日成ビルド工業株式会社(1916 東証一部)
拡大ステージが前倒しで実現しPER10 倍台は割安

2016/06/29

ベーシックレポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下 修、CFA

過去2年で事業領域拡大を伴う2倍超の高成長
当社は、1000㎡以下の規模のシステム建築をベースに、①特化・棲み分け戦略、②技術・提案力の総合戦略を推進し、ハウス事業とパーキング事業を中心に総合技術メーカーとして強固な経営基盤を築いてきた。2013-2015年度の中期経営計画では、M&A、提携、ストック型ビジネス、海外進出を積極的に進めた。事業領域拡大を伴う高成長を実現し、2012年度と比較して売上高は254億円から555億円、営業利益は18億円から42億円へと二倍超拡大した。昨年11月発表の2016-2018年度新中期経営計画においては、東京オリンピック後の景気変動リスクに備えた成長基盤の確立と収益安定性向上のバランスを取る戦略を打ち出した。①収益力競争力強化ための戦略的投資、②グループシナジー追求等により、2018年度、売上高650億円、営業利益53億円の達成を目標とした(2016年2月4日付け弊社レポート参照)

M&Aおよび総合建設と開発の成長により前倒しで実現する総合化戦略
当社において注目されるのは戦略実現が大幅に前倒しで進んでいることである。決算発表時に、新中期経営計画は2016年度で売上高750億円、営業利益56億円へと上方修正され、当初の2018年度目標をはるかに上回る数値を2年前倒しで達成する計画となった。2018年度においては売上高850億円、営業利益65億円を目指す。前倒しの第一の原動力はM&Aである。本年3月に全国でプレハブハウスやユニットハウスの製造、販売、レンタルを手掛ける、建設機械大手コマツグループからコマツハウス(現システムハウスR&C、2015年3月期売上高163億円)の株式を取得し子会社化した。第二は総合建設、開発などの多角化事業の拡大である。2016年度の売上高目標は、総合建設事業で10億円、開発事業で24億円上方修正された。

更なるアップサイドが顕在化する可能性から見て割安感増大
当社の投資魅力として、まだ株価に織り込まれていない3つのアップサイドがある。第一がシステムハウスR&Cとのシナジーである。品揃え拡大、経営資源、経営ノウハウの相互補完が期待される。第二が旧コマツハウスの親会社コマツグループの海外ネットワーク活用による海外案件拡大である。第三が、不動産価値向上力が評価され開発案件の持ち込みが一層拡大することである。以上により計画の上方修正が十分にあり得る。アップサイドへの投資に備えにエクイティファイナスによる資金力確保も進めた。また、IT投資、人材教育、グループシナジー加速も推進されている。なお、熊本地震における復興需要も想定される。年初来高値は更新しているもののPER10倍程度にとどまる株価は大きなアップサイドがあり、PER14倍700円程度、成長加速期待が高まればPER20倍の1,000円超も十分妥当と考える。

 

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