(6575)ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス株式会社 主力事業売上増、利益面は計画並
渡部 昭彦 社長 |
ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス株式会社(6575) |
企業情報
市場 |
東証マザーズ |
業種 |
サービス業 |
代表者 |
渡部 昭彦 |
所在地 |
東京都港区南青山1-3-3 青山一丁目タワー4階 |
決算月 |
3月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(自己株式を控除) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
1,018円 |
3,228,962株 |
3,287百万円 |
21.1% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
10.00円 |
1.0% |
31.72円 |
32.1倍 |
352.20円 |
2.9倍 |
*株価は12/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
連結業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主帰属利益 |
EPS |
DPS |
2016年3月(実) |
1,542 |
183 |
195 |
103 |
37.88 |
24.30 |
2017年3月(実) |
1,675 |
203 |
229 |
113 |
41.47 |
24.30 |
2018年3月(実) |
1,948 |
255 |
257 |
176 |
64.32 |
19.29 |
2019年3月(実) |
1,883 |
147 |
148 |
182 |
61.56 |
18.36 |
2020年3月(予) |
2,936 |
170 |
171 |
100 |
31.72 |
10.00 |
* 予想は会社予想。単位は百万円、円。
* 2018年1月、1株を2株に分割(EPSを遡及修正)。
ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス株式会社の2020年3月期第2四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期第2四半期決算概要
3.2020年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 20/3期上期は前年同期比37.9%の増収、同42.7%の営業減益。主力事業の売上が増加する中、7月に完全子会社化したサイコム・ブレインズ(株)の事業領域である人材育成事業の売上を計上した事で大幅な増収となった(M&A効果を除いても同8.7%の増収)。利益面では、ガバナンス強化に伴う人件費の増加やシステム投資で営業減益となったが、売上を含めて概ね社内計画に沿った着地(上期の業績予想は非開示)。
- 通期予想は前期比55.9%の増収、同15.8%の営業増益。M&Aが同42%弱の増収要因となる事に加え、人材紹介事業が同21.1%増と伸び、メンタルヘルスケア事業も同5.7%増と安定成長が続く見込み。利益面では、売上の増加で販管費の増加を吸収する。配当は1株当たり期末10円を予定している(予想配当性向31.7%)。
- 各事業で事業基盤を強化すると共にグループシナジーを追求していく。また、人材紹介事業におけるAIMS Internationalの海外ネットワークと人材育成事業における海外拠点を活かして、メンタルヘルスケア事業も含めたシナジーを追求しつつグローバル展開を進めていく。当面の目標として、「上場後5年以内に売上高50億円」を掲げている。
1.会社概要
持株会社である同社の下、グループで、エグゼクティブやグローバル人材の紹介を行う人材紹介事業、組織人材向けのカウンセリング、ストレスチェック、更にはその後のフォローアップサービスを行うメンタルヘルスケア事業、及びアセスメントやICTを活用した人材育成ソリューションを提供する人材育成事業を手掛けている。
グループは、持株会社であるヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス(株)の他、会社経営層や高度スペシャリストのエグゼクティブサーチを行うAIMSインターナショナルジャパン(株)、ミドルマネジメントのキャリア開発を手助けする登録型人材紹介会社(株)A・ヒューマン、外資系企業を中心にグローバル人材を紹介するOptia Partners(株)、組織人材のメンタルヘルスケアを行うヒューマン・フロンティア(株)、及び研修事業を展開するサイコム・ブレインズ(株)の100%子会社5社。
尚、大和PIパートナーズ(株)が発行済株式数の36.5%を保有する筆頭株主であり、取締役1名を受け入れている。
ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス(株) | 人材紹介事業 | AIMSインターナショナルジャパン(株) |
(株)A・ヒューマン | ||
Optia Partners(株) | ||
メンタルヘルスケア事業 | ヒューマン・フロンティア(株) | |
人材育成事業 | サイコム・ブレインズ(株) |
【グループ理念】
「企業組織における最も重要な経営資源である人材の価値を高め、企業がより高度な活動を継続していくお手伝いをする」。
様々な人事機能に関するサービスをグループで一括して提供する事で、企業を取り巻く様々なリスクや課題を解消するための解決策を総合的に提供している。また、グループの特色を活かした事業展開による高付加価値ソリューションの提供も同社グループの特徴である。
1-1 事業概要
事業は、人材紹介事業とメンタルヘルスケア事業、及び人材育成事業に分かる。人材紹介事業では、企業の人材ニーズを的確に把握する一方、キャリアコンサルティングを通じ個々の人材に対して最も適した企業を紹介し、企業と人材の橋渡しを行っている。また、メンタルヘルスケア事業では、従業員本人や家族の日常の悩み事についてカウンセリングを行い、問題解決のサポートや職場環境の改善を支援。そして、2019年7月に進出した人材育成事業では、クライアント企業の業績向上を支援するビジネス教育を提供している。
19/3期の売上構成は、人材紹介事業54%、メンタルヘルスケア事業46%。
人材紹介事業
ミドルマネジメント以上の人材紹介に特化して、特色のある事業会社3社が人材サービスを展開している。3社のシナジーを追及する事で、求人企業及び求職者のニーズに沿ったサービス提供を実現している。
3社とは、会社経営層や高度スペシャリストのエグゼクティブサーチを行うAIMSインターナショナルジャパン(株)、ミドルマネジメントのキャリア開発を手助けする登録型人材紹介会社(株)A・ヒューマン、及びグローバル人材を紹介するOptia Partners(株)である。
(同社資料を基に作成)
同社グループの強み
各業界で15~20年の勤務経験を持ち業界知識の豊富なコンサルタントを確保している事が強みであり、インターナショナル領域では、Optia Partners(株)の充実したコンサルタント陣に加え、提携先であるAIMS Internationalとの連携が強み。Optia Partners(株)はコンサルタントの9割超が外国人のため外資系企業のトップ(外国人)へアプローチしやすく、的確にニーズをつかむ事ができる。AIMS Internationalとの連携では、世界50ヶ国以上に90ヶ所以上の拠点を構え、350人以上のコンサルタントを擁するエグゼクティブサーチネットワークを活用できる。
メンタルヘルスケア事業
事業会社ヒューマン・フロンティア(株)が、カウンセリング、ストレスチェック及びその後のフォローアップサービス、及び各種研修等のメンタルヘルスケアサービスをワンストップで提供している。
導入実績は大企業を中心に約1,000社、、全国約80名のカウンセラーが顧客企業の現場に赴いてEAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)を提供しており、EAPカウンセリングを通して培ったノウハウを活かして、管理職向けメンタルヘルスケア研修、パワハラ研修、ワークライフバランス研修等の研修や、ストレスチェック・組織分析、休業者・復職者支援プログラム、CISM(Critical Incident Stress Management)、組織コンサルテーション等のサービスも提供している。
ストレスチェックについては、2015年12月の改正労働安全衛生法の施行に伴い、従業員50名以上の事業所で実施が義務化され需要が拡大した。厚生省モデルの質問を使い、従業員の回答を集計し、問題点等を整理・分析して企業に提出する。また、ストレスチェックを通して、組織上の問題が浮き彫りになれば、組織コンサルテーションを通じて様々なコンサル提案により問題の解決を支援する。
(同社資料より)
同社グループの強み
他社では対応が難しい、メンタルヘルス対策の一次予防から三次予防までのワンストップ提供と「現場型」出張カウンセリングを強みとする。メンタルヘルス対策に対するニーズは、企業規模に比例して多様化する傾向があるが、同社のように、多様化する企業ニーズに全国規模かつワンストップで、柔軟に対応できる企業は限られる。
「現場型」出張カウンセリングは、連結子会社ヒューマン・フロンティア(株)が擁する全国の専属カウンセラーが可能にしている。「専属カウンセラーは、理論だけでなく、実際に組織で働く社員の気持ちを理解できる人材でなければならない」、という考えから、臨床心理士や産業カウンセラー等の資格保有に加え、企業での勤務経験も採用条件となっている。専属カウンセラーは原則として月1回、東京での集合研修の受講が義務付けられており、常に高い水準の知識が維持されている。同社グループでは、全国津々浦々、Face To Faceで、専属カウンセラーが現場でカウンセリングを行っているが、専属カウンセラーを持つ同業者は少なく(外部委託が多い)、しかも、電話でカウンセリングするケースが多いと言う。
加えて、同社においては、カウンセラーだけでなく、従業員スタッフも高い専門知識を有する。このため、ストレスチェック後の職場改善提案や研修等のフォローアップサービスが充実している事に加え、災害・事故時におけるCISM(惨事ストレスマネジメント)にも対応できる。これは、同社が定期的に実施している組織内研修の成果であり、この結果、カウンセリング満足度95%以上を維持している。
人材育成事業
2019年7月に完全子会社化したサイコム・ブレインズの事業領域である。同社は1996年に設立された人材開発・組織開発専門のコンサルティング会社であり、企業の人材育成、業績向上、組織変革のための気づき、学び、行動変容のプロセスを構築するために、アセスメント(評価)、研修、オンラインコンテンツ、効果測定等を組み合わせ、クライアント企業にとって最適なソリューションを提供している。また、国内だけでなく、上海、バンコク、ジャカルタに拠点を有し、東京を含めた各拠点と現地のネットワークを活かし、クライアント企業のアジア事業の中核を担う現地社員の育成も支援している。
(同社資料より)
2.2020年3月期第2四半期決算概要
2-1 上期連結業績
19/3期 上期 |
構成比 |
20/3期 上期 |
構成比 |
前年同期比 |
|
売上高 |
921 |
100.0% |
1,269 |
100.0% |
+37.9% |
売上総利益 |
762 |
82.8% |
1,008 |
79.4% |
+32.2% |
販管費 |
671 |
72.9% |
955 |
75.3% |
+42.3% |
営業利益 |
91 |
9.9% |
52 |
4.1% |
-42.7% |
経常利益 |
90 |
9.8% |
51 |
4.0% |
-43.3% |
親会社株主帰属利益 |
58 |
6.3% |
25 |
2.0% |
-56.8% |
* 単位:百万円
前年同期比37.9%の増収、同42.7%の営業減益
売上高は前年同期比37.9%増の12億69百万円。コンサルタントの増加で人材紹介事業の売上が同10.5%増と伸びた他、既存のEAP契約やストレスチェックによる安定した収益と新規獲得でメンタルヘルスケア事業の売上も同6.5%増加。主力事業の売上が増加する中、7月に完全子会社化(2019年5月末に70.9%出資済み)したサイコム・ブレインズ(株)の事業領域である人材育成事業の売上2億68百万円を計上した事で大幅な増収となった(M&A効果を除いても同8.7%の増収)。
営業利益は同42.7%減の52百万円。増収効果で売上総利益が10億8百万円と同32.2%増加したものの、ガバナンス強化に伴う人件費の増加やシステムの高度化投資等で販管費が9億55百万円と同42.3%増加し利益を圧迫した。
2019年9月末現在の従業員数は172名(2018年9月末114名)。この他、カウンセラー85名(2019年11月1日現在)。
セグメント別売上高・利益
19/3期 上期 |
構成比:利益率 |
20/3期 上期 |
構成比・利益率 |
前年同期比 |
|
人材紹介事業 |
513 |
55.8% |
568 |
44.7% |
+10.5% |
メンタルヘルスケア事業 |
407 |
44.2% |
433 |
34.1% |
+6.5% |
人材育成事業(3ヶ月) |
– |
– |
268 |
21.1% |
– |
連結売上高 |
921 |
100.0% |
1,269 |
100.0% |
+37.9% |
人材紹介事業 |
86 |
16.8% |
96 |
17.1% |
+12.0% |
メンタルヘルスケア事業 |
120 |
29.5% |
89 |
20.6% |
-25.9% |
人材育成事業(3ヶ月) |
– |
- |
31 |
11.7% |
– |
調整額 |
-115 |
– |
-165 |
– |
– |
連結営業利益 |
91 |
9.9% |
52 |
4.1% |
-42.7% |
* 単位:百万円
2-2 セグメント別動向
19/3-1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
20/3-1Q |
2Q |
|
人材紹介事業 |
239 |
274 |
236 |
264 |
322 |
245 |
メンタルヘルスケア事業 |
158 |
249 |
271 |
191 |
166 |
267 |
人材育成事業 |
– |
– |
– |
– |
– |
268 |
連結売上高 |
398 |
523 |
507 |
455 |
488 |
781 |
人材紹介事業 |
35 |
51 |
19 |
36 |
78 |
18 |
メンタルヘルスケア事業 |
28 |
91 |
103 |
37 |
4 |
84 |
人材育成事業 |
– |
– |
– |
– |
– |
31 |
調整額 |
-60 |
-55 |
-56 |
-83 |
-75 |
-90 |
連結営業利益 |
4 |
87 |
66 |
-10 |
7 |
44 |
* 単位:百万円
人材紹介事業
この上期は売上高5億68百万円(前年同期比10.5%増)、営業利益96百万円(同12.0%増)。積極的な採用によるコンサルタントの純増が売上に反映された。採用したコンサルタントは6カ月程度で戦力化してくる。2019年9月末現在のコンサルタント数は前年同期末との比較で9名増の72名。今期末76名体制を目指している。
メンタルヘルスケア事業
この上期は売上高4億33百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益89百万円(同25.9%減)。EAP契約の安定的な維持・獲得に加え、ストレスチェック及びその後のフォローアップサービス等、サービスを充実させた事で売上が増加したものの、ガバナンス強化に伴う人件費の増加で営業利益が減少した。当事業は大企業を中心に約1,000社の導入実績があり、カウンセリング満足度95%以上を維持、ストックビジネスとしてグループの収益に貢献している。
人材育成事業
この上期(第2四半期から連結のため3ヶ月)は売上高2億68百万円、営業利益31百万円。主要顧客に対する企業研修の継続的提供に加え、顧客の経営戦略や組織課題に対応した新規案件の受注にも成功した。また、映像講義及びスマートフォンを使ったマイクロラーニングのコンテンツ制作及び機能開発で新規顧客の開拓や既存顧客の深耕も進んだ。
サイコム・ブレインズ(株)の売上高・利益の推移
16/9期 |
17/9期 |
18/9期 |
20/3期2Q (3ヶ月) |
20/3期 (9ケ月)予 |
|
売上高 |
800 |
863 |
809 |
268 |
788 |
営業利益 |
93 |
77 |
62 |
31 |
109 |
* 単位:百万円
2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
財政状態
19年3月末 |
19年9月末 |
19年3月末 |
19年9月末 |
||
現預金 |
808 |
794 |
未払法人税等 |
130 |
26 |
売上債権 |
105 |
340 |
未払金 |
325 |
203 |
流動資産 |
1,310 |
1,254 |
前受金 |
117 |
153 |
有形固定資産 |
213 |
236 |
有利子負債 |
1 |
464 |
無形固定資産 |
38 |
782 |
負債 |
659 |
1,305 |
投資その他 |
147 |
264 |
純資産 |
1,051 |
1,233 |
固定資産 |
400 |
1,283 |
負債・純資産合計 |
1,710 |
2,538 |
* 単位:百万円
第2四半期末の総資産は前期末と比べて8億28百万円増の25億38百万円。借方では、サイコム・ブレインズ(株)の子会社化に伴い、売上債権や無形固定資産が増加した。無形固定資産の内訳は、のれん2億9百万円、商標権1億80百万円、顧客関連資産3億10百万円、その他81百万円。貸方では、M&A資金として長期の借り入れを行ったため有利子負債が増加した他、資本金・資本剰余金が増加した。自己資本比率48.5%(前期末61.5%)。
キャッシュ・フロー(CF)
19/3期 上期 |
20/3期 上期 |
前年同期比 |
||
営業キャッシュ・フロー(A) |
65 |
122 |
+57 |
+87.6% |
投資キャッシュ・フロー(B) |
-2 |
-472 |
-470 |
– |
フリー・キャッシュ・フロー(A+B) |
62 |
-350 |
-412 |
– |
財務キャッシュ・フロー |
177 |
336 |
+158 |
+89.3% |
現金及び現金同等物期末残高 |
817 |
794 |
-22 |
-2.8% |
* 単位:百万円
税引前利益50百万円(前年同期90百万円)、移転補償金3億2百万円(前年同期計上なし)、還付支払差引後の法人税等△1億65百万円(同△29百万円)等で、1億22百万円の営業CFを確保した。投資CFはM&A関連費用△3億64百万円等で、財務CFは長期借入金4億円や配当金の支払△54百万円等による。
3.2020年3月期業績予想
3-1 通期連結業績
19/3期 実績 |
構成比 |
20/3期 予想 |
構成比 |
前期比 |
|
売上高 |
1,883 |
100.0% |
2,936 |
100.0% |
+55.9% |
営業利益 |
147 |
7.8% |
170 |
5.8% |
+15.8% |
経常利益 |
148 |
7.9% |
171 |
5.8% |
+15.8% |
親会社株主帰属利益 |
182 |
9.7% |
100 |
3.4% |
-45.1% |
* 単位:百万円
前期比55.9%の増収、同15.8%の営業増益予想
売上高は前期比55.9%増の29億36百万円。人材育成事業(9ケ月分)が同42%弱の増収要因となる中、人材紹介事業が同21.1%増と伸び、メンタルヘルスケア事業も同5.7%増と安定成長が続く。人材紹介事業は、前期採用したコンサルタントが通期で寄与する他、期末にかけて当期採用したコンサルタントも本格的に戦力化してくる。メンタルヘルスケア事業はストレスチェックのピークである第3四半期を迎え上期比でも増収となる。
利益面では、下期は売上の増加で販管費の増加を吸収して前年同期比増収に転じる見込み。この結果、通期では営業利益が1億70百万円と同15.8%増加する。経常利益も同15.8%の増加が見込まれるが、前期に本社移転に伴う移転補償金3億02百万円を特別利益に計上した影響で最終利益は1億円と同45.1%減少する見込み。
配当は1株当たり期末10円を予定している(予想配当性向31.7%)。同社は将来の事業展開と経営基盤強化のために必要な内部留保を確保しつつ、連結配当性向30%程度を目安として安定した配当を継続していく事を基本方針としている。
セグメント別見通し
19/3期 実績 |
構成比:利益率 |
20/3期 予想 |
構成比・利益率 |
前期比 |
|
人材紹介事業 |
1,014 |
53.9% |
1,228 |
41.8% |
+21.1% |
メンタルヘルスケア事業 |
869 |
46.1% |
918 |
31.3% |
+5.7% |
人材育成事業(9ケ月) |
– |
0.0% |
788 |
26.8% |
– |
連結売上高 |
1,883 |
100.0% |
2,936 |
100.0% |
+55.9% |
人材紹介事業 |
143 |
14.1% |
252 |
20.5% |
+76.5% |
メンタルヘルスケア事業 |
260 |
30.0% |
179 |
19.5% |
-31.0% |
人材育成事業(9ケ月) |
– |
- |
109 |
13.8% |
– |
調整額 |
-255 |
– |
-370 |
– |
– |
連結営業利益 |
147 |
7.8% |
170 |
5.8% |
+15.8% |
* 単位:百万円
3-2 成長戦略
人材紹介事業 : エグゼクティブサーチ、ミドルマネジメント、グローバル
企業の旺盛な求人意欲に応えるべくコンサルタントの積極採用を継続すると共に、AIMS Internationalのネットワークを活用したグローバルビジネスの拡大に力を入れる。また、優秀な候補者を獲得するためのHP等自社チャネルのシステム改善投資を行う。
メンタルヘルスケア事業 : カウンセリング、ストレスチェック、メンタルヘルスケア研修
全国を一元的かつ均質にカバーするカウンセリング体制を武器に顧客基盤の維持・拡大に努めると共に、労働安全衛生法に基づくストレスチェックニーズの取り込みと、その結果に基づく職場環境改善等のフォローアップサービスを強化する。また、「健康経営」、「働き方改革」を目指す企業の取り組みを支援するサービスの充実に取り組む他、パワーハラスメント防止に関する法律が2020年度に施行予定である事を踏まえ、従来のハラスメント防止研修に加え、ハラスメント相談(通報)窓口サービスの提案営業にも力を入れる。この他、戦略的M&Aにも機動的に対応していく。
人材育成事業 : 経営リーダー、ダイバーシティ、学び方改革
国内事業の拡大に向け、ICT(情報技術)を駆使した映像講義やマイクロラーニングのコンテンツを活用して、より多くの対象者に学習機会を提供していく。また、各国での研修実績や多言語のコンテンツを強みにグローバル案件の受注にも力を入れる。この他、研修デザインとコンテンツ開発、社内トレーナー養成を含めた企業内研修の受託にも取り組む。
グループシナジーの追求
3事業のサービスは、いずれも「企業における人材価値の向上」をキーワードとしており、かつ、企業の人事部を窓口としてサービスを提供している。このため、各セグメント間での顧客紹介などクロスセールスの余地が大きい。
また、世界50ヵ国以上に拠点を有する人材紹介事業AIMS Internationalと人材育成事業サイコム・ブレインズ(株)が有する、バンコク、上海、ジャカルタの拠点を活用して、グループのグローバル化を推進していく。
さらに、メンタルヘルスケア事業と人材育成事業間で、研修メニューなど新商品の共同開発にも取り組む。
当面の目標として、「上場後5年以内に売上高50億円」を掲げている(2018年4月、東証マザーズ上場)。
4.今後の注目点
政府が推進する「働き方改革」や“日本再興戦略”の中で国民の健康増進を図る国策の一つとして掲げられた「健康経営」の実現には、組織の活性化や生産性向上につながる職場環境の整備が不可欠である。同社は、人材紹介事業において企業の人材ニーズにフィットする人材を紹介し、メンタルヘルスケア事業ではカウンセリングやストレスチェック、職場環境改善をサポート、人材育成事業においては、社員のスキルとモチベーションを向上させるサービスを提供しており、いずれも「働き方改革」や「健康経営」の実現につながるサービスである。人材紹介、メンタルヘルスケア、人材育成、の3つのサービスを1社で提供できる企業は、国内では同社以外にない。シナジーを発揮できれば、企業が「働き方改革」や「健康経営」を進める中で存在感を高める事ができるだろう。
加えて、メンタルヘルスケアサービスにおいては、同サービスに対する顧客ニーズの多様化・総合化が進み、ニーズに応える事が難しい中小の同業者が増えていると言う。このため、メンタルヘルスケア事業では、こうした同業をM&Aでグループに取り込む事で業容の拡大が期待できる。
同社自身、コンサルタント等、人材の確保という課題に直面しているが、課題を克服して、上記のビジネスチャンスを収益の拡大につなげていく事ができるか、注目していきたい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
取締役会の監督機能の強化によるコーポレート・ガバナンスの充実の観点から、2019年6月27日開催の第30回定時株主総会の承認を得て、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行した。
取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員を取締役会の構成員とする事により、取締役会の監督機能を強化し、更なる監視体制の強化を通じてより一層のコーポレート・ガバナンスの充実を図る考え。
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 9名、うち社外2名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2019年06月27日)
基本的な考え方
・コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、事業環境が刻々と変化する人材紹介業界において企業価値の持続的な増大を図るには、経営の効率化を図ると同時に、経営の健全性、透明性及びコンプライアンスを高めて社会的信頼に応えていくことが不可欠であるとの認識のもと、ガバナンス体制の強化・充実を重要課題と位置づけています。
こうした認識のもと、業務分掌の実施や規程の整備等により内部統制を強化するとともに、随時体制の見直しを実施し、企業価値の向上を図ることで、株主や債権者、従業員など企業を取り巻くさまざまなステークホルダーへの利益還元に努めてまいります。
当社は、取締役会の監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンスの移送の充実を図るために、2019年6月27日開催の第30回定時株主総会において、定款一部変更の承認を頂き、同日付で「監査等委員会設置会社」に移行いたしました。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
コーポレートガバナンス・コードの基本原則を実施しております。