GCC経営™分析レポート:リニューアブル・ジャパン株式会社(東証グロース 証券コード:9522)
GCC経営™分析によると最大7.4倍の時価総額アップサイドの可能性
ベーシック ・ レポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下修 小松麟
社会関係資本・人的資本・金融資本で太陽光発電で独自の強み
リニューアブル・ジャパン(以下、「RJ」とする)は、太陽光発電を中心に再生可能エネルギー事業を展開している。発電・売電事業、O&M事業(「運営・保守」Operation & Maintenance事業、発電所の設備を適切に運用維持する業務)などのストック型と、発電所売却事業、開発事業などのフロー型の2種類がある。幅広い業容で再生可能エネルギーに関する事業全般を日本及び欧州で一気通貫で手掛けている。RJは2012年、東日本大震災後に眞邉社⾧が設立した。プロジェクトファイナンスで再エネを提供し、電力インフラ復興を支援する考えに至った。RJの強みは、「❶自社育成したエンジニアによるEPC(設計/調達/建設)、O&Mコストの軽減(人的資本・技術力)がもたらす高い資本収益性(技術力×価格競争力)」、「❷グリーンローンの活用等の調達をベースにした成⾧力と資本コスト削減力(金融資本・金融力)」、「➌全国31拠点による網羅性(社会関係資本・地域)」である。この3つの強みを軸にスケールアップするサステナブルな価値創造力を持つ。適宜発電所を売却することで、通期会社計画を必要に応じて機動的に達成していく能力もある。安定と成⾧を両立している。太陽電池は、日照の変動で発電量が安定しないリスクがあるが、全国展開による発電量のポートフォリオ効果による安定電源化、正確な天気予測に基づくプライシング、「9.トピックス」で取り上げたように今年参入した蓄電池事業と組み合わせによる安定電源化の加速など、より競争力の高い発電事業へと変化していくと予想される。こうした動きをRJは十分実現して行くだろう
Non-FIT分野で着実な成⾧を目指す
創業12年で模倣困難でサステナブルな価値創造力を築き上げたRJは、政府によるFIT制度の縮小に伴い、Non-FIT市場が急速に成⾧する局面において、着実に成⾧する可能性を持っている。RJは、全国を網羅する拠点を活用して再生可能エネルギー発電所の運営管理(O&M)を行い、技術力とコスト効率を両立させ、地域密着型の業務体制を構築している。Non-FITについては、こうした運営管理(O&M)ノウハウにオペレーションコストの逓減が収益を生む重要な差別化となる。Non-FITの売電価格は、技術力革新や規模拡大によるコスト削減効果とエネルギー価格の上昇圧力の両方を考慮し、緩やかに上昇することが見込まれるため、RJの資本収益性は⾧期的には改善が見込まれよう。またO&M事業は2022年2月1GWから2024年3月2GWと2年で倍増する伸びを見せているのも注目される。
大幅なアップサイドあり。短期では発電所売却による計画達成が鍵
FITからNon-FITへの変化点において、RJの成⾧は⾧期的に持続するとの前提で、2034年12月期までに売上高はCAGRで6.9%成⾧、ROICは2024年12月期の会社計画ベースで2.5%から、2034年12月期には3.8%へと上昇すると予想した。WACCは2.3%で一定で推移するという前提にした。この前提によって株価推計した結果、10年分の成⾧価値を織り込めば株主価値は1,402.9億円、株価は09/08終値の7.4倍の4,690円となる。⾧期的に見れば再生エネルギー分野において着実な成⾧が見込めるため、2024年12月第二四半期は、「8.2024年12月期第2四半期決算概要」で示した要因で通期計画にくらべて当期利益が14.2%の水準にとどまっていることが株価にマイナスインパクトを与えているが、RJの利益を作りに行くこだわりの姿勢が実績に反映される期待が高まることでアップサイドが期待されよう。株価推計の前提の詳細は後述の「財務モデルの詳細」を参照されたい。
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