GCC経営™分析レポート:株式会社ハピネス・アンド・ディ(東証スタンダード 証券コード:3174)
3期連続赤字からの脱却へ-金商品強化戦略と買取事業で収益構造転換

2026/02/05

長期展望+四半期レビュー
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下修

1.⾧期展望 純金専門化と買取事業で日本版LVMHへの礎を築く

株式会社ハピネス・アンド・ディは、郊外型ショッピングセンターで宝飾・時計・バッグ等のセレクトショップを展開する東証スタンダード上場企業である。2022年8月期以降の円安・物価高騰によりインポートブランド品販売が落ち込み、2023年8月期以降は継続して営業損失を計上している。この構造的課題に対応するため、「金商品強化と買取・販売一体型モデル」を軸とした構造改革を推進している。過去2期間で31店舗を整理統廃合し、直営店57店舗体制へ再編された。閉店効果と商品構成見直しにより、既存店粗利率は2025年12月実績では33.2%と前年同月比2%改善している。成⾧戦略は三つある。第一に、日本市場では希少な純金(24K)を含めた金商品を強みにしたジュエリー業態の確立である。アジア諸国に存在する金商品を主体とした専門ショップが日本にはほぼ存在しない市場機会を捉え、2025年8月期の地金商品販売個数は既存店前年比142.3%と急伸している。第二に、自動車ディーラー型の買取・販売一体モデルへの転換である。2026年8月までに全57店舗中30店舗に買取機能を順次追加し、㈱Clarisseとの業務提携により顧客エンゲージメント重視のビジネスへ進化している。第三に、グループ会社AbHeriのインバウンド需要取り込みと日本ブランドの信頼性を活かしたアジア展開である。2026年8月期は売上高8,481百万円(前期比△4.1%)、営業利益30百万円と黒字転換を計画している。なお、本レポートでは詳細は省くが、⾧期的には当社は後継者不在の日本の各種ブランドをM&Aしながら成⾧する「ブランドコングロマリット戦略」を目指している(詳細は、弊社2025年11月7日付けレポート)。これは、ルイ・ヴィトンを擁するLVMHが欧州で確立した手法を日本版として応用し、複数のブランドをグループ傘下に収め、製造から販売まで一貫して手掛けることで高収益を実現する事業モデルだ。

2.四半期展望 閑散期の赤字は想定内、年末商戦と買取強化で黒字化へ

2026年8月期第1四半期の連結業績は、売上高1,815百万円(前年同期比△7.3%)、営業損失138百万円となった。店舗数が74店舗から60店舗へ減少し売上減となったが、既存店ベースでは売上高102.0%、粗利益108.6%と改善している。商品別では、宝飾品が売上高723百万円(+2.4%)と金価格高騰を受けて唯一増収となった一方、時計は178百万円(△29.9%)と戦略的に縮小した。プラス要因は、既存店売上・粗利の前年超え継続、純金ジュエリーの好調持続、ヴィンテージ商品33店舗展開による粗利率改善、14店舗閉店による販管費削減効果である。マイナス要因は、店舗数減少に伴う売上規模縮小とインポートブランド品価格高騰による消費低迷である。同社業績は季節性が強く、年末年始商戦が最繁忙期となる。会社計画では2月開始の社員研修により買取事業を本格化し、第2四半期累計で営業利益135百万円、当期純利益95百万円と黒字転換を見込む。注目指標は既存店売上高・粗利額の推移、純金ジュエリー販売動向、買取事業立ち上がり状況である。

3.株価動向 黒字化実現で信頼回復、ブランド再評価による株価上昇期待

同社株式は、継続的な営業損失と「継続企業の前提に関する重要事象等」の開示により、投資家の慎重姿勢が続いている。資金調達面では、2025年10月に第三者割当による新株予約権及び無担保普通社債を発行し、2026年1月13日現在で3,900個(390,000株)が行使済みとなっている。新株予約権の行使は短期的な資金繰り安定に寄与するが、既存株主にとっては希薄化要因となる。取引金融機関からは借入金の元本返済に係る条件変更の同意を得ており、メインバンクである千葉銀行と当座貸越契約(極度額400百万円)を締結している。最大の注目点は第2四半期累計での黒字転換実現である。会社計画では営業利益135百万円を見込んでおり、4月中旬発表の決算で年末年始商戦の結果が明らかになる。将来的なアップサイドが確認されれば、「株主価値分析」で示したようなアップサイドを短期間で織り込む事で2-3年で2,500円ほどのアップサイドの可能性もあろう。

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TIW/ANALYST NET
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