ブリッジレポート:(6465)ホシザキ 国内減収も、海外売上は増加
小林 靖浩社長 |
ホシザキ株式会社(6465) |
企業情報
市場 | 東証1部、名証1部 |
業種 | 機械(製造業) |
代表取締役社長 | 小林 靖浩 |
所在地 | 愛知県豊明市栄町南館3-16 |
決算月 | 12月末日 |
HP | http://www.hoshizaki.co.jp/ |
株式情報
株価 |
発行済株式数 |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
7,620円 |
72,417,269株 |
551,819百万円 |
12.0% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(倍) |
80.00円 |
1.0% |
342.46円 |
22.3倍 |
3,090.16円 |
2.5倍 |
*株価7/19終値。発行済株式数は19年12月期第1四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
BPSは19年12月期第1四半期決算短信より。
業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
EPS |
DPS |
2015年12月 |
260,174 |
31,719 |
30,864 |
16,971 |
234.47 |
60.00 |
2016年12月 |
265,548 |
34,575 |
34,140 |
21,430 |
295.95 |
70.00 |
2017年12月 |
282,215 |
36,065 |
37,086 |
23,144 |
319.62 |
70.00 |
2018年12月 |
292,774 |
36,446 |
36,372 |
25,717 |
355.14 |
80.00 |
2019年12月(予) |
296,600 |
34,500 |
36.400 |
24,800 |
342.46 |
80.00 |
*単位:百万円、円
*予想は会社側予想。
ホシザキ株式会社の2019年12月期第1四半期決算概要などをお伝えします。
目次
今回のポイント
1. 会社概要
2. 2019年12月期第1四半期決算概要
3. 2019年12月期業績見通し
4.今後の取り組み
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>
今回のポイント
- 19年12月期第1四半期の売上高は前年同期比3.5%増の760億円。国内売上高は、同1.5%減の505億円。前期にあった食器洗浄機の大口受注が剥落したほか、不適切取引の調査対応に伴う販売活動量低下が影響した。海外売上高は、同14.9%増の254億円。米国はホシザキアメリカにおいて前年のような天候不順(大雪)の影響がなかったこと、4月からの値上げ前の駆け込み需要などで増収。同じく北米・ジャクソンやインド・ウエスタンも好調だった。営業利益は同11.2%減の96億円。国内は販管費増で減益。海外はウエスタンの増収効果などで増益。営業利益率は同2.1%低下の12.7%。
- 19年12月期の通期業績予想に変更は無い。売上高は前期比1.3%増の2,966億円の予想。国内売上高は同2.2%増の1,954億円、海外売上高は同0.3%減の1,012億円の予想。営業利益は同5.3%減の345億円の予想。配当は前期と同じく80円/株の予定。予想配当性向は23.4%。
- 第1四半期は不適切取引の調査対応のために売上、利益とも影響を受けたこともあり、増収減益でかつ国内減収ではあったが、売上高および営業利益の進捗率はほぼ例年同程度である。第2四半期以降の国内売上の動向を注目したい。
1.会社概要
飲食店、病院・介護老人保健施設(以下、病院老健)、学校・保育園、スーパー、コンビニエンスストア、オフィスなどを顧客とし、製氷機、冷蔵庫を始めとしたフードサービス機器の研究開発・製造・販売及び保守サービスを行っている。
製氷機、冷蔵庫、食器洗浄機、生ビールディスペンサ等の主力製品では国内トップシェア。製氷機に関してはグローバル市場でもトップシェアである。独自の製品開発力、高品質、強力な営業力、迅速できめ細かなサービス&サポート体制等が強みであり、同業他社に対する大きな優位性となっている。
海外売上高比率は34.7%(2018年12月期)。ホシザキを含む連結グループ会社は、国内18社、米州13社、欧州・アジア等21社の合計52社。工場は国内8、米州5、欧州・アジア7とグローバルでの生産体制を構築している。国内営業体制は、北海道から沖縄までの15販売会社及びその438営業所によって日本全国をカバーしている。また海外では米州、ヨーロッパ、アジア・オセアニアに販売会社を配置し、全世界を幅広くカバーできる体制を整備している。(グループ会社数、拠点数などは2019年3月末時点)
(同社資料より)
【事業内容】
製品別売上は、製氷機17.4%、冷蔵庫26.2%、食器洗浄機7.3%、ディスペンサ9.8%、他社仕入商品12.8%、保守・修理16.9%、その他9.6%となっている(2018年12月期)。
(同社資料より)
【特徴・強み】
1.独自の技術に基づく製品開発&高い品質基準
独自技術に基づいた製品企画から製品化までの一貫した研究体制を持つことにより、最終顧客の多様なニーズへ迅速に対応している。また、新製品開発、既存製品の改良や改善、シリーズ展開及び原価低減活動に加え、販売及び保守サービス活動から得られる情報や市場品質情報を製品開発に活用する体制を確立している。また、独自の品質基準を設定し、業務用という厳しい使用環境に耐えられる構造設計を行っており、過酷な条件で繰り返し行われるテストに合格した部品や技術のみが採用されている。
2.主要製品でトップシェア
高品質、サービス&サポート体制、省エネ・低環境負荷、耐久性、使いやすさ、デザイン性等といった様々なポイントが顧客に評価され、製氷機、冷蔵庫、食器洗浄機、生ビールディスペンサ等の主力製品では国内トップシェアとなっている。また、製氷機に関しては、グローバル市場においても、トップシェアである(同社推計)。
(同社資料より)
3.きめ細かいサービス&サポート体制
同社では国内を15販売会社及びその438営業所でカバーし、約2,600名のサービススタッフによる地域密着型のきめ細かいサービス&サポート体制をとっており、ユーザーから故障やトラブルの問い合わせがあった際は、短時間で駆けつける「即日対応」を掲げて、スピーディーな対応を行っている。(いずれも2019年3月末現在)
4.営業力の強さと強固な顧客基盤
約3,200名の営業スタッフが日本全国をカバーする直販体制による営業力の強さも同社の大きな特徴である。高い直販比率のため顧客との密着度は高く、現在の強固な顧客基盤の構築に繋がっている。また、サービススタッフとの緊密な連携により、顧客の状況に即応した提案を行う事が出来る機動性の高さも顧客から高く評価されている(2019年3月末現在)。
2.2019年12月期第1四半期決算概要
(1)連結業績
18/12期1Q |
構成比 |
19/12期1Q |
構成比 |
前年同期比 |
予想比 |
|
売上高 |
73,519 |
100.0% |
76,057 |
100.0% |
+3.5% |
+0.9% |
売上総利益 |
28,342 |
38.6% |
28,491 |
37.5% |
+0.5% |
+0.3% |
販管費 |
17,481 |
23.8% |
18,842 |
24.8% |
+7.8% |
+2.9% |
営業利益 |
10,860 |
14.8% |
9,649 |
12.7% |
-11.2% |
-4.4% |
経常利益 |
8,386 |
11.4% |
10,271 |
13.5% |
+22.5% |
-2.1% |
四半期純利益 |
5,712 |
7.8% |
7,041 |
9.3% |
+23.3% |
-0.8% |
*単位:百万円。四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。以下、同様。
増収も、販管費増で営業減益。予想に対しても売上高は上回ったが、利益は未達
売上高は前年同期比3.5%増の760億円。国内売上高は、同1.5%減の505億円。前期にあった食器洗浄機の大口受注が剥落したほか、不適切取引の調査対応に伴う販売活動量低下が影響した。
海外売上高は、同14.9%増の254億円。米国はホシザキアメリカにおいて前年のような天候不順(大雪)の影響がなかったこと、4月からの値上げ前の駆け込み需要などで増収。同じく北米・ジャクソンやインド・ウエスタンも好調だった。
営業利益は同11.2%減の96億円。国内は販管費増で減益。海外はウエスタンの増収効果などで増益。
営業利益率は同2.1%低下の12.7%。
(四半期推移)
17/12期 |
18/12期 |
19/12期 |
||||||||||
1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
|
売上高 |
69,896 |
73,835 |
75,540 |
62,944 |
73,519 |
76,466 |
76,778 |
66,011 |
76,057 |
– |
– |
– |
増収率 |
+3.9% |
+5.2% |
+8.1% |
+8.1% |
+5.2% |
+3.6% |
+1.6% |
+4.9% |
3.5% |
– |
– |
– |
営業利益 |
9,763 |
10,434 |
11,037 |
4,831 |
10,860 |
10,587 |
10,645 |
4,354 |
9,649 |
– |
– |
– |
増益率 |
+0.3% |
-6.6% |
+3.6% |
+60.0% |
+11.2% |
+1.5% |
-3.6% |
-9.9% |
-11.2% |
– |
– |
– |
*単位:百万円。増収率、増益率は対前年同期比。
(2)セグメント別動向
18/12期1Q |
構成比 |
19/12期1Q |
構成比 |
前期比 |
|
売上高 |
|||||
日本 |
51,342 |
69.8% |
50,567 |
66.5% |
-1.5% |
米州 |
14,971 |
20.4% |
16,222 |
21.3% |
+8.4% |
欧州・アジア |
7,205 |
9.8% |
9,268 |
12.2% |
+28.6% |
海外合計 |
22,177 |
30.2% |
25,490 |
33.5% |
+14.9% |
合計 |
73,519 |
100.0% |
76,057 |
100.0% |
+3.5% |
営業利益 |
|||||
日本 |
8,334 |
16.2% |
7,153 |
14.1% |
-14.2% |
米州 |
2,260 |
15.1% |
1,772 |
10.9% |
-21.6% |
欧州・アジア |
447 |
6.2% |
988 |
10.7% |
+121.0% |
海外合計 |
2,707 |
12.2% |
2,758 |
10.8% |
+2.0% |
調整額 |
-181 |
– |
-262 |
– |
– |
合計 |
10,860 |
14.8% |
9,649 |
12.7% |
-11.2% |
※単位:百万円。売上高は、「外部顧客への売上高」を示す。営業利益の構成比は売上高営業利益率。
(国内)
売上高は前年同期比1.5%減の505億円。営業利益は同14.2%減の71億円。
前期の食器洗浄機の大口受注剥落のほか、不適切取引の調査対応に伴う販売活動量低下が影響し減収。
減収効果に加え不適切取引の調査費用など販管費が増加し減益。
<海外>
(米州)
売上高は前年同期比8.4%増の162億円。営業利益は同21.6%減の17億円。
ホシザキアメリカが前年にあった天候不順の影響が無かったこと、4月からの値上げ前の駆け込み需要で増収も、販管費増で減益。
(欧州・アジア)
売上高は前年同期比28.6%増の92億円。営業利益は同121.0%増の9億円。
インド・ウエスタンの販売が好調で売上、利益増に貢献した。
(3)財政状態
◎主要BS
18年12月末 |
19年3月末 |
18年12月末 |
19年3月末 |
||
流動資産 |
272,560 |
276,801 |
流動負債 |
88,243 |
92,323 |
現預金 |
204,263 |
199,317 |
仕入債務 |
17,664 |
20,876 |
売上債権 |
31,183 |
42,132 |
前受金 |
26,699 |
25,741 |
たな卸資産 |
31,910 |
31,008 |
固定負債 |
23,124 |
23,521 |
固定資産 |
62,318 |
64,198 |
負債 |
111,368 |
115,844 |
有形固定資産 |
43,962 |
44,949 |
純資産 |
223,510 |
225,155 |
無形固定資産 |
5,489 |
5,291 |
株主資本 |
226,659 |
227,907 |
投資その他の資産 |
12,866 |
13,957 |
為替換算調整勘定 |
-2,052 |
-1,850 |
資産合計 |
334,879 |
341,000 |
負債純資産合計 |
334,879 |
341,000 |
*単位:百万円
売上債権の増加等で流動資産は前期末に比べ42億円増加。固定資産は同18億円の増加で資産合計は同61億円増の3,410億円となった。一方、仕入債務の増加等で負債合計は同44億円増加し、1,158億円となった。純資産は利益剰余金の増加等で同16億円増の2,251億円。この結果、自己資本比率は前期末より0.8ポイント低下し65.6%となった。
3.2019年12月期通期業績見通し
(1)連結業績予想
18/12期 実績 |
構成比 |
19/12期 計画 |
構成比 |
前期比 |
進捗率 |
|
売上高 |
292,774 |
100.0% |
296,600 |
100.0% |
+1.3% |
25.6% |
売上総利益 |
110,549 |
37.8% |
112,200 |
37.8% |
+1.5% |
25.4% |
販管費 |
74,103 |
25.3% |
77,700 |
26.2% |
+4.9% |
24.2% |
営業利益 |
36,446 |
12.4% |
34,500 |
11.6% |
-5.3% |
28.0% |
経常利益 |
36,372 |
12.4% |
36,400 |
12.3% |
+0.1% |
28.2% |
当期純利益 |
25,717 |
8.8% |
24,800 |
8.4% |
-3.6% |
28.4% |
*単位:百万円
業績予想に変更無し。増収減益。売上高は8期連続増収で過去最高を更新へ。
業績予想に変更は無い。売上高は前期比1.3%増の2,966億円の予想。
国内売上高は同2.2%増の1,954億円。人手不足による飲食店等出店延期の継続など設備投資は弱含みと見ている。また、10月の消費税率引き上げ前後の需要変動も見込まれるが、同社の得意とする営業・サービス連携による営業エリアの強化、採算性に留意した物件需要の獲得を進める。海外売上高は同0.3%減の1,012億円の予想。北米マーケットの回復はあるものの、円高を見込んだマイナス影響に加え、前期のインド・ウエスタンの決算同期化及び中国・愛雪社持分譲渡に伴う減収を見込んでいる。
(主要想定為替レート:期中平均)
17/12月期実績 |
18/12月期実績 |
19/12期予想 |
|
米国ドル |
112.1円 |
110.4円 |
106.0円 |
ユーロ |
126.7円 |
130.3円 |
125.0円 |
営業利益は同5.3%減の345億円。
国内では第三者委員会を始めとする不正調査費用の計上、産業廃棄物処理費用の増加、新たに稼働するITシステムに伴う減価償却費の発生、東京・高輪ビル移転、戦略的投資等によりコストが増加する。
海外では、原材料価格の値上がり継続に加え、米中貿易摩擦の激化、Brexit等、海外初のリスクに起因する需要停滞などによるコスト増を想定している。配当は前期と同じく80円/株の予定。予想配当性向は23.4%。
(2)セグメント別売上見通し
18/12期 実績 |
19/12期 計画 |
前期比 |
|
日本 |
190,500 |
195,400 |
+2.2% |
米州 |
64,200 |
66,600 |
+1.6% |
欧州・アジア |
33,200 |
34,600 |
-3.8% |
海外合計 |
97,400 |
101,200 |
-0.3% |
合計 |
287,900 |
296,600 |
+1.3% |
*単位:百万円
4.今後の取り組み
(1)不適切な取引について
<経緯>
2019年2月13日、ホシザキ東海で2018年12月期第4四半期にも不適切な取引行為が継続していたことが判明したため、2018年12月期決算発表を延期し、社外有識者のみによる第三者委員会を同年2月25日に設置した。
2019年3月8日には、ホシザキアメリカにおいて現地監査法人への内部通報に伴う調査実施により決算手続が未了であることを発表した。
2019年3月29日に、有価証券報告書の提出を1ヶ月延長することを関東財務局が承認した。
有価証券報告書提出の延長期限であった2019年5月7日に2018年12月期決算発表を行うとともに、有価証券報告書を提出。また、第三者委員会からの調査報告書(公表版)を公表した。
<第三者委員会調査報告書による提言・指摘・原因分析>
◎提言・指摘
今回の子会社における一連の不適切取引は、ホシザキ東海の特殊性はあったものの、親会社であるホシザキの経営方針、グループ会社ガバナンス体制、グループ会社管理体制の課題から誘発されたことも併せて指摘し、以下5つの提言を行った。
①大幅な人事刷新と営業の基本動作の徹底
②次代を担う経営人材の育成
③「競争から協働へ」という経営方針の転換
④2軸を意識したグループ内部統制の強化
⑤不正行為の組織的要因に踏み込む再発防止策の推進
加えて、以下の指摘があった。
*ホシザキの15販社に対する売上利益の目標達成プレッシャーは確かに存在するものの、それが過度なものだったとまでは言えない。 しかし、ホシザキ東海では、過度に高い達成意欲を抱いた一部上層部が、高い業績目標を掲げ、売上利益の目標達成プレッシャーを増幅して中間管理職に伝える状況が見られた。
*売上の先行計上については、いくつかの販社では、2018年度中にもあったことが確認されたが、組織的なものであると疑わせるものは存在しなかった。
◎不正行為の原因と今後の対策
「国内販売会社内における目標達成プレッシャーの増幅」「取締役の過剰な兼務と販売会社間の競争促進」「国内販売会社 管理部門の脆弱化」「経営人材育成の不奏功」「グループ内部統制の脆弱さ」「不正行為に対する対処療法的な対応」を不正行為がなされた原因と指摘した。
<ホシザキの対応>
第三者委員会の調査報告を受け、ホシザキでは以下3つの改善方針を掲げ、内部統制報告書に記載した。
親会社主導によるガバナンス再構築に注力する。
改善方針 |
対応する原因 |
改善策 |
①目標達成プレッシャーをはじめとした組織風土の改善 | ・国内販売会社内における目標達成プレッシャーの増幅 | 1.会社間及び関係者間でのコミュニケーション強化(納得感のある目標設定とプロセス重視を標榜)
2.組織風土の改善や営業の基本の習得にも十分配慮した研修体制の構築
3.一定役職者以上の人材について販売会社間の人材交流の段階的な促進 |
②販売会社管理体制の強化に向けて、権限と責任の所在明確化 | ・取締役の過剰な兼務と販売会社間の競争促進
・国内販売会社管理部門の脆弱化 ・経営人材育成の不奏功 ・グループ内部統制の脆弱さ |
4.販売会社次世代教育体制の整備(長期的・短期的視点での取り組み)
5.グループ会社ガバナンス体制及び手法の見直しと強化
6.営業と管理のバランスを意識したグループ内部統制の強化 |
③十分ではなかった内部通報や不正発生時のリスク管理意識の向上 | ・不正行為に対する対処療法的な対応 | 7.内部通報取扱や不正発生時のスキーム再構築(再発防止、組織的要因などを強く意識)
8.内部通報の検討時メンバーを再検討し、案件に適切な人材のアテンド実現 |
8つの改善策を元に、親会社主導でより具体的な施策を設定。超短期・短期・中期と時間軸を設けて、速やかに、かつ継続的に実施することで、ガバナンスの再構築を目指す。
海外においても、「海外拠点の経理機能適正化」「ES調査の検討・段階的試行」「地域別内部統制強化方法の最適化」「コンプライアンス・リスク管理委員会による海外対応強化」を挙げており、短期間で実施する。
(2)国内
(同社資料より)
<主な重点項目>
◎売上成長
人材育成や営業サポートに関する仕組みの強化による営業スタッフとサービススタッフの連携強化、食品領域の開拓や重要性の増しているHACCP対応の支援強化などを通じた新規市場の開拓を進める。
また、製販連携やコンサル室との連携強化による戦略製品の拡販強化、自治体営業や設計力強化による物件開拓の更なる強化にも取り組む。
◎収益性改善
販売会社間、438ヶ所の営業所間、個人間の格差を解消し、地域密着販売の採算強化を図ることで販売会社の損益分岐点比率を中期的に引き下げていくことを目指す。
また、サービス・営業ともにシステム導入による徹底的な生産性改善を図るほか、物件についても原設計受注や他社仕入品の原価低減などによる採算性改善に取り組む。
◎製造事業
戦略製品の新規開発を強化するほか、新製品やモデルチェンジの際には更なる原価低減を図る。2018年に立ち上げた原価企画部が商品構想の初期段階から様々なアイデアを収集し、試作図出図前段階での原価低減を実現する。
また、設備の自動化推進、小集団活動の積極的な活用による製造生産性の改善にも取り組むほか、経営人材の育成強化のためマネジメント研修を開始している。
(3)海外
(同社資料より)
<主な重点項目>
◎米州
製品開発フローの改善等による品質改善を進めるほか、
個社ごとには、冷蔵庫の拡販及び採算性改善(ホシザキアメリカ)、北米の深掘と海外市場開拓(ランサー)、生産能力増強と効率化(マコム)、自社ブランド製品の拡販強化(ジャクソン)に取り組む。
ホシザキアメリカでは環境配慮型冷蔵庫「STEELHEART」シリーズをリリースした。
(トピックス)
◎アメリカ大規模見本市でキッチンイノベーションズ賞を受賞
2019年2月にフロリダ州オーランドで開催された見本市「The NAFEM show」において、ランサーの新型ディスペンサがキッチンイノベーションズ賞(生産性向上や食品安全等に進歩をもたらす革新的な製品を評価する賞)を受賞した。
2018年のホシザキアメリカの新製氷機に続き、ホシザキとしては2度目の受賞となる。
【KM edge (ホシザキアメリカ)】 |
【TWIN POUR (ランサー)】 |
*ホシザキアメリカの新製氷方式製氷機「KM edge」が2018年に全米レストラン協会主催のキッチンインベーションズ賞を受賞した。
*エネルギー効率を高めた製氷方式と設計により、より少ないサイクルで氷の生産量を増加させる。
*2018年10月発売開始 |
*ランサーの新ディスペンサ「TWIN POUR」が、2019年に 同じくキッチンイノベーションズ賞を受賞した。
*1台で2人の顧客に同時抽出が可能。これにより、省スペース化と効率化が期待される。
*広告等が表示可能な32インチディスプレイと、ドリンクやフレーバーを選択するタッチスクリーンを搭載している。
*2018年11月発売開始 |
◎欧州
OEMを活用した低コスト冷蔵庫の拡販、製販の機能最適配置のほか、ノンフロン製氷機などの低環境負荷製品を武器に南欧・中東といった新規市場の開拓にも注力する。
◎中華圏
成長市場に対し、営業スタッフを増員し営業・サービス体制を強化するとともに、日系チェーンの積極開拓を図る。
低コスト製氷機の開発・拡販を進め、2019-2020年には中・高価格帯で市場シェアNo.1になることを目標としている。
2019年5月には海外初となる食器洗浄機の自社製品を投入し、製品ラインナップ拡充により更なる市場開拓を進める。
◎東南アジア
サービス体制を一段と強化する。
地方への展開などによる新規チャネル開拓と直販を強化するほか、食器洗浄機や低コスト製氷機を投入し、ラインアップを強化する。
また、内部統制の強化についても図っていく。
◎インド
ウエスタンから開拓余地の大きいインド国内向けに加え、海外への製品輸出による市場開拓を図る。
ステンレス冷蔵庫の更なる拡販のほか、低コスト冷蔵庫および製氷機自社生産の準備をホシザキと共に行っていく。
5.今後の注目点
第1四半期は不適切取引対応のために売上、利益とも影響を受けたこともあり、増収減益でかつ国内減収ではあったが、売上高および営業利益の進捗率はほぼ例年同程度である。第2四半期以降の国内売上の動向を注目したい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成>
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 15名、うち社外2名 |
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2019年4月3日
<基本的な考え方>
当社は、経営の透明性、効率性の向上を図るため、株主をはじめとするステークホルダーの立場にたって企業収益、価値の最大化を図ることをコーポレート・ガバナンスの基本的な方針及びその目的としております。
<実施しない主な原則とその理由>
原則 |
実施しない理由 |
【原則1-2 株主総会における権利行使】
補充原則1-2-4 |
当社は、総議決権に対する議決権行使比率が70%以上であることから、議決権行使の電子化、招集通知の英訳については実施しておりませんが、今後、株主構成等を踏まえて検討を継続いたします。 |
【原則1-4 政策保有株式】 | 当社は、政策保有株式を原則として保有いたしません。
保有する場合は、事業戦略、業務提携、取引関係の維持・強化等を保有目的とし、毎年、取締役会において、個別の株式について保有の適否を検証します。また、同株式に係る議決権行使は、当該議案が、当該企業の企業価値の向上、また、株主価値の向上につながるか否かを検討して議決権を行使いたします。 |
【原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表】 | 現状では、法定書類等の他に、半期に一度、株主に対する事業内容の説明を、任意に「グループ報告書」により行っております。また経営戦略、経営計画、及び収益力・資本効率等に関する目標の具体的な提示、説明等に関しては、今後の課題と捉え、適時適切な開示を検討してまいります。 |
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>
原則 |
開示内容 |
【原則4-11 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】
補充原則4-11-1
補充原則4-11-3 |
当社取締役会は、当社の業務に精通した社内出身の取締役と、法務、財務、会計その他の高度の専門性を有する社外取締役で構成とすることとしており、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性が確保されるよう努めています。この方針に基づき、現在、取締役会は、監査等委員でない取締役12名、監査等委員である取締役3名で構成されています。このうち、独立社外取締役2名の経歴は、公認会計士及び弁護士であります。また、事業規模や業容等と照らし、適正な規模での取締役会構成に努めており、定款において、監査等委員でない取締役の人数については15名以内、監査等委員である取締役の人数5名以内と定めています。
当社は、取締役会における「議論・検討の実効性」、「監督機能の実効性」、「リーダーシップの実効性」、「環境整備状況の実効性」、「株主・ステークホルダーへの対応の実効性」、「取締役会の構成等に関する実効性」の6項目について、全取締役(監査等委員である取締役を含む)13名に対し27問のアンケートを実施し、その結果等を踏まえて、取締役会において審議した結果、2018年度に開催した取締役会は、前記6項目すべてにおいて良好な水準で機能していたと判断いたしました。 |
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】 | 当社は、持続的な成長と長期的な企業価値向上のためには、株主・投資家と積極的な対話を行い、その意見や要望を経営に反映させ、当社を成長させることが重要と認識しています。中長期的な企業価値向上の投資方針を有する主要な株主・投資家の皆様との対話については、以下の基本方針を定めています。
(1)株主・投資家との対話全般について、IR担当取締役が統括しています。 (2)IR担当取締役は経理部、人事部、総務部等のIR活動に関連する部署を統括し、日常的な部署間の連携を図っています。 (3)経理部にて、投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材を積極的に受け付けるとともに、決算説明会を半期に1回開催し、社長、IR担当取締役が説明を行っています。 (4)投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材等の結果は、 IR担当取締役が必要に応じ、取締役会へフィードバックしています。 (5)投資家との対話の際は、決算説明会やスモールミーティングを問わず、当社の持続的成長、中長期における企業価値向上に関わるテーマを対話の軸とすることにより、インサイダー情報管理に留意しています。 |