ブリッジレポート(6044)三機サービス 8月発表予定の中期経営計画注目
中島 義兼 社長 |
株式会社三機サービス(6044) |
- 会社情報 -
市場 | 東証1部 |
業種 | サービス業 |
代表取締役社長 | 中島 義兼 |
所在地 | 兵庫県姫路市阿保甲576-1 |
決算月 | 5月末日 |
HP | http://www.sanki-s.co.jp/ |
- 株式情報 -
株価 | 発行済株式数 | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
1,413円 |
5,811,385株 |
8,211百万円 |
25.5% |
100株 |
|
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
30.00円 |
2.1% |
100.19円 |
14.1倍 |
443.27円 |
3.2倍 |
*株価 1/24終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROEは前期実績。BPSは第2四半期末実績。
- 業績推移 -
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
税引前利益 |
当期利益 |
EPS |
DPS |
2013年5月(実) |
5,419 |
144 |
149 |
166 |
44.90 |
0.00 |
2014年5月(実) |
5,481 |
295 |
289 |
164 |
42.80 |
0.00 |
2015年5月(実) |
5,897 |
366 |
359 |
213 |
54.11 |
15.00 |
2016年5月(実) |
6,617 |
394 |
357 |
251 |
45.85 |
15.00 |
2017年5月(実) |
8,777 |
538 |
533 |
360 |
64.53 |
20.00 |
2018年5月(実) |
11,148 |
777 |
776 |
527 |
93.76 |
28.00 |
2019年5月(予) |
12,500 |
875 |
869 |
580 |
100.19 |
30.00 |
*予想は会社側予想。2015年1月17日付で1:5、同年12月1日付で1:3の株式分割を実施。EPS、DPSは遡及して調整。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。
株式会社三機サービスの2019年5月期第2四半期決算概要などをお伝えします。
― 目次 ―
今回のポイント
- 19年5月期第2四半期の売上高は前年同期比12.4%増の59億31百万円。前期に続きコンビニ・スーパーなど小売業向け業務が続伸。売上構成比は6割まで成長。営業利益は同3.0%増の3億93百万円。高利益率の省エネ工事案件が少なかったため粗利率が0.7%低下したことに加え、成長のための体制強化で人件費が増加。海外事業開発コスト増もあり、小幅増益にとどまった。売上高、営業利益、四半期純利益はすべて過去最高を更新したが、一部案件の期ずれもあり期初計画を若干下回った。
- 通期予想に変更は無い。19年5月期の売上高は前期比12.1%増の125億円の予想。引き続き堅調なトータルメンテナンス、省エネ工事需要を取り込む。営業利益は同12.6%増の8億75百万円を見込む。配当は前期より2円/株増配の30.00円/株を予定。予想配当性向は29.9%。
- 同社の売上、利益は第2四半期、第4四半期に偏重する季節特性があるが、上期までの進捗では、売上はほぼ例年並み、営業利益はややスローなようである。ただ、省エネ事業の期ずれ案件も予定通り下期に消化する見込みであり、第3四半期、第4四半期でどれだけ上積みを進めていくかを、加えて8月発表予定の中期経営計画の詳細も注目したい。
1.会社概要
店舗や各種施設を対象に空調設備、厨房機器、冷凍・冷蔵設備等のメンテナンスを一括して行う「トータルメンテナンス事業」、メーカーサービス指定店としてパナソニックグループ製大型空調機器のメンテナンスや設備更新、改修工事などを手掛ける「メーカーメンテナンス事業」、業務用大型空調機向けの省エネ化工事やLED工事などの省エネ化に関する「省エネ事業」を展開。高い技術力、安定したストックビジネスなどが大きな強み。メーカーメンテナンス事業の安定した成長をベースに、トータルメンテナンスサービス事業および海外事業の拡大と収益性向上を目指す。
【1-1 沿革】
大型空調機販売の全国展開を目指していた三洋空調システムサービス株式会社(現パナソニック産機システムズ株式会社)が、各地域における据付・組立・試運転及び保守管理業務を委託するメーカーサービス指定店を探していた中、1976年10月、株式会社兵庫機工が機械事業部の事業の一環として業務を受託する事となった。
1977年7月には、株式会社三機サービスを設立し、「メンテナンス事業」を本格的にスタートさせた。
三洋空調システムサービスの大阪センター事務所内に三機サービスの大阪センターを開設するなど、当初から両社の関係は強固なものであったことに加え、事業展開をスピーディーに進めたい三洋空調システムサービスのニーズに的確に対応し、社員の積極採用や技術訓練を含めた教育の充実など体制作りに注力したこと等を高く評価され、大阪地域以外での受託も行う事となり、1977年10月東京センター、1978年4月名古屋センターを相次いで開設し、東名阪での事業展開が加速した。
その後、神戸、札幌にも事業所を開設し、全国展開を進めていく。1998年9月には中国上海市に空調機器の保守・メンテナンス業務を目的とした上海三機大楼設備維修有限公司を設立した。
一方、2000年9月には24時間365日対応のコールセンターを開設。現在のもう一つの事業である「トータルメンテナンス事業」の全国展開を開始した。2012年2月には中国でのトータルメンテナンス事業を加速させるため上海市に24時間365日対応のコールセンターを開設。
2015年4月に東証JASDAQ市場に上場。2016年4月に東証2部へ、2017年4月には上場2年で東証1部へ市場変更となった。
【1-2 企業理念など】
1.私達は、技術革新と研鑽を通して、地域社会に貢献します。 |
2.私達は、お客様第一主義を通して、チャレンジ精神で仕事に精進します。 |
3.私達は、仕事を通して人間成長し、心豊かな人生を築きます。 |
この他、顧客からの「信頼を築く5つの行動」として、「約束」、「挨拶」、「対話」、「若さ」、「技能」を掲げている。
【1-3 市場環境など】
後述するように、空調、冷暖房、厨房などの各種機器を用いる飲食店、小売店においてはデフレ環境下、売上の大幅増が期待しがたい中で、競争を勝ち抜くためにはコスト管理が最重要ポイントとなる。
特にチェーン店化を進めている場合、各機器を全国規模・同一基準で管理することによるトータルコストの削減へのニーズが強い。
同社ではトータルメンテナンス事業の市場規模を約3兆円(※)と推定しており、この巨大市場の開拓を積極的に推進していく考えだ。
※主要顧客3業態(飲食、流通、娯楽関連)の全国チェーン売上高の3%をメンテナンスコストと仮定
主な同業他社としては、上場企業では日本空調サービス株式会社(4658、東証1部)、シンメンテホールディングス株式会社(6086、東証マザーズ)などがあり、非上場企業も数社が競合となっている。トータルメンテナンス事業においては機器メーカーのサービス部門等も競合となる。
これら競合に対し同社は、「24時間365日対応のコールセンターの充実」、「全国緊急対応が可能」、「WEBを含めたシステム化が先行」、「メーカーの機種を問わず対応が可能」といった点が強みであると自己分析を行っている。
(単位:百万円、倍、%)
コード |
会社名 |
売上高 |
増収率 |
営業利益 |
増益率 |
営業利益率 |
時価総額 |
PER |
PBR |
ROE |
4658 |
日本空調サービス |
48,000 |
+5.6% |
2,500 |
+0.8% |
5.2% |
22,830 |
14.0 |
1.4 |
10.0 |
6044 |
三機サービス |
12,500 |
+12.1% |
875 |
+12.6% |
7.0% |
8,391 |
14.4 |
3.3 |
25.5 |
6086 |
シンメンテHD |
13,300 |
+35.1% |
500 |
+51.1% |
3.8% |
12,198 |
37.7 |
5.8 |
18.6 |
*売上高、営業利益は各社の今期予想。ROEは前期実績。時価総額、PER、PBRは2019年1月22日終値ベース。
【1-4 事業内容】
1.事業分野
「トータルメンテナンス事業」、「メーカーメンテナンス事業」、「省エネ事業」の3事業を展開。
※17年5月期までは、報告セグメントとして「空調機器メンテナンス事業」、「トータルメンテナンス事業」の2セグメントとしていたが、18年5月期より各事業部別に配置していた営業担当を集約し窓口を一本化すること及び自社メンテナンスエンジニアを一括管理し多能工化を推進することによって、全社の生産性を上げ、迅速かつ付加価値の高いサービスを提供することを目的に、会社組織を変更している。こうした会社組織の変更を含む事業展開、経営管理体制の実態等を踏まえ、報告セグメントについて再考した結果、グループの事業を一体として捉えることが合理的であり、事業セグメントは単一セグメントが適切であると判断した。
①トータルメンテナンス事業
メーカーメンテナンス事業で培った技術を活かして更に大きな市場での事業展開を目指していくのがトータルメンテナンス事業である。
(同社資料より)
主な顧客である飲食業、小売業のチェーン店等を対象に、空調機器・厨房機器・冷凍冷蔵設備・電気設備・給排水衛生設備・消防設備等の保守・管理業務をメーカーや機器品種を問わず一括してメンテナンスを請け負っている。
飲食・小売業界では長引くデフレ環境の下、資金力やスケールメリットで優位に立つチェーンストアがそのシェアを拡大している。しかしチェーンストアにおいても売上の急拡大は難しく、競争を勝ち抜くためにはコスト管理が最重要課題となっている。
そうした状況下にもかかわらず、多くのチェーンストアは、チェーン本部自体または店舗ごとに、各機器それぞれの専門業者に修理や点検、トラブル対応を依頼しているため、本業に集中しにくいことに加え、サービスの品質、作業後の報告レベル、価格にはバラツキがあり、時間および金額の点で適切なコスト管理が実際には出来ていない。
これに対し同社ではチェーン本部と一括契約をすることにより各機器の全国規模での同一基準による集中管理を提供しているため、サービスの品質や価格は同社がコントロールするほか、依頼や報告は同社に一本化され、顧客企業は本業に集中し、適切なコスト管理も行うことができる。
(同社資料より)
これに加え、24時間365日対応のコールセンターによる即応体制、Webサイトを活用した修理報告のほか、機器の使用状況・経年劣化の状況等のデータから導き出したリスク予測フォーマットのリアルタイムでの提供なども行っており、トラブルで営業を止めるわけにはいかない飲食・小売業のニーズに的確に対応している。
また、年度予算作成や停電作業立会いといった代行業務や、法改正対応や行政届出対応などコンプライアンス対応、新規出店や店舗改装時の警備計画立案、清掃・防虫防鼠、テナント入れ替え対応もカバーしている。
このように、単純な修理や故障対応にとどまらず、アウトソーシングの活用による費用低減のみではない間接コストも含めた「トータルコストの最適管理」を提供できる点が同社の強みであり、経営資源を重点分野に集中させたい顧客企業から高い評価を得ている。
全国11拠点に在籍する約200名の同社メンテナンスエンジニアに加え、メンテナンス業務委託先であるパートナー(全国約2,000社)が顧客店舗へ赴き作業にあたる。
≪トータルメンテナンス事業における提案例≫
【事例1.大手コンビニエンスストアチェーンに対する空調メンテナンス一括管理提案】
対象店舗数:約20,000店舗
対象エリア:全国
受付体制:24時間365日
(ヒアリングを通じた顧客の現状および課題)
✧従来は専門ではない業者に委託していたが、空調トラブルが減らず逆に増加傾向にあった。
✧蓄積されるデータが活用されず、改善に活かせていなかった
こうした状況に対し、同社では以下の提案を行った。
➣空調の定期洗浄・定期点検を実施することで、突発修理の低減を図ることができる。
➣空調に強い同社が管理することで、データを活かした改善提案が可能である。
【事例2.日本最大級の大手中食(お弁当)チェーンへコールセンター修理受付提案】
対象店舗数:約3,000店舗
対象エリア:日本全国
受付体制:24時間365日
(ヒアリングを通じた顧客の現状および課題)
✧本部の管理負担が大きくなり、間接コスト(人件費)が増加している。
✧メンテナンス業者が複数あり、一括で管理できていないため修理総額が大きい。(スケールメリットを活かせていない)
✧店舗数の増減による人件費のコントロールが難しい。
✧十分な手配体制が無く、休日、夜間の機器修理に対応できておらず、機会損失の不安がある。
✧店舗や機器ごとに、修理業者が違うため、情報の集約や情報活用ができない。
こうした状況に対し、同社では以下の提案を行った。
➣メンテナンス業務を一括で代行することにより、機器の修理履歴を収集できるため、消耗品や他店舗で同機種の機器故障傾向などを予測することができる。
➣メンテナンス業務を、全て同社にアウトソーシングすることで、店舗数の増減による管理人員の変更が不要となる。
➣WEBシステムの使用によって報告書や請求書の管理を容易に行うことができる。
➣24時間365日対応可能なため、緊急トラブルも即対応が可能で、機会損失を防ぐことができる。
(同社HPより)
(解決後の状況)
✧WEBシステムの履歴管理機能により、消耗品交換の計画をたてることができ、予算の把握が可能になった。
✧各店舗のメンテナンス進捗の状況を専用ページからWEBシステムでいつでも見ることができるため、顧客企業の部署内において各店舗状況を効率良く共有できるようになった。
✧メンテナンス管理業務の効率が改善され、人材を開発等のコア部門に集中、専念させることが可能になった。
✧消耗品劣化によるトラブルを未然に防ぐことができ、緊急トラブルが少なくなった。
【事例3.食品スーパー大手に対するFM(ファシリティマネジメント)提案】
対象店舗数:約60店舗
対象エリア:関西エリア
受付体制:24時間365日
(ヒアリングを通じた顧客の現状および課題)
✧本部の管理負担が大きくなり、間接コスト(人件費)が増加している。
✧メンテナンス業者が複数あり、一括で管理できていないため修理総額が大きい。(スケールメリットを活かせていない)
✧十分な手配体制が無く、休日、夜間の機器修理に対応できておらず、機会損失の不安がある。
✧店舗や機器ごとに、修理業者が違うため、情報の集約や情報活用ができていない。
✧設備担当部門社員の高齢化が進み、今後の体制に不安がある。
こうした状況に対し、同社では以下の提案を行った。
✧メンテナンス業務を一括で代行することにより、機器の修理履歴を収集できるため、消耗品や他店舗で同機種の機器故障傾向などを予測することができる。
✧警備・メンテナンスを含めた店舗管理業務を、全て同社にアウトソーシングすることで、本部負担の軽減となる。
②メーカーメンテナンス事業
パナソニックグループにおいて業務用設備機器およびシステムの販売・施工・サービスを担っているパナソニック産機システムズ株式会社のメーカーサービス指定店として、同グループが製造・販売した納入先において業務用大型空調機器等の定期点検、修理対応を行っている。
近年では大型空調機器に付随した省エネインバータ化工事(※)、大型空調機器以外の電気設備、業務用厨房機器、給排水衛生設備などのメンテナンスも手掛けるほか、大型機器のリニューアルなど事業領域を拡大している。
メンテナンスに携わるスタッフはほぼ全員が同社社員であり、徹底した社員教育により技術力の更なる高度化およびノウハウの蓄積を進めており、今後も内製サービスの拡充を図っていく。
(同社資料より)
※インバータ化工事
空調機器に使われるポンプはモーターの回転で水を循環させている。モーターは電気が流れると常にフル回転しているが、循環する水量が多すぎる場合もある。そこでモーターの回転速度を制御する装置「インバータ」でモーターの回転数を減らして水量を調整すると、モーターの消費電力が下がり節電となる。インバータを空調機器に取り付ける工事をインバータ化工事という。
こうした事業の性格上、同事業の顧客は基本的に、パナソニック産機システムズの1社となる。
空調機器管理は、メーカーグループ内の機器管理会社が複数のメンテナンス業者にメンテナンスを委託する形となっており、各メーカー間には技術と機器の壁があるため新規参入がほぼないニッチな業界である。
(同社資料より)
同社の全国シェア(パナソニック産機システムズの社内シェア)は約20%でNo.1。東名阪に限れば約4割となっている。沿革でも触れたように早い時期からパナソニックグループ製の空調機器メンテナンスを手掛けたことでパナソニックグループとの関係が強固であることに加え、パナソニック系空調機器メンテナンス会社の中で従業員300名以上の規模は同社のみであり、全国規模でメンテナンスを手掛けることができるのは実質的に同社のみであること等がシェアNo.1の背景である。
メーカーは技術力の高さや効率性などの観点から実績のある大企業に管理を集中する傾向があるため、同社ではメンテナンス技術を更に磨き上げて、断トツのトップシェア確保を目指している。
トップシェアであることは事業の安定性のみでなく、新たなビジネス展開にも繋がっている。
空調機器管理の現場では提案の機会を同社がほぼ独占しているため、例えば前述の省エネインバータ化工事においては、現場の調査、効果の試算と導入提案、工事、アフターケアまでワンストップでサービスを提供することができる。大手リース会社との提携により初期投資負担無く最新のインバータ機器を導入することができるため、エンドユーザーは大きな節電効果を得る事が可能である。また同社も電力節減量に応じた成果報酬という新たな収益を得る事となる。さらに、この省エネ提案を「トータルメンテナンス事業」において展開することで、より大きな事業機会を獲得することができると考えている。
③省エネ事業
トータルメンテナンス事業、メーカーメンテナンス事業の顧客に対して、省エネ化工事や機器導入などの提案、施工を行っている。
(同社資料より)
提案内容は、インバータ制御導入のほか、空調設備ポンプのインバータ化、空調・熱源機器更新、照明LED化、電力量のピークカットなどで、今後も省エネメニューを増やしていく予定である。
トータルメンテナンス事業、メーカーメンテナンス事業の顧客の現場調査の中で顧客の状況を把握し提案するため、競合はほぼなく提案機会をほぼ独占している。
また、大手リース会社との提携により、顧客企業は大きな初期投資負担なく最新インバータ機器を導入することができる。
元々は空調機器メンテナンス現場で発展した事業であるが、今後はトータルメンテナンス現場でさらに拡大すると会社側は期待している。
【事例.店舗数20店舗以上の菓子メーカーへの省エネ提案】
(ヒアリングを通じた顧客の現状および課題)
✧もともと、コスト意識が高く、削減する箇所と機会をさがしていた。
✧年間冷房で24時間稼働しているため、その稼働コストの削減が見込めた。
そこで同社は、「24時間稼働している空調機器(吸収冷温水機)にインバータ制御システムを組み込むことで電力調整が可能となるため、大幅なコスト削減ができ、3年で設置費用の回収が実現できる。」との提案を行った。
(同社HPより)
(解決後の状況)
1年目の計画数値が試算通りの数値となり、3年での投資回収が見込めたため、2台目の取り付けを行った。
※24時間稼働させる場合の回収期間。
【1-5 特長と強み】
◎安定したストックビジネス
メーカーメンテナンス事業は、顧客が基本的にはパナソニック産機システムズ1社のみであるため急速な成長を望むことはできないが、定期点検や修理等、安定した売上の拡大を見込むことができる。また新規参入による価格競争が起こる可能性も低く、安定した利益率を維持している。
◎高い技術力
前述の様にメーカーメンテナンス事業においてはメンテナンスに対応するスタッフはほぼ100%が同社社員であるため、実地研修やOJTによる社員教育を徹底して実施することができる。
これにより技術力のブラッシュアップ、ノウハウの蓄積が進んでおり、メーカーメンテナンス事業のみならず、今後の更なる拡大を目指しているトータルメンテナンス事業においても同業他社に対する大きな競争優位性となっている。
【1-6 ROE分析・株主還元】
15/5月期 |
16/5月期 |
17/5期 |
18/5期 |
|
ROE(%) |
25.6 |
19.2 |
23.1 |
25.5 |
売上高当期純利益率(%) |
3.63 |
3.81 |
4.11 |
4.73 |
総資産回転率(回) |
2.41 |
2.27 |
2.67 |
2.72 |
レバレッジ(倍) |
2.93 |
2.22 |
2.11 |
1.98 |
利益が着実に積み上がっているためレバレッジは低下しているが、売上高当期純利益率の上昇を主要因に、ROEは更に上昇した。
今期の予想売上高当期純利益率は4.64%であり、引き続き高いROEが維持されよう。
配当政策としては、配当性向30%を目途に利益還元を行っていく。内部留保については企業体質強化及び将来の事業展開のための財源として活用していく。
また長期保有株主の増加を目的とし、1単元(100株)以上保有株主に対し1,000円分のクオカードを贈呈している。
2.2019年5月期第2四半期決算概要
(1)連結業績概要
(単位:百万円)
18/5月期2Q |
構成比 |
19/5月期2Q |
構成比 |
対前年同期比 |
期初予想比 |
|
売上高 |
5,279 |
100.0% |
5,931 |
100.0% |
+12.4% |
-0.8% |
売上総利益 |
1,155 |
21.9% |
1,255 |
21.2% |
+8.7% |
– |
販管費 |
773 |
14.7% |
862 |
14.5% |
+11.5% |
– |
営業利益 |
381 |
7.2% |
393 |
6.6% |
+3.0% |
-10.1% |
経常利益 |
383 |
7.3% |
397 |
6.7% |
+3.6% |
-8.3% |
四半期純利益 |
262 |
5.0% |
273 |
4.6% |
+4.2% |
-5.9% |
*四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益
増収増益。一部期ずれ案件により計画には未達。
売上高は前年同期比12.4%増の59億31百万円。前期に続きコンビニ・スーパーなど小売業向け業務が続伸。売上構成比は6割まで成長。営業利益は同3.0%増の3億93百万円。高利益率の省エネ工事案件が少なかったため粗利率が0.7%低下したことに加え、成長のための体制強化で人件費が増加。海外事業開発コスト増もあり、小幅増益にとどまった。売上高、営業利益、四半期純利益はすべて過去最高を更新したが、省エネ事業における一部案件の期ずれがあり期初計画を若干下回った。
◎四半期動向
(単位:百万円)
16/5 1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
17/5 1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
18/5 1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
|
売上高 |
1,457 |
1,703 |
1,343 |
2,114 |
1,868 |
2,381 |
2,136 |
2,392 |
2,125 |
3,154 |
2,587 |
3,282 |
営業利益 |
16 |
163 |
4 |
211 |
25 |
246 |
74 |
193 |
28 |
353 |
142 |
254 |
営業利益率 |
1.1% |
9.6% |
0.3% |
10.0% |
1.3% |
10.3% |
3.5% |
8.1% |
1.3% |
11.2% |
5.5% |
7.7% |
同社の売上、利益は第2四半期、第4四半期に偏重する季節特性があるが、今第4四半期は37.2%増収、31.5%増と前年同期を大きく上回った。
(2)売上動向分析
◎顧客属性別動向(単体ベース)
(単位:百万円)
17/5期2Q |
構成比 |
18/5期2Q |
構成比 |
19/5期2Q |
構成比 |
前年同期比 |
|
飲食 |
926 |
22.4% |
762 |
14.7% |
515 |
8.9% |
-32.4% |
小売業 |
1,224 |
29.6% |
2,528 |
48.9% |
3,344 |
57.9% |
+32.3% |
設備管理・不動産 |
888 |
21.4% |
959 |
18.5% |
1,014 |
17.6% |
+5.7% |
イベント施設 |
24 |
0.6% |
25 |
0.5% |
25 |
0.4% |
0.0% |
医療・介護・福祉 |
202 |
4.9% |
235 |
4.5% |
138 |
2.4% |
-41.3% |
その他 |
876 |
21.2% |
662 |
12.8% |
735 |
12.7% |
+11.0% |
合計 |
4,140 |
100.0% |
5,171 |
100.0% |
5,771 |
100.0% |
+11.6% |
小売業向け売上が大きく拡大し構成比は約6割に。他のマーケット拡大にも取り組んでいる。
◎サービス種類別動向(単体ベース)
(単位:百万円)
17/5期2Q |
構成比 |
18/5期2Q |
構成比 |
19/5期2Q |
構成比 |
前年同期比 |
|
修理 |
2,214 |
53.5% |
2,779 |
53.7% |
3,255 |
56.4% |
+17.1% |
工事 |
1,152 |
27.8% |
1,153 |
22.3% |
1,246 |
21.6% |
+8.1% |
定期 |
773 |
18.7% |
1,239 |
24.0% |
1,270 |
22.0% |
+2.5% |
合計 |
4,140 |
100.0% |
5,171 |
100.0% |
5,771 |
100.0% |
11.6% |
今上期は修理が伸びた一方、収益性の高い省エネ工事案件が少なかったため粗利率、営業利益率が低下した。
(3)財務状態とキャッシュ・フロー
◎主要BS
(単位:百万円)
18年5月末 |
18年11月末 |
18年5月末 |
18年11月末 |
||
流動資産 |
3,950 |
3,901 |
流動負債 |
1,867 |
1,739 |
現預金 |
1,560 |
986 |
工事未払金 |
1,154 |
1,167 |
売上債権 |
2,215 |
2,679 |
短期借入金 |
59 |
59 |
固定資産 |
784 |
820 |
固定負債 |
422 |
406 |
有形固定資産 |
377 |
376 |
長期借入金 |
100 |
70 |
無形固定資産 |
51 |
78 |
負債合計 |
2,289 |
2,145 |
投資その他の資産 |
356 |
365 |
純資産 |
2,445 |
2,576 |
資産合計 |
4,735 |
4,722 |
利益剰余金 |
1,453 |
1,564 |
負債純資産合計 |
4,735 |
4,722 |
|||
長短借入金残高 |
160 |
130 |
|||
自己資本比率 |
51.6% |
54.5% |
現預金の減少、売上債権の増加で流動資産は前期末に比べ49百万円の減少。無形固定資産の増加で固定資産は同35百万円増加し、資産合計は同13百万円減少の47億22百万円となった。
長期借入金の減少などで負債合計は同1億44百万円減少の21億45百万円となった。
利益剰余金の増加などで純資産は同1億31百万円増加の25億76百万円。自己資本比率は前期末より2.9%上昇し54.5%となった。
◎キャッシュ・フロー
(単位:百万円)
18/5月期2Q |
19年5月期2Q |
増減 |
|
営業CF |
25 |
-347 |
-373 |
投資CF |
-44 |
-60 |
-16 |
フリーCF |
-18 |
-407 |
-389 |
財務CF |
-145 |
-171 |
-26 |
現金同等物残高 |
651 |
781 |
+129 |
前年同期に比べ賞与引当金の減少、仕入債務増加額の減少などで営業CFはマイナスに転じた。
新ITシステム導入による無形固定資産の増加で投資CFのマイナス幅は拡大。
配当金の支払額が増加し財務CFのマイナス幅は拡大。
キャッシュポジションは上昇した。
3.2019年5月期業績予想
(1)通期業績予想
(単位:百万円)
18/5月期 |
構成比 |
19/5月期(予) |
構成比 |
前期比 |
|
売上高 |
11,148 |
100.0% |
12,500 |
100.0% |
+12.1% |
営業利益 |
777 |
7.0% |
875 |
7.0% |
+12.6% |
経常利益 |
776 |
7.0% |
869 |
7.0% |
+12.0% |
当期純利益 |
527 |
4.7% |
580 |
4.6% |
+10.0% |
*予想は会社側発表。
業績予想に変更無し。今期も2桁の増収増益を見込む
通期業績予想に変更は無い。売上高は前期比12.1%増の125億円の予想。引き続き堅調なトータルメンテナンス、省エネ工事需要を取り込む。営業利益は同12.6%増の8億75百万円を見込む。
配当は前期より2円/株増配の30.00円/株を予定。予想配当性向は29.9%。
4.中長期成長イメージ
内製化率の引き上げ、営業体制および商品訴求力の強化が必要と考えており、そうした課題を明確化・解決して中長期の継続的成長を目指すために今年8月に「中期経営計画」を発表する予定である。
今後の成長戦略としては従来同様、安定した高利益率のメーカーメンテナンス事業をベースに、大きな潜在市場を背景に高成長が見込まれるトータルメンテナンス事業および海外ビジネスを展開して相乗効果により成長を加速させ、国内トータルメンテナンスビジネスを軸として、早期の売上高200億円実現を目指している。
(同社資料より)
海外事業について、中国では上海・重慶エリアに加え大連へ拡大を図るほか、ニーズを探るための調査を続けてきたASEANに今年2019年に進出予定である。
5.今後の注目点
下の図からも明らかなように、同社の売上、利益は第2四半期、第4四半期に偏重する季節特性があるが、上期までの進捗では、売上はほぼ例年並み、営業利益はややスローなようである。ただ、省エネ事業の期ずれ案件も予定通り下期に消化する見込みであり、第3四半期、第4四半期でどれだけ上積みを進めていくかを、加えて8月発表予定の中期経営計画の詳細も注目したい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 6名、うち社外2名 |
監査役 | 3名、うち社外3名 |
◎コーポレートガバナンス報告書(最終更新日:2018年9月10日)
<基本的な考え方>
当社は、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制を構築し「経営意思決定の迅速化」を図り、株主をはじめ社外に対して迅速で正確な情報発信を行う「透明かつ効率的な企業経営」を実践することにより、社会から信頼される会社となることをコーポレート・ガバナンスの基本方針としております。
当社は、コーポレート・ガバナンスの強化を経営上の重要な課題の一つとして認識しており、その施策として取締役会の活性化、情報管理体制の強化及び法令遵守の徹底等を推進しております。
<実施しない主な原則とその理由>
原則 |
実施しない理由 |
【補充原則 1-2-4】 | 当社は、機関投資家や海外投資家の比率を踏まえ、電子行使や招集通知の英訳を行っていく方針でございます。現時点では、費用対効果を考慮し実施しておりませんが、今後比率が増えて来た場合は、実施いたします。 |
【補充原則 4-10-1】 | 当社は、取締役の指名・報酬などに係る重要な事項を検討するための任意の諮問委員会は設置しておりませんが、取締役会は独立性の高い社外取締役2名と社外監査役3名の5名を含む、計9名で構成されており、指名・報酬などの重要な事項には適切に助言を受けております。 |
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>
原則 |
開示内容 |
【原則1-4政策保有株式】 | 現在、当社グループでは政策保有株式を保有しておりません。現時点では政策保有株式を保有する予定もございませんが、将来的に関連事業推進や関係強化を目的として保有する必要性を検討し、保有する場合があります。政策保有株を取得するにあたっては、取締役会にて十分に検討・審議し、当社の企業価値を高める上で必要と判断された場合に保有を実行いたします。また、その議決権行使についても、当社の企業価値を高める方向性を取締役会にて検討し、行使内容を決定いたします。 |
【原則 5-1.株主と建設的な対話に関する方針】 | 当社は、株主との建設的な対話・情報開示を行う担当部門を設置し、担当取締役を選任しております。株主からの対話(面談)の申込みに対しては、基本的には前向きに対応することにしており、対話(面談)の対応者は株主の希望を加味しつつ、対応する事を基本としています。 |