GCC経営™分析レポート:クオンタムソリューションズ株式会社(東証スタンダード市場 証券コード:2338)
革新的な超小型電気自動車(EV)による世界的EVテクノロジー企業への飛躍

2022/06/02

ベーシック ・ レポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下修・柏尾陽介

電気自動車(EV)事業への変革の戦略的動き
当社は、2021年8月に社名を、株式会社ビットワングループから、飛躍を意味するクオンタムソリューションズ株式会社(QS)に変更した。QSは1999年にインターネットコンサルティング会社として設立された。創業以降、事業革新に取り組んできたが、現状事業の収益は伸び悩み、2017年2月期から6年連続の赤字となっている。

2021年、QSは上海出身の経営者を迎え、2021年8月に日本の小型EVに特化したベンチャー企業、株式会社FOMM(FOMM)と合弁契約を締結し、合弁会社を設立することを決定し、EVを新規事業として推進し、 成⾧の柱への育成に取り組んでいる。

QSのパートナーであるFOMMは、タイ市場でテスラに匹敵する実績
FOMMは、1)2019年にタイ量産を開始し、2021年には日本の軽自動車規格として承認された世界最小クラスの4人乗り小型EVを開発、2)水害時には水に浮き、水上移動を可能とする「フロートドライブ」や普通充電に加えて、小型のカセット式バッテリーによる独自の交換システム、3)当該バッテリー交換システムの応用により環境省委託事業に採択されるなどで注目されている。

2021年にはFOMMはタイのEV市場でテスラに匹敵するEV登録数の実績により、EVの世界的リーダーが激しく競争しているタイで7%の市場シェアを達成した¹。こうしたFOMMとの提携を踏まえて、2021年8月、QSは、「日本で生まれ、世界に売る(“Born in Japan, Sold Globally”)」戦略を発表した。QSへの投資はFOMMが持つ成⾧機会への参加を意味する。

“Born in Japan, Sold Globally”
2022年4月より、日本とタイで認証済のEVをFOMMに製造委託して販売する取り組みを開始した。その前に、2022年3月、QSは中国の江蘇に拠点を置く電気自動車の開発者および製造業者であるDuke New Energy Vehicle Co. Limited(Duke)と事業提携した。これによりFOMMの開発したEVの各国の市場に向けにカスタマイズした車両の開発と中国でのOEM製造および世界販売の早期本格化を目指す。他のOEMパートナーも引き続き探しておりマルチプルOEM戦略を進める。これらの戦略が進めば”Made in China”戦略も重要になる。

このような取り組みによる、日本ブランドへの高い信頼性、環境に優しい小型EVの需要拡大、中国での製造コスト競争力などを背景に、QSが世界のEV市場で一定程度のシェアを獲得する可能性を前提に株主価値評価をJPRでは試算した。矢野経済研究所が2021年9月に発表した調査結果²によると、EVの世界の市場規模は約5000万台と予測される。QSの戦略の実現を前提に、QSのシェアは控えめながら2030年におけるEV世界市場の1%と仮定し、株主価値を試算した。この前提で、QSの株主価値は、WACC(加重平均資本コスト)18%で1,000億円程度と試算された。戦略が実現すれば、大幅なアップサイドが期待できる。

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TIW/ANALYST NET
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