ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー 各利益は4期連続で過去最高益

2019/09/12

 

江草 康二 社長兼CEO

株式会社 テー・オー・ダブリュー(4767)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)

江草 康二

所在地

東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル

決算月

6月

HP

http://www.tow.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

755円

22,468,422株

16,964百万円

14.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

30.00円

4.0%

60.20円

12.5倍

415.20円

1.8倍

*株価は8/23終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期実績。BPSは前期末実績。

 

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年6月(実)

15,230

1,678

1,682

1,083

48.35

22.00

2017年6月(実)

16,251

1,811

1,823

1,206

53.74

26.00

2018年6月(実)

16,688

1,825

1,873

1,207

53.75

27.00

2019年6月(実)

16,278

1,995

2,017

1,345

59.88

29.00

2020年6月(予)

16,829

2,040

2,040

1,352

60.20

30.00

*単位:百万円、円。予想は会社予想。2016年3月期より当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。

 

 

テー・オー・ダブリューの2019年6月期決算と2020年6月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中期方針
3.2019年6月期決算
4.2020年6月期業績予想
5.今後の注目点
コーポレート・ガバナンスについて

 

 

今回のポイント

  • 19/6期は前期比2.5%減収、7.7%経常増益。既存銘柄の受注が堅調だったことに加え、新規銘柄の大型案件を複数取込むなど受注領域が拡大し案件単価が上昇した。一方、前年にあった地方での大型案件の反動があり微減収となった。利益面では、「付加価値の高い提案による適正利益の確保」、「大型の低営収案件の減少」、「原価管理の徹底」、「販管費の厳格な管理」を全社的に推進、経常利益率は前期11.2%から12.4%へ向上した。各利益は4期連続で過去最高益を更新した。

     

  • 20/6期は売上高が前期比3.4%増の168億29百万円、経常利益は同1.1%増の20億4百万円を計画する。引き続き同社の強みである「リアル(体験)・プロモーション」を軸としてデジタル・動画・PR・データ等の新たな領域も組み合わせる“体験デザイン・プロダクション”を目指し、推進する考え。国際的イベント関連の受注が好調。配当は30.0円(うち上期15.0円)を計画。

     

  • 3Q決算発表の段階でも指摘したが、19/6期は減益予想から増益での着地となった。大型案件の反動で減収とはなったものの、利益重視の戦略が功を奏した。また、企画の勝率が大幅に上昇しており、企画力強化の成果も現れている。20/6期は9月から始まるラグビーワールドカップから、隔年開催の東京モーターショーと前半に大きなイベントが目白押し。後半には2020年案件が直前に控えており、盛り上がってきそうだ。企画力向上がいよいよ本格的に発揮される時が来たともいえるだろう。

     

    ※『体験デザイン』 ブランドとのWow!な体験を起点に、体験者がそのブランドのファンとなり、特にSNSをハブに多様なメディアで体験の拡散・共有を最大化させる、その仕組みを設計すること。

     

1.会社概要

イベント・プロモーション業界で独立系No.1の東証一部上場会社。イベント及びプロモーションの企画・制作・運営や、セールスプロモーションに関するグッズ・印刷物の制作等を手掛ける。インターネットの影響力の拡大を踏まえ、長年培ってきたイベントの制作力とアイディア力にデジタルテクノロジーを加えたインタラクティブプロモーション(IP)に力を入れ、多くの実績を上げている。「世界一の“感動体験”をクリエイトし、笑顔を増やす」を経営理念とし、社名のテー・オー・ダブリューは、「Top Of The World」の頭文字に由来する。

 

グループは同社の他、イベントの制作・運営・演出及び映像制作を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブ(以下、T2C)の連結子会社1社(19年6月期末現在)。18/6期末現在は2社だったが、連結子会社㈱スポーツイズグッドが18年11月末をもって解散した。尚、業績への影響は軽微である。

 

尚、「インタラクティブ・プロモーション(IP)」とは、デジタル技術とアイディアで感動体験を創りだし、その体験を情報拡散・共感させるプロモーションである。

 

 

【事業内容】

イベントの企画から本番実施までの流れ
イベントは、主催者が何らかの目的(対象者に情報を発信したいとの意図)を持った時点で案件が発生する。同社は、主催者よりその目的についての説明を受け、企画の作成に入る。その後、幾度かのミーティングを繰り返す事で、企画書 → 基本計画書 → 実施計画書 → 詳細計画書へと段階的に移行し、最終的には進行台本、施工図面、タイムスケジュール表となり、各種資料に従い舞台作りやリハーサルが行われ、イベント当日を迎える。

 

同社の業務範囲
イベントの場合、同社は、上記の企画からイベント本番までを受注し、「企画」・「制作」・「運営」・「演出」を行うが、実際のイベント現場では多くの業務がある。具体的には、照明、音響、映像、舞台制作、モデル・コンパニオン・警備員の派遣、整理、撤収、清掃等種々雑多の業務があり、これらの専門業者を外注先として業務毎に発注し、イベント全体をトータルにディレクション、プロデュースする事で主催者の意図を来場者に伝える事が同社の業務である。連結子会社については、(株)ティー・ツー・クリエイティブがイベントの「制作」・「運営」を専業として行っている。
一方、プロモーションの場合は、「企画」、「デザイン」、「制作」が主な業務だが、印刷、プレミアム、グラフィックデザイン、事務局運営、OOH(Out of Home:交通広告や屋外広告等)、Web制作等の業務もあり、同社は、イベント同様、トータルにディレクション・プロデュースし納品する。

 

2.中期方針

中期的方針日本初の「体験デザイン・プロダクション」
「体験デザイン」とは、買い方、作り方、売り方も含めたトータルなブランド体験を設計(デザイン)する事。ブランドとのWow!な体験を起点に、体験者がそのブランドのファンとなり、特にSNSをハブに多様なメディアで体験の拡散・共有を最大化させる仕組みを設計する。同社は日本初の「体験デザイン・プロダクション」を目指すと共に、2020年案件の取込みと更に踏み込んだアライアンス戦略を推進していく。また、規模拡大(=高い収益力維持×戦力増)も図る。

 

「体験デザイン・プロダクション」
強みである「リアルプロモーション(イベント)」を軸に、IPアライアンス・ユニットの活用とデータ活用&成果追及により、IPの次のフェイズを目指す。具体的には、「ネット(SNS)プロモーション」、「AR、VR、アプリ等のデジタル技術を活用した体験イベント」、及び「動画制作・プロモーション」による統合プロモーションに「データに基づくPRプロモーション」等を組み合わせる事でIP力を強化していく。

 

更に踏み込んだアライアンス戦略の推進
「リアル」、「デジタル」、「動画」、「PR」、「データ」等で強みを持つ企業と更に踏み込んだアライアンス関係を構築するべく、出資及びM&Aに積極的に取り組んでいく。「デジタル」ではCRブティック(株)ワン・トゥー・テン・デザイン及びコンテンツ制作会社(株)カヤックの2社と、「映像」では太陽企画(株)及び(株)ギークピクチュアズの映像制作会社2社と、「PR」ではPR会社(株)マテリアルと、それぞれアライアンス関係にある。「データ」では、ソーシャルメディア上でのトレンド分析が可能なブームリサーチを全社で導入した。全社員のパソコンからアクセスが可能で企画や効果検証に活用できる。

 

規模拡大
5年前から新卒を定期採用しており、若手の増員と戦力化に取り組んでいる。17/6期末のグループ社員は16/6期末の 169人(TOW:133人、T2C:36人)から188人(TOW138人、T2C50人)、18/6期末には210人に増加した。19/6期以降も、高い収益力の維持を前提に戦力増を図っていく。

 

中期方針のレビューと対策
①一部大手顧客の変革への対応

・1/1付で“営業統括担当専務”を配置

 全社の営業を統括する役員体制をスタート

 

19.6期のグループでの受注額は前期を上回る。ただし、これら施策は継続的に維持・強化し、必要とされるソリューションを提供し続ける考え。

・社員の本部間異動も実施済、

 今後も随時最適なリソース配分を全社的に行う

・営業管理のナレッジの均質化を図り、

 中期的視点で受注・提案力向上施策を推進

 

②高い収益力維持×戦力増=成長

営業利益率10.94%(18/6期)→12.26%(19/6) 1.3p上昇

企画勝率34.0%→40.8% 6.8p上昇

グループ社員数

 196名(17/6期初)⇒214名(19/6期初)⇒205名(20/6期初)

 *戦力を増やすための新卒・中途の積極的採用活動が必要

 

 

③『体験デザイン・プロダクション』の深化

社員の体験デザイン力向上中(バイリンガル⇒マルチリンガルへ)

⇒研修・勉強会・定例案件レビュー・社内表彰・評価制度・海外視察など社員の体験デザイン力向上施策を多面的かつ継続的に実施

体験デザイン力を高めるため映像プロデューサー、PRプロデューサー、アートディレクター、美術デザイナー、データアナリストを採用

⇒体験デザイン型の中大型案件も増加

顧客や業界から体験デザイン力が評価される

⇒広告賞も多数受賞、同社社員がACC賞審査員に選出

今後は“データ活用”で成果指標の見える化、“アライアンス強化”による体験デザイン提案力のさらなる向上と深化を全社的に推進

 

また、海外の広告賞も多数受賞している。
広告主は“非マス領域”を年々重要視(プロモーション・デジタルほか)

 

(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

マス広告だけでは人は動かない。同社は体験をデザインし、ヒトとココロを動かす。

 

(同社資料より)

 

④2020年案件を含め2019~2025年の6年間はゴールデン・国際イベント・イヤーズ

 

ラグビーワールドカップ(2019年)、ワールド・マスターズゲームス関西(2021年)、大阪万博(2025年)とこの6年間は世界中から人が集まる国際的ビッグイベントが多く開催される。協会・行政・各企業のイベント・プロモーションの取り込みを図る。

こうした中、2020案件の取込みでは動き出した具体的案件の確実な受注を継続的に目指す。

 

⑤さらに踏み込んだアライアンス戦略

 

提携・出資・M&Aなどを活用したさらなる成長の方向性と領域を拡大させる考え。

リアル、デジタル、動画、PR、データを交え、ブランド体験価値の最大化を図る。

 

『体験デザイン力向上』による

統合プロモーション案件の拡大

 

3本柱で成長

     +

『ゴールデン・国際イベント・イヤーズ』

大型イベント案件の取込

     +

『直クライアントビジネス』の拡大

 

3.2019年6月期決算

(1)連結業績

 

18/6期

構成比

19/6期

構成比

前期比

期初予想

予想比

売上高

16,688

100.0%

16,278

100.0%

-2.5%

15,436

+5.5%

売上総利益

2,691

16.1%

2,825

17.4%

+5.0%

販管費

866

5.2%

829

5.1%

-4.2%

営業利益

1,825

10.9%

1,995

12.3%

+9.3%

1700

+17.3%

経常利益

1,873

11.2%

2,017

12.4%

+7.7%

1714

+17.7%

親会社株主に帰属する当期純利益

1,207

7.2%

1,345

8.3%

+11.4%

1129

+19.1%

*単位:百万円。数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前期比2.5%の減収、同7.7%の経常増益、4期連続で過去最高益を更新
売上高は前期比2.5%減の162億78百万円。前期に引き続きマス広告から総合プロモーションへと大きくシフトする顧客ニーズに応えるべく、同社の強みである「リアル(体験)・プロモーション」を軸としてデジタル・動画・PR・データ等の新たな領域も組み合わせる“体験デザイン・プロダクション”を目指し、推進中。既存銘柄の受注が堅調だったことに加え、新規銘柄の大型案件を複数取込むなど受注領域の拡大や案件単価の上昇につながった。一方、前年にあった地方での大型案件の反動があり微減収となった。経常利益は同7.7%増の20億17百万円。「付加価値の高い提案による適正利益の確保」、「大型の低営収案件の減少」、「原価管理の徹底」、「販管費の厳格な管理」を全社的に推進したことで、経常利益率は前期11.2%から12.4%へ向上した。各利益は4期連続で過去最高益を更新した。

 

個別業績

 

18/6期

構成比

19/6期

構成比

前期比

売上高

12,897

100.0%

13,283

100.0%

+3.0%

売上総利益

1,767

13.7%

1,974

14.9%

+11.7%

営業利益

955

7.4%

1,198

9.0%

+25.4%

経常利益

1,423

11.0%

1,781

13.4%

+25.1%

当期純利益

1,066

8.3%

1.389

10.5%

+30.2%

*単位:百万円。連結減収は前期T2Cの大型案件の反動が主因、個別では3%増収となっている。

 

カテゴリー別売上高(企画売上高を除く)

 

18/6期

構成比

19/6期

構成比

前期比

販促

9,221

55.3%

6,512

40.0%

-29.4%

広報

5,253

31.5%

7,463

45.9%

+42.1%

文化・スポーツ

578

3.5%

537

3.3%

-7.0%

博覧会

0

0.0%

制作物

1,541

9.2%

1,684

10.3%

+9.3%

*単位:百万円

 

カテゴリー別には通期を通して大型のインナーイベントや発表会などの“広報案件”受注の比率が増えた。

 

業種別売上高(企画売上高を除く)

 

18/6期

構成比

19/6期

構成比

前期比

情報・通信

4,130

24.9%

4,109

25.4%

-0.5%

自動車

4,114

24.8%

3,031

18.7%

-26.3%

食品・飲料・嗜好品

1,907

11.5%

2,145

13.3%

+12.5%

化粧品・トイレタリー・日用品

1,703

10.3%

1,860

11.5%

+9.2%

官公庁・団体

1,272

7.7%

1,510

9.3%

+18.7%

金融

559

3.4%

979

6.1%

+75.1%

精密機器その他製造

673

4.0%

490

3.0%

-27.2%

流通・小売

755

4.5%

363

2.2%

-51.9%

その他

1,477

8.9%

1,707

10.5%

+15.6%

*単位:百万円

 

業種別には食品・飲料・嗜好品や官公庁・団体、金融などが大きく伸びた。自動車は前期大型案件の反動で減少。その他の増加は受注領域の拡大を示す。

 

価格帯別受注件数(個別)

 

18/6期

19/6期

増減

~1,000万円

862件

858件

-4件

1,000万円~2,000万円

130件

131件

+1件

2,000万円~5,000万円

104件

115件

+11件

5,000万円~1億円

40件

30件

-10件

1億円~

15件

20件

+5件

合計

1,151件

1,154件

+3件

案件単価(万円)

1,112万円

1,144万円

+31万円

 

1億円以上の案件が増え、平均単価・案件本数が共に微増。また、大型低営収案件が減少し、利益率改善に寄与した。

 

勝率(制作移行件数÷全体企画本数)は同社がガイドラインとする3割以上を高いレベルで維持している。

 

(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

18年6月

19年6月

 

18年6月

19年6月

現預金

4,098

4,754

仕入債務

1,868

2,028

売上債権

5,673

5,496

短期借入金

840

840

未成業務支出金

245

467

未払法人税等

369

302

未収入金

1,178

1,290

退職給付負債・役員退職慰労金

404

399

前払費用

31

32

負債

4,164

4,263

流動資産

11,265

12,100

純資産

8,832

9,416

投資その他

1,625

1460

負債・純資産合計

12,996

13,679

固定資産

1,730

1,578

有利子負債合計

840

840

*単位:百万円。未収入金:ファクタリング方式により譲渡した売上債権の未収額

 

19/6期末の総資産は、前期末比(以下同)6億83百万円増加し、136億79百万円となった。
流動資産は8億35百万円増の121億円となった。電子記録債権が1億60百万円減少したが、現預金が6億56百万円、未成業務支出金が2億22百万円、未収入金が1億11百万円増加した。
固定資産は1億51百万円減の15億78百万円となった。固定資産のうち有形固定資産は17百万円増の1億2百万円となった。主にパソコンの購入等によるもの。無形固定資産は5百万円減の16百万円となった。主に減価償却によるもの。投資その他の資産は1億64百万円減の14億60百万円となった。繰延税金資産が43百万円増加したが、投資有価証券が2億5百万円減少したこと等によるもの。
流動負債は、1億43百万円増の38億46百万円となった。未払法人税等が66百万円減少したが、買掛金が1億19百万円、賞与引当金が66百万円増加したこと等によるもの。
固定負債は、44百万円減の4億16百万円となった。主に、繰延税金負債が42百万円減少したこと等によるもの。
純資産は、5億84百万円増の94億16百万円となった。その他有価証券評価差額金が49百万円減少したが、利益剰余金が7億38百万円増加したこと等によるもの。
自己資本比率は前期末比1.0ポイント増の68.2%となった。

 

キャッシュ・フロー

 

18/6期

19/6期

前期比

営業キャッシュ・フロー

1,240

1,310

+69

+5.6%

投資キャッシュ・フロー

-53

-34

+19

フリー・キャッシュ・フロー

1,187

1,276

+89

+7.5%

財務キャッシュ・フロー

-585

-620

-35

現金及び現金同等物期末残高

4,098

4,754

+656

+16.0%

*単位:百万円

 

19/6期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比6億56百万円増加し、47億54百万円となった。
営業CFは、13億105百万円の収入(前期は12億40百万円の収入)となった。主に、法人税等の支払額が7億55百万円、たな卸資産の増加額が2億22百万円、未収入金の増加額が1億11百万円、その他流動負債の減少額38百万円があったが、税金等調整前当期純利益が20億14百万円、売上債権の減少額が1億76百万円、仕入債務の増加額が1億60百万円、賞与引当金の増加額が66百万円あったこと等によるもの。
投資CFは、34百万円の支出(前期は53百万円の支出)となった。主に、有形固定資産の取得による支出が23百万円、投資有価証券の取得による支出9百万円、無形固定資産の取得による支出が3百万円あったこと等によるもの。
これらにより、フリー・キャッシュ・フローは前期比89百万円収入が増加額がし12億76百万円の収入となった。
財務CFは、6億20百万円の支出(前期は5億85百万円の支出)となった。主に、配当金の支払額が6億6百万円、非支配株主への清算分配金の支払額が12百万円あったこと等によるもの。

 

 

4.2020年6月期業績予想

(1)連結業績

 

19/6期 実績

構成比

20/6期 予想

構成比

前期比

売上高

16,278

100.0%

16,829

100.0%

+3.4%

売上総利益

2,825

17.4%

2,925

17.4%

+3.5%

営業利益

1,995

12.3%

2,040

12.1%

+2.2%

経常利益

2,017

12.4%

2,040

12.1%

+1.1%

親会社株主に帰属する

当期純利益

1,345

8.3%

1,352

8.0%

+0.5%

*単位:百万円

 

20/6期計画は3.4%増収、1.1%経常増益を見込む
20/6期は売上高が前期比3.4%増の168億29百万円、経常利益は同1.1%増の20億4百万円を見込む。世界経済の不透明感が高まり、日本企業の一部では収益成長に懸念もあるなど依然として予断を許さない状況が予測されるものの、国内においては国際的イベント関連の需要が期待される。こうした事業環境の中、引き続き同社の強みである「リアル(体験)・プロモーション」を軸としてデジタル・動画・PR・データ等の新たな領域も組み合わせる“体験デザイン・プロダクション”を目指し、推進する考え。

 

国際的イベント関連の受注が好調。

 

受注状況(個別)

 

19/6期(18/8/8現在)

20/6期(19/8/8現在)

売上高

13,283

13,155

受注残高(A・B・松の合計)

5,183

6,705

期中受注・期中制作高(A・B・松の合計)

8,100

6,450

竹・梅の合計

2,365

1,769

*単位:百万円

 

A:イベントの規模(金額)、実施時期等が決定している案件
B:受注決定だが、金額・実施時期等に不確定要素のある案件
松:同社がほぼ受注する見込みにある案件(80%以上の確度)
竹:企画・提案案件のうち、同社が受注する確度の高い案件(50%以上の確度)
梅:企画・提案中の案件

 

(2)配当、株主優待
同社は、利益配分の指標として、連結ベースの配当性向及び株価配当利回りの二つを用いている。具体的には、連結ベースの配当性向40%で算出された1株当たりの予想配当金と、同決算発表日の前日(2019年8月7日)の終値に株価配当利回り4.5%を乗じて算出された1株当たりの配当金のいずれか高い方を最低配当金として配当金を決定している(内部留保を確保するため、連結配当性向換算で50%を上限としている)。
上記計算に基づき算出された19/6期の1株当たり配当金は30.10円。これを踏まえて、通期の予想配当金を前期に比べて1円増配の30円(うち上期配当15円)を予定している。
尚、新たに株主優待制度を導入した。500株以上保有し、保有期間が1年以上となる株主にQUOカード500円分、3年以上保有の株主にはQUOカード2,000円分を毎年1回、11月下旬から順次発送予定。

 

 

5.今後の注目点

3Q決算発表の段階でも指摘したが、19/6期は減益予想から増益での着地となった。大型案件の反動で減収とはなったものの、利益重視の戦略が功を奏した。また、企画の勝率が大幅に上昇しており、企画力強化の成果も現れている。20/6期は9月から始まるラグビーワールドカップから、隔年開催の東京モーターショーと前半に大きなイベントが目白押し。後半には2020年案件が直前に控えており、盛り上がってきそうだ。企画力向上がいよいよ本格的に発揮される時が来たともいえるだろう。

 

コーポレート・ガバナンスについて

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

9名、うち社外4名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書 更新日: 2018年10月10日
基本的な考え方
同社では、コーポレート・ガバナンスの意味を「企業価値の継続的な向上を目指して、経営層による適正かつ効率的な意思決定と業務執行、並びにステークホルダーに対する迅速な結果報告、及び健全かつ公正で透明性の高い経営を実現する仕組みの構築・運用」と考えている。
株主をはじめ、顧客、従業員その他のステークホルダーに対する責任を果たすとともに、当社の継続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、以下の基本方針に則って、実効性あるコーポレート・ガバナンスを実現していく。

 

1.株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、適切に協働する。
3.会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
4.取締役会による業務執行に対する監督機能の実効性を向上させる。
5.中長期的な株主の利益と合致する投資方針を有する株主との間で建設的な対話を行う。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則1-2-4 議決権行使プラットフォーム利用、招集通知の英訳】
 議決権電子行使プラットフォームの利用や招集通知の英訳については、同社の株主における機関投資家や海外投資家の比率などの動向を踏まえ、導入を検討していく。

 

【補充原則3-1-2 英語での情報開示・提供】
 同社は英語版の事業報告書を作成するとともに、半年ごとに英語版のアナリストレポートを当社ホームページ等で開示しているが、今後は、同社の株主における機関投資家や海外投資家の比率などの動向を踏まえ、決算説明会資料、招集通知記載内容等についても英語での情報提供を検討していく。

 

【補充原則4-10-1 指名・報酬等に関する独立社外取締役の関与・助言】
 取締役等の指名・報酬等に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するために、指名・報酬等の検討に際しては、独立社外取締役との連携を深める等、より公正で、透明性の高い検討と手続きが実施できることを目指した体制整備の検討を進める。なお、任意の諮問委員会については、必要性に応じ検討していく。

 

<開示している主な原則>
【原則1-4 政策保有株式】
 同社の純投資目的以外の投資を行う際の基本方針は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社の統合プロモーション事業におけるシナジー効果が期待されることであり、中長期的な視点で価値向上を図るために、取引先との関係強化の観点等を踏まえ、効果が見込まれると判断した場合に限り、必要最小限の上場株式を保有することとしている。 政策保有株式の議決権の行使については、適切な対応を確保するために、議案毎に、保有先企業の中長期的な企業価値の向上、当社及びグループ会社の中長期的な経済的利益の増大等の観点から総合的に判断するものとし、主要な政策保有株式については、議決権行使の状況を取締役会に報告する。

 

【原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
 社外取締役候補者の選任にあたっては、東京証券取引所が定める独立性基準を満たす者としている。

 

【補充原則4-11-1 取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方】
 同社は、定款により、取締役の員数を14名以内と定めており、2018年10月1日現在 9名(うち社外取締役4名)で取締役会を構成。取締役会を構成するメンバーについては、経験、知見、能力等における多様性に配慮している。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
 同社は、株主・投資家との双方向の建設的な対話を促進し、これにより同社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた実効的なコーポレート・ガバナンスの実現をはかることを、同社の責任を果たす上での最重要課題の1つと位置付けており、このような考えに基づき、以下のような施策を実施する。

 

1.株主との対話に関する担当取締役の指定
 経営トップ自らが株主との対話に取り組み、管理本部長がIR実務を統括する。

 

2.社内部署の有機的な連携のための方策
 IR担当部署でもある総務チームが経理チームと日常的に打ち合わせや意見交換を実施しており、開示資料作成に際しても連携し、経営トップを交えて内容の検討を行っている。

 

3.個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
 株主総会を株主との重要な対話の場と位置付け、株主総会において、同社事業に関する十分な情報開示の確保をはじめ、株主の皆様からの信認を得られるような運営につとめる。
また、定期的に決算説明会を開催することにより、株主・投資家の皆様とのより緊密なコミュニケーションの実現につとめる。

 

4.株主の意見・懸念のフィードバックのための方策
 株主・投資家との対話において把握されたご意見や当社に関する懸念を担当部署において取りまとめ、その重要性や性質に応じ、これを定期的に経営陣幹部や取締役会に報告するための体制を整備する。

 

5.インサイダー情報の管理に関する方策
 株主・投資家の実質的な平等性を確保すべく、公平な情報開示につとめることを基本方針とし、当該方針に基づき、同社に関する重要情報については、適時かつ公平にこれを開示することとし、一部の株主・投資家に対してのみこれを提供することがないよう、その情報管理の徹底につとめる。

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