JPR資本利益率/資本コスト分析レポート:株式会社TAKARA & COMPANY(東証プライム 証券コード:7921)
価値創造力の回帰分析による株価アップサイドは2.1倍

2023/10/20

ベーシック ・ レポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下修

日本を代表するディスクロージャー・IR支援のリーダー企業
 1952年の創業の株式会社TAKARA & COMPANY(以下、「TAKARA&Co.」)は、ディスクロージャー・IR支援のリーダー企業として、独自の強みを築き上げ、通訳・翻訳も幅    広く手掛け総合サービスを展開している。特に有価証券報告書の作成支援業務に強みをもち、自社開発のデータの一元管理により大幅な開示業務の効率化を支援する統合型ビジネスレポートシステム「WizLabo」ツールが注目される。サステナビリティ情報や環境・社会・ガバナンス、いわゆるESG、その他非財務情報の拡充、英文開示のニーズ拡大など複雑   化、高度化する上場企業の開示ニーズの拡大はTAKARA&Co.にとって追い風である。本レポートでは特に会社ヒアリングは行わず、開示資料と資本利益率、資本コスト、PBRの回帰分析のみでTAKARA&Co.の株主価値の推計を試みた。以下分析内容を解説する。

各種資本利益率は上場企業でトップ12~17%の高さ
 既に述べたように、上場企業の投資家に対する情報開示のニーズの高度化・複雑化、英    文化ニーズの拡大によりTAKARA&Co.の売上高は堅調な成⾧を示している。また、資本利益率の改善も進捗しており、価値創造力の量も質も改善傾向にある。2020年5月期実績値から2024年5月期会社計画値で見ると、売上高は、年率平均成⾧率10.8%で成⾧し、191億円から288億円へと1.5倍と拡大基調である。有利子負債と株主資本に対する税引き後営業利益のリターン「シンプルROIC」は、10.2%→10.8%へ、余剰現預金などを除いた「リーンROIC」は16.2%→19.0%へ、ROEは、10.4%→10.5%へ改善している。TAKARA&Co.の上場企業 3,736社の中での位置づけは、シンプルROICでは上位14.6%、リーンROICは上位 13.9%、ROEは上位 17.1%と相対的に高い水準である。さらに、TAKARA&Co.は、中期経営計画で2026年5月期に売上高330億円、営業利益43億円の達成を掲げている。今後も堅調な売上成⾧とROIC・ROEの改善が期待。

回帰分析から推計した株価水準は現行株価の約2.1倍
 資本利益率は、「①企業が資本を利用して儲けたリターン」、資本コストは「②投資家から見て資本に対して儲けてほしいリターン」と定義できる。また、「①資本利益率/②資本コス     ト」は「価値創造力」と定義できる。「価値創造力」と資本の時価と簿価の比率、例えば  PBRとはプラスの相関関係がある。JPRではデータ入手可能な上場企業 3,736社を対象に分析を行った。分析における回帰式の決定係数が0.5以上ならば高い説明力を示唆する。結果は、p.3~p.5に示した通り、0.51~0.58と0.5を上回っている。そのうえで、その回帰分析から株価推計を、TAKARA&Co.について行った。その結果、次ページで示すよう    に、2023/10/13時点の株価2,308円の約2.1倍の4,881円と推計された。ROIC、WACCなどを利用した開示は東証も推奨しており、本レポートの視点をベースにした株価形 成が急速に定着する可能性がある。TAKARA&Co.の成⾧性、高いROICなどの価値創  造力が認知されれば、推計株価が1-2年で達成される可能性は十分ある。

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