(2462)ライク株式会社 活躍の場が広がる好市場

2019/11/07

 

岡本 泰彦 社長

ライク株式会社(2462)

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表取締役社長

岡本 泰彦

所在地

大阪市北区角田町8番1号 梅田阪急ビルオフィスタワー19階

決算月

5月末日

HP

https://www.like-gr.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,747円

18,929,784株

33,070百万円

19.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

28.00円

1.6%

92.45円

18.9倍

468.57円

3.7倍

*株価は10/18終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROE・BPSは19年5月期実績、EPS・DPSは20年5月期予想、数値は四捨五入。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年5月(実)

31,844

953

1,426

1,795

97.67

40.00

2017年5月(実)

40,051

1,524

2,493

810

43.27

36.00

2018年5月(実)

45,663

1,915

3,889

1,532

81.49

29.00

2019年5月(実)

47,797

1,746

3,753

1,595

84.58

26.00

2020年5月(予)

53,500

2,200

4,000

1,750

92.45

28.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、EPS・DPSは円。2016年5月期より当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
* 2017年9月、1株を2株に分割。EPSは株式分割を反映。

 

2020年5月期第1四半期決算の概要と2020年5月期の見通しについて、ブリッジレポートにてお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年5月期第1四半期決算
3.2020年5月期業績予想
4.今後の注目点
参考:コーポレート・ガバナンスについて

 

今回のポイント

  • 20/5期1Qは前年同期比3.6%の増収、同21.2%の経常減益。減益の要因としては、主に、子育て支援サービス事業において、前1Qは認可保育園の新規開設がなかったのに対し、今1Qは認可保育園を1ヶ所開設し開設コストがかかったこと、認可保育園において売上に計上する運営補助金の加算額が前年同期より減少したこと、前1Qに計上していた売上に計上する運営補助金の一部が上期での計上となることであり、ネガティブなものではないと同社では捉えている。

     

  • 通期予想に修正はなく20/5期は前期比11.9%増収、同6.6%の経常増益予想。引き続き各事業でこれまでの戦略を推進する。配当は、1株当たり年28円を予定(上期末14円、期末14円)。

     

  • 1Qの通期予想に対する進捗率は売上高で23.2%、営業利益で24.9%、経常利益で16.1%、親会社株主に帰属する四半期純利益では13.5%。前年同期は実績に対してそれぞれ25.0%、45.7%、21.7%、18.7%。利益については一時的要因があり、同社の考え通りでネガティブに受け入れなくても良さそうだが、売上高の進捗率が低いことはやや気掛かりではある。ただし、1Qに減収となった総合人材サービス事業では矢継ぎ早に新規事業の開拓を進めており、成果も期待できるだろう。「働き方改革」や深刻な人手不足、待機児童問題等を背景に同社の活躍の場は広がっており、視界は良好である。

     

1.会社概要

「…planning the Future ~人を活かし、未来を創造する~」をグループの経営理念として掲げ、人生のどの段階においてもなくてはならない企業グループを目指して、保育・人材・介護サービスを営んでいる。

 

(同社資料より)

【1-1 事業セグメントとライクグループ】

事業セグメントは、人材派遣、業務受託、紹介予定派遣・職業紹介、及び採用・教育支援等の総合人材サービス事業、公的保育施設運営と受託保育の子育て支援サービス事業、介護施設運営の介護関連サービス事業に分かれる。

 

グループは、純粋持株会社である同社の他、連結子会社5社及び持分法非適用関連会社1社。連結子会社は、派遣や業務請負等の総合人材サービスと携帯電話キャリアショップ運営を手掛けるライクスタッフィング(株)、物流・製造(ファクトリー)業界向け総合人材サービスのライクワークス(株)、ライクキッズ(株)(2019年10月1日付でライクキッズネクスト株式会社から商号変更)とその傘下で受託保育事業と公的保育事業(認可保育園等の運営)を手掛けるライクアカデミー(株)、及び介護施設運営のライクケア(株)(2019年10月1日付でライクケアネクスト株式会社から商号変更)。この他、ライクスタッフィング(株)が20%、携帯電話販売代理店最大手の(株)ティーガイア(東証1部:3738)が80%、それぞれ出資する合弁会社(株)キャリアデザイン・アカデミーが、法人顧客向け研修サービスを提供している。

 

【1-2 中期経営計画】

 

17/5期

18/5期

19/5期

計画

実績

計画

実績

計画

実績

売上高

38,300

40,051

46,400

45,663

51,000

47,797

経常利益

2,200

2,493

2,800

3,889

3,500

3,753

*単位:百万円。

 

3ヵ年の中期経営計画最終となる19/5期は、売上高は計画を下回ったものの、経常利益は上回った。20/5期以降の中期経営計画については、建設業界向け人材サービス、障がい者就労支援サービス、外国人材就労支援サービスの3つの新規事業において、法制度の運用進捗等の未確定要素が多いため、見通しが立つ状況になり次第開示する予定。

 

【1-3株主優待】

「ライク・プレミアム優待倶楽部」を開設した。
対象・・・毎年5月末現在の株主名簿に記載された、同社株式200株(2単元)以上を保有する株主。
内容・・・毎年7月に下表に基づいた株主優待ポイントを贈呈。特設インターネットサイト(https://like.premium-yutaiclub.jp)において、株主優待ポイントと、食品、電化製品、ギフト、旅行、雑貨など1,000種類以上の優待商品に交換。

 

(同社資料より)

 

2.2020年5月期第1四半期決算

(1)連結業績

 

19/5期 1Q

構成比

20/5期 1Q

構成比

前年同期比

売上高

11,971

100.0%

12,401

100.0%

+3.6%

売上総利益

2,218

18.5%

2,046

16.5%

-7.7%

販管費

1,419

11.9%

1,499

12.1%

+5.6%

営業利益

798

6.7%

546

4.4%

-31.5%

経常利益

814

6.8%

642

5.2%

-21.2%

親会社株主に帰属する四半期純利益

297

2.5%

235

1.9%

-20.9%

*単位:百万円。
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期比3.6%の増収、同21.2%の経常減益
売上高は前年同期比3.6%増の124億1百万円。総合人材サービスが減収となったものの、子育て支援サービス及び介護関連サービスが増収となった。
利益面では、売上総利益率が前年同期比2.0pt減の16.5%にとどまった。認可保育園の開設コストの増加等もあり営業利益は前年同期比31.5%減の5億46百万円となった。営業外では設備補助金収入が増加し経常利益は同21.2%減の6億42百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同20.9%減の2億35百万円となった。
減益の要因としては、主に、子育て支援サービス事業において、前1Qは認可保育園の新規開設がなかったのに対し、今1Qは認可保育園を1ヶ所開設し開設コストがかかったこと、認可保育園において売上に計上する運営補助金の加算額が前年同期より減少したこと、前1Qに計上していた売上に計上する運営補助金の一部が上期での計上となることであり、ネガティブなものではないと同社では捉えている。

 

(2)セグメント別動向

 

19/5期 1Q

構成比

20/5期 1Q

構成比

前年同期比

総合人材サービス

5,312

44.4%

5,063

40.8%

-4.7%

子育て支援サービス

5,115

42.7%

5,554

44.8%

+8.6%

介護関連サービス

1,452

12.1%

1,708

13.8%

+17.6%

マルチメディアサービス・その他

91

0.8%

75

0.6%

-17.1%

連結売上高

11,971

100.0%

12,401

100.0%

+3.6%

総合人材サービス

398

40.7%

378

50.8%

-5.0%

子育て支援サービス

564

57.6%

302

40.6%

-46.4%

介護関連サービス

10

1.0%

58

7.9%

+474.6%

マルチメディアサービス・その他

7

0.7%

4

0.7%

-30.9%

調整額

-182

-198

連結営業利益

798

546

-31.5%

単位:百万円。

 

総合人材サービス事業
売上高50億63百万円(前年同期比4.7%減)、営業利益3億78百万円(同5.0%減)。
全ての業界・業種・職種において人材の確保が深刻な課題となる中、ライクスタッフィングにおいては販売員が不足するモバイル・アパレル等のサービス業界、インターネット販売の普及等に伴い需要が拡大するコールセンター、人材不足が社会問題化する保育・介護業界を、ライクワークスにおいては販売チャネルの変遷に伴い需要が逼迫する製造・物流業界を中心に事業の拡大に努めた。引き続き、業界に特化し蓄積してきた知識やノウハウ等の現場力を活かし、業務経験や社会経験の浅い求職者や、週5日フルタイム以外の勤務を希望される求職者であっても活躍できるよう、マッチング・就業フォロー・研修体制や顧客企業に対する多様な働き方の提案等を強化し、就業人口の増加に注力した。
さらに、2019年4月に改正入国管理法が施行され、新たな在留資格である「特定技能」が新設されたことから、グループで100人以上の外国籍正社員が活躍している実績を活かし、介護・宿泊・外食業界を中心に外国人材の活躍を推進すべく生活のサポートを含む働きやすい環境の整備を進めている。ライクスタッフィングは外国人の就労支援を行う「登録支援機関」に登録されており、ライクケアとの連携により介護分野における特定技能1号の在留資格の取得も実現した。

 

子育て支援サービス事業
売上高55億54百万円(前年同期比8.6%増)、営業利益3億2百万円(同46.4%減)。
待機児童問題と保育士不足がますます深刻化し、幼児教育・保育の無償化等の様々な施策が推進される中、子会社であるライクキッズ及びライクアカデミーにおいて、引き続き、認可保育園や学童クラブ等の運営と、企業・病院・大学等が設置する企業主導型保育等の事業所内保育の受託運営を行うとともに、保護者や子供に選ばれ続ける高品質の保育とご利便性の高い立地や設備を備えた新規施設の開設と、人材確保に悩む事業者に対する事業所内保育の提案に注力した。
減益の要因は、1Qは認可保育園の新規開設がなかったのに対し、今1Qは認可保育園を1ヶ所開設し開設コストがかかったこと、認可保育園において売上に計上する運営補助金の加算額が前年同期より減少したこと、前1Qに計上していた売上に計上する運営補助金の一部が上期での計上となることであり、ネガティブなものではないという。

 

 

介護関連サービス事業
売上高17億8百万円(前年同期比17.6%増)、営業利益58百万円(同474.6%増)。
子会社であるライクケアにおいて、引き続き、神奈川県・東京都・埼玉県といった首都圏において24時間看護師が常駐し看取り介護を行う有料老人ホーム等を運営し、利用者・家族に選ばれ続ける高品質のサー ビスを提供することに注力した。2018年5月に開設したサンライズ・ヴィラ西葛西、7月に新規開設した フェリエ ドゥ磯子、10月に新規開設したサンライズ・ヴィラ藤沢六会も順調に入居率を伸ばしている。

 

その他
マルチメディアサービス事業では、総合人材サービスにおけるモバイル業界向けサービスのためのアンテナショップとして携帯電話ショップ1店舗を運営している。

 

(3)財政状態

◎財政状態

 

19年5月

19年8月

 

19年5月

19年8月

現預金

7,628

7,401

未払金

2,967

2,837

売上債権

3,795

3,501

未払法人税・消費税等

1,051

731

流動資産

13,088

11,917

受入入居保証金

896

920

有形固定資産

10,098

9,913

有利子負債(うちリース債務)

10,551(659)

9,858(650)

無形固定資産

1,979

1,869

負債

18,268

16,671

投資その他

5,141

5,129

純資産

12,040

12,158

固定資産

17,219

16,911

負債・純資産合計

30,308

28,829

単位:百万円。

 

20/5期1Q末の総資産は前期末比14億78百万円減の288億29百万円となった。
流動資産は前期末比11億70百万円減の119億17百万円。おもに借入金の返済等に伴う現金及び預金の減少2億27 百万円、売上債権の減少2億93百万円等によるもの。
固定資産は前期末比3億7百万円減の169億11百万円。おもにのれんの償却に伴う減少1億16百万円等によるもの。
流動負債は前期末比12億85百万円減の90億89百万円。おもに短期借入金の減少3億円、未払金の減少1億29百万円、未払法人税等の減少3億85百万円、賞与引当金の減少2億27百万円等によるもの。
固定負債は前期末比3億11百万円減の75億81百万円。おもに、長期借入金の減少3億40百万円等によるもの。
純資産の残高は前期末比1億18百万円増の121億58百万円。おもに親会社株主に帰属する四半期純利益の計上2億35百万円、配当金の支払2億64百万円、非支配株主持分の増加1億45百万円によるもの。
自己資本比率は前期末比1.4ポイント増の30.7%となった。

 

3.2020年5月期業績予想

(1)連結業績

 

19/5期 実績

構成比

20/5期 予想

構成比

前期比

売上高

47,797

100.0%

53,500

100.0%

+11.9%

営業利益

1,746

3.7%

2,200

4.1%

+26.0%

経常利益

3,753

7.9%

4,000

7.5%

+6.6%

親会社株主に帰属する

当期純利益

1,595

3.3%

1,750

3.3%

+9.7%

単位:百万円

 

前期比11.9%の増収、同6.6%の経常増益予想
通期予想に修正はなく、20/5期は、売上高は前期比11.9%増の535億円、経常利益は同6.6%増の40億円を見込む。
総合人材サービス事業では、次の成長軸となる新規事業の開拓も進めており、18年12月に開始した建設業界向けサービス、19年4月に開始した障がいを持つ人の就労移行支援事業所「ライクチャレンジサポート」の拡大に注力している。
子育て支援サービス事業では、ライクスタッフィングとの連携により採用機能を強化するとともに、保育士が働きやすい環境を作ることで定着率の向上を図った。この結果、人材の確保も順調に進んでおり、20年4月に20ヶ所の認可保育園の開設を予定している。配当は、年28円を予定(上期末14円、期末14円、予想配当性向30.3%)。
期初におけるセグメント別売上見通しは以下の通り。

 

セグメント別売上見通し

 

19/5期 実績

構成比

20/5期 予想

構成比

前期比

総合人材サービス

20,681

43.3%

23,650

44.2%

+14.4%

子育て支援サービス

20,534

43.0%

22,800

42.6%

+11.0%

介護関連サービス

6,175

12.9%

6,670

12.5%

+8.0%

マルチメディアサービス・その他

407

0.8%

380

0.7%

-6.7%

連結売上高

47,797

100.0%

53,500

100.0%

+11.9%

単位:百万円

 

(2)期初における事業別戦略、大きな修正はないと推測される

◎総合人材サービス事業
全ての業界で人材確保が経営の課題になっている。こうした中、同社は、求職者の経験・スキルを問わず戦力化するグループ独自のノウハウにより就業人口を増加させることに注力する。
マッチングにおいては、時短等週5日フルタイム以外の勤務を希望する求職者にも活躍する場を提供すべく、クライアント企業に対しては就業条件・環境の変化に伴う多様な働き方の提案を強化し、求職者に対しては細やかなヒアリングにより、適性が高く、かつ、希望に敵う仕事を提案する。
研修は、現場経験豊富な研修担当者が座学での研修だけではなく、一緒に就業することで戦力化を実現。就業後においては、現場視点でのフォローを行い定着率の向上を図る。外国人材の受入れにおいても、スキルチェックや研修、受入れ体制のコンサルティング等による戦力化が可能だ。
また、前述のように建設業界向けの人材サービスへ進出、障がい者就労支援サービスも開始し、新たな領域にも取り組んでいる。

 

主なサービス提供業界の状況

モバイル

商材・サービスの多様化により、販売員・アフターフォロー人材が圧倒的に不足。

アパレル

サービス業での就業を希望する人材が減少している上、離職率も高い。

保育

待機児童問題が深刻化する中、人材が圧倒的に不足。処遇・労働環境の改善が進む。

介護

2035年には人材が79万人不足する見通し。国内の人材だけでは充足できない見込み。

コールセンター

インターネット通販等が普及する中、カスタマーセンター等の人員需要が増加。

物流

インターネット等販売チャネルの変化により、倉庫・工場等での人員・ドライバー需要が逼迫。

建設 (☆NEW!)

施工管理職・現場監督・CADオペレーター・営業等全ての職種において圧倒的に人材が不足。

 

物流・製造業界向けサービスの強化
2018年6月に物流・製造業界向けサービスの拡大に向け、同業界向けのサービスをライクスタッフィングから分社し、ライクワークスを設立した。急成長する物流業界や顧客企業の物流・製造部門において、梱包やピッキング等の軽作業を中心とした人材の派遣や業務受託に注力する。大手ECサイト運営企業における長年の倉庫業務受託実績で蓄積したコールセンター、店頭販売までの一連の業務に対する知見を活かし、顧客企業のニーズにより幅広く対応すべくサービスの拡大を図る。また、ライクキッズとの連携により、人材の提供だけでなく、保育施設の設置等働きやすい環境づくりにも注力する。

 

建設業界向けサービスへの進出
2018年12月より建設業界向けサービスを開始。
建設業界においては施工管理職・現場監督・CADオペレーター・営業等、圧倒的な人材不足を背景にライクスタッフィングにテクノ事業部を新設し、建設業界向けのサービスを開始。

 

◎子育て支援サービス事業
受託保育事業では、企業・病院・大学等が設置する企業主導型保育をはじめとする事業所内保育を全国で148ヶ所受託運営している。公的保育事業では認可保育園・学童クラブ・児童館等の公的保育施設を194ヶ所運営している(19/7月末)。19/4期の新規開設実績は30ヶ所(受託保育施設8ヶ所、公的保育施設22ヶ所)、閉園は20ヶ所(受託保育施設12ヶ所、公的保育施設8ヶ所)。
保育施設の不足と保育人材の不足に伴い、待機児童問題が深刻化、子育て支援サービス事業の担う役割は拡大している。こうした中、同社では質の高い保育サービスを提供し、売上・利益共に成長し続ける日本一の保育事業者を目指している。

 

保育施設の増加
受託保育事業においては、グループの豊富な取引先を活かし、企業主導型施設の適正利益での受託数の増加に注力する。一方、公的保育事業においては、待機児童問題解消後も利用者に選ばれ続けるハード面でも好条件の施設数の増加に注力する。また、保育サービスのコンテンツの拡充にも力を入れていく。

 

保育人材の確保
ライクスタッフィングの採用・就業後フォローのノウハウを活かし、採用力の強化と定着率の向上を図る。また、グループ内での積極的な人事交流によりノウハウを共有、マッチング力を強化する。更には、研修コンテンツのグループ共有による人材の創出にも注力する。

 

保育士が働きやすい環境の整備
保育士が働きやすい環境整備の一環として、2016年2月に保育業界初「イクボス企業同盟」に加盟した。「イクボス」とは、職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)の事(NPO法人ファザーリング・ジャパン)。「保育士が、働き続けたい魅力的な職場作り」を加速させ、日本全体の保育・幼児教育の向上・発展への貢献を目指す。

 

総合職保育士『ミライクル保育士』の導入
管理職志望の保育士向けの職種を新設する。一般保育士より給与や研修を手厚くしてキャリア形成を後押しする。保育士は一般職や非正規雇用としての採用が一般的で独自に総合職を設けるのは業界でも珍しい。新たな給与体系や研修制度を設け、キャリア形成の支援を行う。多彩な経験を積みながら早い段階で役職に就くことが可能となる。

 

保育業界における基盤企業へ
質の高い保育サービスを提供し、売上・利益共に成長し続ける日本一の保育事業者を目指す。従来より保育士・保育学生・保護者から愛顧されている、現役保育士や大学教授が監修する、保育士・学童指導員等へのインタビューや実際に保育園で行われている遊び・学びに関する情報、子ども・子育て支援制度の解説等保育に関する情報を掲載したサイト「保育のひきだし」(https://www.hoikunohikidashi.jp/)を、会員制から誰でも閲覧できるよう開放した。

 

「保育のひきだし」HPの一部

 

◎介護関連サービス事業(デイサービス施設3施設を含む24施設・定員1,439名:19/7末現在)
看取り介護を含め医療連携の強い有料老人ホームを神奈川・東京・埼玉で展開している。特徴・強みは、介護・看護スタッフによる24時間365日サポート、質の高いスタッフの確保と介護業界での安心の実績、及び元気の源となる毎日のこだわりの食事。

 

 (同社資料より)

 

高品質の介護サービスを追求し、17年4月にはライクケア(2019年10月1日付でライクケアネクスト株式会社から商号変更)を完全子会社化し、グループ価値の最大化、サービスの差別化と介護人材の確保に取り組んでいく。サービスの差別化では、24時間看護師が常駐し、医療機関と連携した看取り介護の他、自立支援サービスも拡充する。他社との差別化を明確にした高品質の介護サービスを提供する事で、選ばれ続ける介護施設を実現する。介護人材の確保については、未経験者を戦力化するライクスタッフィングとの連携により介護人材を創出し、定着率を向上させる事で業界での就業人口の増加を図る。18年に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」、「改正入国管理法」を鑑み、外国人材の受入れに備え、研修コンテンツの拡充や精鋭チームを採用し受入れ体制の構築にも注力する。

 

外国人材の活躍推進
世代・国籍・経歴を問わず社会進出を支援してきたノウハウを活かし、外国人材の活躍を推進する。「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が18年12月8日に成立し、同14日に公布された。これにより、特定産業分野(介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14分野)について、新たに在留資格「特定技能1号・2号」が創設された。
同社では、すでに全国で、約15ヶ国・111名の外国籍社員が活躍しており、グループで介護施設を運営している。同社の保有する支援・育成・業界ノウハウを活かし、主に介護・宿泊・外食分野において、19年度に外国人材受入れ準備としてリーダー格となる精鋭チームを組成する。19年4月よりベトナム籍・韓国籍・ミャンマー籍・フィリピン籍等の外国籍社員が介護施設での稼働を開始した。

 

4.今後の注目点

1Qの通期予想に対する進捗率は売上高で23.2%、営業利益で24.9%、経常利益で16.1%、親会社株主に帰属する四半期純利益では13.5%。前年同期は実績に対してそれぞれ25.0%、45.7%、21.7%、18.7%。利益については一時的要因があり、同社の考え通りでネガティブに受け入れなくても良さそうだが、売上高の進捗率が低いことはやや気掛かりではある。ただし、1Qに減収となった総合人材サービス事業では矢継ぎ早に新規事業の開拓を進めており、成果も期待できるだろう。「働き方改革」や深刻な人手不足、待機児童問題等を背景に同社の活躍の場は広がっており、視界は良好である。

 

参考:コーポレート・ガバナンスについて

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書  更新日: 2019年8月26日

 

基本的な考え方
当社は、「…planning the Future~人を活かし、未来を創造する~」をグループ理念とし、人生のどの段階においてもなくてはならない企業集団を目指しており、コーポレート・ガバナンスへの取組みを重要な経営課題として認識しております。これを実現するために、当社グループの役員、従業員及びサービス利用者が、常に公正で機能的な行動をとることができるよう、持株会社体制であることを活かし、コンプライアンス体制を持株会社に集約し、持株会社の機能をグループ全体の経営管理に集中させることにより、グループ全体のコーポレート・ガバナンスの強化を図っております。

 

1.株主の権利・平等の確保
株主総会における議決権をはじめとする株主の権利が実質的に確保されるよう、適切な対応を行っております。

 

2.株主以外のステークホルダーとの適切な協働
当社のグループ理念に基づき、行動規範や行動原則を遵守し、サービス利用者、クライアント、株主、従業員等全てのステークホルダーの皆様に対し誠実に行動することにより、継続的に企業価値を拡大してまいります。

 

3.適切な情報開示と透明性の確保
法令に基づく情報開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報や非財務情報の提供にも積極的に取り組んでまいります。

 

4.取締役会等の責務
取締役会は、グループの経営の基本方針や戦略の策定、事業会社の管理・監督を行っており、グループ全体における業務の意思決定及び取締役会による業務執行を監督する機関として位置付け、運営しております。なお、社外取締役は、経営規律の強化を図るとともに、透明性をより一層高める役割を担っております。

 

5.株主との対話
グループの企業価値の極大化のため株主との対話を重視しており、株主からの対話の申し込みに対しては随時対応しております。株主との対話は、IR担当部署、IR担当役員、経営陣幹部が必要に応じて行っております。

 

 

コーポレート・ガバナンス・コード各原則の実施について
<実施をしないコード:3項目、そのおもな原則>

 

【補充原則1-2-4】
当社では現在、議決権の電子行使を実施しておりませんが、今後については、株主構成に占める機関投資家、海外投資家の比率等を勘案しながら導入を検討してまいります。

 

【補充原則4-10-1】
当社は、任意の独立した諮問委員会を設置しておりませんが、取締役候補の選任や取締役の報酬については、取締役会の決議に先立ち、独立社外取締役に対し説明を行い、適切な助言を得ております。このように、取締役候補の選任や取締役の報酬について、独立社外取締役の適切な関与・助言を得ていることから、これらに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任は十分担保されているものと考えております。

 

<開示しているコード:10項目、その主な原則>

 

【原則1-4】
政策保有株式につきましては、企業価値向上におけるシナジーが認められると判断した場合に限り、当該株式の政策保有について検討いたします。現在、政策保有している株式については保有意義があることを確認しております。また、当該株式の議決権の行使については、当該会社の企業価値向上及び当社への影響を勘案し、議案に対する賛否の意思表示を行うものといたします。

 

【原則2-6】
当社は、企業年金制度を採用しておりません。

 

【原則5-1】
・当社は、当社グループのIR活動全般を行うIR担当役員とIR担当部署を設置し、株主との建設的な対話の促進を図っております。
・情報開示については、基本的な考え方をまとめた「ディスクロージャー・ポリシー」を定め、これに則り、公正かつ適時・適切な開示に取り組んでおります。
・ディスクロージャー・ポリシーについては、当社HP( https://www.like-gr.co.jp/ir/policy.html )において開示しております。
・IR活動の詳細につきましては、本報告書の「株主その他の利害関係者に関する施策の実施状況」の2.に記載のとおりであります。

 

東証コーポレート・ガバナンス情報サービスより:http://www2.tse.or.jp/tseHpFront/CGK010010Action.do?Show=Show

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