ブリッジレポート:(2708) 久世 物流改革により増収増益予想

2019/07/11
 

久世 真也 社長

株式会社久世(2708)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

卸売業(商業)

代表者

久世 真也

所在地

東京都豊島区東池袋2-29-7

決算月

3月

HP

https://www.kuze.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

865円

3,701,382株

3,201百万円

3.4%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

12.00円

1.4%

67.54円

12.8倍

1,657.61円

0.5倍

*株価は7/1終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

67,193

439

593

485

125.44

12.00

2017年3月(実)

61,570

568

663

487

128.45

12.00

2018年3月(実)

62,865

429

545

415

112.20

12.00

2019年3月(実)

66,006

223

372

209

56.67

12.00

2020年3月(予)

69,500

300

400

250

67.54

12.00

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年3月期決算概要
3.2020年3月期業績予想
4.新中期経営計画(第4次3ヶ年中期経営計画)
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 19/3期は前期比5.0%の増収、同47.9%の営業減益。売上面では、グループ各社の売上増加に加え、上海日生食品物流有限公司の連結効果も大きかった。利益面では、食材卸売事業において価格改定と商品集約が進んだものの、物流改革に伴う一時的な物流費(人件費、運賃)の増加が負担になった。20/3期予想は前期比5.3%の増収、同34.2%の営業増益。下期以降、物流改革の効果が徐々に顕在化してくる見込みで、収益性の改善が進む。 
  • 同社の物流センターは外部委託(変動費)センターと自社運営(固定費)センターに分かれるが、業務の効率化と品質向上を目的に大手チェーン向けを外部委託に、エリア戦略の下で展開する中小顧客向けを自社運営に、それぞれ集約する作業を進めた。また、自社運営センターも、機動的な対応を可能にするべく、一部センターで庫内業務を外部委託から内製化に切り替えた。この取り組みが途上のため、19/3期は物流費が増加した。 
  • 10連休となったゴールデンウィークは、デイナーレストラン、ホテル、専門店、居酒屋、パブ等だけでなく、空港関係の飲食施設向けも大きく伸びたと言う。1年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックで物流改革の成果が試されるが、10連休でシミュレーションができたようだ。下期に計画通りの結果を残し、新中期経営計画の達成に向け弾みを付けたいところだ。 

     

1.会社概要

外食産業や中食産業向けの食材卸を中心に、グループで食材の製造・販売も手掛けている。取扱品目は約40,000アイテムに上り、冷凍・常温品はもちろん生鮮品から消耗品等のノンフードまで幅広い。グループは、同社の他、ソース・スープ類の製造・販売を手掛けるキスコフーズ(株)、ニュージーランドでソース類の製造を手掛けるキスコフーズインターナショナルリミテッド、生鮮野菜など農産品の仕入・販売を行う(株)久世フレッシュ・ワン、豊洲市場に基盤を持つ水産物仲卸大手の旭水産(株)、海外子会社・関連会社向け金融と情報収集の役割を担う久世(香港)有限公司、及び中国で業務用食材卸を手掛ける上海日生食品物流有限公司の連結子会社6社、水産物売買業の豊洲フーズ(株)及び中国で業務用食材卸売事業を手掛ける久華世(成都)商貿有限公司の非連結子会社2社。また、中京地区強化の一環として同地区に6,000店の取引先を有する酒類販売大手(株)サカツコーポレーションと、首都圏で病院・老人福祉施設向けの食材販売に強みを持つ東京中央食品(株)と、それぞれ業務提携をしている。さらに、この4月に業務用卸売協業体である日本外食流通サービス協会(JFSA)に加盟し、全国各地域の同業者と購買等で協業体制を構築していくこととした。

 

1-1.経営理念とC&G活動の取組み

「フードサービス・ソリューション・カンパニー」として「頼れる食のパートナー」を目指し、次の経営理念を掲げている。
私達は、明るい信頼される会社にします。
私達は、お客様の立場に立ち、最高の商品とサービスを提供します。
私達は、絶えず革新に挑戦し、たくましい会社にします。
私達は、お客様、お取引先の繁栄と株主、社員の幸福に貢献します。
私達は、そのために会社の成長と発展を果たします。

 

1-2.事業内容

事業は、食材卸売事業、食材製造事業、及びグループ会社向けが大半を占める不動産賃貸事業に分かれ、19/3期の売上構成比(連結調整前)は、それぞれ、92.7%、7.1%、0.2%。

 

食材卸売事業
業務用食材全般に加え、割りばし、ナプキン、洗剤といった消耗品等のノンフードまでを幅広くカバーし、取扱品目は約40,000アイテムを数える。近年、プライベートブランド(PB)商品や生鮮三品の取扱いにも力を入れている。

 

食材製造事業
連結子会社キスコフーズ(株)が食品製造工場を有し、ソース、ブイヨン、スープ及び調理食品等の自社ブランド製品及びOEM製品の製造・販売を行っており、その子会社(久世の孫会社)キスコフーズ インターナショナル リミテッド(KISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITED)が、ニュージーランド・クライストチャーチ市において、オリジナルのフォンドヴォー(仔牛骨、牛肉、野菜等を原料としたソース)やベシャメルソース(バターと小麦粉を原料としたホワイトソース)の製造を行っている。

 

 

1-3.フードサービスソリューションカンパニーを標榜-システムで 運ぶ、つくる、考える 頼れる食のパートナー-

同社は 「頼れる食のパートナー」 として、顧客へ様々な情報を提供し、顧客と共に、納品の方法、店舗経営、商品開発等について考え、問題の解決に取り組んでいる。目指すところは、「運ぶ」、「つくる」、「考える」それぞれの機能を総合的に組み合わせ、より高い付加価値を生み出す提案営業重視の「フードサービス・ソリューション・カンパニー」である。

 

運ぶ  多様な要望に応える事の難しさ
同社においては「個店向け配送」と「チェーン店向け配送」の2通りがあり、「個店向け配送」は、幅広い品揃えで様々な業態(洋食、和食、中華、ホテル、居酒屋、バル、カフェ、病院、商業施設等)に対応し、自社の物流センターから配送。一方、「チェーン店向け配送」はチェーン店独自の品揃えに対応し、自社の物流センターと外部倉庫を利用した久世全国ネットワーク(KZN)の併用で、北海道から九州まで全国にチェーン展開している顧客に食材を届けている。

 

「運ぶ」(配送)は食材専門商社としての根幹に関わる業務だが、時間指定、配送頻度、納品場所等、多様な要望に応えつつ、しっかりと収益管理していく事は実に難しい。昨今の店舗運営は生産性の向上を迫られる一方、労務管理に対する指導が強化されているため、店着時間がピンポイントで指定される事が多く、これに対応しようとすると物流コストが跳ね上がる。このため、納入価格、物流フィー、店着時間を総合的に勘案して取引条件を決める必要があり、オペレーションの難易度があがっている。

 

つくる  食材専門商社の枠を超えた事業展開で収益力の強化と顧客満足度の向上を両立
厨房での手間やコスト削減を念頭に新しいメニューやプライベート(PB)商品を開発し、顧客のニーズに合った商品提供を行っている。

 

考える  情報提供で顧客のビジネスを側面から支援
「顧客ニーズ」、「メニュートレンド」、「メニューの差別化」等を基本に顧客ごとのオリジナルメニューの開発やムリ・ムダのない調理オペレーションの提案、更には同社の商品を使用したメニューレシピやトレンド情報の提供等、日々の顧客支援に加え、プロ向け展示会「FOOD SERVICE SOLUTION」の定期開催で「食のヒントとなる情報」の発信も行っている。

 

品質管理  商品はもちろん、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務で品質向上を推進
1981年に社内に品質管理部門を設け、取引先の品質に関する要望や問い合わせに対し、迅速に対応できる体制を構築しており、細菌検査、生産委託先工場の製造管理、商品規格書の作成・提供、物流センター、各営業拠点の衛生管理チェック等を実施している。また、2010年に「久世グループ品質方針」及びISO22000に基づいた久世グループの品質保証の仕組みである「久世クオス(久世QUALITY SYSTEM)」を策定し、新しい品質への取組みをスタート。13年4月には、キスコフーズ(株)が、同年8月には同社と久世フレッシュ・ワンが、それぞれISO22000の認証を取得した。商品の品質だけでなく、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務の品質の向上を推進し、「お客様満足度No.1」を目指している。

 

 

1-4.外食産業・業務食材卸と同社のポジショニング

注1) 出所:公益財団法人 食の安全・安心財団統計資料「外食率と食の外部化率の推移」
注2) 外食率(%)=外食市場規模÷全国食料・飲料支出額、食の外部化率(%)=広義の外食市場規模(小売業市場規模を含む)÷全国食料・飲料支出額

 

1997年に外食市場は約29兆円とピークを迎え、2011年には23兆円を下回ったものの2015年には25兆円を超え、2016年もほぼ横ばいで伸長している。外食率も1997年にピークを迎えてから低下傾向にあるが、その一方で食の外部化は進んでおり2015年43.9%となっている。ちなみに、食産業は、内食、中食、外食に分かれるが、家庭内の食事等(スーパー)の内食市場は約38兆円、惣菜・弁当等の中食市場は約7.5兆円、そして、上記の通り、外食市場は約25兆円である。

 

外食の店舗数は、居酒屋、レストラン、ホテル、カフェ、給食など約60万店舗。一方、食材の提供も、冷食メーカー、畜肉メーカー、調味料メーカー、水産メーカー、農協等、数多い。店舗数(企業)もメーカー数も共に多いため、外食産業には情報・物流の仲立ちをする機能(専門卸=業務用食材卸)が不可欠。

 

業務用食材卸には、商品を届けるだけでなく、食材を調理してメニューを提供するためのノウハウやトレンド等の情報等が求められる。家庭用食材卸の機能は、商品を確実に届ける事であり(物流面の手伝い)、大規模化・システム化により効率化・合理化が図られている。主な企業は、三菱食品、国分、日本アクセス、伊藤忠食品、三井食品等、商社系企業が中心。一方、プロの料理人が調理を顧客とする業務用卸は、外食産業のきめ細かいニーズに対応する必要があり、きめ細かい対応が可能な独立系企業が多い。業務用食品卸売業年鑑2017年版によると、業務用食材市場は全国で約4.7兆円。内訳は、首都圏(一都六県)約1兆9,800億円、中部圏(愛知・三重・岐阜・静岡)約4,850億円、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)約9,600億円、その他。同社は首都圏売上高トップクラスだが、首都圏のマーケットシェアは未だ約3.1%(全国では約1.3%)にとどまり、首都圏はもちろん、三大都市圏で更なる成長の可能性を秘めている。

2.2019年3月期決算概要

2-1.連結業績

 

18/3期

構成比

19/3期

構成比

前期比

期初予想

予想比

売上高

62,865

100.0%

66,006

100.0%

+5.0%

68,000

-2.9%

売上総利益

12,027

19.1%

13,079

19.8%

+8.7%

13,400

-2.4%

販管費

11,598

18.4%

12,856

19.5%

+10.8%

13,070

-1.6%

営業利益

429

0.7%

223

0.3%

-47.9%

330

-32.4%

経常利益

545

0.9%

372

0.6%

-31.8%

380

-2.1%

親会社株主帰属利益

415

0.7%

209

0.3%

-49.5%

260

-19.6%

*単位:百万円

 

前期比5.0%の増収、同47.9%の営業減益
売上高は前期比5.0%増の660億06百万円。久世の個別売上高は1.5%の増加にとどまったものの、生鮮野菜事業(久世フレッシュ・ワン)の売上が前年比150%と伸びる等、グループ各社の売上が増加。上海で業務用食材卸を手掛ける上海日生食品物流有限公司の連結効果(増資引き受け)も大きかった。輸出売上がグループ全体で10.6億円と同8%増加した他、久世(個別)のPB商品売上比率も、9.1%と0.3ポイント上昇した。

 

営業利益は同47.9%減の2億23百万円。食材製造事業において原材料のバター価格が高止まりしたものの、食材卸売事業において価格改定と商品集約が進み、売上総利益率が19.8%と0.7ポイント改善した。ただ、物流改革の一環として、自社センター内における最大のユーザーを外部倉庫へ移管し変動費化させた事や自社センターの庫内業務を外部委託から内製に切り替えた事で物流費(運賃、人件費)が増加。水曜休配や商品集約等の施策も打ったが吸収できなかった。

 

物流改革
同社の物流センターは外部委託(変動費)センターと自社運営(固定費)センターに分かれるが、業務の効率化と品質向上を目的に大手チェーン向けを外部委託センターに集約し、エリア戦略の下で展開する中小顧客向け(混載が前提)を自社運営センターに集約する作業を進めた。これにより、外部委託の変動費センターは特定顧客向けの専用センターとなり、同社は人手不足の中でも好況時の対応が容易になり、不況時には物流費を抑制できるようになる。一方、顧客もコスト管理をしやすくなる。

 

また、一部の自社運営ンターで庫内業務を外部委託から内製に切り替えた。成果を出すためには作業員の習熟が必要であり、ある程度の時間を要するが、内製化する事で、配送の効率化に不可欠な配送経路の選択や混載の組み合わせ等の機動的な対応が可能になり、日々の改善効果も期待できる。

 

19/3期は、大手チェーン向けの移管に伴い変動費センターのコストが増える中で、一時的に自社運営の固定費センターの稼働率が下がり物流効率が悪化した。

 

期初予想との差異
外食市場の伸び悩で売上が下振れする中、改定価格の浸透が想定よりも遅れた事や物流改革のコストが想定を上回った。

 

販管費の内訳

 

18/3期

対売上比

19/3期

売上比

前期比

人件費

2,737

4.4%

3,048

4.6%

+11.4%

運賃

5,037

8.0%

5,423

8.2%

+7.7%

賃借料

696

1.1%

735

1.1%

+5.6%

減価償却費

108

0.2%

121

0.2%

+12.0%

その他

3,020

26.0%

3,491

27.2%

+15.6%

販管費合計

11,598

18.4%

12,856

19.5%

+10.8%

*単位:百万円

 

セグメント別売上高・利益

 

18/3期

構成比・利益率

19/3期

構成比・利益率

前期比

食材卸売事業

58,164

92.3%

61,344

92.7%

+5.5%

食材製造事業

4,713

7.5%

4,676

7.1%

-0.8%

不動産賃貸事業

147

0.2%

148

0.2%

+0.8%

調整額

-159

-162

連結売上高

62,865

100.0%

66,006

100.0%

+5.0%

食材卸売事業

760

1.3%

664

1.1%

-12.6%

食材製造事業

480

10.2%

452

9.7%

-5.8%

不動産賃貸事業

110

74.8%

114

77.0%

+3.6%

調整額

-921

-1,007

連結営業利益

429

0.7%

223

0.3%

-47.9%

*単位:百万円

 

2-2.財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

 

18年3月

19年3月

 

18年3月

19年3月

現預金

5,020

5,097

仕入債務

10,755

10,903

売上債権

7,629

7,679

未払金

1,177

1,341

たな卸資産

2,582

2,582

未払法人税・消費税等

155

212

流動資産

15,840

15,961

有利子負債

2,618

2,535

有形固定資産

2,184

2,411

負債

16,066

16,399

投資その他

3,651

3,758

純資産

6,050

6,165

固定資産

6,276

6,603

負債・純資産合計

22,116

22,564

*単位:百万円

 

財政状態に大きな変化はなく、期末総資産は前期末との比較で4億48百万円増の225億64百万円。現預金は前期末と同水準の50億円超を確保しており、実質無借金経営。自己資本比率27.2%(前期末27.2%)。自己資本比率30%を目標としている。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

18/3期

19/3期

前期比

営業キャッシュ・フロー

1,774

741

-1,033

-58.2%

投資キャッシュ・フロー

-812

-526

+286

財務キャッシュ・フロー

96

-164

-260

現金及び現金同等物期末残高

4,495

4,542

+47

+1.0%

*単位:百万円

 

営業CFは税金等調整前四半期純利益 4億円や減価償却費 2億51百万円等で7億41百万円の黒字。前期の営業CFは期末が金融機関の休日だった影響を受けたが(仕入債務の決済が期をまたいだ)、今期は大きな影響がなく、例年の水準に戻った。

 

参考:ROEの推移

 

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

ROE

-8.76%

10.18%

9.56%

7.35%

3.44%

売上高当期純利益率

-0.60%

0.72%

0.79%

0.66%

0.32%

総資産回転率

3.53回

3.49回

3.24回

3.04回

2.95回

レバレッジ

4.11倍

4.04倍

3.73倍

3.66倍

3.68倍

* ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ。算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残。

3.2020年3月期業績予想

3-1.連結業績

 

19/3期 実績

構成比

20/3期 予想

構成比

前期比

売上高

66,006

100.0%

69,500

100.0%

+5.3%

営業利益

223

0.3%

300

0.4%

+34.2%

経常利益

372

0.6%

400

0.6%

+7.4%

親会社株主帰属利益

209

0.3%

250

0.4%

+19.2%

*単位:百万円

 

前期比5.3%の増収、同34.2%の営業増益予想
グループ各社の売上が順調に増加し、売上高は695億円と前期比5.3%増加する見込み。利益面では、社内システムのWindows10対応等のコストを織り込んだものの、下期以降、物流改革の効果が顕在化してくる事に加え、仕入価格上昇等への対応も進む見込み。営業利益は3億円と同34.2%の増加が見込まれる。

 

配当は1株当たり12円の期末配当を予定している(予想配当性向17.8%)。

 

3-2.半期見通し

上期

 

19/3期 上期 実績

構成比

20/3期 上期 予想

構成比

前年同期比

売上高

32,455

100.0%

34,000

100.0%

+4.8%

営業利益

8

0.0%

-90

経常利益

75

0.2%

-50

親会社株主帰属利益

72

0.2%

-65

*単位:百万円

 

上期は、物流改革が途上にある上、新年度を迎えての仕入価格や物流費の値上げ等もあり、営業損益が90百万円の損失となる見込み。

 

下期

 

19/3期 下期 実績

構成比

20/3期 下期 予想

構成比

前年同期比

売上高

33,551

100.0%

35,500

100.0%

+5.8%

営業利益

215

0.6%

390

1.1%

+81.4%

経常利益

297

0.9%

450

1.3%

+51.5%

親会社株主帰属利益

137

0.4%

315

0.9%

+129.9%

*単位:百万円

 

下期は、物流改革の効果が顕在化してくる見込みで、物流費値上げの影響も吸収される事に加え、価格転嫁も進む見込み。また、中期経営計画の最終年であり、オリンピックイヤーでもある来期に向けての案件の積み上げにも力を入れる。

 

4.新中期経営計画(第4次3ヶ年中期経営計画:19/3期~21/3期)

「第4次3ヶ年中期経営計画 Challenge NEXT ONE」は、「システムで運ぶ つくる 考える “頼れる食のパートナー”」をあるべき姿として掲げ、中長期の目標である「連結売上1,000億円」、「三大都市圏No.1」、「お客様満足度No.1」の達成に向けた取り組みを進めている。

 

同社だけでなく取引先も含めた人手不足、あらゆる面でのコスト増、2019年10月に予定されている消費増税と言った課題がある一方で、中食を含めた食の外部化拡大、同社が強みを持つ首都圏への人や情報の集中、更には年間4,000万人が視野に入ったインバウンドと訪都客増等でビジネスチャンスも拡大している。また、個食化の進展による1億総中食即食化による多様化とバリューチェーンの変化、競争・業態のボーダレス化による顧客層の広がり、そして第4次産業革命による物流の更なる効率化、といった近未来的な流れも追い風になる。同社は ビジネスチャンスを捉え、流れに乗るべく、“頼れる食のパートナー”として、5つの戦略と5つの提案を推進していく。

 

 

4-1.5つの戦略と5つの提案

5つの戦略

5つの提案 “ 4K1J ”

物流

効率簡便

情報システム

高付加価値化

マーケティング

高齢化

海外

健康

グループシナジー

女性目線

 

5つの戦略
「物流」では、センター別、コース別、顧客別の採算管理を強化すると共に、現場の人手不足に対応した採用・育成・定着に向けた取り組みを推進する。また、センターの統廃合と一部センターの庫内業務と配送内製化を進める。「情報システム」では、基幹システムを更新すると共に、一部システムをオープン化する。また、NEXTプロジェクトを継続し、採算管理と顧客情報管理を推進する。「マーケティング」では、ITを駆使したマーケティングや情報ツールとしての『久世通信』を活用したマーケティングを強化する考えで、この一環として、『久世通信』の一段のレベルアップを図ると共に、久世PB品の開発を強化する。また、迅速な意思決定を可能にするべく、マーケティング本部を商品本部に統合する。

 

『久世通信』
取引先と同社をつなぐ隔月発刊の“フードコミュニケーションマガジン”。同社のPB商品やお薦め商品の紹介、季節や食のトレンドに合わせたメニューレシピを紹介しており、掲載された商材は売上が2~3割増加すると言う。

 

 

PDFを表示する(7.38MB)

久世通信 Vol.80(2019年5月発行)

【野菜が主役「ベジセントリック」】

●久世がいくならこんな店「くぜいく!」 ~365ANNIVERSARY(埼玉・和光)~

●野菜市場 おいしくヘルシー ベジセントリック!

・野菜で糖質オフ!置き換えメニュー

・野菜が主役!おつまみメニュー

・ベジスイーツ&ベジドリンク

・久世女子おすすめ 今話題のベジセントリック商品

●PB特集 FUN!FUN!VEGITABLE

●ドルチェーゼ キャトルフロマージュアイスのアレンジレシピ

●売れ筋商品のカイセツ ~エクストラバージンオリーブオイル~

●季節のおいしいをご紹介 【夏向け商品のご紹介】

●夏のイベント向けテイクアウト資材の紹介

 

 

 

「海外」では、旭水産の水産物やキスコフーズのソース・ブイヨン・スープ・調理食品等の輸出を推進すると共に、中国に展開する上海日生食品物流及び久華世(成都)の事業を加速する。直接貿易を推進して久世の仕入商品の粗利改善にもつなげる。グループシナジーでは、豊洲市場内における旭水産と久世フレッシュ・ワンの連携及び久世と久世フレッシュ・ワンの物流連携を進める他、豊洲市場内で加工した旭水産の凍結品の久世による販売を強化する。

 

5つの提案 “ 4K1J ”
ITやマーケティング活動と連動させ、効率簡便、高付加価値化、高齢化、健康、女性目線、をキーワードとして、一つ、もしくは複数を取り込んだ提案を行っていく。

 

 

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

19/3期は物流改革の推進に伴い、人件費と運賃が増加し利益を圧迫した。もっとも、全体としては負担になったが、大阪を中心に2年前から庫内業務の内製化等の改革に取り組んできたセンターでは着実に成果が上がっているようだ。好況時の対応力強化と不況時のコスト抑制には、日々の業務を通しての改善活動が不可欠。そのためには内製化する必要がある、と考えており、中長期の目標とする売上高1,000億円を念頭に置いた取り組みである。東京オリンピック・パラリンピックが1年後に迫っており、開催時の繁忙と、その後の反動減への対応で物流改革の成果を試す考えだ。東京オリンピック・パラリンピックの需要の取込みは新中期経営計画の数値目標達成の重要ポイントでもある。10連休となったゴールデンウィークは、デイナーレストラン、ホテル、専門店、居酒屋、パブ等だけでなく、空港関係の飲食施設向けも繁忙を極めたと言う。1年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックで物流改革の成果が試されるが、10連休でシミュレーションができたようだ。下期に計画通りの結果を残し、新中期経営計画の達成に向け弾みを付けたいところだ。

 

 

参考:コーポレート・ガバナンスについて

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

6名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2018年6月26日)
基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスの考え方は、経営理念を基本としております。

 

経営理念
私達は、明るい信頼される会社にします。
私達は、お客様の立場に立ち、最高の商品とサービスを提供します。
私達は、絶えず革新に挑戦し、たくましい会社にします。
私達は、お客様、お取引先の繁栄と株主、社員の幸福に貢献します。
私達は、そのために会社の成長と発展を果たします。

 

これらの考え方に基づき、当社は企業目的を達成し、企業価値を向上させるために経営の有効性と効率化を高め、変化する経営環境に対して迅速な意思決定や、意思決定に基づく機動性の向上を図っていく必要があると考えております。また、経営の健全性を高めるために、経営の監視機能として、内部統制システム構築による自主点検と内部監査による法令遵守(コンプライアンス)チェックがますます重要性を増してきていると認識しております。その上で、安定的な企業活動を継続していくために、コーポレート・ガバナンスの強化を図ってまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【基本原則2 株主以外のステークホルダーとの適切な協働】
当社には「経営理念」、社員の行動基準である「KUZE WAY」、「食品安全方針」とグループの品質保証の仕組み「久世クオス」があり、これらの考え方をベースに様々なステークホルダーの要望に応えるべく活動しております。当社取締役会は、当社の活動が経営理念をはじめとするこれらの考え方に合致しているかを監督し、それが実践されるような企業文化を形成するよう代表取締役を中心に対応しております。

 

【基本原則3 適切な情報開示と透明性の確保】
当社は情報開示担当役員責任の下、経営企画部が中心に経営戦略・経営課題あるいはリスクやガバナンスの状況、また決算説明会や個人投資家説明会、当社WEBサイトを通じて非財務情報についても積極的に提供するよう努めております。
当社取締役会は、こうした情報提供が受け手であるステークホルダーの皆様にとって有益・有用であるよう監督・指導にあたります。

 

【基本原則4 取締役会等の責務】
当社では取締役会は株主の為に諸施策を示し実行していく最高機関と考えております。当社は業務執行の意思決定の妥当性および適正性を確保し、取締役会が有効に機能するよう独立性を有する社外取締役が取締役会に出席しております。さらに経営監視機能の強化を図るため、常勤社内監査役1名と非常勤社外監査役2名の計3名体制で監査役会を組織して監査役相互の情報交換を緊密にするとともに、監査役も取締役会に出席し適宜、意見の表明を行っており、健全性かつ透明性の高い経営を維持する体制になっております。

 

【基本原則5 株主との対話】
当社では株主総会の場以外でも株主との対話の場は必要と考えております。そこで、個人投資家説明会や個別ミーティング等を通じ投資家とのコミュニケーションづくりにも取り組んでおりますが、特定のステークホルダーとの対話については、その都度状況に応じて合理的な配慮の中で対応してまいります。
以上の通り、当社は基本原則すべてについて実施しております。

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

このページのトップへ