ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ 注力分野の売上増加で増益

2019/09/19

 

 

植田 勝典 社長

日本エンタープライズ株式会社(4829)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表取締役社長

植田 勝典

所在地

東京都渋谷区渋谷1-17-8

決算月

5月

HP

http://www.nihon-e.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

170円

40,133,000株

6,822百万円

2.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

2.00円

1.2%

3.99円

42.6倍

122.48円

1.4倍

*株価は07/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年5月(実)

5,530

219

252

327

8.07

3.00

2017年5月(実)

4,838

192

229

99

2.45

2.00

2018年5月(実)

3,892

174

257

166

4.11

2.00

2019年5月(実)

3,413

242

292

97

2.44

2.00

2020年5月(予)

3,850

275

300

160

3.99

2.00

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

 

日本エンタープライズ株式会社の2019年5月期決算の概要と2020年5月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年5月期決算概要
3.セグメント別事業概況
4.2020年5月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 19/5期は前期比12.3%の減収、同38.5%の営業増益。通信キャリアのプラットフォーム市場縮小によるコンテンツサービスの売上減少や店頭アフィリエイトの事業譲渡及び中国子会社の持分譲渡の影響を吸収できなかったものの、ビジネスサポートやシステム開発・運用サービスといった注力分野の売上が増加。コスト削減と低収益事業や子会社の譲渡で収益性の改善も進んだ。4Qは3Q比26.8%の増収となり、1百万円だった営業利益が1億63百万円に拡大した。
  • 20/5期予想は前期比12.8%の増収、同13.5%の営業増益。引き続きビジネスサポートサービスやシステム開発・運用サービスの増加が見込まれる中、脱通信キャリアプラットフォームを進めるコンテンツサービスやキッティングと中古端末買取販売の端末周辺事業の増加も見込まれる。1株当たり2円の期末配当を予定(予想配当性向50.2%)。
  • 19/5期にキッティングツールが移動体通信キャリアの一部に採用され、20/5期はさらに導入エリアが広がる。端末の入替・更新は1度で終わりではなく、継続的に繰り返されるため同社の収益を下支えする安定収益源になる可能性がある。現在、この種のツールを提供しているのは同社のみ。キッティングは中古端末仕入販売事業とのシナジーも期待できる。

1.会社概要

モバイルソリューションカンパニーを標榜。個人向けスマートフォンアプリの開発・提供、企業向けシステム開発、モバイルキッティング、e コマース、AI チャットボット等のサービスを提供しており、事業セグメントは、自社IP(Intellectual Property)を活用したアプリケーションやシステムを提供する「クリエーション事業」と企業の業務用ソフトウェアやシステムの開発を請け負う「ソリューション事業」に分かれる。また、新たなサービスの創出に向け、IoT、ブロックチェーンなどの実証事業に積極的に取り組んでいる。
2001年2月16日に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現JASDAQ市場)へ株式上場。2007年7月10日の東京証券取引所市場第二部への市場変更を経て、2014年2月28日に同市場第一部の指定を受けた。

 

1-1.経営理念

同社の経営理念は「綱領・信条・五精神」及び「日エン経営原則」に刻まれており、「これを繰り返し学ぶ事で基本理念を永遠に堅持していく」事が同社社員の責務。こうした正しい考えと正しい行動の下にこそ、長い目で見た「株主価値の極大化」、すなわち「資本という大切な“お預かりもの”を1円もムダにせず、最大化していくことが可能である」と言うのが同社を率いる植田社長の考えである。そもそも同社は、「社業を通じて社会のお役に立ちたい」という強い一念から植田社長が興した会社であり、様々なIT機器を通して便利で面白い多種多様なコンテンツを制作し提供する事でユーザーの満足度を高めると共に社会貢献していく事を目指している。こうした植田社長の経営哲学の下、創業初年度の経常利益は、ほぼ全額が日本赤十字社・各地社会福祉協議会・児童養護施設等に寄付され、東日本大震災の折には、被災した方々の支援と東北地方の復興に寄与するべく日本赤十字社に寄付が行われた。

 

綱領
我々は商人たるの本分に徹しその活動を通じ社会に貢献し、文化の進展に寄与することを我々の真の目的とします。

 

信条
我々は以下に掲げる五精神をもって一致団結し力強く職に奉じることを誓います。

 

1-2.企業グループ  連結子会社8社、非連結子会社1社

連結子会社は、IVR、アプリを活用したデジタルプロモーションの(株)ダイブ、交通情報を中心にした情報提供の交通情報サービス(株)、アプリ/システム開発~運用、デバッグ等の(株)フォー・クオリア、音声通信関連ソリューションの(株)and One、スマートフォン向けキッティング支援ツール等の(株)プロモート、アプリ/システム開発、HEMS等の(株)会津ラボ、スマートコミュニティ事業の山口再エネ・ファクトリー(株)、電子商取引サービス「いなせり」の企画・開発・運営を手掛ける いなせり(株)の国内8社。非連結子会社は、コンテンツ運営等を行うNE銀潤(株)の国内1社。

 

1-3.事業概要

事業は、クリエーション事業とソリューション事業に分かれ、19/5期の売上構成比は、それぞれ54.3%、45.7%。

 

クリエーション事業 : 自社IP(Intellectual Property)を活用したアプリケーション・システムの提供
コンテンツサービス、ビジネスサポートサービス、東岐波太陽光発電所の運営など山口再エネ・ファクトリー(株)が山口県で展開しているエネルギー事業が含まれるその他に分かれる。
コンテンツサービスでは、「女性のリズム手帳(ヘルスケア)」、「ATIS交通情報サービス(交通情報)」、「フリマjp(フリマ)」、総合電子書籍サービス「BOOKSMART(月額制・定額制)」、ライフスタイルやエンターテイメント等を中心にキャリアプラットフォーム向けサービスを提供する「キャリア(月額制・定額制)」、消費者向け魚介ECサイト「いなせり市場」といったコンテンツやサービスを提供している。
一方、ビジネスサポートサービスでは、ケーブルテレビへのデータ配信提供等でストック型ビジネスを確立し、車両動態管理クラウドiGPS on NET等の提供も手掛ける「ATIS交通情報サービス」、eコマース関連等での自社開発商品活用による受託開発、東京魚市場卸協同組合所属仲卸業者のインターネット水産物販売サイト「いなせり」の運営といったサービスを提供しており、新規事業・サービスの開発につなげるべく、IoT・ブロックチェーン・自動運転等の実証実験も手掛けている。

 

自社開発の独自ブランド、パッケージサービス

 

(同社資料より)

 

ソリューション事業 : 企業の業務用ソフトウェアやシステムの受託開発
システム開発・運用サービスとその他に分かれる。システム開発・運用では、アプリ開発やサイト構築等の受託、サーバ設計~構築、運用監視、デバッグ、カスタマーサポート、コンサルティング等を手掛けている。
クリエーション事業で培ったノウハウを活かし、受託開発(スクラッチ開発)を中心としたトータルソリューションサービスに力を入れている他、中古端末買取販売サービスの育成に取り組んでいる。中古端末買取販売サービスは、携帯電話販社や同社グループ独自開発のキッティングツールの導入先等、クリエーション事業の取引先が有力な中古端末仕入先となる。取引量の安定化を図ると共に新規取引先の獲得を進める事で業容拡大を図る考え。

 

2.2019年5月期決算概要

2-1.連結業績

18/5期

構成比

19/5期

構成比

前期比

期初予想

予想比

売上高

3,892

100.0%

3,413

100.0%

-12.3%

3,895

-12.4%

売上総利益

1,634

42.0%

1,557

45.6%

-4.7%

 -

販管費

1,459

37.5%

1,314

38.5%

-9.9%

 -

営業利益

174

4.5%

242

7.1%

+38.5%

285

-15.0%

経常利益

257

6.6%

292

8.6%

+13.7%

345

-15.2%

親会社株主帰属利益

166

4.3%

97

2.9%

-41.1%

175

-44.1%

*単位:百万円

 

前期比12.3%の減収、同38.5%の営業増益
売上高は前期比12.3%減の34億13百万円。通信キャリアのプラットフォーム市場縮小によるコンテンツサービスの売上減少や店頭アフィリエイトの事業譲渡(4億75百万円の減収要因)及び中国子会社の持分譲渡の影響を吸収できなかったものの、ビジネスサポートやシステム開発・運用サービスといった注力分野の売上が伸びた。

 

営業利益は同38.5%増の2億42百万円。原価率の高い「店頭アフィリエイト」の事業譲渡と共にコスト削減に努めた結果、原価率が3.6ポイント改善し売上総利益は同4.7%の減少にとどまった。一方、販管費は、中国子会社の売却や自然減による人件費の減少や連結子会社(株)会津ラボ研究開発費の減少に加え、効率的な広告展開による広告宣伝費の減少等もあり、同9.9%減少。営業利益率が7.1%と2.6ポイント改善した。
補助金収入の減少(82百万円→42百万円)で営業外収益が減少した事に加え、前期に店頭アフィリエイトの事業譲渡に伴う特別利益1億43百万円を計上した反動や連結子会社いなせり(株)のソフトウェア資産の減損損失45 百万円を特別損失に計上した影響もあり、最終利益は97百万円と同41.1%減少した。

 

クリエーション事業売上高・利益

18/5期

構成比

19/5期

構成比

前期比

コンテンツサービス

1,486

74.1%

1,291

69.6%

-13.1%

ビジネスサポート

461

23.0%

500

27.0%

+8.5%

その他(太陽光発電)

59

2.9%

62

3.3%

+5.7%

セグメント売上高

2,007

100.0%

1,855

100.0%

-7.6%

連結調整前利益

513

25.6%

549

29.6%

+7.0%

*単位:百万円

 

自社開発のサービスを活用した受託開発及びIP電話導入等の好調でビジネスサポートサービスの売上が前期比8.5%増加した他、日照量に恵まれ太陽光発電(その他)の売上も同5.7%増加したものの、通信キャリアのプラットフォーム市場縮小の影響を受けたコンテンツサービスの売上減少をカバーできなかった。

 

ソリューション事業売上高・利益

18/5期

構成比

19/5期

構成比

前期比

システム開発・運用

1,369

72.6%

1,551

99.6%

+13.3%

その他

515

27.4%

6

0.4%

-98.7%

セグメント売上高

1,885

100.0%

1,558

100.0%

-17.3%

連結調整前利益

155

8.2%

198

12.7%

+27.9%

*単位:百万円

 

店頭アフィリエイトの事業譲渡(2018年2月28日)及び中国子会社の持分譲渡(2018年3月30日)の影響でその他の売上が同98.7%減少したものの、企業の活発なIT投資を受けて、注力しているシステム開発・運用サービスの売上が同13.3%増と伸びた。

 

2-2.第4四半期(3-5月)業績

18/5-1Q

2Q

3Q

4Q

19/5-1Q

2Q

3Q

4Q

売上高

974

1,046

968

902

775

835

794

1,007

売上原価

584

629

567

476

405

458

456

536

販管費(広告宣伝費)

356
(28)

366
(46)

411
(54)

324
(41)

337
(29)

332
(26)

337
(35)

307
(41)

営業利益

33

50

-10

101

32

44

1

163

経常利益

37

74

30

115

43

52

31

164

原価率

60.0%

60.1%

58.6%

52.8%

52.3%

54.9%

57.4%

53.3%

販管費率

36.6%

35.0%

42.5%

36.0%

43.6%

39.8%

42.4%

30.5%

*単位:百万円

 

第4四半期(3-5月)は、ビジネスサポート(クリエーション事業)及びシステム開発・運用(ソリューション事業)といった法人向けサービスの好調に加え、減収傾向が続いていたコンテンツサービスも脱通信キャリアプラットフォームの取り組みで増収に転じ、売上高が前四半期比26.8%増の10億7百万円と10億円を超えた。

 

営業利益は前四半期の1百万円から1億63百万円に増加した。売上が大きく伸びた事で原価率が改善し、研究開発費の減少及び継続的なコスト削減の成果で販管費率も改善した。

 

クリエーション事業売上高・利益

18/5-1Q

2Q

3Q

4Q

19/5-1Q

2Q

3Q

4Q

コンテンツサービス

382

376

376

351

331

309

303

347

ビジネスサポート

97

119

107

137

122

118

106

152

その他

18

13

9

17

19

15

10

17

売上高

498

509

493

506

473

443

420

517

営業利益

153

146

141

72

145

125

96

181

*単位:百万円

 

クリエーション事業は前四半期比23.1%の増収。自社開発のサービスを活用した受託開発及びIP電話導入等を中心にビジネスサポートサービスが同43.0%増と伸びる中、App StoreやGooglePlay等の通信キャリア以外が運営するプラットフォームでのコンテンツの利用促進や新規コンテンツの開発等に努めたコンテンツサービスの売上が同14.7%増加。季節要因(日照時間の増加)でその他(太陽光発電)の売上も同65.9%増加した。

 

ソリューション事業売上高・利益

18/5-1Q

2Q

3Q

4Q

19/5-1Q

2Q

3Q

4Q

システム開発・運用

296

358

323

391

300

390

373

487

その他

179

179

152

4

1

2

1

2

売上高

476

537

475

396

301

392

374

489

営業利益

2

13

-32

172

28

46

32

91

*単位:百万円

 

ソリューション事業は前四半期比30.9%の増収。グループ連携による営業活動強化でチャトボット等のアプリ開発の案件獲得が順調に進み、システム開発・運用サービスの売上が前四半期比30.7%増加した(セグメントの括り直しを行った17/5期以降で、第4四半期の同サービスの売上としては過去最高)。

 

 

2-3.財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

18年5月

19年5月

 

18年5月

19年5月

現預金

4,205

4,345

仕入債務

94

130

売上債権

434

567

未払法人税・消費税等

96

79

流動資産

4,827

5,144

退職給付に係る負債

51

55

有形固定資産

405

372

負債

790

822

無形固定資産

432

334

純資産

5,213

5,213

投資その他

339

174

負債・純資産合計

6,004

6,035

固定資産

1,177

881

有利子負債合計

300

277

*単位:百万円

 

期末総資産は前期末との比較で30百万円増の60億35百万円。現預金の他、受注・売上の好調で売上債権・仕入債務が増加した。一方、減損処理に伴いソフトウェアが減少した他、売却により投資有価証券が減少した。現預金が総資産の72.0%(前期末70.0%)を占め、実質無借金経営。自己資本比率81.4%(同82.1%)。

 

キャッシュ・フロー(CF)

18/5期

19/5期

前期比

営業キャッシュ・フロー(A)

314

289

-24

-7.9%

投資キャッシュ・フロー(B)

626

-46

-673

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

940

242

-697

-74.2%

財務キャッシュ・フロー

-215

-119

+95

現金及び現金同等物期末残高

4,115

4,255

+140

+3.4%

 

税引前利益2億69百万円(前期3億40百万円)、減価償却費1億93百万円(同2億24百万円)、税金費用1億08百万円(同1億35百万円)等で営業CF2億89百万円を確保した。投資CFは無形固定資産の取得及び投資有価証券の売却による収入等、財務CFは長期借入金の返済及び配当金の支払い等による。

 

15/5期

16/5期

17/5期

18/5期

19/5期

ROE

3.83%

6.44%

1.99%

3.36%

1.99%

売上高当期純利益率

3.47%

5.91%

2.06%

4.27%

2.87%

総資産回転率

0.87回

0.90回

0.79回

0.64回

0.57回

レバレッジ

1.27倍

1.21倍

1.22倍

1.23倍

1.22倍

* ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ。算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平均。

 

3.セグメント別事業概況

3-1.クリエーション事業

ATIS交通情報上サービス、自社開発の商品を活用した受託サービス、及びキッティングを中心にビジネスサポートサービスの売上が伸びた事に加え、App StoreやGooglePlay等の通信キャリア以外が運営するプラットフォームでのコンテンツの利用促進や新規コンテンツの開発等でコンテンツサービスも第4四半期に前四半期比増収に転じた。

 

ATIS交通情報上サービス
全国の高速・一般道路の渋滞、事故、規制情報など最新の交通事象をマップ上で確認できるクラウド型の交通情報サービス「ATIS on Cloud」をリリースし、高速・貸切バス等の運送業、運輸・物流業、配送・引越業等の法人向け需要の掘り起こしを進めた。一般ユーザー向けでは、使い勝手の向上場を目的にサービスメニューを増やした事が有料会員の増加につながった。

 

自社開発の商品を活用した受託サービス
eコマース関連の受託開発、チャット機能を活用したアプリサービスの受託開発、作業効率向上を目的とした自動検証システムの受託開発等が増加した。

 

キッティング
大手キャリアが「Kitting-One」を導入し実動を開始した。19/5期は、一部店舗での導入にとどまるが、20/5期は全国の主要店舗に導入が広がっていく。また、その他のキャリアへの導入に向けた営業活動を加速する。「Kitting-One」は、「Certino」、「Semble」、「SSA」、「SC2000」を連携させたキッティングのRPA(Robotic Process Automation)ツール。キッティングから品質問題(設定漏れやミス)の確認までをワンストップでカバーする。
スマートフォンを中心とした国内モバイル通信市場は、コンシューマ向けの成長が一段落する中、「働き方改革」や「IoT」の普及もあり、法人向け市場が拡大している。また、キッティング業界では、1台ずつ手作業で個別設定対応を行う単純作業から、ツールを活用した業務効率化の需要が高まっている。企業におけるスマートフォン、タブレット、PC等のIT機器の活用の拡大と新しい端末への買い替え需要でキッティング市場は更なる成長が期待でき、キッティング業務を効率化するツールの需要拡大が予想される。

 

(同社資料より)

 

「いなせり」の拡大、「自治体向けボランティア管理システム」の構築等
東京魚市場卸協同組合所属の仲卸業者との提携による鮮魚販売では、東京魚市場卸協同組合所属仲卸業者の飲食店向けインターネット水産物販売サービス「いなせり」(B2B)の開発・運営代行と、一般消費者がインターネット上で仲卸の目利きによる豊洲市場の高品質な魚介商品を購入できるECサイトいなせり市場(B2C)の開発・運営を行っており、新たなサービス等事業領域として、店舗販売「いなせりマルシェ」も開始した。顧客層の拡大と取扱量の増大に取り組んでいる。
また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、各自治体が効率的かつ円滑にボランティア業務を運営できる「自治体向けボランティア管理システム」を構築した他、IP-PBXソフトウェア(PrimusⅢ)が、国内主要キャリアの接続試験・技術確認を全てクリアした。

 

3-2.ソリューション事業

クリエーション事業で培ったノウハウを活かした受託開発(スクラッチ開発)を中心としたトータルソリューションサービスが様々な分野で伸びた他、キッティングとのシナジーが期待できる中古端末買取販売サービス(端末周辺事業)を開始した。

 

トータルソリューションサービス
活発なIT投資が続く中、働き方改革や東京オリンピック・パラリンピック等もあり、AI、IoT、セキュリティ関連システムの需要が増加している。同社は、単独のシステム開発だけでなく、様々な分野との掛け合わせによるシームレスなサービス提供により、顧客満足度の高いサービス提供で需要の取り込みに成功している。

 

(同社資料より)

 

東京都立霊園公式サイト「TOKYO霊園さんぽ」チャットボット試験導入を受託
公益財団法人東京都公園協会が、都立霊園公式サイト「TOKYO霊園さんぽ」にて、2019年度東京都立霊園使用者の募集時期に併せ実施するチャットボット「Repl-AI」(問い合わせに自動対話形式で答えるシステム)の試験導入を受託した。同社の「チャットボット構築サービス」は、人口知能と自動応答プログラム等を組み合わせ、用途に合わせた最適なシステムを短期間で構築できる。

 

中古端末買取販売サービス(端末周辺事業)
キッティング作業請負や支援ツール導入の取引先である企業や携帯電話販社を中心に仕入先が順調に拡大しており、取り扱い台数の増加に伴い販売先の新規開拓も進んでいる。また、中古端末販売に欠かせない、「データ消去」や価格を左右する「グレーディング(査定)」等のサービス提供に向け、業界団体であるリユースモバイルジャパンにも加入した(2019年6月28日)。リユースモバイルジャパンは、リユースモバイルガイドラインを策定する等、リユースモバイル通信端末市場の健全な発展と消費者保護を目的として設立された団体である。同社は既にリユースモバイルジャパン公認のデータ消去ソフトの開発に着手している。

 

(同社資料より)

 

4.2020年5月期業績予想

4-1.連結業績

19/5期 実績

構成比

20/5期 予想

構成比

前期比

売上高

3,413

100.0%

3,850

100.0%

+12.8%

営業利益

242

7.1%

275

7.1%

+13.5%

経常利益

292

8.6%

300

7.8%

+2.5%

親会社株主帰属利益

97

2.9%

160

4.2%

+63.6%

*単位:百万円

 

前期比12.8%の増収、同13.5%の営業増益予想
売上高は前期比12.8%増の38億50百万円。引き続きビジネスサポートサービスやシステム開発・運用サービスの増加が見込まれる中、コンテンツサービスも通信キャリア以外のプラットフォームへの展開で増加する見込み。また、新規事業であるキッティングと中古端末買取販売の端末周辺事業も伸び。

 

利益面では、売上の増加で営業利益は2億75百万円と同13.5%増加する見込み。補助金収入の減少で経常利益は同2.5%の増加にとどまるものの、特別損失の一巡等で最終利益は1億60百万円と同63.6%増加する見込み。

 

配当は1株当たり2円の期末配当を予定している(予想配当性向50.2%)。

 

 

5.今後の注目点

キッティングツールが大手移動体通信キャリアに採用された。19/5期は一部の店舗にとどまったが、20/5期は全国の主要店舗への導入が進む予定だ。本来1台当たり1ライセンスのライセンス料を受け取るが、一定の上限を設けての採用となったようだ。ただ、端末の入替・更新は1度で終わりではなく、継続的に繰り返されるため中長期的に同社の収益を下支えする安定収益源になる可能性がある。キッティングには、OS(i OSやAndroid等)の解析とバージョンアップの追跡が必要で、これが参入障壁となっており、現在、この種のツールを提供しているのは同社のみ。他社は追従できていないようだ。いち早くデファクトスタンダードとしてのポジションを確立したいところだ。
しかも、キッティングは中古端末仕入販売事業とのシナジーが期待できる。なぜかと言うと、キッティングの取引先が中古端末の有力な仕入先になり得るからだ。携帯電話料金引き下げの一環として端末とSIMの分離販売が2019年10月から始まるため、流通量増加による中古端末市場の活性化も期待できる。
コスト削減が進む中で、有力商材が育ち始め増収基調転じてきた。今後の展開に注目したい。

 

参考:コーポレート・ガバナンスについて

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役会設置会社
取締役 5名、うち社外2名
監査役 3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日: 2018年12月18日)
基本的な考え方
当社グループは、経営目標の達成の為に取締役会が行う意思決定について、事業リスク回避または軽減を補完しつつ、監査役会による適法性の監視・取締役の不正な業務執行の抑止、また、会社の意思決定の迅速化と経営責任の明確化を実現する企業組織体制の確立により、株主利益の最大化を図ることがコーポレート・ガバナンスと考えております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
<補充原則4-1-3:CEOなどの後継者計画>
当社は、経営陣幹部向けに「植田塾」を開催し、経営者として求められる「戦略思考」「リーダーシップ」等の資質の醸成を図っておりますが、現在、最高経営責任者等の後継者計画の策定を行っておりません。今後、後継者候補の育成計画の策定及び監督を検討してまいります。なお、計画の策定にあたっては、十分な時間と資源をかけて後継者候補の育成が行われていくよう努めます。

 

<原則5-2:経営戦略や経営計画の策定・公表>
当社は中期経営計画を公表しておりませんが、毎期初において、当該期の目標額を開示しております。その目標額の策定にあたっては、資本コストを考慮した上で、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資、研究開発投資、人材投資を含めた経営資源の配分について計画を策定しておりますが、目標達成に向けた具体的な施策については、決算短信や決算説明会の他、日常のIR活動を通じて株主に分かりやすく説明、伝えるよう努めてまいります。

 

<開示している主な原則>
<原則5-1:株主との建設的な対話に関する方針>
当社では、「IR活動の基本姿勢と開示基準」、「情報開示の方法と情報の公平性」、「将来の見通しについて」、「IR自粛期間について」からなるIR基本方針を策定しており、当社ウェブサイトにて公表しております。

 

●IR基本方針URL:http://www.nihon-e.co.jp/ir/management/line.html

 

現在、当社ではこのIR基本方針に基づき、株主との建設的な対話という観点から、以下の取り組みを積極的に実施しております。
(1)当社では常務取締役管理本部長を内部情報管理責任者に指定し、経理部、総務部、人事・広報部等のIR活動に関連する部署を管掌し、日常的な部署間の連携を図っております。
(2)社内各部門の会社情報については、内部情報管理責任者が一元的に把握・管理し、的確な経営判断のもと、有機的な連携に努め、IRに関連する他部署との情報共有を密にすることで、連携強化を図るよう努めております。
(3)広報・IRグループにおいて、株主・投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材を積極的に受け付けると共に、アナリスト向けに決算説明会を開催し、社長又は常務取締役が説明を行っております。
(4)IR活動及びそのフィードバック並びに株主異動等の状況については、適宜取締役会へ報告を行い、取締役や監査役との情報共有を図っております。
(5)投資家と対話をする際は、当社の公表済みの情報を用いた企業価値向上に関する議論を対話のテーマとすることにより、インサイダー情報管理に留意しております。

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