(3673:東証1部) ブロードリーフ 増収増益 利益率、EPSの伸びに注目
今回のポイント |
・18年12月期の売上収益は前期比17.0%増の212億85百万円。営業利益は同36.7%増の41億15百万円。
ブロードリーフ単体は、営業活動の効率化が進んだことに加え、ユーザー更新需要を確実に取り込んだことでシステム販売が大幅増収。ネットワークサービスも引き続き増収となった。これらの増収効果が、業績連動による人件費や株主増・株式分割に伴う株式関連コストの増加を吸収した。子会社タジマ単体業績も、粗利重視の営業方針の浸透や拠点統合などコストシナジー効果などが発現しはじめ黒字転換し業績に寄与した。なお、売上収益、利益ともに期初予想、18年8月発表の修正予想を超過した。 ・19年12月期の売上収益は前期比3.4%増の220億円、営業利益は同9.4%増の45億円を予想。 ・18年12月期は、業績面の好調さ以上に、クラウドプラットフォーム「Broadleaf Cloud Platform」の完成が大きな意味を持つ1年であったと会社側は考えている。クラウド型課金へのシフトの効果が表れるのは既存ユーザーの切り替えが始まる2020年からとのことだが、今期約40%と予想するプラットフォーム比率が2021年12月期に計画通り60%を超した際、利益率およびEPSがどこまで上昇するのか大いに注目される。 |
会社概要 |
自動車アフターマーケット事業者の業務を支えるITネットワークシステムや、業界向けの業務アプリケーションで高シェア。同社の強みは自動車部品商、整備工場、鈑金事業者、リサイクル事業者など異なる商流を統合しプラットフォーム化している点にある。現在はこのプラットフォーム上の取引を電子化する電子商取引(トランザクション)の拡大に注力。また、同社が独自に自動車部品に発番するBLコードは業界のデファクトスタンダードとなっており、事業者が部品を特定する上で欠かせないものとなっている。更なる成長を追求するためにパッケージベンダーからプラットフォーマーへの進化を目指している。 【1-1 沿革】
形式上の存続会社である同社は、米国のプライベート・エクイティ・ファンドであるカーライル・グループの支援の下、2009年9月に、実質的な存続会社である「旧株式会社ブロードリーフ」の経営陣によるマネジメント・バイ・アウト(MBO)のための受皿会社として、シー・ビー・ホールディングス株式会社の商号で設立された。 その後、シー・ビー・ホールディングス株式会社は同年11月に株式譲渡により旧株式会社ブロードリーフを完全子会社化。2010年1月1日に旧株式会社ブロードリーフを吸収合併することで営業活動を全面的に継承すると同時に、商号を株式会社ブロードリーフに変更し、現在に至っている。 実質上の存続会社である旧株式会社ブロードリーフは、2005年12月、自動車部品商、自動車整備業、自動車鈑金塗装業など自動車アフターマーケット業者向け各種システムを販売していた翼システム株式会社から「パッケージソフトウェア事業」を譲受し、アイ・ティー・エックス株式会社の子会社の1社として事業を行っていた。 【1-2 企業理念】
同社は、企業理念に「感謝と喜び」を掲げている。 「感謝と喜び」という人や企業が深く結びつくために欠かせない“心”を大切に、お客様とともに繁栄するビジネスを進めております。私たちの商品やサービスがお客様の事業に貢献する時、お客様に「ブロードリーフとつきあって、よかった」と感じていただけるでしょう。
そして事業が日々成長する実感に、喜びが生まれることでしょう。そんなお客様の心を受けて、私たちにも「感謝と喜び」が生まれ、よりよい商品やサービスにつながっていきます。 「感謝と喜び」をわかちあいながら、お客様とともに成長していく。それがブロードリーフの企業理念であり、ビジネスの「心」なのです。 (同社HPより) この企業理念を全社員に浸透させ、より実践的なものとするため、毎年初、全社員が集合する「経営方針説明会」において大山社長が前年の総括と今年の方針を話すと共に、企業理念の確認を行っている。 全社員はクレドカード(※)を常に携帯し、毎日開かれる朝会で行動規範などを全員で唱和している。 また、企業理念を理解・実践した社員を社員間投票で表彰し、社員同士でも感謝の気持ちを伝えるといった取り組みを行っている。 ※クレド:「信条」を意味するラテン語で、「企業の信条や行動指針を簡潔に記したもの」を指す。従業員の自主的な行動を促すためのツールとして利用している企業が多い。
(社名について) 「ブロードリーフ(Broadleaf)」とは広葉樹を意味します。
広葉樹の多くは、春から夏にかけて、葉に日光を受けて成長し、冬には葉を落として土に養分を還し、他の植物と共生します。 ビジネスの大地にしっかりと根を張り、葉を生い茂らせ、実をつけて、お客様とともに未来へ向かって成長し続けたい。そんな気持ちが込められた社名です。 (同社HPより) 【1-3 市場環境】
◎概観
同社の主要関連事業は、カーオーナーが自動車を購入した後の、給油、自動車アクセサリーの購入、車検、点検、部品交換、自動車の売却、廃棄処理など「自動車アフターマーケット」と呼ばれる市場で、トータルの関連顧客市場規模は約10兆円。(同社資料より。) ① 自動車保有台数
軽自動車を含む自動車保有台数(乗用車)は2018年3月末で約6,158万台と増加が続いている。ストックである同台数は、平均使用年数の長期化もあり今後も増加が継続するものと予想される。 ② 乗用車の平均使用年数
乗用車が初度登録されてから抹消登録されるまでの平均年数である平均使用年数は2017年3月末で12.91年と、長期化傾向にある。(一般財団法人 自動車検査登録情報協会 統計情報より。) 自動車の利用に対するユーザーの考え方の変化から長期使用車両が増えていることで、自動車整備市場や部品・用品市場においては、整備・点検需要や部品・消耗品の交換需要が拡大している。 ③ 認定工場数と指定工場数
自動車の原動機、動力伝達装置、走行装置などを取り外して行う自動車の整備や改造にあたる「分解整備」は、地方運輸局長の「認証」を受けた「認証工場」で行う必要がある。 認証工場のうち、設備、技術、管理組織等について一定の基準に適合し、地方運輸局長より指定自動車整備事業の「指定」を受けた工場を「指定工場」と言う。 認証工場数及び指定工場数とも、数は横這いないしは微増だが、近年、認証工場に占める指定工場の比率が上昇している。 これは、景気動向、後継者難などの理由から小規模の工場が中規模および大規模工場の系列やグループに組み込まれているためと考えられる。 同社によれば、全国に非ディーラー系の工場は約7万あるが、うち4万は整備士が3名以下の小規模工場で、同社が主要ターゲットとする中規模・大規模工場は約3万と二極化が進んでいるという。同社システムを導入する経済的な余裕もある中規模・大規模工場への部品受発注システム接続数は2017年12月末現在、2,194か所であり、開拓余地はまだまだ大きい。 一方で小規模事業者をメイン顧客とする業界第2位の株式会社タジマを2017年7月にM&Aし、顧客基盤はさらに強固なものとなった。 ④ リサイクル部品市場
2005年に自動車リサイクル法が施工され、自動車解体、自動車リサイクル部品等の市場が徐々に整備されており、リサイクルグループ共有在庫システムの多様化やインターネットオークションの利用拡大により、リサイクル部品市場は拡大している。 リサイクル部品の活用は、CO2排出量抑制や環境問題への対応のため、社会的にも重要な取組みとなっており、今後も拡大は続くと思われる。また、2012年10月から自動車保険料が改定されたことも、リサイクル市場にとって追い風となるだろう。 以上の様に、同社の顧客を取り巻く外部環境は良好といえる。 【1-4 事業内容】
業務アプリケーションの販売によって大きく成長し、現在もシステム販売が売上の中心となっているが、更なる成長を追求するためにパッケージベンダーからプラットフォーマーへの進化を目指す同社は、成長基盤「Broadleaf Cloud Platform」上のサービス提供を18年12月期から開始したことを機に成長戦略をより明確にするため、19年12月期より売上区分を、「プラットフォーム」と「アプリケーション」の2区分に大別した。 従来から提供しているプラットフォームを活用したサービスに加え、今後新たに「Broadleaf Cloud Platform」上で展開する新サービスは、プラットフォームに分類する。 サポートにおいては、顧客の最適なビジネス環境を維持するために365日稼働のカスタマーヘルプデスクや全国29拠点(2019年1月1日現在)に専門スタッフを配置し、ネットワークやハード、サーバー等のトラブル時に迅速に対応するサポート体制を構築している。 部品トランザクションの主要サービスは以下の2つ。 ①自動車部品の電子受発注システム「BLパーツオーダーシステム」
整備工場向け業務システムと部品商向けシステムを接続し、見積・納期回答、受注業務をシームレスに行うサービス。 これまで、整備に際し部品が必要な整備工場は、既に取引のある部品商に電話やFAXで部品を発注していたが、手間、誤発注、納期などの点で課題が山積であった。 こうした状況を改善し、大幅な業務効率改善、商売の円滑化、価格・納期の即時対応等を実現したのが同システムである。 より多くの整備工場に接続して取引を増やしたい部品商と、必要な部品をタイムリーに入手したい整備工場を接続。 部品商に対し、ネットワーク利用料、整備工場からの問い合わせ件数に応じた手数料などをチャージする。 ②リサイクル部品流通ネットワーク「パーツステーションNET」
リサイクル部品の販売者であるリサイクル事業者は商品を「パーツステーションNET」に登録し、リサイクル部品の使用者である整備工場や鈑金工場は必要な商品の検索を、仲介業者である部品商やリサイクル業者は適合確認を行う。現在日本国内では年間約2,400億円のリサイクル部品が売買されているが、パーツステーションNETには約13,000拠点の企業が参加して、1日約1万点の部品が流通しており、日本全体の約17%に当たる約415億円が流通している。 販売者と仲介業者の間で部品売買が行われた際にはリサイクル部品決済代行サービス「パーツステーションファクタリングNET」を通じて取引額の決済を代行し、手数料を徴収している。 例年約100億円のリサイクル部品の決済代行があり、2018年12月期は約6.3億円の決済代行手数料収入を得ている。 自動車アフターマーケット業界に属する事業者の他、旅行取扱い事業者、携帯電話販売代理店事業者、機械工具取扱い事業者等に対して、主に「産業プラットフォーム」における業種特化型業務アプリケーションの開発・販売を行っている。同社の業種特化型の業務アプリケーションは、特定業種固有の業務フロー、見積及び請求管理等の汎用的な顧客ニーズを織り込んで利便性を向上させている。 また、パソコンに業務アプリケーションを搭載して顧客に販売しており、液晶ディスプレイ、タブレット端末、プリンタ、周辺機器などのハードウェアも販売している。 <注力製品:OTRS>
中期経営計画(2019-2021)における注力製品の一つが「OTRS(Operation Time Research Software)」である。 OTRSは、経営工学 (Industrial Engineering)に基づいてつくられた生産・製造現場の作業時間短縮・省力化・コスト低減など、企業のカイゼン活動を支援するソフトウェア。 最新動画エンジンを搭載し、動画分析・加工による作業のバラツキの可視化、熟練工とそうでない作業員の作業の差異を可視化する比較再生、分析結果を作業手順書や動画マニュアルとして出力するレポート出力などの機能を有し、①作業のムリ・ムダ・ムラをなくしQCD(質・コスト・デリバリー)を高める、②作業の標準化による公平な評価を実現する、③モーションマインド(作業方法についてより能率的な方法を探求し続ける心構え)の向上で職場の活性化に繋がる、といったメリットを提供する。 用途は製造業だけでなく、教育訓練の材料や技術伝承のツールとして、さまざまな現場に広がっており、世界20か国、6,000以上の導入実績を有している。 18年12月期は収益性の向上を主要因にROEは大きく上昇した。 【1-6 特徴と強み】
①自動車アフターマーケットをリードできる唯一のIT企業
国土交通省は「世界最先端IT国家創造宣言」(2013年6月、閣議決定後、2015年6月、変更を閣議決定)を踏まえ、国が保有する検査登録情報(所有者情報等)をはじめ、車両の位置・速度情報や事故・整備履歴情報等の「自動車関連情報の利活用による新サービスの創出・産業革新」に関する将来のあり方について、「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン検討会」を設置した。 同検討会が2015年1月に発表した「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョンについて」によれば、日本の自動車関連情報の利活用の現状について、 自動車が収集・発信できる情報は、近年の自動車のIT化の進展によって、膨大かつ多岐にわたっている。
ただ、我が国では、自動車に関連した膨大な情報について、個別の主体が情報をバラバラで有していること等のため、利活用が進んでいない。
諸外国では、既に自動車関連情報を利活用した保険サービス、自動車履歴情報の提供等の多様なサービス展開が進んでおり、我が国においてもITを活用した自動車関連分野のイノベーションを促進していくべき。
と、現状分析及び課題の抽出を行っている。 その上で、重点テーマとして、 の4つを挙げており、膨大なデータの一元管理を通じた、安心・安全な自動車取引の活性化を民間主導で進めようとしている。 こうした状況下、数千万台に及ぶ自動車整備履歴情報を有する専門性と数万社の顧客をベースに、将来の自動車アフターマーケットをリードできるのは自社のみと同社は考えている。 ※:OBD:On-board diagnostics。自動車に搭載されるコンピュータが行う自己故障診断のこと。
②圧倒的なシェア
国内部品商の約7割に同社の業務用システムが既に導入されている。また、整備工場に関しては、同社のターゲットとなる中規模又は大規模の非ディーラー系工場を中心として13,000社超にシステムが導入されており、圧倒的なシェアを有している。 加えて、同社の様にプラットフォーム化して多様なシステムを提供している企業は他にはない。限定的なシステム販売会社が数社あるが、どれも売上規模では同社の10分の1程度であり、事実上競合は存在しない状態とのこと。 ③豊富な実績
同社に「パッケージソフトウェア事業」を譲渡した翼システム株式会社(設立1983年)が最初のソフトウェアである自動車部品商向けシステム「パーツマン」の販売を開始したのが同じく1983年であり、この時から数えれば約30年の実績となる。30年前から自動車1台当たり約3万点にのぼる部品情報をデータベース化しており、独自ノウハウで作り上げた部品コードは業界標準となっている。 また収録データ数は膨大な量にのぼり、比類を見ない質・量ともに圧倒的なNo.1のデータベースとなっている。 ④顧客との信頼関係
直販体制を敷き、顧客ニーズを的確に吸い上げ、きめ細かな対応を行っているため、厚い信頼関係が構築されており、重要な見えない資産となっている。 原則顧客とは6年間の期限付きライセンス使用契約を結んでいるが、契約の継続率は90%超と極めて高く、顧客の満足度も高い。 |
2018年12月期決算概要 |
増収増益。予想も超過。
売上収益は前期比17.0%増の212億85百万円。3セグメントともに増収。 営業利益は同36.7%増の41億15百万円。原価側工数の圧縮などで粗利率が上昇、粗利も増加して、人件費や株主増・株式分割に伴う株式関連コストの増加を吸収した。コストコントロールを厳格化したタジマは調達のシナジー効果も生まれ始め黒字転換し業績に寄与した。 売上、利益ともに期初予想、18年8月発表の修正予想を超過した。 3分野ともに増収。システム販売は2桁増収で計画を超過した。 ユーザー更新、特に自動車系がけん引した。営業において確実なユーザー更新を優先したため自動車系新規顧客は前期を下回ったが見込み先は順調に増加。今期は新規顧客開拓にも注力する。 配当支払い、自社株買いによる現金等の減少などで流動資産は前期末比7億82百万円減少。無形資産の増加で非流動資産は同21億31百万円増加し、資産合計は同13億50百万円増加の294億13百万円となった。 有利子負債及び営業債務等が減少した一方、タジマの売上認識において、従来一括計上されていたものを、ライセンス期間で按分する会計方法に合わせたため契約負債が増加し、負債合計は前期末とほぼ同水準の83億79百万円。 利益剰余金の増加で資本合計は同12億96百万円増加し210億33百万円。 この結果自己資本比率は前期末から1.2%上昇し71.5%となった。 前年同期と比べ、利益増などで営業CFのプラス幅は拡大。クラウドプラットフォームなど次世代システム開発投資により無形資産の取得額増加などで投資CFのマイナス幅は拡大したが、フリーCFは増加した。 (4)トピックス
①クラウドプラットフォーム「 Broadleaf Cloud Platform」がサービス提供を開始 これまで開発を進めていたクラウドプラットフォーム(「Broadleaf Cloud Platform」が完成し、第1弾サービスとして中小規模自動車整備業向けの業務アプリケーション「Maintenance.c(スタートアップ版)」の提供を開始した。 また、このプラットフォームをサードパーティが利用するための準備も整った。 ②作業分析ソフト「OTRS」の成長
「OTRS(Operation Time Research Software)」の18年12月期の売上高は前期比33.7%増の390百万円と成長軌道に乗ってきた。 今後のグローバル展開を加速させる施策の一つとして、2019年1月に、世界60か国以上において、あらゆる業種を対象にコンサルティング活動を提供する「Kaizen Global Enterprises(アラブ首長国連邦)」と戦略的パートナーシップ構築に向け合意した。 |
2019年12月期業績見通し |
増収増益。売上、営業利益は過去最高を更新。
売上収益は前期比3.4%増の220億円、営業利益は同9.4%増の39億円を予想。 ブロードリーフ単独の増収効果に加え、タジマの増益効果で、売上原価、OTRSのプロモーション費用を含んだ広告宣伝費、人件費の増加を吸収する。 配当は前期比1円増配の13.00円/株の予定。予想配当性向は40.5%。 アプリケーションビジネスからプラットフォームビジネスへのシフトを進め、更なる成長を目指しアクセルを踏み込む。 (2)分野別動向
【1-4事業内容】で述べたように、パッケージベンダーからプラットフォーマーへの進化を目指す同社は、成長基盤「Broadleaf Cloud Platform」上のサービス提供を18年12月期から開始したことを機に成長戦略をより明確にするため、19年12月期より売上区分を、「プラットフォーム」と「アプリケーション」の2区分に大別した。 アプリケーション売上は減収だが、基本機能の利用料をプラットフォームに切り出した影響によるもので、更新案件については、概ね堅調。 2020年以降に進む収益認識の月額化を見据え、戦略的に案件をコントロールしていく。 OTRSは大幅な伸長を見込む。 プラットフォーム売上は増収。アプリケーション稼働の前提となるデータベース利用料等に加え、アプリケーション共通の基本機能に対する売上を含む。 |
中期経営計画(2019-2021) |
2018年12月期初に公表した経営計画では、2019年12月期 売上収益220億円、営業利益39億円、営業利益率17.7%を見込んでいた。営業利益を1期前倒しで達成したこともあり、今期を初年度とする新たな3ヵ年の中期経営計画を策定した。 (基本方針)
成長基盤である「Broadleaf Cloud Platform」を活用し、パッケージベンダーからプラットフォーマーへの進化を加速させる。 (数値目標)
2021年12月期、売上収益270億円、プラットフォーム比率60%超を目指す。 (成長イメージ)
ユーザー数は増加する見込みだが、クラウド化により売上認識を一括から年額・月額に変更する影響や、基本機能の売上をプラットフォーム売上に移行するため、アプリケーション売上は減少を見込む。
一方で、既存サービス領域のプラットフォーム売上に、基本機能の売上が計上されることや、顧客数や付加価値拡大により同売上が増加、くわえてOTRSなどの伸長もあり、アプリケーションの減少をカバーしたうえで、全体としての増収をけん引する。
加えて、「Broadleaf Cloud Platform」上で、自動車関連ビッグデータやAIなどを活用した新たなサービスを展開し、プラットフォーム売上を加速度的に増加させる。
(重点戦略)
①クラウドサービスの本格展開 2018年10月に、プラットフォーム上で稼働するサービスの第一弾として、中小規模整備工場向けのクラウドシステム「Maintenance.c」をリリースした。 今後の予定としては、2020年の期初をターゲットに、認証工場向け「Maintenance.c」の基本版をリリースし、このタイミングに合わせて、部品商向け「Partsman.c」の基本版もリリースする予定。 このため、クラウド型課金へのシフトの効果が本格的に出始めるのは、既存のユーザーの切り替えが始まる、2020年からとなる。 加えて電子受発注機能「BLパーツオーダーシステム」も、このタイミングで次世代版へとモデルチェンジし、トランザクションの拡大を図る。 さらに、2020年下期以降、電子受発注機能のEDI基盤を拡張させ、自動車販売業や自動車部品リサイクル業にも展開。EDI基盤を新たなECサービスのコア機能として活用し、総合電子マーケットへと進化させていく。 ②OTRSの本格グローバル展開
国内においては、働き方改革の推進など、製造業、建設業やサービス業を中心に、ロボット化などによる効率化が進んでいるが、グローバルにおいてもヒトが携わる部分について、分析、ナレッジ化の機運が急速に高まっている。 そうした流れを受け2019年からは、グローバル事業本部を立ち上げ「OTRS」の世界展開に取り組んでいる。 販売代理店との連携や、現地コンサル企業との提携などを積極的に進めており、2019年1月には、アラブに本社をもつ「Kaizen Global Enterprises」との戦略的パートナーシップの検討開始を締結しており、今後このような提携は増加していくと考えている。 当面は、スタンドアロン版ソフトウェアとして販売していくが、ダウンロード版の「新OTRS」の開発に着手しており、2019年中のリリースを検討している。 より長期的な構想としては、ヒトの様々な作業・動作・生体情報を解析したうえで、独自のアルゴリズムでデータ化し、ロボットティーチングやAR・MRなどへ展開するデータサービスの展開を狙っている。 ③M&A、投資、アライアンスの積極推進
プラットフォームの価値を高めるためにAIやブロックチェーンなど先端技術を持つテクノロジー企業への投資や提携を積極的に推進していく。 AIを用いた需要予測や故障予測、適切な調達及び在庫管理など、現状のビジネス周りから、ライフログデータなどと絡めた複合的なデータ予測を行うためのAI技術を持つ企業が対象。 円滑・安全なオンライン取引を行うために、ブロックチェーン技術をもつ企業も対象となる。 同社が保有する自動車や旅行などのデータに、他社の技術やデータを組み合わせることで、新たなサービスを創出できると考えている。 具体的には、「モビリティ」、「レジャー・観光」、「IoH(Internet of Human) 」などの領域において、既存の事業領域を超えた企業とのデータコラボレーションを立ち上げていく。 ④ブロードリーフ経済圏の拡大
成長基盤である「Broadleaf Cloud Platform」上で以下のような様々なサービスを展開し、同プラットフォームを核としたブロードリーフ経済圏を構築・拡大させていく。 *主なサービス展開 「モビリティ」、「レジャー・観光」、「IoH」の3つの領域について、既存領域と親和性の高い分野を中心にビジネス領域を拡大する。
「Maintenance.c」をはじめとしたクラウド型業務アプリケーションだけでなく、あらゆるサービスを「Broadleaf Cloud Platform」上で展開。競合他社を含めたサードパーティも利用可能とする予定である。
AI機能の拡張や、ブロックチェーンやスマートコントラクト、決済など様々な機能を拡張していくことで、より高い認証レベルでの、ECプラットフォームとしてサービス提供が可能になる。
作業分析ソフトのOTRSからは、働き方改革や生産性向上の切り口で、モーションデータ、IoTなどを融合したサービスが展開できると考えている。
現在も提供中の旅行業向けの旅行プラン作成・見積もりソフトから、インバウンドコンシューマ向けのサービスへと進化させるなど、世の中のトレンドやニーズにあわせた事業展開も積極的に進めていく。
<サービス例:福利厚生代行サービス「BroadLeaf倶楽部VIP Service」> 中小規模整備工場向けのクラウドシステム「Maintenance.c」に次ぐBroadleaf Cloud Platformサービス第2弾が、福利厚生代行サービス「BroadLeaf倶楽部VIP Service」。 自動車アフターマーケット業界においても少子高齢化に伴う人材不足から、人材定着、労働力確保が大きな課題となっている。働きやすい労働環境を提供するため福利厚生に関心が高まっているが、整備工場など中小企業にとって導入は容易ではない。 そこで同社では大手の福利厚生サービス企業と共同で独自のベネフィットプランを開発し、事業規模にかかわらず、すべての従業員のニーズを満たす大企業並みの福利厚生代行サービスを提供することとした。 ただこれはサービス単体での規模拡大を目的としているわけでなく、今後コンシューマ向けサービスを展開する上で有効となる匿名化された利用データを蓄積し、各種サービスのマーケティングデータ等に活用していく考えだ。 今後も、第3弾、第4弾とサービスを順次リリースしていく。 |
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<参考:コーポレートガバナンスについて> |
◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2018年12月26日 <基本的な考え方> 当社グループは企業活動を支えるすべてのステークホルダーの利益を重視しており、コーポレートガバナンスの強化を経営の重要課題として位置付けております。そのために、当社の経営理念である「感謝と喜び」を実現し、企業価値の永続的な増大を図るとともに、経営の健全性及び透明性の確保に努めております。 <実施しない主な原則とその理由> 「当社はコーポレートガバナンス・コードの各原則を全て実施しています。」と記載している。 |