(2435)株式会社シダー 販管費大幅減により利益改善

2020/12/23

 

 

 

山崎 嘉忠 会長

 

座小田 孝安社長

株式会社シダー(2435)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

サービス業

代表者

山崎 嘉忠、座小田 孝安

所在地

福岡県北九州市小倉北区大畠 1-7-19

決算月

3月

HP

http://www.cedar-web.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

351円

11,475,863株

4,028百万円

17.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

6.00円

1.7%

33.58

10.5倍

131.36円

2.7倍

*株価は12/11終値。発行済株式数は、直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除し株式分割を反映。ROEは20年3月期実績、EPSは21年3月期予想。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

12,733

145

-136

-137

0.00

2018年3月(実)

13,861

535

250

224

19.52

4.00

2019年3月(実)

14,258

494

218

16

1.43

2.00

2020年3月(実)

15,132

549

257

209

18.28

4.00

2021年3月(予)

15,630

879

599

385

33.58

6.00

(単位:百万円、円)

 

シダーの2021年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期上期決算
3.2021年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 21/3期上期は前年同期比5.2%増収、経常損益は前年同期31百万円の損失から4億11百万円の利益へ改善した。既存施設において施設稼働率を上昇させるため、新規利用者の獲得とサービスの向上に努めた。利益面では、人材募集費等の経費や管理部門の諸経費抑制等により販管費が大幅減となり、各利益が大きく改善した。 
  • 21/3期は前期比3.3%増収、133.2%経常増益を見込む。デイサービス事業の一部で事業所休止等はあったが、現時点で休止中の事業所はない。また、施設サービス事業においては、引き続き高稼働率を維持、施設内での感染症の集団感染等が発生しないことを前提に業績予想を算定。前期比2.0円増配となる6.0円の期末配当を見込む。 
  • 今上期は施設サービス事業が牽引し増収、各利益は大幅な改善となった。これまでの取り組みの成果に加え、介護職員の定着化に伴う人材募集費等の縮小も増益に寄与したようだ。今回開示した通期業績予想は大きく上回る可能性が高いだろう。増配予想にもその自信のほどが見て取れる。様々なサービス業が苦戦する中で、相対的に介護サービス業は、対利益についてはメリットが生じている印象。介護業界の淘汰が進む可能性もあり、こうした面ではM&Aの機会もありそう。こうした中、PERは10倍を下回っており株価には見直し余地がありそうだ。 

1.会社概要

デイサービス及び有料老人ホーム「ラ・ナシカ」を中心とした介護サービスを、本社のある福岡県を中心に全国展開。リハビリテーションに重点を置き、より人間らしく生きるための生活支援を行う事を経営方針とする。総勢600名近くに及ぶ職員資格者を有しており、介護サービス事業者の中では出色。

 

【1-1 沿革】

前身は医療機器の販売会社だった(株)福岡メディカル販売。2000年10月に社会医療法人池友会系列の医療機関でリハビリ業務に従事していた山崎嘉忠氏(現会長)等が中心となり(株)シダーに商号を変更し介護事業へ参入。01年1月にデイサービス施設4施設を開設した。デイサービス事業が順調に拡大し、05年3月にジャスダック証券取引所に上場、同年9月には有料老人ホーム事業(現在の施設サービス事業)に参入した。
06/3期、07/3期と有料老人ホーム事業の先行投資(新施設の立ち上げ費用)が利益を圧迫したものの、08/3期以降は施設の累積効果(ストック効果による事業規模の拡大)で、新規開設負担を吸収して利益を増やせる体制が整った。11/3期は新卒40名の入社による人員の増加や新規開設施設の増加(3事業合計で10/3期:3施設→11/3期:5施設)、更には既存施設のリニューアルもあり利益が減少したものの、12/3期は既存施設の新規利用者獲得が順調に進んだ事に加え、施設オペレーションの効率化で増益に転じた。しかし、13/3期は12年に行われた介護保険法改定の影響を受けた。同社の場合は、デイサービス事業における介護報酬改定の影響が大きく減益となった。14/3期は、その影響を解消する1年であった。尚、16/3期、19/3期にも介護報酬改定の影響を受けている。

 

【1-2 事業戦略 -地域のリハビリセンターを目指して-】

介護サービス業界では、引き続き超高齢化社会への移行に伴い、介護サービスの利用者数は増加し需要は更に高まっている。その一方で、様々な業種にて人材不足が叫ばれている中、介護サービス業界においても、海外の人材も含め、人材確保に取り組むことは急務であり、有資格者の確保はとりわけ困難な状況となっている。それらを改善するために、業界では、介護事業に従事することが社会において魅力があり、生きがいを持てる環境造りが求められている。

 

そうした中、同社はデイサービスセンターや有料老人ホームにおいて近隣の一般・健康な高齢者向け健康教室等を開催し、地域の病院、ケアマネージャー、老人会等とネットワークを構築すると共に地域に溶け込む事で、施設の稼働率や入居率の向上を図っていく考え。また、このネットワークを活用して訪問介護ステーションやリハビリステーション(在宅サービス事業)とのシナジーも高めていく。
その成功例ともいえるのが山梨県甲府市での取組み。09年5月にラ・ナシカ甲府を開設、10年には甲府デイサービスを開設した。好評を得て、13年には甲府南デイサービスを開設することとなった。
尚、06年度の介護保険の改定の際に、「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健士又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切ではない」との規制が盛り込まれたため、在宅リハビリには大きな逆風が吹いた。この影響で同社も在宅サービス事業の積極的な活動を控えたが、09年度の改定でこの規制が緩和されたため積極的に在宅リハビリのニーズに応える事が可能となった。
また、施設を集積させる事は3事業のシナジーを高めるだけでなく、理学士等の職員が地元で安定して働く事のできる環境作りにもつながる。

 

【1-3 同社の介護事業の考え方】

リハビリテーションを重視して、永く、元気でその人らしく、健康に暮らすためのお手伝いをしている。
同社におけるリハビリテーションとは、リハビリを頑張れば、将来元気になれる・・・だから頑張るというものではない。今日自分らしく、明日も自分らしく過ごしながら、来月、来年もっと自分自身の力で、自分らしく毎日を過ごす為の準備を行うということを目的としている。
こうした考えから、社会参加などを重視しクラブ活動や外出イベントなどを積極的に行っている。

 

(同社ホームページより)

 

【1-4 事業セグメント】

事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、有料老人ホーム等の施設の入居者を対象にサービスを提供する施設サービス事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活の手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。20/3期の売上構成比は、それぞれ23.0%、66.5%、5.8%。また、その他事業として、福祉用具事業、障害支援事業及び給食事業を展開する(20/3期の売上構成比は4.8%)。
2020年10月31日時点において、107事業所で展開している。

 

同社決算説明資料より)

 

6月には関東地区(千葉市)にケアプランセンターを開設。
介護ニーズの高まりに応え、事業所数は伸び続けている。

 

 

デイサービス事業
デイサービス施設では60~80人規模の大型デイサービス中心に展開している。トレーニングルーム・カラオケ・シアター・大浴場・マッサージ・喫煙ルームなど各個人にあった活動を楽しめるゆとりある空間造りが可能となる。小規模施設では実現が難しい専門スタッフの配置や、充実した設備がある施設を可能にしている。
デイサービスの施設基準は利用者1人当たり3平方メートル以上となっており、リハビリテーションに軸足を置いた施設運営が同社の特色。午前、午後にそれぞれ上級・中級・初心者にコース分けされた80分の個別リハビリテーションを行う。

 

専門スタッフによるリハビリテーション
同社のデイサービスでは、本格的なリハビリテーションを積極的に取り入れている。様々なトレーニングマシーンを使用し、日常生活では使うことの少ない筋肉を動かすことをはじめ、理学療法士や作業療法士など資格をもった専門家が、利用者ひとりひとりの体調に合わせたプログラムを作成し、様々な角度から元気な体づくりをサポートする。

 

選択できる多彩なサービス
豊かな毎日を過ごす為に様々なサービスを選べるのもシダーの特徴。カラオケ・シアター等の設備に加え、外出レクリエーションや各種イベントを随時開催している。施設内にある季節に合わせたディスプレイは、心地よく五感を刺激し、アクティブな時間を演出する。利用者が施設に来ることが楽しみになる環境づくりを行っている。

 

 

施設サービス事業
有料老人ホーム「ラ・ナシカ」は24時間・365日体制で介護スタッフが常駐している。近隣の医療機関との万全の連携・協力体制に加えて、看護師も8時30分から21時30分(一部施設では異なる場合あり)まで勤務しているため、緊急を要する場合でも安心して預けられる体制が整っている。
1階フロアではスタッフがデイサービスと同等のサービスやリハビリテーションを提供、居室では自宅に居るのと同様に訪問リハビリ、訪問看護・ヘルパーのサービスを提供する。
充実のリハビリテーション
「ラ・ナシカ」では全ての施設でリハビリテーションを積極的に取り入れている。充実の施設に加え、専門のリハビリスタッフが、ひとりひとりの体調に合わせた最適なトレーニングメニューをアドバイス。健康な体づくりをサポートする。
自分好みに部屋をコーディネート
「ラ・ナシカ」の居室は、全て個室。プライバシーを考慮し、マンションのような構造になっている。部屋のアレンジはもちろん自由。自分好みの快適な空間で毎日をくつろぐことができる。
仲間との楽しいひと時
フロアへ出て積極的に運動に参加したくなるような環境づくりを行っている。中でも、カラオケルーム・シアタールームは入居者が自由に利用できる大人気の施設。
美味しく栄養豊富な食事
看護師による健康チェック項目に基づいた食事を提供している。また、嗜好やアレルギー、好みのご飯の柔らかさまで個別にオーダーすることが可能。
季節の催し
季節の移ろいを楽しむことも忘れていない。四季を彩るディスプレイは、毎回スタッフの力作。その他にも入居者が楽しめるようたくさんのイベントを企画している。
施設サービス事業は同社の収益を支える屋台骨となっている。入居率は20年10月現在97.6%と高い稼働率。

 

 

在宅サービス事業
「住み慣れた自宅が一番安心できる」そんな声に応える在宅サービス。介護や療養の必要な人が自宅で安心して生活できるよう、理学療法士や作業療法士をはじめとする国家資格者の指導の下、様々なサービスを提供している。
自宅療養を支える訪問看護・リハビリテーション
医師の指示のもと、看護師が自宅で療養している人の世話や診療補助などのケアサービスを行い、在宅療養を続けられるようサポート。ひとりひとりの身体の状態に合わせてリハビリテーション計画を作成。リハビリの専門スタッフが、日常生活訓練や身体機能訓練などを行う。
日常生活を支えるホームヘルプサービス
ホームヘルパーが身体介助サービスや生活援助サービスを提供し、日常生活をお手伝いする。また、全てのヘルパーステーションが訪問看護ステーションと併設されており、緊急時は看護師と連携して対応する。
最適なケアプラン作成
介護サービスを利用するのに必要不可欠となるのがケアプラン。同社では、専門知識はもちろん豊かな人間性を備えたケアマネージャーが、利用者やその家族の意向を伺いながら、最適なケアプランを作成する。

 

【2021年介護報酬改定について】
個別機能訓練加算の統合(案)

同社決算説明資料より)

 

個別機能訓練加算(Ⅰ)から(Ⅱ)を算定できる体制を構築。但し、単位数が令和2年12月10日時点で不明な為、条件によっては見送ることも検討。

 

介護分野の文書に係る主な負担軽減策(案)

(第7回 介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会より)

必要に応じて、書式の見直し、又は、ICT等の活用を行い業務負担軽減に繋げる。

 

区分支給限度基準額の計算方法(検討案)

通所介護及び通所リハビリテーションにおける大規模の報酬が適用される事業所を利用する者の区分支給限度基準額の管理については、通常規模型のサービスを利用する者と大規模サービスを利用する者との公平性の観点から、通常規模型の単位数を用いることを検討してはどうか。

(第192回 介護給付費分科会より)

大規模通所介護施設にとっては、事実上の支給限度額が減額となる為、利用回数の減少に繋がる。

対象の利用者を確認し、利用回数減がどの程度になるかを検証し、対策を実施予定。

 

 

【今後シダーの取り組むこと】
介護職員対策について
■介護職員の確保と定着
・文書に負担軽減策等を受け、ICT等の導入検討し、労働環境改善に取り組む。
・介護福祉士等の資格取得支援。
■外国人雇用
・国内の労働力減少を見据えて、外国人技能実習生受入継続。
⇒21年6月新規受入予定
・新たな在留資格『特定技能』を利用した受入も検討。
・英語マニュアル、規定整備の推進。

 

事業展開について
■事業拡大
・今後も特定施設の公募があれば、積極的に応募予定。
・M&Aの検討。
■既存施設の営業強化
・ケアプランセンター増設を行い、デイサービスセンターとの連携を図る。
20年1月⇒鎌ケ谷ケアプランセンター開設
20年6月⇒花見川ケアプランセンター開設

 

19年3月末ケアマネージャー:68名
⇒20年10月末ケアマネージャー:80名(12名増)
(同社決算説明資料より)

 

 

2.2021年3月期上期決算

(1)連結業績

20/3期 上期

構成比

21/3期 上期

構成比

前年同期比

売上高

7,387

100.0%

7,771

100.0%

+5.2%

売上総利益

829

11.2%

1,138

14.6%

+37.3%

販管費

709

9.6%

588

7.6%

-17.1%

営業利益

119

1.6%

550

7.1%

+359.0%

経常利益

-31

411

5.3%

親会社株主に帰属する四半期純利益

-57

284

3.7%

(単位:百万円)

※数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期比5.2%の増収、経常利益は4億11百万円
売上高は前年同期比5.2%増の77億71百万円。既存施設において施設稼働率を上昇させるため、新規利用者の獲得とサービスの向上に努めた。売上高では、デイサービス事業において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け減収となった。しかし、施設サービス事業では、新規施設「鶴見の郷」がフル稼働となり収益に寄与した。既存店での新型コロナウイルスの影響は軽微で、高稼働率を維持し、全体の売上高増に貢献した。
営業利益は同359.0%増の5億50百万円。
利益面では、事業の伸長に伴う介護職員等の人材を直接雇用にすることで、人件費は増加するも人材派遣や求人費用は低減。また、新規施設が満室となり、広告宣伝費等の開設費用が低減されるなど、経費は減少した。売上総利益率は前年同期11.2%から14.6%に改善した。それに加えて、介護職員の定着化により人材募集費等の経費を抑制することができた。また、販管費においては、前期発生した消費税の追加計上分が解消され、費用の発生が抑えられ、販管費は17.1%減少した。これらにより、営業利益率は前年同期1.6%から7.1%へ大幅に改善した。尚、新型コロナウイルス感染症の流行により福岡県のデイサービス事業の内1事業所で約1ヶ月間閉鎖したが、徐々に利用再開者が増え、回復傾向にある。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

20/3期 上期

構成比

21/3期 上期

構成比

前年同期比

デイサービス事業

1,785

23.2%

1,751

21.3%

-1.9%

施設サービス事業

5,110

66.4%

5,495

66.9%

+7.5%

在宅サービス事業

454

5.9%

470

5.7%

+3.4%

その他

346

4.5%

496

6.0%

+43.4%

全社・消去

-309

-442

 

連結売上高

7,387

100.0%

7,771

100.0%

+5.2%

デイサービス事業

188

24.7%

151

14.1%

-20.0%

施設サービス事業

565

74.1%

887

83.0%

+57.0%

在宅サービス事業

-32

-33

その他

40

5.2%

64

6.0%

+60.0%

連結調整

-642

-518

連結営業利益

119

100.0%

550

100.0%

+359.0%

(単位:百万円)

 

デイサービス事業
売上高は前年同期比1.9%減の17億51百万円、セグメント利益は同20.0%減の1億51百万円。既存デイサービス施設のサービスの質の向上により施設稼働率の向上に努めてきた。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により、利用を控える利用者が増え、福岡県では1事業所で約1ヶ月間閉鎖と影響が発生した。

 

施設サービス事業
売上高は前年同期比7.5%増の54億95百万円、セグメント利益は同57.0%増の8億87百万円。既存有料老人ホームの入居者獲得に注力し、入居率の向上に努めた。増収の内訳は、「鶴見の郷」が1億58百万円、既存施設の稼働率向上により2億27百万円。

 

在宅サービス事業
売上高は前年同期比3.4%増の4億70百万円、セグメント損失は33百万円(前年同期は32百万円の損失)。利用契約者の新規開拓、利益率改善のため人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力した。ケアプラン事業所増加に伴い、増収となった。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

20年3月

20年9月

 

20年3月

20年9月

現預金

870

829

仕入債務

205

223

売上債権

2,563

2,666

短期有利子負債

3,742

4,470

流動資産

3,640

3,668

長期有利子負債

9,873

9,446

有形固定資産

11,785

12,382

負債

16,913

17,261

無形固定資産

78

78

純資産

1,268

1,507

投資その他

2,677

2,619

負債・純資産合計

18,181

18,768

固定資産

14,540

15,080

有利子負債合計

13,615

13,916

※有利子負債=借入金+リース債務(長期のみ)
(単位:百万円)

 

上期末の総資産は、前期末比5億86百万円増加して187億68百万円となった。その内訳は、流動資産の増加28百万円、固定資産の増加5億39百万円によるもの。負債は前期末比3億47百万円増加して172億61百万円となった。その内訳は、流動負債の増加7億58百万円、固定負債の減少4億10百万円によるもの。純資産は前期末比2億39百万円増加して15億7百万円となった。その内訳は、利益剰余金の増加2億38百万円によるもの。
自己資本比率は8.0%(前期末7.0%)となった。

 

キャッシュ・フロー

20/3期 上期

21/3期 上期

増減

前期比

営業キャッシュ・フロー

88

534

+446

+505.2%

投資キャッシュ・フロー

-127

-835

-708

フリー・キャッシュ・フロー

-39

-301

-262

財務キャッシュ・フロー

-82

260

+342

現金及び現金同等物上期末残高

690

829

+139

20.1%

(単位:百万円)

 

21/3期上期末の現金及び現金同等物は、前年同期末比139百万円増加して8億29百万円となった。
営業CFは5億34百万円の収入、その主な内訳は、収入要因として税金等調整前当期純利益4億11百万円、減価償却費3億8百万円、支出要因として、売上債権の増加額1億20百万円によるもの。
投資CFは8億35百万円の支出、その主な内訳は、有形固定資産の取得による支出8億22百万円によるもの。
財務CFは2億60百万円の支出、その主な内訳は、支出要因として、短期借入金の返済による支出9億20百万円、長期借入金の返済による支出3億85百万円、収入要因として、短期借入れによる収入17億4百万円によるもの。

 

3.2021年3月期業績予想

(1)連結業績

20/3期 実績

構成比

21/3期予想

構成比

前期比

売上高

15,132

100.0%

15,630

100.0%

+3.3%

営業利益

549

3.6%

879

5.6%

+60.0%

経常利益

257

1.7%

599

3.8%

+133.2%

親会社株主に帰属する当期純利益

209

1.4%

385

2.5%

+83.7%

(単位:百万円)

 

21/3期は3.3%増収、133.2%経常増益を計画
21/3期は売上高が前期比3.3%増の156億30百万円、経常利益は同133.2%増の5億99百万円を見込む。新型コロナウイルス感染症拡大の影響から合理的に算定することが困難であったことからこれまでは未定としていたが、現時点で入手可能な情報に基づき業績予想を算定した。デイサービス事業において新型コロナウイルスの感染懸念による利用控えと一部デイサービスでのクラスター発生に伴う事業所休止等の影響はあったが、現時点でのデイサービスの利用控えは収束傾向にあり、休止中の事業所はない。また、施設サービス事業においては、引き続き高稼働率を維持しており、施設内での感染症の集団感染等が発生しないことを前提に業績予想を算定した。
配当についてもこれまで未定としていたが公表し、前期比2.0円増配となる6.0円の期末配当を見込む。

 

 

今後の事業展開 計画地域

(同社資料より)

 

(2)新型コロナへの対策

「感染症対策委員会」を設置。引き続き厚生労働省通知や自治体の指導に基づき感染症防止に努める。
1.感染症防止策の実施
2.利用者・入居者の体調管理
3.入館制限
4.オゾン発生器の導入

(同社資料より)

 

 

4.今後の注目点

21/3期上期はデイサービス事業において不透明感が漂っていたものの、施設サービス事業が牽引し増収、各利益は大幅な改善となった。20/3期からそれまで取り組んだ利用単価の上昇への施策が反映されて、利益率が向上していた。今上期にはこれらの取り組みの成果に加え、介護職員の定着化に伴う人材募集費等の縮小も増益に寄与したようだ。今回開示した通期業績予想で「現時点で入手可能な情報に基づいて当社が判断しており、潜在的なリスクや不確実性が含まれます。実際の業績等は、今後の様々な内外要因の変化によって、当連結業績予想と乖離する可能性があり、予想の修正が必要な場合には速やかに公表いたします。」と会社側は下方修正をほのめかす注釈を添えているが実際は大きく上回る可能性が高いだろう。増配予想にもその自信のほどが見て取れる。様々なサービス業が苦戦する中で、相対的に介護サービス業は新型コロナの影響は限定的。むしろ人材募集費等の縮小などを通じ、対利益についてはメリットが生じている印象。コロナ禍の中、介護業界の淘汰が進む可能性もあり、こうした面ではM&Aの機会もありそう。こうした中、PERは10倍程度にとどまっており、株価には見直し余地がありそうだ。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態 監査役会設置会社
取締役 5名、うち社外1名
監査役 3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2020年6月29日

 

<基本的な考え方>
当社は、社会的ニーズである介護サービスを中心として、リハビリテーションを中心としたサービスを積極的に行い、より人間らしく生きるために積極的な生活支援を行うことにより、社会に貢献することであります。
当社は、これらの企業理念の実現のため、コーポレート・ガバナンスについて、当社の利害関係者と良好な関係を構築するに当たっての重要事項と考えております。当社の意思決定や行動が法令や市場のルールに反していないかという適法性を重視するだけでなく、社会に貢献しているか、社会の要請に反していないかという企業の社会性も重視しています。そして、コーポレート・ガバナンスが適確に機能するためには、徹底した透明性が必要であると考えております。法令等で義務付けられた範囲に限定することなく、株主や投資家をはじめ、従業員、地域社会や顧客に対して積極的に情報開示を行っていく考えです。当社のコーポレート・ガバナンス体制の概要は以下のとおりであります。
取締役会においては、取締役5名のうち社外取締役(非常勤)を1名選任しており、業務執行の迅速な意思決定や透明性を維持する組織を構築しております。
また、当社は、平成30年6月29日現在、会社法第2条第6号に定める大会社には該当しておりませんが、コーポレート・ガバナンスの一層の強化を図ることを目的として、監査役会を設置しております。監査役会においては、監査役の独立性と客観性を確保するため、監査役3名のうち社外監査役(非常勤)を2名選任し、取締役会の業務執行の監督・監視機能を強化しております。
内部監査につきましては、社長の直轄組織として内部監査室(5名)を設置しており、当社各事業部門が関係法令や社内規程を順守し、適切な運営がなされているか監査・指摘・検証を行っております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、JASDAQ上場会社としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記載している。

 

株式会社インベストメントブリッジ
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