ブリッジレポート(7590)タカショー グローバル体制強化 再構築した欧州の販売に注目

2019/04/04

高岡 伸夫 社長

株式会社 タカショー7590

- 会社情報 -

市場 東証一部
業種 卸売業(商業)
社長 高岡 伸夫
所在地 和歌山県海南市南赤坂20-1
決算 1月20日
HP http://takasho.co.jp/

- 株式情報 -

株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
432 14,578,329 6,298百万円 4.2% 100
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00 2.3% 25.52 16.9 582.84 0.7

*株価は3/15終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROE、BPSは19/1期実績、EPSは20/1期予想。数値は四捨五入。

- 連結業績推移 -

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

配当

2010年1月(実)

12,756

580

584

296

35.00

14.00

2011年1月(実)

13,019

687

657

339

40.34

14.00

2012年1月(実)

14,969

708

690

315

37.86

14.00

2013年1月(実)

16,751

881

956

422

43.80

15.00

2014年1月()

18,069

1,006

973

508

43.04

19.00

2015年1月()

18,484

603

679

323

26.31

17.00

2016年1月()

17,853

722

597

240

19.63

17.00

2017年1月()

17,223

503

322

152

12.39

6.00

2018年1月()

17,489

607

571

228

18.59

10.00

2019年1月()

17,759

514

333

338

25.04

10.00

2020年1月()

18,634

648

542

372

25.52

10.00

*予想は会社予想。(単位:百万円、円)

 

タカショーの2019年1月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。

― 目次 ―

今回のポイント

1.会社概要

2.事業展開

3.2019年1月期決算

4.2020年1月期業績予想

5.中期計画

6.今後の注目点

今回のポイント

  • 19/1期は前期比1.5%増収、41.7%経常減益。国内プロユース部門では大型エクステリア商品等の販売が順調に推移した。海外では、ベジトラグ・ブランド商品の展開により大型ホームセンターとの新規口座開設や定番商品の投入等により増加した。利益面では、為替や人材採用や運賃高騰の影響、さらにTakasho Europe GmbHの清算に伴う費用が発生したこと等により営業利益は15.4%減、営業外では為替差損を計上した。法人税の減少に伴い親会社株主に帰属する当期純利益は48.3%増。
  • 20/1期は前期比4.9%増収、62.5%経常増益を計画する。海外では特に販売網を再構築した欧州での売上拡大を目指す。利益面では、業務効率を改善し生産性向上の強化を図るため、AI・AI-OCRならびにRPAの運用推進により経費削減に努める考え。配当は1株当たり10円の期末配当を見込む。中期計画では25/1期までの目標を掲げている。
  • 生産・販売体制はグローバルでより整備され、強化されつつある。生産では中国工場が本格的に軌道に乗りそう、販売面では再構築した欧州の動向に注目したい。中期計画では新たに25/1期の目標も掲げた。中期計画を達成すればEPSは21/1期が30円超、22/1期は40円超、25/1期には80円超が想定される。PBRは1倍を大きく割り込んでいる。国内外の今後の利益改善余地や中期計画の利益水準も考慮すると株価の見直し余地は大きい。

1.会社概要

「やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトに、人工・天然の竹木製フェンスやガーデンファニチャー、緑化資材等の庭園資材を製造・販売。LED(発光ダイオード)ライト等の照明機器、池・滝・噴水等のウォーターガーデンや坪庭等も手掛けている。戦後、素材から業種型、そして業態産業へと移行、同社はより良い庭くらしのライフスタイルメーカーとして成長してきた。心身の健康と家族の笑顔ある暮らしの提供を目指す。また、常に変化を先取りして新たな価値を創造し、広く都市環境庭文化に貢献するグローバルなオンリーワン企業を目指している。ミッションとして「より良い庭での暮らしをグローバルに提供する企業」と掲げている。
製造は国内及び中国、販売は国内のみならず、欧州、アジア、オセアニア、アメリカへも展開。商品の企画から製造、販売までを一貫して手掛けるグループ力を強みとし、日本においても確立した市場となりつつある「ガーデニング市場」のリーディングカンパニーとして期待されている。子会社は国内7社、海外13社。1998年に9月にジャスダックに上場、2017年10月19日より東証二部へ、2018年7月9日には東証一部へ市場変更している。

 

会社概要
設立日 1980年8月
上場日 1998年9月(ジャスダック)
2017年10月より東証二部
2018年7月より東証一部
資本金 18億2,086万円
国内拠点 6支店、10営業所
国内子会社 7社
海外拠点 6事業所(豪、独、中、韓、ベトナム)
海外子会社 13社(英、米、独、豪、中、印)
従業員数 760名(連結)

 

グループ事業系統図

(同社資料より)

 

【販売ルート】

事業部門は、販売ルート別に設計・施工が必要なハウスメーカーや工務店向け「プロユース」、ホームセンターへの卸売を中心にした一般消費者向け「ホームユース」、「輸出」に分かれる。売上構成比は、それぞれ60%、30%、9%(19/1期実績)。着実に売上を伸ばす中、ここ数年間では特にプロユース事業が伸びている。

 

販売セグメント別売上比率

 

「プロユース」では、プロユーザー向けのカタログ「PROEX(プロエクス)」を業界最大の約25万冊印刷し、造園業者、設計士、エクステリア施工店、商業施設等にダイレクトメールで配布している。カタログには商品を使った庭園イメージの写真が掲載されており、この写真を見ながら実際に施工する場所と庭園の簡単な図面を書いてファックスもしくはWebで発注すると、CAD(コンピュータによる設計支援システム)、CG(コンピュータ映像)を駆使した完成予想図と共に見積書を無償サービスで返送し、正式な注文があれば商品を短納期する仕組み作りが確立している。

2.事業展開

【プロユース事業】

ハウスメーカーとの取組みでは、「エバーアートウッド」等が高い評価を受けており、大手メーカーのエクステリア&ガーデンカタログに掲載される商品が増えている。「5th ROOM」(庭は、リビング、ダイニング、キッチン、ベッドルームに続く5番目の部屋であり、家と庭の持つ良い部分を重ね合わせた空間である)を提案、販売戦略ではマス(大量販売)・カスタマイゼーション(顧客ニーズ提供)を掲げそれぞれの顧客ライフスタイルを提供する。

 

(同社説明資料より)

 

ガーデン(庭)に加えて、エクステリア、コントラクトを製品の主軸と位置付け、新築、リフォーム、リノベーションへの製品を投入する。
販売はリアル(カタログ)とネット(WEBツール)を併用する。IT&WEBサービスでは無料見積サービスなどを提供し、全国にあるショールームへ誘導する。大阪には新たなショールームを開設した。

 

(同社資料より)

 

エクステリア(新築外構)、ガーデン(庭での暮らしの提案)、コントラクト(非住宅市場向け建材、外装)に力を入れている。「ガーデンとは、囲われた楽園。囲うものが無ければガーデンは成り立たない」という独自の発想の下、この囲うものをエクステリアと捉え、タカショーらしい独自性を重視した製品開発を進めている。
14年10月には屋外照明の100%LED化を実現した。「タカショーローボルトライトシステム」は一般社団法人HEAD研究会主催の「第4回ベストセレクション賞」を受賞して評価を受け、市場への知名度も上がっている。
コントラクト(非住宅市場向け建材、外装)分野では、景観建材事業を展開している。「エバーアートウッド」や「エバーバンブー」等の提案を強化していく考え(「エバーアートウッド」は国土交通省から不燃材料として認定されており、外装だけではなく、内装にも対応可能)。豊富な商品の組み合わせにより、各施設にふさわしい庭空間、建物外観や内装をトータルに提案、全国で数多くの納品事例を誇る。

 

(同社資料より)

 

大量販売と顧客のニーズに応える「マス・カスタマイゼーション」戦略を推進する中、現場ですぐに取り付けられるエクステリアのパッケージ化も推進している。

 

(同社資料より)

 

プロユース製品は国内で製造される。和歌山県海南市にあるガーデンクリエイト(株)ではインクジェットプリンターを導入、さらに規模拡大を計画している。栃木県鹿沼市の(株)ガーデンクリエイト関東では自動ラッピングマシンを導入。

 

(同社資料より)

 

また、庭のプロフェショッナル集団を目指す「リフォームガーデンクラブ」を通じて問屋や施工店とのコミュニケーションを図る。「エクステリア&ガーデンマイスター制度」や「ウォーターガーデンマイスター制度」、「ガーデンライティングマイスター制度」といった制度を設立した。17年3月にライティングマイスターは受講者5,000名を突破した。新たに「ガーデンセラピーコーディネーター」資格の認定制度を設け、17年11月には資格認定制度のセミナーも開かれた。
業界の活性化に向けた取り組みも盛況だ。取引先を対象に来期に向けた商品政策等を見ることができる自社展示会「タカショーガーデン&エクステリアフェア」が例年7月に行われ、盛況となっている。昨年は7月27日、28日に開かれ、入場者数は3,720名に及んだ。施工店へのネットワークに対しても積極的に支援している。タカショーリフォームガーデンクラブの会員数は700社を突破した。

【ホームユース事業】

ホームユースは国際的に事業展開する。中国の九江で生産し、国内を含めてグローバルに販売する。販売ルートはネットとリアルを絡めたブランド戦略を採っている。

 

同社資料より

 

中国の九江工場は7万㎡から10万㎡に増床計画

 

(同社資料より)

販売におけるグローバル展開

販売は広範囲で展開している。米国においては、15年2月に同社100%子会社である英国の販売会社(ベジトラグ社)100%出資の「ベジトラグUSA」を設立し、米国への販売の強化を進めている。また、16年5月にはベトナムにショールームを設立した。また、有望市場であるインドにも子会社を設立した。
この他、ドイツ、オーストラリア、韓国に展開している。ワールドワイドに展開するためには、ガーデニング市場が4兆円規模と言われている英国(日本は6,000億円程度)のような大きなマーケットに販社を置く必要があると言う。
グローバルサイト「VegTrug.com」の運営を開始した。イギリス、アメリカ、オーストラリアで販売開始。

 

3.2019年1月期決算

(1)連結業績

(単位:百万円)

18/1期

構成比

19/1期

構成比

前期比

期初予想

予想比

売上高

17,489

100.0%

17,759

100.0%

+1.5%

18,490

-4.0%

売上総利益

7,592

43.4%

7,680

43.2%

+1.2%

販管費

6,984

39.9%

7,166

40.4%

+2.6%

営業利益

607

3.5%

514

2.9%

-15.4%

457

+12.4%

経常利益

571

3.3%

333

1.9%

-41.7%

436

-23.6%

親会社株主に帰属
する当期純利益

228

1.3%

338

1.9%

+48.3%

273

+23.9%

※数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前期比1.5%の増収、経常利益は41.7%減

売上高は前年同期比1.5%増の177億59百万円。
ガーデニング業界においては、各種政策効果による下支えの影響を受け新設住宅着工戸数はやや持ち直し感はあるものの前年に比べ減少している。さらに猛暑による工事の停滞や自然災害における復旧工事により全国的に資材と作業員が不足しており、依然として厳しい状況が続いている。こうした状況下、庭は家での暮らしにおける5番目の部屋である「5th ROOM」に基づき、庭からできる省エネ、節電、安全をテーマとした「SMART LIVING GARDEN」や家族が笑顔で健康になる庭をテーマとした「ガーデンセラピー」等、自然や季節を楽しむ心地良い庭での暮らしを目的とする新商品の拡充を図るとともに、今後のガーデン・ライフスタイルを提案する自社展示会TGEF2018(タカショーガーデン&エクステリアフェア2018)を開催する等、販売活動の強化を図った。
国内の売上高については、プロユース部門ではアルミ製人工木「エバーアートウッド」ならびに木、石、塗り壁、和風など様々な天然素材を再現したアルミ複合板「エバーアートボード」を用いた大型エクステリア商品等の販売が順調に推移した。さらにインバウンドの影響を受け商業施設やホテルなどコントラクト分野において人工強化竹垣「エバーバンブー」関連商品も販売を伸ばした結果、売上高は前期比増加した。また、現場ですぐに取り付けられるエクステリアのパッケージ化も進め、現場に合わせて製造・提供できる『マスカスタマイゼーション』により現場の人手の解消や、建築作図の際にエクステリア&ガーデンのデザイン設計のできるシステムも整い、住宅と庭の同時提案ができる画期的なシステム開発にも注力した。さらに、室内専用の「エバーアートボード」を発売し、建材としての販路拡大を図った。
ホームユース部門では梅雨明けの早期化ならびに猛暑の影響により日除け商品の販売が拡大し、冬場の季節商品であるイルミネーションも順調に販売を伸ばしたものの、取引先において在庫調整等による販売量の減少により売上高は前期比減少した。こうした中、今後、若い世代のガーデニングへの参加を推進するIoTを取り入れた「Grow Care」(スマートガーデニング)の開発に注力した。
海外の売上高については、ホームユース部門における取扱商品の供給元を当社中国製造子会社に集約し原価コスト削減、生産性の向上を図った。こうした中、販売子会社においてベジトラグ・ブランド商品の展開により大型ホームセンターとの新規口座開設や定番商品の投入、また韓国においては地域ビルダーとの取引が順調に推移し、アートウッド関連商品の販売が増加したこと等により売上高は前期比増加した。
さらに、同社の企業価値向上を目的にガーデニング市場の拡大を図るため、WEBにおけるガーデンに関する情報を配信するガーデントレンドスペシャルサイト「ガーデンストーリー」(gardenstory.jp)の展開やガーデナーズジャパンによる「つくろう」ブランドを用いた寄せ植えや花壇づくり等のガーデニングレシピ(tsukurou-tsukurou.com)の配信など、ガーデニング人口を拡大する取組みもスタートした。
海外展開においては、業績が不振であったTakasho Europe GmbHを解散すると同時に、イギリスに本社を置くVegTrug Limitedの子会社としてドイツにVegTrug Europe GmbHを設立した。欧州地域におけるベジトラグ・ブランド商品をベースとする園芸資材を、ホームセンターやガーデンセンターにおいて展開している。また、エバーアートウッドを中心としたエクステリア商品の展開を目的にEU支店(ドイツ)を開設し、欧州地域における販売体制を再構築した。さらに、国際市場の拡大において、近年経済成長が堅調で有望な市場であるインド地域における展開を目的にTakasho Garden Living India Private Limitedを設立した。
利益面では、為替変動による売上原価の上昇を、グループ会社において企画・製造・販売の一貫体制を構築し自社製品比率を高めるなどの施策が進み、海外販売子会社の粗利率が安定してきたことで抑制できた。しかし、販管費において販売力強化および生産量増加に向けた人材の採用や運賃の高騰の影響およびサーバー老朽化によるシステム移行費用、さらにTakasho Europe GmbHの清算に伴う費用が一部発生したこと等により営業利益は前期比15.4%減の5億14百万円となった。また、為替変動リスクを回避すべく手段を講じたものの、為替差損を計上したことから、経常利益は前期比41.7%減の3億33百万円となった。繰越欠損金と税効果会計の影響から法人税等が減少したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比48.3%増の3億38百万円となった。
会社計画との比較では、国内ではプロユース事業における猛暑・台風等天候による工事遅れの影響があった。ホームユース事業では、猛暑で日除け関連商品の売上は伸びたものの、取引先の在庫調整による販売量の減少があった。海外ではEU市場再編の影響を受けて、一時的に売上が伸び悩んだ。利益面では企画/製造/販売で自社生産品販売への移行で粗利率が改善したことに伴い営業利益は計画を上回った。営業外では為替差損の計上に伴い、経常利益は計画を下回った。親会社会社に帰属する当期純利益は税効果及び税負担減少により計画を上回った。

 

主要販管費

(単位:百万円)

18/1期

売上比

19/1期

売上比

前期比

人件費

2,731

15.6%

2,754

15.5%

+0.8%

発送費

1,033

5.9%

1,098

6.2%

+6.3%

販促・広告

696

4.0%

689

3.9%

-1.0%

賃借料

524

3.0%

569

3.2%

+9.2%

支払手数料

495

2.8%

565

3.2%

+14.1%

販管費合計

6,984

39.9%

7,166

40.4%

+2.6%

 

(2)セグメント別動向

販売セグメント別売上高

(単位:百万円)

19/1

構成比

予算

プロユース事業

10,590

59.6%

-1.7%

ホームユース事業

5,434

30.6%

-2.7%

国際事業

1,741

9.8%

-18.2%

その他

7

連結売上高

17,759

100.0%

-3.9%

 

プロユース事業

主力商品である、エバーアートウッドおよびエバーアートボード関連商品の売上が伸長するも、猛暑や台風等天候が工事進行に影響を与えた。

 

ホームユース事業

海外販社との直接取引への移行および販売先における在庫調整の影響を受けた。

 

国際事業

海外販社においてアメリカでの売上が増加したものの、イギリスにおいて大手ホームセンターの売却問題等で市場が混乱した。

 

報告セグメント別売上高・利益

(単位:百万円)

 

18/1

構成比

19/1

構成比

前期比

日本

16,208

77.4%

16,031

77.4%

-1.1%

欧州

1,141

5.5%

868

4.2%

-23.9%

中国

3,192

15.2%

3,181

15.4%

-0.3%

韓国

74

0.4%

98

0.5%

+32.1%

米国

194

0.9%

353

1.7%

+82.0%

その他

125

0.6%

170

0.8%

+35.7%

全社・消去

-3,446

-2,944

連結売上高

17,489

100.0%

17,759

100.0%

+1.5%

日本

646

86.2%

508

117.8%

-21.3%

欧州

-104

-244

中国

255

34.0%

192

44.6%

-24.6%

韓国

-50

-33

米国

14

2.0%

1

0.3%

-91.8%

その他

-11

7

1.7%

連結調整

142

82

連結営業利益

607

514

-15.4%

 

日本

売上高は前期比1.1%減の160億31万円。セグメント利益は同21.3%減の5億8百万円。エバーアートウッド、エバーアートボード、ライティングなどの新商品の販売が順調に推移するなか、エバーアートウッドが建材としても使用されることにより、プロユース部門の売上は増加した。しかし、ホームユース部門では、新商品を投入する等売上の増加に努めたが、同社施策により為替リスクを軽減させる目的で当事者会社間の直接取引に変更したことから売上が減少した。利益面では、販管費を抑制したものの、為替変動による売上原価の上昇に伴い売上総利益率が悪化した。

欧州

売上高は前期比23.9%減の8億68百万円、セグメント損失2億44百万円(前期は1億4百万円の損失)。ドイツ販売子会社の清算手続き開始の影響やイギリスの大手ホームセンター売却問題による市場の混乱の影響等により減収となった。売上減の影響やドイツ販売子会社の清算費用が発生した結果、損失が増加した。

中国

売上高は前期比0.3%減の31億81百万円。セグメント利益は同24.6%減の1億92百万円。親会社からの商圏の移管を受けたことや、自社生産品への集約が進むことで外部顧客への売上は前期比43.3%増の8億66百万円となった。利益面では、為替変動の影響により原価率が上昇したことや設備投資による減価償却費の増加や賃借料の増加等により減益となった。

韓国

売上高は前期比32.1%増の98百万円、セグメント損失33百万円(前期は50百万円の損失)。ホームセンターへの導入アイテム増加や地域ビルダーとのエクステリア関連商品の販売が順調に推移したことにより増収。売上の増加に伴いセグメント損失は縮小した。

米国

売上高は前期比82.0%増の3億53百万円、セグメント利益は同91.8%減の1百万円。大型ホームセンターとの新規口座開設やテレビショッピングを主体とした通信販売会社との取引拡大により増収となった。利益面では、販売強化に伴う倉庫料等の増加により減益となった。

その他

売上高は前期比35.7%増の1億70百万円、セグメント利益は7百万円(前期は11百万円の損失)。大型ホームセンターとの取引が順調に伸びたことから増収、売上の増加に伴い黒字に転じた。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

(単位:百万円)

 

18年1月

19年1月

18年1月

19年1月

現預金

2,587

3,210

仕入債務

3,254

3,049

売上債権

2,951

3,187

短期有利子負債

4.941

5,326

たな卸資産

4,896

4,877

流動負債

9,459

9,720

流動資産

11,453

12,252

長期有利子負債

591

379

有形固定資産

4,799

5,127

固定負債

799

559

無形固定資産

392

335

純資産

7,575

8,581

投資その他

1,189

1,147

負債・純資産合計

17,835

18,861

固定資産

6,381

6,609

有利子負債合計

5,533

5,706

※ 有利子負債は借入金+リース債務

 

19/1期末の総資産は前期末比10億26百万円増の188億61百万円となった。
流動資産は、前期末比7億98百万円増の122億52百万円となった。主に現預金623百万円、売上債権165百万増加によるもの。
固定資産は、前期末比2億28百万円増の66億9百万円となった。主に、建設仮勘定465百万円増加によるもの。
負債合計は、前期末比20百万円増の85億81百万円となった。
流動負債は、前期末比2億60百万円増の97億20百万円となった。主に短期借入金455百万円増加によるもの。
固定負債は、前期末比2億40百万円減の5億59百万円となった。主な要因は、運転資金を長期借入金から短期借入金へ移行させたことにより、長期借入金が前期末比2億8百万円減となったこと等によるもの。
純資産は、前期末比10億5百万円増の85億81百万円となった。主な要因は、公募増資による資本金5億13百万円、資本剰余金5億13百万円増加によるもの。
自己資本比率は前期末比3.0ポイント上昇し45.0%となった。

 

キャッシュ・フロー

(単位:百万円)

 

18/1期

19/1期

前期比

営業キャッシュ・フロー

1,307

433

-874

-66.8%

投資キャッシュ・フロー

-575

-801

-225

フリー・キャッシュ・フロー

732

-367

-1,099

財務キャッシュ・フロー

-310

1,043

1,354

現金及び現金同等物上期末残高

2,587

3,210

623

+24.1%

 

19/1期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比6億23百万円増加し、32億10百万円となった。
営業CFは、4億33百万円の収入(前期は13億7百万円の収入)となった。主な要因は、税金等調整前当期純利益3億28百万円、売上債権の増加額2億64百万円となったこと等によるもの。
投資CFは、8億1百万円の支出(前期は5億75百万円の支出)となった。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が7億13百万円等によるもの。
財務CFは、10億43百万円の収入(前期は3億10百万円の支出)となった。主な要因は、新株の発行による収入10億14百万円、短期借入れによる純収入5億円があったこと等によるもの。

4.2020年1月期業績予想

連結業績

(単位:百万円)

19/1期 実績

構成比

20/1期 予想

構成比

前期比

売上高

17,759

100.0%

18,634

100.0%

+4.9%

売上総利益

7,680

43.2%

7,939

42.6%

+3.4%

販管費

7,166

40.4%

7,291

39.1%

+1.7%

営業利益

514

2.9%

648

3.5%

+26.0%

経常利益

333

1.9%

542

2.9%

+62.5%

親会社株主に帰属
する当期純利益

338

1.9%

372

2.0%

+9.9%

 

4.9%の増収、同62.6%の経常増益予想

20/1期は売上高が前期比4.9%増の186億34百万円、経常利益は同62.5%増の5億42百万円を計画する。
同社が提唱する庭は家での暮らしにおける5番目の部屋である「5th ROOM」に基づき、庭でのライフスタイルメーカーとしてのブランド力の向上を図る。また、国内においては、販売活動の強化ならびに製造部門の設備の拡大を図り、さらなるガーデニング及びエクステリア製品の販売を強化する。また、若い世代のガーデニングへの参加を推進するIoTを取り入れた「Grow Care」(スマートガーデニング)の更なる開発を行う。利益面では、業務効率を改善し生産性向上の強化を図るため、AI・AI-OCRならびにRPA(ロボティクス・プロセス・オートメイション)の運用推進により経費削減に努める考え。
グローバル展開においては、欧州地域における販売戦略の再構築を図るため立ち上げたVegTrug Europe GmbHが本格稼働する。また、同社取扱商品であるエバーアートウッドを中心としたエクステリア商品の拡販を目的とし、同商品の販売が順調に推移している韓国および豪州と同様にEU支店の開設により、欧州地域に対する売上拡大に努める。さらに、中国の製造部門において、工場増築により生産量を拡大し、欧州、アジア、オセアニア、北米地域への販売活動の強化を図る。

5.中長期計画

~ビジョン~
これからは生活向上型
『健康、心身の豊かさ、幸せ、楽しさ』
家と庭を同時に考え、住まい心地、緑とともにある暮らしを提供

 

中長期計画の経営戦略

中長期計画に向けての経営戦略

住まい型療法と住宅コミュニティーの推進

中古住宅をEX・ガーデンで再生

非住宅に庭付け付加価値型市場に

乾式商品、パッケージ商品で施工の生産性向上

販売組織化とネットワーク化で独自のルートの確立

ガーデンエクステリアのITプラットフォームでNO.1

AI、RPA導入による生産性向上

 

中期計画では22/1期に売上高225億円、経常利益9億60百万円を目指す。また、25/1期には売上高300億円、経常利益19億80百万円の計画を掲げる。

(単位:百万円)

 

19/1期 実績

20/1期 計画

21/1期 計画

22/1期 計画

25/1期 計画

売上高

17,759

18,634

20,500

22,500

30,000

プロユース

10,590

11,241

11,952

12,668

16,000

ホームユース

5,434

5,865

6,446

7,070

9,000

国際

1,741

1,553

2,101

2,762

5,000

営業利益

514

648

820

1,013

2,040

経常利益

333

542

780

960

1,980

親会社株主に帰属
する当期純利益

338

372

480

600

1,230

6.今後の注目点

生産・販売体制を構築中であり、19/1期の売上は伸び悩み、営業・経常利益は減益となった。しかし、グローバルでその体制はより整備され、強化されつつある。むしろここまでの体制整備で減益幅を抑えられた印象すらある。生産では中国工場が本格的に軌道に乗りそう、販売面では再構築した欧州の動向に注目したい。
中期計画では新たに25/1期の目標も掲げた。中期計画を達成すればEPSは21/1期が30円超、22/1期は40円超、25/1期には80円超が想定される。
PBRは1倍を大きく割り込んでいる。国内外の今後の利益改善余地や中期計画の利益水準も考慮すると株価の見直し余地は大きい。

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態および取締役・監査役の構成>

組織形態 監査役会設置会社
取締役 6名、うち社外2名
監査役 3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書

最終更新日:2018年4月23日。

 

<基本的な考え方>

同社は、健全で透明性が高く、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応するための経営の意思決定の効率性を確保したコーポレート・ガバナンスの構築が重要課題と認識し取り組んでいる。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則 実施しない理由
【補充原則1-2-4】 議決権の電子行使プラットフォーム導入や招集通知の英訳につきましては、現在機関投資家や海外投資家の比率が比較的低いため、採用しておりません。今後、株主構成の変化等の状況に応じて検討して参ります。
【補充原則3-1-2】 英語での情報開示につきましては、人員・コスト面から費用対効果を鑑み、海外投資家の比率が比較的低いため、採用しておりません。今後、株主構成の変化等の状況に応じて検討して参ります。
【補充原則4-8-1】 現在、独立社外取締役のみを構成員とする定期的な会合等は実施しておりませんが、各取締役や監査役とも意見交換を行い、取締役会では、積極的に議論に参加し発言を行うなど、独立社外取締役としての役割・責務を十分に果たしていただいているものと認識しております。

 

<開示している主な原則>

原則 その理由
【原則1-4 政策保有株式】 (1)政策保有に関する方針
営業上の取引関係の維持・強化に繋がるか、事業活動の円滑な推進等を通じて当社の中長期的な企業価値の向上に結びつくか等を総合的に判断し、保有できるものとします。政策保有株式のうち、主要なものについては、保有する上での中長期的な経済合理性や取引先との総合的な関係の維持・強化の観点からの保有効果等について検証し取締役会において報告を行います。
(2)政策保有株式に係る議決権行使の基準
当社と投資先企業双方の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に適うか否かを基準に、投資先企業の株主総会議案の内容を精査し、議決権を行使することとしております。
【原則4-8 独立取締役の有効な活用】 当社では、社外取締役を2名選任し、その2名が独立社外取締役という構成となっており、取締役会において独立、中立の立場での意見を踏まえた議論を可能にしております。今後も、高い専門性と豊富な経験をもった複数名の独立社外取締役が選任できるように候補者の選定に努めて参ります。

 

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

このページのトップへ