株式会社メドレックス(4586 Mothers)
時価総額とパイプラインの価値に大きなギャップ

2017/10/16

ベーシックレポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

ニッチ市場で独自の技術を持つ
メドレックス社は、既存の経口薬・注射薬の有効成分を経皮吸収型製剤として開発し、製薬会社へ導出(ライセンス供与)、マイルストーン収入や上市後のロイヤリティ収入等を獲得するビジネスモデルの会社である。
通常の新薬創薬ビジネスと比較して、既存の薬剤の有効成分をベースにしているため成功確率は高く、ニッチな分野であるため競合も限定され、しかも独自のILTS®技術で差別化されている。

3本の主要パイプライン
同社にとって、現在進行中の主要パイプラインは3本ある。うち1本は、チザニジンテープ剤で、2017年春に、インドの大手製薬でグローバルにビジネスを展開しているCipla社の米国子会社Cipla USAと開発・販売で提携契約を締結した。今後、開発段階に応じたマイルストーン収入が見込めるほか、上市後のロイヤリティ収入も視野に入ってくる。また、オキシコドンテープ剤は、同社にとって最大の価値をもたらすパイプラインであり、2017年10月16日に、米国での臨床第Ⅰ相試験(以下Ph1)開始が発表された。Ph1開始以前の時点から既に、有力製薬会社から提携などの事前打診がきている模様だ。さらに、リドカインテープ剤の開発も継続中である。

主要パイプラインの価値は合計300億円台と推定
現在のメドレックス社の時価総額は約60億円前後で推移しているが、主要な3本のパイプラインの現在価値は、計300億円台前半ほどあると試算される。市場の評価が低い背景として、2013年の上場以来、上市に至った大型製品がなく、また、2016年11月には大型品として期待されていたエトリートの開発が中止されたためと推察される。ただ、エトリートは、非ステロイド外用薬の一種であり、そもそも非ステロイド外用薬は、米国では治験でプラセボとの差異が出にくい開発が困難な分野である。他方、血中濃度と薬効がダイレクトに結びつくと考えられる中枢神経系に作用する薬剤(オキシコドンやチザニジン)は、ILTS®技術は有効性が立証され易いと考えられる。今後、チザニジンテープ剤の成功確率の上昇およびオキシコドンテープ剤の開発の進展に伴って、同社に対する市場の評価が大きく変化する可能性がある。

 

>>続きはこちら(3 MB)

TIW/ANALYST NET
証券アナリストに限定せずに、コンサルタントや研究者など幅広い執筆者による企業分析・評価によってアナリストレポートへのアプローチと収入基盤の多様化を目指すプロジェクトです。
本レポートは、株式会社ティー・アイ・ダヴリュが「ANALYST NET」の名称で発行するレポートであり、外部の提携会社及びアナリストを主な執筆者として作成されたものです。
  • 「ANALYST NET」のブランド名で発行されるレポートにおいては、対象となる企業について従来とは違ったアプローチによる紹介や解説を目的としております。株式会社ティー・アイ・ダヴリュは原則、レポートに記載された内容に関してレビューならびに承認を行っておりません。
  • 株式会社ティー・アイ・ダヴリュは、本レポートを発行するための企画提案およびインフラストラクチャーの提供に関して、対象企業より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。
  • 執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、本レポートを作成する以外にも、対象会社より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。また、執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、対象会社の有価証券に対して何らかの取引を行っている可能性あるいは将来行う可能性があります。
  • 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券取引及びその他の取引の勧誘を目的とするものではありません。有価証券およびその他の取引に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任で行ってください。
  • 本レポートの作成に当たり、執筆者は対象企業への取材等を通じて情報提供を受けておりますが、当レポートに記載された仮説や見解は当該企業によるものではなく、執筆者による分析・評価によるものです。
  • 本レポートは、執筆者が信頼できると判断した情報に基づき記載されたものですが、その正確性、完全性または適時性を保証するものではありません。本レポートに記載された見解や予測は、本レポート発行時における執筆者の判断であり、予告無しに変更されることがあります。
  • 本レポートに記載された情報もしくは分析に、投資家が依拠した結果として被る可能性のある直接的、間接的、付随的もしくは特別な損害に対して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュならびに執筆者が何ら責任を負うものではありません。
  • 本レポートの著作権は、原則として株式会社ティー・アイ・ダヴリュに帰属します。本レポートにおいて提供される情報に関して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュの承諾を得ずに、当該情報の複製、販売、表示、配布、公表、修正、頒布または営利目的での利用を行うことは法律で禁じられております。
  • 「ANALYST NET」は株式会社ティー・アイ・ダヴリュの登録商標です。