株式会社メドレックス(4586 Mothers)
順調な開発進展を反映、パイプライン価値を上方修正
フォローアップレポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯
ニッチな市場で独自の技術
メドレックス社は、既存の経口薬・注射薬の有効成分を経皮吸収型製剤として開発し、製薬会社へ導出(ライセンス供与)、マイルストーン収入や上市後のロイヤリティ収入等を獲得するビジネスモデルの会社である。
通常の新薬創薬ビジネスと比較して、既存の薬剤の有効成分をベースにしているため成功確率は高く、ニッチな分野であるため競合も限定され、しかも独自のILTS®技術等で差別化されている。
パイプライン 開発は順調に進展
オキシコドン・テープ剤は、同社にとって最大の価値をもたらすパイプラインであり、2018年2月1日に、米国での第Ⅰ相臨床試験が良好な結果を示したことが開示された。また、同時に、チザニジン・テープ剤も、導出先の米国Cipla社が行っている追加第Ⅰ相臨床試験が良好な結果であったことも開示された。さらに、2月末には、NCTS®を用いた開発候補品について、メガファーマの第一三共株式会社と共同開発契約を結んだとの発表があった。将来的に、この部分でも開発段階に応じたマイルストーン収入が見込めるほか、上市後のロイヤリティ収入も視野に入ってくる。2017年末の現預金残高が17億円まで低下した一方で、開発の活発化に伴い、2018年の赤字幅が11億円まで拡大する見込みであるが、新株予約権の実行で12億円程度のキャッシュが入ると想定され、開発資金の枯渇を意識する心配は当面ない。
主要パイプラインの価値は合計400億円台へ上方修正
開発の進展を反映し、オキシコドン・テープ剤の成功確率を40%から50%へ引き上げた結果、この薬剤の成功確率考慮後の現在価値は、273億円から373億円へと100億円ほど上方修正された。他の薬剤に関する前提は、ほとんど変更していないため、パイプライン全体の価値は、オキシコドン・テープ剤に押し上げられ、前回試算値の300億円台半ばから400億円台半ばへ上方修正される。(なおNCTS®を用いた開発候補品は詳細不詳のため試算には不算入。今後の開発進展と開示に期待したい。)新株予約権行使に伴う希薄化を考慮してもなお、時価総額との間に大きなギャップがあると思料される。
- 「ANALYST NET」のブランド名で発行されるレポートにおいては、対象となる企業について従来とは違ったアプローチによる紹介や解説を目的としております。株式会社ティー・アイ・ダヴリュは原則、レポートに記載された内容に関してレビューならびに承認を行っておりません。
- 株式会社ティー・アイ・ダヴリュは、本レポートを発行するための企画提案およびインフラストラクチャーの提供に関して、対象企業より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。
- 執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、本レポートを作成する以外にも、対象会社より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。また、執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、対象会社の有価証券に対して何らかの取引を行っている可能性あるいは将来行う可能性があります。
- 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券取引及びその他の取引の勧誘を目的とするものではありません。有価証券およびその他の取引に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任で行ってください。
- 本レポートの作成に当たり、執筆者は対象企業への取材等を通じて情報提供を受けておりますが、当レポートに記載された仮説や見解は当該企業によるものではなく、執筆者による分析・評価によるものです。
- 本レポートは、執筆者が信頼できると判断した情報に基づき記載されたものですが、その正確性、完全性または適時性を保証するものではありません。本レポートに記載された見解や予測は、本レポート発行時における執筆者の判断であり、予告無しに変更されることがあります。
- 本レポートに記載された情報もしくは分析に、投資家が依拠した結果として被る可能性のある直接的、間接的、付随的もしくは特別な損害に対して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュならびに執筆者が何ら責任を負うものではありません。
- 本レポートの著作権は、原則として株式会社ティー・アイ・ダヴリュに帰属します。本レポートにおいて提供される情報に関して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュの承諾を得ずに、当該情報の複製、販売、表示、配布、公表、修正、頒布または営利目的での利用を行うことは法律で禁じられております。
- 「ANALYST NET」は株式会社ティー・アイ・ダヴリュの登録商標です。