インタートレード 黒字転換から成長軌道の回帰へ今後の展開に期待

2020/06/12

 

 

西本 一也 社長

株式会社インタートレード(3747)

 

 

企業情報

市場

東証2部

業種

情報・通信

代表者

西本 一也

所在地

東京都中央区新川1-17-21 茅場町ファーストビル

決算月

9月

HP

https://www.itrade.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

499円

7,185,600株

3,585百万円

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

101.54円

4.9倍

*株価は6/1終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年9月(実)

2,358

11

14

7

0.98

0.00

2017年9月(実)

2,017

-458

-459

-334

0.00

2018年9月(実)

1,892

-335

-334

-338

0.00

2019年9月(実)

1,791

-413

-411

-408

0.00

2020年9月(予)

2,450

17

-60

-24

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

 

(株)インタートレードの2020年9月期第2四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年9月期第2四半期決算概要
3.2020年9月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20/9期上期は前年同期比9.0%の増収、営業損失34百万円(前年同期は184百万円の損失)。事業売却でヘルスケア事業の売上が減少したものの、金融ソリューション事業・ビジネスソリューション事業の売上が増加。収益構造が悪化していた事業の売却効果もあり、営業損失が大幅に減少。特に2Qは、16/9期4Q以来の四半期ベースでの営業黒字を確保した。 
  • 通期予想に変更はなく、前期比36.8%の増収、営業利益17百万円。「新型コロナウイルス感染症の収束時期の見通しは不透明であり、長期化した場合には同社グループの業績にも影響が出ることが懸念されるものの、現時点では業績への影響を合理的に算出することが困難である」、として、一先ず通期の業績予想を据え置いた。 
  • 新型コロナウイルス感染症の影響が限定的なものにとどまり、概ね計画通りに推移しているようだ。5月末までに首都圏等でも緊急事態宣言が解除される見込みであり、感染第2波の懸念や先行きの不透明感は残るものの、同社は大きな影響を受けることなく、コロナ禍を乗り切ることができそうだ。事業面では、主力の金融ソリューション事業が新たな局面を迎えており、連結ベースでの通期黒字化の現実味が増してきた。黒字転換から、成長軌道への回帰へ、今後の展開に期待したい。 

     

1.会社概要

証券ディーリングシステム等の開発・保守を中心とする金融ソリューション事業を主力とし、グループ経営管理パッケージソフト等を手掛けるビジネスソリューション事業及びハナビラタケ関連のサプリメントや化粧品等の生産・販売を手掛けるヘルスケア事業を展開している。
グループは、同社の他、経営統合管理プラットフォーム「GroupMAN@IT e2」(ビジネスソリューション事業)の開発・保守等を手掛ける(株)ビーエス・ジェイ(出資比率66.7%)、ハナビラタケの生産・加工とハナビラタケ関連製品のカタログ通販やWeb通販を手掛ける(株)インタートレードヘルスケア(同100%)の連結子会社2社、暗号資産関連事業を手掛ける(株)デジタルアセットマーケッツが持分法適用関連会社、及びJIA(7172)等との合弁会社で、フィンテック関連技術によるソリューションや製品・サービスの開発及び販売を行う(株)イーテア(出資比率21%)。

 

【経営理念】

・ お客様視点での行動
・ 好奇心と勇気
・ 迅速な判断と誠実な対応
・ 「人」と「人とのつながり」を大切に

 

「製品及びサービスの価値向上のため、勇気と情熱を持って挑戦する。そのためには、サービスを利用しているお客様と同じ視点、質の高い行動、迅速かつ誠実な対応が必要」というのが同社の考え。これにより真の信頼関係を築き、ハード、ソフト両面で本来のサービスを実現していく。「世界中のお客様が、私たちが作ったモニターを覗き込んでいる。モニターから、あらゆる国の様々な商品が取引できるようになり、世界中のニュース・情報がリアルタイムに表示され、投資のための分析・シミュレーション・資産管理をすることができる」。いつの日か、世界中のお客様と今まで歩んできた歴史を語り合う、それが同社の夢だ。

 

1-1 事業概要

事業は、証券会社等を顧客とし証券業務向けフロントパッケージシステムの設計・開発・販売を手掛ける金融ソリューション事業、一般事業会社を顧客とし法人向けパッケージシステムの設計・開発・販売を手掛けるビジネスソリューション事業、消費者に対してサプリメント等の健康商材や化粧品の開発・販売及び健康関連商品の仕入販売を行うヘルスケア事業。
19/9期の売上構成比は、金融ソリューション事業69.9%(18/9期72.2%)、ビジネスソリューション事業13.8%(同14.0%)、ヘルスケア事業16.4%(同13.6%)。

 

 

金融ソリューション事業
東京証券取引所の総合取引参加者に導入されている証券ディーリングシステム「Prospect」、外国為替証拠金取引システム「fortissimo」、取引所外取引システム「ITMonster」に加えarrowhead、ToSTNeT、J-GATEなど各取引所との接続システム「J1」、アルゴリズムプログラム等の売買執行シミュレーションとチューニングが可能な「MEX&MSRⅢ」、トレーディングシステム上で、リアルタイム系、チャート系、ヒストリカル分析系などインテリジェンストレーディングに必要な様々な情報を提供する「DPSS」、この他、ミドルウェアや通信ソフト等の設計・開発・販売を行っている。

 

近年では上記のプロダクトのノウハウを活かし、かつブロックチェーン技術を活用したソリューション「Spider」に力を入れている。「Spider」は、同社が設立から20年間に渡り提供してきた複数の金融商品取引業務向けパッケージシステムの機能をコンポーネント化してライブラリとして整備し、必要な機能(コンポーネント)をピックアップ、或いは融合させる事で、ユーザーの業務に沿ったシステムを構築する事ができる。
「Spider」はLINE証券株式会社(東京都品川区、代表取締役Co-CEO:落合紀貴・米永吉和)が提供する「LINE」上で取引ができるスマホ投資サービス「LINE証券」に導入されている。今後、あらゆる金融関連業務に対応可能なライブラリ型ソリューション「Spider」を軸として、金融機関や事業会社のビジネス拡大に貢献していく考え。

 

ビジネスソリューション事業
自社開発の経営統合管理プラットフォーム「GroupMAN@IT e2」及び「Gadics MAN@IT」を中心としたパッケージサービス、保守・運用中心のシステムエンジニア派遣サービス(SES:System Engineering Service)、及びシステムの設計・開発・構築やマルチベンダー・マルチプロダクト・マルチビジネスを特徴とするシステム総合支援サービス等を行うサポートセンターサービスを3本柱とし安定収益の確保を目指している。連結子会社(株)ビーエス・ジェイが「e2」の開発・保守等を手掛けている。

 

企業は、会計、人事/給与、設備、資材等の複数の業務システムを導入しているが、業務毎にベンダーが異なるケースや同じ業務でも、親会社と子会社でベンダーが異なるケースが多い。この場合、企業内やグループ内で経営情報の統合管理、言い換えると、各システムのデータ連携によるグループ全体の経営分析ができず、多くの企業が高価な投資が必要な連携用のシステムを別途構築している(大手システム会社は自社製でないシステムと自社システムの接続に対して非常に消極的)。これに対して、「GroupMAN@IT e2」は柔軟性の高いインターフェイス「FLEX I/O」を備えているため、ベンダーやシステムが異なる場合でも、データ連携が可能だ。
一方、「Gadics MAN@IT」は機能ではなく、「バーチャルエンジニア」として低価格でパソコン等の運用管理を、「収集」、「判断」、「実施」、「確認」の4つの視点からクラウドベースでサポートする。

 

ヘルスケア事業
ハナビラタケの栽培から手掛け、自社ブランドのハナビラタケ関連製品(サプリメント、健康食品、化粧品)の販売、OEM供給、ハナビラタケ由来成分を使った化粧品原料販売等を国内外で展開している。(株)インタートレードがマーケティングを含めて事業全般を統括し、(株)インタートレードヘルスケアがハナビラタケの生産・加工、ハナビラタケ関連製品のWeb通販を手掛けている。また、研究により、ハナビラタケ由来成分の免疫賦活機能について科学的根拠に基づくエビデンス取得にも取り組んでいる。尚、2013年に実施したヒト臨床試験において、ハナビラタケ「LB-Scr」の、Ⅱ型糖尿病、Ⅰ型アレルギー性疾患、及び肝機能指標(γ-GTP、GOT、GPT)への有効性や肌質変化への有効性が確認されている事に加え、有害事象等の検証により、安全で副作用がない事も確認されている。

 

尚、ヘルスケア事業は、景気に左右されやすい主力のシステム分野と一線を画し、リスク分散としての他業種での収益確保を目指している。そして、生産から加工、販売、研究を自社グループ内で一貫して行う事で安全性を担保している。

 

ハナビラタケ
ハナビラタケは、日本各地に加え、欧米等でも自生するが、天然下では本来食用キノコが育たない1,000m級の針葉樹林に生息し、天然ハナビラタケを目にする機会がめったにないため、「希少キノコ」と言われている。また、キノコは茶色が主流だが、ハナビラタケは白い花がふんわり咲いているように美しい白色~淡黄色。健康維持に重要な役割を果たすβ-グルカンの含有量が35%を超える上(アガリクスは12.5%)、アミノ酸やトレハロースなど様々な有用成分にも富んでいる。食用キノコの側面も有する。

 

 

サイレント型エストロゲンの研究
同社は産学官共同研究において、標準ハナビラタケ株抽出物から、エストロゲン活性(後述)を有するものの、細胞増殖活性作用がない「サイレント型エストロゲン」(エストロゲン様化合物:エストロゲンと同様の機能が認められる化学物質)と呼ばれる化合物を発見した。「サイレント型エストロゲン」は、エストロゲン(女性ホルモン)の利点を有する一方で、エストロゲンが持つ欠点が無い。エストロゲンの減少によるホルモンバランスの乱れが原因とされる女性の更年期障害や動脈硬化の治療でエストロゲンの成分を用いたエストロゲン製剤が用いられているが、エストロゲンには細胞増殖活性作用があり乳癌や子宮内膜癌などのがん細胞を活性化させるリスクがある。これに対して、「サイレント型エストロゲン」はエストロゲン同様の生理活性機能を有する一方で、がん細胞の増殖を活性化させない。エストロゲン活性を促す物質としてプラセンタ(≒エストラジオール)が知られているが、プラセンタは細胞増殖活性作用が極めて強い。

 

 

(同社資料より)

 

プラセンタの国内市場規模は約250億円で年率20%程度の成長を続けており、ワールドワイドのマーケットは約3,000億円。5~10%のシェアでも売上規模は極めて大きい。しかも収益性が高いため利益面でのインパクトも大きい。

 

 

2.2020年9月期第2四半期決算概要

2-1 上期連結業績

 

19/9期 上期

構成比

20/9期 上期

構成比

前年同期比

売上高

907

100.0%

989

100.0%

+9.0%

売上総利益

334

36.8%

330

33.4%

-1.2%

販管費

519

57.2%

365

36.9%

-29.6%

営業利益

-184

-34

経常利益

-183

-72

親会社株主帰属利益

-185

-3

* 単位:百万円

 

前年同期比9.0%の増収、営業損失34百万円(前年同期は184百万円の損失)
売上高は前年同期比9.0%増の989百万円。通販事業の売却でヘルスケア事業の売上が減少したものの、証券ディーリングシステム(「Spider」)の開発をけん引役に金融ソリューション事業の売上が同14.0%増加した他、「Group MAN@IT e2」の大規模拡張案件の寄与でビジネスソリューション事業の売上も同32.1%増加した。

 

損益面では、(株)インタートレードヘルスケアの通販事業売却や(株)デジタルアセットマーケッツの持分法適用会社に移行したことによる費用の減少で、前年同期は184百万円だった営業損失が34百万円に減少した。(株)デジタルアセットマーケッツの持分法適用会社化に伴う持分法投資損失37百万円の計上で営業外損益が悪化したものの、非支配株主に帰属する四半期純損失△34百万円の計上で最終損失は3百万円にとどまった。

 

 

販管費の内訳

 

19/9期 上期

対売上比

20/9期 上期

対売上

前年同期比

人件費

158

17.4%

155

15.7%

-1.6%

研究開発費

167

18.5%

17

1.8%

-89.5%

その他

193

21.3%

192

19.4%

-0.6%

販管費合計

519

57.2%

365

36.9%

-29.6%

* 単位:百万円

 

 

 

 

2-2 セグメント別動向

 

 

19/9期 上期

構成比・

利益率

20/9期 上期

構成比・

利益率

前年同期比

金融ソリューション

616

67.9%

702

71.0%

+14.0%

ビジネスリューション

143

15.8%

189

19.1%

+32.1%

ヘルスケア

147

16.3%

97

9.8%

-34.0%

連結売上高

907

100.0%

989

100.0%

+9.0%

金融ソリューション

9

1.6%

173

24.7%

ビジネスリューション

15

10,5%

2

1.2%

-85.4%

ヘルスケア

-65

-61

調整額

-143

-149

連結営業利益

-184

-34

* 単位:百万円

 

 

金融ソリューション事業
売上高702百万円(前年同期14.0%増)、セグメント利益173百万円(前年同期は9百万円の利益)。連結子会社だった(株)デジタルアセットマーケッツが資本増強(第三者割当増資)に伴い、持分法適用会社に移行したこと、及び社内で研究開発を進めていた「Spider」を、(株)デジタルアセットマーケッツから受注したことでディーリングシステムの売上が前年同期の407百万円から494百万円に増加した。利益面では、(株)デジタルアセットマーケッツが持分法適用会社に移行したことで営業費用が減少した。

 

 

ビジネスソリューション事業
期初に受注した経営統合管理プラットフォーム「Group MAN@IT e2」の大規模拡張案件の売上が第2四半期に計上され売上高が189百万円と前年同期比32.1%増加したものの、開発費の増加等で利益率が悪化し、セグメント利益は2百万円にとどまった。

 

 

ヘルスケア事業
「ITはなびらたけ」メーカーとしてのビジネス展開に注力するべく、(株)インタートレードヘルスケアの通販事業(仕入商品の販売)を売却したため、売上高が97百万円と前年同期比34.0%減少したものの、収益構造が悪化していた事業を切り離したことでセグメント損失が61百万円と4百万円減少した。

 

 

四半期セグメント別売上高・利益の推移

 

18/9-1

2Q

3Q

4Q

19/9-1

2Q

3Q

4Q

20/9-1

2Q

金融ソリューション

349

333

334

349

321

295

305

329

314

388

ビジネスソリューション

51

60

67

85

58

85

48

54

50

139

ヘルスケア

71

56

66

61

81

65

76

69

54

42

自己資金運用

0

1

0

連結売上高

473

452

469

496

461

446

430

453

419

570

金融ソリューション

82

60

83

-90

-2

12

-11

22

10

163

ビジネスソリューション

-6

0

5

12

0

14

-3

7

-9

11

ヘルスケア

-63

-39

-37

-34

-35

-29

-51

-51

-30

-31

自己資金運用

-8

-9

-8

調整額

-71

-69

-73

-63

-74

-68

-75

-65

-71

-77

連結営業利益(右軸)

-67

-59

-31

-176

-112

-71

-141

-87

-101

66

* 単位:百万円

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年9月

20年3月

 

19年9月

20年3月

現預金

693

593

前受金

4

232

売上債権

203

245

短期有利子負債

319

200

たな卸資産

75

170

流動負債

469

604

流動資産

1,032

1,069

長期有利子負債

0

0

有形固定資産

26

24

固定負債

3

7

無形固定資産

13

11

純資産

754

853

投資その他

154

359

負債・純資産合計

1,228

1,465

固定資産

195

395

有利子負債合計

319

200

* 単位:百万円

 

第2四半期末の総資産は前期末との比較で237百万円増の1,465百万円。借方では、好調な受注を反映してたな卸資産が増加した他、(株)デジタルアセットマーケッツの持分法適用会社化で投資有価証券が増加した。貸方では、前受金(今後、同額が売上計上される)や純資産が増加する一方、有利子負債が減少した。手元流動性比率3.12ヶ月、自己資本比率58.2%(前期末59.4%)。

 

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

19/9期 上期

20/9期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー(A)

-201

-243

-41

投資キャッシュ・フロー(B)

-13

-18

-5

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

-214

-262

-47

財務キャッシュ・フロー

-24

162

+187

現金及び現金同等物期末残高

592

593

+1

+0.3%

* 単位:百万円

 

税前損失△28百万円(前年同期△183百万円)、売上債権の増加額△42百万円(同61百万円)、たな卸資産の増加額△94百万円(同△19百万円)等で、営業CFは243百万円のマイナスとなった。投資CFは主に敷金保証金の差入によるもので、財務CFは主に短期借入金の減少や非支配株主からの払い込みによる。

 

 

3.2020年9月期業績予想

3-1 連結業績

 

19/9期 実績

構成比

20/9期 予想

構成比

前期比

売上高

1,791

100.0%

2,450

100.0%

+36.8%

営業利益

-413

17

0.7%

経常利益

-411

-60

親会社株主帰属利益

-408

-24

* 単位:百万円

 

売上の増加で先行投資を吸収。4期ぶりの営業黒字が見込まれる
「新型コロナウイルス感染症の収束時期の見通しは不透明であり、長期化した場合には同社グループの業績にも影響が出ることが懸念されるものの、現時点では業績への影響を合理的に算出することが困難である」として、一先ず通期の業績予想を据え置いた。

 

 

3-2 今後の取り組み : 2025年に向けたアプローチ

2018年9月に経済産業省から発表された「DXレポート」ではデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みの重要性に言及し、もしDXが進まなければ「2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と警告している。同社ではDXの取り組みとして、金融ソリューション事業において、5G・クラウド・IoT・AI等の新しい技術を収益化スキームに応用したFintech機能を提供できるプラットフォーム事業を展開し、ビジネスソリューション事業においては、事業会社の基幹システムのレガシー問題への対応を支援していく。また、ヘルスケア事業においては、「ITはなびらたけ」の化学的な根拠を追求し、ライフスタイルへの提案を行うと共にライフサイエンス分野へ展開していく考え。

 

金融ソリューション事業
これまではシステムを開発し販売してきたが、今後は持分法適用会社(株)デジタルアセットマーケッツが提供するデジタル金融サービスを開発面から支援し、グループでFinTech分野における新たな成長領域を開拓していく。また、システムパートナー会社やサービスパートナー会社との連携により、(株)デジタルアセットマーケッツの営業体制を強化し顧客開拓を進めていく。

 

ビジネスソリューション事業
既存システムが事業部門毎に構築されているため(システムの複雑化・ブラックボックス化)、全社横断的なデータ活用ができない事業会社が少なくない。経営統合管理プラットフォーム「G-MAN e2」は既存システムのブラックボックス化を解消すると共に新しい活用を実現するソリューションであり、レガシーシステムから新システムへの橋渡し役となる。

 

「G-MAN e2」は、柔軟性の高いインターフェイス「FLEX I/O」を備えているため、同一企業内の、ベンダーが異なるシステム間のデータ連携やシステムが異なる親子会社間でのデータ連携が可能だ(同社の「FLEX I/O」技術には、証券取引の情報を交換するためのアイデアが活かされている)。企業は、会計、人事/給与、営業管理等、複数の業務システムを導入しているが、システム毎に提供するベンダーが異なるケースが多く、また、同じ業務でも、親会社と子会社で業務システムが異なるケースも多いが、この場合、企業内やグループ内で経営情報の統合管理ができない。「G-MAN e2」は、こうした問題を解決する。

 

ヘルスケア事業
「ITはなびらたけ」関連製品を通して健康寿命産業への貢献を目指す。世界的に高齢化の流れは顕著であり、健康長寿に関連するマーケットは非常に大きい。「ITはなびらたけ」のサイレント型のエストロゲン成分という優れた機能性を通じて、健康長寿で楽しく過ごせる社会の実現を提案していく(成分研究・臨床試験を行い、機能性表示食品としての展開を考えている)。先ずは「はなびらたけ」メーカーとしての地位を確立する事が重要だが、並行して「ITはなびらたけ」の啓蒙活動を行い、サイレントエストロゲン市場の創設に取り組んでいく。

 

尚、エストロゲンとは女性ホルモンであり、乳腺細胞の増殖促進、卵巣排卵制御、中枢神経(意識)女性化、動脈硬化抑制等の生理機能(エストロゲン活性)を有する。ただ、閉経前に急激に減少する特徴があり、エストロゲンの不足が更年期障害や動脈硬化、更にはアルツハイマー型認知症等の原因になる。こうしたエストロゲンの減少によるホルモンバランスの乱れが原因とされる疾患の治療にエストロゲンの成分を用いたエストロゲン製剤が用いられているが、エストロゲンには細胞増殖活性作用があり乳癌や子宮内膜癌等のがん細胞を活性化させるリスクがある。これに対して、サイレント型のエストロゲン(エストロゲン様化合物:エストロゲンと同様の機能が認められる化学物質)はエストロゲン活性を有するものの、細胞増殖活性作用がない。

 

 

4.今後の注目点

新型コロナウイルス感染症の影響が限定的なものにとどまり、概ね計画通りに推移しているようだ。5月末までに首都圏等でも緊急事態宣言が解除され、感染第2波の懸念や先行きの不透明感は残るものの、同社は大きな影響を受けることなく、コロナ禍を乗り切ることができそうだ。事業面では、(株)デジタルアセットマーケッツの持分法適用会社化で、主力の金融ソリューション事業が新たな局面を迎えており、連結ベースでの通期黒字化の現実味が増してきた。3月には(株)デジタルアセットマーケッツが一般社団法人日本仮想通貨交換業協会への加入を済ませており、FinTech分野での事業展開の準備も進んでいる。ビジネスソリューション事業やヘルスケア事業でも成長戦略が進んでおり、特にヘルスケア事業のポテンシャルは大きい。黒字転換から、成長軌道への回帰へ、今後の展開に期待したい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役会設置会社
取締役 5名、うち社外1名
監査役 3名、うち社外2名

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2020年02月27日)
基本的な考え方
当社グループは企業価値の最大化をコーポレート・ガバナンスの基本目標とし、「経営の透明性」「法令遵守」「効率的な経営」の観点から当該基本目標の実現を図ります。代表取締役をはじめとする経営陣は、当社グループを取り巻くステークホルダー(株主、顧客、取引先、従業員等)との良好な関係を維持する役割を負います。そのため、経営状況を把握できる体制を構築及び運用し、法令及び定款を踏まえた適時適切な情報開示を行うことが重要と考えています。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【原則 3-1】情報開示の充実
(3)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続
(4)取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続
(5)取締役会が上記(4)を踏まえて経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選解任、指名についての説明
(3)、(4)、(5)については現時点で具体的内容を公表はしていないものの、以下のとおりの手続き又は手順を社内にて実行しています。

 

(3)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続については、当社の取締役及び業務執行役員の報酬は、業績連動報酬を採用しておりませんが、定められた範囲内で、個人及び会社業績等を含め総合的に評価を行い、報酬額を決定しています。
(4)取締役候補は、人格や見識、経験や実績等をもとにその責務を果たすことができる適任者を選任する方針とし、取締役会で決定しております。また、解任については明確な手続きは確立しておりませんが、単年度の目標の達成度や会社の業績を基に、かつ社外取締役や社外監査役の助言をもらいながら取締役会にて審議し、状況により再任しない、あるいは株主総会に諮ることとしております。監査役候補については、経営課題に対する知見、高度な専門知識や倫理感を持っている人材に就任を要請し、監査役会の同意を得た後、取締役会にて決議しております。
(5)取締役会が上記(4)を踏まえて経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選解任・指名についての説明については、原則毎月1回行っている経営会議及び全社会議にて、選任・指名について説明しています。

 

【原則4-8】独立社外取締役の有効な活用
現在、社外取締役は1名のみですが、バランスのとれた戦略策定及び経営への監督を行っていると認識しています。しかしながら社外取締役の増員は視野に入れており、高度な経験又は専門能力を持ち、当社の経営理念に共感する人材との信頼関係を築けた場合は、社外取締役への就任要請を行うことを積極的に検討します。

 

【原則4-9】社外取締役の独立性判断基準及び資質
独自の独立性判定基準は策定していないものの、会社法上の要件や東京証券取引所が定める基準に則って社外取締役を選任しております。社外取締役の貢献は重視しており、都度適切な人数と人材を確保するよう留意します。

 

<開示している主な原則>
【原則5-1】株主との建設的な対話に関する方針
当社は、代表取締役社長を中心に、管理部門にてIR業務を行っております。年に1回決算説明会を開催し、同時にその模様を当社ウェブサイトにて公開しています。また、随時個別ミーティングを実施しています。

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