ブリッジレポート:(4707)キタック 2桁の増益ながら、慎重な予想

2019/07/18

 

 

 

中山 正子 社長

株式会社キタック(4707)

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

サービス業

代表取締役

中山 正子

所在地

新潟市中央区新光町10-2

決算月

10月20日

HP

https://kitac.co.jp/

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

334円

5,969,024株

1,993百万円

7.3

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

5.0円

1.5%

31.60円

10.6倍

467.31円

0.7倍

*株価は7/2終値。発行済株式数、DPS、EPS、BPSは19年10月期第2四半期決算短信より。ROEは前期実績。

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2015年10月(実)

2,446

189

149

86

15.52

5.0

2016年10月(実)

2,430

226

187

126

22.56

5.0

2017年10月(実)

2,472

207

213

146

26.09

5.0

2018年10月(実)

2,473

229

252

168

30.06

7.0

2019年10月(予)

2,674

227

260

177

31.60

5.0

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。

 

キタックの2019年10月期第2四半期決算概要、通期見通しなどをご紹介します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年10月期第2四半期決算概要
3.2019年10月期業績見通し
4.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 19年10月期第2四半期の売上高は前年同期比30.9%増の20億1百万円。前期からの繰越業務18億92百万円を順調に消化した。売上総利益率は前年同期と変わらず37.2%。販管費は前年同期にあった一時的な福利厚生費増などが無くなり小幅な伸びとなったため、営業利益は同55.5%増の4億12百万円と大幅に増加した。前期からの繰越業務が比較的高水準であったことや業務の進捗率が当初の想定を上回り、売上高の増加が想定以上だったことなどから、上期業績予想を上方修正。計画に対し売上、利益ともに上回った。 
  • 上期業績予想を上方修正したが、通期予想は据え置いている。新潟県等の予算の確定・執行時期に見通しにくい部分もあり、慎重な姿勢を維持している。売上高は前期比8.1%増の26億74百万円、営業利益は同1.0%減の2億27百万円、経常利益は同3.0%増の2億60百万円の予想。引き続き、厳しい事業環境が予想されるが、主力事業である地質、防災、土木設計において培った技術力を基盤とした提案力をもって、技術部門、営業部門が連携しながら、原価管理の徹底による収益力強化対策を実行する。配当は5.00円/株の予想、予想配当性向は15.8%。 
  • 大幅な増収増益で上方修正となった上期決算であったが、通期予想に関しては期初予想を据え置いている。同社の決算期は10月であるため、年度末の3月を含む上期(11-4月)に売上、利益が偏重する傾向があり、下期は対上期比では減収、利益は損失となる期もあり、現在のところ計算上では今下期は2億近い営業損失となるが、さすがにここまでの損失にはならないのではないか。ちなみに同社ウェブサイトで確認できる決算短信で確認してみると、2003年10月期から2018年10月期の16決算期間のうち下期が赤字になったのは7回であった。まず、8月の第3四半期決算発表を、中期的には防災用シミュレーションシステムが同社基準での正確性を磨いていつごろリリースされるのかを、また「KITAC BIM/CIM」の進捗状況も注目していきたい。 

1.会社概要

新潟県を地盤とする総合建設コンサルタント。高度な専門家を擁する土木設計、地質調査、環境の3部門連携による総合的な対応力に強み。「防災のキタック」として、「解析技術の活用によるシミュレーションシステム」の開発にも注力中。

 

【1-1沿革】

1973年、技術士(※)の資格を持つ中山輝也氏(現:代表取締役会長)が地元新潟県の発展に資するために地質調査・土木設計を主業務とする北日本技術コンサルタント(株)を創業。
新潟県唯一であることに加え、総合建設コンサルタントとしての堅実かつ質の高い業務遂行能力が高く評価され着実に受注量を増大させ業容は拡大。1989年12月(株)キタックに社名変更。
1981年の福島県に続き、1990年に仙台に営業所を開設し、1995年には山形県にも事務所を設置するなど活動範囲も東北一円に拡大させ、2004年12月、JASDAQに上場した。
2017年1月、中山正子氏が代表取締役社長に就任。これまでに培ってきた事業基盤や企業力をベースに更なる成長を目指している。

 

※技術士:技術士法において、「科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価またはこれらに関する指導の業務を行う者」のこと。国土交通省の建設コンサルタント登録制度では、技術士登録をした者を常勤の技術管理者として設置することを必須条件としている。

 

【1-2 企業理念】

「優れた技術を提供し、社会の発展に寄与すること」を企業理念とし、「安全・安心で豊かな社会づくり」に貢献している。
「安全で安心な暮らしはあたり前。あたり前の幸せを未来に届ける」との想いに対する社員の意識は極めて高く、同社の特長・強みの源泉となっている。

 

【1-3 市場環境】

同社を取り巻く事業環境を見ていくうえでは、下記のような点を踏まえておく必要がある。

 

◎自然災害に見舞われやすい「日本」
日本は狭い国土に世界第4位(2017年現在)の110に及ぶ活火山を有し、世界の活火山の7%を占める火山大国であり、多くが東日本に位置している。
加えて、日本列島周辺では4枚のプレート(地殻)が分かれ、プレート同士がぶつかり合っている「日本海溝」、「南海トラフ」はプレートが下に沈み込んでいるため古来より多くの地震被害を受けてきた。
さらに、日本は中山間地の中小河川の奥地にも集落があり、古くから崩壊・地すべり・土石流の被害を受けてきた。特に北陸地方は人口が分布する地域に地すべり地形が密集し、他の地域と比較しても地すべり災害が多いエリアであり、都道府県別の土砂災害数は新潟県が圧倒的なトップとなっている。
また、集中豪雨や台風などによる洪水、土砂災害は近年その頻度及び規模が大きくなっている点も大変気がかりであり、「防災・減災」への取り組みは国民が強く望むものとなっている。

 

◎国土強靭化計画
阪神淡路大震災、東日本大震災や毎年のように各地で起こる風水害への対策として2014年6月に閣議決定された「国土強靱化基本計画」は、4年経った2018年12月に見直しが行われ、以下のような総括・今後の取り組みが示されている。

 

*本計画における取組はおおむね計画どおりに進捗したと評価できる一方、大規模地震の発生確率の増加、異常気象の頻発・激甚化等を踏まえれば、我が国において国土強靱化の取組は引き続き喫緊の課題である。

 

*近年の災害から得られた貴重な教訓や社会経済情勢の変化等を踏まえて、ここに本計画を見直し、その歩みの加速化・深化を図ることとする。

 

*南海トラフ地震、首都直下地震等によって国家的危機が実際に発生した際に我が国が十分な強靱性を発揮できるよう、本計画を基本として関係する国の他の計画等の必要な見直しを進めることにより国土強靱化に関する施策を策定・推進し、政府一丸となって強靱な国づくりを計画的に進めていくこととする。

 

今後も社会資本の整備を中心に積極的な「防災・減災」、「国土強靱化」を推進していくことを閣議決定している。

 

◎老朽化が進む社会資本
国土交通省によれば、我が国の社会資本ストックは高度経済成長期に集中的に整備され、今後急速に老朽化することが懸念されている。
道路橋、トンネル、河川、下水道、港湾等は今後20年間で、建設後50年以上経過する施設の割合は加速度的に高くなる見込みであり、一斉に老朽化するインフラを戦略的に維持管理・更新することが求められている。

 

(建設後50年以上経過する主な社会資本の割合)

 

2013年3月

2023年3月

2033年3月

道路橋(約40万橋)

約18%

約43%

約67%

トンネル(約1万本)

約20%

約34%

約50%

河川管理施設(水門等約1万施設)

約25%

約43%

約64%

下水道管きょ(総延長:約45万km)

約2%

約9%

約24%

港湾岸壁(約5千施設)

約8%

約32%

約58%

*国土交通省「インフラメンテナンス情報」より。

 

◎公共事業費の推移
1979年度以降の公共事業費(当初予算ベース)は1997年度をピークに減少に向かい2012年度にボトムを打った後、ここ数年は約6兆円で推移している。
今後の大幅な増加は見込みにくいものの、上記のような環境の下、老朽化対策など必要なインフラ投資は継続的に実施されていくものと見られる。

 

◎「生産性革命」と「I – Construction」
*国土交通省の「生産性革命」
国土交通省は、少子高齢化が進む日本における大きな課題である生産性の向上、新規需要の開拓に向けて2016年を「生産性革命元年」と位置付け、社会全体の生産性向上につながるストック効果の高い社会資本の整備・活用や、関連産業の生産性向上、新市場の開拓を支える取組を加速化することとした。

 

これまでに先進事例として、13の「生産性革命プロジェクト」を選定しそれらを、①「社会のベース」の生産性を高めるプロジェクト、②「産業別」の生産性を高めるプロジェクト、③「未来型」投資・新技術で生産性を高めるプロジェクトという3つに分類している。

 

*「I – Construction」
このうち、「産業別」の生産性を高めるプロジェクトのトップに挙げているのが「i- Construction」。

 

建設産業は今後10年間で高齢等のため、技能労働者約340万人のうち、約1/3の離職が予想され、労働力不足が進むと見られる。
そうした中、改善の余地が大きい土木工事について、測量・施工・検査等の全プロセスでICTを活用して大幅に生産性を向上させるほか、ICT建設機械のリース料を含む新積算基準を策定、2016年度より国が行う大規模な土木工事については、原則としてICTを全面的に適用することなどが「I – Construction」の概要である。

 

ICTの活用をキーポイントとする「i- Construction」において具体的な取り組みとして国土交通省が挙げているのが「BIM/CIM」である。

 

BIM/CIM(Building/Construction Information Modeling,Management)とは?
計画・調査・設計段階から3次元モデルを導入し、その後の施工、維持管理の各段階においても、情報を充実させながらこれを活用し、あわせて事業全体にわたる関係者間で情報を共有することにより、一連の建設生産システムにおける受発注者双方の業務効率化・高度化を図るもの。

 

(国土交通省「国土交通省におけるI ? ConstructionとBIM/CIMの取り組みについて」より)

 

国土交通省は建設・土木業界におけるBIM/CIMの浸透・活用のために下記のような段階的拡大方針を掲げ、合わせて、それぞれBIM ガイドライン、CIM導入ガイドラインを公開している。

 

STEP1:2017年

CIMの活用効果が見込まれる業務・工事からCIMを導入(2017年開始)

STEP2:2019年

大規模構造物工事を中心にBIM/CIMを適用(2019年現在)

STEP3:2021年

維持管理段階における3次元データの導入(2021年まで目途)

 

【1-4 事業内容】

報告セグメントは「建設コンサルタント事業」と「不動産賃貸等事業」の2つだが、建設コンサルタント事業が主たる事業である。

 

 

(1)総合建設コンサルタント「キタック」の建設コンサルタント事業概要

 

①「総合建設コンサルタント」とは?
「総合建設コンサルタント」とは、建設コンサルタント業と地質調査業を中心に、国民の快適・安心・安全な暮らしを支えるために、施設建設、環境整備、既存の施設を維持管理など、社会資本整備を担うプレーヤーのこと。

 

(総合建設コンサルタントの役割と対象とする社会資本)

役割

対象とする社会資本

日々の暮らしと日本経済を支える

道路、鉄道、橋、港湾、空港

ライフラインを支える

通信、電気、ガス、上下水道

暮らしを支えるエネルギーや水資源を供給する

ダム、河川

災害を未然に防ぐ

ダム、堤防、防波堤、護岸

循環型社会環境づくりを支える

廃棄物処理施設やリサイクル施設、新エネルギー関連施設

 

建設コンサルタント業とは、建設技術を中心とした開発・防災・環境保護等について、計画・調査・設計業務におけるコンサルティングを行うもので、国土交通省の建設コンサルタント登録規定に基づき国土交通省に登録されることが必要となる。
一方、地質調査業とは建設事業等に関し、地質構造、基礎地盤、地下水、土や岩の工学的性質などについて、調査・計測を行い、その結果を解析・判定し、設計・施工・管理等のために必要な情報と所見を提供する。こちらも国土交通省の地質調査業者登録規程に基づき国土交通省に登録されることが必要である。

 

(2)コア事業
「総合建設コンサルタント」である同社にはコア事業を担う地質調査分野・土木設計分野・環境分野のエキスパートが多数在籍しており、技術3部門の連携による「総合力」を武器に社会資本整備のあらゆるニーズに応えている。

 

部門名

業務内容

概要

地質調査部門:技術第1部

地盤および地質の調査・解析、シミュレーション

地盤工学・地質工学を専門とする技術者で構成された部門

土木設計部門:技術第2部

河川砂防・道路および道路構造物の 計画・設計、施設点検

土木工学を専門とする技術者で構成された部門

環境部門:環境地質技術センター

室内試験、環境の分析、新エネルギー開発

材料試験・化学分析・環境工学を専門とする技術者で構成された部門

 

②顧客・仕事の流れ
総合建設コンサルタントとして、企画・調査から始まり完成後の維持管理まで、施工以外の全てのプロセスへの対応が可能である。

 

(同社WEBSITEより)

 

顧客は発注者である政府、地方自治体、民間企業などだが、約50%が新潟県、約20%が政府(国土交通省)と官公需が中心である。

 

(2)注力する4つの重点テーマ
同社では、時代と共に変遷する社会インフラに対するニーズに応えるために4つの重点テーマを掲げ、必要となる技術を磨いて課題解決に取り組んでいる。

 

社会的ニーズ

必要な技術進歩

①良質で経済的な社会資本整備

地質調査技術の高精度化と土木設計技術の進歩

②老朽化した社会資本の維持管理

土木構造物の劣化診断技術・補修及び延命技術の進歩

③災害から守られた安心した生活

防災・減災に関わる調査・解析・対策技術の進歩

④環境に配慮した循環型社会の形成

土壌・地下水汚染に関わる調査・解析・対策技術の進歩および自然エネルギーの利用・開発

 

この4つのテーマの下、「建設」、「防災」、「維持管理」、「環境」といった主要フィールドでの取り組みは以下の通り。

 

◎建設
道路、橋梁、トンネル、下水道などの公共施設の建設において求められる「維持管理のしやすさ」と「高品質」を実現する精度の高い地質・土質調査から、解析・ 設計まで一貫したコンサルティングを提供している。

(同社資料より)

 

(例)交通事故を減らすための交差点改良設計
交通事故が多発している交差点改良の調査・解析・設計を行っている。同社が設計した環状交差点(ラウンドアバウト)は、 信号機がないので停電時にも安心して通行できる。

 

◎防災
多雨、豪雪の気象条件と脆弱な地層からなる日本では、梅雨期、融雪期には特に多くの自然災害が発生するのに対応し、自然災害の調査、発生メカニズムの解析を踏まえ、防災・防災工の計画・設計を行う。

(同社資料より)

 

(例)災害に備えるための危険個所抽出
GIS(※)を用いて、崩壊が発生した箇所の地形データを解析することで、類似した地形箇所を抽出し、ハザードマップなどに反映する。
※GIS:地理情報システム:文字、数値、画像を地図と融合させコンピュータ上でわかりやすく表現するもの。

◎維持管理
道路、橋梁、トンネル、下水道などの構造物が長く健全な状態を保つよう、点検調査、補修設計から、効率的な維持管理計画まで幅広くサポートする。

(同社資料より)

 

(例)公共構造物の老朽化診断
前述のように、橋梁等の公共構造物の老朽化対策が社会的な課題となっている。同社は老朽化構造物の診断や補修・補強設計を行っている。

 

◎環境
地球環境から生活環境、自然環境まで、広範化、複雑化する環境分野において、環境地質科学研究所の20年の業務実績を継承して環境に関わる多様なニーズに応える。

(同社資料より)

 

(例)太陽光発電
太陽光発電所「新潟海辺の森ソーラーパーク」を運営している。

 

【1-5 特長と強み】

◎3部門の連携による対応力
地質調査、土木設計、環境3部門の専門技術者が連携しプロジェクトを組むことにより、多様なニーズの業務に柔軟に対応できることが最大の強みである。
創業以来培われた経験・多彩な技術力・地域の情報を蓄積した総合建設コンサルタントとして、顧客から高く評価されている。

 

◎飽くなき技術力の追求
創業以来、地域のリーディングカンパニーとして、常に高いレベルで期待に応えるため、「知見豊かなエキスパートの育成」を第一に掲げ、技術者育成と技術革新を重要テーマの一つとしている。
そのため、各専門部署では調査・分析・解析技術や設計技術を磨くための勉強会や検討会を定期的に開催するほか、全国レベルの最新技術を学ぶため、21の学協会に所属し、技術社員は「講習会」、「研修会」、「研究発表会」に積極的に参加し、専門性の深化と継続的な技術研鑽を図っている。
また、自社のレベルアップだけではなく、同社が取り組んだ事例や成果を研究発表、論文、書籍として発信し、関連分野の技術者育成や技術の進歩による地域貢献・業界貢献にも取り組んでいる。
2018年10月末現在の技術士は35名で全社員の約21.2%。社員教育や資格取得支援も積極的に行っている。

◎防災のキタック
創業以来、災害復旧のための地質調査・土木設計を行ってきた同社だが、特に近年は新潟・福島豪雨(2004年7月)、新潟県中越地震(2004年10月)、能登半島地震(2007年10月)、新潟県中越沖地震(2007年7月)、東日本大震災(2011年3月)等多発する災害時にいち早く駆けつけて各部門が連携して早期の復旧を目指し尽力してきた。
加えて、災害に対する地質調査から土木設計までを一貫して請け負い、機動力を駆使し迅速な対応を行ったことから「防災のキタック」と呼ばれるようになった。
今後も数値解析を活用した予測・シミュレーション技術の独自開発など、より精度の高い防災対策を追求していく考えだ。

 

【1-6 株主還元】

配当原資確保のための収益力を強化し、継続的かつ安定的な配当を行なうことを基本方針としている。

 

【1-7 社会貢献】

「規模に応じた社会貢献を行うのが企業の社会的責任」、「長者の万灯より貧者の一灯であれ」という創業者であり代表取締役会長である中山輝也氏の信念のもと、国内外で社会貢献活動に取り組んでいる。

 

取り組み

概要

技術交流

1979年、中山会長が中国の三江平原農業開発プロジェクトに地質の専門家として参加。1981年には中国初のODAでは同社が地質部門を引き受けた。

その後、黒龍江省の要請で新潟県対外科学技術交流協会を、さらに合弁会社及び独資会社を設立し、技術研修生の受け入れも行ったほか、ロシアでは旧ソ連崩壊時に技術協力およびリストラされた技術研究所への資金協力も行った。また、韓国では技術士会を通じ、毎年のフォーラムの日本側責任者を務めた。ラオス、カンボジア等とも技術交流を持つなど、国際貢献に取り組んできた。

芸術振興

1996年、「知足美術館」を開館した。施設名の「知足」は、「己の分をわきまえ、騎りの心を諌めること」を意味する。

所蔵品は初代歌川広重の保栄堂版「東海道五十三次」全55図をはじめ、横山操や土田麦僊、斎藤真一の作品を代表に、日本画、洋画、陶芸、北東アジアの絵画など、寄贈や寄託を合わせると所蔵品は1,000点を超える。企画展に併せて、作家や学識者による記念講演会や鑑賞講座も開催している。

福祉活動

2006年、社会福祉法人「知足常楽会」を設立し、地域住民の共助の場となることを趣旨としたケアハウス「知足荘」を開設した。4階建て、30室を持つ「街なかケアハウス」として、また環境関連の大学等との共同研究や、従業員の社会貢献教育の場としても活用している。

在新潟モンゴル国名誉領事館

モンゴル国からの要請で、日本国外務省の承認を受け、中山会長が名誉領事に任命された。2007年にモンゴル国名誉領事館を同社内に開設。領事業務を行うほか、地域間の経済技術交流を率先して行ってきたことなどが評価され、2015年にモンゴル国では外国人に贈られる最高の栄誉とされる「北極星勲章」を授与された。

 

【1-8 ROE分析】

 

14/10期

15/10期

16/10期

17/10期

18/10期

ROE (%)

7.8

4.4

6.1

6.7

7.3

 売上高当期純利益率(%)

6.08

3.55

5.20

5.91

6.81

 総資産回転率(回)

0.46

0.45

0.45

0.46

0.47

 レバレッジ(倍)

2.81

2.72

2.58

2.44

2.30

*総資産回転率及びレバレッジの計算には総資産および自己資本の期首・期末平均を使用。

 

売上高当期純利益率が上昇傾向にあることを背景に、近年日本企業が一般的に目指すべきといわれている8%にもう一息で届く水準。
引続き外注費縮減、原価管理徹底に取り組むことと並行して、ソフトウェア開発などにより収益性の高い事業の育成が期待される。

 

2.2019年10月期第2四半期決算概要

(1)業績概要                                   

 

18/10期2Q

構成比

19/10期2Q

構成比

前期比

計画比

受注高

1,182

1,101

– 6.8%

売上高

1,528

100.0%

2,001

100.0%

+30.9%

+14.1%

売上総利益

568

37.2%

745

37.2%

+31.0%

販管費

303

19.8%

332

16.6%

+9.6%

営業利益

265

17.4%

412

20.6%

+55.5%

+59.9%

経常利益

284

18.6%

431

21.5%

+51.8%

+51.3%

四半期純利益

194

12.7%

295

14.8%

+52.2%

+51.5%

*単位:百万円

 

2桁の増益。計画も上回る。
受注高は前年同期比 6.8%減の11億1百万円。
売上高は前年同期比30.9%増の20億1百万円。前期からの繰越業務18億92百万円を順調に消化した。
売上総利益率は前年同期と変わらず37.2%。販管費は前年同期にあった福利厚生費などが無くなり小幅な伸びとなったため、営業利益は同55.5%増の4億12百万円と大幅に増加した。
経常利益は同51.8%増の4億31百万円、当期純利益は同52.2%増の2億95百万円。

 

前期からの繰越業務が比較的高水準であったことや業務の進捗率が当初の想定を上回り、売上高の増加が想定以上だったことなどから、上期業績予想を上方修正。計画に対し売上、利益ともに上回った。

 

(2)セグメント別動向

売上高

18/10期2Q

構成比

19/10期2Q

構成比

前期比

建設コンサルタント事業

1,441

94.3%

1,915

95.7%

+32.9%

不動産賃貸等事業

87

5.7%

86

4.3%

-0.9%

合計

1,528

100.0%

2,001

100.0%

+30.9%

売上総利益

         

建設コンサルタント事業

551

38.2%

717

37.5%

+30.2%

不動産賃貸等事業

17

19.9%

27

31.6%

+57.0%

合計

568

37.2%

745

37.2%

+31.0%

*単位:百万円。売上総利益欄の構成比は売上高総利益率。
主力の建設コンサルタント事業は増収増益であったが粗利率は0.7ポイント低下した。

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS                                         

 

18年10月20日

19年4月20日

 

18年10月20日

19年4月20日

流動資産

894

1,296

流動負債

1,070

967

現預金

116

738

業務未払金

91

89

売上債権

750

522

短期有利子負債

470

320

固定資産

4,368

4,331

固定負債

1,814

2,042

有形固定資産

3,959

3,943

長期有利子負債

1,470

1,685

土地

2,354

2,354

負債合計

2,885

3,010

無形固定資産

56

50

純資産

2,377

2,617

投資その他資産

353

336

利益剰余金合計

1,665

1,922

資産合計

5,262

5,627

負債純資産合計

5,262

5,627

     

有利子負債残高

1,940

2,005

*単位:百万円。売上債権は受取手形、完成業務未収入、未成業務支出金の合計。借入金にはリース債務を含んでいない。
現預金の増加などで資産合計は前期末に比べ3億64百万円増加の56億27百万円。
長短有利子負債の増加などで負債合計は同1億24百万円増加。
利益剰余金の増加で純資産は同2億39百万円増加の26億17百万円。
自己資本比率は前期末の45.2%から46.5%へ1.3ポイント上昇した。

 

◎キャッシュ・フロー                              

 

18年10月期2Q

19年10月期2Q

増減

営業CF

516

621

+105

投資CF

1

-7

-8

フリーCF

517

614

+97

財務CF

-525

7

+532

現金同等物残高

221

711

+489

*単位:百万円

 

税引前四半期純利益の増加等で営業CFのプラス幅は拡大。フリーCFのプラス幅も拡大した。
借入金の増加などで財務CFはプラスに転じた。
キャッシュ・ポジションは上昇した。

 

3.2019年10月期業績見通し

(1)通期業績予想                                    

 

18/10月期

構成比

19/10月期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

2,473

100.0%

2,674

100.0%

+8.1%

74.8%

営業利益

229

9.3%

227

8.5%

-1.0%

181.5%

経常利益

252

10.2%

260

9.7%

+3.0%

165.8%

当期純利益

168

6.8%

177

6.6%

+5.1%

166.7%

*単位: 百万円。予想は会社側発表。

 

業績予想に変更無し。増収・経常増益
売上高は前期比8.1%増の26億74百万円、営業利益は同1.0%減の2億27百万円、経常利益は同3.0%増の2億60百万円の予想。
上期業績予想を上方修正したが、通期予想は据え置いている。自治体等の予算の確定・執行に見通しにくい部分もあり、慎重な姿勢を維持している。
引き続き、厳しい事業環境が予想されるが、主力事業である地質、防災、土木設計において培った技術力を基盤とした提案力をもって、技術部門、営業部門が連携しながら、原価管理の徹底による収益力強化対策を実行する。
配当は5.00円/株の予想、予想配当性向は15.8%。

 

(2)トピックス

◎防災用シミュレーションシステムへの取り組み
国土強靭化計画はポジティブなファクターではあるものの公共事業が大きく増加することは見込みにくい中、同社では自社の強みを活かして着実に受注を拡大させつつ、より収益性の高いソリューションの開発・提供が不可欠だと考え、現在注力しているのが「解析技術の活用による防災用シミュレーションシステム」だ。

 

これはGISと数値解析を融合した独自開発中の予測システムで、同社が誇る地質調査をバージョンアップし、土石流や地すべりなどのシミュレーションによって、今まで以上に効率的で効果の高い防災対策の提案を可能とするソリューション。
パソコン上で見ていてもその技術が実際の現場にあうか適合するかどうかは不明確で、あくまで現場視察・調査を踏まえた上で、その現場に最適な数値解析技術を判断し、組み合わせることで、シミュレーションの信頼性を高めることができると同社では考えており、視察・調査の豊富な経験とノウハウを持つ同社ならではの付加価値が提供できるものと考えている。

雨量、地質といった既存の条件に加え新たな変数を導入するなど、より正確なシミュレーションを実現するための研究やチューニングに取り組んでいる。
現在、一定程度の正解率を実現してはいるものの、「優れた技術を提供し、社会の発展に寄与すること」を企業理念とし、「安全・安心で豊かな社会づくり」に貢献することを目指している同社では、同シミュレーションの実用は人命に関わるものであるため限りなく正解率を高めた後のリリースでなければならないと考えている。

 

防災分野はもちろん、環境分野でも広く活用することができることから、今後大きな市場性が期待できると見込んでいる。

 

 

(同社資料より)

 

◎KITAC BIM/CIMの導入
【1-3 市場環境】で触れたように、国土交通省は建設・土木業界におけるBIM/CIMの導入を推進している。
これに呼応し同社は2017年に「KITAC CIM」を導入し、現在は「KITAC BIM/CIM」としてブラッシュアップを進めている。

 

段階

国土交通省の段階的拡大方針(案)

キタックのBIM/CIM活用基本方針

STEP1

2017年

運用開始

CIMの活用効果が見込まれる業務・工事からCIMを導入(2017年開始)

CIM活用の試行

CIMの活用効果が見込まれる業務を抽出し、CIMの導入を試行する(2017年開始)

STEP2

2019年

BIM/CIMの活用

大規模構造物工事を中心にBIM/CIMを適用(2019年現在)

BIM/CIM活用の標準化

受注者希望型の業務、プロポーザル等で

BIM/CIM活用を提案する。(2019年現在)

 

社会情勢に合わせたマイナーチェンジ

STEP3

2021年

順次拡大

維持管理段階における3次元データの導入(2021年まで目途)

BIM/CIM業務の受注

施設点検、維持管理業務におけるBIM/CIMデータベースの構築プラン策定

(2021年までを目途)

 

一定の完成形としてフルモデルチェンジ

*同社資料を基にインベストメントブリッジ作成

 

2020年までにはBIM/CIM活用を定着させるとともに、国土交通省のBIM/CIM業務が受注できる体制を構築する。

 

4.今後の注目点

大幅な増収増益で上方修正となった上期決算であったが、通期予想に関しては期初予想を据え置いている。
自治体の予算確定および執行時期に見通しにくい部分があることがその理由とのことだ。
同社の決算期は10月であるため、年度末の3月を含む上期(11-4月)に売上、利益が偏重する傾向があり、下期は対上期比では減収、利益は損失となる期もあり、現在のところ計算上では今下期は2億近い営業損失となるが、さすがにここまでの損失にはならないのではないか。
ちなみに同社ウェブサイトで確認できる決算短信で確認してみると、2003年10月期から2018年10月期の16決算期間のうち下期が赤字になったのは7回であった。
まず、9月の第3四半期決算発表を、中期的には防災用シミュレーションシステムが同社基準での正確性を磨いていつごろリリースされるのかを、また「KITAC BIM/CIM」の進捗状況も注目していきたい。

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

14名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2019年1月21日

 

<基本的な考え方>
当社は、従来から株主重視の基本方針に基づき、コーポレート・ガバナンスの充実を念頭においた経営の透明性や公正性、健全性を確保することが重要な経営課題と考えております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
当社は、JASDAQ上場会社としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。

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