株式会社リボミック(4591 Growth)
希少疾患:軟骨無形成症(ACH)への期待

2023/06/21

フォローアップレポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

RBM-007の開発はACHを対象に進行中
リボミックは、従来、他の製薬会社の要請に応じて新薬の種を提供する創薬探索をビジネスの柱としてきた。しかし、現在では、自社で臨床試験を進めて、一定の段階で導出を行うことで、さらに企業価値を高めようという段階にステップアップした会社である。リボミックの主力開発品である抗FGF(線維芽細胞増殖因子)2アプタマー:RBM-007については、滲出型加齢黄斑変性2nd-Lineを対象とした第Ⅱ相臨床試験(Ph2)では、主要評価項目を達成できなかったが、未治療の滲出型加齢黄斑変性を対象とした用途に可能性を残している。一方、軟骨無形成症を対象とした開発は、2021年5月に臨床第Ⅰ相試験(Ph1)を終え、2022年から前期臨床第Ⅱ相試験(Ph2a)が始まり、2023年4月には、半年間の観察を終えた患者への薬剤投与が公表された。

ACHの潜在市場規模は全世界で30億ドル
ACHは指定難病の一つとして定められている希少疾患であり、現在根本的な治療薬はない。疾患の原因はFGF受容体3(FGFR3)の突然変異であり、RBM-007は、FGFR3の主要なリガンドであるFGF2の活性を阻害することで、根本的な治療薬となる可能性がある。また、同様の他剤と比較して、投与頻度が少ない。また低年齢児には経口よりも皮下注による投与の方が望ましいと考えられる。したがって、他の有力な薬剤に対してRBM-007 は十分競争力があると考えられる。ACHに関する新規薬剤の対象患者数(15歳未満)は、全世界で1万8千人程度と見込まれる。先行して上市されているVoxzogo®の薬価を参考とすると、潜在市場規模は、全世界で30億ドル、日本市場だけでも200億円超と推計される。現在Ph2a試験は順調に進捗中で、2025年には終了予定であり、その時期には、ライセンスアウトへ繋がってくるものと考えられる。

合弁会社設立のカギは資金確保
リボミックでは、wet-AMDを対象としたRBM-007について、Ph2試験(TOFU試験とRAMEN試験)の追加解析及び医師主導治験(TEMPURA試験)の結果をもとに、未治療のwet-AMDを対象に次の展望を見出している。ただし、未治療のwet-AMD市場に新たに参入できる薬剤を開発するには多くのハードル(資金、既存薬や競合開発品に対する優位性の証明など)が存在するため、リスクも大きい。リボミックでは、リスクを抑えながら、開発を継続する方策として、中国に合弁会社を設立し、中国マネーを集め、中国での臨床開発を実施する可能性を選択しつつある。現在、中国側と合弁会社設立に向けた協議が継続中で、最大のポイントは臨床開発スタートに向けて十分な資金が確保できるかどうかであると考えられる。リボミック側がMajorityを持たない合弁会社の下での開発になるため、リボミック側の財務的リスクは限定されるメリットはあるが、知財の管理等リボミック側のコントロールが十分働く体制となるのか注目したい。

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