(4205)日本ゼオン 電池材料等堅調な分野の牽引が鍵

2020/11/20

 

 

 

田中 公章 社長

日本ゼオン株式会社(4205)

 

 

企業情報

市場 東証1部
業種 化学
代表取締役社長 田中 公章
所在地 東京千代田区丸の内1-6-2
決算月 3月末日
HP http://www.zeon.co.jp/index.html

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を含む)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,295円

237,075,556株

307,012百万円

7.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

21.00円

1.6%

59.45円

21.8円

1,176.87円

1.1倍

*株価は11/9終値。発行済株式数DPS、EPSは21年3月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2017年3月

287,624

30,767

31,805

23,152

104.31

16.00

2018年3月

332,682

38,881

40,893

13,056

58.81

17.00

2019年3月

337,499

33,147

36,319

18,458

84.06

19.00

2020年3月

321,966

26,104

28,744

20,201

92.44

21.00

2021年3月(予)

275,000

16,000

19,000

13,000

59.45

21.00

*単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。

 

日本ゼオンの2021年3月期第2四半期決算概要などについてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期第2四半期決算概要
3.2021年3月期業績予想
4.中期経営計画 SZ-20 PhaseⅢの進捗
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>
付属:Fact Sheet

今回のポイント

  • 21年3月期第2四半期の売上高は前年同期比259億円減収の1,374億円。米中貿易摩擦、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大等による経済悪化の影響を受けエラストマー素材が206億円の減収。一方光学フィルム販売が堅調であったため高機能材料は10億円の増収。営業利益は同51億円減益の99億円。エラストマー素材は51億円の減益、高機能材料は5億円の増益。20年7月公表の上期予想を売上、利益とも上回った。高機能材料セグメントの第2四半期(7-9月)は過去最高の売上高・営業利益となった。 
  • 21年3月期の通期業績予想を発表した。売上高は前期比14.6%減の2,750億円、営業利益は同38.7%減の160億円の予想。配当は前期と同じく21円/株の予定。予想配当性向は35.3%。 
  • 下期の売上は上期同水準ながらも、営業利益は前年度下期および上期を大きく下回る見通しで、引き続き厳しい環境が続くと予想している。ただ、第2四半期(7-9月)の景況感は、withコロナの中、第1四半期に大きく下振れした合成ゴムが横這いに転じたほか、電池材料も上向きになっており、短期的には底を入れたようである。 
  • 欧州で再びロックダウンが始まるなど、不透明感は残るが、エラストマー素材が低位横這いの中、高機能材料が光学フィルム、電池材料など堅調な分野中心にどこまで牽引していくかを注目したい。 

1.会社概要

自動車部品やタイヤに使用される合成ゴムや、医療用手袋等に使用される合成ラテックスを始めとして、世界的な高シェア製品を多数保有する石油化学メーカー。独創的な技術開発力とそれを生み出す研究開発体制、高い収益性などが強み。
自動車部品、タイヤ、ゴム手袋、紙おむつ、携帯電話、液晶テレビ、香水など身の回りにある多種多様な製品に同社が製造する製品(素材)が使用されている。
グループは、同社および子会社60社、関連会社8社で構成されており、世界16か国に生産、販売拠点を有している。

 

 

 

(同社資料より)

 

【1-1社名と経営ビジョン】

「ゼオ」(Geo)はギリシャ語で大地、「エオン」(Eon)は永遠を意味し、その合成語「ゼオン」には「大地から原料を得て永遠に栄える」という意味が込められており、世界に誇り得る独創的技術によって、地球環境と人類の繁栄に貢献することを経営理念として掲げている(設立時は資本及び技術提携先であった米国B.F.グッドリッチ社の塩化ビニル樹脂製品の商標「Geon」を取って社名としていたが、1970年の資本関係解消を機に表記を「Zeon」と改めた)。

 

【1-2沿革】

同社は、古河電工、横浜ゴム、日本軽金属の古河系3社の共同出資により、米国B.F.グッドリッチ・ケミカル社との提携による塩化ビニル樹脂製造技術の導入を前提として、1950年4月に設立された。
1951年にB.F.グッドリッチ・ケミカル社が35%の株式を取得し、技術及び資本の全面提携が成立し、翌1952年に日本で初めて塩化ビニル樹脂の量産を開始した。
1959年にはB.F.グッドリッチ・ケミカル社から合成ゴム製造技術を導入し、日本で初めて量産を開始。自動車向け需要の増大に対応し、生産設備を拡大していく。

 

1965年にはC4留分からブタジエン(合成ゴムの主原料)を効率よく製造する同社の独自技術であるGPB(ゼオンプロセスオブブタジエン)法による生産を開始した。
B.F.グッドリッチ・ケミカル社が事業の中核を塩化ビニル樹脂事業にシフトするのに伴い、特殊合成ゴム事業を譲り受け、1970年資本提携も解消へ。これに伴い1971年に英文社名をGeonからZeonに変更した。
同じく1971年にはC5留分から高純度のイソプレンや石油樹脂、合成香料の原料などを抽出する独自技術GPI(ゼオンプロセスオブイソプレン)法を開発し生産を開始。

 

1980年代に入り、合成ゴムに加えて、フォトレジストなどの情報材料、合成香料、メディカル分野など新規事業への展開を積極化させていく。
1984年、現在では世界シェアトップとなった水素化ニトリルゴムZetpol®を高岡工場で生産開始。
1990年、GPI法によって抽出、合成された高機能材料事業の主要製品であるシクロオレフィンポリマーZEONEX® を水島工場で生産開始。
1993年、電子材料事業で中国に進出した。
1999年にはゼオン・ケミカルズ(米国、現 連結子会社)が、グッドイヤーから特殊ゴム事業を買収し、特殊ゴム分野で世界トップメーカーとなる布石を打つ。

 

2000年、水島工場での塩化ビニル樹脂生産を打ち切り、創業事業の塩化ビニル樹脂事業から撤退した。
21世紀に入り、LCD用光学フィルムゼオノアフィルム®の上市、グローバル生産・販売体制の強化、シンガポールにおける溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)の商業運転開始、富山県氷見市のLCD用光学フィルム設備を増強、世界初 スーパーグロース・カーボンナノチューブの量産工場稼働、住友化学とS-SBR生産販売のための合弁会社設立など、積極的な事業展開を進めている。

 

【1-3事業内容】

同社の主要製品は、原油を蒸留分離して得られるナフサを熱して抽出される炭素数の異なる様々な抽出物を原材料としている。ナフサを熱すると、順次、一酸化炭素ガス(C1)、エチレン(C2)、プロピレン(C3)が抽出される。
同社は、プロピレン(C3)を抽出した後のC4留分から独自開発のGPB法によって抽出したブタジエンや、その後のC5留分からGPI法によって抽出したイソプレン・モノマーピペレリンジシクロペンタジエン、2-ブチン等を原材料に加工を行い、合成ゴム、合成ラテックスを始めとした各種素材を生産している。

 

(同社資料より)

 

生産した素材そのものを顧客に販売する素材型ビジネスが中心の「エラストマー素材事業」、素材を同社において一次加工し顧客に販売する部材型ビジネスが中心の「高機能材料事業」、「その他の事業」がある。

 

*いずれも2020年3月期実績。消去、全社前の構成比。

 

<エラストマー素材事業> 
「エラストマー」とは、「ゴムのように弾性に富む高分子化合物の総称」(三省堂 大辞林より)で、合成ゴムがその代表例である。沿革にあるように同社は1959年に日本で初めて合成ゴムの量産を開始しており、同事業は会社の基盤を支える事業である。内訳としては大きく、合成ゴム事業、合成ラテックス事業、化成品事業(石油樹脂、熱可朔性エラストマー)に分類される。

 

➀合成ゴム事業
<製品例:タイヤ>
世界トップクラスの品質を誇るタイヤ用合成ゴムを、世界の主要タイヤメーカーに納入している。製造している合成ゴムの種類には、耐摩耗性・耐老化性・機械的強度特性に優れるスチレンブタジエンゴム(SBR)、弾性・摩耗性・低温特性のバランスに優れるブタジエンゴム(BR)、天然ゴムとほぼ同様の特性をもち品質安定性に優れるイソプレンゴム(IR)等がある。
今後はSBRの特性を更に改良した低燃費タイヤ用のS-SBRの需要が急速に拡大すると見込んでおり、これに対応した供給能力増のため、シンガポール工場の第1系列が2013年9月、第2系列も2016年4月に稼働を開始した。シンガポール工場の供給能力は7万トンとなっている。

 

<製品例:自動車用部品>

(同社資料より)

 

自動車エンジンにおいては、ラジエーターホース、フューエルホース、タイミングベルト、オイルシールなどの各部品において耐油性、耐熱老化性に優れた特殊合成ゴムが用いられている。

 

世界No.1の特殊合成ゴムメーカーである同社はその品質の高さを評価されており、自動車用特殊合成ゴムの中で高いシェアを有している。中でも、タイミングベルト用の水素化ニトリルゴムZetpol®は耐熱性、耐油性、機械的強度特性に優れており、世界で高いシェアを占めている。
また従来品の性能を大きく向上させたZetpol®の新製品を開発した。これは従来製品比で+10℃も耐熱性を改善させたもので、従来のシール・ガスケット部品の長寿命化に対応できるだけでなく、次世代バイオ燃料を用いたエンジン向けにも需要が拡大すると見込んでいる。さらに、押出加工性が良好であることからホース用途にも展開が広がってきた。顧客の評価も上々で、高価なゴムの代替材を中心として、国内、アジア、欧米で採用が進んでいる。

 

➁合成ラテックス事業
合成ラテックスとは、合成ゴムを水中に分散させた液状ゴムのことで、ゴム手袋をはじめ、紙加工、繊維処理、接着剤、塗料、化粧パフ等に使用される。化粧用パフ用アクリロニトリルブタジエン(NBR)ラテックスは世界でも高いシェアを有している。

 

➂化成品事業
C5留分から製品化を行う同社独自のGPI法により粘着テープ・ホットメルト接着剤用素材、トラフィックペイント用バインダー等、幅広い製品化を行っている。

 

<高機能材料事業>
独創的技術である高分子設計や加工技術によって、高付加価値を有した材料・部材を扱っている。
光学樹脂関連及び光学フィルムなど高機能樹脂事業と、電池材料、化学品、電子材料、トナーなど高機能ケミカル事業、メディカルデバイス事業からなる。

 

➀高機能樹脂事業
◎光学樹脂関連及び光学フィルム
GPI法によってC5留分から抽出、合成されたシクロオレフィンポリマーは、独自技術で開発した熱可塑性プラスチックで、製品としてZEONEX® とZEONOR®がある。
ZEONEX®は高透明性、低吸水性、低吸着性、耐薬品性を活かして、カメラレンズやプロジェクターレンズなどの光学部品、シリンジやバイアルなどの医療用容器に使用されている。
ZEONOR®は高透明性や転写性、耐熱性等を活かし、透明汎用エンプラとして、導光板や自動車部品、半導体容器などの幅広い分野で使用されている。

 

シクロオレフィンポリマーから、世界初の溶融押出法で開発された光学フィルムがゼオノアフィルム®で、光学特性、低吸水・低透湿、高耐熱性、低アウトガス、寸法安定性に優れ、液晶テレビやスマートフォン、タブレット端末のディスプレイに使用されているほか、有機ELディスプレイなど幅広い用途での利用が期待されている。

 

(同社資料より)

 

また、同社では世界で初めて「斜め延伸位相差フィルム」を開発し、生産している。
有機ELの光反射防止フィルムとしての採用も進んでおり、今後も中小型用フラットパネルディスプレイ向けの需要拡大が見込まれる。同社の光学フィルムは、富山県高岡市および氷見市、福井県敦賀市の3拠点で生産している。

 

他にも、携帯電話、スマートフォン、液晶テレビ用途に代表される、電子デバイス向け塗布型有機絶縁材料ZEOCOAT®がある。ZEOCOAT®は、透明性が高く、吸水性が非常に低いほか、膜からガス成分を発生しにくいためディスプレイの画質と信頼性の向上を同時に達成することができる。
今後、液晶に比べ薄く成型できる有機ELディスプレイ向けに拡販を積極的に進めるとともに、新しい半導体を用いた薄膜トランジスタやフレキシブルディスプレイ用の絶縁材料での採用を目指している。

 

◎電池材料
リチウムイオン電池用材料として負極及び正極、機能層(耐熱セパレータ―)用バインダー、シール剤を供給している。
現在、リチウムイオン電池はスマートフォン、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源として広く使用されており、その高容量化は強く求められている。
さらに、軽量・小型でありながら、大きなエネルギーを蓄えられることから、ハイブリッドカー、プラグインハイブリッドカー、電気自動車向け、スマートグリッドなどの産業電源向けでの採用が拡大しているが、一方で、高温下で使用した場合、寿命が低下しやすいといった課題があった。
同社は、リチウムイオン電池バインダーの高機能化を進め、正極用バインダーとして寿命の低下抑制に大きく貢献する水系機能性バインダーの開発に成功し、また、リチウムイオン電池の蓄電容量を従来比5~15%上げられる負極用バインダーの製品化にも成功した。
正極・負極・機能層(耐熱セパレータ―)用バインダー及びシール剤はリチウムイオン電池の「安全性」、「寿命」、「電池容量アップ」に寄与し、電気自動車の普及に貢献するものと考えている。
リチウムイオン電池の将来性に注目し、早くから取り組んできた同社では、エナジー用部材事業の2020年のありたい姿として、「リチウムイオン電池バインダー市場でのトップシェアを維持」するとともに、急速充電など自動車用途でのニーズに応えた新しい材料機能の普及拡大や次世代の新しい電池の実現に向けた機能性材料の提案ができることを目指している。

 

(同社資料より)

 

◎化学品
C5留分より得られる原料を活用して食品・香粧品用の合成香料や、特徴ある溶剤及び植物調整剤などの特殊化学品を扱っている。
グリーン系の合成香料では世界一のシェアを有している他、医農薬中間体の原料やフロン代替用途などの溶剤・洗浄剤・ウレタン発泡剤及び機能性エーテル溶剤など、幅広い産業分野に特徴ある製品を供給している。

 

②メディカルデバイス事業
メディカルデバイス市場は、景気の影響が少なく、また日本における高齢化の進行と新興国の市場拡大で成長が見込まれる一方、医療機器の製造・販売会社に対する法的要件が厳格であるほか、薬事承認申請作業が必要で、医療従事者との関係作りが不可欠であること等から参入障壁が高く、魅力的な市場であると同社では考えている。
同社は、1974年に人工腎臓の開発を開始したのを皮切りにメディカルデバイス事業を積極的に推進し、1989年に子会社ゼオンメディカル株式会社を設立し、同社グループ内で開発・製造・販売・薬事のすべての分野における対応が可能な体制を構築している。
消化器系製品では、胆道結石除去用の差別化製品である「オフセットバルーンカテーテル」、国産初の胆管カバードステント「ゼオステントカバード」、また循環器系製品では、急性心筋梗塞時等に心臓の拍動を補助するデバイスとして、世界最細径の「ゼメックス IABPバルーンプラス」など、豊富な開発実績を有している。

(同社資料より)

 

現在注力しているのが、胆道結石による痛みからの解放につなげる結石除去デバイスである。
同社の開発製品であるゼメックスクラッシャーカテーテル、ゼメックスバスケットカテーテルNT、エクストラクションバルーンカテーテルなど、巨大結石から胆泥・胆砂まであらゆる胆道結石を除去できるデバイスをラインアップしており、結石除去デバイス全体で50%のシェア獲得を目指す。また、2016年3月には、ガイドワイヤータイプとしては世界初の光センサー型FFR(※)デバイスを上市した。光ファイバー型センサーであることから血圧測定のズレが起こりにくい。ガイドワイヤーとしての操作性も高い評価を得ている。

 

※FFR:冠動脈の診断および治療において、病変の重症度を定量的に評価し治療戦略を決定するための冠血流予備量比のこと。

 

【高機能新規素材開発例 ~カーボンナノチューブ(CNT)~】
積極的な研究開発によって様々な新素材を世の中に送り出してきた同社だが、今後大きな成長が期待されるのが「単層CNT」だ。

 

①単層CNTとは?
1993年、独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研) ナノチューブ応用研究センター長の飯島 澄夫博士によって世界で初めて蜂の巣上の炭素原子が網目のように結び付いた、筒状分子構造の物質が発見され、「カーボンナノチューブ(CNT)」と命名された。その構造により、単層CNTと多層CNTに大きく分類できる。多層CNTは比較的生産が容易であることから国内外において実用化への応用開発が推進されている。

 

(同社資料より)

 

一方、単層CNTは、「鋼の20倍の強度」、「銅の10倍の熱伝導性」、「アルミの半分の密度」、「シリコンの10倍の電子移動度」など、「軽量かつ高強度でありながら高い柔軟性を持つ」、「電気や熱伝導性が極めて高い」といった、多層CNTを上回る優れた特性を持つ。
例えば、リチウムイオン電池の導電助剤への展開、高い伸縮性や強度を持つことから、電子ペーパーや超薄型タッチパネル用の透明導電膜のほか、放熱材料への利用なども考えられている。また、広帯域の光を吸収できる特性があるため、電磁波吸収材としての実用化研究も進んでおり、エネルギー分野、エレクトロニクス分野、構造材料分野、高機能材料分野等、幅広い場面での応用が見込まれている。

   

(ゼオンナノテクノロジー(株) HPより) 

 

しかし、従来の単層CNTは、不純物が多く、且つ生産性が低いために、製造コストが高く1g当たり数万~数十万円もしているのが大きな課題であった。

 

②同社の取組み&位置づけ
このような背景の中、低炭素社会の実現というグローバルな社会的要請に応え、日本で発見された数多くの優れた特性を持つ単層CNTを応用した新製品を世界に先駆けて事業化、工業化するための技術の確立に取り組んでいる。
同社と産総研が、「スーパーグロース法」という2004年に産総研 畠賢治博士らによって開発された合成技術をベースにして、産総研のつくばセンター敷地内に2010年12月に開設した実証プラントで量産化に向けた研究開発および供給(2011年4月から、産総研より量産品のサンプル供給を開始)を担当し、複合材料の用途開発を上記の研究組合が進めている。
産総研 ナノチューブ応用研究センターが量産化のためのパートナーに同社を選定したのは、同社の荒川公平氏(前取締役常務執行役員)がCNT研究開発者として豊富な実績と成果を有していた事が大きな理由だということであり、単層CNT実用化プロジェクトにおける同社の重要性は大変大きなものである。

 

③今後の展開
スーパーグロース法を基にした量産化技術を確立した同社は、2015年11月、山口県周南市の徳山工場内に量産プラントを竣工させ、世界初の量産を開始した。単層CNTの量産化技術を確立しているのは世界でも同社のみであり、国内外約100社から問い合わせが来ており、順次サンプル出荷を行っており、同社自らも他社に対し用途提案も行っている。
一方、単層CNTは、ナノ材の一種でありそのサイズが極めて小さい事、形状が繊維状であることから化学的な特性以外に、サイズや形状によって生体への侵入などによる影響があるのではないかという懸念も指摘されている。
現在、産総研を中心に評価手法の標準化、OECDのエンドポイント測定等の取組みが進められており、国際標準化、法規制化が順次行われると考えられている。

 

<その他の事業>
反応射出成形法(RIM成形法)で使用されるジシクロペンタジエンを原料としたRIM配合液を取り扱っている。

【1-4 ROE分析】

 

14/3期

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期

ROE(%)

11.7

9.8

8.6

10.3

5.3

7.2

7.9

 売上高当期純利益率(%)

6.63

6.20

6.12

8.05

3.92

5.47

6.27

 総資産回転率(回)

0.82

0.80

0.75

0.72

0.78

0.79

0.78

 レバレッジ(倍)

2.15

1.98

1.86

1.77

1.71

1.66

1.62

 

売上高当期純利益率、レバレッジともに低下傾向にあることからROEは日本企業が一般的に実現すべきと言われている8%を下回っている。高機能材料セグメントの成長を中心とした収益性の向上が期待される。

 

【1-5特長・強み】

1.世界トップクラスの独創的な技術開発力
C4留分からブタジエンを製造するGPB法は戦後の日本化学史上トップクラスの技術開発であり、アメリカ、韓国を始め世界19か国49プラントに技術供与している。
また、C5留分から高純度のイソプレンや石油樹脂、合成香料の原料などを製造するGPI法も同社オリジナルで、水島工場が世界で唯一の抽出プラントであり、他社には技術供与していないオンリーワンの技術である。

 

この2つの技術に代表される独創的な技術開発力が同社の大きな強みであり、世界的に高く評価されており、国内外で数々の賞を受賞している。技術関係では、GPB法、GPI法はもちろんのこと、1960年から現在までに48の賞を、環境・安全関係では1982年から現在までに26の賞を受賞している。

 

2.世界的な高シェア
Zetpol®、ZEONEX®、ZEONOR®に代表される同社の独創的技術から生み出された様々な製品は、世界的に高いシェアを獲得している。これ以外にも、化粧品や食品フレーバーに使用されるリーフアルコール、化粧用パフ用NBRラテックスなども「世界No.1」製品となっている。

 

3.独創的な技術を生み出し続ける研究開発体制
「特定の得意分野で独創的技術を開発し、世界一事業を創出して社会に貢献する。」との基本理念に基づき、研究開発に取り組んでいる。
主要研究拠点は神奈川県川崎市にある「総合開発センター」だが、製造現場に近いところで研究開発を行うことが効率的であるとの考えから、高岡工場に精密光学研究所およびメディカル研究所を、米沢工場に化学品研究拠点を、徳山工場にトナー研究所を、水島工場に化成品研究室を設立した。また海外では、アメリカ・ドイツ・シンガポール・中国に技術サポート拠点を有している。

 

研究員は現状に満足することなく、適度な危機感を保ちつつ、研究にあたっているということだ。また会社も加点主義に基づく評価を行い、スピードと独創性を重視している。R&D費について従来は対売上高比を基準としていたが、安定的な研究開発を継続していくため、今後は年間160億円程度を目途にしていく考えだ。

2.2021年3月期第2四半期決算概要

(1)連結経営成績(累計)

 

20/3期2Q

構成比

21/3期2Q

構成比

前年同期比

予想比

売上高

163,358

100.0%

137,415

100.0%

-15.9%

+5.7%

売上総利益

47,361

29.0%

40,524

29.5%

-14.4%

販管費

32,341

19.8%

30,610

22.3%

-5.4%

営業利益

15,020

9.2%

9,913

7.2%

-34.0%

+41.6%

経常利益

16,045

9.8%

10,939

8.0%

-31.8%

+36.7%

四半期純利益

11,550

7.1%

8,182

6.0%

-29.2%

+48.8%

*単位:百万円。予想比は20年7月公表分に対する増減。

 

減収減益
売上高は前年同期比259億円減収の1,374億円。米中貿易摩擦、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大等による経済悪化の影響を受けエラストマー素材が206億円の減収。一方光学フィルム販売が堅調であったため高機能材料は10億円の増収。
営業利益は同51億円減益の99億円。エラストマー素材は51億円の減益、高機能材料は5億円の増益。
原料調達や生産において新型コロナウイルスの影響は見られない。
20年7月公表の上期予想を売上、利益とも上回った。
高機能材料セグメントは上期決算としては過去最高益となった。

 

(2)セグメント別動向(累計)

 

20/3期2Q

21/3期2Q

前年同期比

売上高

     

エラストマー素材事業

91,920

71,271

-22.5%

高機能材料事業

45,471

46,505

+2.3%

その他

27,015

20,585

-23.8%

調整

-1,048

-946

合計

163,358

137,415

-15.9%

営業利益

     

エラストマー素材事業

5,967

829

-86.1%

高機能材料事業

9,189

9,747

+6.1%

その他

1,170

459

-60.8%

調整

-1,305

-1,122

合計

15,020

9,913

-34.0%

 

*単位:百万円。

 

【エラストマー素材】
減収・減益。
売上高は前年同期比206億円減収の713億円。国産ナフサなど主原料価格は底を打った一方で、用途毎に濃淡あるが自動車産業向けや一般工業品用途向けの特殊ゴムの需要は依然弱含みが続いており、市況回復の足取りは重い。
ラテックスは医療・衛生用手袋向けは堅調だが、一般工業品用途向けは依然として低調。
化成品は、需要は底堅いものの、市況は弱含んでいる。
営業利益は同51億円減少の8億円。原料価格底入れはプラスに働いたが、新型コロナウイルスによる出荷減、アジアの市況悪化などが影響した。

 

【高機能材料】
増収・増益。
売上高は前年同期比10億円増収の465億円。高機能ケミカル関連全体では減収。電池材料の荷動きは未だ鈍く、トナーは新型コロナウイルスの影響等で需要が減少した。化学品はほぼ横ばい。
一方、高機能樹脂関連は光学フィルムが堅調で、高機能樹脂全体では増収。
営業利益は同5億円増の97億円。価格低下があったが、出荷量の増加、工場稼働率の上昇、原料価格低下などがプラスに寄与した。

 

(品目別動向)
*電池材料
出荷量は前年同期比12%の減少。前期比2%の増加。
EV向けは、完成車需要が回復してきているが、サプライチェーンに滞留していた在庫消化に、欧州における自製化の動きが重なり荷動きは鈍い。前年同期比22%の減少、前期比で8%の減少。
EV向け以外は、同5%の数量増。前期比でも19%の増加。テレワークを背景としたモバイル端末向け用途、家庭用クリーナー等のパワーツール向け用途が堅調だった。産業用途(ESS)も落ち込みなく推移した。

 

*光学樹脂
出荷量は前年同期比7%の減少。前期比21%の減少。
光学用途向けが前年同期比1%減、前期比10%増。2021年7月完工に向けた能力増強工事と同年に予定されている定期検査に伴う計画停止に向けて、出荷量を調整している。需要は堅調である。
医療その他向けは、前年同期比11%の減少。前期比33%の減少。現地在庫との兼ね合いで短期的に前期を下回ったが、医療用途向けは堅調。光学用途同様、供給はタイトな状況である。

 

*光学フィルム
出荷量は前年同期比13%増加、前期比14%の増加。
中小型向けはテレワークを背景としたモバイル端末向けの需要が堅調。
大型向けは東京オリンピック、パラリンピック延期による需要減を折り込んだが、新型コロナウイルスによる巣ごもり需要に加え、中国市場向けが伸びて出荷量は前年を上回った。

 

【その他】
減収・減益。
新型コロナウイルスの影響で商社部門の販売、RIM事業ともに低調だった。

 

(3)財政状態

◎主要バランスシート

 

20/3月末

20/9月末

増減

 

20/3月末

20/9月末

増減

流動資産

214,447

198,852

-15,595

流動負債

112,410

93,832

-18,578

現預金

32,029

35,467

+3,438

買入債務

65,691

50,677

-15,014

売上債権

71,332

59,991

-11,341

短期借入金

10,960

10,960

0

棚卸資産

73,203

71,687

-1,516

固定負債

32,363

31,596

-767

固定資産

190,684

196,457

+5,773

長期有利子負債

10,000

10,000

0

有形固定資産

114,791

117,168

+2,377

負債合計

144,773

125,428

-19,345

無形固定資産

3,669

3,491

-178

純資産

260,358

269,880

+9,522

投資その他の資産

72,224

75,798

+3,574

自己資本

257,217

266,981

+9,763

資産合計

405,131

395,308

-9,823

負債・純資産合計

405,131

395,308

-9,823

*単位:百万円。売上債権には電子記録債権を、買入債務には電子記録債務を含む。

 

売上債権、棚卸資産減などで流動資産は前期末に比べ155億円減少。光学フィルム生産設備増設、投資有価証券増などで固定資産合計は同57億円増加し、資産合計は同98億円減少した。
負債合計は買入債務減等で同193億円減少。利益剰余金の増加などで純資産は同95億円の増加。
この結果自己資本比率は67.5%と前期末より4.0ポイント上昇した。D/Eレシオは0.08で前期末から変わらず。

 

 

3.2021年3月期業績予想

(1)業績予想

 

20/3期

構成比

21/3期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

321,966

100.0%

275,000

100.0%

-14.6%

50.0%

営業利益

26,104

8.1%

16,000

5.8%

-38.7%

62.0%

経常利益

28,744

8.9%

19,000

6.9%

-33.9%

57.6%

当期純利益

20,201

6.3%

13,000

4.7%

-35.6%

62.9%

*単位:百万円。

 

減収減益
通期予想を公表した。売上高は前期比14.6%減の2,750億円、営業利益は同38.7%減の160億円の予想。
配当は前期と同じく21円/株の予定。予想配当性向は35.3%。

 

 

(2)今後の対応

新型コロナウイルスの感染拡大や米中関係の緊迫化等、世界経済をめぐる不安要因は拭えず、「緊急対策本部」が主体となって、引き続き不測の事態への対応を継続する。
国内外全ての事業所、製造拠点において感染予防を徹底し、引き続きサプライチェーンの維持及び従業員やその家族等の健康・安全の確保に努める。

 

4.中期経営計画 SZ-20 PhaseⅢの進捗

2018年3月期を初年度とする4年間の「中期経営計画 SZ-20 PhaseⅢ」の進捗状況は以下の通り。

 

(1)全社戦略

成長

 

オールゼオンの強みを組み合わせる『深化』と、壁を越えて外部と連携する『探索』によって、世界中にソリューションを提供し、社会に貢献する。

『重点開発領域』での新事業創出、新製品開発を加速する。

重点開発領域として、地球環境、スマート化、健康と生活を挙げている。

風土 多様な考え方を活かし、まずやってみて、前向きに行動することを尊重する組織風土を育成する。

 

重点開発領域としては、成長可能性およびイノベーションの発生確率の高い領域として「地球環境(省エネ、自動車関連、発・蓄電など)」、「健康と生活(自動運転、医療機器・素材、生活関連など)」、「スマート化(IoT関連)」を挙げている。

 

◎セグメント別戦略

 

エラストマー素材事業

 

高機能材料事業

 

成長市場へのグローバルな対応とコスト競争力強化によって、強みを発揮できる事業を更に深化させる。

蓄積してきた市場からの信頼とお客様との関係を活かして、新たな可能性を探索し、成長に繋げる。

重点的なリソース投入と外部との連携強化によって、市場成長と技術発展のスピードに対応して事業を拡大する。

「スピード」、「対話」、「社会貢献」の下、仲間との相互信頼を今以上に醸成し、2020年度のありたい姿として、「化学の力で未来を今日にするZEON」を掲げ、連結売上高5,000億円以上の実現を目指している。

 

(2)全社業績
①概況
米中貿易摩擦、新型コロナウイルスによる世界経済悪化を受け21年3月期第2四半期は減収減益であった。
エラストマー素材は自動車産業、一般工業用等が弱含み減収減益。
一方、高機能材料は化学品、光学フィルムが堅調で前年同期比、前期比ともに増収増益となり、第2四半期(7‐9月)は過去最高の売上高・営業利益となった。

 

②ROE
重要な経営指標と位置付けているROEは今期5%程度まで低下する見込みだが、基本方針通り、安定的かつ継続的な配当を実施する。

 

(3)セグメント別 PhaseⅢにおける進捗
投資>
エラストマー素材においては、タイに建設中だったアクリルゴム製造工場(生産能力 年間5,000トン)が2020年5月に完工し、2021年4月に販売を開始する予定である。

 

高機能樹脂関連では、大型TV用光学フィルム新ライン(敦賀工場、生産能力 年間5,000万㎡)が2020年4月に稼働した。10月から販売を開始した。
また、水島工場における光学樹脂生産能力増強(年間4,600トン)は2021年7月に完工の予定である。

 

<自動車関連製品>
内燃機関搭載車生産台数が2019年度並みに戻るのは2027年と見ているがその後は漸減。2020年以降は、EV/PHVなどバッテリー搭載車の増加が加速すると予想。
当面は、内燃機関搭載車が引き続き主流を維持するため、重要部品に対する市場の要求に、特殊ゴム製品と技術サポートで応えていく考えだ。

 

一方でEV/PHVの販売台数は、年前半はコロナ禍で苦戦したが、中国では着実な回復を見せており、欧州では政府の補助金の効果もあり、販売台数は年間で前年を上回る状況にある。
欧州・中国において電池材料などEV関連製品の販売を強化する。

 

<高機能材料:電子フィルム>
◎TV
大型化、高画質化が進んでいく。
敦賀工場の2,500㎜幅ラインで大型化に対応する。

 

◎スマートフォン
当面台数は減少、回復は2年後と見ている。「5G」による買い替え需要に期待している。
OLED用タッチセンサー、反射防止、位相差フィルム等の独自製品で需要を取り込む。

 

◎タブレット
コロナ過を契機としたリモートワークや教育需要向けに拡大しており、安定した需要に対応していく。

 

<上半期のリリース>
◎製品関連
*非対称SISを用いたラベル用粘着剤の研究により「2020年度日本接着学会技術賞」を受賞
2020年6月、非対称SIS(スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体)の研究成果が、「2020年度日本接着学会技術賞」を受賞した。独自に開発した技術により、ラベル用ホットメルト粘着剤の機能向上を実現し、その工業的価値の向上に貢献したことが評価された。

 

非対称SISとは、スチレンとイソプレンの熱可塑性ブロック共重合体であるSISの両末端スチレンブロックに意図的に非対称な構造を持たせ、そこに対称な低スチレン比率の対称スチレンブロックを混在させることにより、高スチレン含有量ながらスフィア構造という特異な相構造を持たせた、同社が独自に開発したポリマー。
近年、主に紙おむつ用の伸縮材料(エラスティックフィルム)の素材として需要が拡大しているが、「スチレン含有量が高く且つ柔らかい」というユニークな性能に着目し、これまでSISが使われてきた諸用途における技術課題解決の可能性を追求してきた。

 

今回、受賞対象となった研究は、非対称SISの粘着ラベルへの応用に関するもの。
有機溶剤を用いない粘着ラベルには「ホットメルト型」と「アクリルエマルジョン型」の2タイプがあり、日本では「アクリルエマルジョン型」が主流であるものの、世界市場では、塗工ラインスピードの速さ、被着体選択制の広さ、低温タックの出しやすさに優れる「ホットメルト型」も大きく成長している。
ホットメルトのベースポリマーには主にSISが使われますが、従来のSISは粘着物性に優れる一方、粘着ラベル用途においては高速での打ち抜き加工性(ダイカット性)および配合される軟化剤の染み出しが長年の課題となっていた。
同社は非対称SISの技術を深化させ、こうした課題の解決に取り組み、良好な粘着物性を保持しつつ、高速ダイカット性および軟化剤の耐染み出し性(オイル保持性)も両立させることに成功した。

 

*ポジ型感光性絶縁材料の新製品販売開始
2020年7月、ポジ型感光性絶縁材料「ZEOCOAT® ZC100」を開発し、販売を開始した。

 

同製品は、アルカリ現像タイプのポジ型感光性絶縁材料で、180℃の低温硬化が可能であり、高解像性、高絶縁信頼性が特徴。
スマートフォンをはじめとするデバイスの高機能化、多機能化に伴い、半導体パッケージや電子部品には微細化、高集積化が求められているが、ZC100は解像性に優れるポジ型であるためデバイスの微細化に貢献する。また、低温で硬化が可能であり、高い絶縁信頼性を持つため、デバイスの歩留まりや信頼性を向上させる。
さらなる微細化や低温プロセスが求められる、次世代ウエハーレベルパッケージが主な使用用途ととなる。

 

*FFR新製品販売
2020年8月、子会社ゼオンメディカル株式会社が、FFRシステムの次世代製品となる「オプトモニタ 3(OptoMonitor® 3)」を発売した。

 

FFRシステムとは、冠動脈の診断および治療において、病変の重症度を定量的に評価し治療戦略を決定するための冠血流予備量比(FFR)測定を行うことを目的としたシステムで、血管内圧測定用センサ付ガイドワイヤと、血流予備量比を表示するモニタとで構成されており、ゼオンメディカルは従来より同システム製品を日本国内中心に展開してきた。

 

今回発売した次世代モニタ「オプトモニタ 3(OptoMonitor® 3)」は、心臓カテーテル検査室における各種診断装置との接続性を大きく向上させ、施設内の作業環境に合わせて柔軟に対応できる利便性を高めている。
タッチパネルでの操作が可能な15インチの高輝度液晶ディスプレイを採用しており、直感的でストレスのない操作が可能である。

 

◎その他
*「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明
2020年8月、「気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)」提言への賛同を表明した。

 

同社はCSR基本方針において「企業活動を通じ、社会の持続的発展と地球環境に貢献する」を掲げ取り組んでいるが、今後はTCFD提言を踏まえ、気候変動が事業に及ぼすリスク・機会を分析し、経営戦略に反映することで経営基盤の強化を図るとともに、気候変動に関連する情報開示を進めることで、ステークホルダーとのさらなる信頼関係を醸成し、持続的可能な社会の実現と企業価値の向上を目指す。

 

なおTCFDへの賛同にともない、「TCFDコンソーシアム)」にも参画した。TCFD提言に賛同する他の企業や金融機関等とともに取り組みを推進し、当コンソーシアムにおいて得られた知見を活用して、効果的な取り組みや情報開示について検討を行う。

 

*デジタル変革の推進組織を新たに設置
2020年10月、「デジタル統括推進部門」を新設した。デジタル変革に関わる取り組みを統括推進して競争力を強化するとともに、新事業の創出と拡大を支援することを目的としている。

 

新たに設置されるデジタル統括推進部門は、事業戦略、製品戦略と紐づけたデジタル施策を展開して事業への効果を創出することや、経営判断に必要な正確な情報をより速く提供することに加えて、デジタル情報の活用能力を高めて生産革新を加速させ、自律的なデジタル変革を推進する。

 

新組織の傘下にはデジタル戦略企画部、デジタルシステム管理部を設置する。
デジタル戦略企画部は、デジタル変革の導入による事業競争力の強化、業務革新、新事業創出支援、デジタル人材支援等を担う。
デジタルシステム管理部は、情報共有システムの管理、システム導入およびメンテナンス、情報セキュリティに関わる諸施策を手掛ける。

 

*「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」に参画
2020年10月、新型コロナウイルス感染症対策の支援のため、「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言(COVID-19と戦う知財宣言)」の趣旨に賛同し、参画した。

 

この宣言は、新型コロナウイルス感染症のまん延終結を目的とした開発、製造、販売等の行為に対して、権利者が保有する特許権、実用新案権、意匠権、著作権の権利行使を行わないことを宣言するもの。
これにより、同宣言の対象となる知的財産権に対する侵害調査やライセンスを受けるための複雑な交渉等なしに、最善の開発および製造が可能となる。
同社は宣言の趣旨に賛同し、一定期間、新型コロナウイルス感染症のまん延終結を唯一の目的とした行為に対しては対価や補償を求めることなく、自社が保有する特許権・実用新案権・意匠権・著作権の権利行使を行なわないことを宣言した。
今後、新型コロナウイルス感染症のまん延防止対策において、他の企業や団体との協力の可能性についても検討していく考えである。

 

5.今後の注目点

通期業績予想を発表した。現時点では下期の売上は上期同水準ながらも、営業利益は前年度下期および上期を大きく下回る見通しで、引き続き厳しい環境が続くと予想している。
ただ、第2四半期(7-9月)の景況感は、withコロナの中、第1四半期に大きく下振れした合成ゴムが横這いに転じたほか、電池材料も上向きになっており、短期的には底を入れたようである。
欧州で再びロックダウンが始まるなど、不透明感は残るが、エラストマー素材が低位横這いの中、高機能材料が光学フィルム、電池材料など堅調な分野中心にどこまで牽引していくかを注目したい。

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 7名、うち社外3名
監査役 5名、うち社外3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2020年7月3日

 

<基本的な考え方>
当社は、株主をはじめとする多様なステークホルダーの利益を尊重し、利害関係を調整しつつ収益を上げ、企業価値を継続的に高めることを目指します。その実現のために、コーポレートガバナンスを通じて効率的かつ健全な企業経営を可能にするシステムを構築する努力を継続します。
また、内部統制システムを整備することにより、各機関・社内組織の機能と役割分担を明確にして迅速な意思決定と執行を行います。その経過および結果については適切な監視と情報公開を行い、経営の透明性の向上に努めます。

 

<実施しない主な原則とその理由>
(すべての原則について、2018年6月改訂前のコードに基づき記載しております)
当社はコーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】 ・他社の株式を政策保有するにあたっては、その保有が取引先、地域社会その他のステークホルダーとの関係強化をもたらし、ひいては中長期的視点で当社の企業価値向上に資するものかどうか等を十分に検討します。

・このような検討を経て取得した株式については、毎年個別銘柄ごとに保有目的の適切性や保有に伴う便益およびリスクが資本コストに見合っているか等を精査し、保有の適否を検証します。直近では2018年10月31日開催の取締役会において検証を実施し、保有の意義を失ったと認められる銘柄につきましては、縮減の可能性の検討を進めてまいります。

・政策保有株式の議決権については、投資先企業の中長期的な企業価値向上の観点からその行使の判断を行います。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】 ・当社における株主との対話は広報室が主管し、CSR担当役員が統括します。

・広報室は、経営企画部、経営管理部、総務部、法務部等と適宜情報交換を行い、株主に対する正確かつ偏りのない情報提供を行います。

・当社は、四半期毎の投資家向け説明会の開催、当社WEBサイトにて開示する決算説明資料の充実、個人投資家向け会社説明会への参加など、 個別面談以外の対話の手段の充実にも継続的に取り組みます。

・広報室は、株主との対話にて寄せられた意見について適宜整理・分析を行い、代表取締役に報告します。

・当社は、インサイダー取引・適時開示等管理規程に基づき、未公表の重要事実の管理を徹底し、情報漏洩のないよう株主との対話を行います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<株主の状況>

 

 

氏名または名称

所有株式数(千株)

発行済株式総数に対する所有株式数の割合(%)

横浜ゴム株式会社

22,682

 

10.38

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)

10,922

 

5.00

日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口)

9,806

 

4.49

株式会社みずほ銀行

9,600

 

4.39

全国共済農業協同組合連合会

7,700

 

3.52

朝日生命保険相互会社

7,679

 

3.51

旭化成株式会社

6,438

 

2.95

BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC)

5,921

 

2.71

農林中央金庫

4,000

 

1.83

日本ゼオン取引先持株会

3,783

 

1.73

 

88,531

 

40.51

 

 

 

*期末発行済株式総数 普通株 237,075,556株

 

(2020年3月31日現在)

 

<主要財務データ>

 

 

16/3月期

17/3月期

18/3月期

19/3月期

20/3月期

売上高

295,647

287,624

332,682

337,499

321,966

売上総利益

87,187

86,925

101,272

96,742

91,911

営業利益

29,856

30,767

38,881

33,147

26,104

経常利益

32,153

31,805

40,893

36,319

28,744

当期純利益

18,079

23,152

13,056

18,458

20,201

EPS(円)

79.9

104.3

58.8

84.1

92.4

DPS(円)

15.00

16.00

17.00

19.00

21.00

総資産

384,753

411,415

440,519

424,937

405,131

純資産

215,586

244,634

259,940

259,156

260,358

有利子負債

57,064

43,177

38,573

24,125

20,960

設備投資

27,650

22,122

14,568

14,640

29,088

減価償却費

20,904

20,431

20,539

18,780

17,448

研究開発費

14,148

13,233

15,103

16,480

15,274

(単位:百万円)

<主要財務指標>

 

16/3月期

17/3月期

18/3月期

19/3月期

20/3月期

売上高営業利益率

10.1

10.7

11.7

9.8

8.1

売上高当期純利益率

6.1

8.0

3.9

5.5

6.3

総資産回転率(回)

0.82

0.72

0.78

0.78

0.78

自己資本比率

54.8

58.4

58.4

60.3

63.5

ROE

8.6

10.3

5.3

7.2

7.9

売上高R&D比率

4.8

4.6

4.5

4.9

4.7

(単位:%)

 

 

<セグメント情報>

 

16/3月期

17/3月期

18/3月期

19/3月期

20/3月期

売上高          
エラストマー素材事業

178,940

166,243

194,570

198,087

178,847

高機能材料事業

70,979

74,980

86,479

85,142

91,749

その他の事業

47,950

49,038

53,928

56,733

53,473

消去又は全社

-2,222

-2,637

-2,295

-2,463

-2,103

連結

295,647

287,624

332,682

337,499

321,966

営業利益
エラストマー素材事業

20,725

20,552

22,169

17,691

9,642

高機能材料事業

8,221

9,832

16,742

16,115

17,311

その他の事業

2,503

2,865

3,206

2,786

2,098

消去又は全社

-1,592

-2,482

-3,237

-3,446

-2,948

連結

29,856

30,767

38,881

33,147

26,104

総資産
エラストマー素材事業

193,560

201,054

213,137

209,089

189,618

高機能材料事業

80,916

82,673

88,122

89,402

101,425

その他の事業

27,873

29,165

30,907

32,907

31,193

消去又は全社

82,404

98,523

108,353

93,539

82,895

連結

384,753

411,415

440,519

424,937

405,131

減価償却費
エラストマー素材事業

9,693

9,929

10,208

8,864

8,432

高機能材料事業

8,569

7,845

7,781

6,793

6,089

その他の事業

316

353

326

302

312

消去又は全社

2,326

2,304

2,223

2,822

2,616

連結

20,904

20,431

20,539

18,780

17,448

設備投資
エラストマー素材事業

15,665

11,166

7,998

5,744

7,792

高機能材料事業

7,521

7,644

3,644

6,234

17,965

その他の事業

395

342

362

359

95

消去又は全社

4,069

2,971

2,564

2,303

3,236

連結

27,650

22,122

14,568

14,640

29,088

(単位:百万円)

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
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