株式会社キャンバス(4575 Growth)
Phase3開始に向けて着実な歩みは継続中
フォローアップ・レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯
欧州でのPhase3開始に向けた現況
2024年2月、キャンバスが欧州でのPhase3を目指すことを決定してから、ほぼ1年6ヵ月の歳月が流れた。2024年6月には、欧州でのPhase3を断念した場合のリスクヘッジとして米国でPhase2bを行うことができるよう準備もしていたが、米国のCROへの前渡金の一部を返還させたことにより、欧州でのPhase3の可能性が高まったことが示唆された。さらに8月にはEMAよりCBP501がすい臓がん対象としてオーファンドラッグ指定を受け、Phase3の開始に向けて前進している印象を受けた。11月には、 Phase3で使用するCBP501の製造・製剤の工程に関する欧州規制適合対応の作業が遅れPhase3の開始は2025年になることが開示されたが、問題への対応は短時間で完了し、Phase3開始に向けたEMAとのやり取りが進むとの見通しであった。また2025年4月には、Phase3で重要視される統計解析に関する質疑を通して、EMAが真剣に検討しているとの実感とEMAとのやり取りは時間をかければ対応・回答可能なものであると表明していた。このような流れの中で、2025年8月、製造・製剤化に関する欧州と米国の規制の細やかな違いや欧州自体の規制の変動のため、EMAとの間で製造・製剤化プロセスに関する対応が続いていることが明らかとなった。一方で、臨床試験のプロトコルがキャンバスの計画に概ね沿ったもので決着する感触を得られており、臨床試験の内容に関して問題が発生しているわけではない。
今後の見通し
Phase2aまでの臨床試験は、米国で行われてきたことから、治験薬の製造は米国で行われているものと推測される。このため、製造・製剤化に関する欧州と米国の規制の違いに対応して、EMAと製造工程や製剤化のプロセスに関し、細やかなポイントに至るまで多くのやり取りが発生しているものと考えられる。依然として「時期の不確実性」は存在しているようだが、キャンバスでは、欧州での経験のある規制対応コンサルタントを使って全速で対応を進めてきており、多くの課題は解消されつつあると推察される。キャンバスは2027年上市の目標を変更していないが、それは、実現可能性があると判断できる「幅」のなかでの最速のケースであるとみられ、まだ残存している「時期の不確実性」を考慮すると、2025年末から2026年初の臨床試験開始、試験期間はそこから2年程度を見込んで、上市時期の「幅」を考えておくのが、Prudentな投資家のスタンスと思料される。
Phase3中間解析までの開発資金には目処がついている
2025年6月末の現預金残高は28億27百万円であった。 CBP501の欧州Phase3全体では40-45億円の費用が見込まれている。既に申請費用、試験準備費用、薬剤製造費用などで2024年2月以来12億1千万円ほど支出しているため、少なくともあと28-33億円ほど必要である。またCBP501の臨床開発費用の他、基礎研究費が年間4億円程度、販管費も年間3億円程度発生する。現有の資金で、Phase3の最後まで完遂というわけにはいかないが、欧州でのPhase3の前半部分、すなわち、もし設定されるとすれば中間解析までの資金は確保されているものと見込まれる。次の資本政策に関しタイミングや方法等を検討する十分な余裕が存在する。

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