ブリッジレポート:(2462) ライク 総合人材・子育て支援サービスの成長に期待

2019/08/15
 

 

岡本 泰彦 社長

ライク株式会社(2462)

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表取締役社長

岡本 泰彦

所在地

大阪市北区角田町8番1号 梅田阪急ビルオフィスタワー19階

決算月

5月末日

HP

https://www.like-gr.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,774円

18,928,447株

33,579百万円

19.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

28.00円

1.6%

92.45円

19.2倍

468.57円

3.8倍

*株価は7/26終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROE・BPSは19年5月期実績、EPS・DPSは20年5月期予想、数値は四捨五入。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年5月(実)

31,844

953

1,426

1,795

97.67

40.00

2017年5月(実)

40,051

1,524

2,493

810

43.27

36.00

2018年5月(実)

45,663

1,915

3,889

1,532

81.49

29.00

2019年5月(実)

47,797

1,746

3,753

1,595

84.58

26.00

2020年5月(予)

53,500

2,200

4,000

1,750

92.45

28.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、EPS・DPSは円。2016年5月期より当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
* 2017年9月、1株を2株に分割。EPSは株式分割を反映。

 

2019年5月期決算の概要と2020年5月期の見通しについて、ブリッジレポートにてお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年5月期決算
3.2020年5月期業績予想
4.今後の注目点
参考:コーポレート・ガバナンスについて

今回のポイント

  • 19/5期は前期比4.7%の増収、同3.5%の経常減益。営業利益は8.8%減となった。総合人材サービス事業は特にモバイル業界向けで選択と集中を進めたことで減収減益。子育て支援サービス事業については、新規開設に加えて収益性の改善にも注力し、大幅な増収増益となった。介護関連サービス事業は、増収ながら新規開設費用の計上に伴い減益。会社予想との比較では、売上高は下回ったものの、経常利益は計画を上回った。 
  • 20/5期は前期比11.9%増収、同6.6%の経常増益予想。引き続き各事業でこれまでの戦略を推進するほか、19/5期中にも新たな事業に取り組んでいる。配当は、1株当たり年28円を予定(上期末14円、期末14円)。 
  • 収益性を重視し、19/5期は攻めるところは攻め、採算性の悪いところからは退出する姿勢を強く打ち出せた印象を持った。採算性の悪いところは概ねなくなった模様。20/5期以降はより成長に重点が置けるのではないだろうか。特に総合人材サービス事業では、選択と集中に伴い5.1%減収となったが、建設業界向けサービスがスタート、20/5期は14.4%増収の計画でありV字回復が見込まれる。従来より人材不足は深刻な状況にあり、成長が見込まれていたが、採算性を伴った成長が期待できそうだ。総合人材サービス事業、子育て支援サービス事業の二事業が両輪で同社成長の牽引役となるだろう。視界は良好である。 

1.会社概要

「…planning the Future ~人を活かし、未来を創造する~」をグループの経営理念として掲げ、人生のどの段階においてもなくてはならない企業グループを目指して、保育・人材・介護サービスを営んでいる。

(同社資料より)

【1-1 事業セグメントとライクグループ】

事業セグメントは、人材派遣、業務受託、紹介予定派遣・職業紹介、及び採用・教育支援等の総合人材サービス事業、公的保育施設運営と受託保育の子育て支援サービス事業、介護施設運営の介護関連サービス事業に分かれる。

 

グループは、純粋持株会社である同社の他、連結子会社5社及び持分法非適用関連会社1社。連結子会社は、派遣や業務請負等の総合人材サービスと携帯電話キャリアショップ運営を手掛けるライクスタッフィング(株)、物流・製造(ファクトリー)業界向け総合人材サービスのライクワークス(株)、ライクキッズネクスト(株)とその傘下で受託保育事業と公的保育事業(認可保育園等の運営)を手掛けるライクアカデミー(株)、及び介護施設運営のライクケアネクスト(株)。この他、ライクスタッフィング(株)が20%、携帯電話販売代理店最大手の(株)ティーガイア(東証1部:3738)が80%、それぞれ出資する合弁会社(株)キャリアデザイン・アカデミーが、法人顧客向け研修サービスを提供している。

 

【1-2 中期経営計画】

 

17/5期

18/5期

19/5期

計画

実績

計画

実績

計画

実績

売上高

38,300

40,051

46,400

45,663

51,000

47,797

経常利益

2,200

2,493

2,800

3,889

3,500

3,753

*単位:百万円。

 

3ヵ年の中期経営計画最終となる19/5期は、売上高は計画を下回ったものの、経常利益は上回った。20/5期以降の中期経営計画については、建設業界向け人材サービス、障がい者就労支援サービス、外国人材就労支援サービスの3つの新規事業において、法制度の運用進捗等の未確定要素が多いため、見通しが立つ状況になり次第開示する予定。

 

【1-3株主優待】

「ライク・プレミアム優待倶楽部」を開設した。
対象・・・毎年5月末現在の株主名簿に記載された、同社株式200株(2単元)以上を保有する株主。
内容・・・毎年7月に下表に基づいた株主優待ポイントを贈呈。特設インターネットサイト(https://like.premium-yutaiclub.jp)において、株主優待ポイントと、食品、電化製品、ギフト、旅行、雑貨など1,000種類以上の優待商品に交換。

(同社資料より)

 

 

2.2019年5月期決算

(1)連結業績

18/5期

構成比

19/5期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

45,663

100.0%

47,797

100.0%

+4.7%

51,000

-6.3%

売上総利益

7,892

17.3%

7,843

16.4%

-0.6%

販管費

5,977

13.1%

6,097

12.7%

+2.0%

営業利益

1,915

4.2%

1,746

3.7%

-8.8%

1,940

-10.0%

経常利益

3,889

8.5%

3,753

7.9%

-3.5%

3,500

+7.2%

親会社株主に帰属する当期純利益

1,532

3.4%

1,595

3.3%

+4.1%

1,400

+14.0%

単位:百万円。
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

 

前期比4.7%の増収、同3.5%の経常減益
売上高は前期比4.7%増の477億97百万円。総合人材サービスが減収となったものの、施設の増加と受託保育の契約見直し効果で子育て支援サービスが15.5%増収と伸長、介護関連サービスも11.8%増収となった。
利益面では、売上総利益率が前年同期比0.9pt減の16.4%。子育て支援サービスにおいては受託保育事業における不採算案件の閉鎖に伴い原価率が0.7pt改善したものの、総合人材サービスにおいては新規事業の開拓に伴う先行投資により1.9pt、介護関連サービスにおいては新規開設の先行投資等により2.8pt悪化した。販管費率は同0.4pt減の12.7%。グループ間連携により本部業務の効率化やコストの見直しが進んだ結果、改善した。子育て支援サービスにおいて、売上に計上する運営補助金の加算があった。しかし、総合人材サービスにおける建設業界向け人材サービス等の新規事業の開拓に伴う先行投資、介護関連サービスでの新規開設費用をカバーできず営業利益は同8.8%減の17億46百万円、経常利益は同3.5%減の37億53百万円となった。固定資産除却損の減少や賃貸借契約解約損がなくなったことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比4.1%増の15億95百万円となった。
予想との比較では、子育て支援サービスにおいて、公的保育事業における一時的な補助金の加算があったものの、総合人材サービスにおける新規事業の開拓に伴う先行投資、介護関連サービスでの新規開設費用をカバーできず営業利益は未達となった。認可保育園の開設時に営業外収益に計上する設備補助金の予算については、予算開示時に確定しているもので算定するため、経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益については予想を上回った。

 

 

(2)セグメント別動向

18/5期

構成比

19/5期

構成比

前期比

総合人材サービス

21,786

47.7%

20,681

43.3%

-5.1%

子育て支援サービス

17,776

38.9%

20,534

43.0%

+15.5%

介護関連サービス

5,525

12.1%

6,175

12.9%

+11.8%

マルチメディアサービス・その他

574

1.3%

407

0.8%

-29.2%

連結売上高

45,663

100.0%

47,797

100.0%

+4.7%

総合人材サービス

2,170

81.2%

1,773

72.8%

-18.3%

子育て支援サービス

387

14.5%

669

27.5%

+72.6%

介護関連サービス

90

3.4%

-45

マルチメディアサービス・その他

24

0.9%

36

1.5%

+48.3%

調整額

-758

-688

連結営業利益

1,915

1,746

-8.8%

単位:百万円。

総合人材サービス事業
売上高206億81百万円(前期比5.1%減)、営業利益17億73百万円(同18.3%減)。
全ての業界・業種・職種において人材の確保が深刻な課題となる中、子会社ライクスタッフィングでは販売員が不足するモバイル・アパレル等のサービス業界、インターネット販売の普及等に伴い需要が拡大するコールセンター、保育士・介護士の不足が社会問題化する保育・介護業界を中心に事業の拡大に努めた。ライクワークスでは、販売チャネルの変遷に伴い需要が逼迫する製造・物流業界を中心に事業の拡大に努めた。引き続き、業界に特化し蓄積してきた知識やノウハウ等の現場力を活かし、業務経験や社会経験の浅い求職者や、週5日フルタイム以外の勤務を希望する求職者であっても活躍できるよう、マッチング・就業フォロー・研修体制や顧客企業に対する多様な働き方の提案等を強化し、就業人口の増加に注力した。18年12月に建設業界向け人材サービスを、19年4月には、障がい者就労支援サービスの開始と外国人材就労支援サービスに向けた準備を開始したため、新規事業の開拓に伴う先行投資が発生し減収減益となった。

 

契約形態別では、人材不足の深刻化により、業種・職種を問わず需要が拡大した。経験・スキルを問わず活躍できるスキームが奏効し、派遣契約(当セグメント内売上構成比70.5%)の売上高は6.2%増加した。一方、業務委託契約(同28.7%)は、外部需要は旺盛なものの、顧客・スタッフ・同社の三者にとって長期に良好な関係を構築できる顧客への集中と選択を強化し、売上高は24.9%減にとどまった。紹介予定・職業紹介契約(同0.8%)の売上高は14.2%増、派遣という働き方を選択する求職者が増加していることもあり、横ばいで推移した。

 

業界別では、主力のモバイル(当セグメント内売上構成比69.2%)が外部需要は旺盛なものの、顧客・スタッフ・同社の三者にとって長期に良好な関係を構築できる顧客への集中と選択を強化し、15.6%減収となった。保育・介護ではライクキッズネクスト向けが前年同期比94百万円増の2億58百万円、ライクケアネクスト向けが同60百万円増の2億32百万円となった。コールセンター・物流ではインターネット等販売チャネルの変化に伴い需要が逼迫し、売上高が大幅に伸びている。

 

業界別売上高

18/5期

19/5期

前年同期比

(単位:百万円)

売上高

構成比

売上高

構成比

増減額

増減率

モバイル業界

16,957

77.8%

14,308

69.2%

-2,648

-15.6%

アパレル業界

1,571

7.2%

1,549

7.5%

-21

-1.4%

保育業界

301

1.4%

397

1.9%

+96

+31.8%

介護業界

71

0.3%

184

0.9%

+113

+157.9%

コールセンター

924

4.2%

1,454

7.0%

+529

+57.3%

物流

1,380

6.4%

2,304

11.1%

+923

+66.9%

その他

579

2.7%

481

2.4%

-98

-16.9%

合計

21,786

100.0%

20,681

100.0%

-1,105

-5.1%

 

期末稼動スタッフ数と四半期売上高の推移

(単位:人)

10/5末

11/5末

12/5末

13/5末

14/5末

15/5末

16/5 末

17/5 末

18/5末

19/5末

期末稼動スタッフ数

4,263

4,922

5,291

3,955

4,097

4,647

4,911

5,946

6,175

6,148

(単位:百万円)

17/5-3Q

4Q

18/5-1Q

2Q

3Q

4Q

19/5-1Q

2Q

3Q

4Q

四半期売上高

4,977

5,390

5,342

5,371

5,427

5,645

5,312

5,159

5,069

5,140

 

18年12月にはライクスタッフィングにテクノ事業部を新設し、建設業界向けに人材サービスを開始した。自分が本当に就きたい仕事は何か、どのように成長していきたいのかを働きながら決めたい人をエキスパート職として採用し、(19年5月末現在701名在籍)、キャリアアップの選択肢として建設業界を追加した。希望者には研修等により建設業界への就業を支援する。
また、4月より『あなたらしい働く“わくわく”を。』をコンセプトに、働くことを目指す障がいのある人への就労支援をスタートした。グループの強みを活かし、幅広い職種や業種から仕事を選択し、自分に合った職場環境やライフスタイルが見つかるよう支援する。

 

子育て支援サービス事業
売上高205億34百万円(前期比15.5%増)、営業利益6億69百万円(同72.6%増)。
新規開設と収益性の改善に注力した結果、前期における認可保育園・学童クラブ等の新規開設により増収、受託保育事業における不採算施設の閉鎖により収益性が改善し、大幅な増益となった。
業界を巡っては、待機児童問題と保育士不足がますます深刻化し、幼児教育・保育の無償化の実施も決定する等様々な施策が推進されている。こうした中、子会社ライクキッズネクスト及びライクアカデミーにおいて、引き続き、認可保育園や学童クラブ等の運営と、企業・病院・大学等が設置する企業主導型保育等の事業所内保育の受託運営を行った。また、利用者に選ばれ続ける高品質の保育と利便性の高い立地や設備を備えた新規施設の開園と、人材確保に悩む事業者に対する事業所内保育の提案に注力した。また、ライクスタッフィングとの連携により採用機能を強化するとともに、保育士が働きやすい環境を作ることで定着率の向上を図った。
子育て支援サービスの児童数・施設数の推移は以下の通り。病院内保育を見直す傍ら認可保育園が大幅に増加している。19/4期の新規開設実績は30ヶ所。うち、認可保育園は18ヶ所、学童クラブ等は4ヶ所、受託保育施設は8ヶ所となっている。児童数は10,000人近くに達した。これまで蓄積したノウハウを活かし、保育士がより働きやすくなる環境の構築を推進。

 

施設内訳の推移

 

病院内保育

事業所内保育

受託保育合計

認可保育園等

学童クラブ等

公的保育合計

施設数合計

17/4月末

133

32

165

75

76

151

316

18/4月末

125

29

154

94

85

179

333

19/4月末

120

30

150

111

82

193

343

 

介護関連サービス事業
売上高61億75百万円(前期比11.8%増)、営業損失45百万円(前期は90百万円の営業利益)。子会社ライクケアネクストでは、引き続き、神奈川県・東京都・埼玉県といった首都圏において24時間看護師が常駐し看取り介護を行う有料老人ホームを運営する。利用者及び家族に選ばれ続ける高品質のサービスを提供することに注力した。18年5月に開設したサンライズ・ヴィラ西葛西、7月に新規開設したフェリエ ドゥ磯子、10月に新規開設したサンライズ・ヴィラ藤沢六会も順調に入居率を伸ばしている。新規開設の開設費用が発生し、営業損失となったものの、新規開設施設も入居率の進捗が順調であることから予算は上回った。

 

その他
マルチメディアサービス事業では、総合人材サービスにおけるモバイル業界向けサービスのためのアンテナショップとして携帯電話ショップ2店舗を運営していたが、事業規模からシナジー効果も薄れたため18年3月で1店舗を閉鎖した。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

◎財政状態

18年5月

19年5月

18年5月

19年5月

現預金

7,304

7,628

未払金

2,810

2,967

売上債権

3,744

3,795

未払法人税・消費税等

1,374

1,051

流動資産

12,354

13,088

受入入居保証金

865

896

有形固定資産

8,246

10,098

有利子負債(うちリース債務)

9,995(513)

10,551(659)

無形固定資産

2,500

1,979

負債

17,747

18,268

投資その他

4,608

5,141

純資産

9,963

12,040

固定資産

15,355

17,219

負債・純資産合計

27,710

30,308

単位:百万円。

 

19/5期末の総資産は前期末比25億98百万円増の303億8百万円となった。
流動資産は前期末比7億34百万円増の130億88百万円、おもに現預金の増加3億24百万円、受取手形及び売掛金(売上債権)の増加50百万円等によるもの。
固定資産は前期末比18億64百万円増の172億19百万円、おもに子育て支援サービス事業における新規開園等に伴う有形固定資産の増加18億52百万円、のれんの償却に伴う減少5億24百万円等によるもの。
流動負債は前期末比73百万円増の103億75百万円、おもに短期借入金の増加1億50百万円、未払金の増加1億56百万円、未払法人税等の減少2億25百万円等によるもの。
固定負債は前期末比4億47百万円増の78億93百万円、おもに長期借入金の増加1億47百万円、リース債務の増加1億45百万円等によるもの。
純資産は前期末比20億77百万円増の120億40百万円、おもに親会社株主に帰属する当期純利益の計上15億95百万円、非支配株主持分の増加10億7百万円等によるもの。
自己資本比率は前期末比1.2ポイント増の29.3%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

18/5期

19/5期

前期比

営業キャッシュ・フロー

3,969

3,455

-513

-12.9%

投資キャッシュ・フロー

-2,990

-2,903

+87

フリー・キャッシュ・フロー

978

552

-426

-43.6%

財務キャッシュ・フロー

410

-227

-638

現金及び現金同等物期末残高

7,284

7,608

+324,

+4.5%

単位:百万円。

 

19/5期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比3億24百万円増加し、76億8百万円となった。有形固定資産の取得による支出や、差入保証金の差入による支出といったマイナス要因があったが、税金等調整前当期純利益の計上、未払金の増加といったプラス要因があったことによるもの。
営業CFは34億55百万円の収入となった。この主な内容は、税金等調整前当期純利益の計上37億41百万円、減価償却費の計上8億41百万円、のれん償却額の計上5億24百万円、法人税等の支払額15億46百万円等であった。
投資CFは29億3百万円の支出となった。この主な内容は、子育て支援サービス事業における新規施設開園等に伴う有形固定資産の取得による支出25億19百万円等であった。
これらにより、フリー・キャッシュ・フローは前期比4億26百万円収入が減少し5億52百万円の収入となった。
財務CFは2億27百万円の支出となった。この主な内容は、子育て支援サービス事業における運転資金確保のための短期借入金の純増加額1億50百万円、配当金の支払額5億83百万円等であった。

3.2020年5月期業績予想

(1)連結業績

19/5期 実績

構成比

20/5期 予想

構成比

前期比

売上高

47,797

100.0%

53,500

100.0%

+11.9%

営業利益

1,746

3.7%

2,200

4.1%

+26.0%

経常利益

3,753

7.9%

4,000

7.5%

+6.6%

親会社株主に帰属する

当期純利益

1,595

3.3%

1,750

3.3%

+9.7%

単位:百万円

 

前期比11.9%の増収、同6.6%の経常増益予想
20/5期は、売上高は前期比11.9%増の535億円、経常利益は同6.6%増の40億円を見込む。
総合人材サービス事業では、ライクスタッフィング及びライクワークスにおいて、引き続き、若年層の社会進出支援から事業を開始した経験を活かし「働く」喜びを伝えるとともに、人材確保と定着率の向上に対する様々な施策に取り組んできた知識を活かし求職者が希望する多様な働き方を実現していく考え。モバイル、アパレル、保育・介護、コールセンター、物流と、業界特化型で事業を展開してきたノウハウを活かし、求職者が就業先で活躍できるよう必要な研修を実施することで、潜在的な求職者も含め就業人口の増加に努める。
保育・介護業界向けサービスでは、ライクキッズネクスト及びライクアカデミー、ライクケアネクストの施設運営事業者としてのノウハウを活かし、独自の保育士・介護士・栄養士・調理師等の採用・研修機能を構築する。18年12月には従前より要望の多かった建設業界向けサービスを開始した。また、19年4月には障がいを持つ人の就労移行支援事業所「ライクチャレンジサポート」を東京都品川区に開設、更なる事業領域の拡大に向け注力する。さらに、19年4月に改正入国管理法が施行され、新たな在留資格である「特定技能」が新設された。同社では90名以上の外国籍正社員の雇用実績を活かし、介護・宿泊・外食業界を中心に外国人材の活躍を推進すべく、生活のサポートを含む働きやすい環境の整備を進めている。法制度が整備され運用が本格的に開始された時点でただちにサービスの提供ができるよう引き続き準備を進めていく。
子育て支援サービス事業では、待機児童問題・保育士不足の深刻化が進む中、引き続き、ライクキッズネクスト及びライクアカデミーにおいて、利用者に選ばれ続ける認可保育園・学童クラブ・企業主導型保育所をはじめとする事業所内保育施設等の新規開設の強化、サービス品質の更なる向上による収益力の改善に邁進する考え。
介護関連サービス事業では、ライクケアネクストにおいて、引き続き、サービス品質を向上し他社との差別化を明確にすることで、入居率を90%以上の高水準に維持するとともに、収益力の改善に努める。

 

配当は、年28円を予定(上期末14円、期末14円、予想配当性向30.3%)。尚、これまでは目標とする配当性向を35%としてきたが、同社では主要事業を総合人材サービスのみから、子育て支援サービス事業、介護関連サービス事業と事業の幅を広げ、現在は保育・人材・介護の3事業を展開している。待機児童問題や介護離職問題が深刻化する中、認可保育園や介護施設の新規開設に注力しており、総合人材サービスのみであった頃の業態とは違い、投資資金を要する構造になっている。今後の事業拡大の更なるスピードアップを図るため目標配当性向を30%以上に引き下げた。

 

セグメント別売上見通しは以下の通り。

 

セグメント別売上見通し

19/5期 実績

構成比

20/5期 予想

構成比

前期比

総合人材サービス

20,681

43.3%

23,650

44.2%

+14.4%

子育て支援サービス

20,534

43.0%

22,800

42.6%

+11.0%

介護関連サービス

6,175

12.9%

6,670

12.5%

+8.0%

マルチメディアサービス・その他

407

0.8%

380

0.7%

-6.7%

連結売上高

47,797

100.0%

53,500

100.0%

+11.9%

単位:百万円

 

(2)事業別戦略

◎総合人材サービス事業
全ての業界で人材確保が経営の課題になっている。こうした中、同社は、求職者の経験・スキルを問わず戦力化するグループ独自のノウハウにより就業人口を増加させることに注力する。
マッチングにおいては週3日や時短等の求職者が希望する就業条件・環境が多様化している。同社ではクライアントへの多様な提案による実現に注力する。また、求職者に対する細やかなヒアリングにより、適性が高く、かつ、希望に敵う仕事を提案する。
研修では、現場経験豊富な研修担当者が座学での研修だけではなく、一緒に就業することで戦力化する。就業後においても、現場視点でのフォローにより、定着率の向上を図る。外国人材の受入れにおいても、スキルチェックや研修、受入れ体制のコンサルティング等による戦力化が可能だ。
また、前述のように建設業界向けの人材サービスへ進出、障がい者就労支援サービスも開始し、新たな領域にも取り組んでいる。

 

主なサービス提供業界の状況

モバイル 商材・サービスの多様化により、販売員・アフターフォロー人材が圧倒的に不足。
アパレル サービス業での就業を希望する人材が減少している上、離職率も高い。
保育 待機児童問題が深刻化する中、人材が圧倒的に不足。処遇・労働環境の改善が進む。
介護 2035年には人材が79万人不足する見通し。国内の人材だけでは充足できない見込み。
コールセンター インターネット通販等が普及する中、カスタマーセンター等の人員需要が増加。
物流 インターネット等販売チャネルの変化により、倉庫・工場等での人員・ドライバー需要が逼迫。
建設  (☆NEW!) 施工管理職・現場監督・CADオペレーター・営業等全ての職種において圧倒的に人材が不足。

 

物流・製造業界向けサービスの強化
2018年6月に物流・製造業界向けサービスの拡大に向け、同業界向けのサービスをライクスタッフィングから分社し、ライクワークスを設立した。急成長する物流業界や顧客企業の物流・製造部門において、梱包やピッキング等の軽作業を中心とした人材の派遣や業務受託に注力する。大手ECサイト運営企業における長年の倉庫業務受託実績で蓄積したコールセンター、店頭販売までの一連の業務に対する知見を活かし、顧客企業のニーズにより幅広く対応すべくサービスの拡大を図る。また、ライクキッズネクストとの連携により、人材の提供だけでなく、保育施設の設置等働きやすい環境づくりにも注力する。

 

◎子育て支援サービス事業
受託保育事業では、企業・病院・大学等が設置する企業主導型保育をはじめとする事業所内保育を全国で150ヶ所受託運営している。公的保育事業では認可保育園・学童クラブ・児童館等の公的保育施設を193ヶ所運営している(19/5月末)。19/4期の新規開設実績は30ヶ所(受託保育施設8ヶ所、公的保育施設22ヶ所)、閉園は20ヶ所(受託保育施設12ヶ所、公的保育施設8ヶ所)。
保育施設の不足と保育人材の不足に伴い、待機児童問題が深刻化、子育て支援サービス事業の担う役割は拡大している。こうした中、同社では質の高い保育サービスを提供し、売上・利益共に成長し続ける日本一の保育事業者を目指している。

 

保育施設の増加
受託保育事業においては、グループの豊富な取引先を活かし、企業主導型施設の適正利益での受託数の増加に注力する。一方、公的保育事業においては、待機児童問題解消後も利用者に選ばれ続けるハード面でも好条件の施設数の増加に注力する。また、保育サービスのコンテンツの拡充にも力を入れていく。

 

保育人材の確保
ライクスタッフィングの採用・就業後フォローのノウハウを活かし、採用力の強化と定着率の向上を図る。また、グループ内での積極的な人事交流によりノウハウを共有、マッチング力を強化する。更には、研修コンテンツのグループ共有による人材の創出にも注力する。

 

保育士が働きやすい環境の整備
保育士が働きやすい環境整備の一環として、2016年2月に保育業界初「イクボス企業同盟」に加盟した。「イクボス」とは、職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)の事(NPO法人ファザーリング・ジャパン)。「保育士が、働き続けたい魅力的な職場作り」を加速させ、日本全体の保育・幼児教育の向上・発展への貢献を目指す。

 

総合職保育士『ミライクル保育士』の導入
管理職志望の保育士向けの職種を新設する。一般保育士より給与や研修を手厚くしてキャリア形成を後押しする。保育士は一般職や非正規雇用としての採用が一般的で独自に総合職を設けるのは業界でも珍しい。新たな給与体系や研修制度を設け、キャリア形成の支援を行う。多彩な経験を積みながら早い段階で役職に就くことが可能となる。

 

保育業界における基盤企業へ
質の高い保育サービスを提供し、売上・利益共に成長し続ける日本一の保育事業者を目指す。従来より保育士・保育学生・保護者から愛顧されている、現役保育士や大学教授が監修する、保育士・学童指導員等へのインタビューや実際に保育園で行われている遊び・学びに関する情報、子ども・子育て支援制度の解説等保育に関する情報を掲載したサイト「保育のひきだし」(https://www.hoikunohikidashi.jp/)を、会員制から誰でも閲覧できるよう開放した。

 

 

「保育のひきだし」HPの一部

 

◎介護関連サービス事業(デイサービス施設3施設を含む24施設・定員1,442名:19/4末現在)
看取り介護を含め医療連携の強い有料老人ホームを神奈川・東京・埼玉で展開している。特徴・強みは、介護・看護スタッフによる24時間365日サポート、質の高いスタッフの確保と介護業界での安心の実績、及び元気の源となる毎日のこだわりの食事。

 (同社資料より)

 

高品質の介護サービスを追求し、17年4月にはライクケアネクストを完全子会社化し、グループ価値の最大化、サービスの差別化と介護人材の確保に取り組んでいく。サービスの差別化では、24時間看護師が常駐し、医療機関と連携した看取り介護の他、自立支援サービスも拡充する。他社との差別化を明確にした高品質の介護サービスを提供する事で、選ばれ続ける介護施設を実現する。介護人材の確保については、未経験者を戦力化するライクスタッフィングとの連携により介護人材を創出し、定着率を向上させる事で業界での就業人口の増加を図る。18年に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」、「改正入国管理法」を鑑み、外国人材の受入れに備え、研修コンテンツの拡充や精鋭チームを採用し受入れ体制の構築にも注力する。

 

外国人材の活躍推進
世代・国籍・経歴を問わず社会進出を支援してきたノウハウを活かし、外国人材の活躍を推進する。「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が18年12月8日に成立し、同14日に公布された。これにより、特定産業分野(介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14分野)について、新たに在留資格「特定技能1号・2号」が創設された。
同社では、すでに全国で、約15ヶ国・90名の外国籍社員が活躍しており、グループで介護施設を運営している。同社の保有する支援・育成・業界ノウハウを活かし、主に介護・宿泊・外食分野において、19年度に外国人材受入れ準備としてリーダー格となる精鋭チームを組成する。19年4月よりベトナム籍・韓国籍・ミャンマー籍・フィリピン籍等の外国籍社員が介護施設での稼働を開始した。

 

4.今後の注目点

収益性を重視し、19/5期は攻めるところは攻め、採算性の悪いところからは退出する姿勢を強く打ち出せた印象を持った。採算性の悪いところは概ねなくなった模様、20/5期以降はより成長に重点が置けるのではないだろうか。特に総合人材サービス事業では、モバイル業界で選択と集中に伴い大幅減収となったが歯止めがかかる一方、建設業界向けサービスがスタートした。19/5期5.1%減収から20/5期は14.4%増収とV字回復が見込まれる。従来より人材不足は深刻な状況にあり、成長が見込まれていたが、採算性を兼ね備えた成長が期待できそうだ。総合人材サービス事業、子育て支援サービス事業の二事業が両輪で同社成長の牽引役となるだろう。二事業を補充する形の介護関連サービス事業では、一旦新規開設が一巡し今期は黒字に転じる見通しである。視界は良好である。

 

参考:コーポレート・ガバナンスについて

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査等委員会設置会社
取締役 7名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書  更新日:2018年12月26日

 

基本的な考え方
当社は、「…planning the Future~人を活かし、未来を創造する~」をグループ理念とし、人生のどの段階においてもなくてはならない企業集団を目指しており、コーポレート・ガバナンスへの取組みを重要な経営課題として認識しております。これを実現するために、当社グループの役員、従業員及びサービス利用者が、常に公正で機能的な行動をとることができるよう、持株会社体制であることを活かし、コンプライアンス体制を持株会社に集約し、持株会社の機能をグループ全体の経営管理に集中させることにより、グループ全体のコーポレート・ガバナンスの強化を図っております。

 

1.株主の権利・平等の確保
株主総会における議決権をはじめとする株主の権利が実質的に確保されるよう、適切な対応を行っております。
2.株主以外のステークホルダーとの適切な協働
当社のグループ理念に基づき、行動規範や行動原則を遵守し、サービス利用者、クライアント、株主、従業員等全てのステークホルダーの皆様に対し誠実に行動することにより、継続的に企業価値を拡大してまいります。
3.適切な情報開示と透明性の確保
法令に基づく情報開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報や非財務情報の提供にも積極的に取り組んでまいります。
4.取締役会等の責務
取締役会は、グループの経営の基本方針や戦略の策定、事業会社の管理・監督を行っており、グループ全体における業務の意思決定及び取締役会による業務執行を監督する機関として位置付け、運営しております。なお、社外取締役は、経営規律の強化を図るとともに、透明性をより一層高める役割を担っております。
5.株主との対話
グループの企業価値の極大化のため株主との対話を重視しており、株主からの対話の申し込みに対しては随時対応しております。株主との対話は、IR担当部署、IR担当役員、経営陣幹部が必要に応じて行っております。

 

 

コーポレート・ガバナンス・コード各原則の実施について
<実施をしないコード:3項目、そのおもな原則>

 

【補充原則1-2-4】
当社では現在、議決権の電子行使を実施しておりませんが、今後については、株主構成に占める機関投資家、海外投資家の比率等を勘案しながら導入を検討してまいります。

 

【補充原則4-10-1】
当社は、任意の独立した諮問委員会を設置しておりませんが、取締役候補の選任や取締役の報酬については、取締役会の決議に先立ち、独立社外取締役に対し説明を行い、適切な助言を得ております。このように、取締役候補の選任や取締役の報酬について、独立社外取締役の適切な関与・助言を得ていることから、これらに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任は十分担保されているものと考えております。

 

<開示しているコード:10項目、その主な原則>

 

【原則1-4】
政策保有株式につきましては、企業価値向上におけるシナジーが認められると判断した場合に限り、当該株式の政策保有について検討いたします。現在、政策保有している株式については保有意義があることを確認しております。また、当該株式の議決権の行使については、当該会社の企業価値向上及び当社への影響を勘案し、議案に対する賛否の意思表示を行うものといたします。

 

【原則2-6】
当社は、企業年金制度を採用しておりません。

 

【原則5-1】
・当社は、当社グループのIR活動全般を行うIR担当役員とIR担当部署を設置し、株主との建設的な対話の促進を図っております。
・情報開示については、基本的な考え方をまとめた「ディスクロージャー・ポリシー」を定め、これに則り、公正かつ適時・適切な開示に取り組んで おります。
・ディスクロージャー・ポリシーについては、当社HP(https://www.like-gr.co.jp/ir/policy.html)において開示しております。
・IR活動の詳細につきましては、本報告書の「株主その他の利害関係者に関する施策の実施状況」の2.に記載のとおりであります。

 

 

東証コーポレート・ガバナンス情報サービスより:http://www2.tse.or.jp/tseHpFront/CGK010010Action.do?Show=Show

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