ブリッジレポート:(9600)アイネット ワンストップITサービスを展開

2019/07/18

 

 

坂井 満 社長

株式会社アイネット(9600)

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表取締役社長

坂井 満

所在地

横浜市西区みなとみらい三丁目3番1号 三菱重工横浜ビル23階

決算月

3月

HP

https://www.inet.co.jp/

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,171円

16,242,424株

19,019百万円

10.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

43.00円

3.7%

100.01円

11.7倍

903.04円

1.3倍

*株価は 6/26終値。発行済株式数、ROE、DPS、EPS、BPSは19年3月期決算短信より。

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

24,434

1,918

1,838

1,114

69.70

34.00

2017年3月(実)

24,617

1,992

1,939

1,314

82.68

36.00

2018年3月(実)

25,615

2,081

2,051

1,368

86.06

38.00

2019年3月(実)

27,591

2,345

2,347

1,521

95.72

40.00

2020年3月(予)

30,000

2,450

2,390

1,590

100.01

43.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。(以下、同様)

 

 

株式会社アイネットの会社概要、中期経営計画の内容、業績動向、坂井社長へのインタビューなどをご紹介致します。

 

 

―目次―

今回のポイント
1.会社概要
2.業績動向
3.中期経営計画
4.坂井社長に聞く
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 国内最高レベルの安全性を備えた自社データセンターと長年培ったシステムの運用管理を基盤に、システムの企画・開発から運用・監視、印刷・封入封緘、先進のクラウドコンピューティングまで、顧客の様々なニーズに最適なソリューションをワンストップで提供。垂直統合と水平展開による強力な事業展開力、強固な顧客ポートフォリオに支えられた安定したビジネスモデルなどが強み。 
  • 2020年3月期の売上高は前期比8.7%増の300億円、営業利益は同4.4%増の24億円の予想。情報処理サービス、システム開発サービスは増収増益。販管費も増加するが増収効果で吸収し増益を確保。売上は9期連続増収で過去最高を更新。利益は10期連続増益で前期に続き過去最高更新へ。配当は前期比3円増配の43円/株を予定。8期連続増配。予想配当性向は43.0%。 
  • 「持続的成長を可能にするエクセレントカンパニー」を目指す第1ステップとして、今期をスタートとし3年後の2022年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、遂行中である。企業価値向上と事業規模拡大を目指し、「事業戦略計画」「投資戦略計画」「ESG取組計画」の3計画を推進。今中計では売上高332億円を、2025年3月期を最終年度とする次期中計では売上高500億円の達成を目標とし、その後も更なる成長を追求していく考えだ。 
  • 坂井社長に自身のミッション、自社の強み・特長、株主・投資家へのメッセージなどを伺った。「当社ならではの強みを活かし、「one inet」で更なる成長を目指していくので、是非中長期の視点で応援していただきたい。」とのことだ。 
  • 同社は目標とする経営指標として「売上高」、「営業利益」、「営業利益率」および「ROE」を挙げている。このうち、売上高、営業利益は今期ともに過去最高を更新する見込みで、ROEも10%で安定的に推移しており、良好な成果を上げていると言えよう。 
  • 一方売上高営業利益率は15年3月期の6.9%を直近のボトムとして前期8.5%まで上昇してきてはいるものの、今期以降中期経営計画期間中は、8.2%での推移を見込んでいる。これは今後の更なる成長に向けた設備投資・人材投資・研究開発を今まで以上に強化するためということである。今後は、坂井社長がインタビューの中で述べているように、こうした投資の果実として、より収益性の高い「稼げる会社」に進化していけるのかを注目したい。 
  • 加えて、データセンターサービスおよびクラウドサービスの売上を同社では開示していないが、過去10年でゼロから一定程度のボリュームまで伸ばしてきた実力と、クラウドサービス利用顧客約1,400社という実績をベースに、「one inet」の下、どのようなサービスビジネスが展開されていくのかにも期待したい。 

1.会社概要

国内最高レベルの安全性を備えた自社データセンターと長年培ったシステムの運用管理を基盤に、システムの企画・開発から運用・監視、印刷・封入封緘、さらには先進のクラウドコンピューティングに至るまで、顧客の様々なニーズに最適なソリューションをワンストップで提供している。垂直統合と水平展開による強力な事業展開力、強固な顧客ポートフォリオに支えられた安定したビジネスモデルなどが強み。

 

【1-1沿革】

自家用車の普及が急速に進む中ガソリンスタンドも増加することが見込まれる一方で、当時のガソリンスタンドでは、売掛管理、販売管理、顧客管理などを確実・効率的に処理することは難しく、経営者は頭を抱えていた。
これを解決する仕組みを導入すれば、大きなビジネスチャンスが生まれると考えた外資系石油会社出身の池田典義氏(現:株式会社アイネット取締役会長)は、1971年、ガソリンスタンドの受託計算処理を目的として株式会社アイネットの前身となる(株)フジコンサルトを設立した。
池田氏の想定通り、出光興産(当時)を皮切りに、昭和シェル石油、モービル石油、キグナス石油、三井石油など石油元売り各社の地域または全国指定計算センターに指名され、業容は急速に拡大。1997年に東証2部に上場した。
その後は、M&Aも含めて石油販売業以外にもフィールドを拡張し、データセンター、金融、製造、小売・流通など現在の主力分野でも存在感を高めていく。2006年には東証1部銘柄に指定された。
その後もドローンを始めとした新たな成長フィールドの開拓を進めている。

 

【1-2 企業理念】

2021年に創立50周年を迎えるにあたり、持続的成長が可能な企業を目指し、さらなる成長をしていくためには役員および社員が全員で、いかなる行動を起こす場合においても基準となる共通の価値観を共有することが必要であると考え、グループの理念となる「inet Way」を制定した。

 

「inet Way」は、「企業理念」・「企業ビジョン」・「経営方針」・「中期経営計画」の4層から形成され、その土台には企業人として守るべき「企業行動憲章」と、「inet Way」を達成するための原動力となる「行動指針」がある。

 

(同社資料より)

 

「inet Way」では、事業規模を拡大していくとともに、揺るぎない事業成長基盤を作り上げていくために、新たに「持続的成長を可能にするエクセレントカンパニーへ~keep growing while changing~」という経営方針を定めた。
「会社も社員も、常に時代や時流の変化を鑑みながら自ら変化していくことで、成長を続けていかなければならない」という想いを込めている。

 

 

企業理念

情報技術で新しい仕組みや価値を創造し、豊かで幸せな社会の実現に貢献する。

企業ビジョン

アイネットグループは、「創造」「挑戦」「信頼」をベースに持続的な企業価値向上を目指し、社会とステークホルダーに貢献する企業として成長します。

 

integrated

知恵の価値を共有し、情報化社会をリードする企業

 

networking

技術と技術、心と心(人と人)、個人と社会のネットワーキングづくりを目指す企業

 

energy

持続可能な社会の実現に向けた創造性とイノベーションに挑戦する活気あふれた企業

 

technology

情報技術で豊かで幸せな社会の実現に取り組む企業

経営方針

持続的成長を可能にするエクセレントカンパニーへ~keep growing whilechanging~

 

中期経営計画については後述する。

 

【1-3市場環境】

同社では、主要分野及び今後の注力分野における業界環境、事業環境を以下のように認識している。

 

(同社資料より)

 

同社が強みとするデータセンター市場、注力しているドローン市場、共に今後も順調な拡大が見込まれている。

 

(同社資料より)

 

石油元売り企業が統合・再編によって1990年当時の15社から5社に集約されたこともあり、国内のサービスステーションも1990年ごろをピークに、現在はその半分まで減少している。
ただ、そうした中でも同社は、競合他社が撤退していることもあり、これまでに培ってきた実績や実力をベースに、新規顧客を獲得して更にシェアを向上させ、ナンバーワンのポジションを磐石なものとしている。
クレジットカードや売上データの相互連携などのシステム開発案件が多く発生していることに加え、顧客獲得のための大きな投資も不要で、同社にとってはフォローの風となっている。

 

また、クラウド、AI、IoT、RPAなどビジネスをより効率化する技術や手法の登場、浸透もあり、石油関連以外でもほぼ全ての分野でシステム投資需要が拡大しており、同社を取り巻く事業環境は良好である。

 

【1-4 事業内容】

国内最高レベルの安全性を備えた自社データセンターと長年培ったシステムの運用管理を基盤に、システムの企画・開発から運用・監視、印刷・封入封緘、さらには先進のクラウドコンピューティングに至るまで、顧客企業の様々なニーズに応じた最適なソリューションをワンストップで提供している。
主な事業は「情報処理サービス」「システム開発サービス」「システム機器販売」の3つ。

 

 

(1)情報処理サービス
「石油販売業、小売流通業、金融業等の勘定系・情報系処理受託」、「クレジットデータの与信管理並びにカード会社への納品代行」、「請求書、販促DM等の印刷、加工並びに発送処理」、「ITマネージドサービス」、「クラウドサービス」の5つのビジネスから構成されている。

 

◎サービスステーション向け受託計算・決済処理
創業ビジネスであるサービスステーション(ガソリンスタンド)の受託計算及び決済処理においては、ガソリンスタンドでの決済手段のうち、クレジットカードと売掛決済に関するサービスを提供している。
クレジットカード決済においては、ネットワークを通じて同社のデータセンターで処理を行っている。
売掛データはガソリンスタンドに代行して、数量、単価、値引き等、さまざまな計算を行い、月末には請求書を作成して発送している。
国内のガソリンスタンドのうち約33%が同社のシステムを利用しており、トップシェアである。
クレジットカードや売掛金処理で培ったノウハウ、実績、事業基盤を活用し、金融、小売等、他業種における決済処理へと横展開を進めてスケールを拡大してきた。

 

◎プリント・メーリング
ガソリンスタンドにおける請求書発送業務を手掛けてきた経緯から、クレジットカード利用明細、納税通知書、選挙はがき等の帳票印刷、ダイレクトメール、請求書などのプリント及び封入封緘なども行っている。
主要顧客であるクレジットカード会社のデータ入力・カード申込受付・カード利用照会・コールセンター業務を受託するBPO(Business Process Outsourcing)業務も手掛けている。

 

◎データセンターサービス
情報処理サービスにおいて同社が近年最も注力し、強みを発揮しているのが「データセンターサービス」および「クラウドサービス」だ。いずれも業界に先駆けていち早く育成に取り組んだ。
データセンターは、北海道(1棟)、横浜(4棟)、長野(1棟)、大阪(1棟)と全国4か所に7棟を有し、相互のバックアップを行い災害にも備えている。

 

◎クラウドサービス
データセンタービジネスで培った事業基盤を活用してスタートした「クラウドサービス」では自社サービスのみではなく、競争力があり、顧客にとって有用なアプリケーションを提供している様々な企業と提携して、プラットフォームに搭載。
顧客満足度を高めることで、安定したストック型ビジネスとして確立している。

 

(2)システム開発サービス
長年培った信頼関係をベースに、業務アプリケーション開発、パッケージソフト開発、汎用ツール開発、制御組込、宇宙開発など幅広い分野において顧客のシステム設計、構築を行っている。
顧客業種は、銀行・金融機関、ガソリンスタンド、コンビニ・スーパー、宇宙開発、建設・建築、航空・旅行、官公庁・自治体、医療、製造と極めて幅広い。

 

(3)システム機器販売
顧客へのシステム導入に際して必要なPC、POS、サプライ品、パッケージソフトを仕入れ・販売するほか、機器やソフトの操作指導も行っている。

 

【1-5 特長・強み】

(1)垂直統合と水平展開による強力な事業展開力
ガソリンスタンドの受託処理を祖業とする同社では、受託処理に次いで、システム導入のための設計・コンサル、システム構築、自社データセンターの運営、請求書発送のための帳票印刷・封入封緘、コールセンターやBPOといった業務を垂直統合し、ガソリンスタンド向けビジネスにおいて基盤を構築・強化し、事業フィールドを拡張してきた。

 

加えて、そこで培ったノウハウや技術力をベースに、ガソリンスタンド以外の流通、製造、金融機関など他業種に対象を広げてシステム構築を受託したり、データセンターを外販したりするなど、水平展開にも取り組み多種多様な顧客を開拓してきた。
事業フィールドと顧客ベースの拡張、この強力な事業展開力は同社を評価するうえで欠くことのできない重要なポイントである。

(同社資料より)

 

(2)強固な顧客ポートフォリオに支えられた安定したビジネスモデル
上記の強力な事業展開力によって獲得した顧客数は4,000社を超える。業種も様々で、多種多様な企業で構成された顧客ポートフォリオに対し、クラウドデータセンターを軸として、顧客のビジネス形態に合わせてさまざまなサービスを展開しているため顧客や業界の浮き沈みに影響されない安定したビジネスモデルを確立している。

 

(2)ワンストップサービスの提供
幅広い業種、業態の顧客に対し、ITに関わるさまざまなサービスをワンストップで提供できる点も強みである。

 

例えば顧客の1社であるオリックス銀行では、カードローン業務において、広告・貸付・入金・回収以外すべてのプロセスをアイネットが担当し、データセンター上で運用管理を行っている。

 

(同社資料より)
このように、システム開発、データセンター、システムの構築・運用、多様なクラウドサービスの提供、請求書や各種帳票の印刷・封入封緘、発送など、ITに関わる上流から下流まで、全ての工程で、セキュリティレベルの高いサービスを提供できる会社は少なく、高い顧客利便性及び顧客満足度は強固な参入障壁、強力な競争優位性に繋がっている。

 

【1-6 目標とする経営指標】

持続的な企業価値向上を目指すために、事業規模の継続的拡大を通じ、本業の成果を表す「売上高」、「営業利益」、「営業利益率」および「ROE」を重要な経営指標としている。

 

 

【1-7 ROE分析】

 

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

ROE (%)

8.8

9.4

10.7

10.4

10.9

 売上高当期純利益率(%)

4.23

4.56

5.34

5.34

5.52

 総資産回転率(回)

0.92

0.96

0.98

1.00

1.01

 レバレッジ(倍)

2.27

2.16

2.05

1.95

1.96

 

レバレッジは低下する一方、収益性、資産効率性の向上によりROEは継続的に上昇している。
今期の予想売上高当期純利益率は5.3%と前期を下回るものの、2桁のROEを維持する可能性が高い。
中期経営計画においては2022年3月期の目標ROEを11.1%としている。

 

【1-8 配当政策・株主優待制度】

将来の資金需要に備え内部留保しつつ安定的な配当を継続することを配当方針としている。
配当性向のめどは示していないが、過去数年間は40%を超しており、今期の予想配当性向も43.0%である。
また、株主優待制度を設けている。
毎年9月30日時点で1,000株以上保有の株主に年1回、保有株式数に応じたクオカードを進呈しているほか、3年以上保有の場合は1,000円分の長期保有プレミアムを受け取ることができる。
また、進呈額の10%を同社が障がい者団体等へ寄付しており、株主は社会貢献にも参加することができる仕組みとなっている。

 

 

2.業績動向

(1)2019年3月期決算概要

①業績概要                                          

 

18/3月期

構成比

19/3月期 3

構成比

前期比

予想比

売上高

25,615

100.0%

27,591

100.0%

+7.7%

+3.3%

売上総利益

6,065

23.7%

6,586

23.9%

+8.6%

販管費

3,983

15.6%

4,240

15.4%

+6.4%

営業利益

2,081

8.1%

2,345

8.5%

+12.7%

+7.1%

経常利益

2,051

8.0%

2,347

8.5%

+14.5%

+9.7%

当期純利益

1,368

5.3%

1,521

5.5%

+11.2%

+6.4%

*単位: 百万円

 

8期連続増収、9期連続増益。計画も上回る。利益は前期に続き過去最高を更新。
売上高は前期比7.7%増の275億円、営業利益は同12.7%増の23億円。
情報処理サービス、システム開発サービスは増収増益。
8期連続増収、9期連続増益で期初予想も上回った。利益は前期に続き過去最高を更新した。

 

②セグメント別動向                         

 

18/3期

構成比

19/3期

構成比

前期比

売上高

         

情報処理サービス

10,051

39.2%

10,091

36.6%

+0.4%

システム開発サービス

14,347

56.0%

16,395

59.4%

+14.3%

システム機器販売

1,216

4.7%

1,104

4.0%

-9.2%

合計

25,615

100.0%

27,591

100.0%

+7.7%

営業利益

         

情報処理サービス

996

9.9%

1,027

10.2%

+3.1%

システム開発サービス

1,032

7.2%

1,256

7.7%

+21.7%

システム機器販売

52

4.3%

61

5.6%

+17.3%

合計

2,081

8.1%

2,345

8.5%

+12.7%

*単位:百万円。)営業利益については同社独自の簡便法で作成しており、数値は参考値(目安)。営業利益の構成比は営業利益率。

 

(情報処理サービス)
データセンターを活用したITマネージドサービスやクラウドサービスを中心に新規大型案件を獲得するなど好調に推移したものの、一部顧客におけるBPOサービス見直しに伴い受託量が減少した。

システム開発サービス
石油業向け、流通サービス業向け等のシステム構築が好調に推移した。

 

(システム機器販売)
システム構築に付随した機器販売等は堅調に推移したものの、前年度にあったガソリンスタンド向けPOS機器販売等大型案件の反動減の影響で減収となった。

 

③財務状態とキャッシュ・フロー
◎主要BS                                     

 

18/3月末

19/3月末

 

18/3月末

19/3末

流動資産

9,535

9,997

流動負債

6,906

7,933

現預金

3,303

3,299

仕入債務

977

1,075

売上債権

5,297

5,836

短期借入金

2,181

2,329

固定資産

16,471

18,518

固定負債

5,593

6,224

有形固定資産

12,232

13,482

長期借入金

4,619

5,471

投資その他の資産

3,268

3,816

負債合計

12,500

14,158

資産合計

26,007

28,515

純資産

13,507

14,357

     

利益剰余金

7,175

8,077

*単位:百万円。

   

負債純資産合計

26,007

28,515

     

借入金合計

6,800

7,801

 

データセンターの設備増強に伴う有形固定資産(建物及び構築物)の増加等で資産合計は前期末に比べ25億円増加し285億円。連結子会社株式取得及び上記設備増強に伴う借入金の増加等で負債合計は同16億円増加の141億円。
利益剰余金の増加等で純資産は同8億円の増加。
自己資本比率は前期末より1.6ポイント低下し、50.3%となった。

 

◎キャッシュ・フロー                         

 

18年3月期

19年3月期

増減

営業CF

2,937

3,052

+115

投資CF

-1,223

-3,074

-1,850

フリーCF

1,713

-21

-1,734

財務CF

-1,330

17

+1,348

現金同等物残高

3,303

3,299

-3

*単位:百万円。

 

税金等調整前当期純利益の増加等で営業CFのプラス幅は拡大。
有形固定資産の取得による支出が増加し投資CFのマイナス幅は拡大し、フリーCFはマイナスに転じた。
借入金の増加で財務CFはプラスに転じた。
キャッシュポジションはほぼ変わらず。

 

④主なトピックス
◎マイクロデータセンター事業を開始
2019年3月、マイクロデータセンター事業をスタートさせた。

 

近年、取り扱うデータ量が爆発的に増加していることから、データをその発生する場所や顧客の近くで処理することによって、データ処理時間やネットワークの負荷を低減する手法であるエッジコンピューティングへの関心が高まっているが、マイクロデータセンターはその実現手法の一つとして注目されている。

 

同社では千葉県の君津市にある自社ドローン飛行場にマイクロデータセンターを設置し、ドローンで取得した映像や飛行データ等をここで処理する。また、必要なときに必要な情報だけネットワークを通じてクラウドデータセンターに送ることも可能。
今後は、ドローン飛行場に加え、建築・土木現場、工場・プラント内、農業の圃場、交通システムなどへの設置を目指していく。

(同社資料より)

 

◎BIM導入支援サービスの開始
2019年3月、BIM導入支援サービスを開始した。

 

これは、同社、建材機器レンタル最大手のアクティオ、BIM(Building Information Modeling)コンサルタント事業で最大手のペーパーレススタジオジャパンの3社で取り組んでいる先端建設プロセスレンタル事業のサービスの第1弾。
建設業界は慢性的な人手不足、ベテラン作業員の減少から、設計や施工、自動化、効率化を実現するサービスが求められているが、その解決策として現在業界で推進しているのがBIMの導入である。

 

しかし、BIMの導入には、高価なソフトウエアやハイスペックな機器、稼働環境、IoT機器や高度な人材の確保など、中堅・中小の建設会社にはハードルが高く、業界内の浸透は進んでいない。
今回提供するサービスは、BIM導入においてこうした課題を解決するもの。
BIMパッケージのクライアントに仮想デスクトップでサービスするとともに、BIMの教育動画配信サイトを同社のクラウド基盤上で提供する。ドローンを利用して、工事進捗管理や保守メンテナンスができるドローンパイロットの育成もサポートする。

 

◎高精度のAITクラウドサービスを共同開発
2018年8月、AIソリューション企業である東大ベンチャーのSPJと共同で、高精度のAITクラウドサービスを共同開発していくこととし、共同開発の一つとして、高精度AIチャットボットクラウドサービスの提供を開始した。

 

例えば、就職活動中の学生の質問に対して、ロボットのAIキャラクターが企業の人事担当者の代わりに24時間対応でチャット形式で答えるような仕組みを容易に作ることができる。
クラウドを利用しているため、いつでもどこでも利用が可能であり、質問と答えは同社のデータセンターに蓄積される。

 

◎ダイバーシティ推進室を設置
2018年10月、多様化する社員のニーズに的確に応え、女性活躍や働き方改革を、より迅速に遂行していくためにダイバーシティ推進室を新設した。

 

「あなたもわたしもみんなが活きる」をキャッチフレーズに、社内外、地域で活動していく。
ジェンダーフリー、ハンディキャップ、シニア人材、外国籍人材、デジタルネイティブなど幅広く焦点を当てる。
時代の流れを受け入れて、誰もが活躍できる環境を整えて、持続的な企業の成長につなげていく。

 

(2)2020年3月期業績見通し

①業績見通し                                         

 

19年3月期

構成比

20年3月期(予)

構成比

前期比

売上高

27,591

100.0%

30,000

100.0%

+8.7%

売上総利益

6,586

23.9%

7,330

24.4%

+11.3%

販管費

4,240

15.4%

4,880

16.3%

+15.1%

営業利益

2,345

8.5%

2,450

8.2%

+4.4%

経常利益

2,347

8.5%

2,390

8.0%

+1.8%

当期純利益

1,521

5.5%

1,590

5.3%

+4.5%

*単位:百万円。予想は会社側発表

 

9期連続増収、10期連続増益。売上は過去最高を更新。利益も連続して過去最高を更新。
売上高は前期比8.7%増の300億円、営業利益は同4.4%増の24億円の予想。
情報処理サービス、システム開発サービスは増収増益。
販管費も増加するが増収効果で吸収し増益を確保。売上は9期連続増収で過去最高を更新。
利益は10期連続増益で前期に続き過去最高更新へ。
配当は前期比3円増配の43円/株を予定。8期連続増配。予想配当性向は43.0%。

 

②セグメント別動向                         

 

19/3期

構成比

20/3期(予)

構成比

前期比

売上高

         

情報処理サービス

10,091

36.6%

10,880

36.3%

+7.8%

システム開発サービス

16,395

59.4%

18,080

60.3%

+10.3%

システム機器販売

1,104

4.0%

1,040

3.5%

-5.9%

合計

27,591

100.0%

30,000

100.0%

+8.7%

営業利益

         

情報処理サービス

1,027

10.2%

1,058

9.7%

+3.0%

システム開発サービス

1,256

7.7%

1,331

7.4%

+5.9%

システム機器販売

61

5.6%

59

5.8%

-2.5%

合計

2,345

8.5%

2,450

8.2%

+4.4%

*単位:百万円。営業利益については同社独自の簡便法で作成しており、数値は参考値(目安)。営業利益の構成比は営業利益率。

 

(情報処理サービス)
データセンタービジネスやクラウドサービスが好調。先行投資・ライセンス償却・研究開発に対応する原価も含まれるが、今期も増収増益。

 

システム開発サービス
システム開発需要増は2019年も継続し、増収増益。

 

 

3.中期経営計画

(1)今回の中期経営計画の位置づけ
同社では経営方針に掲げた「持続的成長を可能にするエクセレントカンパニー」を目指す第1ステップとして、今期をスタートとし3年後の2022年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、遂行中である。
企業価値向上と事業規模拡大を目指し、「事業戦略計画」「投資戦略計画」「ESG取組計画」の3計画を推進。
今中計では売上高332億円を、2025年3月期を最終年度とする次期中計では売上高500億円の達成を目標とし、その後も更なる成長を追求していく考えだ。

 

(2)経営戦略
基本となる経営戦略は、顧客との絆をより強固にする「守り」と、新たな市場領域やサービスを開拓する「攻め」のバランスの重視。
顧客第一の考え方の徹底、付加価値のある提案、成長が見込める商品・サービス開発、人材への投資に取り組む。
特に、顧客の期待を超えた付加価値の高い提案が可能な水準まで能力を磨き上げる。

 

全社重点施策①:パートナー戦略とチャネル戦略
自社のみで全てのビジネスを進めることは難しくなっているため、システム開発、クラウドサービス、販売、OEMにおいて強みを持つ各パートナーとの連携を深め、トップラインの拡大、サービスラインナップ拡大、販売拡大、事業領域の拡大に努める。

 

全社重点施策②:プラットフォーマーとして『クラウド基盤(NGEC)+アプリ』のサービス化
同社の武器であるクラウド基盤上に、自社サービスだけではなく、顧客にとって有用な様々な優れたアプリケーションを搭載し、プラットフォーマーとしての強み・価値を格段に高める。

 

全社重点施策③:『企画からBPOまでの一貫ビジネスにおけるクロスセル』のさらなる推進
幅広いサービスを連携させてワンストップで提供するという特徴を活かし、顧客の企画段階から、システム開発、同社データセンターでの運用、クラウド運用、封入封緘作業まで、顧客の業種、業態関係なく、間口の広い営業活動を展開し、部門間クロスセルをさらに活性化させる。

 

(3)事業戦略計画
①情報処理サービス

分野

施策

SS・受託計算・決済

*処理SS数シェア率アップ(33%⇒中長期 50%超へ)

*全国営業支店網を活かした非石油ビジネスの拡大

*LPG販売業向けサービスの拡販

クラウドサービス

*クラウドサービス基盤(NGEC)の販売拡大

*販売チャネルの強化・拡大(リセラーの増加/OEMモデルの展開)

プリント・メーリング/BPO

*提供サービス範囲の見直し、拡大

*BPOサービス事業の積極的拡大

DXソリューション

*ドローンを活用したBIM、CIMビジネスの早期収益化

*中堅、中小企業向けAIクラウドサービスの拡充と販売拡大

*IoTビジネスモデルの確立と展開

 

国内のガソリンスタンドは減少傾向が続いているが新規SSを獲得して、シェアを向上させ、ナンバーワンポジションを継続してきた。引き続き、守りと攻めの新たな施策を進め更なるシェアアップを図る。
クラウドサービス拡大のために販売チャネルの増加、OEMモデル展開が必要と考えている。

 

②システム開発サービス

分野

施策

金融

*金融市場のニーズ変化に合わせた金融パッケージの強化、見直し

流通・サービス

*流通業向け販売管理業務ノウハウを活かした競合差別化(業種テンプレート導入ビジネスの展開)

*AS400レガシー資産のモダナイゼーションのノウハウ活用/受注拡大

宇宙

*ニュースペース企業、自社衛星開発ベンチャー企業との取引先拡大で事業範囲拡大

新市場・サービス

*新たなビジネス市場への参入、展開「駐車場」関連、「レンタル」関連

 

「宇宙」においては、ベンチャー数社との取引を始めており、新たなビジネスモデルを構築していく。
新たなサービスマーケットとしては、シェアビジネス、レンタルビジネスといった、今後、市場改革が求められていく新たな分野への開拓を進める。

 

(4)投資戦略計画

分野

施策

人材育成

*新卒採用人数の目標達成への施策実行、中途採用戦略の実行

*各レベル層の人材力アップに向けた教育研修制度や内容の強化

データセンター

*第1および第2データセンター設備更新の計画的遂行

*データセンター増床、増設計画の方針検討

研究開発

*NGECを進化させた次世代クラウドプラットフォーム開発

*データ分析、データサイエンスビジネスの展開

*人工衛星データのビジネス活用

海外事業

*海外進出形態検討(東南アジアの海外拠点開設予定)。得意分野と先端技術によるサービス展開を目指す

 

優秀な人材の確保をはじめ、人材育成やキャリア形成の取り組みには、計画投資ときめ細やかなPDCAを実施していくことで、社員の成長や、自己実現と会社成長が一致させることが可能という前提で進めていく。
差別化や競争力強化のために、今まで以上に研究開発に投資する。対象は、現在のクラウド基盤をさらに進化させた次世代クラウドプラットフォームの開発、急速な成長が期待されるビッグデータの解析や分析といったデータサイエンスビジネス等。

 

(5)ESG取組み計画

ESGの中でも「S:社会」に力点を置いて、健康経営およびダイバーシティの推進を掲げ、以下のような取り組み姿勢を宣言している。
「アイネットは、社員が経営における最大の財産であるという考えのもと、社員が心身ともに健康であることこそが、持続的な企業価値向上の源泉であると考え、健康経営を推進します。そして、社員のみんなが安心して力を発揮できる労働環境をつくるため、ワークスタイルの変革を推進します。」

 

具体的な取り組み実績を評価され、以下の公的な認定を受けている。

制度

認定時期

概要・取り組み

健康経営優良法人「ホワイト500」

(経済産業省が実施する「健康経営優良法人認定制度」の大規模法人部門の通称)

2019年2月

*健康経営を宣言

*定期健康診断の受診の徹底、及び受診結果に基づいたフォロー

*産業医、健康支援室設置

*メンタルヘルスマネジメント検定試験取得奨励

えるぼし

(女性活躍推進法に基づく認定制度で、一定の基準を満たし、女性活躍推進に関する状況などが優良な企業に発行される認定マーク)

2018年10月

*女性比23.0%

*新卒女性採用比率40%以上

*女性委員会の設置

*ダイバーシティ推進室の設置

*女性取締役の就任(11名中2名)

*かながわ女性の活躍応援団

くるみん

(一定の要件を満たして申請した場合に、厚生労働大臣から子育てサポート企業として認定を受けた企業に与えられるマーク)

2012年5月

*短時間勤務制度の拡充(小学3年まで)

*定時退社日の設置

*配偶者の出産休暇

*メモリアル休暇

*在宅勤務制度

*ジョブリターン制度

 

この他、障がいのある方に活躍の場を提供し、自立・自律を支援することを目的に設立した特例子会社(厚生労働大臣認定)である(株)アイネット・データサービスでは、障がいのある方々がデータ入力、スキャニング、軽作業、名刺作成といった業務を行っている。
また、本社所在地・横浜市のオープンデータを活用して保育施設を検索できる子育て・女性活躍支援サイト「働くママ応援し隊」を開設した。

 

(6)数値目標

 

今期以降も、情報処理サービス、システム開発サービスともに順調に伸張し、連続して売上・利益ともにピークを更新する見込み。
3年間のCAGR(年平均成長率)は、売上高で6.4%、営業利益率で5.2%。営業利益率は8%台で推移。
22年3月期のROE目標は11.1%。今後も引き続きROE向上を重要な経営指標として、収益力の向上に一層注力する。

 

 

4.坂井社長に聞く

2018年6月に同社4代目の社長に就任した坂井満氏に、自身のミッション、自社の強み・特長、株主・投資家へのメッセージなどを伺った。

 

自身のミッション:「one inet」の下、新しい時代のアイネットを牽引していけるような実力、意識を持った社員を育成
当たり前のこともしれないが、「人創り」に尽きる。それも、新しい時代のアイネットを牽引していけるような実力、意識を持った社員を育成しなければいけないと強く感じている。

 

来期で50周年を迎える当社は、スタートはお客様にサービスを提供する会社だったが、多くの会社をグループ化する過程で「開発」が売上の大半を占めるようになってきた。
お客様が望むものを作る、開発するというのは大変重要なことだが、労働集約型ビジネスであり、より収益性の高い「稼げる会社」に進化していくことも重要だ。
50年の歴史の中で、開発は開発、サービスはサービスと分離してしまっている点が当社の課題だ。今後は開発もするが、サービスも提供できる会社、いわばハイブリッド型にしていく必要がある。その融合のためには社員個々人の意識改革が不可欠であり、もっと勉強し、レベルアップしなければならない。

 

有難いことにここ数年、IT業界は仕事が豊富で大変忙しいのだが、逆に目の前の仕事をこなすのに精一杯で、クラウドサービスを得意としている当社であれば、もっと伸ばしてもおかしくないのに伸ばし切れていないのが実情であると感じている。
本来であれば全員が自律的にお客様目線に立つべきなのだが、多くの会社が集まったという経緯で、残念ながら仕事に取り組む考え方にややばらつきがあり、これがもう一段成長できていない原因ではないかと思っている。

 

今回の中期経営計画で新たに「inet Way」を制定し、経営戦略に「お客様第一の徹底」を掲げたのも、全員で想いを一つにしてお客様に対応していく必要性を全社員に共有してもらいたいからだ。この想いを私は「one inet」という言葉で表している。
これが実現できれば、今以上の高い成長を必ず実現できるものと確信している。

 

「人」がすべての当社であるから、とにかく人を育てることに注力する。新しいサービスを開発できたり、提供できたりするような発想や行動力のある人材を育てるということだ。
そのためには当然社員各自で勉強、スキルアップしてもらう必要があるが、会社としては階層別教育研修、プロジェクトマネージメントのための資格試験教育、次世代の経営者育成のための社内塾など様々な場を設けている。
それに加え、健康経営、女性活躍支援など、社員が経営における最大の資産であるという考えの下、より働きやすい職場環境を作っていくことも私の重要な役割だと認識している。

 

当社の強みや特徴と今後の展開:事業フィールドと顧客層を拡張する事業展開力をベースに新たなサービスを開発
ガソリンスタンドの受託処理を祖業とする当社だが、それをベースに垂直統合と水平展開により、事業フィールドと顧客層を拡張してきた。この事業展開力が当社の大きな強みだ。
また、創業時からサービス型のビジネスを展開してきたことが、現在の当社の中心事業の一つであるクラウドサービスにつながっており、自前のデータセンターを保有し、お客様に安心してお使いいただけるという土壌が完成しているのは大きな競争優位性である。

 

今後は、そうした強みを基盤として、「one inet」として新しいサービスを開発し、更なる成長を目指していく。
私は社内で、「お客様が気付かない、びっくりするような提案をしろ」と常々言っている。
中期経営計画の経営戦略で挙げている「付加価値のある提案」とはこのことで、要するにお客様の期待を超える提案ということだ。
これだけ競争が激しい世の中では、お客様に言われたことをやるだけでは価値は生み出せない。要望にお応えするのは当たり前だが、お客様でさえも気づいていない本質的な顧客ニーズに応えていくことで初めて高い評価を頂くことができる。

 

例えば新たなサービスとしては、データセンターを自社保有している強みを活かして、集まった膨大なデータをどう活用するかというデータサイエンスビジネスに関する提案などだ。
こうした提案をするための土壌が既にできているという点も当社の強みであると考えている。

 

株主・投資家へのメッセージ
当社はお客様のデータをしっかりとお預かりするビジネスからスタートしているので、今後はそのデータをいかに活用していくかという観点で、仕組みとしてのビジネスを構築していきたいと考えている。
世の中はシェアリングエコノミー、つまり所有から利用へという流れとなっているのでそうした時流に上手く乗ることのできる会社であるという点、また約4,300社という巨大なカスタマーベースがあるので、お客様のニーズを常にいち早く捕まえることができる点もアドバンテージであると考えている。
先程申し上げた点も含めて当社ならではの強みを活かし、「one inet」で更なる成長を目指していくので、是非中長期の視点で応援していただきたい。

 

 

5.今後の注目点

同社は目標とする経営指標として「売上高」、「営業利益」、「営業利益率」および「ROE」を挙げている。
このうち、売上高、営業利益は今期ともに過去最高を更新する見込みで、ROEも10%で安定的に推移しており、良好な成果を上げていると言えよう。
一方売上高営業利益率は15年3月期の6.9%を直近のボトムとして前期8.5%まで上昇してきてはいるものの、今期以降中期経営計画期間中は、8.2%での推移を見込んでいる。これは今後の更なる成長に向けた設備投資・人材投資・研究開発を今まで以上に強化するためということである。今後は、坂井社長がインタビューの中で述べているように、より収益性の高い「稼げる会社」に進化していくことができるかを注目したい。
加えて、データセンターサービスおよびクラウドサービスの売上を同社では開示していないが、過去10年でゼロから一定程度のボリュームまで伸ばしてきた実力と、クラウドサービス利用顧客約1,400社という実績をベースに、「one inet」の下、どのようなサービスビジネスが展開されていくのかにも期待したい。

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

7名、うち社外2名

監査役

4名、うち社外4名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2019年6月26日

 

<基本的な考え方>
当社は、業務の有効性と効率性、財務報告の信頼性、関連法規の遵守を目的に、透明性を高め、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制の構築、維持を重点事項として推進しております。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

開示内容

補充原則1-2-4 【株主総会における権利行使】

当社は、議決権の電子的行使は実施しておりますが、招集通知の英訳は行っておりません。但し、決算短信およびアニュアルレポートについては英訳版を作成しております。なお、今後、海外投資家比率の上昇傾向なども踏まえ、招集通知の英訳を検討してまいります。

補充原則4-10-1【諮問委員会の設置】

当社では、独立社外取締役を2名選任しています。取締役会の過半数には達成していませんが、各独立社外取締役とも、自身の高い専門的な知識と豊富な経験を活かして、取締役会や各取締役へ意見を述べるとともに、必要に応じて助言を行っています。

また、社外監査役4名(内、独立社外監査役1名)を含めて、取締役会等で活発に議論しており、公正かつ透明性の高い体制が整備されています。

しかしながら、補充原則改訂の趣旨を踏まえて、あるべき諮問委員会の姿を検討した結果、新たに諮問委員会を立ち上げることといたしました。委員会では外部の客観的な意見を取り入れるため、構成員の過半数は独立社外役員とする予定です。

 

<各原則に基づく主な開示>

原則

開示内容

【原則1-4. いわゆる政策保有株式】

<政策保有に関する方針>

当社は、円滑な事業運営、取引関係の維持・強化などを目的として、中長期的な経済合理性や将来見通しを総合的に勘案した上で、必要と判断される場合に限り、株式を政策的に保有します。保有する株式については、事業環境の変化などを踏まえ、個別銘柄毎に保有目的、保有に伴うリスク、投資リターン等の検証を行い、縮減を念頭に置き、定期的に保有方針を検証してまいります。

 

<政策保有株式に係る議決権行使の基準>

当社は、政策保有株式の議決権行使について、当社の保有方針に適合するかどうかに加え、当該企業の経営方針や事業戦略を確認し、企業価値の向上につながるか等を総合的に勘案して、議案への賛否を個別に判断しております。

また、必要に応じて、提案内容等について発行会社と対話を行っていきます。

原則5-1 【株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、IRポリシーを制定し、基本方針・開示基準・開示方法・沈黙期間等を開示しております。また持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で株主・投資家との対話に対応しております。

当社は、企画・IR部をIR担当部署として設置し、IR担当部署を管掌する取締役常務執行役員をIR担当役員としてIR体制を整備しており、株主や投資家を含むステークホルダーに対し、IR担当が経営企画・総務・経理・人事・事業部門等と十分に連携し、経営・財務状況等を適時適切に開示しております。

株主との対話としては、本決算発表後の事業説明会、アナリスト・機関投資家向けに年2回決算説明会を開催し、代表取締役社長による説明および対話を行っております。また、機関投資家との個別面談や個人投資家向けの会社説明会等を適宜実施し、積極的なIR活動を合理的な範囲で代表取締役社長はじめ経営陣幹部やIR担当が対応しております。

対話により把握いたしました株主・投資家の意見等は、IR担当役員が適切に判断し必要に応じて取締役会等に付議・報告する等、フィードバックを図っております。

なお、対話に際しては、インサイダー情報の管理には社内規程に則り十分留意しながら実施しております。

 

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