GCC経営™分析レポート:株式会社プレミアムウォーターホールディングス(東証スタンダード 証券コード:2588)
GCC経営™分析による株価5,026円~7,259円の可能性
ベーシック ・ レポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下修
差別化困難な宅配水市場で3割の圧倒的シェアを実現
株式会社プレミアムウォーターホールディングス(以下「PW」)は2006年に創業。主事業はミネラルウォーターの製造・宅配事業。PWは非加熱処理の生の水にこだわっており、国内最大級のプロモーション営業会社である株式会社エフエルシーと2016年にブランド統合後、劇的にユーザー数を増加させた。差別化が困難な宅配水業界において3割超という圧倒的なトップシェアを誇る。家庭用ウォーターサーバーの需要は確実に拡大しており、今後も安定的な成⾧が期待できる。またPWの事業は水源地の地方創生や、ペットボトル削減によるCO2排出低下等で自然保護の観点からも優れており、さらに女性が営業の半数を占める等、ESGや人的資本経営の視点からも注目される企業である。2023年7月にはCO2排出量の削減量を可視化する「デカボスコア(本文参照)」をウォーターサーバー業界で初めて獲得した。環境価値を重んじるユーザー向けの新しい選択基準として提供されている。
「いい人営業」戦略がサステナブルな価値創造の原動力
PWのトップシェア獲得の秘訣として、JPRは「いい人営業」が重要だと考える。宅配水の契約獲得は、「他の飲料と比べて宅配水が持つ生活における利便性、災害対策、環境保護から見た意義」についての顧客の理解に依存する。営業マンは、顧客の生活サイクル、価値観を深く理解した上で、宅配水の意義を訴求することで契約獲得する。つまり顧客の生活を深く理解することが必須になる。そのためには「いい人」として顧客と良好な関係を築くことが営業マンの必須の属性になる。PWは創業以来「いい人」や「感じのいい人」を育む組織文化を作り上げてきた。この組織文化が、宅配水で圧倒的なトップシェアを築いたPWの模倣困難な強みである。「いい人営業」戦略で需要が確保できたら、配送距離を最適にする「水源立地」工場を建設し物流コストを最適化する。このサステナブルな成⾧サイクルにより、業界トップのシェアと安定した成⾧性、高水準のROIC10%を達成している。10年で見れば売上成⾧は5%程度と緩やかになると予想されるが、規模メリット等により、ROICは足元の10%程度から19%程度に改善すると予想される。さらに、M&Aや資本業務提携で「いい人営業」戦略が応用可能な製品サービスを展開し⾧期的な成⾧可能性が広がる可能性も注目すべき。実際に2023年に入って3社との資本業務提携を開示した。
「いい人営業」戦略の5年成⾧を反映した株価は5,026円
インベストメントサマリーで説明する前提が実現すると仮定し株主価値をGCC経営™のフレームワークにより「超過利潤法(「巻末資料2.」参照)」で試算した。結果として、5年分の成⾧価値を織り込めば、株価は5,026円、10年分の成⾧価値を織り込めば、株価は7,259円と推計された。(本文「インベストメントサマリー」参照)。JPRの推計では現状の株価水準は来期の利益しか織り込まれていない。人的資本経営が投資テーマになると予想される中で、「いい人営業」戦略のサステナブルな価値創造力の過小評価が是正され、5年の成⾧価値が織り込まれれば、1年以内に5,026円の株価となる可能性は十分にあると
考える。
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