・小型・取り付けが容易かつ性能に優れたレフレックス型トランペットスピーカーを開発し、「トランペットのトーア」とのブランドが定着していった。

 

 

(同社WEBSITEより)

 

1949年、法人組織に改組し、東亞特殊電機株式会社を設立。
その後も、音響の専業メーカーとして技術開発・製品開発を進め、世界初の電気メガホンEM-202(1954年)、日本初のトランジスターメガホン ER-57(1957年)等、新製品を相次いで投入。1962年には音をより遠くまで届けるために超巨大PA(※)実験を実施。最長到達距離は12kmを記録した。
1964年の東京オリンピックでは放送設備が31ヵ所の競技場で公式採用されたほか、1971年に京成電鉄成田駅で採用された「自動案内放送システム」はその後、駅・空港などへの導入が拡大。音響機器・システム分野における同社の存在価値はますます高まっていった。

 

※PA=Public Addressの略。拡声放送、構内放送の意

 

そうした中1968年に兵庫県・有馬温泉の旅館で30名が死亡する火災事故が発生。同社は音響を中心とした固有技術を生かして1969年に日本で初めて非常用放送設備を開発し、生産・販売を開始した。その後、消防法改正によりホテルや大規模施設での非常用放送設備の設置が義務化され、折からの高度成長の波にも乗り、同社の中心的な事業に成長していった。

 

 

(同社WEBSITEより)

 

一方、1973年に西ドイツ(現・ドイツ)に初の海外法人を設立したのを始め、アメリカ子会社設立(1974年)、1973年に駐在所を開設し「ホーンスピーカー」において90%以上のシェアを獲得していたインドネシアに現地生産合弁会社(現・連結子会社)を設立(1975年)して海外生産を開始するなど、積極的に海外事業を展開。その後もヨーロッパ、アジア、アフリカでも販売子会社や生産拠点を構築し、グローバルネットワークを構築していく。

 

業容の拡大に伴い、更なる事業基盤の強化を図るため1977年に大証2部に上場したのを皮切りに、1997年には東証・大証1部指定、2013年、東証・大証の市場統合に伴い東証1部に上場した。

 

【1-2 企業理念】

企業価値を「Smiles for the Public -人々が笑顔になれる社会をつくる-」と定めた。人々の集まりである「Public(社会)」に対し、「音の報せる力」を通じて「安心・信頼・感動」という価値を提供することで、人々の「Smiles(笑顔)」を実現することを目指している。

 

 

(同社WEBSITEより)

 

同社では「機器ではなく、音を買っていただく」という考え方が浸透しており、いかにいい音を届けるかに軸足を置いて企業活動を展開している。

 

【1-3 市場環境と競合状況】

◎市場環境
国土交通省の調査によれば、新設事務所および店舗の床面積はリーマンショックによる落ち込みからは一旦は回復してきたものの、足元では再び低調に推移している。
一方、同じく国土交通省の調べ(令和2年度建設投資見通し 2020年10月)によると、2020年度の建築補修(改装・改修)投資は前年度比4.3%減の7.7兆円となる見通し。前年度よりは減少するものの高水準で推移しており、建設バブル期の新築施設に納入した機器やシステムのリニューアル需要は今後も着実に発生するものと思われる。

 

 

 

 

こうしたいわば「飽和」状態にある市場環境の下、同社では機器の販売にとどまらず、ユーザーの満足度をより高いレベルで実現させるための「システム」や「ソリューション」を提供し、より収益性の高いビジネスを展開していく考えである。

 

◎競合状況
同社の主力製品である非常用放送設備を手がけているのは同社の他、国内ではPanasonic、JVCケンウッド、海外ではBOSCH(ボッシュ)があるが、業務用音響・映像メーカーとして専門性を追求している同社は国内では約5割のシェアを握っている。海外全体のシェアはまだ低いものの、いち早く進出したインドネシアなどでは高いシェアを有している。

 

【1-4 事業内容】

避難誘導や案内放送を行う非常用業務用放送設備、快適な空間を創造する音響システム、監視カメラを含めた防犯システムなど、主として多くの人々が集まる公共空間において使用される音響機器、映像機器の製造販売を行っている。
納入先は、地方自治体、官公庁舎施設、商業施設、複合施設、スポーツ施設、交通施設、教育施設、宗教施設など多岐にわたり、以下のような有名施設にも多数納入されている。

 

 

分類

主な納入先

地方自治体

東京都江東区、名古屋市、神戸市、仙台市、倉敷市など

官公庁舎施設

東京都庁舎、神戸市庁舎など

商業施設

IONオーチャード(シンガポール)、国内大型商業施設など

複合施設

東京スカイツリータウン、マリーナベイ・ファイナンシャルセンター・タワー(シンガポール)など

スポーツ施設

ウィンブルドン・テニスコート(英国)、ZOZOマリンスタジアム、阪神甲子園球場など

交通施設

成田国際空港、羽田空港、関西国際空港など

宗教施設

イスティクラル・モスク(インドネシア:東南アジア最大のモスク)、世界各国の教会など

 

(1)商品分野
同社では取扱商品を、「音響」、「映像」、「鉄道」の3分野に分類しており、「音響」が約8割を占めている。

商品分野

主な商品

音響分野

(音響システム)

非常用放送設備、業務用放送設備、ワイヤレスシステム、ネットワークPAシステム、インターカムシステム、サウンドシステム、拡声放送機器

映像分野

(セキュリティシステム)

ネットワークカメラシステム、フルHD同軸カメラシステム、アナログカメラシステム

 

鉄道分野

(鉄道車両関連システム)

車両内放送設備、カメラシステム、電光表示器

 

 

(2)事業領域
「安心・信頼・感動」の3つの価値を軸とした事業領域において独自性の高い製品・システム・ソリューションを開発・販売している。

 

領域① 『安心:Public Safety』
人々が日常を安心して過ごすことができるように、自然災害や犯罪・事故等の危険から少しでも多くの人々を守り、社会の安全・安心を実現するソリューションを提供している。

 

(具体的なソリューション)
◎屋外防災放送ソリューション
安心領域における中心的なソリューションが防災関連の各種機器やシステムである。
特に、同社のコアコンピタンスである「音の報せる力」の面から、従来の課題を克服して、災害発生時に住民のより安全・安心な環境を創り出すスピーカーを中心とした屋外防災放送ソリューションは、高く評価されている。

 

<日本を取り巻く状況と防災行政無線の課題>
日本は狭い国土に世界第4位(2017年現在)の110に及ぶ活火山を有し、世界の活火山の7%を占める火山大国であり、加えて、日本列島周辺では4枚のプレート(地殻)が分かれ、プレート同士がぶつかり合っている「日本海溝」、「南海トラフ」はプレートが下に沈み込んでいるため古来より多くの地震被害を受けてきた。
さらに、日本は中山間地の中小河川の奥地にも集落があり、古くから崩壊・地すべり・土石流の被害を受けてきた。さらに近年、集中豪雨や台風などによる洪水、土砂災害はその頻度及び規模が大きくなっている点も大変気がかりであり、「防災・減災」への取り組みは国民が強く望むものとなっている。

 

災害発生時には、自治体が運営する防災行政無線が、住民への情報提供・避難誘導において重要な役割を担っており、政府が最重要施策の一つと掲げている「国土強靭化基本計画」においても、2018年12月に閣議決定された「国土強靭化基本計画の変更」、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」では、防災行政無線のデジタル化の推進や災害時における多言語音声翻訳システムの高度化のための緊急対策などが重要な取り組みの一つとして挙げられている。

 

ただ、2011年3月11日に発生した東日本大震災後の調査「東日本大震災時の津波・避難情報の入手に関する調査(内閣府)」によると、震災時に津波警報や避難の呼びかけを入手した先は、テレビ・ラジオを上回り、「防災行政無線」が約5割でトップであったにもかかわらず、防災行政無線を聞いた人の中でも「はっきりと聞き取ることができた。」のは約56%にとどまっており、防災行政無線の有効性という観点からは、改善・対策は喫緊の課題となっている。
屋外での放送が聞き取りにくい主な原因として以下のような点が挙げられる。
①屋外スピーカーの音の届く距離が足りない
②周囲の騒音が大きく、放送の音がかき消される
③近接した屋外スピーカーからの音が重なり合う
④周囲の地形や建物により音の通りが遮られる

 

 

 

(同社資料より)

 

加えて、津波や浸水による屋外スピーカーの倒壊や機器の故障、大雨における騒音の増加による聞き取りの阻害といった点も、防災行政無線を有効に機能させるために克服すべき重要なポイントである。

 

<TOAが行う明瞭な屋外防災放送のための総合提案>
上記のような課題に対し、同社では明瞭に聞き取ることのできる屋外防災放送実現のための総合提案を行っている。

 

「明瞭な音」を実現するためには、音の入り口である音源から、出口であるスピーカーまで、システム全体を考慮したエンジニアリング力が必要であり、単にスピーカーを設置するだけではスピーカー本来の性能が発揮することは困難である。
そこで音のプロフェッショナルである同社は自治体担当者からのヒアリングを元に、豊富なラインアップの中からその地域に最適な次世代型防災用スピーカーの配置選定を行い、コンピュータ・ソフトによるシミュレーション、実際に音を発生させる屋外鳴動試験などを行った上で再配置設計を実施し、最終的に住民が明瞭に放送を聴取できるように調整を行う。

 

このように、同社は創業以来培ってきた「商品力」と「エンジニアリング力」により、次世代型防災用スピーカーによる明瞭な聴取を可能とする防災行政無線システムの構築が可能である。

(同社資料より)
*次世代型防災用スピーカー
従来型スピーカーの音の到達距離はおおむね約200~400m程度で、価格は次世代型防災用スピーカーよりも安価だが、スピーカーの増設や放送音量を上げることで音達エリアを拡げる際は設置場所付近の住民への配慮が必要である。

 

これに対し同社の次世代型防災用スピーカーは、以下のような特長を有している。

 

*1995年1月17日に発生した兵庫南部地震(阪神・淡路大震災)で多くの従業員が被災し、テレビやラジオ、電話もつながらない状況で「もっと広範囲に防災放送が届けば役に立った」との思いから研究が始まり、開発された。

*均一で明瞭な音を伝えることに優れたラインアレイ技術(複数のスピーカーユニットを垂直方向に連結し、線状の音源を構成する技術)を採用。

*従来型スピーカーと比べて、距離による音の減衰が少なく、 従来型の2~3倍の距離まで均一で明瞭な音声を伝えることができる。

*また、垂直方向への音の拡がりが小さく、スピーカー直下でも音量が抑えられるため 、近くで「やさしく」、遠くで「はっきり」と聞こえる。

*同社独自の音の空気減衰量を考慮した補正機能を搭載しており、遠くの距離でもより明瞭に音声が聞こえるように音質調整している。

 

同社では次世代型防災スピーカーとしてそれぞれ特長のある3タイプを揃えており、案件ごとこれらを組み合わせ、最適な防災行政無線システムを提案する。
近年の自治体側の防災・減災意識の向上もあり、20年3月末時点で全国累計300以上の自治体で採用されている。

 

タイプ

概要

ホーンアレイスピーカー

*8連タイプで800mから1,000m(設計基準距離)と、従来型の2-3倍の距離までクリアな音声を届ける最上級の音の遠達性。子局数を減らすことで音の重なりを軽減できることに加え、ランニングコストの低減にもつながる。

 

*優れた低域再生能力により地形の起伏や建物など音の遮りのある地域に効果的である。

 

*庁舎や学校など防災拠点に設置することで津波や洪水による子局の倒壊を避けることができる。

中型ホーンアレイスピーカー

*ホーンアレイスピーカー同様、従来型を上回る音の遠達性。音の重なりも軽減。

 

*軽量・コンパクトで防災無線柱への取り付けが可能。

 

*防水、耐塩で耐久性に優れる。

防災用スリムスピーカー

*遠達性も兼ね備えた軽量モデル。

 

*環境に合わせて設置構成をカスタマイズすることで更なる遠達性の向上を実現。

 

 

 

 

 

(同社資料より)

 

また、次世代型防災スピーカーに適した信号処理機能(レベル調整、イコライザー)を標準搭載した次世代型防災スピーカー用アンプ「防災用DSPアンプ」は、明瞭性の高い防災放送の実現に重要な役割を果たすとともに、IP告知ユニットを使い、防災行政無線放送とIP告知放送を併用することで、緊急時にどちらか一方の放送手段が途切れても、もう一方の放送手段が使えるように放送伝送路の冗長化が可能である。

 

このほか、独自のネットワーク音声伝送技術「パケットオーディオ」を搭載した市庁舎などの拠点から各施設へと一斉に放送を届ける「IP告知放送システム」、緊急地震速報受信端末に連動した緊急地震放送が可能で、設定により四ヶ国語(日本語、英語、中国語、韓国語)の音声警報を流すこともできる「ラック型非常用放送設備」など、災害時、緊急時に安全・安心を提供する幅広い製品ラインアップを有している。

 

領域② 『信頼:Public Communication』
日々の暮らしの中で人と人との信頼を築くために、時間や空間の隔たり、言語や年齢など多様性を乗り越え、便利で快適な社会のコミュニケーションを実現するソリューションを提供している。

 

(具体的なソリューション)
◎空港内旅客案内放送システム
大規模な空港ターミナルにおいて緊急情報やフライト情報などのアナウンスを多様な言語で伝え、安心して利用できる空港運営に貢献している。日本の空港市場における同社シェアは約90%と圧倒的である。

 

*羽田空港国際線旅客ターミナル
4ヶ国語による放送や直感的に操作できる操作卓など、ユニバーサルデザインを追求した非常用放送設備と旅客案内放送設備が導入されている。

 

(同社WEBSITEより)

 

*成田国際空港・第1旅客ターミナル
空港内のインフォメーションシステムを全面的にサポートし、建築美を損なうことなく配置された約5,000個のスピーカーが、多彩な情報を自動制御によって確実かつスピーディーに伝えている。

 

◎車両内放送設備
ディスプレイや車内外の行先案内など電光表示器の他、運転席からのアナウンスを各車両へと届ける車両内放送設備、車両内の安全確保のための防犯カメラシステム等、乗客により安全で快適なサービスを提供している。

 

領域③ 『感動:Public Space Design』
人々の心を揺さぶる感動のために、日常のささやかな楽しみから、非日常の特別な体験まで、人々の心をより豊かにする空間演出を実現するソリューションを提供している。

 

(具体的なソリューション)
◎スポーツ施設音響システム
来場者がスポーツを快適に観戦したり、コンサートなどのイベントを楽しんだりできるような音響空間を創造している。
精緻な音場シミュレーションやデジタル計測テクノロジーなど、蓄積されたデータとノウハウを駆使して最適な音を届けることで、国際的な大型スポーツイベントの誘致や開催をバックアップしている。

 

*ゲロラ・ブン・カルノ・スタジアム(インドネシア)
2018年に開催されたアジア大会の主要会場となった最大約9万人を収容する同スタジアムにおいて、新型ドライバーを搭載したホーンアレイスピーカーをはじめとする音響システムを納入した。
熱狂する大観衆の歓声にかき消されない明瞭で迫力のある音響システムを構築。その高品位な音質により今後開催される音楽イベントなどのライブパフォーマンスでの活用も期待されている。
インドネシアで長年活動を続け、当地での評価も高い同社ならではの案件である。

 

(同社WEBSITEより)

 

*京セラドーム大阪
綿密な音響シミュレーションの結果、同社が提案したセンタークラスターラインアレイスピーカーを核とした音響システムが採用された。合計76台のスピーカーユニットは、残響音の多い条件下でも音声が聞き取りやすく、カバーエリアの全ての客席へもクリアで迫力のある音を届けることができ、「大歓声の中でも音声がダイレクトに聞こえて心地よい」と評価されている。
またグラウンド上においても、キャッチャー方向からセンター方向にかけ、180度途切れなく連なるスピーカーユニットによって、均質な音空間を構築している。
操作面においては、野球運営用など、あらかじめプリセットした音響設定を呼び出すだけで、すぐに使用できるほか、スピーカー駆動用のアンプには高出力、高音質のデジタルアンプを採用して消費電力を大幅に抑えるなど、環境面での配慮も採用のポイントとなった。その他、イベント時での放送においても使いやすく、十分な音量でアナウンスできる点も好評である。

 

(3)セグメント
報告セグメントは地域別に、「日本」、「アジア・パシフィック」、「欧州・中東・アフリカ」、「アメリカ」、「中国・東アジア」の5つ。
グローバルブランドの確立を目指して、積極的な海外販売戦略を推進。現在、世界120ヶ国以上で販売活動を行っている。
各エリアで最適な生産体制と販売体制を実現し、求められる世界品質を、求める市場にスムーズに提供している。
現地法人である海外販社とTOA本体の海外営業部門によって、全ての情報を統括し、市場の変化に対し素早く対応している。

 

 

(4)研究開発体制
グループの開発拠点である宝塚事業場に、基礎技術の研究開発部門に加え、商品開発、品質保証、デザイン等、開発に関する部門を集約している。

 

同事業場敷地内には2020年12月10日、「ナレッジスクエア」が完成した。
「ナレッジスクエア」には、顔認証・人センシング技術を活用し、安心と快適性を両立させるオープンオフィス環境を備え、世界中の同社拠点と常につながり、リアルタイムで情報共有できる空間を整備した。
異業種との協業、職場のコミュニケーション活性化や業務最適化といった取り組みを通して、最先端のソリューションを開発・提供することで、すべてのステークホルダーとの「つながりの場」において共に新しい価値を創りだすことを目指している。

 

(同社資料より)

 

海外では、インドネシアに「アジア・パシフィック・R&Dセンター」を、台湾に「得洋電子工業股份有限公司 R&D事務所」を有し、世界各地の生産拠点と連携しその地域のニーズを具現化した商品を創出している。
拠点ごとの独立運営を確保しつつ、情報はITネットワークでリンクしているため技術共有や部品の集中調達も可能であり、自由な発想による地域商品の開発体制を維持すると同時に、グループ全体の効率性向上も実現している。

 

(5)グループ・ネットワーク
◎国内
同社ほか、グループ会社5社がエンジニアリングサポート、ソフト企画、ホール管理・運営、生産を手がけている。
全国約30の営業所により地域密着のきめ細かいサービスを提供している。

 

◎海外
生産拠点はインドネシア、ベトナム、台湾、中国の4カ所。アメリカ、ヨーロッパ、中東、アジアに約40か所の営業拠点を展開している。

 

【1-5 特長と強み】

(1)「豊富な採用実績と高いシェア」とその源泉である「音」のプロフェッショナルとしての知見・ノウハウ
同社製品及びシステムは国内外の様々な施設に多数採用されており、非常用放送設備の国内シェアは約50%でトップ、空港内旅客案内放送システムの国内空港市場におけるシェアは約90%、防災行政無線における次世代型防災スピーカーの採用実績300件以上など、圧倒的な存在感を示している。

 

こうした実績の源泉が、「音」のプロフェッショナルとして、「機器ではなく、音を買っていただく」という考え方の下、いかにいい音を届けるかを追求した結果1934年の創業以来、蓄積してきた経験、知見、ノウハウである。

 

防災行政無線システムを例にとれば、同社のような音の遠達性を実現できるスピーカーを製造できる企業は同社以外にはほとんどない。
また、単に機器を提案・納入するのではなく、パソコンによるシミュレーションや屋外鳴動試験などを行った上で配置設計を実施し、最終的に住民が明瞭に放送を聴取できるように調整を行うといった「前工程」を重視した総合提案を可能としているのも、同社の優れた商品力とエンジニアリング力、そして「届けるのは機器ではなく、音」という理念であり、これがユーザーからの信頼感や満足度の向上に繋がっている。

 

(同社資料より)

 

(2)専業メーカーとしてのラインアップの幅広さと地域密着型営業体制
同社の取扱製品ラインアップは、単品のマイク、スピーカー、メガホンから、会議システム、非常用放送設備、防災行政無線システムなど、「音」に関する機材・システムを幅広くカバーしている。
専業メーカーとしてのラインアップの広さは顧客のあらゆるニーズに対応し、課題解決のソリューションを提供できるという点で同社の強力な競争優位性となっている。
また、全国に広がる営業拠点をベースに、地域密着で機動的な営業活動を展開していることから、顧客との結びつきも強く、安定的な高シェア維持に繋がっている。

 

【1-6 ROE分析・配当政策など】

 

13/3期

14/3期

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期

ROE(%)

8.0

8.0

7.9

5.3

4.4

5.1

5.8

4.8

 売上高当期純利益率(%)

6.56

6.35

6.53

4.57

4.12

4.84

5.40

4.58

 総資産回転率(回)

0.90

0.93

0.89

0.85

0.79

0.79

0.80

0.77

 レバレッジ(倍)

1.35

1.36

1.36

1.37

1.35

1.34

1.33

1.35

 

8%近辺にあったROEは足元低下しているが、これは今後の成長に向けた研究開発や人材の獲得など積極的な投資を行っていることが要因。会社側は資本効率の重要性を認識しつつも、現在は売上および利益の絶対額を増大させることが企業価値向上に繋がると考えている。

 

配当については、持続的な成長を可能とする内部留保とのバランスを勘案しながら、最低額を20円/株とした安定配当をベースに連結配当性向35%を目安とした業績連動配当を実施することを基本方針としている。
内部留保資金の使途については、長期的に安定した経営基盤の確保と積極的な研究開発投資のバランスを考慮して決定する。競争力向上と財務体質強化を通じて企業価値向上に努める方針だ。

 

【1-7 ESGへの取り組み】

<E:環境>
「TOAの環境理念」を元に、全社をあげ環境保全へ取り組んでいる。
後述するビジネス創造の新たな拠点「ナレッジスクエア」においても、自然光を活用した照明設備や断熱対策による冷暖房の効率化、ソーラーパネルの活用や雨水の再利用等、地球環境保全に配慮した設備を導入する予定である。

 

<S:社会>
事業活動において社会の安全・安心に貢献し、社会貢献活動で、防災士養成の支援や、子ども達の減災・防災意識の向上に寄与する。2018年3月期より労使協調による働き方改革プロジェクトを発足させ活動をスタートさせた。今期からスタートした中期経営基本計画においても、引き続き「多様性を力に変えるチームプレイ」や「無駄の徹底的な削減」などをテーマに、より働きやすい、働きがいのある職場環境づくりを推進する。

 

<G:ガバナンス>
2015年6月に独立社外取締役を選任。18年6月には社外取締役をさらに1名招聘し、複数体制とした。
機関投資家、個人投資家、証券アナリストとの対話を充実させる。
自己株式の取得・消却や株式報酬制度など自己株式の活用を検討している。

 

2.2021年3月期第2四半期決算概要

(1)連結業績

 

20/3期2Q

構成比

21/3期2Q

構成比

前年同期比

売上高

20,766

100.0%

17,666

100.0%

-14.9%

売上総利益

9,240

44.5%

7,377

41.8%

-20.2%

販管費

8,072

38.9%

7,409

41.9%

-8.2%

営業利益

1,167

5.6%

-32

経常利益

1,278

6.2%

53

0.3%

-95.8%

四半期純利益

670

3.2%

-155

*単位: 百万円。

 

減収・減益
売上高は前期比14.9%減の176億円。国内、海外とも新型コロナウイルスの影響で販売が低迷した。
粗利は同20.2%減少。販管費をコントロールしたが吸収できず、営業利益は32百万円の損失となった。
為替差損89百万円が発生したが、助成金収入が78百万円あったため、経常利益は同95.8%減の53百万円。
四半期純利益は1億55百万円の損失となった。減収・減益ではあったが会社側の期初想定は上回った。

(2)セグメント別動向

 

20/3期2Q

構成比

21/3期2Q

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

日本

12,754

61.4%

11,538

65.3%

-9.5%

アジア・パシフィック

3,812

18.4%

2,794

15.8%

-26.7%

欧州・中東・アフリカ

2,329

11.2%

1,852

10.5%

-20.5%

アメリカ

1,052

5.1%

787

4.5%

-25.2%

中国・東アジア

816

3.9%

692

3.9%

-15.2%

合計

20,766

100.0%

17,666

100.0%

-14.9%

セグメント利益

 

 

 

 

 

日本

2,557

20.0%

1,898

16.5%

-25.8%

アジア・パシフィック

711

18.7%

428

15.3%

-39.9%

欧州・中東・アフリカ

296

12.7%

133

7.2%

-55.2%

アメリカ

62

5.9%

4

0.5%

-92.3%

中国・東アジア

115

14.1%

54

7.8%

-53.1%

調整額

-2,576

-2,550

合計

1,167

5.6%

-32

*単位:百万円。外部顧客への売上高。セグメント利益の構成比は売上高営業利益率。20/3期より従来「アジア・パシフィック」、「中国・東アジア」に含めていた生産機能、および「アメリカ」に含めていた鉄道車両関連機器の販売機能を、「日本」に含めている。また、「アジア・パシフィック」、「欧州・中東・アフリカ」、「アメリカ」、「中国・東アジア」の業績をより適切に把握するため、TOAが各セグメントに向けて行った営業取引を含めている。

 

新型コロナウイルスの影響を受け、全セグメントで減収減益だった。

 

(日本)
新型コロナウイルス感染拡大で、案件の延伸・中止が発生した。減災・防災市場向け販売は防災行政無線のデジタル化需要が高まり指名化活動で大きく伸長。音声明瞭化技術による物流倉庫、工場館内など、放送改修需要の提案活動が増加したほか、ソーシャルディスタンスの観点から、新製品の会議システムやハンズフリー拡声器の提案販売が増加した。

 

<減災・防災市場の展望>
同市場で豊富な実績を積み上げている同社は、今上期も台風や大雨による災害の増加に伴い、河川監視と連絡設備の需要を獲得するなど、前年同期比で約2割の増収となっている。

 

2020年10月より遠隔から監視・注意喚起ができる新サービスプランのコンテンツ提供を開始したほか、防災行政無線と館内放送設備を連動させた、屋外と屋内への災害情報伝達の仕組みの市場導入を推進している。
また、音の専門メーカーとしての開発力で特定市場向け仕様の商品とエンジニアリング力で高度避難放送システムを追求するなど、同市場に同社ならではのソリューションを提供していく考えだ。

 

(アジア・パシフィック)
ロックダウンなどにより全地域で民間需要が低迷した。
インドネシア、マレーシアのイスラムモスク需要が停滞した一方、ベトナムでは、学校用放送設備や防災用スピーカーの大型案件受注で、売上は堅調だった。タイでは、学校向け教室用アンプの提案活動を展開した。

 

(中国・東アジア)
中国では、コロナ対策に伴う予算の大幅削減により官民需要が停滞した。
「第31回(2021年)夏季ユニバーシアード成都大会」の選手村向けのネットワーク型放送設備を受注した。他施設の受注も目指している。台湾では、継続顧客の新規・改修共に大型案件の受注で増収となった。
香港でも、交通施設、スポーツ施設の官庁需要の受注で増収となった。

 

(欧州・中東・アフリカ)
新型コロナウイルスの影響による経済活動の停滞が顕著だった。計画の見直しや遅延が増加しており、Withコロナを見据えた顧客へのソリューション活動を継続していく。

 

(アメリカ)
外出規制の影響で需要が減少し、商業施設・店舗向けBGMアンプの販売が停滞した。一方、教育市場において遠隔授業用のWeb会議システムの使用が増加し、ワイヤレスマイク・会議用マイクの販売が好調だった。

 

(3)製品分野別動向

 

20/3期 2Q

21/3期 2Q

前年同期比

音響

17,201

13,852

-19.5%

国内

9,190

7,727

-15.9%

海外

8,011

6,125

-23.5%

映像

2,856

2,514

-12.0%

鉄道

699

1,288

+84.3%

合計

20,766

17,666

-14.9%

*単位: 百万円。

 

鉄道は国内外で機器出荷が増加した。香港で大型受注があったほか、バングラディッシュ、インド、アメリカが好調だった。

 

(4)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

20年3月末

20年9月末

 

20年3月末

20年9月末

流動資産

38,885

34,788

流動負債

9,183

7,507

現預金

15,610

15,793

仕入債務

3,409

2,068

売掛金

10,312

7,120

短期借入金

1,915

2,060

たな卸資産

10,955

11,085

固定負債

4,689

5,138

固定資産

19,768

21,543

退職給付に係る負債

2,841

2,788

有形固定資産

10,579

10,978

負債合計

13,872

12,645

無形固定資産

1,599

1,465

純資産

44,780

43,686

投資その他の資産

7,589

9,100

利益剰余金

30,236

29,397

資産合計

58,653

56,332

負債純資産合計

58,653

56,332

*単位:百万円

 

売掛金の減少などで資産合計は同23億円減少の563億円となった。仕入債務の減少などで負債合計は同12億円減少の126億円。利益剰余金の減少などで純資産は同10億円減少の436億円。
この結果、自己資本比率は前期末の72.9%から1.1ポイント上昇し、74.0%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

20/3期 2Q

21/3期 2Q

増減

営業CF

659

1,464

+805

投資CF

-1,496

-575

+921

フリーCF

-837

889

+1,726

財務CF

-360

-1,719

-1,359

現金同等物残高

18,268

15,132

-3,136

*単位:百万円。

 

仕入債務の減少などで営業CFのプラス幅が拡大。生産・開発設備の取得による支出減少などで投資CFのマイナス幅も縮小したため、フリーCFはプラスに転じた。キャッシュポジションは低下した。

(5)投資等

 

20/3期 2Q

21/3期 2Q

前年同期比

研究開発費

1,331

1,387

+56

設備投資

2,737

1,040

-1,697

減価償却費

668

704

+36

*単位: 百万円。

 

研究開発は優先順位を付けながらも継続的に実施。
設備投資は宝塚事業場再開発がほぼ完了したことにより減少した。

 

(6)トピックス

◎新研究開発拠点「ナレッジスクエア」が2020年12月10日グランドオープン
再開発を進めてきた新研究開発拠点「ナレッジスクエア」(兵庫県宝塚市)が2020年12月10日にグランドオープンした。
「ナレッジスクエア」は、TOAの研究開発拠点である「宝塚事業場」(兵庫県宝塚市)の再開発に伴う新しいビジネス拠点の総称。同社の開発者だけでなく、ユーザーや取引先、協力会社、大学や研究所など、多種多様な人々が集い、新しい価値を共に創り出す「共創の場」となる。

 

◎電子部品調達先の工場で火災が発生
2020年10月20日、電子部品の調達先である、旭化成エレクトロニクス株式会社の半導体製造工場で火災が発生した。
同工場の火災発生をうけて該当部品と採用製品の調査を行った結果、該当部品の在庫確保を進めること及び代替部品の選 定と製品の設計変更を早急に進めることで、当面の間、製品の生産・販売における大きな影響はない見込みである。
現時点では、今期業績への影響は大きくないと考えているが算定中であり、必要となれば速やかに開示する考えだ。

 

3.2021年3月期業績予想

(1)連結業績予想

 

20/3期

構成比

21/3期(予)

構成比

前期比

売上高

45,068

100.0%

40,500

100.0%

-10.1%

営業利益

3,465

7.7%

700

1.7%

-79.8%

経常利益

3,577

7.9%

750

1.9%

-79.0%

当期純利益

2,065

4.6%

600

1.5%

-71.0%

*単位:百万円

 

業績予想に変更無く、減収減益を予想
業績予想に変更は無い。売上高は前期比10.1%減の405億円、営業利益は同79.8%減の7億円を予想。
通期でも新型コロナウイルス感染拡大の影響は避けられないと考えている。
配当は現時点では中間・期末ともに10円/株の合計20円/株の予定。予想配当性向は108.4%。最低額を20円/株とした安定配当をベースに連結配当性向35%を目安とした業績連動配当を実施することを基本方針としている。

 

(2)今後の戦略

国内では、前述の減災・防災市場の深耕の他、教育市場において、新たな教育環境の教室内拡声機器や教師同士のコミュニケーションシステムで業務支援の提案を展開する。また、異業種企業とアライアンスを推進し、オフィスにおける最適な音環境や、Web会議によるコミュニケーションの活性化を実現する。
アジア・パシフィックでは、新会議システムの提案活動を強化し販売増加を見込んでいる。
また、全地域セグメントにおいて特に教育市場向けの拡販に注力する。

 

4. ニューノーマルの時代におけるTOAの役割

新型コロナウイルス感染拡大を受け、様々なシーンでの新常態が定着していく中、音と映像の専門メーカーとして新たな価値を提供することが自社の役割であると考え、以下のような製品やソリューションの提供を進めている。

 

円滑なWeb会議を実現する音響システムや、マスクやフェイスシールドを装着した状態でも明瞭に声を届けるハンズフリー拡声器

「パーティション取付型 会話補助システム」

ソーシャルディスタンスにより、お互いの声が聞き取りづらい窓口業務での会話を補助するシステム。小売店や役所窓口などあらゆるシーンで、ストレスフリーなコミュニケーションを実現する。神戸市で実証実験後正式リリースの予定である。

「混雑状況配信ソリューション」

プライバシーを保護しながらもカメラ映像で混雑状況を確認できる映像配信ソリューション。カメラ内蔵のAIで人を認識し、人型のアイコンへ変換表示するため、カメラだけで手軽にプライバシーに配慮した画像の公開が可能である。

 

 

(パーティション取付型 会話補助システム)

 

 

(混雑状況配信ソリューション)

 

(同社提供)

 

また、「音のお困り事解決ウェビナー」の配信等、新たな社会様式の中で生まれた課題解決に向けたオンラインでの営業活動も展開している。

 

この他、異業種が協働して新たなオフィス空間の創造を目指している会員制シェアオフィス「point 0 marunouchi」においては、音漏れ防止対策と快適な執務空間を両立させるサウンドマスキングソリューションなど、様々な空間コンテンツの実証実験を実施している。また、人々の快適な働き方の実現に貢献するとともに、他の参画企業との協業を通して、新たな音の価値提供を進めている。

 

こうした取り組みは、中期経営基本計画において掲げている「デジタルプラットフォームの活用による事業最適化」を具現化したものである。
新型コロナウイルスを機に需要が顕在化した在宅勤務やWeb会議の活用を通じた働き方改革の推進や、デジタルマーケティングやオンライン営業など営業プロセスの改革、また、「つながるビジネス」による顧客サービスの向上に向け、自社のデジタルプラットフォームを活用し事業最適化を図ることで、持続的な企業価値の最大化を実現する考えだ。

5.今後の注目点

四半期ベースで見ると、同社の場合第1四半期(4‐6月)が売上・利益とも最も低水準となる季節特性がある。今期も新型コロナウイルスの影響があるものの、その傾向に変わりはなく、第2四半期(7‐9月)も前年同期比減収減益ながら前期比は上回っている。最もインパクトの大きい第4四半期(1-3月)に向けて、第3四半期以降の回復度合いが注目される。

 

 

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

7名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2020年6月24日

 

<基本的な考え方>
当社では、株主・顧客・取引先・従業員等のステークホルダーに対して、遵法性が確保された健全かつ透明性の高い企業経営を実践することにより、長期的・継続的に企業価値を増大させることを経営上のもっとも重要で恒久的な課題のひとつとして位置づけています。コーポレート・ガバナンスの更なる強化のため、各ステークホルダーへのアカウンタビリティー(説明責任)の重視と充実、迅速かつ適切なディスクロージャー(情報開示)等の実践に積極的に取り組んでまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>

原則

開示内容

【原則1-4 政策保有株式】

当社は、取引・協業関係の維持・拡充のための手段として、他社の株式を取得・保有する場合があります。

当該保有に関しては、企業連携が高まり、企業価値向上につながることを政策保有方針の基本とし、以下の諸点を総合的に判断しております。

(1)発行会社と当社事業における中長期の協力関係の維持・強化、取引関係等の円滑化に資するか

(2)資金調達等の円滑化に資するか

(3)事業機会の創出・発展に資する可能性を有するか

 

なお、政策保有株式の縮減に関しては、上記の政策保有方針に合致しない場合には、上場株式を保有しないことを基本方針としており、現在の保有株式は、当社として、既に縮減した結果になっております。

さらに、当社は、今後も政策保有方針に合致しない上場株式を新たに保有する意思はありません。

当社は、取締役会にて、保有意義、定性的効果、定量的効果等を総合的に勘案し、検証を行っております。

 

政策保有株式の議決権の行使については、

発行会社が当社の政策保有方針に適う目的・事業を有していること、

発行会社の経営陣が適切な人材であること、

企業活動の適時かつ適切な情報開示を行っていること、

持続的な成長につながる事業基盤を有し、将来の株主価値の向上が見込まれること、などを総合的に勘案し、議案の内容が中長期的な企業価値の向上に資するか否かという視点から、「権限規程」に定める然るべき決裁者が賛否を判断しております。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

(1)IR活動を所管する役員・その他担当部門等

当社は、経営企画担当部門を所管する役員がIR活動を統括し、広報担当部門とIR活動に関して適宜連携しております。さらに、経営企画担当部門・経理担当部門・法務担当部門が有機的に連携し、株主との対話促進に努めております。

 

(2)IRポリシーの作成・公表

当社は、業績、財務状況、将来ビジョンについて、公平、迅速かつ解りやすい情報開示に努めており、IRの基本方針と姿勢をIRポリシーとして公表しております。

 

当社ホームページのIRポリシーをご参照ください。

https://www.toa.co.jp/ir/message/policy.htm

 

(3)株主との対話促進

当社は、企業説明会であるIR企業研究会等を開催しております。

 

(4)インサイダー情報の管理

当社は、「内部情報管理およびインサイダー取引防止規程」を定めており、株主・投資家との対話に際しては、IRポリシーに則り、インサイダー情報を管理しております。

 

 

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