(2708)株式会社久世 仕入の見直し奏功し大幅増益

2019/12/12

 

 

久世 真也 社長

株式会社久世(2708)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

卸売業(商業)

代表者

久世 真也

所在地

東京都豊島区東池袋2-29-7

決算月

3月

HP

https://www.kuze.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

873円

3,701,382株

3,231百万円

3.4%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

12.00円

1.4%

67.54円

13.0倍

1,657.61円

0.5倍

*株価は12/4終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

67,193

439

593

485

125.44

12.00

2017年3月(実)

61,570

568

663

487

128.45

12.00

2018年3月(実)

62,865

429

545

415

112.20

12.00

2019年3月(実)

66,006

223

372

209

56.67

12.00

2020年3月(予)

69,500

300

400

250

67.54

12.00

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

 

株式会社久世の2020年3月期第2四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期第2四半期決算概要
3.2020年3月期業績予想
4.新中期経営計画(第4次3ヶ年中期経営計画)
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20/3期上期は前年同期比2.3%の増収、営業損失52百万円(前年同期は8百万円の利益)。物流費の値上げや仕入価格上昇の影響に加え、社内基幹システムの入替やWindows10対応等のコスト負担もあり、1Q(4-6月)は1億26百万円の営業損失。ただ、2Q(7-9月)は仕入ルートの変更や仕入価格への対応が進んだ事に加え、物流改革の効果が徐々に顕在化。子会社の業績も堅調に推移し、74百万円(前年同期比54.2%増)の営業利益を確保した。 
  • 通期予想は前期比5.3%の増収、同34.2%の営業増益。上期の利益が期初予想を上回ったものの業績が下期偏重な事や消費税率引き上げの影響が不透明な事等もあり、通期予想を据え置いた。下期は、物流改革効果で物流費値上げの影響が吸収される事に加え、価格対応も更に進む見込み。中期経営計画の最終年であり、オリンピックイヤーでもある来期に向けての案件の積み上げにも力を入れる。 
  • 一先ず通期の業績予想を据え置いたが、大きな懸念材料はなく、業績モーメンタムを考えると上振れが期待できるのではないか。もっとも、今期の業績以上に注目されるのは、中期経営計画の最終年であり、オリンピックイヤーでもある来期に向けた案件をどれだけ積み上げる事ができるか。効率簡便、高付加価値化、高齢化、健康、女性目線、の「4K1J 」をキーワードとして、一つ、もしくは複数を取り込んだ提案で案件の掘り起こしに力を入れる。 

1.会社概要

外食産業や中食産業向けの食材卸を中心に、グループで食材の製造・販売も手掛けている。取扱品目は約40,000アイテムに上り、冷凍・常温品はもちろん生鮮品から消耗品等のノンフードまで幅広い。グループは、同社の他、ソース・スープ類の製造・販売を手掛けるキスコフーズ(株)、ニュージーランドでソース類の製造を手掛けるキスコフーズインターナショナルリミテッド、生鮮野菜など農産品の仕入・販売を行う(株)久世フレッシュ・ワン、豊洲市場に基盤を持つ水産物仲卸大手の旭水産(株)、海外子会社・関連会社向け金融と情報収集の役割を担う久世(香港)有限公司、及び中国で業務用食材卸を手掛ける上海日生食品物流有限公司の連結子会社6社、水産物売買業の豊洲フーズ(株)及び中国で業務用食材卸売事業を手掛ける久華世(成都)商貿有限公司の非連結子会社2社。また、中京地区強化の一環として同地区に6,000店の取引先を有する酒類販売大手(株)サカツコーポレーションと、首都圏で病院・老人福祉施設向けの食材販売に強みを持つ東京中央食品(株)と、それぞれ業務提携をしている。さらに、この4月に業務用卸売協業体である日本外食流通サービス協会(JFSA)に加盟し、全国各地域の同業者と購買等で協業体制を構築していくこととした。

 

【経営理念とC&G活動の取組み】

「フードサービス・ソリューション・カンパニー」として「頼れる食のパートナー」を目指し、次の経営理念を掲げている。
私達は、明るい信頼される会社にします。
私達は、お客様の立場に立ち、最高の商品とサービスを提供します。
私達は、絶えず革新に挑戦し、たくましい会社にします。
私達は、お客様、お取引先の繁栄と株主、社員の幸福に貢献します。
私達は、そのために会社の成長と発展を果たします。

 

1-1 事業内容

事業は、食材卸売事業、食材製造事業、及びグループ会社向けが大半を占める不動産賃貸事業に分かれ、19/3期の売上構成比(連結調整前)は、それぞれ、92.7%、7.1%、0.2%。

 

食材卸売事業
業務用食材全般に加え、割りばし、ナプキン、洗剤といった消耗品等のノンフードまでを幅広くカバーし、取扱品目は約40,000アイテムを数える。近年、プライベートブランド(PB)商品や生鮮三品の取扱いにも力を入れている。

 

食材製造事業
連結子会社キスコフーズ(株)が食品製造工場を有し、ソース、ブイヨン、スープ及び調理食品等の自社ブランド製品及びOEM製品の製造・販売を行っており、その子会社(久世の孫会社)キスコフーズ インターナショナル リミテッド(KISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITED)が、ニュージーランド・クライストチャーチ市において、オリジナルのフォンドヴォー(仔牛骨、牛肉、野菜等を原料としたソース)やベシャメルソース(バターと小麦粉を原料としたホワイトソース)の製造を行っている。

 

1-2 フードサービスソリューションカンパニーを標榜-システムで 運ぶ、つくる、考える 頼れる食のパートナー-

同社は 「頼れる食のパートナー」 として、顧客へ様々な情報を提供し、顧客と共に、納品の方法、店舗経営、商品開発等について考え、問題の解決に取り組んでいる。目指すところは、「運ぶ」、「つくる」、「考える」それぞれの機能を総合的に組み合わせ、より高い付加価値を生み出す提案営業重視の「フードサービス・ソリューション・カンパニー」である。

 

運ぶ : 多様な要望に応える事の難しさ
同社においては「個店向け配送」と「チェーン店向け配送」の2通りがあり、「個店向け配送」は、幅広い品揃えで様々な業態(洋食、和食、中華、ホテル、居酒屋、バル、カフェ、病院、商業施設等)に対応し、自社の物流センターから配送。一方、「チェーン店向け配送」はチェーン店独自の品揃えに対応し、自社の物流センターと外部倉庫を利用した久世全国ネットワーク(KZN)の併用で、北海道から九州まで全国にチェーン展開している顧客に食材を届けている。

 

個店向け配送

 

チェーン店向け配送

 

 

 

「運ぶ」(配送)は食材専門商社としての根幹に関わる業務だが、時間指定、配送頻度、納品場所等、多様な要望に応えつつ、しっかりと収益管理していく事は実に難しい。昨今の店舗運営は生産性の向上を迫られる一方、労務管理に対する指導が強化されているため、店着時間がピンポイントで指定される事が多く、これに対応しようとすると物流コストが跳ね上がる。このため、納入価格、物流フィー、店着時間を総合的に勘案して取引条件を決める必要があり、オペレーションの難易度があがっている。

 

つくる : 食材専門商社の枠を超えた事業展開で収益力の強化と顧客満足度の向上を両立
厨房での手間やコスト削減を念頭に新しいメニューやプライベート(PB)商品を開発し、顧客のニーズに合った商品提供を行っている。

 

考える : 情報提供で顧客のビジネスを側面から支援
「顧客ニーズ」、「メニュートレンド」、「メニューの差別化」等を基本に顧客ごとのオリジナルメニューの開発やムリ・ムダのない調理オペレーションの提案、更には同社の商品を使用したメニューレシピやトレンド情報の提供等、日々の顧客支援に加え、プロ向け展示会「FOOD SERVICE SOLUTION」の定期開催で「食のヒントとなる情報」の発信も行っている。

 

品質管理 : 商品はもちろん、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務で品質向上を推進
1981年に社内に品質管理部門を設け、取引先の品質に関する要望や問い合わせに対し、迅速に対応できる体制を構築しており、細菌検査、生産委託先工場の製造管理、商品規格書の作成・提供、物流センター、各営業拠点の衛生管理チェック等を実施している。また、2010年に「久世グループ品質方針」及びISO22000に基づいた久世グループの品質保証の仕組みである「久世クオス(久世QUALITY SYSTEM)」を策定し、新しい品質への取組みをスタート。13年4月には、キスコフーズ(株)が、同年8月には同社と久世フレッシュ・ワンが、それぞれISO22000の認証を取得した。商品の品質だけでなく、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務の品質の向上を推進し、「お客様満足度No.1」を目指している。

 

1-3 外食産業・業務食材卸と同社のポジショニング

 

注1)出所:公益財団法人 食の安全・安心財団統計資料「外食率と食の外部化率の推移」
注2)外食率(%)=外食市場規模÷全国食料・飲料支出額、食の外部化率(%)=広義の外食市場規模(小売業市場規模を含む)÷全国食料・飲料支出額

 

1997年に外食市場は約29兆円とピークを迎え、2011年には23兆円を下回ったものの2015年には25兆円を超え、2016年もほぼ横ばいで伸長している。外食率も1997年にピークを迎えてから低下傾向にあるが、その一方で食の外部化は進んでおり2015年43.9%となっている。ちなみに、食産業は、内食、中食、外食に分かれるが、家庭内の食事等(スーパー)の内食市場は約38兆円、惣菜・弁当等の中食市場は約7.5兆円、そして、上記の通り、外食市場は約25兆円である。

 

外食の店舗数は、居酒屋、レストラン、ホテル、カフェ、給食など約60万店舗。一方、食材の提供も、冷食メーカー、畜肉メーカー、調味料メーカー、水産メーカー、農協等、数多い。店舗数(企業)もメーカー数も共に多いため、外食産業には情報・物流の仲立ちをする機能(専門卸=業務用食材卸)が不可欠。

 

業務用食材卸には、商品を届けるだけでなく、食材を調理してメニューを提供するためのノウハウやトレンド等の情報等が求められる。家庭用食材卸の機能は、商品を確実に届ける事であり(物流面の手伝い)、大規模化・システム化により効率化・合理化が図られている。主な企業は、三菱食品、国分、日本アクセス、伊藤忠食品、三井食品等、商社系企業が中心。一方、プロの料理人が調理を顧客とする業務用卸は、外食産業のきめ細かいニーズに対応する必要があり、きめ細かい対応が可能な独立系企業が多い。業務用食品卸売業年鑑2017年版によると、業務用食材市場は全国で約4.7兆円。内訳は、首都圏(一都六県)約1兆9,800億円、中部圏(愛知・三重・岐阜・静岡)約4,850億円、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)約9,600億円、その他。同社は首都圏売上高トップクラスだが、首都圏のマーケットシェアは未だ約3.1%(全国では約1.3%)にとどまり、首都圏はもちろん、三大都市圏で更なる成長の可能性を秘めている。

 

2.2020年3月期第2四半期決算概要

2-1 第2四半期(7-9月)連結業績

 

19/3期 2Q(7-9月)

構成比

20/3期 2Q(7-9月)

構成比

前年同期比

売上高

16,486

100.0%

16,796

100.0%

+1.9%

売上総利益

3,258

19.8%

3,434

20.4%

+5.4%

販管費

3,210

19.5%

3,359

20.0%

+4.6%

営業利益

48

0.3%

74

0.4%

+54.2%

経常利益

71

0.4%

91

0.5%

+28.2%

親会社株主帰属利益

76

0.5%

46

0.3%

-39.5%

*単位:百万円

 

前年同期比1.9%の増収、同54.2%の営業増益
売上高は前年同期比1.9%増の167億96百万円。食材卸売事業の売上は同1.3%増の156億39百万円。外食市場が伸び悩む中、取引条件の見直しを含め、高付加価値商品及びサービスの積極的な提案により消費税増税を前にしたメニュー変更や価格改定に伴う需要の取り込みが進んだ。連結子会社キスコフーズ(株)の事業領域である食材製造事業は同10.5%増の11億60百万円。TPP効果でキスコフーズ(株)のニュージーランド子会社(久世の孫会社)キスコフーズ インターナショナル リミテッド(KISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITED)が製造するフォンドヴォー(仔牛骨、牛肉、野菜等を原料としたソース)やベシャメルソース(バターと小麦粉を原料としたホワイトソース)の国内販売が増加した。
営業利益は同54.2%増の74百万円。食材卸売事業における仕入価格及び物流費(物流費の値上げ)の大幅な上昇に対する仕入ルートの変更や販売価格への転嫁等の効果に加え、稼働率の向上による食材製造事業の収益性改善で売上総利益率が20.4%と0.6ポイント改善。物流改革の効果が徐々に顕在化してきた事で販管費率も第1四半期比で改善した。
最終利益が減少したのは、前年同期に固定資産売却益54百万円を計上したため。

 

セグメント別売上高・利益

 

19/3期 2Q(7-9月)

構成比・利益率

20/3期 2Q(7-9月)

構成比・利益率

前年同期比

食材卸売事業

15,438

93.4%

15,639

92.9%

+1.3%

食材製造事業

1,050

6.4%

1,160

6.9%

+10.5%

不動産賃貸事業

37

0.2%

35

0.2%

-5.4%

調整額

-39

-39

連結売上高

16,486

16,796

+1.9%

食材卸売事業

171

1.1%

223

1.4%

+30.4%

食材製造事業

68

6.5%

89

7.7%

+30.9%

不動産賃貸事業

28

75.7%

24

68.6%

-14.3%

調整額

-217

-261

連結営業利益

48

0.3%

74

0.4%

+54.2%

*単位:百万円

 

四半期セグメント別売上・利益

 

19/3-1Q

2Q

3Q

4Q

20/3-1Q

2Q

食材卸売事業

14,942

15,438

16,163

14,801

15,317

15,639

食材製造事業

1,031

1,050

1,466

1,129

1,081

1,160

不動産賃貸事業・調整額

-5

-2

-6

-1

-10

-4

連結売上高

15,969

16,486

17,623

15,928

16,389

16,795

食材卸売事業

148

171

195

150

54

223

食材製造事業

48

68

236

100

63

89

不動産賃貸事業・調整額

-238

-189

-257

-209

-246

-237

連結営業利益

-40

48

176

39

-126

74

*単位:百万円

2-2 上期連結業績

 

19/3期 上期

構成比

20/3期 上期

構成比

前年同期比

期初予想

予想比

売上高

32,455

100.0%

33,184

100.0%

+2.3%

34,000

-2.4%

売上総利益

6,333

19.5%

6,690

20.2%

+5.6%

販管費

6,325

19.5%

6,742

20.3%

+6.6%

営業利益

8

0.0%

-52

-90

経常利益

75

0.2%

27

0.1%

-64.0%

-50

親会社株主帰属利益

72

0.2%

42

0.1%

-41.%

-65

*単位:百万円

 

前年同期比2.2%の増収、営業損失52百万円
売上高は前年同期比2.3%増の331億84百万円。内訳は、主力の食材卸売事業の売上が同1.9%増の309億56百万円、連結子会社キスコフーズ(株)が手掛ける食材製造事業の売上は同7.7%増の22億41百万円、内部売上が大半を占める不動産賃貸事業が同4.1%減の70百万円。この他、連結調整△84百万円。

 

営業損益は52百万円の損失(前年同期は8百万円の利益)。社内基幹システムの入替やWindows10対応等のコスト負担もあった第1四半期(4-6月)の営業損失1億26百万円を吸収できなかったものの、第2四半期(7-9月)は営業損益が急回復し74百万円の利益を確保した。受取事務手数料や受取配当金の計上等で経常損益は27百万円の利益を確保。投資有価証券売却益の計上で最終利益は経常利益を上回る42百万円となった。

 

セグメント別売上高・利益

 

19/3期 上期

構成比・利益率

20/3期 上期

構成比・利益率

前年同期比

食材卸売事業

30,380

93.4%

30,956

93.0%

+1.9%

食材製造事業

2,081

6.4%

2,241

6.7%

+7.7%

不動産賃貸事業

73

0.2%

70

0.2%

-4.1%

調整額

-80

-84

連結売上高

32,455

100.0%

33,184

202.5%

+2.3%

食材卸売事業

319

1.1%

277

0.9%

-13.2%

食材製造事業

116

5.6%

152

6.8%

+31.0%

不動産賃貸事業

55

75.3%

49

70.0%

-10.9%

調整額

-482

-532

連結営業利益

8

0.0%

-52

-0.2%

*単位:百万円

 

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年3月

19年9月

 

19年3月

19年9月

現預金

5,097

3,704

仕入債務

10,903

10,097

売上債権

7,679

6,952

未払金

1,341

1,049

たな卸資産

2,582

2,805

未払法人税等

126

55

流動資産

15,961

14,055

有利子負債

2,535

2,026

有形固定資産

2,411

2,422

負債

16,399

14,847

投資その他

3,758

4,118

純資産

6,165

6,225

固定資産

6,603

7,017

負債・純資産合計

22,564

21,073

*単位:百万円

 

第2四半期末の総資産は前期末との比較で14億91百万円減の210億73百万円。有利子負債を削減し、運転資金の増加に手元資金で対応したため現預金が減少した。自己資本比率は29.5%と前期末(27.2%)との比較で2.3ポイント改善した。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

19/3期 上期

20/3期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー(A)

1,613

-469

-2,082

投資キャッシュ・フロー(B)

-195

-290

-95

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

1,418

-759

-2,177

財務キャッシュ・フロー

-368

-636

-268

現金及び現金同等物期末残高

5,539

3,134

-2,405

-43.4%

*単位:百万円

 

運転資金の増加で営業CFは4億69百万円のマイナス。主な要因は、税引前利益82百万円(前年同期1億25百万円)、減価償却費1億29百万円(同1億16百万円)、売上債権の減少7億17百万円(同3億66百万円)、たな卸資産の増加△2億36百万円(同△79百万円)、仕入債務の減少△7億92百万円(前年同期は増加10億円)等。
投資CFは有形・無形固定資産の取得等が主な要因であり、財務CFは有利子負債の削減と配当金の支払いによる。

 

3.2020年3月期業績予想

3-1 連結業績

 

19/3期 実績

構成比

20/3期 予想

構成比

前期比

売上高

66,006

100.0%

69,500

100.0%

+5.3%

営業利益

223

0.3%

300

0.4%

+34.2%

経常利益

372

0.6%

400

0.6%

+7.4%

親会社株主帰属利益

209

0.3%

250

0.4%

+19.2%

*単位:百万円

 

前期比5.3%の増収、同34.2%の営業増益予想
業績予想に変更はなかった。グループ各社の売上も順調に増加し、売上高は695億円と前期比5.3%増加する見込み。利益面では、社内基幹システムの入替やWindows10対応等のコストを織り込んだものの、下期以降、仕入価格上昇等への対応が進むと共に、物流改革の効果が本格的に現れてくる。営業利益は同34.2%増の3億円と3期ぶりの増益が見込まれる。

 

配当は1株当たり12円の期末配当を予定している(予想配当性向17.8%)。

 

3-2 下期見通し

 

19/3期 実績

構成比

20/3期 差分

構成比

前年同期比

期初予想

予想比

売上高

33,551

100.0%

36,316

100.0%

+8.2%

35,500

+2.3%

営業利益

215

0.6%

352

1.0%

+63.7%

390

-9.7%

経常利益

297

0.9%

373

1.0%

+25.6%

450

-17.1%

親会社株主帰属利益

137

0.4%

208

0.6%

+51.8%

315

-34.0%

*単位:百万円

 

下期は、物流改革効果で物流費値上げの影響が吸収される事に加え、価格対応が更に進む見込み。また、中期経営計画の最終年であり、オリンピックイヤーでもある来期に向けての案件の積み上げにも力を入れる。

 

4.新中期経営計画(第4次3ヶ年中期経営計画)

「第4次3ヶ年中期経営計画 Challenge NEXT ONE」は、「システムで運ぶ つくる 考える “頼れる食のパートナー”」をあるべき姿として掲げ、中長期の目標である「連結売上1,000億円」、「三大都市圏No.1」、「お客様満足度No.1」の達成に向けた取り組みを進めている。

 

同社だけでなく取引先も含めた人手不足、あらゆる面でのコスト増、2019年10月の消費増税と言った課題がある一方で、中食を含めた食の外部化拡大、同社が強みを持つ首都圏への人や情報の集中、更には年間4,000万人が視野に入ったインバウンドと訪都客増等でビジネスチャンスも拡大している。また、個食化の進展による1億総中食即食化による多様化とバリューチェーンの変化、競争・業態のボーダレス化による顧客層の広がり、そして第4次産業革命による物流の更なる効率化、といった近未来的な流れも追い風になる。同社は ビジネスチャンスを捉え、流れに乗るべく、“頼れる食のパートナー”として、5つの戦略と5つの提案を推進していく。

 

4-1 数値計画

 

第3次中期経営計画

第4次中期経営計画

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期 予

前期比

21/3期 計

前期比

売上高

67,193

61,570

62,865

66,006

69,500

+5.3%

77,000

+10.8%

営業利益

439

568

429

223

300

+34.2%

1,000

+233.3%

営業利益率

0.7%

0.9%

0.7%

0.3%

0.4%

1.3%

*単位:百万円

 

5.今後の注目点

増収基調が続く中、食材卸売事業における仕入ルートの変更や価格対応が進んでいる事に加え、物流改革の効果も顕在化してきた。加えて、久世と物流連携を進める生鮮野菜の久世フレッシュ・ワン、ソース・ブイヨン・スープ・調理食品等のキスコフーズ、水産物の旭水産、中国に展開する上海日生食品物流及び久華世(成都)、といった子会社の業績も堅調なようだ。上期よりも下期の売上・利益のウエートが大きい事や消費税率引き上げの影響等が読み難い事等から、一先ず通期の業績予想を据え置いたが、大きな懸念材料はなく、業績モーメンタムを考えると上振れが期待できるのではないか。もっとも、今期の業績以上に注目されるのは、下期に来期に向けた案件をどれだけ積み上げる事ができるか。効率簡便、高付加価値化、高齢化、健康、女性目線、の「4K1J 」をキーワードとして、一つ、もしくは複数を取り込んだ提案で案件の掘り起こしを行っていく考え。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役会設置会社
取締役 5名、うち社外1名
監査役 4名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2019年6月28日)
基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスの考え方は、経営理念を基本としております。

経営理念 私達は、明るい信頼される会社にします。

私達は、お客様の立場に立ち、最高の商品とサービスを提供します。

私達は、絶えず革新に挑戦し、たくましい会社にします。

私達は、お客様、お取引先の繁栄と株主、社員の幸福に貢献します。

私達は、そのために会社の成長と発展を果たします。

 

これらの考え方に基づき、当社は企業目的を達成し、企業価値を向上させるために経営の有効性と効率化を高め、変化する経営環境に対して迅速な意思決定や、意思決定に基づく機動性の向上を図っていく必要があると考えております。また、経営の健全性を高めるために、経営の監視機能として、内部統制システム構築による自主点検と内部監査による法令遵守(コンプライアンス)チェックがますます重要性を増してきていると認識しております。その上で、安定的な企業活動を継続していくために、コーポレート・ガバナンスの強化を図ってまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
【基本原則1 株主の権利の平等性の確保】
当社は常に株主の権利が実質的に確保されるように適切に対応していくとともに、株主総会の集中日を避けての実施や、情報の適宜開示により株主がその権利を適切に行使できる環境作りに努めております。今後もこの考え方に則り、株主総会招集通知の早期発送やWEB開示の検討を進めるとともに、少数株主にも配慮して株主の実質的な平等性の確保を図ってまいります。

 

【基本原則2 株主以外のステークホルダーとの適切な協働】
当社には「経営理念」、社員の行動基準である「KUZE WAY」、「食品安全方針」とグループの品質保証の仕組み「久世クオス」があり、これらの考え方をベースに様々なステークホルダーの要望に応えるべく活動しております。当社取締役会は、当社の活動が経営理念をはじめとするこれらの考え方に合致しているかを監督し、それが実践されるような企業文化を形成するよう代表取締役を中心に対応しております。

 

【基本原則3 適切な情報開示と透明性の確保】
当社は情報開示担当役員責任の下、経営企画部が中心に経営戦略・経営課題あるいはリスクやガバナンスの状況、また決算説明会や個人投資家説明会、当社WEBサイトを通じて非財務情報についても積極的に提供するよう努めております。当社取締役会は、こうした情報提供が受け手であるステークホルダーの皆様にとって有益・有用であるよう監督・指導にあたります。

 

【基本原則4 取締役会等の責務】
当社では取締役会は株主の為に諸施策を示し実行していく最高機関と考えております。当社は業務執行の意思決定の妥当性および適正性を確保し、取締役会が有効に機能するよう独立性を有する社外取締役が取締役会に出席しております。さらに経営監視機能の強化を図るため、社内監査役2名と社外監査役2名の計4名体制で監査役会を組織して監査役相互の情報交換を緊密にするとともに、監査役も取締役会に出席し適宜、意見の表明を行っており、健全性かつ透明性の高い経営を維持する体制になっております。

 

【基本原則5 株主との対話】
当社では株主総会の場以外でも株主との対話の場は必要と考えております。そこで、個人投資家説明会や個別ミーティング等を通じ投資家とのコミュニケーションづくりにも取り組んでおりますが、特定のステークホルダーとの対話については、その都度状況に応じて合理的な配慮の中で対応してまいります。

 

以上の通り、当社は基本原則すべてについて実施しております。

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